説明

舗装機械のバンパストッパ

【課題】 従来のアスファルトフィニッシャでは、路面から車両のリヤバンパまでの高さによっては、車両からホッパーに舗装材を供給する際に、プッシュローラを車両の後車輪に当接させられず、車両からホッパーに舗装材を供給できなくなるという問題点があった。
【解決手段】 アスファルトフィニッシャ1が備えるホッパー11の前壁11aの下方におけるアスファルトフィニッシャ1の車台1aの幅方向には、バンパストッパ2が備えられている。車台1aの前端における幅方向の両側には、プッシュローラ19,19が取り付けられている。バンパストッパ2は、緩衝用ゴム板21で覆われた前端面がプッシュローラ19,19より上方であって、かつ、バンパストッパ2より後側に位置するように、車台1aに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装材を路面に撒いて敷き均す舗装機械に取り付けられる舗装機械のバンパストッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、下記の特許文献1に開示された舗装機械がある。この舗装機械では、ダンプカーといった車両の荷台から投下されてホッパに収容された舗装材がバーフィーダでスクリュに送られ、このスクリュによって路面の左右に広げられて、スクリードによって路面に敷き均される。舗装機械の前端にはプッシュローラが設けられている。プッシュローラは、ダンプカーの荷台から投下された舗装材がホッパーに収容される際に、ダンプカーの後車輪に当接され、押し付けられる。舗装機械は、プッシュローラを介してダンプカーを押し、その荷台からホッパに舗装材の供給を受けながら前進して、路面を舗装する。
【特許文献1】特開平7−102520号公報(段落[0009],[0010],[0014]〜[0016])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の舗装機械では、路面から車両のリヤバンパまでの高さによっては、車両からホッパーに舗装材を供給する際に、車両のリヤバンパがホッパーの前壁に衝突してしまう場合がある。この場合、プッシュローラを車両の後車輪に当接させることが出来ず、車両がホッパーに近づけなくなって車両からホッパーに舗装材を供給できなくなるという問題が従来あった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、舗装材が投下される前側に構成された前壁が底面から斜め前方に向けて延出して形成された、車台上に設けられたホッパーと、車台前端に設けられたプッシュローラとを備える舗装機械に取り付けられ、弾性体で覆われた前端面がプッシュローラより上方であってかつ後側に位置するように、ホッパーの前壁の下方における車台の幅方向に設けられ、前方から加えられる押圧力に応じて揺動自在に構成して、舗装機械のバンパストッパを構成した。
【0005】
この構成によれば、底面から斜め前方に向けて延出して形成されたホッパーの前壁の下方にバンパストッパが設けられているので、路面から車両のリヤバンパまでの高さがホッパーの前壁に衝突してしまう高さの場合、前壁の下方に設けられたバンパストッパに車両のリヤバンパを当接させることができる。また、路面から車両のリヤバンパまでの高さがホッパーの前壁よりも高い場合、バンパストッパの前端面より下方に設けられたプッシュローラに車両の後輪を当接させることができる。従って、車両の種類にかかわらず、車両の荷台から投入される舗装材がホッパー内からこぼれない距離にまで車両をホッパーに近づけて、ホッパーに舗装材を供給することができる。この結果、車両の種類にかかわらず、車両からホッパーへの舗装材の供給を円滑に行うことができる。また、前方から加えられる押圧力に応じて揺動自在にバンパストッパが構成されているので、バンパストッパを車両のリヤバンパに当接させた際に、バンパストッパの前端面とリヤバンパの後端面とが面接触せずに片当りした場合でも、リヤバンパから加えられる押圧力によってバンパストッパが揺動するため、バンパストッパの前端面とリヤバンパの後端面とが面接触させられ、リヤバンパとバンパストッパとの片当りを解消することができる。また、バンパストッパの前端面が弾性体で覆われているので、車両のリヤバンパとバンパストッパとが当接する際に生じる衝撃は、弾性体によって吸収され、この衝撃に起因して路面に傷が生じることを防止することができる。
【発明の効果】
【0006】
このような本発明によれば、上述したように、路面から車両のリヤバンパまでの高さがホッパーの前壁に衝突してしまう高さの場合にも、前壁の下方に設けられたバンパストッパに車両のリヤバンパを当接させることができるので、車両からホッパーへの舗装材の供給を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0008】
図1は本発明の一実施形態によるアスファルトフィニッシャ1の側面図、図2はアスファルトフィニッシャ1の構成の概略を示す図である。
【0009】
図1および図2に示すように、アスファルトフィニッシャ1は、舗装材としてアスファルト合材Kが積み込まれるホッパー11が車台1aの前部に設けられている。ホッパー11の後方の車台1aには、ホッパー11に積み込まれた合材Kを搬送するコンベヤ12と、路面上の合材Kを左右の幅方向に撒き出すスクリュスプレッダ13とが設けられている。スクリュスプレッダ13は、スクリュ軸の外周にスクリュ羽根が形成されており、スクリュ軸が定速回転するのに伴いスクリュ羽根が旋回し、コンベヤ12から路面上に落下した合材Kを左右の幅方向に撒き出す。車台1aの後方には、撒き出した合材Kを締め固めて舗装面を平滑に仕上げるスクリード装置14が設けられている。アスファルトフィニッシャ1は、車台1aの後方に設けられた左右で一対の後方駆動輪15a,15b、および車台1aの前方に設けられた左右で一対の前方駆動輪16a,16bによって走行し、スクリード装置14を牽引する。また、車台1a上部には操作部17と運転席18が設けられている。操作部17には、スクリード装置14等を操作するためのレバーやスイッチが設けられている。
【0010】
図3は図1に示すアスファルトフィニッシャ1のホッパー11より前側の部分の平面図、図4は図3に示すアスファルトフィニッシャ1の側面図、図5は図3に示すアスファルトフィニッシャ1の正面図、図6(a)は図3に示すホッパー11に合材Kを供給する時における車台1aをA−A線で破断した縦断面図、図6(b)は車台1aをB−B線で破断した縦断面図である。
【0011】
図1および図4に示すように、ホッパー11は、合材Kが投下される前側に構成された前壁11aが、その底面から斜め前方に向けて延出して形成されている。また、図1,図3,および図4に示すように、ホッパー11の前壁11aの下方における車台1aの幅方向には、断面が略T字状をしたバンパストッパ2が備えられている。バンパストッパ2は、図3に示すように長手方向中央部に後方に向けて円弧状に突出した突出部を有する水平板の前方の端面に、長方形状の垂直板が断面略T字状に設けられて構成されている。垂直板の前端面には、垂直板と同じ長方形状をした緩衝用ゴム板21が弾性体として貼り付けられている。このバンパストッパ2は、水平板の突出部に形成された孔に軸31が挿通されている。軸31は、車台1aの幅方向の中央部におけるホッパー11の前壁11aの下方に設けられた、断面がコの字状をした軸受3によって立設されている。バンパストッパ2は、前方から加えられる押圧力に応じて軸31を中心として左右方向に自在に揺動する。
【0012】
また、車台1aの前端における幅方向の両側には、プッシュローラ19,19が軸19a,19aを中心として回転自在に取り付けられている。このプッシュローラ19,19は、ダンプカー6の荷台62から投下された合材Kがホッパー11に収容される際に、ダンプカー6の後輪61,61に当接される。図6に示すように、バンパストッパ2の前端面の下縁の路面からの高さH2は、プッシュローラ19,19の上端の路面からの高さH1よりも高い位置にある。また、バンパストッパ2の前端面は、プッシュローラ19,19の前端よりも水平方向に距離L1だけ後方に位置している。つまり、バンパストッパ2は、緩衝用ゴム板21で覆われた前端面がプッシュローラ19,19より上方であって、かつ、バンパストッパ2より後側に位置するように、ホッパー11の前壁11aの下方における車台1aの幅方向に設けられている。
【0013】
また、図3および図5に示すように、ホッパー11は、横断面がL字形をした側壁11b,11bを有しており、前壁11aは三角板11cに挟まれている。側壁11b,11bは、アスファルトフィニッシャ1の内側に図5に2点鎖線で示すように折り畳めるように、アスファルトフィニッシャ1の車台1aに回転自在に取り付けられている。図6(a)に示すように、前壁11aの前端11aは、前方に向けて折れ曲がっており、ダンプカー6の荷台62の後縁と接触しない構成をしている。また、同図(b)に示すように、三角板11cの上端部には、荷台進入用ゴム板11dが取り付けられている。荷台進入用ゴム板11dは、ダンプカー6の荷台62の後縁と接触して撓わみ、合材Kがホッパー11からこぼれおちるのを防止する。
【0014】
次に、本実施形態によるアスファルトフィニッシャ1の動作について説明する。
【0015】
アスファルトフィニッシャ1は、ダンプカー6の後方からダンプカー6に近づく。このときに路面からダンプカー6のリヤバンパ64までの高さH2(図6参照)が、ホッパー11の前壁11aに衝突してしまう高さの場合、ダンプカー6のリヤバンパ64は、ホッパー11の前壁11aの下方に設けられたバンパストッパ2に当接する。アスファルトフィニッシャ1は、バンパストッパ2の前端面がリヤバンパ64の後端面と面接触した状態で、バンパストッパ2を介してダンプカー6を前方に押しながら前進する。この際、ダンプカー6の荷台62が図6に示すようにダンプさせられ、荷台62に積載された合材Kがアスファルトフィニッシャ1のホッパー11内に投下されながら、アスファルトフィニッシャ1は前進する。ホッパー11内に投下された合材Kは、コンベヤ12によって後方に搬送されて路面に落下し、スクリュスプレッダ13によって左右の幅方向に撒き出される。撒き出された合材Kは、スクリード装置14によって敷き均される。
【0016】
また、路面からダンプカー6のリヤバンパ64までの高さH2(図6参照)が、ホッパー11の前壁11aの高さより高い場合には、バンパストッパ2の下方に設けられたプッシュローラ19,19は、ダンプカー6の後輪61,61に当接する。アスファルトフィニッシャ1は、プッシュローラ19,19が後輪61,61と接触した状態で、プッシュローラ19,19を介してダンプカー6を前方に押しながら前進する。この際、ダンプカー6の荷台62がダンプさせられ、荷台62に積載された合材Kがアスファルトフィニッシャ1のホッパー11内に投下されながら、アスファルトフィニッシャ1は前進する。ホッパー11内に投下された合材Kは、コンベヤ12によって後方に搬送されて路面に落下し、スクリュスプレッダ13によって左右の幅方向に撒き出される。撒き出された合材Kは、スクリード装置14によって敷き均される。
【0017】
このように本実施形態によるアスファルトフィニッシャ1によれば、底面から斜め前方に向けて延出して形成されたホッパー11の前壁11aの下方にバンパストッパ2が設けられているので、路面からダンプカー6のリヤバンパ64までの高さH2がホッパー11の前壁11aに衝突してしまう高さの場合、前壁11aの下方に設けられたバンパストッパ2にダンプカー6のリヤバンパ64を当接させることができる。また、路面からダンプカー6のリヤバンパ64までの高さH2がホッパー11の前壁11aよりも高い場合には、バンパストッパ2の前端面より下方に設けられたプッシュローラ19,19にダンプカー6の後輪61,61を当接させることができる。従って、ダンプカー6の種類にかかわらず、ダンプカー6の荷台62から投入される合材Kがホッパー11内からこぼれない距離にまでダンプカー6をホッパー11に近づけて、ホッパー11に合材Kを供給することができる。この結果、ダンプカー6の種類にかかわらず、ダンプカー6からホッパー11への合材Kの供給を円滑に行うことができる。また、前方から加えられる押圧力に応じて揺動自在にバンパストッパ2が構成されているので、バンパストッパ2をダンプカー6のリヤバンパ64に当接させた際に、バンパストッパ2の前端面とリヤバンパ64の後端面とが面接触せずに片当りした場合でも、リヤバンパ64から加えられる押圧力によってバンパストッパ2が揺動するため、バンパストッパ2の前端面とリヤバンパ64の後端面とが面接触させられ、リヤバンパ64とバンパストッパ2との片当りを解消することができる。また、バンパストッパ2の前端面が緩衝用ゴム板21で覆われているので、ダンプカー6のリヤバンパ64とバンパストッパ2とが当接する際に生じる衝撃は、緩衝用ゴム板21で吸収され、この衝撃に起因して路面に傷が生じることを防止することができる。
【0018】
なお、上記実施形態の説明では、バンパストッパ2が左右方向のみに揺動する構成である場合について説明した。しかし、前方から受ける押圧力に応じて揺動するのであれば、その方向は任意であり、例えば上下方向にもバンパストッパ2が揺動する構成としても、全周方向に揺動する構成としてもよい。また、バンパストッパ2をアスファルトフィニッシャ1に支持する構成や、バンパストッパ2の形状等の構成も任意であり、適宜変更して差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0019】
上記実施形態においては、本発明による舗装機械をアスファルトフィニッシャ1に適用した場合について説明したが、コンクリートフィニッシャといった他の舗装機械に本発明を適用することも可能である。このような舗装機械に本発明を適用した場合においても上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態によるアスファルトフィニッシャの外観を示す側面図である。
【図2】図1に示すアスファルトフィニッシャの構成の概略を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるアスファルトフィニッシャのホッパーより前側の部分の平面図である。
【図4】図3に示すアスファルトフィニッシャの側面図である。
【図5】図3に示すアスファルトフィニッシャの正面図である。
【図6】(a)は図3に示すホッパーに合材を供給する時における車台をA−A線で破断した縦断面図、(b)は車台をB−B線で破断した縦断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1…アスファルトフィニッシャ
11…ホッパー
11a…前壁
11b…側壁
11a…前壁先端
11c…三角板
11d…荷台進入用ゴム板
19…プッシュローラ
2…バンパストッパ
21…緩衝用ゴム板
3…軸受
31…軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装材が投下される前側に構成された前壁が底面から斜め前方に向けて延出して形成された、車台上に設けられたホッパーと、前記車台前端に設けられたプッシュローラとを備える舗装機械に取り付けられ、
弾性体で覆われた前端面が前記プッシュローラより上方であってかつ後側に位置するように、前記ホッパーの前記前壁の下方における前記車台の幅方向に設けられ、前方から加えられる押圧力に応じて揺動自在に構成されたことを特徴とする舗装機械のバンパストッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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