説明

航空バッゲージタグ

【課題】基材シートの両端裏面側に粘着剤層を設けないでも、簡単にループ状にして手荷物に取り付けられ、剥離紙を剥す手間を無くし、剥離紙を剥した後に粘着剤が他の物に付いてしまったり、剥離した剥離紙がゴミとして発生しないようにした航空バッゲージタグを提供する。
【解決手段】両端部分を貼り合わせて、ループ状にして手荷物に取り付けることが可能な帯状の基材シート2を有する航空バッゲージタグ1であって、前記基材シートの同一面又は表裏面であって、該基材シートの長手方向に対して、中央部分から一方側の領域上に、2液を混合させることにより硬化する第1の樹脂が内包されたマイクロカプセル9が塗布され、前記中央部分から他方側の領域上に、前記マイクロカプセルに内包された第1の樹脂と混合させることにより硬化する第2の樹脂10が塗布されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループ状にして手荷物に取り付けることが可能な帯状の基材シートを有する航空バッゲージタグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空港における搭乗者の手荷物管理として、手荷物の取っ手などにループ状に巻き付けて使用する航空バッゲージタグが使用されている。
これらの航空バッゲージタグには、予めバーコードなどの機械読取コードが表示されて、搭乗手続きなどの際に、リーダライタで機械読取コードの読み取り処理を行ったりして、手荷物情報の管理を効率的に行えるようにシステム化されている。
【0003】
また、近年では、機械読取コードを表示する換わりに、ベースフィルム基材上に配置されたアンテナコイルと、前記アンテナコイルに接続されたICチップとからなるインレットとを有する航空バッゲージタグが開発され、公知となっているが、これら、従来のバッゲージタグは、ループ状にして手荷物に取り付けるために、基材シートの両端裏面側に粘着剤層が設けられ、粘着剤層の表面上に剥離紙が剥離可能に貼付されている構成を有している。(例えば、特許文献1〜3、参照)
【0004】
【特許文献1】特開2002−362730号
【特許文献2】特開2003−288572号
【特許文献3】特開2004−317544号
【0005】
しかしながら、基材シートの両端裏面側に粘着剤層を設けた場合には、航空バッゲージタグを手荷物に添付させる際に、粘着剤層に剥離可能に貼付させた剥離紙を剥す手間が有り、更に、剥離紙を剥した後に粘着剤が他の物に付いてしまうこともあるという問題がある。
また、剥離した剥離紙は捨てることで、ゴミが出るという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記問題を解決するために、基材シートの両端裏面側に粘着剤層を設けないでも、簡単にループ状にして手荷物に取り付けることを可能にすると共に、剥離紙を剥す手間を無くし、剥離紙を剥した後に粘着剤が他の物に付いてしまったり、剥離した剥離紙がゴミとして発生しないようにした航空バッゲージタグを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の航空バッゲージタグは、両端部分を貼り合わせて、ループ状にして手荷物に取り付けることが可能な帯状の基材シートを有する航空バッゲージタグであって、前記基材シートの同一面又は表裏面であって、該基材シートの長手方向に対して、中央部分から一方側の領域上に、2液を混合させることにより硬化する第1の樹脂が内包されたマイクロカプセルが塗布され、前記中央部分から他方側の領域上に、前記マイクロカプセルに内包された第1の樹脂と混合させることにより硬化する第2の樹脂が塗布されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の航空バッゲージタグは、前記第2の樹脂が、マイクロカプセルに内包された状態で、前記基材シートに塗布されていることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明の航空バッゲージタグは、前記第1の樹脂と、前記第2の樹脂とが塗布されている領域の間に、樹脂が塗布されていない領域が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の航空バッゲージタグは、前記基材シートに、ベースフィルム基材上に配置されたアンテナコイルと、前記アンテナコイルに接続されたICチップとからなるインレットが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の航空バッゲージタグは、2液を混合させることにより硬化する第1の樹脂と第2の樹脂とを、基材シートに塗布させた構成であるので、粘着剤層を設けないで基材シートをループ状にして手荷物に取り付けることができ、剥離紙も必要がないので、粘着剤層から剥離紙を剥す手間がなく、更に、剥離紙を剥した後に粘着剤が他の物に付いてしまうこともなく、また、剥離した剥離紙は捨てることで、ゴミが出るということもないという効果がある。
【0012】
また、本発明の航空バッゲージタグは、アンテナコイルと、前記アンテナコイルに接続されたICチップが設けられているので、機械的にデータの書き込みや読み取りを行えるタグを、簡単に手荷物に添付させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る航空バッゲージタグを、図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、第1実施形態に係る航空バッゲージタグの斜視図、図2には、図1のA−A線断面図が示されている。
第1実施形態に係る航空バッゲージタグ1は、手荷物の取っ手などに一時的に取り付ける際に、ループ状にして垂れ下げることが可能な寸法からなる帯状の基材シート2と、この基材シート2上に、ベースフィルム基材5上に配置されたアンテナコイル4と、前記アンテナコイル4に接続されたICチップ3とからなるインレット6とを有し、インレット6が接着剤7により貼付された構成を有している。
例えば、基材シート2の長さ寸法は、運用上、約20〜40cm程度が好ましい。
【0014】
そして、基材シート2の長手方向に対して、中央部分から一方側の領域上に、2液を混合させることにより硬化する第1の樹脂8が内包されたマイクロカプセル9が塗布されている。
また、マイクロカプセル9が塗布されている面と同一面であって、基材シート2の中央部分から他方側の領域上に、前記マイクロカプセル9に内包された第1の樹脂8と混合させることにより硬化する第2の樹脂10が塗布されている。
第1の樹脂8が内包されたマイクロカプセル9が塗布されている領域と、第2の樹脂とが塗布されている領域との間には、マイクロカプセル9や樹脂が塗布されていない領域が設けられ、この領域内にインレット6が貼付されている。
【0015】
2液を混合させることにより硬化する2液混合硬化樹脂又は2液混合型接着剤は、既に公知であり、これらの樹脂をマイクロカプセル化する技術も公知技術である。
本発明の航空バッゲージタグでは、これら既に公知の2液混合硬化樹脂又は2液混合型接着剤を用いることで、粘着剤や剥離紙を使用することなく、簡単に手荷物に航空バッゲージタグを添付できるようにしたものである。
【0016】
例えば、公知の2液混合硬化樹脂としては、ポリウレタン、反応型アクリル、エポキシ、不飽和ポリエステル樹脂等があり、これらの樹脂は、主剤と硬化剤とからなり、混合させることにより硬化する。
そして、第1の樹脂8の成分としては、ジアミノジフェニルメタンを原料とする物、エピクロルヒドリンとビスフェノールAから合成された物、イソシアネートを有するポリマー、イソシアネートとポリエーテル、ポリエステル、クロロプレンゴム、ポリウレタンポリオール等の混合物等が挙げられる。
【0017】
また、第2の樹脂10の成分としては、ポリアミド、3級アミン、ポリアミン、ポリチオール化合物等が挙げられる。
また、マイクロカプセル9の形成材料としては、ニトロセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ、ポリエチレン、ゼラチン、エチルセルロース、ポリアミド、メチルセルロース、ポリエステル、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリウレタン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポルユリア、等、及びこれらの共重合物等が用いられる。
【0018】
図3乃至図5には、航空バッゲージタグ1を手荷物の取っ手などに取り付ける際に、基材シート2をループ状にして、両端部分を貼り合わせた状態が示されている。
図3に示すように、航空バッゲージタグ1は、基材シート2をループ状にして、両端部分を重ね合わせて上下方向から加圧することで、基材シート2のマイクロカプセル9が破壊され、マイクロカプセル9に内包された第1の樹脂8と、とが混合することにより硬化し接着状態となる。
これにより、図4及び図5に示すように、手荷物11の取っ手11aなど、ループ状にして簡単に取り付けることができる。
【0019】
そして、手荷物11の取っ手11aなどに、ループ状にして取り付けられた航空バッゲージタグ1は、基材シート2に設けられた、ベースフィルム基材5上に配置されたアンテナコイル4と、前記アンテナコイル4に接続されたICチップ3とからなるインレット6の部分が、基材シート2同士で重なり合わないように取り付けることができ、所定の場所に備えられたリーダライタ(図示せず)から送信される電波が妨害されることなく良好に受信できる。
【0020】
次に、図6に基づいて、本発明の第2実施形態に係る航空バッゲージタグ12について説明する。
第2実施形態に係る航空バッゲージタグ12は、第2の樹脂13が、マイクロカプセル14に内包された状態で基材シート2に塗布されている。
第2実施形態に係る航空バッゲージタグ12では、第1の樹脂8と、第2の樹脂13とがいずれもマイクロカプセル14に内包された状態で基材シート2に塗布されているので、基材シート2をループ状にして、両端部分を重ね合わせて上下方向から加圧することで、基材シート2のマイクロカプセル9とマイクロカプセル14とが破壊され、マイクロカプセル9に内包された第1の樹脂8と、マイクロカプセル14に内包された第2の樹脂13とが混合することにより硬化し接着状態となる。
【0021】
航空バッゲージタグ12の基材シート2に塗布されている各々のマイクロカプセル9,14は、離れている領域に設けられているので、間違えて加圧されて破壊された場合でも、第1の樹脂8と第2の樹脂13が混合されないために接着されることを防ぐことができる。
【0022】
次に、図7及び図8に基づいて、本発明の第3実施形態に係る航空バッゲージタグ15について説明する。
第3実施形態に係る航空バッゲージタグ15は、基材シート2の長手方向に対して、中央部分から一方側の半分の領域上に、2液を混合させることにより硬化する第1の樹脂8が内包されたマイクロカプセル9が塗布され、また、マイクロカプセル9が塗布されている面と同一面であって、基材シート2の中央部分から他方側の半分の領域上に、前記マイクロカプセル9に内包された第1の樹脂8と混合させることにより硬化する第2の樹脂10が塗布されている。
尚、基材シート2の長手方向に対して中央部分には、1mm〜5mmの幅でマイクロカプセル9や第2の樹脂10を塗布しない部分を設けてもよい。
【0023】
第3実施形態に係る航空バッゲージタグ15では、マイクロカプセル9が塗布されている領域と、第2の樹脂10が塗布されている領域とが広いので、航空バッゲージタグを取り付ける手荷物11のサイズに応じて、ループ状にする大きさを調節して取り付けられる。
【0024】
次に、図9及び図10に基づいて、本発明の第4実施形態に係る航空バッゲージタグ16について説明する。
第4実施形態に係る航空バッゲージタグ16は、図9に示すように、基材シート2の長手方向の一端部分に、2液を混合させることにより硬化する第1の樹脂8が内包されたマイクロカプセル9が塗布され、また、マイクロカプセル9が塗布されている面に対して裏面側上に、前記マイクロカプセル9に内包された第1の樹脂8と混合させることにより硬化する第2の樹脂10が塗布されている。
【0025】
第4実施形態に係る航空バッゲージタグ16では、図10に示すように、基材シート2の両端部分において、2液を混合させることにより硬化する第1の樹脂8が内包されたマイクロカプセル9が塗布された面と、マイクロカプセル9に内包された第1の樹脂8と混合させることにより硬化する第2の樹脂10は塗布されている面とを接着させて、擦り合わせることで接着させる。
【0026】
以上したように、本発明の航空バッゲージタグは、2液を混合させることにより硬化する第1の樹脂と第2の樹脂とを、基材シートに塗布させた構成であるので、粘着剤層を設けないで基材シートをループ状にして手荷物に取り付けることができる。
そして、剥離紙も必要がないので、粘着剤層から剥離紙を剥す手間がなく、更に、剥離紙を剥した後に粘着剤が他の物に付いてしまうこともなく、また、剥離した剥離紙は捨てることで、ゴミが出るということもない。
【0027】
また、航空バッゲージタグにおいて、基材シートに設けられているインレットには、ベースフィルム基材上に配置されたアンテナコイルと、前記アンテナコイルに接続されたICチップを被覆してこれらの保護をするための表面保護部材を貼付することが好ましい。
図11に示す場合には、インレット6のICチップ3が設けられている部分を除き、その他の部分について、左右にそれぞれ表面保護部材13aと表面保護部材13bとが貼付されている。
【0028】
図11に示すように、インレット6のICチップ3が設けられている部分を除き、インレット6上に表面保護部材13aと表面保護部材13bとを貼付することで、表面保護部材13aと表面保護部材13bとの間の部分に溝14が形成される。
したがって、ICチップ3に厚みがあっても、溝の深さ分だけICチップ3が表面側に出っ張る部分が少なくなることで、他の物体に衝突した際に外力による衝撃を緩和できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る航空バッゲージタグの斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る航空バッゲージタグをループ状にした状態を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る航空バッゲージタグを、手荷物の取っ手に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る航空バッゲージタグを、手荷物の取っ手に取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る航空バッゲージタグの断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る航空バッゲージタグの斜視図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る航空バッゲージタグの斜視図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る航空バッゲージタグを手荷物に取り付ける状態を示す断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る航空バッゲージタグにおいて、インレットに表面保護部材を貼付するさせた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1,12,15,16 航空バッゲージタグ
2 基材シート
3 ICチップ
4 アンテナコイル
5 ベースフィルム基材
6 インレット
7 接着剤
8 第1の樹脂
9 マイクロカプセル
10 第2の樹脂
11 手荷物
11a 取っ手
13a,13b 表面保護部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部分を貼り合わせて、ループ状にして手荷物に取り付けることが可能な帯状の基材シートを有する航空バッゲージタグであって、
前記基材シートの同一面又は表裏面であって、該基材シートの長手方向に対して、中央部分から一方側の領域上に、2液を混合させることにより硬化する第1の樹脂が内包されたマイクロカプセルが塗布され、前記中央部分から他方側の領域上に、前記マイクロカプセルに内包された第1の樹脂と混合させることにより硬化する第2の樹脂が塗布されていることを特徴とする航空バッゲージタグ。
【請求項2】
前記第2の樹脂が、マイクロカプセルに内包された状態で、前記基材シートに塗布されていることを特徴とする請求項1記載の航空バッゲージタグ。
【請求項3】
前記第1の樹脂と、前記第2の樹脂とが塗布されている領域の間に、樹脂が塗布されていない領域が設けられていることを特徴とする請求項1記載の航空バッゲージタグ。
【請求項4】
前記基材シートに、ベースフィルム基材上に配置されたアンテナコイルと、前記アンテナコイルに接続されたICチップとからなるインレットが設けられていることを特徴とする請求項1記載の航空バッゲージタグ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−53451(P2009−53451A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220464(P2007−220464)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】