説明

自転車

【課題】ハンドルをヘッドパイプよりも下側で固定可能とすることにより、ヘッドパイプの上方にハンドルを固定するための部材を設ける必要がない自転車を提供する。
【解決手段】ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内で回転自在なフォークコラムと、ヘッドパイプよりも下側においてフォークコラムに固定された回転連結部材と、回転連結部材に設けられたフロントフォーク固定部に固定されるフロントフォークと、回転連結部材に設けられたハンドル固定部に固定されるハンドルと、を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自転車に関し、特に、ハンドルの固定位置を低くした自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車において、ヘッドパイプの上方にハンドルを固定することは普通に行われていた。また、ハンドルを固定した部分の更に上方にチャイルドシートや荷台等を設けることも普通に行われていた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−48378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記したような従来の自転車においては、ヘッドパイプの上方にハンドルを固定するための部材を設ける必要があり、このためにヘッドパイプ上方の空間の使用方法が限定されるという問題があった。例えば、ヘッドパイプの上方にチャイルドシート等を設けた自転車においては、ハンドルを固定する部材の高さ分だけチャイルドシート等を高く設置せざるを得ないという問題があった。そして、チャイルドシート等の位置が高いと、チャイルドシートや荷台に幼児や重い荷物を同乗させたときに自転車の重心が高くなってしまい、走行が安定しないという問題点があった。また、停車時においても転倒の危険性が大きいという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、ハンドルをヘッドパイプよりも下側で固定可能とすることにより、ヘッドパイプの上方にハンドルを固定するための部材を設ける必要がない自転車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
各請求項にそれぞれ記載された発明は、上記した課題を解決するためになされたものである。以下、各請求項にそれぞれ記載された発明の特徴を説明する。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載の自転車は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプ内で回転自在なフォークコラムと、ヘッドパイプよりも下側においてフォークコラムに固定された回転連結部材と、回転連結部材に設けられたフロントフォーク固定部に固定されるフロントフォークと、回転連結部材に設けられたハンドル固定部に固定されるハンドルと、を有することを特徴とする。
【0006】
ここで、「ヘッドパイプ」とは、自転車のフレームを構成するパイプであって、後述するフォークコラムを回転可能に保持するためのものである。このヘッドパイプの軸心は略上下方向となるように形成されるとともに、上側が後方に傾くように斜めに形成されている。
「フロントフォーク」とは、前輪の車軸を回転可能に保持する部材である。
「ハンドル」とは、前輪の向きを操作するための部材である。具体的には、ハンドルは操作により、後述するフォークコラムを中心に左右に回転可能であり、このハンドルが操作されることにより、後述する回転連結部材を介してフロントフォークが回転する。これにより、前輪の向きを操作することが可能となっている。
【0007】
「フォークコラム」とは、フロントフォークおよびハンドルの回転軸となる支柱を意味するものである。このフォークコラムはヘッドパイプ内部に装填され、ヘッドパイプ内で回転自在となっている。
「回転連結部材」とは、ヘッドパイプよりも下側においてフォークコラムに固定される部材である。例えば、ヘッドパイプから突出したフォークコラムの下端に固定することができる。そして、この回転連結部材は、フォークコラムがヘッドパイプ内で回転すると、それに伴い回転するものである。また、この回転連結部材は、フロントフォークを固定するためのフロントフォーク固定部と、ハンドルを固定するためのハンドル固定部と、を有し、フロントフォーク固定部にフロントフォークが、ハンドル固定部にハンドルが、それぞれ固定されている。
【0008】
なお、このフロントフォーク固定部およびハンドル固定部は、例えば、回転連結部材を貫通する孔として設けることができる。すなわち、この貫通孔の上方側からハンドルを挿入固定し、下方側からフロントフォークを挿入固定することにより、貫通孔の上方側をハンドル固定部とし、貫通孔の下方側をフロントフォーク固定部とすることができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明を限定するものであって、以下を特徴とする。
すなわち、請求項2に記載の自転車は、前記フロントフォークは、左フォークと、右フォークと、を有し、前記ハンドルは、左ハンドル部材と、右ハンドル部材と、を有し、前記回転連結部材のフロントフォーク固定部は、左フォークを固定する左フォーク固定部と、右フォークを固定する右フォーク固定部と、から構成され、前記回転連結部材のハンドル固定部は、左ハンドル部材を固定する左ハンドル固定部と、右ハンドル部材を固定する右ハンドル固定部と、から構成され、左フォーク固定部の上に左ハンドル固定部が設けられることにより、左フォークと左ハンドル部材とが連続するように前記回転連結部材に固定され、右フォーク固定部の上に右ハンドル固定部が設けられることにより、右フォークと右ハンドル部材とが連続するように前記回転連結部材に固定されていることを特徴とする。
【0009】
「左フォーク」とは、左から前輪を保持する部材であって、フロントフォークを構成する棒状の部材である。同様に、「右フォーク」とは、右から前輪を保持する部材であって、フロントフォークを構成する棒状の部材である。
また、「左ハンドル部材」とは、運転者の左手により操作されることを企図した曲折した棒状の部材である。同様に、「右ハンドル部材」とは、運転者の右手により操作されることを企図した曲折した棒状の部材である。この左ハンドル部材および右ハンドル部材は、操作される持ち手部分付近においては略水平方向となるように設けられており、フロントフォークと固定される端付近においては略鉛直方向となるように設けられている。
【0010】
「左フォーク固定部」とは、左フォークを固定するためのものであり、「右フォーク固定部」とは、右フォークを固定するためのものである。そして、左フォーク固定部と右フォーク固定部とが回転連結部材のフロントフォーク固定部を構成している。
更に、「左ハンドル固定部」とは、左ハンドル部材を固定するためのものであり、「右ハンドル固定部」とは、右ハンドル部材を固定するためのものである。そして、左ハンドル固定部と右ハンドル固定部とが回転連結部材のハンドル固定部を構成している。
本発明に係る自転車においては、左フォーク固定部の上に左ハンドル固定部が設けられていることにより、左フォーク固定部に左フォークが固定され、左ハンドル固定部に左ハンドルが固定されると、左フォークと左ハンドル部材とが連続するように回転連結部材に固定されることとなる。また、同様に、右フォーク固定部の上に右ハンドル固定部が設けられていることにより、右フォーク固定部に右フォークが固定され、右ハンドル固定部に右ハンドルが固定されると、右フォークと右ハンドル部材とが連続するように回転連結部材に固定されることとなる。具体的には、例えば、回転連結部材に貫通孔を設け、この貫通孔の上方から左ハンドル部材を挿入固定し、貫通孔の下方から左フォークを挿入固定することにより、左フォークの端面の中心と左ハンドル部材の端面の中心とが重なるように固定するとともに、更に別の貫通孔を回転連結部材に設け、この貫通孔の上方から右ハンドル部材を挿入固定し、貫通孔の下方から右フォークを挿入固定することにより、右フォークの端面の中心と右ハンドル部材の端面の中心とが重なるように固定するような態様が考えられる。
【0011】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明を限定するものであって、以下を特徴とする。
すなわち、請求項3に記載の自転車は、前記ヘッドパイプよりも上側に位置するように前記フォークコラムに固定されたチャイルドシート固定部を有し、このチャイルドシート固定部にチャイルドシートが設置可能となっていることを特徴とする。
「チャイルドシート固定部」とは、幼児を同乗させるためのチャイルドシートを固定するために設けられるものであり、ヘッドパイプよりも上側に位置するように、フォークコラムに固定されるものである。例えば、フォークコラムの上端にフランジ部を設けて雌ねじを切り、このフランジ部にチャイルドシートを載置した後に、このフランジ部の雌ねじに対応したボルトでチャイルドシートを固定するような態様が考えられる。この例におけるチャイルドシート固定部はフランジ部およびボルトである。なお、このチャイルドシート固定部は、フォークコラムと一体的に連続するものであっても構わないし、フォークコラムとは別の部材により実現しても構わない。また、チャイルドシートの固定は、必ずしもチャイルドシート固定部のみにより行う必要はない。すなわち、チャイルドシート固定部にチャイルドシートを固定するとともに、ハンドル等の別の部位において更にチャイルドシートを固定しても構わない。なお、このチャイルドシート固定部はフォークコラムとともに回転するため、チャイルドシートも同様にフォークコラムとともに回転することとなる。
【0012】
本発明に係る自転車では、フォークコラムとチャイルドシート固定部との間に、ハンドルステムなどのハンドルを固定するための部材やハンドルが介在することがない。言い換えると、ハンドルステムなどのハンドルを固定するための部材やハンドルを介することなく、ヘッドパイプよりも上側において、フォークコラムとチャイルドシート固定部が固定される。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明を限定するものであって、以下を特徴とする。
【0013】
すなわち、請求項4に記載の自転車は、前記回転連結部材は、前記フォークコラムを固定するためのフォークコラム固定部を有し、このフォークコラム固定部と比較して、前記ハンドル固定部が進行方向側に設けられていることを特徴とする。
ここで、「フォークコラム固定部」とは、フォークコラムを固定するために回転連結部材に設けられるものである。フォークコラム固定部は、例えば、フォークコラムを挿入可能な孔として設けることができ、この場合、フォークコラムはこの孔の上方から挿入される。
「進行方向側」とは、自転車が前進するようにペダルを漕いだときに、前輪の向きに依存して自転車が進む方向を意味する。すなわち、前輪の車軸が後輪の車軸と平行な状態においては、後輪から見て前輪側が進行方向側である。
【0014】
つまり、この自転車においては、回転連結部材のハンドル固定部は、フォークコラム固定部から見て進行方向側に突き出た形状となっている。このように形成することにより、ハンドル固定部およびハンドルが、フレームと干渉するのを抑制することができるようになっている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記の通りであり、ハンドルとフォークコラムとが回転連結部材を介してヘッドパイプよりも下側で固定されているため、ヘッドパイプの上方にハンドルを固定するための部材を設ける必要がないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第一の実施の形態)
図1〜9は、本発明の第一の実施の形態を示すものであり、図1は第一の実施の形態に係る自転車の側面図、図2は第一の実施の形態に係る自転車を上斜め前方から見た斜視図、図3は第一の実施の形態に係る自転車の側面図(チャイルドシートを取り外した状態)、図4は第一の実施の形態に係る自転車を上斜め前方から見た斜視図(チャイルドシートを取り外した状態)、図5は第一の実施の形態に係る自転車の一部を分解し、上斜め前方から見た斜視図(チャイルドシートを取り外した状態)、図6は第一の実施の形態に係る自転車のハンドルおよびフロントフォーク付近を上斜め前方から見た拡大斜視図、図7は第一の実施の形態に係る自転車のハンドルおよびフロントフォーク付近を分解し、上斜め前方から見た拡大斜視図、図8は第一の実施の形態に係る回転連結部材を上斜め後方から見た拡大斜視図、図9は第一の実施の形態に係る回転連結部材を下斜め後方から見た拡大斜視図を各々示すものである。
【0017】
以下、第一の実施の形態について、図を参照しながら説明する。なお、本実施の形態において、「前」とは、前輪側、すなわち運転者から見て前方を意味するものとし、「後」とは、後輪側、すなわち運転者から見て後方を意味するものとする。
(自転車10)
図1〜5に示すように、本実施の形態に係る自転車10は、ヘッドパイプ20と、ヘッドパイプ20の後部に接続されたメインパイプ21と、メインパイプ21の後端、つまり、ヘッドパイプ20が接続された端とは逆端に接続された図示しないボトムブラケットと、ボトムブラケットの上部に接続されたシートパイプ72と、ボトムブラケットの後部に接続されたチェーンステー22と、を備えており、これらが自転車10のフレームを構成している。
【0018】
また、自転車10の前側には、ヘッドパイプ内に設けられて回転自在なフォークコラム23と、ヘッドパイプ20よりも下側においてフォークコラム23に固定された回転連結部材24と、回転連結部材24を介してフォークコラム23と固定されたフロントフォーク15と、回転連結部材24を介してフロントフォーク15の上部に連設されているハンドル13と、ヘッドパイプ20よりも上側においてフォークコラム23に固定されたチャイルドシート固定部26と、チャイルドシート固定部26の上部に設置されたチャイルドシート27と、を備えている。
以下、本実施の形態に係る自転車10の各構成についてさらに詳しく説明する。
(ヘッドパイプ20)
ヘッドパイプ20は、フレームの構成部分の1つであって、フォークコラム23を回転可能に保持するためのものである。
【0019】
図1〜5に示すように、ヘッドパイプ20には、円筒状のパイプが用いられており、また、ヘッドパイプ20の軸心は、上下方向に延び、かつ、上側が後方に傾くように設定されている。
また、ヘッドパイプ20の内径は、フォークコラム23の外径よりもわずかに大きくしてある。そして、ヘッドパイプ20の下側からヘッドパイプ20内にフォークコラム23を挿入することにより、フォークコラム23が回転可能に保持されている。なお、後述するハンドル13およびフロントフォーク15は、回転連結部材24を介してこのフォークコラム23に固定されているため、フォークコラム23が回転するとハンドル13およびフロントフォーク15も同時にフォークコラム23を中心として回転することとなる。
【0020】
(メインパイプ21)
メインパイプ21は、フレームの主要骨格となるものであって、図1〜5に示すように、ヘッドパイプ20の後部から後斜め下方へ向けて延びるものである。
(ボトムブラケット)
ボトムブラケットは、フレームの構成部分の1つであって、メインパイプ21の後端に連設されるものである。つまり、ボトムブラケットは、メインパイプ21における、ヘッドパイプ20とは反対側の端部に連設されるものである。
また、ボトムブラケットには、図示しないクランク軸が設けられており、このクランク軸の左右両側には、左右二つのクランク33が固定される。そして、この二つのクランク33のそれぞれの先端には左右のペダル35が回転可能に取り付けられている。
【0021】
(シートパイプ72)
シートパイプ72は、サドル70を取り付けるためのものであり、図1〜5に示すように、ボトムブラケットのほぼ真上に固定されたパイプである。このシートパイプ72は、ボトムブラケットの上部から上斜め後方へ向けて延びるように設けられている。
そして、このシートパイプ72にはシートポスト71が挿入される。挿入されたシートポスト71は、シートパイプ72の上端付近に設けられたシートクランプ73により締め付けられ、シートパイプ72に固定される。また、シートポスト71の上端にはサドル70が固定されている。
【0022】
(チェーンステー22)
チェーンステー22は、フレームの構成部分の1つであって、後輪12を回転可能に保持するためのものである。このチェーンステー22は、図示しないが、運転者から見て右側に位置する右チェーンステーと、運転者から見て左側に位置する左チェーンステーと、を備えており、この左右のチェーンステーのそれぞれがボトムブラケットから後方へ向けて延びて後輪12の車軸を受けている。すなわち、右チェーンステーが後端付近で後輪12の車軸の右側を受けており、左チェーンステーが後端付近で後輪12の車軸の左側を受けている。また、後輪12の車軸の軸心は、水平、かつ、進行方向に対して直交するように設定されている。
【0023】
(フロントフォーク15)
フロントフォーク15は、前輪11を回転可能に保持するためのものである。
図1〜7に示すように、フロントフォーク15は、運転者から見て前輪11の右側に位置する右フォーク16と、運転者から見て前輪11の左側に位置する左フォーク17と、右フォーク16と左フォーク17とを固定するための馬蹄状のフォークブリッジ36とを備えている。
また、図1〜7に示すように、右フォーク16は、右から前輪11を保持する部材であって、フロントフォーク15を構成する棒状の部材であり、下端付近で前輪11の車軸の右側を受けている。同様に、左フォーク17は、左から前輪11を保持する部材であって、フロントフォーク15を構成する棒状の部材であり、下端付近で前輪11の車軸の右側を受けている。このとき、前輪11の車軸の軸心は、水平、かつ、進行方向に対して直交するように設定されている。
【0024】
(チャイルドシート固定部26)
チャイルドシート固定部26は、図5に示すように、チャイルドシート支持部材28の一部である。チャイルドシート支持部材28は、十字型の板状部材と、板状部材の下面中心から下方向に延びる幹部と、を有する。
チャイルドシート支持部材28の板状部材は、図1〜5に示すように、ヘッドパイプ20よりも上側に設けられ、チャイルドシート固定部26を形成している。チャイルドシート固定部26には、後述するチャイルドシート27を上面に載置して固定可能となっている。
チャイルドシート支持部材28の幹部は、フォークコラム23内に挿入されてフォークコラム23に固定される。
【0025】
(チャイルドシート27)
チャイルドシート27は幼児を同乗させるための座席であり、図1〜2に示すように、チャイルドシート固定部26の上面に載置され、固定されている。チャイルドシート27は籠状をしており、底面と右側面と左側面と前面と背面とを有している。また、チャイルドシート27の右側面には略鉛直方向に延びる右溝が形成されており、また、左側面には略鉛直方向に延びる左溝が形成されている。そして、この右溝に沿うように後述する右ハンドル部材18が設けられており、左溝に沿うように後述する左ハンドル部材19が設けられているため、チャイルドシート27は、ハンドル13によっても補強的に固定されている。
【0026】
(ハンドル13)
ハンドル13は、運転者が前輪の向きを操作するために使用されるものである。具体的には、ハンドル13はフォークコラム23を回転軸として左右に回転可能となっており、ハンドル13が回転すると、これに連動してフロントフォーク15が回転し、フロントフォーク15が保持する前輪11の向きが変わるようになっている。
ハンドル13は、図1〜7に示すように、運転者の右手で操作されることを意図した右ハンドル部材18と、運転者の左手で操作されることを意図した左ハンドル部材19と、両ハンドル部材を固定するためのハンドルブリッジ25と、を備えている。右ハンドル部材18および左ハンドル部材19は、それぞれ曲折した棒状の部材であり、その下端は回転連結部材24を介してフロントフォーク15に連結している。
【0027】
右ハンドル部材18は、おおまかに、下端部からチャイルドシート27の底面の下まで上方に延びる右支柱部と、右支柱部の上端からチャイルドシート27の底面に沿って右方向に延びる右底面支持部と、右底面支持部の右端からチャイルドシート27の右側面に沿って上方に延びる右側面支持部と、右側面支持部の上端から後方に延びる右持ち手部と、を有している。右持ち手部は運転者の手元方向に延びており、運転者が握持しやすいように形成されている。
同様に、左ハンドル部材19は、おおまかに、下端部からチャイルドシート27の底面の下まで上方に延びる左支柱部と、左支柱部の上端からチャイルドシート27の底面に沿って左方向に延びる左底面支持部と、左底面支持部の左端からチャイルドシート27の左側面に沿って上方に延びる左側面支持部と、左側面支持部の上端から後方に延びる左持ち手部と、を有している。左持ち手部は運転者の手元方向に延びており、運転者が握持しやすいように形成されている。
【0028】
そして、右ハンドル部材18の右側面支持部がチャイルドシート27の右側面に設けられた右溝に沿うように設けられているとともに、左ハンドル部材19の左側面支持部がチャイルドシート27の左側面に設けられた左溝に沿うように設けられているため、チャイルドシート27は左右から挟み込まれるようにハンドル13によって固定されている。
また、右ハンドル部材18の右側面支持部の中間付近において、右ハンドル部材18の右側面支持部とチャイルドシート27の右側面とはネジにより固定されている。同様に、左ハンドル部材19の左側面支持部の中間付近において、左ハンドル部材19の左側面支持部とチャイルドシート27の左側面とはネジにより固定されている。
【0029】
(回転連結部材24)
回転連結部材24は、フォークコラム23と、ハンドル13と、フロントフォーク15と、を連結するための部材である。以下、図7〜9を参照しながら、回転連結部材24について説明する。
図8および図9に示すように、回転連結部材24は、基筒部100と、基筒部100から斜め右前方に延びる右アーム101と、基筒部100から斜め左前方に延びる左アーム102と、右アーム101の先端部に接続された右筒部103と、左アーム102の先端部に接続された左筒部104と、を有する。
【0030】
基筒部100は、おおよそ円筒形をしている。そして、上方からフォークコラム23を挿入して固定することが可能となっていることにより、基筒部100がフォークコラム固定部を形成している。この基筒部100の内径はフォークコラム23の外径とほぼ同じに形成されており、フォークコラム23は基筒部100に圧入され、固定される。なお、フォークコラム23をフォークコラム固定部に固定する方法としては、このような圧入による固定方法に限らない。例えば、溶接により固定することとしても良い。
右筒部103は、おおよそ円筒形をしており、筒の上部が右ハンドル固定部107を形成し、筒の下部が右フォーク固定部110を形成している。更に詳しくは、上部の右ハンドル固定部107においては、上方から右ハンドル部材18が挿入されて固定され、下部の右フォーク固定部110においては、下方から右フォーク16が挿入されて固定される。ここで、右ハンドル固定部107を形成する筒部と、右フォーク固定部110を形成する筒部とは、連通しているものの、その内径が異なるように形成されている。具体的には、右ハンドル固定部107の内径よりも、右フォーク固定部110の内径の方が大きくなるように形成されている。そして、このように内径差を設けることにより、右フォーク16が右フォーク固定部110を超えて深く挿入され過ぎることを回避している。
【0031】
ところで、右ハンドル固定部107側の端付近は、円筒の一部が軸と平行な方向に切り欠かれている。そして、この切り欠かかれた部分にはボルトが取り付け可能となっており、このボルトを締め付けると、切り欠きを閉じるように作用するようになっている。このように構成されているため、右ハンドル固定部107に右ハンドル部材18を挿入した後にボルトを締結することにより、右ハンドル固定部107の内壁が右ハンドル部材18を圧迫し、右ハンドル部材18を固定可能となっている。
また、右フォーク固定部110の内径は右フォーク16の外径とほぼ同じとなっており、右フォーク16は右フォーク固定部110に圧入されて固定される。
【0032】
なお、左筒部104は、上記した右筒部103と同様の構成であり、筒の上部が左ハンドル固定部108を形成して左ハンドル部材19を固定し、筒の下部が左フォーク固定部111を形成して左フォーク17を固定するものである。
右アーム101は、基筒部100と右筒部103との接続部分であり、左アーム102は、基筒部100と左筒部104との接続部分である。右アーム101および左アーム102は、いずれも基筒部100から見て斜め前方に突き出すように延設されている。言い換えると、フォークコラム固定部100と比較して、ハンドル固定部107〜108が進行方向側に設けられている。このように形成することにより、ハンドル13を操作したときに、つまり、フォークコラム23を中心にハンドル13を左右に回転させたときに、この回転連結部材24がメインパイプ21と干渉することなく回転できるようになっている。
【0033】
(まとめ)
本実施の形態に係る自転車は上記のような構成であり、ハンドル13と、ハンドル13の回転軸であるフォークコラム23とが、回転連結部材24を介してヘッドパイプ20よりも下側で固定されている。そのため、ヘッドパイプ20の上方にハンドル13を固定するための部材を設ける必要がない。加えて、ヘッドパイプ20の上方の部材を取り除いたことにより、ヘッドパイプ20の上方に設けるチャイルドシート27の位置を低くすることができ、重心を低くして安定性を向上することができる。
(第二の実施の形態)
図10〜13は、本発明の第二の実施の形態を示すものであり、図10は第二の実施の形態に係る自転車の側面図、図11は第二の実施の形態に係る自転車を上斜め前方から見た斜視図、図12は第二の実施の形態に係る自転車のハンドルおよびフロントフォーク付近を分解し、上斜め前方から見た拡大斜視図、図13は第二の実施の形態に係る回転連結部材を上斜め後方から見た拡大斜視図を各々示すものである。
【0034】
上記した第一の実施の形態においては、ハンドル13やフロントフォーク15が左右に分離しているとした。そのため、ハンドル13およびフロントフォーク15が、それぞれ二箇所において回転連結部材24と固定されている。しかし、第二の実施の形態は、第一の実施の形態と異なり、ハンドル13と回転連結部材24とが一箇所で固定されるようにしたものである。
第二の実施の形態における自転車の基本的構成は、上記した第一の実施の形態と同様であるので、同一となる説明を省略し、本実施の形態の特徴点のみ述べる。
図12に示すように、本実施の形態におけるハンドル13は、一本のパイプが曲折して右ハンドルバー18および左ハンドルバー19を構成し、更に、この左右のハンドルバーを構成するパイプの中間付近に支柱管50が接合されている。そして、この支柱管50が回転連結部材24のハンドル固定部60に挿入されることにより、ハンドル13と回転連結部材24とが固定されている。
【0035】
詳しくは、フォークコラム固定部100の前方であり、右フォーク固定部110と左フォーク固定部111との中間付近に、ハンドル固定部60となる筒部が形成されている。そして、この筒部の上端付近は、円筒の一部が軸と平行な方向に切り欠かれている。この切り欠かかれた部分にはボルトが取り付け可能となっており、このボルトを締め付けると、切り欠きを閉じるように作用するようになっている。このように構成されているため、ハンドル固定部60にハンドル13の支柱管50を挿入した後にボルトを締結することにより、ハンドル固定部60の内壁がハンドル13の支柱管50を圧迫し、ハンドル13と回転連結部材24とを固定可能となっている。
【0036】
なお、第二の実施の形態においても、フロントフォーク15は左右に分離しており、二箇所において回転連結部材24と固定されているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、フロントフォーク15が刺又形状(回転連結部材24との連結部付近においては一本のパイプだが、途中で右フォーク16と左フォーク17とに分岐するような形状)をしている場合、回転連結部材24との固定部分(フロントフォーク固定部)を一箇所とするような態様が考えられる。
(その他の実施の形態)
上記した実施の形態においては、ハンドル13とフロントフォーク15とは別の部材として説明したが、これに限らず、これらが一体的に連続して形成されていても良い。
【0037】
また、上記した実施の形態では、回転連結部材24によって、右ハンドル部材18と右フォーク16が連設するように固定され、左ハンドル部材19と左フォーク17が連設するように固定されることとしたが、これに限定されない。例えば、フロントフォーク15が前述したような刺又形状の場合、フロントフォーク15とフォークコラム23とが連設するように固定しても良い。すなわち、回転連結部材24において、フォークコラム固定部を形成する筒部と、フロントフォーク固定部を形成する筒部とを、連通するように設けても良い。なお、こうした場合においては、フォークコラム23とフロントフォーク15とを一体的に連続して形成することも考えられる。すなわち、こうして一体的に連続した部材が回転連結部材24の下側から挿入されて貫通している場合、上方に突出した部分がフォークコラム23を形成し、下方に突出した部分がフロントフォーク15を形成するような態様としても良い。
【0038】
そして、上記した実施の形態では、フォークコラム23の上方にチャイルドシート27を設けることとしたが、これに限らず、荷台等を設けても良いし、何も設けないこととしても良い。例えば、底面と右側面と左側面と前面と背面とを有する籠状の荷台を設けるとした場合、チャイルドシート固定部26の代わりに荷台固定部を設け、この荷台固定部をヘッドパイプ20よりも上側に位置するようにフォークコラム23に固定することが考えられる。すなわち、この荷台固定部の上面に荷台の底面を固定することにより、自転車10に荷台を設置することができる。このとき、荷台固定部は、例えばチャイルドシート固定部26と同様の構成とすることができる。すなわち、荷台固定部を荷台支持部材の一部として構成することができる。この荷台支持部材は、十字型の板状部材と、板状部材の下面中心から下方向に延びる幹部と、を有し、この幹部がフォークコラム23内に挿入されてフォークコラム23に固定される。そして、荷台支持部材の板状部材の部分が荷台固定部を形成し、荷台固定部には荷台が固定される。また、荷台の右側面に略鉛直方向に延びる右溝を形成し、また、荷台の左側面に略鉛直方向に延びる左溝を形成することとしても良い。この場合、右ハンドル部材18の右側面支持部を荷台の右溝に沿うように設け、左ハンドル部材19の左側面支持部を荷台の左溝に沿うように設け、ハンドル13で左右から挟み込むように荷台を固定しても良い。また、右ハンドル部材18の右側面支持部の中間付近において、右ハンドル部材18の右側面支持部と荷台の右側面とをネジにより固定し、同様に、左ハンドル部材19の左側面支持部の中間付近において、左ハンドル部材19の左側面支持部と荷台の左側面とをネジにより固定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第一の実施の形態に係る自転車の側面図である。
【図2】第一の実施の形態に係る自転車を上斜め前方から見た斜視図である。
【図3】第一の実施の形態に係る自転車の側面図(チャイルドシートを取り外した状態)である。
【図4】第一の実施の形態に係る自転車を上斜め前方から見た斜視図(チャイルドシートを取り外した状態)である。
【図5】第一の実施の形態に係る自転車の一部を分解し、上斜め前方から見た斜視図(チャイルドシートを取り外した状態)である。
【図6】第一の実施の形態に係る自転車のハンドルおよびフロントフォーク付近を上斜め前方から見た拡大斜視図である。
【図7】第一の実施の形態に係る自転車のハンドルおよびフロントフォーク付近を分解し、上斜め前方から見た拡大斜視図である。
【図8】第一の実施の形態に係る回転連結部材を上斜め後方から見た拡大斜視図である。
【図9】第一の実施の形態に係る回転連結部材を下斜め後方から見た拡大斜視図である。
【図10】第二の実施の形態に係る自転車の側面図である。
【図11】第二の実施の形態に係る自転車を上斜め前方から見た斜視図である。
【図12】第二の実施の形態に係る自転車のハンドルおよびフロントフォーク付近を分解し、上斜め前方から見た拡大斜視図である。
【図13】第二の実施の形態に係る回転連結部材を上斜め後方から見た拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10 自転車
11 前輪 12 後輪
13 ハンドル 15 フロントフォーク
16 右フォーク 17 左フォーク
18 右ハンドル部材 19 左ハンドル部材
20 ヘッドパイプ 21 メインパイプ
22 チェーンステー 23 フォークコラム
24 回転連結部材 25 ハンドルブリッジ
26 チャイルドシート固定部 27 チャイルドシート
28 チャイルドシート支持部材 29 固定用ウス
33 クランク 35 ペダル
36 フォークブリッジ
50 支柱管 60 ハンドル固定部
70 サドル 71 シートポスト
72 シートパイプ 73 シートクランプ
100 基筒部(フォークコラム固定部)
101 右アーム 102 左アーム
103 右筒部 104 左筒部
107 右ハンドル固定部 108 左ハンドル固定部
110 右フォーク固定部 111 左フォーク固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプと、
ヘッドパイプ内で回転自在なフォークコラムと、
ヘッドパイプよりも下側においてフォークコラムに固定された回転連結部材と、
回転連結部材に設けられたフロントフォーク固定部に固定されるフロントフォークと、
回転連結部材に設けられたハンドル固定部に固定されるハンドルと、
を有することを特徴とする自転車。
【請求項2】
前記フロントフォークは、左フォークと、右フォークと、を有し、
前記ハンドルは、左ハンドル部材と、右ハンドル部材と、を有し、
前記回転連結部材のフロントフォーク固定部は、左フォークを固定する左フォーク固定部と、右フォークを固定する右フォーク固定部と、から構成され、
前記回転連結部材のハンドル固定部は、左ハンドル部材を固定する左ハンドル固定部と、右ハンドル部材を固定する右ハンドル固定部と、から構成され、
左フォーク固定部の上に左ハンドル固定部が設けられることにより、左フォークと左ハンドル部材とが連続するように前記回転連結部材に固定され、
右フォーク固定部の上に右ハンドル固定部が設けられることにより、右フォークと右ハンドル部材とが連続するように前記回転連結部材に固定されていることを特徴とする、請求項1記載の自転車。
【請求項3】
前記ヘッドパイプよりも上側に位置するように前記フォークコラムに固定されたチャイルドシート固定部を有し、
このチャイルドシート固定部にチャイルドシートが設置可能となっていることを特徴とする、請求項1又は2記載の自転車。
【請求項4】
前記回転連結部材は、前記フォークコラムを固定するためのフォークコラム固定部を有し、
このフォークコラム固定部と比較して、前記ハンドル固定部が進行方向側に設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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