説明

自立型乾式終端接続部

【課題】端子部にかけられる引張及び曲げ強度を向上させて自立型とする。
【解決手段】内部導体11を被覆したケーブル絶縁体13を有するケーブル7の端部側が差し込まれるケーブル差込み穴部9を備えた可撓性を有する絶縁層3と、前記ケーブル差込み穴部9に差し込まれたケーブル絶縁体13の端部の内部導体11と接続するために前記ケーブル差込み穴部9の一端側に一体的に設けた端子部19と、前記ケーブル絶縁体13を挿通可能な円筒状をなし、かつ前記ケーブル差込み穴部9の内周面に露出するべく前記絶縁層3の内部に一体的に設けた可撓性を有するストレスコーン23と、前記絶縁層3の肉厚の中間内部に、前記絶縁層3の軸線方向に向けて延伸しかつ前記端子部19の側に貫通させずに一体的に設けた電気的絶縁性及び剛性を有する自立用樹脂管25と、この自立用樹脂管の一端側と前記端子部の一端側を一体的に連結する連結管と、で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自立型乾式終端接続部に関し、特にケーブルの導体が細いサイズであっても屋外高圧配電線の装柱において自立可能で、かつ軽量で組立容易で低コストの自立型乾式終端接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乾式終端接続部としては、碍子型の自立型乾式終端接続部やゴム製の乾式終端接続部がある。
【0003】
図5を参照するに、碍子型の自立型乾式終端接続部101は、ケーブル103の終端部のケーブルシース105を皮はぎしてケーブル絶縁体107及びその内部の内部導体109が露出されてから、前記ケーブル絶縁体107が磁器の碍管111の内部の貫通穴111Aに挿通される。そして、前記ケーブル絶縁体107の先端の内部導体109が前記碍管111の上端に設けた端子部113に接続される。また、前記碍管111の下端からはケーブル103が引き出されており、前記碍管111の下部の外周には支持金具115が設けられている。
【0004】
上記の碍子型の自立型乾式終端接続部101は、例えば図6に示されているように、支持金具115を介して電柱117の腕金119に取り付け固定される。また、端子部113は架空電線路121から引き込んだ引込みケーブル123に接続されると共にゴムカバー125で保護される。
【0005】
図7を参照するに、ゴム製の乾式終端接続部127は、前述した図5の碍子型の自立型乾式終端接続部101の場合と同様にケーブル103の終端部を皮はぎして露出したケーブル絶縁体107が、外周に複数の傘部129を設けた円筒形状をなすゴム製絶縁層131の内部のケーブル差込み穴部133及びゴム製ストレスコーン135に挿通されてから、前記ケーブル絶縁体107の先端の内部導体109がゴム製絶縁層131の上端に設けた端子部137に接続される。また、前記ゴム製絶縁層131の下端からはケーブル103が引き出されており、前記ゴム製絶縁層131の下部の外周には支持金具139が設けられている。
【0006】
上記のゴム製の乾式終端接続部127は、例えば図8に示されているように、支持金具139を介して電柱117の腕金119に取り付け固定される。また、端子部137は架空電線路121から引き込んだ引込みケーブル123に接続されていると共にゴムカバー141で保護される。さらに、上記の引込みケーブル123は電柱117の上部に設けた腕金143の碍子145で固定されることで、ゴム製の乾式終端接続部127が倒れないように支持されている。
【0007】
また、特許文献1には、ゴム製絶縁層を貫通する金属棒の先端に端子部を設けた構造の自立型乾式終端接続部が記載されている。ケーブルの導体が前記金属棒の下端に接続されるものであり、剛直な金属棒がゴム製絶縁層内を貫通していることで、自立させる構造となっている。
【特許文献1】特開2004−40946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図5の従来の碍子型の自立型乾式終端接続部101においては、自立型であるが、本体に磁器の碍管111を用いているので図8に示すような腕金143と碍子145で引込みケーブル123を拘束しなくても端子部113の重みで変形やダレという現象が起きないが、磁器の碍管111の重量が重いために、設置作業や組立て作業が容易でないという問題点があった。
【0009】
また、図7の従来のゴム製の乾式終端接続部127においては、ゴム製絶縁層131が用いられているので軽量であるために設置作業や組立て作業が容易であるので、図5の従来の碍子型の自立型乾式終端接続部101の問題点を解消することになるが、図8に示されているように電柱117の上部に設けた腕金143と碍子145を用いて電線を固定しなくてはならなかった。
【0010】
もし、ケーブル123を腕金143と碍子145で固定しない場合は、端子部137にかかる最大応力は、端子部137とゴム製ストレスコーン135の間の傘部129を構成するゴムの強度に左右されることになる。したがって、自立型とはなっていなかった。
【0011】
また、特許文献1は、碍子型の自立型乾式終端接続部101のように重くはないとしても、剛直な金属棒がゴム製絶縁層内を貫通しているので重量が重くなるために設置作業や組立て作業が容易でないという問題点があった。
【0012】
この発明は、軽量で設置作業や組み立て作業を容易とし、しかも端子部にかけられる引張強度および曲げ強度を向上させて自立型の乾式終端接続部とすることを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明の自立型乾式終端接続部は、内部導体を被覆したケーブル絶縁体を有するケーブルの端部側が差し込まれるケーブル差込み穴部を備えた可撓性を有する絶縁層と、
前記ケーブル差込み穴部に差し込まれたケーブル絶縁体の端部の内部導体と接続する端子部であって、前記ケーブル差込み穴部の一端側に一体的に設けた端子部と、
前記ケーブル絶縁体を挿通可能な円筒状をなし、かつ前記ケーブル差込み穴部の内周面に露出するべく前記絶縁層の内部に一体的に設けた可撓性を有するストレスコーンと、
前記絶縁層の肉厚の中間内部に、前記絶縁層の軸線方向に向けて延伸しかつ前記端子部の側に貫通させずに一体的に設けた電気的絶縁性及び剛性を有する自立用樹脂管と、
この自立用樹脂管の一端側と前記端子部の一端側を一体的に連結する連結管と、
で構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、この発明の自立型乾式終端接続部は、前記自立型乾式終端接続部において、前記自立用樹脂管と前記連結管は接着剤で固定し、前記連結管と前記端子部は接着剤で固定又はネジで固定であることが好ましい。
【0015】
また、この発明の自立型乾式終端接続部は、前記自立型乾式終端接続部において、前記自立用樹脂管と前記連結管が、PPO樹脂からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明によれば、連結管で一体化された端子部と自立用樹脂管、及びストレスコーンが絶縁層と一体構造となっているので、端子部にかけることができる引張強度および曲げ強度を、大幅に向上させることができ、自立型乾式終端接続部の自立性を向上させることができる。また、上記の理由で、ケーブルの端部のケーブル絶縁体をケーブル差込み穴部に挿入するだけで、ケーブルと自立型乾式終端接続部の接続作業が簡単に完了し、接続作業時間が従来の乾式終端接続部と比べて大幅に短縮する。しかも、軽量な材料で構成されているので容易に柱上作業ができ、接続作業時間を短縮することができる。
【0017】
また、自立用構造部材として絶縁性および剛性を有する自立用樹脂管が連結管で端子部と一体化された状態で、可撓性を有する絶縁層の肉厚の中間内部に一体成形され、かつケーブル差込み穴部に差込まれたケーブルの周りに配置されることで、内部導体のサイズが細いケーブルであっても容易に自立させることができる。したがって、従来のゴム製の乾式終端接続部で必要とした腕金や碍子が不要となると共に装柱を外観上すっきりした構成とすることができる。
【0018】
また、自立用樹脂管が、一体成形された絶縁層の肉厚の中間内部に向けられることで、ケーブル絶縁体が応力緩和作用のある可撓性を有する絶縁層に包括するように配置されることから、前記ケーブル絶縁体の耐久性、すなわちケーブルの耐久性の向上に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1を参照するに、この実施の形態に係る自立型乾式終端接続部1は、例えばゴム製のように可撓性を有する絶縁層3が設けられている。この絶縁層3の外周には雨による電気的特性の低下を防ぐための複数の傘部5が設けられており、絶縁層3の中心部にはケーブル7の端部側を差し込むためのケーブル差込み穴部9が絶縁層3の軸線方向に向けて設けられている。
【0021】
なお、この実施の形態で使用されているケーブル7は、例えば内部導体11を被覆するケーブル絶縁体13と、このケーブル絶縁体13の外周に設けた外部半導電層14と、この外部半導電層14の外周に設けた銅テープなどの遮へい層15と、この遮へい層15を被覆するPVCなどのケーブルシース17で構成される。
【0022】
さらに、前記ケーブル差込み穴部9の一端側には、前記ケーブル差込み穴部9に差し込まれたケーブル7の端部の内部導体11と接続するための金属製の端子部19が一体的に設けられている。この端子部19の一端(図1において下端)には前記内部導体11を挿入するための導体接続用穴部21が設けられている。
【0023】
また、前記ケーブル絶縁体13を挿通可能な円筒状をなす例えば半導電ゴム製のような可撓性を有するストレスコーン23が、前記ケーブル差込み穴部9の内周面に露出するようにして前記絶縁層3の内部に一体的に設けられている。これにより、ケーブル絶縁体13はストレスコーン23の内周面で嵌着保持されることになる。
【0024】
また、前記絶縁層3の肉厚の中間内部には、電気的絶縁性及び剛性を有する自立用樹脂管25が前記絶縁層3の軸線方向に向けて延伸され、かつ前記端子部19の側に貫通させずに絶縁層3と一体的に設けられている。つまり、自立用樹脂管25の内側及び外側が絶縁層3に一体的に設けられることで、ケーブル絶縁体13と自立用樹脂管25と接触する部分が生じない構成である。したがって、ケーブル差込み穴部9に挿入されるケーブル絶縁体13は全体が応力緩和作用のある絶縁層3で覆われることになる。
【0025】
さらに、前記絶縁層3の肉厚の中間内部には、上記の自立用樹脂管25の一端側(端子部19の側で、図1の上端側)と端子部19の一端側(図1において下端側)が、この実施の形態では例えばPPO樹脂からなる連結管27で一体的に連結されている。
【0026】
なお、上記の自立用樹脂管25と連結管27は接着剤29で固定されている。一方、前記連結管27と端子部19が、図1の自立型乾式終端接続部1の場合は接着剤29で固定されている。
【0027】
また、図3に示されている他の自立型乾式終端接続部31としては、前記自立用樹脂管25と連結管27が接着剤29で固定されているのは、図1の自立型乾式終端接続部1と同じであるが、異なる点としては前記連結管27と端子部19がネジ固定されている。つまり、連結管27と端子部19の端部に形成したネジ部33で螺着されている。
【0028】
また、この実施の形態の自立型乾式終端接続部1,31のいずれも、上記のストレスコーン23と端子部19と連結管27と自立用樹脂管25は絶縁層3に一体成型されている。
【0029】
また、絶縁層3の外周面には、例えば図示しない電柱に固定するための自立型端末固定部位に、図示しない固定用金具を取り付けるために強度アップするように自立型端末固定用の補強部材35が例えば接着剤29などで一体的に設けられている。
【0030】
また、この自立型乾式終端接続部1は主に屋外で使用されるために、風や地震などの外力を受けるので、風圧荷重7.84×10−4N/mm(80kgf/m)のときが最大で、21.8MPa、地震の強さは0.3Gのときで、7.69MPa(0.78kgf/mm)の外力にも耐えて自立を保っていることが求められる。
【0031】
この点では、端子部19が連結管27を介して自立用樹脂管25に一体的に連結固定されているので、端子部19にかけられる引張強度や曲げ強度は、端子部19が連結管27なしで単に絶縁層3に一体的に設けられる場合に比べて大幅に高くなる。しかも、自立用樹脂管25や連結管27の材料としてはPPO樹脂(ポリフェニレンオキサイド)を用いることで、引張強度や曲げ強度は極めて高くなる。
【0032】
端子部19にかけられる引張強度としては、PPO樹脂の引張強度が68MPaであるので、引張強度が5MPaであるEPゴムに対して約18倍も強度が高くなる。また、引張強度が4MPaであるシリコーンゴムに対して約17倍も強度が高くなる。
【0033】
また、端子部19にかけられる曲げ強度としては、PPO樹脂の曲げ強度が92MPaであるので、可撓性があって曲げ強度を計れないEPゴムに対する差は歴然である。
【0034】
以上の構成を簡単に述べると、自立型乾式終端接続部1は、剛性のある自立用樹脂管25の周囲には、碍子より軽量なゴム製などの可撓性を有する絶縁層3と、この絶縁層3に内蔵されたゴム製などの可撓性を有するストレスコーン23があり、前記絶縁層3の上部には自立用樹脂管25に連結管27で一体的に連結された端子部19が一体成型されている構成である。
【0035】
なお、上記の絶縁層3及びストレスコーン23の材料としては、電気的絶縁性能に優れたEPゴム又はシリコーンゴムを用いることが望ましい。
【0036】
次に、図1の自立型乾式終端接続部1の製造方法について説明すると、端子部19は金属製で、製絶縁層3は絶縁性ゴムで、ストレスコーン23は半導電ゴム製で材質が異なるので、一般的に下記の方法で成型される。
【0037】
図2に示されているように、端子部19の下端を挿入できる連結管27が自立用樹脂管25の先端に挿入され、前記連結管27と自立用樹脂管25が接着剤29で接着される。一方、端子部19が連結管27の内周面に挿入して接着される。つまり、端子部19と自立用樹脂管25が連結管27で一体的に連結した状態となる。
【0038】
以上のように連結管27で一体化された端子部19と自立用樹脂管25が成形金型としての例えばモールド金型のおも型にセットされる。ストレスコーン23がケーブル差込み穴部9の部分に該当する中子に取り付けられてから、この中子が前記おも型にセットされる。次いで、絶縁層3の材料のゴムが前記おも型の空洞部に流し込まれることで、連結管27で一体化された端子部19と自立用樹脂管25、及びストレスコーン23が絶縁層3と一体成形されることになり、図1に示されている自立型乾式終端接続部1が完成する。
【0039】
次に、図3に示されている他の自立型乾式終端接続部31の製造方法について説明する。前述した図1の自立型乾式終端接続部1の製造方法とほぼ同様であるので、異なる点のみを説明する。
【0040】
図4に示されているように、内周面に雌ネジ33Aを設けた連結管27が自立用樹脂管25の先端に挿入され、前記連結管27と自立用樹脂管25が接着剤29で接着される。一方、下部に雄ネジ33Bを設けた端子部19が前記連結管27の雌ネジ33Aに螺合して固定される。つまり、端子部19と自立用樹脂管25が連結管27で一体的に連結した状態となる。
【0041】
以上のように連結管27で一体化された端子部19と自立用樹脂管25が成形金型としての例えばモールド金型のおも型にセットされる。その他は、前述した図1の自立型乾式終端接続部1の製造方法と同様であり、図3に示されている自立型乾式終端接続部31が完成する。
【0042】
また、ケーブル絶縁体13に対する絶縁層3のケーブル差込み穴部9とストレスコーン23の内周面の面圧を上げるには、一般的に、ケーブル絶縁体13の外径寸法よりも、ケーブル差込み穴部9及びストレスコーン23の各内径寸法を小さくすることで容易に実施できる。例えば、ケーブル絶縁体13の外径寸法とケーブル差込み穴部9及びストレスコーン23の各内径寸法との寸法差は直径で0.5mm程度が望ましい。これにより、ケーブル7のケーブル絶縁体13の部分は絶縁層3のケーブル差込み穴部9及びストレスコーン23に容易に差し込むことができる。
【0043】
また、端子部19、絶縁層3およびストレスコーン23はそれぞれ適用されるケーブル7のサイズに合わせて設計・製造される。ただし、自立用樹脂管25の長さ及び直径の寸法は、幾種類かのケーブル7に適用可能な幅を持たせることができる。つまり、自立用樹脂管25はケーブル7に合わせた一品一様の設計寸法でなくても良いものである。連結管27は上記の端子部19と自立用樹脂管25の寸法に応じたものが使用される。
【0044】
次に、上記構成の自立型乾式終端接続部1の作用、効果について説明する。
【0045】
この実施の形態の自立型乾式終端接続部1とケーブル7を取付けるには、ケーブル7の終端部がある寸法でケーブルシース17が皮はぎされて外部導体15及びケーブル絶縁体13が露出され、かつ前記ケーブル絶縁体13の端部を除去して内部導体11が露出される。このケーブル7の細いケーブル絶縁体13の部分が自立型乾式終端接続部1のケーブル差込み穴部9に差込まれ、先端の内部導体11が端子部19の導体接続用穴部21に挿入される。その後、例えば締付け工具を用いて端子部19を外側から圧縮することで、前記内部導体11が端子部19に連結接続される。
【0046】
なお、この実施の形態では上記のように露出された遮へい層15の一部には、予め導電部材37を卷回して導通させている。この導電部材37には図示しない外部導電線が例えば図示しない電柱の腕金のような構造部材に固定するための支持金具にアース線として導通される。
【0047】
また、この実施の形態では、図1に示されているように、上記のように露出された遮へい層15と自立用樹脂管25の内側との間には空間部が生じることになる。
【0048】
以上のように、この実施の形態の自立型乾式終端接続部1,31は連結管27で一体化された端子部19と自立用樹脂管25、及びストレスコーン23が絶縁層3と一体構造となっているので、端子部19にかけることができる引張強度はおよび曲げ強度は、例えば自立用樹脂管25及び端子部19がPPO樹脂であるときは、引張強度が68MPaで、EPゴムの引張強度の5MPaに対して約13倍、シリコ−ンゴムの引張強度の4MPaに対して約17倍と高く、また、
、曲げ強度が92MPaとなるように、大幅に向上させることができ、自立型乾式終端接続部1,31の自立性を向上することができる。
【0049】
また、上記の理由で、ケーブル7の終端部を自立型乾式終端接続部1,31に挿入するだけで、ケーブル7と自立型乾式終端接続部1の接続作業が簡単に完了する。その結果、接続作業時間が従来の乾式終端接続部と比べて大幅に短縮する。
【0050】
しかも、この実施の形態の自立型乾式終端接続部1,31は軽量な材料で構成されているので容易に柱上作業ができることから、接続作業時間を短縮することができる。
【0051】
また、細いケーブル7には剛性が無くそれ自体で自立することはできないが、この実施の形態の自立型乾式終端接続部1,31では、自立用構造部材として絶縁性および剛性を有する硬質の自立用樹脂管25が連結管27で端子部19と一体化された状態で、例えばゴム製の絶縁層3の肉厚の中間内部に一体成形されることで、ケーブル差込み穴部9に差込まれたケーブル7の周りに剛性のある自立用樹脂管25が配置されることから、前記絶縁層3の外側から把持・固定されることで容易に自立させることができる。したがって、内部導体11のサイズが細いケーブル7であっても自立させることができる。
【0052】
また、この実施の形態の自立型乾式終端接続部1は屋外高圧配電線の装柱において自立可能であることから、端子部19に接続される側の図示しない引込みケーブル自体の固定が不要であるため、従来の図8のゴム製の乾式終端接続部135で必要とした腕金143や碍子145が不要となる効果の他に、装柱を外観上すっきりした構成とすることができる。
【0053】
また、ゴム製の可撓性を有する絶縁層3がケーブル絶縁体13を包括するように配置されていることで、通電時発熱によるケーブル絶縁体13の膨張、収縮に追従し、端末の電気的、機械的特性維持を図ることが可能となる。この点を考慮して、電気的絶縁性及び剛性を有する自立用樹脂管25が、一体成形された絶縁層3の肉厚の中間内部に埋設されるように、つまり自立用樹脂管25の内側及び外側が絶縁層3に一体的に設けられることで、ケーブル絶縁体13と自立用樹脂管25が接触する部分が生じない構成であることにより、ケーブル絶縁体13はその全体が応力緩和作用のある絶縁層3で覆われることとなる。その結果、ケーブル絶縁体13の耐久性、すなわちケーブル7の耐久性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の実施の形態の自立型乾式終端接続部の要部断面を含む正面図である。
【図2】図1における連結管で一体化された端子部と自立用樹脂管の要部断面を含む正面図である。
【図3】この発明の実施の形態の他の自立型乾式終端接続部の要部断面を含む正面図である。
【図4】図3における連結管で一体化された端子部と自立用樹脂管の要部断面を含む正面図である。
【図5】従来の碍子型の自立型乾式終端接続部の要部断面を含む正面図である。
【図6】図5の碍子型の自立型乾式終端接続部を用いた装柱を示す概略説明図である。
【図7】従来のゴム製の乾式終端接続部の要部断面を含む正面図である。
【図8】図7のゴム製の乾式終端接続部を用いた装柱を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 自立型乾式終端接続部
3 絶縁層
5 傘部
7 ケーブル
9 ケーブル差込み穴部
11 内部導体
13 ケーブル絶縁体
14 外部半導電層
15 遮へい層
17 ケーブルシース
19 端子部
21 導体接続用穴部
23 ストレスコーン
25 自立用樹脂管
27 連結管
29 接着剤
31 自立型乾式終端接続部
33 ネジ部
35 補強部材(自立型端末固定用の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体を被覆したケーブル絶縁体を有するケーブルの端部側が差し込まれるケーブル差込み穴部を備えた可撓性を有する絶縁層と、
前記ケーブル差込み穴部に差し込まれたケーブル絶縁体の端部の内部導体と接続する端子部であって、前記ケーブル差込み穴部の一端側に一体的に設けた端子部と、
前記ケーブル絶縁体を挿通可能な円筒状をなし、かつ前記ケーブル差込み穴部の内周面に露出するべく前記絶縁層の内部に一体的に設けた可撓性を有するストレスコーンと、
前記絶縁層の肉厚の中間内部に、前記絶縁層の軸線方向に向けて延伸しかつ前記端子部の側に貫通させずに一体的に設けた電気的絶縁性及び剛性を有する自立用樹脂管と、
この自立用樹脂管の一端側と前記端子部の一端側を一体的に連結する連結管と、
で構成されていることを特徴とする自立型乾式終端接続部。
【請求項2】
前記自立用樹脂管と前記連結管は接着剤で固定し、前記連結管と前記端子部は接着剤で固定又はネジで固定であることを特徴とする請求項1記載の自立型乾式終端接続部。
【請求項3】
前記自立用樹脂管と前記連結管が、PPO樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2記載の自立型乾式終端接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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