説明

臭化チオトロピウムの調製方法

【課題】臭化チオトロピウムの調製のための改善された方法の提供。
【解決手段】下記経路での合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年6月10日に出願された米国仮特許出願第60/830,231号;2006年8月3日に出願された米国仮特許出願第60/835,201号;2006年8月3日に出願された米国仮特許出願第60/835,200号;2006年8月7日に出願された米国仮特許出願第60/836,037号;及び2006年12月19日に出願された米国仮特許出願第11/643,013号の出願日の利益を主張し、これらの開示は引用することにより本明細書中に組み入れられている。
【0002】
本発明は、臭化チオトロピウムを調製するための改善された方法に関する。
【背景技術】
【0003】
臭化チオトロピウム、(1,2,4,5,7)−7−[(ヒドロキシジ−2−チエニルアセチル)オキシ]−9,9−ジメチル−3−オキサ−9−アゾニアトリシクロ[3.3.1.0]ノナンブロミド又は6,7−エポキシ−3−ヒドロキシ−8−メチル−1H,5H−トロパニウムブロミド、ジ−2−チエニルグリコレートは、以下の化学構造を有する:
【化1】

【0004】
これは、ムスカリン性受容体に特異性を有する抗コリン薬である。気管支拡張薬として、これは喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療における治療的利点を供する。該活性医薬成分は吸入により投与され、そしてSPIRIVA(商標)HandiHaler(商標)として商業的に入手できる。
【0005】
臭化チオトロピウムは、米国特許第5,610,163号に最初に開示され、これは式III
【化2】

のN−デメチルチオトロピウムを介して合成され、これは、融解中のナトリウム金属又は融解中のナトリウムメトキシドを使用して式Iのメチルジ(2ーチエニル)グリコレートと式IIのスコピンの反応により得られた。危険な反応条件のため、該方法は工業規模の調製には適当ではない。その後、四級化剤として臭化メチルを使用してアセトニトリル及び塩化メチレンの混合物中でN−デメチル−チオトロピウムの四級化が行われる。該方法は、以下のスキームにおいて説明される:
【化3】

【0006】
その後、該生成物をアセトンとメタノールの混合物から結晶化した。
【0007】
また先行技術に記載されるものとして、スコピンHClの調製があり、これはGB1469781に最初に開示され、これは、水素化ホウ素ナトリウムを使用するスコポラミドの還元、続いてHClの該反応混合物への添加により調製され、方法は以下のスキームにより説明される:
【化4】

該スコピンの塩は、スコピン塩基の前駆体として使用することができるが、所望の生成物から無機塩を除去する過程は報告されていない。
【0008】
米国特許第6,486,321号及び第6,506,900号は、以下のスキームにより説明されるとおり、更なるエポキシ化工程を導入することによるトロペノール誘導体を介するチオトロピウム及び類似体の合成を開示する。
【化5】

【0009】
米国特許第6,747,154号は、「当業界において知れられているこれらの方法もまた式1の化合物を調製するために使用することができる」との記載による形式的手法に関する。
【化6】

【0010】
しかしながら、これらの合成方法は、いくつかの合成工程を含むより複雑な手順である。従って、カップリングがスコピンよりもスコピンメトブロミドを使用する異なる合成手法が開発されたが、該カップリング反応の収率を含む詳細は報告されていない。
【化7】

【0011】
米国特許公報第2006/0047120号は、in situ において得られる、スコピンメトブロミドとトリエチルシリル−保護ナトリウムジチエニルグリコレートをカップリングする更に他の手法を記載する。
【化8】

【0012】
該手法を供するこの出願は、臭化チオトロピウムについての先行技術合成法を改善するために開発された。
【0013】
従って、臭化チオトロピウムを調製するための改善された方法が必要である。
【発明の概要】
【0014】
発明の概要
ある態様において、本発明は、約0.5重量%〜約40重量%の塩を含有する、式II−s
【化9】

のスコピン塩であって;
式中、Xが、Br、Cl、SO4、MeCOO、PO4、MeSO3、酒石酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸又はアミドスルホン酸である塩を包含する。
【0015】
他の態様において、本発明は、約0.5重量%〜約40重量%の塩を含有する式II−sのスコピン塩を式IV
【化10】

の臭化チオトロピウムに変換するための方法を包含する。
【0016】
さらに他の態様において、本発明は、式III
【化11】

のN−デメチル−チオトロピウムの調製方法であって、
式I
【化12】

のメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコレート、弱無機塩基、極性有機溶媒、及び約0.5重量%〜約40重量%の塩を含有する式II−sのスコピン塩
【化13】

を混合し、混合物を得て、そして該混合物を加熱する工程を含んで成る方法を包含する。
【0017】
ある態様において、本発明は、臭化チオトロピウムの調製方法であって、a)式I
【化14】

のメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコレート、弱塩基、極性有機溶媒、及び約0.5重量%〜約40重量%の塩を含有する式II−sのスコピン塩を混合し、混合物を得る工程;b)式IIIのN−デメチル−チオトロピウムを供する混合物を加熱する工程;c)式IIIのN−デメチル−チオトロピウムを回収する工程;d)臭化メチル(MeBr)を伴う式IIIのN−デメチル−チオトロピウム及び有機溶媒を混合し、臭化チオトロピウムを産生する工程、を含んで成る方法を包含する。
【0018】
他の態様において、本発明は、本発明の方法により式IIIのN−デメチル−チオトロピウムを調製すること、そしてさらにこれを臭化チオトロピウムに変換することによる臭化チオトロピウムを調製するための方法を包含する。
【0019】
本明細書に使用される「室温」の用語は、約20℃〜約26℃の範囲の温度を意味する。
【0020】
本願は、臭化チオトロピウムの合成、特に式II−sのスコピンハロゲン化水素からの合成、よりさらに具体的には、得られたスコピンHClが高レベルの60重量%以上の無機塩を含有するGB'081に開示される方法と比較して低レベルの塩を含有する以下の式
【化15】

のスコピンHBrからの合成に対する新規な手法を開示する。これらの塩は水に不溶性であり、従って、単純な洗浄操作により除去することができない。
【0021】
典型的には、低レベルの塩を含有するスコピンハロゲン化水素は、40重量%以下の塩を伴うスコピン塩に関する。典型的には、該塩含有量の測定は、実施例1に例示されるように、硫酸灰により行われる。
【0022】
さらに、本願の発明者は、スコピン塩の純度が、臭化チオトロピウムの合成における重要な中間体である、式IIIのN−デメチル−チオトロピウムの純度及び収率に影響することを発見した。
【化16】

【0023】
例えば、本発明を制限することなく、純粋なスコピン塩は、更に説明されるとおり、より高い収率及び純度に導く。
【0024】
本発明は、約0.5重量%〜約40重量%の塩を含有する、式II−s
【化17】

のスコピン塩であって;
式中、Xが、Br、Cl、SO4、MeCOO、PO4、MeSO3、酒石酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸又はアミドスルホン酸である塩を包含する。
【0025】
好ましくは、式II-sのスコピン塩は、約0.5重量%〜約20重量%の塩、より好ましくは約0.5重量%〜約15重量%の塩、さらにより好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の塩、そして最も好ましくは約0.5重量%〜約1重量%の塩を含有する。上述に記載されたように、該塩の含有量は、硫酸灰により測定することができる。
【0026】
好ましくは、該スコピン塩は、HBr、HCl、H2SO4、CH3COOH、H3PO4、MeSO3H、酒石酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、ホウ酸及びアミドスルホン酸から成る群から選択される。より好ましくは該塩はHBrである。
【0027】
式II−sの上記スコピン塩は、酸の添加前の反応混合物の濾過により得られる。該方法は:a)スコピン塩基及び不溶性無機塩、例えば、ホウ酸塩を含有する反応混合物から固形物を濾過し、濾液を産生する工程;b)該固形物を極性有機溶媒で洗浄する工程;c)水を該濾液に添加し、不溶性塩を沈殿させる工程;d)該濾液を濾過し、いずれかの沈殿した塩を除去する工程;e)該無機塩を極性有機溶媒で洗浄する工程;及びf)酸及び極性有機溶媒を該濾液に添加し、式II−sのスコピン塩を得る工程、を含んで成る。
【0028】
上記方法における水の添加は、残っている不溶性塩が沈殿することをもたらす。好ましくは水の添加後、該濾液は、約0.5時間〜約2時間、より好ましくは約1〜約1.5時間撹拌される。
【0029】
典型的には、水の添加は、沈殿物形成、及びこれにより懸濁液をもたらす。該懸濁液は真空下において濃縮され、水を除去し、これにより収率が増大する。好ましくは該懸濁液は55℃以下の温度、より好ましくは約25℃〜約55℃、最も好ましくは約30℃〜約35℃の温度で濃縮される。
【0030】
懸濁液を濃縮した後、これを濾過し、そして極性有機溶媒で2回洗浄する。好ましくは該極性有機溶媒は、C1-6アルコール、C4-8エーテル、C3-10ケトン、C2-4ニトリル、及びこれらの混合物から成る群から選択される。好ましくはC1-6アルコールはC1-4アルコール、より好ましくはC1-3アルコールである。好ましくはC1-3アルコールはメタノール、エタノール又はイソプロパノールである。さらに、無水エタノールを使用することができる。好ましくはC4-8エーテルはC4-6エーテル、より好ましくはC4-5エーテルである。好ましいC4-5エーテルはテトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンのいずれかである。好ましくはC3-10ケトンはC2-3ケトンである。好ましくはC2-3ケトンはアセトンである。好ましいC2-4ニトリルはC1-2ニトリルである。好ましくはC1-2ニトリルはアセトニトリルである。最も好ましくは該溶媒はエタノールである。
【0031】
好ましくは上記酸はHBrである。
【0032】
その後、得られた式II−sのスコピン塩は、式IVの臭化チオトロピウムに変換される。該変換は以下に示される。
【0033】
該新規な手法はまた、臭化チオトロピウムの調製方法であって:a)式I
【化18】

のメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコレート、弱無機塩基、極性有機溶媒、及び約0.5重量%〜約40重量%の塩を含有する式II−sのスコピン塩を混合する工程;b)式IIIのN−デメチル−チオトロピウムを供する混合物を加熱する工程;c)式IIIのN−デメチル−チオトロピウムを回収する工程;d)臭化メチル(MeBr)を伴う式IIIのN−デメチル−チオトロピウム及び有機溶媒を混合する工程、を含んで成る方法を含む。
【0034】
該方法は、以下のスキームにより説明される:
【化19】

式中Xは、Br、Cl、SO4、MeCOO、PO4、MeSO3、酒石酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸又はアミドスルホン酸である。
【0035】
式Iのグリコレートは、以下の式
【化20】

の2−ブロモ−チオフェン、Mg、及びエーテル溶媒を混合する工程;以下の式
【化21】

のジメチルオキサレートと混合し、クエンチする工程により調製することができる。
【0036】
2−ブロモ−チオフェン、Mg、及びエーテル溶媒の混合は、例えば、Nyberg, K. Acta Chemica Scandinavia, 24, 1970, 1590-1596に開示される方法に従い調製することができるグリニャール試薬を供する。
【0037】
式Iのメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコレートは、エタノールとヘプタン、無水エタノールとヘプタン、イソプロパノールとヘプタン、及びトルエンとヘプタンの混合物からの結晶化により精製することができる。
【0038】
式III
【化22】

のN−デメチル−チオトロピウムは、危険ではなく、工業規模調製に適当であり、かつ十分な収率を供する条件下において調製される。さらに、スコピン塩基の代わりのスコピン塩の使用、及び式IIIのN−デメチル−チオトロピウムの調製における穏やかな条件の適用は、以下のスキームにおいて示されるような、スコピンの塩基性媒体において生じる副生成物であるスコポリンへの変換を有意に減少する:
【化23】

【0039】
式III
【化24】

のN−デメチル−チオトロピウムの調製は、式I
【化25】

のメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコレート、弱無機塩基、極性有機溶媒、及び約0.5重量%〜約40重量%の塩を含有する式II−sのスコピン塩を混合し、混合物を得る工程、そして該混合物を加熱する工程を含んで成る。
【0040】
まず、式II−sのスコピン塩を極性有機溶媒中に懸濁させる。好ましくは該塩はHBr塩である。該極性有機溶媒は、アミド、スルホキシド、スルホン、芳香族炭化水素、ニトリル、及びこれらの混合物から成る群から選択される。好ましくは極性有機溶媒は、C1−C4アミド、C2−C4スルホキシド、C2−C4スルホン、C7−C8芳香族炭化水素、及びC2−C4ニトリルから成る群から選択される。好ましいC1−C4アミドはジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はジメチルアセトアミドである。好ましいC2−C4スルホキシドはジメチルスルホキシドである。好ましくはC2−C4スルホンはスルホランである。好ましくはC2−C4ニトリルはアセトニトリルである。好ましくはC7−C8芳香族炭化水素はトルエンである。より好ましくは、該極性有機溶媒はジメチルホルムアミドである。
【0041】
その後、弱無機塩基を新たな懸濁液を供する該懸濁液に添加する。典型的には、スコピンの遊離塩基を得るために、無水弱無機塩基、すなわち<0.5重量%の水を有するものがこのような反応に使用される。好ましくは該弱無機塩基は、約8〜約12、さらにより好ましくは約9〜約10のpKaを有する。好ましくは該弱無機塩基は、K2CO3、NaHCO3、Li2CO3、Cs2CO3、t−ButOK、及びt−ButOLiから成る群から選択される。より好ましくは該弱無機塩基はK2CO3である。
【0042】
該塩基の添加後、式Iのメチル−ジ−(2−チエニル)グリコレート及び該弱無機塩基の他の一部の混合物を、該新たな懸濁液に添加し、混合物を供する。
【0043】
式Iのメチル−ジ−(2−チエニル)グリコレートは、固体又は溶液として添加することができる。好ましくは式Iのメチル−ジ−(2−チエニル)グリコレートは、極性有機溶媒中の溶液として存在する。
【0044】
好ましくは該弱無機塩基は、式II−sのスコピン塩のモル等量あたり約0.45〜約2.5、より好ましくは約2〜約2.5モル等量の量における混合物中に存在する。該弱無機塩基は、スコピンの分解を防ぎ、かつ好ましい反応条件を供するために2つの部分において添加される。
【0045】
好ましくは、該弱無機塩基と式Iのメチル−ジ−(2−チエニル)グリコレートの混合物は、約25℃〜約65℃、より好ましくは約60℃〜約65℃の温度において添加される。
【0046】
典型的には、上記混合物は、式IIIのN−デメチル−チオトロピウムを供するために加熱される。好ましくは該混合物は70℃以下、より好ましくは約25℃〜約65℃、そして最も好ましくは約63℃〜約65℃の温度において加熱される。好ましくは加熱は約17〜約24時間、より好ましくは約18〜約20時間行われる。
【0047】
好ましくは、加熱は減圧下において行われる。通常「減圧」の用語は、約70〜約100ミリバールの気圧を意味する。
【0048】
通常、このような反応は不活性条件下、例えば、窒素雰囲気下で行われる。不活性条件は、第二の入口を介して反応中の不活性ガス、例えば、窒素及び/又はアルゴンの通気により供される。好ましくは、約1.8〜約2.6L/分、より好ましくは約2.0〜約2.4L/分、そしてよりさらに好ましくは約2.2〜約2.4L/分の速度において窒素が通気される。
【0049】
第二入口からの窒素の通気による減圧下における加熱は、メタノールの蒸発を助け、これは反応中に形成され、従って反応を生成物の形成にシフトする。
【0050】
式IIIのN−デメチル−チオトロピウムは、混合物を冷却し;酸を冷却した混合物に点ある態様において、して、有機相と水相を含んで成る2相系を供し;該水相を有機溶媒で抽出し;塩基を該水相に添加して式IIIのN−デメチル−チオトロピウムを沈殿させ;沈殿した式IIIのN−デメチル−チオトロピウムを濾過し;該N−デメチル−チオトロピウムを洗浄し、そして乾燥させることにより回収することができる。好ましくは該酸はHBrである。
【0051】
好ましくは、加熱した混合物は約10℃〜約−10℃、好ましくは約5℃〜約0℃に冷却される。
【0052】
好ましくは、酸の添加は、約2〜約3.5のpHを供する。好ましくは該有機溶媒はトルエンである。
【0053】
好ましくは、該弱無機塩基は、約0℃〜約5℃の温度において添加される。好ましくは、該弱無機塩基は、K2CO3、NaHCO3、Li2CO3、Cs2CO3、t−ButOK、及びt−ButOLiから成る群から選択される。該弱無機塩基はK2CO3である。
【0054】
好ましくは、約7のpHを得るために該沈殿物は水で洗浄する。
【0055】
任意的に、スコピン塩の代わりにスコピン塩基を使用することができる。スコピン塩基が使用される場合、典型的には、より少量の弱無機塩基が必要とされる。好ましくはスコピン塩基のモル等量あたり約1〜約1.5モル等量の弱無機塩基を使用することができる。
【0056】
得られた式IIIのN−デメチル−チオトロピウムをその後臭化チオトロピウムに変換することができる。該変換は、例えば、米国特許第5,610,163号に開示される方法により、あるいは以下に記載される本発明の方法により行うことができる。
【0057】
式IIIのN−デメチル−チオトロピウムの臭化チオトロピウムへの変換は、有機溶媒中での式IIIのN−デメチル−チオトロピウムと臭化メチルとの反応により行うことができる。
【0058】
まず、式IIIのN−デメチル−チオトロピウム及び有機溶媒を混合し、懸濁液を得る。好ましくは該有機溶媒は、C2-4ニトリル、C4-8直状若しくは環状エーテル、C2-4ニトリルとC4-8直状若しくは環状エーテルの混合物、C7-8芳香族炭化水素とC2-4ニトリルの混合物、及びC2-4ニトリルとC3-10ケトンの混合物から成る群から選択される。好ましくは、該C2-4ニトリルはアセトニトリルである。好ましいC4-8直状若しくは環状エーテルはテトラヒドロフランである。好ましくは、C2-4ニトリルとC4-8直状若しくは環状エーテルの混合物は、アセトニトリルとテトラヒドロフランのものである。好ましいC7-8芳香族炭化水素とC2-4ニトリルの混合物は、トルエンとアセトニトリルのものである。好ましくは、C2-4ニトリルとC3-10ケトンの混合物は、アセトンとアセトニトリルのものである。最も好ましくは、該溶媒はアセトニトリルである。
【0059】
その後、臭化メチルを該懸濁液に添加し、混合物を供する。臭化メチルはガス又は溶液として使用することができる。好ましくは臭化メチルは溶液として使用され、この場合、溶媒は上述の有機溶媒である。
【0060】
該混合物は約20℃〜約40℃の温度において維持される。好ましくは、該混合物は約20℃〜約25℃の温度において維持される。
【0061】
典型的には、該混合物は、臭化チオトロピウムの形成を許容するように維持される。好ましくは該混合物は約12〜約64時間、より好ましくは18〜約22時間維持される。
【0062】
それから、臭化チオトロピウムは、当業界に知られているいずれかの方法、例えば、濾過及び乾燥により回収することができる。臭化チオトロピウムはそれから、エタノールからの結晶化により精製することができる。好ましくは、粗臭化チオトロピウムはエタノール中に溶解される。より好ましくは、該エタノールは無水エタノールである。好ましくは該溶解は、約75〜約78℃の温度に加熱することにより行われる。典型的には、溶解後、該溶液は、臭化チオトロピウムの沈殿を誘発するために、約22〜約25℃の温度に冷却される。好ましくは冷却は、約6〜約8時間にわたり行われる。
【0063】
該沈殿物は、濾過、無水エタノールでの洗浄、及び乾燥により懸濁液から回収される。
【0064】
本発明は、一定の好ましい態様により説明されるが、他の態様もまた、本明細書の記載から当業者に明らかとなるだろう。本発明は、本発明の組成物の調製及びその使用方法を詳細に記載する以下の実施例に対する参照により更に明らかとされる。当業者にとって、物質及び方法の両方に対する多くの改変が、本発明の範囲から離れることなく実施できることは明らかであろう。
【実施例】
【0065】
スコピンHBr中の塩のレベルを測定するための硫酸灰化法:
【0066】
1g(正確に秤量した)のスコピンHBrを白金坩堝中においた。硫酸96%を添加し、それから恒量に達するまで600℃のオーブン中においた。中に有機残渣を伴う坩堝を秤量し、原料中に存在する無機塩のパーセントを得た。
【0067】
実施例1:比較実験:GB’781に従うスコピン塩酸塩の調製
【0068】
10.0g(22.84mmol)のスコポラミン臭化水素酸三水和物を、100mLの無水エタノール中に懸濁し、そして約0℃に冷却した。その後臭化水素酸ナトリウム(4.0g、105.7mmol)を添加し、一方最大30℃における温度に維持した。その後、4.8mLの水を反応混合物に添加した。3.5時間後、該反応を完了し、そして50mLのジエチルエーテルを添加した。その後、該反応物を0℃に冷却し、そしてジエチルエーテル中の2Mの塩酸で約2のpHに酸性化した。該懸濁液を室温で30分間撹拌し、その後GochP3で濾過した。白色の固形物を真空下において45℃で4時間乾燥させ、硫酸灰化法により79%の塩を含有する9gの生成物を産生した。
【0069】
実施例2:メチルジ−(2−チエニル)グリコレートの調製
【0070】
1050mLのテトラヒドロフランを2Lの丸底フラスコ中に充填した。22.6g(0.93mol)のマグネシウムターニング(magnesium turning)を添加し、そして該混合物を35℃に保ち、一方触媒性ブロモエタン(200mg、1.84mmol)を充填した。150g(0.92mol)の2−ブロモチオフェンを滴下し、約15%(13ml)の試薬を添加後、発熱を観察した。温度を最大50〜55℃に維持し、そして残っている2−ブロモチオフェンを添加した。添加の終了時に、該反応混合物を65℃で1.5時間〜2時間加熱し、その後25℃に冷却した。
【0071】
このように形成したグリニャール溶液を、約2時間〜3時間において、300mLのテトラヒドロフラン中に溶解したジメチルオキサレート(54.3g、0.46mol)の溶液中に滴下し、一方冷却浴を介して最大5〜10℃における温度に維持した。
【0072】
該溶液を撹拌しながら5〜10℃で0.5時間〜1.0時間保ち、その後飽和塩化アンモニウム(650gの固形塩化アンモニウムと2000mLの水の1400mLの混合物)を0℃で添加し、その間温度をモニターした(最大15〜20℃)。その後、150mLの水及び625mLのトルエンを添加した。分離した有機相を水(900mL)で、その後鹹水(900mL)で洗浄した。
【0073】
該有機相に、7.5gの木炭を添加し、そして該混合物を40℃に加熱し、そして該温度で1時間撹拌した。
【0074】
その後、該混合物をデカライト・パッド(decalite pad)で濾過し、そしてトルエンで3回洗浄した(3×150mL)。
【0075】
該溶液を真空下(約30mmHg)において50〜55℃で270mLに濃縮し、65℃に加熱し、その後2.5時間にわたり720mLのn−ヘプタンを滴下した。
【0076】
該溶液を65℃で1時間撹拌し、その後3時間で25℃に冷却した(約1℃/5分)。その後これを該温度において少なくとも8時間撹拌し、GochP3で濾過し、そして150mLのn−ヘプタンで1回洗浄した。
【0077】
得られたクリーム状の固形物を真空下において45℃で7時間乾燥させ、73.6g(63%全収率、HPLC純度99.8面積%)を産生した。
【0078】
実施例3:エタノール96%/n−ヘプタンにおけるメチルジ−(2−チエニル)−グリコレートの結晶化
【0079】
粗メチルジ−(2−チエニル)−グリコレート(2.0g)をエタノール96%(8.0ml)中に45℃で溶解させた。16.0mLのn−ヘプタンをその後45℃で20分間滴下した。該溶液を45℃で1時間維持し、その後これを0℃で1時間冷却し、そして該温度でさらに1時間維持した。固形物を焼結ガラス漏斗において濾過し、そしてこれをn−ヘプタン(2mL)で1回洗浄した。真空下において50℃で6時間乾燥させ、1.4gのメチルジ−(2−チエニル)−グリコレート(70%)を産生した。
【0080】
実施例4:無水エタノール/n−ヘプタンにおけるメチルジ−(2−チエニル)−グリコレートの結晶化
【0081】
粗メチルジ−(2−チエニル)−グリコレート(10.0g)を無水エタノール(30.0ml)中に55℃で溶解させた。80.0mLのn−ヘプタンをその後55℃で30分間滴下した。該溶液を55℃で1時間維持し、その後これを室温に3時間冷却し、そして該温度でさらに6時間維持した。固形物を焼結ガラス漏斗において濾過し、そしてこれをn−ヘプタン(10.0mL)で1回洗浄した。真空下において50℃で18時間乾燥させ、8.0gのメチルジ−(2−チエニル)−グリコレート(80%)を産生した。
【0082】
実施例5:イソプロパノール/n−ヘプタンにおけるメチルジ−(2−チエニル)−グリコレートの結晶化
【0083】
粗メチルジ−(2−チエニル)−グリコレート(5.0g)をイソプロパノール(20.0ml)中に60℃で溶解させた。40.0mLのn−ヘプタンをその後60℃で30分間滴下した。該溶液を45℃で1時間維持し、その後これを0℃に1時間冷却し、そして該温度でさらに1時間維持した。固形物を焼結ガラス漏斗において濾過し、そしてこれをn−ヘプタン(5.0mL)で1回洗浄した。真空下において50℃で12時間乾燥させ、3.6gのメチルジ−(2−チエニル)−グリコレート(72%)を産生した。
【0084】
実施例6:トルエン/n−ヘプタンにおけるメチルジ−(2−チエニル)−グリコレートの結晶化
【0085】
粗メチルジ−(2−チエニル)−グリコレート(250.0g)をトルエン(500.0mL)中に55℃で溶解させた。1750mLのn−ヘプタンをその後55℃で2.5時間滴下した。該溶液を55℃で1時間維持し、その後これを室温に16時間冷却し、その後0℃に冷却し、該温度でさらに2時間維持した。固形物を焼結ガラス漏斗において濾過し、そしてこれをn−ヘプタンで2回(2×150mL)洗浄した。真空下において50℃で16時間乾燥させ、184.1gのメチルジ−(2−チエニル)−グリコレート(73.6%)を産生した。
【0086】
実施例7:エタノール96%におけるスコピン臭化水素酸塩の調製
【0087】
100g(0.228mol)のスコポラミン臭化水素酸三水和物を、1000mLのエタノール96%中に懸濁し、そして0℃に冷却した。その後よくすり潰した水素化ホウ素ナトリウム(30.23g、0.80mol)を添加し、その間最大25〜30℃の温度に維持し、ガスの発生を確認した。
【0088】
該反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後、デカライト・パッドにおいて濾過し、そして100mLのエタノール96%で2回洗浄した。水(19mL)を濾過溶液に添加し、これを1.5時間撹拌し、そして得られた白色懸濁液を真空下(約30mmHg)において最大55℃で濃縮し、300mLの残渣を得た。室温で30分後、該残渣をGochP3で濾過し、そして50mLのエタノール96%で2回洗浄した。
【0089】
その後、該溶液を0℃に冷却し、そして30mLの臭化水素酸48%でpH1に酸性化した。700mLのテトラヒドロフランを3時間にわたり0℃で反応混合物中に滴下し、そしてこれを0℃で5時間維持した。その後、白色固形物をGochP3で濾過し、100mLのテトラヒドロフランで洗浄し、そして真空下において50℃で16時間乾燥させ、33.2gを産生した(64%の収率、硫酸灰0.7%)。
【0090】
実施例8:HBr48%における沈殿を伴う無水エタノールにおけるスコピン臭化水素酸塩の調製
【0091】
5g(11.4mmol)のスコポラミン臭化水素酸三水和物を、50mLの無水エタノール中に懸濁し、そして0℃に冷却した。その後よくすり潰した水素化ホウ素ナトリウム(1.73g、45.7mmol)を添加し、その間最大30℃の温度に維持した。
【0092】
その後、4.0mlの水を反応混合物中に添加し、それから30分後、該懸濁液をデカライト・パッドで濾過し、そして30mLの無水エタノールで洗浄した。
【0093】
得られた溶液を真空下において40℃で残渣15mLに濃縮し、室温で2時間後、GochP3で濾過し、4mLの無水エタノールで洗浄した。
【0094】
その後、溶液を0℃に冷却し、そして水中の臭化水素酸48%で、pH1となるように酸性化した。
【0095】
その後、15mLのテトラヒドロフランを0℃で反応混合物中に滴下し、そしてこれを0℃で2時間、その後室温で2日間維持した。白色固形物をGochP3で濾過し、そして真空下において50℃で16時間乾燥させ、1.4g(52%)を得た。他方の40mLのTHF(「テトラヒドロフラン」)を母液に0℃で添加し、さらに0.72%の塩を含有する700mgの生成物を得た。
【0096】
実施例9:HBr48%における沈殿を伴う無水エタノール(5vol)におけるスコピン臭化水素酸塩の調製
【0097】
10.0g(22.84mmol)のスコポラミン臭化水素酸三水和物を、50mLの無水エタノール中に懸濁し、そして0℃に冷却した。その後よくすり潰した水素化ホウ素ナトリウム(3.46g、68.6mmol)を添加し、その間最大30℃の温度に維持した。
【0098】
その後、4.8mlの水を反応混合物中に添加し、それから30分後、該懸濁液をデカライト・パッドで濾過し、そして10mLの無水エタノールで洗浄した。
【0099】
その後、該溶液を0℃に冷却し、そして水中の臭化水素酸48%で、pH1となるように酸性化した。
【0100】
100mLのテトラヒドロフランを0℃で反応混合物中に滴下し、そしてこれを0℃で8時間維持した。
【0101】
白色固形物をGochP3で濾過し、そして真空下において50℃で16時間乾燥させ、0.65%の塩を含有する12.8g(52%)を得た。
【0102】
実施例10:HBr48%における沈殿を伴うエタノールにおけるスコピン臭化水素酸塩の調製
【0103】
100g(0.22mol)のスコポラミン臭化水素酸三水和物を、1000mLのエタノール96%中に懸濁し、そして0℃に冷却した。その後よくすり潰した水素化ホウ素ナトリウム(30.23g、0.80mol)を添加し、その間最大25〜30℃の温度に維持し、ガスの発生を確認した。該反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後、デカライト・パッドで濾過し、そして100mLのエタノール96%で洗浄した。19mLの水を濾過溶液に添加し、そしてこれを1.5時間撹拌した。得られた白色懸濁液を真空下(約30mmHg)において、最大55℃で残渣300mLに濃縮し、室温で30分後、GochP3で濾過し、そして50mLのエタノール96%で2回洗浄した。その後、該溶液を0℃に冷却し、そして30mLの臭化水素酸48%で、pH1となるように酸性化した。1000mLのテトラヒドロフランを0℃で3時間にわたり反応混合物中に滴下し、そして0℃で4〜5時間維持した。その後、白色固形物をGochP3で濾過し、100mLのテトラヒドロフランで洗浄し、そして真空下において50℃で16時間乾燥させ、45.9g(85.6%の収率、硫酸灰12.7%)を産生した。
【0104】
実施例11:N−デメチル−チオトロピウムの調製
15g(0.064mol)のスコピン臭化水素酸塩を、165mLのジメチルホルムアミド中に25℃で懸濁し、その後17.6g(0.127mol)の無水炭酸カリウムを添加し、そして該混合物を室温で約60分間撹拌した。16.2g(0.064mol)のメチルジ−(2−チエニル)−グリコレートを30mLのジメチルホルムアミド中に、4.4g(0.032mol)の無水炭酸カリウムと共に溶解し、そしてこれらを該反応混合物に約60〜65℃において添加した。該懸濁液を、真空下(70〜100mbar)で、窒素ストリッピング(2.2〜2.4L/分)下で18時間、65℃に加熱した。該反応の最後に、希DMF(「ジメチルホルムアミド」)を、該反応混合物に再導入し、そしてさらに総量15容量(225mL)について2容量のDMFを添加した。該反応混合物を0℃に冷却し、そして約168mLの2MのHBrでpH3に酸性化した(添加中の温度は20℃以下)。得られた溶液を85mLのトルエンで2回抽出し、その後、あわせた水相を0〜5℃に冷却し、そして8.5gの固形の炭酸カリウムでpH9に塩基化した。0℃で1時間後、固形物をGochP3で濾過し、そしてpH7となるように60mLの水で5回洗浄した。該固形物を真空下において45℃で16時間乾燥させ、16.5g(69%の収率、98.3%のHPLC純度)を産生した。
【0105】
実施例12:高パーセントの塩を含有するスコピンを伴うN−デメチル−チオトロピウムの調製
【0106】
69%の無機塩を含有する3.0g(0.012mol)のスコピン臭化水素酸塩を27mLのジメチルホルムアミド中に室温で懸濁し、その後3.4g(0.025mol)の無水炭酸カリウムを添加し、そして該混合物を室温で約60分間撹拌した。3.1g(0.012mol)のメチルジ−(2−チエニル)−グリコレートを、0.85g(0.006mol)の無水炭酸カリウムと共に9mLのジメチルホルムアミド中に溶解し、これらを該反応混合物に約60〜65℃で添加した。該懸濁液を、真空下(70〜100mbar)で、窒素ストリッピング(2.2〜2.4L/分)下で18時間、65℃に加熱した。該反応の最後に、希DMFを、該反応混合物に再添加し、そしてさらに総量15容量(45mL)について2容量のDMFを添加した。該反応混合物を0℃に冷却し、そして33mLの2MのHBrでpH3に酸性化した(添加中の温度は20℃以下)。得られた溶液を15mLのトルエンで2回抽出し、その後、あわせた水相を0〜5℃に冷却し、そして7.1gの固形の炭酸カリウムでpH9に塩基化した。0℃で1時間後、固形物をGochP3で濾過し、そしてpH7となるように30mLの水で5回洗浄した。該固形物を真空下において45℃で16時間乾燥させ、1.8g(37.5%の収率、70%のHPLC純度)を産生した。
【0107】
実施例13:スコピン塩基及び弱無機塩基からのN−デメチル−チオトロピウムの調製
【0108】
5.45g(0.023mol)のスコピン臭化水素酸塩を30mLのDCMに懸濁し、その後5g(0.036mol)の炭酸カリウムを添加した。該反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後GochP3で濾過し、そしてアセトニトリルで数回洗浄した(約10mlのアセトニトリルを使用)。濾過した溶液の蒸発後、2.78gのスコピン塩基が得られた(77.5%の収率)。3.0g(0.02mol)のスコピン塩基を室温で27mLのジメチルホルムアミドに懸濁し、その後2.7g(0.02mol)の無水炭酸カリウムを添加し、そして該混合物を室温で約60分間添加した。4.9g(0.02mol)のメチルジ−(2−チエニル)−グリコレートを、1.33g(0.0096mol)の無水炭酸カリウムと共に9mLのジメチルホルムアミド中に溶解し、これらを該反応混合物に約60〜65℃で添加した。該懸濁液を、真空下(70〜100mbar)で、窒素ストリッピング(2.2〜2.4L/分)下で18時間、65℃に加熱した。該反応の最後に、希DMFを、該反応混合物に再添加し、そしてさらに総量15容量(45mL)について2容量のDMFを添加した。該反応混合物を0℃に冷却し、そして33mLの2MのHBrでpH3に酸性化した(添加中の温度は20℃以下)。得られた溶液を15mLのトルエンで2回抽出し、その後、あわせた水相を0〜5℃に冷却し、そして7.1gの固形の炭酸カリウムでpH9に塩基化した。0℃で1時間後、固形物をGochP3で濾過し、そしてpH7となるように30mLの水で5回洗浄した。該固形物を真空下において45℃で16時間乾燥させ、5.1g(69.5%の収率、98.5%のHPLC純度)を産生した。
【0109】
実施例14:臭化チオトロピウムの調製
【0110】
0.5gのN−デメチルチオトロピウム(1.33mmol)を、5mLのCH3CNと共に、窒素下においてフラスコ中で懸濁した。CH3CN(0.00266mol)中の0.525gのCH3Br48%w/w溶液を入れ、そして該懸濁液を22℃で20時間撹拌した。該生成物を濾過し、そして1mLのCH3CNで洗浄した。375mgのチオトロピウムを得た(HPLC純度92.21%、出発物質7.68%)。
【0111】
実施例15:臭化チオトロピウムの調製
【0112】
0.52gのN−デメチルチオトロピウム(1.39mmol)を、5.23gのCH3CNと共に、窒素下においてフラスコ中で懸濁した。CH3CN(0.0071mol)中の1.35gのCH3Br50%w/w溶液を入れ、そして該懸濁液を22℃で12時間撹拌した。該生成物を濾過し、そして1mLのCH3CNで洗浄した。572mgの湿ったチオトロピウムを得た(HPLC純度99.89%、出発物質0.07%)。
【0113】
実施例16:臭化チオトロピウムの調製
【0114】
4.96gのN−デメチルチオトロピウム(13.2mmol)を、49.6mLのCH3CNと共に、窒素下においてフラスコ中に入れた。懸濁液が得られた。の12.61gのCH3Br50%w/w−CH3CN溶液−(0.066mol)を入れた。該懸濁液を22℃で64時間撹拌した。該生成物を濾過し、そして2mLのCH3CNで洗浄した。6.93gの湿ったチオトロピウムが得られ、そして真空下において45℃で22時間乾燥させた(残留圧力4mbar)。5.9gの乾燥生成物(純度99.8%、出発物質0.107%)が得られた。
【0115】
実施例17:臭化チオトロピウムの結晶化
【0116】
粗臭化チオトロピウム(1.00g)を無水エタノール(65mL)中に78℃で溶解させた。該溶液を78℃に約30分間加熱し、その後22℃で少なくとも6時間冷却した。得られた懸濁液を22℃で少なくとも3時間維持し、その後焼結ガラスロートにおいて濾過し、そして固形物を無水エタノールで2回洗浄した(2×1.0mL)。該固形物を、N2流下において22℃で30分間、その後減圧下(17mbar)において60℃で9時間乾燥させた。0.66gの臭化チオトロピウムが得られた。
【0117】
実施例18:臭化チオトロピウムエタノレートからの臭化チオトロピウム一水和物の調製
【0118】
実施例16由来の13.45gの乾燥臭化チオトロピウムを80.7mLの水中に懸濁し、そして該懸濁液を室温で4時間撹拌した。これを濾過した後、10mLの水での洗浄を行った。該生成物を真空下かつ窒素下において室温で15分間濾過した。11.66gの一水和物が得られた。試料における水の含量は4.3%であった(TGA分析)。
【0119】
実施例19:米国特許第5,610,163号に従うN−デメチルチオトロピウムからの臭化チオトロピウムの比較調製
【0120】
10.0g(0.0265mol)のスコピンジ−(2−チエニル)グリコレートを、20mLの無水塩化メチレン及び30mLの無水アセトニトリルを含んで成る混合物中に溶解させ、そして12.8g(0.1325mol)の臭化メチル(無水アセトニトリル中50%強度溶液として)で処理し、そして該反応混合物を、固く密封した反応容器中、室温で24時間おいた。この間において結晶が沈殿した。これらを溶液から濾過により除き、塩化メチレンを使用して洗浄し、そして35℃−減圧下で乾燥させた。減圧下における111℃での乾燥後、白色結晶が(メタノール/アセトンから)得られた。融点217.8℃(分解)。
【0121】
実施例20:HCl37%において沈殿を伴う無水エタノール(5vol)中のスコピン塩酸塩の調製
【0122】
10.0g(22.84mmol)のスコポラミン臭化水素酸塩三水和物を50mLの無水エタノール中に懸濁し、そして0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(3.46g、68.6mmol)を添加し、その間最大30℃の温度に維持した。
【0123】
その後4.8mLの水を反応混合物に添加し、30分後、懸濁液をデカライト・パッドで濾過し、そして10mLの無水エタノールで洗浄した。
【0124】
その後、該溶液を0℃に冷却し、そしてpH1とするために水中の塩酸37%で酸性化した。
【0125】
100mLのテトラヒドロフランを該反応溶液に0℃で添加し、そしてこれを0℃で8時間維持した。
【0126】
白色固形物をGochP3で濾過し、そして真空下において50℃で16時間乾燥させ、12.8g(52%)を産生した。
【0127】
実施例21:N−デメチル−チオトロピウムの調製
【0128】
13.2g(0.064mol)のスコピン塩酸塩を、165mLのジメチルホルムアミド中に25℃で懸濁し、その後17.6g(0.127mol)の無水炭酸カリウムを添加し、そして該混合物を室温で約60分間撹拌した。16.2g(0.064mol)のメチルジ−(2−チエニル)グリコレートを、4.4g(0.032mol)の無水炭酸カリウムと共に30mLのジメチルホルムアミド中に溶解し、これらを約60〜65℃において反応混合物に添加した。該懸濁液を、真空下(70〜100mbar)で、窒素ストリッピング(2.2〜2.4L/分)下で18時間、65℃に加熱した。
【0129】
該反応の最後に、希DMFを、該反応混合物に再導入し、そしてさらに総量15容量(225mL)について2容量のDMFを添加した。該反応混合物を0℃に冷却し、そして168mLの2MのHBrでpH3に酸性化した(添加中の温度は20℃以下)。得られた溶液を85mLのトルエンで2回抽出し、その後、あわせた水相を0〜5℃に冷却し、そして8.5gの固形の炭酸カリウムでpH9に塩基化した。0℃で1時間後、固形物をGochP3で濾過し、そしてpH7となるように60mLの水で5回洗浄した。該固形物を真空下において45℃で16時間乾燥させ、16.5g(69%の収率、98.3%のHPLC純度)を産生した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.5重量%〜約40重量%の塩を含んで成る、式II−s
【化1】

のスコピン塩であって;
式中、Xが、Br、Cl、SO4、MeCOO、PO4、MeSO3、酒石酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸及びアミドスルホン酸から成る群から選択される、塩。
【請求項2】
前記式中、XがBrである、請求項1に記載のスコピン塩。
【請求項3】
前記塩含有量が、約0.5重量%〜約20重量%である、請求項1又は請求項2に記載のスコピン塩。
【請求項4】
前記スコピン塩が、HBr、HCl、H2SO4、CH3COOH、H3PO4、MeSO3H、酒石酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、ホウ酸及びアミドスルホン酸のスコピン塩から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスコピン塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のスコピン塩の調製方法であって:
a. 前記スコピン塩を含有する反応混合物を濾過し、濾液を産生する工程、
b. 該濾液に水を添加し、不溶性塩を沈殿させる工程;
c. 該不溶性塩を該濾液から濾過する工程;
d. 酸を該濾液に添加し、前記スコピン塩を沈殿させる工程;そして
e. 該沈殿したスコピン塩を回収する工程、
を含んで成る、方法。
【請求項6】
前記酸がHBrである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記沈殿したスコピン塩を極性有機溶媒で洗浄する工程を含んで成る、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記極性有機溶媒が、C1-6アルコール、C4-8エーテル、C3-10ケトン、C2-4ニトリル、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記極性有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1,4−ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
臭化チオトロピウムを調製するための方法であって、請求項5の方法により約0.5重量%〜約40重量%の塩を含有する式II−sのスコピン塩を調製し、そしてこれを臭化チオトロピウムに変換する工程を含んで成る、方法。
【請求項11】
式III
【化2】

のN−デメチル−チオトロピウムの調製方法であって、
式I
【化3】

のメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコレートと請求項1〜4のいずれか一項に記載のスコピン塩を反応させる工程を含んで成る、方法。
【請求項12】
前記方法が、式I
【化4】

のメチル−ジ−(2−チエニル)−グリコレート、弱無機塩基、極性有機溶媒、及び約0.5重量%〜約40重量%の塩を含有する式II−sのスコピン塩を混合し、混合物を得、そして該混合物を加熱する工程を含んで成る方法。
【請求項13】
前記混合の前に前記スコピン塩が極性有機溶媒中で懸濁される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記弱無機塩基が、新たな懸濁液を供する前記懸濁液に添加される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記弱有機塩基が無水である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記弱無機塩基が、約8〜約12のpKaを有する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記弱無機塩基が、K2CO3、NaHCO3、Li2CO3、Cs2CO3、t−ButOK、及びt−ButOLiから成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記弱無機塩基が、K2CO3である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記弱無機塩基の添加後、前記メチル−ジ−(2−チエニル)−グリコレート及び前記弱無機塩基の他の部分を前記新たな懸濁液に添加し、混合物を供する、請求項12〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記メチル−ジ−(2−チエニル)−グリコレートが、極性有機溶媒中の溶液において添加される、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記極性有機溶媒が、C1−C4アミド、C2−C4スルホキシド、C2−C4スルホン、C7−C8芳香族炭化水素、及びC2−C4ニトリルから成る群から選択される、請求項12〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記極性有機溶媒が、ジメチルホルムアミドである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記弱無機塩基の量が、前記スコピン塩のモル等量あたり約0.45〜約2.5モルである、請求項12〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記弱無機塩基の添加が、約25℃〜約65℃の温度で行われる、請求項14〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記混合物が、約70℃以下の温度に加熱される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記N−デメチル−チオトロピウムを回収する工程を含んで成る、請求項11〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
スコピン塩基が、前記スコピン塩の代わりに使用される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項28】
スコピン塩基が使用され、かつ該スコピン塩基のモル等量あたり、約1〜1.5モル等量の前記弱無機塩基が使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項29】
臭化チオトロピウムの調製方法であって、以下の工程:
a. 請求項11〜28のいずれか一項に記載の方法により、N−デメチル−チオトロピウムを調製する工程;そして
b. 有機溶媒中で該N−デメチル−チオトロピウムと臭化メチルを反応させ、臭化チオトロピウムを形成する工程、
を含んで成る方法。
【請求項30】
前記有機溶媒が、C2-4ニトリル、C4-8直状若しくは環状エーテル、C2-4ニトリルとC4-8直状若しくは環状エーテルの混合物、C7-8芳香族炭化水素とC2-4ニトリルの混合物、及びC2-4ニトリルとC3-10ケトンの混合物から成る群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記有機溶媒が、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルとテトラヒドロフランの混合物、トルエンとアセトニトリルの混合物及びアセトンとアセトニトリルの混合物から成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記有機溶媒が、アセトニトリルである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
式IIIのN−デメチルチオトロピウム又は臭化チオトロピウムの製造のための方法における、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスコピン塩の使用。

【公開番号】特開2012−197282(P2012−197282A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−115710(P2012−115710)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2007−181381(P2007−181381)の分割
【原出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(505216117)シコール インコーポレイティド (35)
【Fターム(参考)】