説明

自転車用リアハブ

【課題】駆動力を計測可能であって、組立ての精度の影響を受けにくい自転車用リアハブを提供する。
【解決手段】リアハブ10は、ハブ軸20と、駆動部2と、ハブシェル24と、第1対向部54と、第2対向部56と、駆動力計測部26と、を備える。駆動部22は、ハブ軸20に回転自在に支持されスプロケット集合体80を装着可能である。ハブシェル24は、ハブ軸20に回転自在に支持され、駆動部22の回転が伝達される。第1対向部54は、駆動部22に設けられる。第2対向部56は、ハブシェル24に設けられる。駆動力計測部26は、センサ58を有する。センサ58は、第1対向部と第2対向部56の間隔または間隔の変位を測定可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハブ、特に、自転車の後輪のハブを構成する自転車用リアハブに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車用リアハブは、後輪の回転中心に配置されるハブ軸と、ハブ軸回りに回転自在に装着されるハブシェルと、ハブシェルに軸方向に隣接して配置されるフリーホイールと、を備えている。フリーホイールは、チェーンに噛み合うスプロケットの回転をハブシェルに伝達する。このフリーホイールとハブシェルとの間にライダーの駆動力を測定可能な駆動力測定部が配置される自転車用リアハブが、従来知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の自転車用リアハブは、フリーホイールとハブシェルとを連結する連結部材を有する。連結部材は、円筒形状に形成され、一端部にスプロケットが装着され、他端部がハブシェルと連結される。連結部材には、その連結部の捩れを検出するための歪みゲージが設けられ、連結部の捩れ量が検出される。この計測された捩れ量により、ライダーの駆動力を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6418797号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリアハブでは、歪みゲージを連結部に直接貼り付けており、たとえば貼り付けるための接着剤の厚みを均一にする必要があるため、精度よく組立てることが難しい。
【0006】
本発明の課題は、駆動力を計測可能であって、組立ての精度の影響を受けにくい自転車用リアハブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る自転車用リアハブは、ハブ軸と、駆動部と、ハブシェルと、少なくとも一つの第1対向部と、少なくとも一つの第2対向部と、駆動力計測部と、を備える。駆動部は、ハブ軸に回転自在に支持され、駆動力伝達部材を装着可能なである。ハブシェルは、ハブ軸に回転自在に支持され、駆動部の回転が伝達される。少なくとも一つの第1対向部は、駆動部に設けられる。少なくとも一つの第2対向部は、ハブシェルに設けられ第1対向部と間隔をあけて対向可能である。駆動力計測部は、第1対向部と第2対向部との間隔または間隔の変位を計測可能な少なくとも一つのセンサを有する。
【0008】
この自転車用リアハブでは、駆動部の回転がハブシェルに伝達されるとき、駆動部に設けられる第1対向部とハブシェルに設けられる第2対向部との間隔が、伝達される駆動力(トルク)に応じて変化する。第1対向部と第2対向部との間隔または第1対向部と第2対向部と間隔の変化をセンサによって検出することができる。ここでは、センサによって第1対向部と第2対向部との相対的な間隔または間隔の変位を検出するので、センサの取り付け方による測定結果への影響を抑制することができ、組立ての精度の影響を受けにくくすることができる。
【0009】
発明2に係る自転車用リアハブは、発明1に記載の自転車用リアハブにおいて、第1対向部と第2対向部とは駆動部およびハブシェルの回転方向で対向する。これにより、駆動部からハブシェルに駆動力が伝達されるときに、駆動部がハブシェルに対して捩れて第1対向部が第2対向部に駆動力に応じて接近する。このため駆動力を精度よく検出できる。
【0010】
発明3に係る自転車用リアハブは、発明1または2に記載の自転車用リアハブにおいて、第1対向部は、駆動部の外周部から突出する。この場合には、第1対向部がハブシェルに接近するので、第1対向部をハブシェルに設けられる第2対向部と対向させやすい。
【0011】
発明4に係る自転車用リアハブは、発明1から3のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、第2対向部は、ハブシェルの内周部から突出する。この場合には、第2対向部が駆動部に接近するので、第1対向部を第2対向部と対向させやすい。
【0012】
発明5に係る自転車用リアハブは、発明1から4のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、駆動部は、ハブシェルに連結される連結部を有する。
【0013】
発明6に係る自転車用リアハブは、発明5に記載の自転車用リアハブにおいて、連結部は、第1対向部と一体で設けられる。この場合には、連結部が第1対向部と一体で設けられるので、駆動部の構成が簡素である。
【0014】
発明7に係る自転車用リアハブは、発明5に記載の自転車用リアハブにおいて、連結部は、第1対向部と別体で設けられる。この場合には、連結部の形状の自由度が高くなり、連結部の剛性を任意に設定しやすい。たとえば、連結部における剛性を駆動部の他の部分より低くすることにより、第1対向部と第2対向部との間隔の変位を大きくすることができる。これにより、駆動力に対するセンサの出力を向上できる。
【0015】
発明8に係る自転車用リアハブは、発明7に記載の自転車用リアハブにおいて、連結部は、環状に形成され、ハブ軸方向に延びる複数の貫通する孔が形成される。この場合には、貫通する孔の形状により、連結部の剛性を任意に設定できる。
【0016】
発明9に係る自転車用リアハブは、発明5から8のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、連結部とハブシェルとは、セレーションまたは接着により結合される。この場合には、ハブシェルと連結部との連結構造が簡素になる。
【0017】
発明10に係る自転車用リアハブは、発明5から9のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、連結部とハブシェルとは、ハブシェルのハブ軸方向の中央部で連結される。この場合には、連結部のハブ軸の軸方向長さが長くなるので、連結部が捩れやすくなるとともに、ハブシェルにおける左右の捩れを抑制することができる。
【0018】
発明11に係る自転車用リアハブは、発明1から10のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、第1対向部および第2対向部は複数組設けられる。これにより、第1対向部および第2対向部の間隔または間隔の変位を複数箇所で検出できるので、検出精度が向上する。
【0019】
発明12に係る自転車用リアハブは、発明1または2に記載の自転車用リアハブにおいて、センサは、複数組の第1対向部および第2対向部の少なくともいずれか一方に設けられる。この場合には、センサのタイプに応じて第1対向部および第2対向部のいずれかに、または両方にセンサを設けることができる。
【0020】
発明13に係る自転車用リアハブは、発明12に記載の自転車用リアハブにおいて、複数のセンサは、第1対向部に設けられる。
【0021】
発明14に係る自転車用リアハブは、発明12に記載の自転車用リアハブにおいて、複数のセンサは、第2対向部に設けられる。
【0022】
発明15に係る自転車用リアハブは、発明12に記載の自転車用リアハブにおいて、複数組の第1対向部および第2対向部のうち、少なくともいずれか1つの組には第1対向部にセンサが設けられ、少なくともいずれか1つの組には第2対向部にセンサが設けられる。
【0023】
発明16に係る自転車用リアハブは、発明11から15のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、複数のセンサは、渦電流式のセンサである。この場合には、高周波磁界を用いて間隔または間隔の変位を計測できる。
【0024】
発明17に係る自転車用リアハブは、発明11から15のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、複数のセンサは、静電容量式のセンサである。この場合には、第1対向部と第2対向部とにコンデンサを設けて静電容量の変位により、間隔または間隔の変位を検出できる。
【0025】
発明18に係る自転車用リアハブは、発明17に記載の自転車用リアハブにおいて、静電容量式のセンサは、コンデンサを有する。
【0026】
発明19に係る自転車用リアハブは、発明11から15のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、複数のセンサは、光学式のセンサである。この場合には、レーザ光等の照射光と反射光の位相差により、間隔または間隔の変位を検出できる。
【0027】
発明20に係る自転車用リアハブは、発明11から15のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、センサは、コイル有するセンサである。この場合には、電磁誘導作用によってコイルのインピーダンスが変化することにより、間隔または間隔の変位を検出できる。
【0028】
発明21に係る自転車用リアハブは、発明11から20のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、複数のセンサは、直列接続される。この場合には、複数のセンサからの信号を検出する信号処理回路を個別に設ける必要がないので構成を簡素化することができ、消費電流を小さくすることができる。また異なる位置に配置される複数のセンサの出力の誤差が相殺されるので、間隔または間隔の変位を精度良く検出できる。
【0029】
発明22に係る自転車用リアハブは、発明11から20のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、複数のセンサは、並列接続される。この場合には、複数のセンサからの信号を検出する信号処理回路を個別に設ける必要がないので構成を簡素化することができ、消費電流を小さくすることができる。また異なる位置に配置される複数のセンサの出力が相殺されるので、間隔または間隔の変位を精度良く検出できる。
【0030】
発明23に係る自転車用リアハブは、発明11から22のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、センサの出力に基づく情報を無線により外部に送信する無線送信部をさらに備える。たとえばセンサがハブシェルとともに回転しても、その出力を外部に取り出すことが容易となる。
【0031】
発明24に係る自転車用リアハブは、発明1から23のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、センサに電力を供給する電源をさらに備える。この場合には、電源が設けられるので、リアハブと別体で電源を設ける必要がない。
【0032】
発明25に係る自転車用リアハブは、発明24に記載の自転車用リアハブにおいて、電源は電池である。この場合には、電源の構成が簡素になる。
【0033】
発明26に係る自転車用リアハブは、発明24に記載の自転車用リアハブにおいて、電源は発電機である。この場合には、自転車が走行していると発電するため、充電または電池の交換が不要になる。
【0034】
発明27に係る自転車用リアハブは、ハブ軸と、駆動部と、ハブシェルと、駆動力計測部と、を備える。駆動部はハブ軸に回転自在に支持され、駆動力伝達部材を装着可能である。ハブシェルは、ハブ軸に回転自在に支持され、駆動部の回転が伝達される。駆動力計測部は、駆動部からハブシェルに伝達される駆動力を計測可能である。駆動部は、駆動力伝達部材が装着される外側筒状部、外側筒状部の内側に配置される内側筒状部、および内側筒状部と一体に形成される被計測部を有する。
【0035】
この自転車用リアハブでは、駆動部の回転がハブシェルに伝達されるとき、駆動部に設けられる被計測部が伝達される駆動力(トルク)に応じて捩れる。この変形を駆動力計測部によって計測することができる。内側筒状部と被計測部とを一体で構成することによって、内側筒状部と被計測部とを別体で構成する場合と比較して、駆動力測定部で計測されるノイズを低減したり、被測定部の捩れの偏りが生じにくいので測定精度を向上することができたり、また重力を軽くすることができたりする。
【0036】
発明28に係る自転車用リアハブは、発明27に記載の自転車用リアハブにおいて、内側筒状部と外側筒状部とは、ワンウェイクラッチを構成する。この場合には、外側筒状部の一方向の回転(たとえば、自転車の進行方向の回転)のみが内側筒状部に伝達される。
【0037】
発明29に係る自転車用リアハブは、発明27または28に記載の自転車用リアハブにおいて、駆動部は、ハブシェルと連結される連結部をさらに有する。連結部は、ハブシェルの内側に連結される。この場合には、リアハブの外側形状とは関係なく、駆動部とハブシェルとを連結することができ、リアハブの外形形状の設計の自由度が維持される。
【0038】
発明30に係る自転車用リアハブは、発明29に記載の自転車用リアハブにおいて、連結部は、ハブシェルの軸方向の中間部分に連結される。この場合には、ハブシェルの軸方向の中間部に連結部が連結されるので、リアハブの重量が増えてしまうことを抑えることができる。
【0039】
発明31に係る自転車用リアハブは、発明29または30に記載の自転車用リアハブにおいて、連結部と内側筒状部との間に被計測部が設けられる。この場合には、ハブシェルとの連結部と内側筒状部との間に被計測部が設けられるので、被計測部が変形しやすくなる。
【0040】
発明32に係る自転車用リアハブは、発明29から31のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、駆動力計測部は、ハブシェルの内側に配置される。
【0041】
発明33に係る自転車用リアハブは、発明29から32のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、連結部は、ハブシェルにねじ込み固定される。この場合には、連結部をハブシェルに連結する構成が簡素になる。
【0042】
発明34に係る自転車用リアハブは、発明29から33のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、駆動力計測部は、少なくとも一つの歪みゲージを有する。この場合には、歪みゲージにより被計測部の変形を測定するので、僅かなねじれであっても駆動力を精度良く検出できる。
【0043】
発明35に係る転車用リアハブは、発明29から33のいずれかに記載の自転車用リアハブにおいて、駆動力計測部は、被計測部の外周面に配置される磁歪素子と、磁歪素子に対向してハブシェルの内周面に配置される検出コイルと、有する。この場合には、磁歪素子により駆動力を検出できるので、僅かな捩れであっても駆動力をさらに精度良く測定できる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、第1対向部と第2対向部との間隔または間隔の変化によって駆動力を検出するので、センサの取り付け方による測定結果への影響を抑制することができ、組立ての精度の影響を受けにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態による自転車用リアハブの半截断面図。
【図2】図1の自転車用リアハブの要部断面図。
【図3】図1の切断面線III−IIIから見た断面図。
【図4】図1の切断面線IV−IVから見た断面図。
【図5】第2実施形態の図2に相当する図。
【図6】図5の切断面線VI−VIから見た断面図。
【図7】第3実施形態の図4に相当する図。
【図8】第3実施形態の複数のセンサの接続形態および信号処理回路の一例を示す図。
【図9】第3実施形態の変形例の図8に相当する図。
【図10】第4実施形態の図2に相当する図。
【図11】第4実施形態の図4に相当する図。
【図12】第4実施形態のコイルを用いたセンサを示す平面図。
【図13】第4実施形態のコイルの接続状態を示すブロック図。
【図14】第4実施形態の変形例の図13に相当する図。
【図15】第4実施形態の変形例の図4に相当する図。
【図16】第5実施形態による自転車用リアハブの半截断面図。
【図17】図16の自転車用リアハブの要部断面図。
【図18】第5実施形態の変形例の図17に相当する図。
【図19】第6実施形態の図17に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
<第1実施形態>
図1に示すように、本発明の第1実施形態による自転車用リアハブ10は、自転車のフレームの後部に設けられるハブ軸装着部102に装着可能である。リアハブ10は、ハブ軸20と、駆動部22と、ハブシェル24と、駆動力計測部26と、無線送信部28と、を備える。ハブシェル24は、ハブ軸20に第1軸受46により回転自在に支持される。駆動部22は、ハブ軸20に第2軸受47により回転自在に支持される。駆動力計測部26は、ライダーの駆動力を測定可能である。無線送信部28は、測定された駆動力に関する情報を無線送信する。無線送信された駆動力に関する情報は、たとえば自転車のハンドル部に装着可能な図示しないサイクルコンピュータに表示される。なお、サイクルコンピュータには、自転車の速度、クランクの回転速度(ケイデンス)、走行距離等の情報も表示される。
【0047】
<ハブ軸>
ハブ軸20は、クイックレリーズ機構29が装着される中空の軸本体30と、軸本体30の第1端部(図2の左側の端部)に装着される第1ロックナット32と、軸本体30の第2端部(図2右側の端部)に装着される第2ロックナット34と、を有する。第1ロックナット32および第2ロックナット34にハブ軸装着部102が装着可能となっている。ここでは、第1ロックナット32および第2ロックナット34がハブ軸装着部102に装着される構成を記載しているが、軸本体30がフレームのハブ軸装着部102に装着される構成としてもよい。
【0048】
図2に示すように、軸本体30の第1端部の内周面には、雌ネジ部30aが形成される。軸本体30の第1および第2端部の外周面には、第1雄ネジ部30bおよび第2雄ネジ部30cがそれぞれ形成される。第1ロックナット32は、雌ネジ部30aに螺合する雄ねじ部を有し、軸本体30にねじ込んで固定される。第2ロックナット34は、第2雄ネジ部30cに螺合する雌ねじ部を有し、軸本体30にねじ込んで固定される。
【0049】
<駆動部>
駆動部22は、いわゆるフリーホイールと呼ばれる部材を含んで構成される。駆動部22は、ハブ軸20に回転自在に支持される第1部材40と、第1部材40の外周側に配置される第2部材42と、第1部材40と第2部材42との間に配置されるワンウェイクラッチ44と、連結部52と、を有する。
【0050】
第1部材40は、第2軸受47によりハブ軸20に回転自在に支持される筒状の部材である。第2軸受47は、第2内輪体47aと、第2外輪体47bと、複数の第2転動体47cと、を有する。第2内輪体47aは、外周部にねじが形成され、軸本体30の第2雄ネジ部30cにねじ込んで固定される。第2外輪体47bは、内周部にねじが形成され、第1部材40の外周面に形成される雄ねじ部にねじ込んで固定される。複数の第2転動体47cは、第2内輪体47aおよび第2外輪体47bの間に周方向に間隔を隔てて設けられる。第2転動体47cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第2転動体47cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0051】
第1部材40は、ワンウェイクラッチ44のクラッチ爪44aが収納される凹部40aを備える第1筒部40bを有する。第1部材40の第1端部(図2の左側の端部)は、ハブシェル24の内周側まで延びている。第1部材40は、第1筒部40bの第1端部側(図2左側)に、第1筒部40bよりも大径の第2筒部40cと、第2筒部40cよりも大径の第3筒部40dと、をこの順に有する。第1筒部40bの第2端部(図2の右側の端部)に第2軸受47の第2外輪体47bが固定される。第1筒部40bと第2筒部40cとの境界部分の外周面には、第3軸受48を構成する第3内輪面48aが形成される。第2筒部40cの外周面には、連結部52が連結される第1セレーション部40eが形成される。第3筒部40dの外周面には、ハブシェル24を駆動部22に回転自在に支持するための第5軸受50の第5内輪面50aが形成される。
【0052】
第2部材42は、第3軸受48および第4軸受49により第1部材40に対して回転自在に支持される筒状部材である。第3軸受48は、前述した第3内輪面48aと、第3外輪面48bと、複数の第3転動体48cとによって形成される。第3外輪面48bは、第2部材42の第1端部(図2の左側の端部)の内周面に形成される。複数の第3転動体48cは、第3内輪面48aと第3外輪面48bとの間に周方向に間隔を隔てて設けられる。第3転動体48cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第3転動体48cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0053】
第4軸受49は、第2外輪体47bの外周面に形成された第4内輪面49aと、第4外輪面49bと、複数の第4転動体49cとによって形成される。第4外輪面49bは、第2部材42のハブ軸方向の中間部の内周面に形成される。複数の第4転動体49cは、第4内輪面49aと第4外輪面49bとの間に周方向に間隔を隔てて設けられる。第4転動体49cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第4転動体49cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0054】
第2部材42は、図1に示すように、外周面にスプロケット集合体80を装着するスプロケット装着部42aを有する。スプロケット集合体80は、第2部材42と一体的に回転する。スプロケット集合体80は、駆動力伝達部材の一例である。スプロケット装着部42aは、たとえば、外周部に周方向に間隔を隔てて配置された凸部または凹部を有するスプラインを有する。スプロケット集合体80は、図1に示すように、歯数が異なる複数(たとえば9個)のスプロケット80a〜80iを有する。スプロケット集合体80のいずれかのスプロケットに噛み合うチェーン81により、図示しないクランクの回転が駆動部22に伝達される。ここでは、スプロケット装着部42aに複数のスプロケットが装着されるが、スプロケット装着部42aに装着されるスプロケットの数は、1つであってもよい。
【0055】
ワンウェイクラッチ44は、第2部材42の自転車の進行方向の回転だけを第1部材40に伝達するために設けられる。これにより、クランクの進行方向の回転だけがハブシェル24に伝達される。またハブシェル24の進行方向の回転は第2部材42に伝達されない。ワンウェイクラッチ44は、凹部40aに第1姿勢および第2姿勢に揺動自在に設けられるクラッチ爪44aと、第2部材42の内周面に形成されたラチェット歯44bと、クラッチ爪44aを付勢する付勢部材44cと、を有する。クラッチ爪44aは第1姿勢でラチェット歯44bに接触し、第2姿勢でラチェット歯44bから離脱する。付勢部材44cは、第1部材40に形成された環状溝に装着される。付勢部材44cは、金属線材をC字状に湾曲して形成されたバネ部材であり、クラッチ爪44aを第1姿勢側に付勢する。
【0056】
連結部52は、駆動部22からハブシェル24にわたる駆動力伝達経路に設けられる。この実施形態では、連結部52は、ハブシェル24の第2端部(図2の右側の端部)で、ハブシェル24の内周部と第1部材40との間に設けられる。連結部52は、後述するハブシェル24の軸受け支持部24dよりもハブシェル24の第2端部側に設けられ、軸受け支持部24dに隣接する。連結部52は、図3に示すように、円環状の部材であり、内周部に第1部材40の第1セレーション部40eに係合する第2セレーション部52aを有する。連結部52は、外周面にハブシェル24の第3セレーション部24cに係合する第4セレーション部52bを有する。連結部52は、周方向に間隔を隔てて形成される複数の孔52cを有する。孔52cは、ハブ軸方向で連結部を貫通する。孔52cは長孔に形成され、その長手方向は周方向に沿っている。この孔52cは、連結部52の剛性を駆動部22およびハブシェル24より低下させて、駆動部22からハブシェル24に駆動力(トルク)が伝達されるときに、連結部52を駆動力に応じて捩れやすくするために設けられる。
【0057】
<ハブシェル>
ハブシェル24は、軸方向で分割可能な構造である。ハブシェル24は、図2に示すように、第1端部(図2の左側の端部)が第1軸受46によりハブ軸20の軸本体30に回転自在に支持される。ハブシェルの第2端部(図2の右側の端部)は、前述したように第5軸受50により駆動部22を介してハブ軸20の軸本体30に回転自在に支持される。ハブシェル24の第2端部には、第5軸受け50の第5外輪体50bが装着される軸受け支持部24dが設けられる。軸受け支持部24dは、ハブシェル24の内周部で、ハブ軸20側に突出している。軸受け支持部24dは、環状に形成されている。第1軸受46は、内周面にねじが形成され、軸本体30の第1雄ネジ部30bにねじ込んで固定される第1内輪体46aと、第1外輪体46bと、複数の第1転動体46cと、を有する。第1転動体46cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第1転動体46cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0058】
第5軸受50は、前述した第5内輪面50aと、ハブシェル24の第2端部の内周部にたとえば圧入固定された第5外輪体50bと、複数の第5転動体50cと、を有する。第5転動体50cは、第5内輪面50aと第5外輪体50bとの間に周方向に間隔を隔てて配置される。第5転動体50cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第5転動体50cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0059】
ハブシェル24の外周面には、自転車の後輪のスポークを連結するための第1ハブフランジ24aおよび第2ハブフランジ24bがハブ軸20の軸方向に間隔を隔てて環状に突出して形成される。ハブシェル24の第1端部(図2右側の端部)の内周面には、連結部52の外周面に係合する第2セレーション凹部24cが形成される。第2セレーション凹部24cの第1側には、第5軸受50を装着するための環状の隔壁部24dが形成される。
【0060】
<第1対向部>
第1対向部54は、駆動部22の第1部材40の第1端部に設けられる。第1対向部54は、第1部材40の外周部から外方に突出し、ここでは第3筒部40dの外周部から突出して設けられる。第1対向部54は、第3筒部40dの外周部からハブシェル24の内周面に向けて延びるアーム部54aを有する。なお、第1対向部54は、少なくとも一つあればよい。第1対向部54は、連結部52とは別体で構成される。第1対向部54は、第5軸受50の第5外輪体50bよりも半径方向の外方まで延びる。第1対向部54は、駆動部22と一体に形成されている。
【0061】
<第2対向部>
第2対向部56は、駆動部22およびハブシェル24の回転方向で、第1対向部54に間隔をあけて、第1対向部54と対向するように設けられる。駆動部22およびハブシェル24の回転方向は、自転車が前進するときに回転する方向である。第2対向部56は、第1対向部54の回転方向の下流側に設けられる。第2対向部56は、ハブシェル24の軸受け支持部24dに近接して設けられ、軸受け支持部24dよりもハブシェル24の第1端部側(図2の左側の端部)に設けられる。第2対向部56は、ハブシェル24の内周部から駆動部22に向けて突出する突出部56aを有する。第1対向部54のアーム部54aと第2対向部56の突出部56aとの、回転方向で相互に対向する対向面は、平行に配置されるのが好ましい。第1対向部54および第2対向部56は、図4に示すように、ハブ軸20の中心軸線Cからこの中心軸線に垂直な平面上で放射状に延びる複数本の仮想半径線Rを挟んで対向して複数個配置される。図4では、仮想半径線が4本の場合を示しており、第1対向部54および第2対向部56はそれぞれ4個設けられる場合を示している。第2対向部56は、第1対向部54と同じ数設けられる。複数対の第1対向部54および第2対向部56は、ハブ軸20の中心軸線Cまわりに回転対称となる位置に設けられるのが好ましい。また複数の第1対向部54は、周方向に隣接する第1対向部54との距離が等しくなるように配置され、複数の第2対向部56は、周方向に隣接する第2対向部56との距離が等しくなるように配置されるのが好ましい。第2対向部56は、ハブシェル24と一体に形成されている。
【0062】
<駆動力計測部>
駆動力計測部26は、少なくとも一つのセンサ58を有する。センサ58は、第1対向部54と第2対向部56との間隔または間隔の変位を計測できるものである。センサ58は、たとえば渦電流式のセンサである。センサ58は、この実施形態では、第1対向部54に設けられる。さらに具体的には、第1対向部54の先端部で、第2対向部56に対向する部分にセンサ58が設けられる。
【0063】
渦電流式のセンサ58は、高周波磁界を利用したものである。具体的には、センサヘッド内部のコイルに高周波電流を流して、高周波磁界を発生させる。この磁界内に第2対向部56があると、電磁誘導作用によって、第2対向部56の表面に磁束の通過と垂直方向の渦電流が流れて、第2対向部56との距離に応じてセンサコイルのインピーダンスが変化する。渦電流式のセンサ58は、この現象を利用して、第1対向部54と第2対向部56との間隔を表す信号または間隔の変位に応じた信号を出力する。なお、複数のセンサ58は、直列または並列に接続される。
【0064】
<無線送信部>
無線送信部28は、ハブシェル24の内周部に固定される回路基板28bを有する。センサ58と回路基板28bとは図示しない配線で電気的に接続される。回路基板28bには、マイクロコンピュータ、センサ58からの出力を増幅する増幅器、増幅器によって増幅された信号をデジタル信号に変換するAD(Analog-Digital)変換回路および無線送信回路等の電子部品と、電源としての充電池28cとが搭載される。本実施形態では、マイクロコンピュータ、増幅器、およびAD変換回路は、駆動力計測部26の一部を構成する。
【0065】
無線送信部28は、センサ58の出力に基づく情報を無線送信する。無線送信部28から無線送信された情報は、図示しないサイクルコンピュータにより駆動力、トルク、およびパワーの少なくともいずれかとして表示される。センサ58の出力に基づいて、回路基板28bに設けられるマイクロコンピュータにおいて、駆動力、トルクおよびパワーの少なくともいずれかを算出してもよく、またサイクルコンピュータにおいて、受信した情報に基づいて、駆動力、トルクおよびパワーの少なくともいずれかを算出してもよい。充電池28cの代わりに、一次電池を設けてもよい。充電池28cまたは一次電池は、回路基板28bに着脱自在に設けられる。
【0066】
このように構成されたリアハブ10では、自転車に取り付けられてライダーがペダルをこぐと、ライダーの踏力が駆動力として駆動部22からハブシェル24に伝達される。このとき、連結部52が僅かに捩れ、第1対向部54と第2対向部56との間隔が駆動力に応じて変化する。具体的には、駆動力が大きくなると、連結部52の捩れ量が大きくなり、センサ58が設けられる第1対向部54が第2対向部56に接近する。このセンサ58の出力に応じた駆動力の情報を無線送信部28が処理し、無線送信部28がサイクルコンピュータに無線送信する。サイクルコンピュータでは、無線送信された駆動力を表す情報を受信して表示する。これにより、ライダーは、自分が発生している駆動力、トルク、パワーなどを知ることができる。
【0067】
ここでは、センサ58によって第1対向部54と第2対向部56との相対的な間隔または間隔の変位を検出するので、センサ58の取り付け方による測定結果への影響を抑制することができ、組立ての精度の影響を受けにくくすることができる。
【0068】
<第2実施形態>
第1実施形態では、連結部52を駆動部22の第1部材40とは別体で構成したが本発明はこれに限定されない。連結部は、駆動部からハブシェルへの駆駆動力伝達経路において駆動部にあればいずれにあってもよい。なお、以降の説明では、第1実施形態と構成および形状が同様な部材についての説明を省略する。
【0069】
図5に示すように、リアハブ110は、ハブ軸20と、駆動部122と、ハブシェル124と、少なくとも一つの第1対向部154と、少なくとも一つの第2対向部156と、駆動力計測部126と、無線送信部128と、発電機160とを備える。
【0070】
駆動部122の連結部152は、駆動部122の第1部材140と一体形成される。第1部材140は、凹部140aを備える第1筒部140bを有する。第1部材140の第1端部(図5の左側の端部)は、ハブシェル124の内周側まで延びている。第1部材140は、第1筒部140bの第1端部側(図5左側)に、第1筒部140bよりも大径の第2筒部140cを有する。連結部152は、第1部材140の第2筒部140cに第2筒部140cより小径に形成される筒状部分である。
【0071】
連結部152の先端部は、ハブシェル124の中間部分の内周部から径方向内側に突出する突起124fに一体的に回転可能に連結される。突起124fは環状に形成されていてもよいし、たとえば周方向に間隔をあけて形成されていてもよい。連結部152の中間部には、周方向に間隔を隔てて、複数の孔152cが形成される。孔152cは、連結部152を貫通するように設けられる。孔152cの機能は第1実施形態と同様である。第1対向部154は、図6に示すように、軸受け支持部124dに近接して設けられる。第1対向部154は、軸受け支持部124dよりもハブシェル124の第1端部側に設けられる。第2筒部140cと連結部152との境界部分に第2筒部140cの外周面からハブシェル124に向けて延びるアーム部154aを有する。第1対向部154にセンサ158が設けられる。第1対向部154は、第1部材40と一体に形成されている。
【0072】
第2対向部156は、ハブシェル124の内周部に凹んで形成される対向凹部156aを有する。対向凹部156aは第1対向部154の先端部分を囲むように凹んで形成される。第1対向部154のアーム部154aと第2対向部156の対向凹部156aとの、回転方向で相互に対向する対向面は、平行に配置されるのが好ましい。
【0073】
第1対向部154および第2対向部156は、図6に示すように、ハブ軸20の中心軸線Cからこの中心軸線に垂直な平面上で放射状に延びる複数本の仮想半径線Rを挟んで対向して複数個配置される。図6では、仮想半径線が4本の場合を示しており、第1対向部154および第2対向部156はそれぞれ4個設けられる場合を示している。第2対向部156は、第1対向部154と同じ数設けられる。複数対の第1対向部154および第2対向部156は、ハブ軸20の中心軸線Cまわりに回転対称となる位置に設けられるのが好ましい。また複数の第1対向部154は、周方向に隣接する第1対向部154との距離が等しくなるように配置され、複数の第2対向部156は、周方向に隣接する第2対向部156との距離が等しくなるように配置されるのが好ましい。
【0074】
駆動力計測部126は、センサ158を有する。センサ158は、この実施形態では、第1対向部154に設けられる。さらに具体的には、第1対向部154の先端部で、回転方向で第2対向部56に対向する部分にセンサ158が設けられる。センサ158は、光学式のセンサである。センサ158は、レーザ光等の光を第2対向部156に向けて照射し、第2対向部156からの反射光を検出する。センサ158を用いて、照射光と反射光との位相差を検出することによって、第1対向部154と第2対向部156との間隔または間隔の変位を測定することができる。第2対向部156にはセンサ158からの光を効率よく反射する反射部を設けてもよい。反射部は、塗料によって形成されてもよいし、シール状の部材を貼り付けても良い。なお、複数のセンサ58は、直列または並列に接続される。
【0075】
発電機160は、無線送信部28およびセンサ158に電力を供給する電源である。発電機160は、ハブ軸20の軸本体30の外周部に固定される磁石162と、磁石162の外周側に磁石162に対向して配置される回転子164とを有する。回転子164は、ハブシェル124の内周部に固定されるコイルボビンと、コイルボビンに巻き付けられるコイルと、コイルの周囲に配置されるヨークと、を有する。コイルの出力が無線送信部28で直流に整流され、電源として使用される。
【0076】
このような第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、センサ158によって第1対向部154と第2対向部156との間隔または間隔の変位を検出するので、組立ての精度の影響を受けにくくすることができる。
【0077】
<第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態とは第1対向部の形状およびセンサの構成のみが異なる。第3実施形態において、図7に示すように、ハブシェル224に設けられる第2対向部256は図4に示す第1実施形態の第1対向部54と同様な形状である。第3実施形態では、第1対向部254は、駆動部222に設けられる環状部材254aの外周部に設けられる。環状部材254aは、第3筒部240dに設けられ、第1部材40に一体に形成される。第1対向部254は、環状部材254aに凹んで形成された対向凹部254bを有する。対向凹部254bは、第2対向部156の先端部分を囲むように凹んで形成される。第1対向部154の対向凹部254bと第2対向部256との、回転方向で相互に対向する対向面は、平行に配置されるのが好ましい。
第1対向部254および第2対向部256は、図7に示すように、ハブ軸20の中心軸線Cからこの中心軸線に垂直な平面上で放射状に延びる複数本の仮想半径線Rを挟んで対向して複数個配置される。図6では、仮想半径線が4本の場合を示しており、第1対向部254および第2対向部256はそれぞれ4個設けられる場合を示している。第2対向部256は、第1対向部254と同じ数設けられる。複数対の第1対向部254および第2対向部256は、ハブ軸20の中心軸線Cまわりに回転対称となる位置に設けられるのが好ましい。また複数の第1対向部254は、周方向に隣接する第1対向部254との距離が等しくなるように配置され、複数の第2対向部256は、周方向に隣接する第2対向部256との距離が等しくなるように配置されるのが好ましい。
【0078】
駆動力計測部226は、センサ258を有する。センサ258は、この実施形態では、第1対向部254に設けられる。具体的には、第1対向部254の対向凹部254bで、回転方向で第2対向部256に対向する部分にセンサ258が設けられる。センサ258は、静電容量式のセンサである。センサ258は、コンデンサの陽極を構成する第1電極258aと、第1電極258aと対向して配置され、コンデンサの陰極を構成する第2電極258bと、を有する。第1電極258aは第1対向部254に装着される。第2電極258bは、第1電極に対向するように第2対向部256に装着される。静電容量式のセンサ258を用いることによって、第1電極258aと第2電極258bの間隔が静電容量に反比例する原理を利用して第1対向部254と第2対向部256との間隔または間隔の変位を測定することができる。
【0079】
複数のセンサ258は、図8に示すように、直列に接続される。図8において、駆動力計測部226の回路基板228bには、直列接続された4つのセンサ258と並列に配置される直列接続された2つのコイル228dと、2つのコイル228dと並列に配置されるnpn型のトランジスタ228eとが設けられる。トランジスタ228eのベースは、直列に接続される二つのコイル228dの一端に接続され、コレクタは直列に接続される二つのコイル228dの他端に接続される。トランジスタ228eのエミッタは、直列に接続される2つのコイル228dの中間ノードに接続される。センサ258とコイルとでLC共振回路を構成し、センサ258の出力を増幅する。複数のセンサ258を直接に接続すると各センサからの信号を検出する信号処理回路を個別に設ける必要がないので構成を簡素化することができ、消費電流を小さくすることができる。また異なる位置に配置される複数のセンサ258の出力の誤差が相殺されるので、間隔または間隔の変位を精度良く検出できる。
【0080】
また、第3実施形態の変形例による図9において、4つのセンサ258’は、並列接続されている。変形例は、並列接続された4つのセンサ258’と直列接続された2つのコイル228dとが並列接続される点を除いて図8に示す第3実施形態の構成と同じである。
【0081】
複数のセンサ258’を並列に接続すると各センサからの信号を検出する信号処理回路を個別に設ける必要がないので構成を簡素化することができ、消費電流を小さくすることができる。また異なる位置に配置される複数のセンサの出力が相殺されるので、間隔または間隔の変位を精度良く検出できる。
【0082】
このような第3実施形態でも、第1および第2実施形態と同様に、センサ258が第1対向部254と第2対向部256との間隔または間隔の変位を検出するので、組立ての精度の影響を受けにくくすることができる。
【0083】
<第4実施形態>
図10および図11に示すように、第4実施形態による自転車用リアハブ310では、図2に示す第1実施形態と同様に、駆動部322の駆動力は、連結部352を介してハブシェル324に伝達される。駆動力計測部326のセンサ358は、4つの第1対向部354にそれぞれ設けられる。センサ358は、図12に示すように、基板358bに形成されたコイル358aにより構成される。4つのコイル358aは、図13に示すように、直列接続される。直列接続された4つのコイル358aからの出力信号は、信号処理部327により処理されて無線送信部328に出力される。信号処理部327は、発振回路327aと、信号処理回路327bと、通信回路327cと、を有する。発振回路327aは、コイル358aからの出力を発振させる。発振回路327は、たとえばLC発振回路によって実現される。発振回路327は、コイル358aを含んで構成されてもよい。信号処理回路327bは、発振回路327によって発振された信号をシリアルデータに変換して通信回路327cを介して無線送信部328に出力する。無線送信部328は、マイクロコンピュータを含む制御部328aを有する。無線送信部328は、信号処理部327により処理された駆動力を示す信号を無線送信する。なお、第4実施形態では、信号処理部327は、図10に示すように、ハブシェル324の内側に配置される。無線送信部328は、ハブシェル324の外側に配置され、カバーによって覆われる。カバーは、電波を透過する素材によって形成され、たとえば合成樹脂によって形成される。信号処理部327も、無線送信部328と同様にハブシェル324の外側に配置されてもよく、信号処理部327と無線送信部328とは1つの基板上に形成されてもよい。
【0084】
第4実施形態では、4つのコイル358aを直列に接続してセンサ358を構成したので、構成を簡素化することができ、消費電流を小さくすることができる。また異なる位置に配置される複数のセンサ258の出力の誤差が相殺されるので、間隔または間隔の変位を精度良く検出できる。
【0085】
第4実施形態の第1変形例では、図14に示すように、4つのコイル358a’が並列接続されている点が第4実施形態と異なる。4つのコイル358a’が並列接続されると、各センサからの信号を検出する信号処理回路を個別に設ける必要がないので構成を簡素化することができ、消費電流を小さくすることができる。また異なる位置に配置される複数のセンサの出力が相殺されるので、間隔または間隔の変位を精度良く検出できる。
【0086】
第4実施形態の第2変形例では、図15に示すように、センサ358を構成するコイル358aが第1対向部354ではなく第2対向部356に設けられる点が第4実施形態と異なる。これにより、信号処理部327と同じハブシェル324にコイル358aが設けられるので、コイル358aと信号処理部327との配線が容易になる。
【0087】
<第5実施形態>
第5実施形態による自転車用リアハブ10は、図16に示すように、自転車のフレームの後部に設けられるハブ軸装着部102に装着可能である。リアハブ10は、ハブ軸20と、駆動部22と、ハブシェル24と、駆動力計測部26と、無線送信部28と、を備える。ハブシェル24は、ハブ軸20に第1軸受46により回転自在に支持される。駆動部22は、ハブ軸20に第2軸受47により回転自在に支持される。駆動力計測部26は、ライダーの駆動力を測定可能である。無線送信部28は、測定された駆動力に関する情報を無線送信する。無線送信された駆動力に関する情報は、たとえば自転車のハンドル部に装着可能な図示しないサイクルコンピュータに表示される。なお、サイクルコンピュータには、自転車の速度、クランクの回転速度(ケイデンス)、走行距離等の情報も表示される。
【0088】
<ハブ軸>
ハブ軸20は、クイックレリーズ機構29が装着される中空の軸本体30と、軸本体30の第1端部(図16の左側の端部)に装着される第1ロックナット32と、軸本体30の第2端部(図16右側の端部)に装着される第2ロックナット34と、を有する。第1ロックナット32および第2ロックナット34にハブ軸装着部102が装着可能となっている。ここでは、第1ロックナット32および第2ロックナット34がハブ軸装着部102に装着される構成を記載しているが、軸本体30がフレームのハブ軸装着部102に装着される構成としてもよい。
【0089】
図17に示すように、軸本体30の第1端部の内周面には、雌ネジ部30aが形成される。軸本体30の第1および第2端部の外周面には、第1雄ネジ部30bおよび第2雄ネジ部30cがそれぞれ形成される。第1ロックナット32は、雌ネジ部30aに螺合する雄ねじ部を有し、軸本体30にねじ込んで固定される。第2ロックナット34は、第2雄ネジ部30cに螺合する雌ねじ部を有し、軸本体30にねじ込んで固定される。
【0090】
<駆動部>
駆動部22は、いわゆるフリーホイールを含んで構成される。駆動部22は、ハブ軸20に回転自在に支持される第1部材40と、第1部材40の外周側に配置される第2部材42と、第1部材40と第2部材42との間に配置されるワンウェイクラッチ44と、連結部52と、被計測部53と、を有する。第1部材40は、内側筒状部の一例であり、第2部材42は、外側筒状部の一例である。
【0091】
第1部材40は、第2軸受47によりハブ軸20に回転自在に支持される筒状の部材である。ここでは第1部材40は、円筒状に形成される。第2軸受47は、第2内輪体47aと、第2外輪体47bと、複数の第2転動体47cと、を有する。第2内輪体47aは、外周部にねじが形成され、軸本体30の第2雄ネジ部30cにねじ込んで固定される。第2外輪体47bは、内周部にねじが形成され、第1部材40の外周面に形成される雄ねじ部にねじ込んで固定される。複数の第2転動体47cは、第2内輪体47aおよび第2玉受け47bの間に周方向に間隔を隔てて設けられる。第2転動体47cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第2転動体47cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0092】
第1部材40は、ワンウェイクラッチ44のクラッチ爪44aが収納される凹部40aを備える第1筒部40bを有する。第1部材40の第1端部(図17の左側の端部)は、ハブシェル24の内周側まで延びている。第1部材40は、第1筒部40bの第1端部側(図17左側)に第2筒部40cを有する。第2筒部40cは、第1筒部40bの径よりも大きな径を有する。第2筒部40cと、第1筒部40bとは同じ径を有していても良い。第1筒部40bの第2端部(図17の右側の端部)に第2軸受47の第2外輪体47bが固定される。第1筒部40bと第2筒部40cとの境界部分の外周面には、第3軸受48を構成する第3内輪面48aが形成される。第2筒部40cの外周面には、ハブシェル24を駆動部22に回転自在に支持するための第5軸受50の第5内輪面50aが形成される。
【0093】
第2部材42は、第3軸受48および第4軸受49によって第1部材40に対して回転自在に支持される筒状部材である。ここでは第2部材42は、円筒状に形成される。第3軸受48は、前述した第3内輪面48aと、第3外輪面48bと、複数の第3転動体48cとによって形成される。第3外輪面48bは、第2部材42の第1端部(図2の左側の端部)の内周面に形成される。複数の第3転動体48cは、第3内輪面48aと第3外輪面48bとの間に周方向に間隔を隔てて設けられる。第3転動体48cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第3転動体48cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0094】
第4軸受49は、第2外輪体47bの外周面に形成された第4内輪面49aと、第4外輪面49bと、複数の第4転動体49cとによって形成される。第4外輪面49bは、第2部材42のハブ軸方向の中間部の内周面に形成される。複数の第4転動体49cは、第4内輪面49aと第4外輪面49bとの間に周方向に間隔を隔てて設けられる。第4転動体49cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第4転動体49cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0095】
第2部材42は、図16に示すように、外周面にスプロケット集合体80を装着するスプロケット装着部42aを有する。スプロケット集合体80は、駆動力伝達部材の一例である。スプロケット集合体80は、第2部材42と一体的に回転する。スプロケット集合体80は、駆動力伝達部材の一例である。スプロケット装着部42aは、たとえば、外周部に周方向に間隔を隔てて配置された凸部または凹部を有するスプラインを有する。スプロケット集合体80は、歯数が異なる複数(たとえば9個)のスプロケット80a〜80iを有する。スプロケット集合体80のいずれかのスプロケットに噛み合うチェーン81により、図示しないクランクの回転が駆動部22に伝達される。ここでは、スプロケット装着部42aに複数のスプロケットが装着されるが、スプロケット装着部42aに装着されるスプロケットの数は、1つであってもよい。
【0096】
ワンウェイクラッチ44は、第2部材42の自転車の進行方向の回転だけを第1部材40に伝達するために設けられる。これにより、クランクの進行方向の回転だけがハブシェル24に伝達される。また、ハブシェル24の進行方向の回転は第2部材42に伝達されない。ワンウェイクラッチ44は、凹部40aに第1姿勢および第2姿勢に揺動自在に設けられるクラッチ爪44aと、第2部材42の内周面に形成されたラチェット歯44bと、クラッチ爪44aを付勢する付勢部材44cと、を有する。クラッチ爪44aは第1姿勢でラチェット歯44bに接触し、第2姿勢でラチェット歯44bから離脱する。付勢部材44cは、第1部材40に形成された環状溝に装着される。付勢部材44cは、金属線材をC字状に湾曲して形成されたバネ部材であり、クラッチ爪44aを第1姿勢側に付勢する。
【0097】
連結部52は、ハブシェル24と連結されるものであり、駆動部22からハブシェル24にわたる駆動力伝達経路に設けられる。この実施形態では、連結部52は、ハブシェル24の軸方向の中間部分で、ハブシェル24の内側面と被計測部53との間に設けられる。連結部52は、雄ネジ部52aを外周面に有する。雄ネジ部52aは、ハブシェル24の後述する環状の突起24fの内周面に形成された雌ネジ部24gに螺合する。したがって、連結部52は、ハブシェル24にねじ込み固定される。ハブシェル24と連結部52とは、さらにハブシェル24と連結部52とのハブ軸周りの回転を阻止する抜け止め部材(図示しない)によって結合されてもよい。抜け止め部材は、筒状のボルトによって形成されてもよく、この場合、連結部52の端部の内周面に雌ネジを形成して、ボルトの頭部と連結部52との間で、突起24fの一部を挟む構成とする。またナットによって形成されてもよく、この場合、連結部52の端部の外周面に雌ネジを形成して、ナットと連結部52との間で、突起24fの一部を挟む構成とする。
【0098】
被計測部53は、駆動力測定用に設けられるものであり、第1部材40bに一体で形成される。被計測部53は、第1部材40bの第2筒部40cから連結部52に向けて延びる。被計測部53は、筒状に形成され、ここでは円筒状に形成される。被計測部53は、第2筒部40cの径よりも小さな径を有する。被計測部53は、連結部52と一体で形成される。
【0099】
<ハブシェル>
ハブシェル24は、図17に示すように、第1端部(図17の左側の端部)が第1軸受46によりハブ軸20の軸本体30に回転自在に支持される。ハブシェルの第2端部(図17の右側の端部)は、前述したように第5軸受50により駆動部22を介してハブ軸20の軸本体30に回転自在に支持される。ハブシェル24の第2端部に、第5軸受け50の第5外輪体50bが装着される。第1軸受46は、内周面にねじが形成され、軸本体30の第1雄ネジ部30bにねじ込んで固定される第1内輪体46aと、第1外輪体46bと、複数の第1転動体46cと、を有する。第1転動体46cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第1転動体46cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0100】
第5軸受50は、前述した第5内輪面50aと、ハブシェル24の第2端部の内周部にたとえば圧入固定された第5外輪体50bと、複数の第5転動体50cと、を有する。第5転動体50cは、第5内輪面50aと第5外輪体50bとの間に周方向に間隔を隔てて配置される。第5転動体50cは、図示しないリテーナに回転可能に保持されて、周方向に所定の間隔をあけて配置される。第5転動体50cは、球体であってもよく、ローラであってもよい。
【0101】
ハブシェル24の外周部には、自転車の後輪のスポークを連結するための第1ハブフランジ24aおよび第2ハブフランジ24bがハブ軸20の軸方向に間隔を隔てて環状に突出して形成される。ハブシェル24の軸方向の中間部の内周面には、連結部52の外周面に係合する突起24fが形成される。突起24fの内周面には雄ネジ部52aに螺合する雌ネジ部24gが形成される。ハブシェル24は、組立てのために一部が分割可能な構造としてもよい。本実施形態では、突起24fはハブシェル24のハブ軸方向の中央部に形成される。
【0102】
<駆動力計測部>
駆動力計測部26は、少なくとも一つのセンサ58を有する。センサ58は、被計測部53の捩れ量を測定できるものである。センサ58は、たとえば歪みゲージまたは歪みを検出可能な半導体センサである。センサ58は、たとえば、被計測部53に接着等の適宜の固定手段により固定される。センサ58は、被計測部53の外周面に設けられる。センサ58は、たとえば、周方向に間隔を隔てて複数個所(たとえば、4箇所)に設けられる。センサ58として歪みゲージを用いる場合、各センサ58の配置箇所において、歪みゲージが複数設けられ、各歪みゲージは、相互に異なる方向、たとえば90°異なる方向の歪みを検出する。また各歪ゲージは、たとえばリアハブ10の軸方向に対して傾斜する方向、たとえば45°傾斜する方向の歪みを検出する。なお、各配置箇所における歪みゲージ58は、ノイズがキャンセルするようにブリッジ状に接続される。
【0103】
<無線送信部>
無線送信部28は、ハブシェル24の内周部または外周部に固定される回路基板28bを有する。センサ58と回路基板28bとは図示しない配線で電気的に接続される。回路基板28bには、マイクロコンピュータ、センサ58からの出力を増幅する増幅器、増幅器によって増幅された信号をデジタル信号に変換するAD(Analog-Digital)変換回路および無線送信回路等の電子部品と、電源としての充電池28cとが搭載される。本実施形態では、マイクロコンピュータ、増幅器、およびAD変換回路は、駆動力計測部26の一部を構成する。
【0104】
無線送信部28は、センサ58の出力に基づく情報を無線送信する。無線送信部28から無線送信された情報は、図示しないサイクルコンピュータにより駆動力、トルク、およびパワーの少なくともいずれかとして表示される。センサ58の出力に基づいて、回路基板28bに設けられるマイクロコンピュータにおいて、駆動力、トルクおよびパワーの少なくともいずれかを算出してもよく、またサイクルコンピュータにおいて、受信した情報に基づいて、駆動力、トルクおよびパワーの少なくともいずれかを算出してもよい。充電池28cの代わりに、一次電池を設けてもよい。充電池28cまたは一次電池は、回路基板28bに着脱自在に設けられる。
【0105】
このように構成されたリアハブ10では、自転車に取り付けられてライダーがペダルをこぐと、ライダーの踏力が駆動力として駆動部22からハブシェル24に伝達される。このとき、被計測部53が僅かに捩れ、捩れ量が駆動力に応じて変化する。具体的には、駆動力が大きくなると、被計測部53の捩れ量が大きくなる。被計測部53の捩れ量に応じてセンサ58の出力が変化する。センサ58の出力に応じた駆動力の情報を無線送信部28が処理し、無線送信部28がサイクルコンピュータに無線送信する。サイクルコンピュータでは、無線送信された駆動力を表す情報を受信して表示する。これにより、ライダーは、自分が発生している駆動力、トルク、パワーなどを知ることができる。
【0106】
ここでは、第1部分40と被計測部53とを一体で構成することによって、第1部分40と被計測部53とを別体で構成する場合と比較して、駆動力測定部26で計測されるノイズを低減したり、被測定部の捩れの偏りが生じにくいので測定精度を向上することができたり、また重力を軽くすることができたりする。
【0107】
第5実施形態では、ハブシェル24の軸方向の中間部分に連結部52を配置したが、図18に示す変形例のリアハブ110では、雄ネジ部152aを有する連結部152がハブシェル124の第1端部(図18左端部)に配置される。雌ネジ部124gを有する突起124fは、ハブシェル124の第1端部側に形成される。ここでは、駆動力測定部153の軸方向長さが長くなるため、前述実施の形態よりも駆動力測定部153の捩れを大きくすることができ、前記実施の形態と比較して歪みの検出感度の低いセンサ58を用いることができるようになる。
【0108】
<第6実施形態>
第5実施形態では、駆動力計測部26の捩れを計測するセンサとして歪みゲージを用いたが、本発明はこれに限定されない。
【0109】
図19に示す第6実施形態のリアハブ210では、駆動力計測部226のセンサ258は、駆動力測定部253に設けられる磁歪素子258aと、磁歪素子258aの外周側に配置される検出コイル258bと、を有する。その他の構成は、前述した第5実施形態と同様である。磁歪素子258aは、磁歪方向が直交するように一対設けられる。検出コイル258bはそれぞれの磁歪素子258aに対向する位置にそれぞれ設けられ、磁歪素子258aに生じる捩れに応じた信号を出力する。
【0110】
このような磁歪素子258aにより捩れを検出すると、被計測部53の捩れ量を精度良く検出できる。
【0111】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0112】
(a)前記実施形態では、前記実施形態では、ワンウェイクラッチを有するいわゆるフリーハブを含んで駆動部22を構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、フリーハブを有さないリアハブにも本発明を適用できる。
【0113】
(b)前記実施形態では、クイックレリーズ機構29を有するリアハブを例示したが、クイックレリーズ機構を有さないリアハブにも本発明を適用できる。
【0114】
(c)前記実施形態では、第1対向部54にセンサを配置したが、第2対向部にセンサを配置してもよい。
【0115】
(d)第1実施形態では、センサ58として渦電流式のセンサを例示し、第2実施形態ではセンサとして光学式のセンサを例示し、第3実施形態では、静電容量式のセンサを例示したが、本発明はこれに限定されない。センサは、第1対向部と第2対向部との距離または距離の変位を計測できるものであればどのようなものでも良い。たとえば、超音波センサであってもよい。
【0116】
またたとえば第1実施形態のセンサを、光学式のセンサまたは静電容量式のセンサとしてもよく、第2実施形態のセンサを、渦電流式のセンサまたは静電容量式のセンサとしてもよく、第3実施形態のセンサを、光学式のセンサまたは渦電流式のセンサとしてもよい。
【0117】
(e)前記実施形態では、電源として発電機及び充電池を例示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、充電可能なコンデンサ等の蓄電素子を用いてもよい。また、電源として充電不能な一次電池を用いてもよい。
【0118】
(f)第2実施形態では、発電機60はセンサ58および無線送信部28の電力供給に用いられるが、本発明はこれに限定されない。無線送信部において、発電機60から出力される交流の電力波形を検波してリアハブの回転速度信号を得てもよい。得られた回転速度信号に関する情報と、駆動力測定部によって測定した駆動力であるトルクとを用いて、マイクロコンピュータにおいてパワーを計算してもよい。また、無線送信部が回転速度信号に関する情報をサイクルコンピュータに送信することにより、後輪の周長を乗算することにより、サイクルコンピュータでの車速表示に用いることができる。
【0119】
(g)前記実施形態では、連結部には連結部を貫通する孔が形成されるが、貫通する孔の代わりに凹所を形成してもよく、また孔を設けない構成としてもよい。
【0120】
(h)第1の実施形態の第1対向部および第2対向部を、第2または第3の実施形態の第1対向部および第2対向部に変えてもよい。第2の実施形態の第1対向部および第2対向部を、第1または第3の実施形態の第1対向部および第2対向部に変えてもよい。第3の実施形態の第1対向部および第2対向部を、第1または第2の実施形態の第1対向部および第2対向部に変えてもよい。
【0121】
(i)前記実施形態では、第2対向部56のセンサに対向する部分は、第1対向部の回転方向の下流側に設けられが、第2対向部56のセンサに対向する部分は、第1対向部の回転方向の上流側に設けられてもよい。駆動力が大きくなると、連結部52の捩れ量が大きくなり、センサが設けられる第1対向部が第2対向部のセンサに対向する部分から離反する。この場合であっても、第1対向部と第2対向部との相対的な間隔または間隔の変位を検出することができる。
【0122】
(j)前記実施形態では、第1部材40が径の異なる複数の筒状部を備えているが、第1部材は、径の異なる複数の筒状部を備えない構成であってもよい。第1部材40の形状は、軸受の形態に合わせて適宜変更することができる。
【0123】
(k)前記実施形態において、第1〜第5軸受のいずれか1つまたは複数をすべり軸受けに変更してもよい。この場合には、重量を軽減することができる。
【0124】
(l)前記実施形態において、第1部材のうち、フリーホイールを構成する部分を、他の部分から着脱自在に構成してもよい。このように構成するとフリーホイールを自由に交換することができる。第1部材のうち着脱可能な部分は、セレーション等の連結機構によって他の部分に結合されればよい。
【0125】
(m)第5および第6実施形態では、連結部とハブシェルとをネジ込み結合により連結しているが、第1から第4実施形態と同様に連結部とハブシェルとをセレーションにより連結してもよい。逆に、第1から第4実施形態において、セレーションに代えてネジ込み結合により連結部とハブシェルとを連結してもよい。
【0126】
(n)第5および第6実施形態では、電源として電池を備える構成であるが、電池に変えて図5に示すような発電機を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0127】
10,110,210,310 リアハブ
20 ハブ軸
22,122,222,322 駆動部
24,124,224,324 ハブシェル
26,126,226,326 駆動力計測部
28 無線送信部
42a スプロケット装着部
52,152,352 連結部
54,154,254 第1対向部
54a アーム部
56,156,256 第2対向部
56a 突出部
58,158,258,258’,358,358’ センサ
60 発電機
80 スプロケット集合体
258a 磁歪素子
258b 検出コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用リアハブであって、
ハブ軸と、
前記ハブ軸に回転自在に支持され、駆動力伝達部材を装着可能な駆動部と、
前記ハブ軸に回転自在に支持され、前記駆動部の回転が伝達されるハブシェルと、
前記駆動部に設けられる少なくとも一つの第1対向部と、
前記ハブシェルに設けられ前記第1対向部と間隔をあけて対向可能な少なくとも一つの第2対向部と、
前記第1対向部と前記第2対向部との間隔または間隔の変位を計測可能な少なくとも一つのセンサを有する駆動力計測部と、
を備える自転車用リアハブ。
【請求項2】
前記第1対向部と前記第2対向部とは前記駆動部および前記ハブシェルの回転方向で対向する、請求項1に記載の自転車用リアハブ。
【請求項3】
前記第1対向部は、前記駆動部の外周部から突出する、請求項1または2に記載の自転車用リアハブ。
【請求項4】
前記第2対向部は、前記ハブシェルの内周部から突出する、請求項1から3のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項5】
前記駆動部は、前記ハブシェルに連結される連結部を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項6】
前記連結部は、前記第1対向部と一体で設けられる、請求項5に記載の自転車用リアハブ。
【請求項7】
前記連結部は、前記第1対向部と別体で設けられる、請求項5に記載の自転車用リアハブ。
【請求項8】
前記連結部は、環状に形成され、ハブ軸方向に延びる複数の透孔が形成される、請求項7に記載の自転車用リアハブ。
【請求項9】
前記連結部と前記ハブシェルとは、セレーションまたは接着により結合される、請求項5から8のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項10】
前記連結部と前記ハブシェルとは、前記ハブシェルの前記ハブ軸方向の中央部で連結される、請求項5から9のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項11】
前記第1対向部および前記第2対向部は複数組設けられる、請求項1から10のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項12】
前記センサは、複数組の前記第1対向部および複数の前記第2対向部の少なくともいずれか一方に複数設けられる、請求項111に記載の自転車用リアハブ。
【請求項13】
複数の前記センサは、前記第1対向部に設けられる、請求項12に記載の自転車用リアハブ。
【請求項14】
複数の前記センサは、前記第2対向部に設けられる、請求項12に記載の自転車用リアハブ。
【請求項15】
前記複数組の第1対向部および第2対向部のうち、少なくともいずれか1つの組には前記第1対向部に前記センサが設けられ、少なくともいずれか1つの組には前記第2対向部に前記センサが設けられる、請求項12に記載の自転車用リアハブ。
【請求項16】
複数の前記センサは、渦電流式のセンサである、請求項11から15のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項17】
複数の前記センサは、静電容量式のセンサである、請求項11から15のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項18】
複数の前記静電容量式のセンサはコンデンサを有する、請求項17に記載の自転車用リアハブ。
【請求項19】
複数の前記センサは、光学式のセンサである、請求項11から15のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項20】
複数の前記センサは、コイルを有するセンサである、請求項11から15のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項21】
複数の前記センサは、直列接続される、請求項11から20のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項22】
複数の前記センサは、並列接続される、請求項11から20のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項23】
前記センサの出力に基づく情報を無線により外部に送信する無線送信部をさらに備える、請求項1から22のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項24】
前記センサに電力を供給する電源をさらに備える、請求項1から23のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項25】
前記電源は電池である、請求項24に記載の自転車用リアハブ。
【請求項26】
前記電源は発電機である、請求項24に記載の自転車用リアハブ。
【請求項27】
自転車用リアハブであって、
ハブ軸と、
前記ハブ軸に回転自在に支持され、駆動力伝達部材を装着可能な駆動部と、
前記ハブ軸に回転自在に支持され、前記駆動部の回転が伝達されるハブシェルと、
前記駆動部から前記ハブシェルに伝達される駆動力を計測可能な駆動力計測部と、を備え、
前記駆動部は、
前記駆動力伝達部材が装着される外側筒状部と、
前記外側筒状部の内側に配置される内側筒状部と、
前記駆動力計測部が設けられ、前記内側筒状部と一体に形成される被計測部を有する、自転車用リアハブ。
【請求項28】
前記内側筒状部と前記外側筒状部とは、ワンウェイクラッチを構成する、請求項27に記載の自転車用リアハブ。
【請求項29】
前記駆動部は、前記ハブシェルと連結される連結部をさらに有し、
前記連結部は、前記ハブシェルの内側に連結される、請求項27または28に記載の自転車用リアハブ。
【請求項30】
前記連結部は、前記ハブシェルの軸方向の中間部分に連結される、請求項29に記載の自転車用リアハブ。
【請求項31】
前記連結部と前記内側筒状部との間に前記被計測部が設けられる、請求項29または30に記載の自転車用リアハブ。
【請求項32】
前記駆動力計測部は、ハブシェルの内側に配置される、請求項29から31のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項33】
前記連結部は、前記ハブシェルにねじ込み固定される、請求項29から32のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項34】
前記駆動力計測部は、少なくとも一つの歪みゲージを有する、請求項29から33のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。
【請求項35】
前記駆動力計測部は、
前記被計測部の外周面に配置される磁歪素子と、
前記磁歪素子に対向して前記ハブシェルの内周面に配置される検出コイルと、
を有する、請求項29から33のいずれか1項に記載の自転車用リアハブ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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