説明

航空交通管制のための改良されたシステムおよび方法

【課題】操縦および航空機の状態の監視からのパイロットまたは管制官の注意散漫を低減または実質的に除去するシステムおよび手順を提供する。
【解決手段】マイクロホン16と、スピーカ14と、発声するユーザによってマイクロホンに送達された発声メッセージをデジタル化メッセージに変換するマイクロプロセッサ20−2デバイスと、デジタル化メッセージと照合する複数の記憶されている命令を有する、マイクロプロセッサデバイスによってアクセス可能なデータベースと、複数の記憶されている命令から標準メッセージを選択するように構成されているマイクロプロセッサ実行可能プログラムと、選択された標準化メッセージを示す表示装置20−12と、選択されたメッセージを受信者に送信する第1のトランシーバ20−16と、選択されたメッセージを受信する第2のトランシーバ20−8とを有し、選択されたメッセージが受信者によって受信され、受信者が聞くためにスピーカによって送達可能な聴覚形式に変換される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
航空機を操縦するパイロットは、多数の機器および制御装置と向かい合う。機器および制御装置は、しばしばパイロットに大きな注意散漫をもたらす。この注意散漫は、運行コースが空港に接近するときに生じるように、パイロットが制限的または過密な空域に接近する際に非常に重大な問題であり得る。例えば、現在の表示装置は、パイロットまたは地上管制官の注意を求める電子メールのようなメッセージでしばしば騒然となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
航空機に搭乗する全ての人の安全が改善され、航空機監視の運転効率が向上するように、操縦および航空機の状態の監視からのパイロットまたは管制官の注意散漫を低減することまたは実質的に除去することが可能なシステムおよび手順の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
それだけに限定されるものではないが、パイロットと管制官との間の通信を含む、デジタルデータリンク通信を利用する、送信場所と受信との間での聴覚および発声のプロセスを利用する通信のシステムおよび方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明の好適および代替的な実施形態が以下の図面に関連して以下で詳細が説明される。
説明される通信システムおよび方法は、送信者と受信者との間のあらゆる双方向通信に適用される。より詳細には、双方向通信システムが、航空機パイロットと航空交通管制センター管制官との間で生じる通信を改善させる改良を含む。改良されたシステムおよび方法は、パイロットまたは航空交通管制官に対する注意散漫が最小化されるように、デジタル的に送信、受信および処理される音声および聴覚手順を用いる。改良されたシステムおよび方法は、パイロットまたは航空交通管制官によって発声される、意味に一貫性がある航空関連メッセージおよびプロトコルを管制官パイロット間データリンク通信(CPDLC)で使用されるメッセージに変換する。CPDLCメッセージは、本明細書で全文が開示されているかのように言及をもって本明細書の一部となす、大陸の空域での航空交通データリンクサービスに関する安全性および性能の要求標準(Safety And Performance Requirement Standards for Airtraffic Data Link Services In Continental Airspace)(RTCA/DO−290、2004年4月29日、RTCA社)、ATNベースライン1、改訂Aに関する相互運用要求基準(Interoperability Requirements Standard For ATN Baseline 1,Revision A)(DO−280A/EUROCAE ED−110A、2004年11月19日、RTCA社)および北大西洋空域でのATSデータリンクサービスに関する指導用教材(Guidance Material For ATS Data Link Services In North Atlantic Airspace)(12.0版、2005年5月19日、ScOACC、英国)に充分に説明されている。上記参照にはCPDLCベース通信に関する標準および勧告方式(SARPS)がある。
【0005】
特定の実施形態では、航空機および地上管制の業務に関連する用語を有するパイロットまたは地上管制官が発声した航空関連メッセージが、デジタル化されたメッセージに変換される。航空機および地上の業務は、離着陸の準備および離着陸の際の忙しい時間の間と航空機が空港間を運航する間のあまり忙しくない時間の間とに適用可能なCPDLC手順を含む。デジタル化されたメッセージは、マイクロプロセッサで実行されるデバイスに記憶されている標準メッセージのセットのうちの少なくとも1つの標準メッセージと照合される。例えば、標準メッセージのセットは、限定されるものではないが、参照されたRTCA/DO−290および上記の12.0版の文書で説明されているCPDLCのアップリンク(UM)およびダウンリンク(DM)メッセージを含む。照合された標準メッセージが表示装置上に示され、航空機にアップリンクで通信されるかまたは航空交通管制センターにダウンリンクで通信される。表示されたメッセージが音声に変換されてパイロットまたは地上管制官によって聞かれる。
【0006】
管制官からパイロットに送信されるアップリンクメッセージは、パイロットが聞けるように文字列から音声に変換され、管制官に送信されるように向けられたパイロットからの発声されたメッセージが音声から文字列に変換される。管制官からのアップリンクメッセージまたはパイロットから管制官へのダウンリンク送信が意図されるメッセージのいずれかが確認のために英数字の表示装置上に示される。航空機またはセンターが業務中の間、管制官からアップリンクされたメッセージまたはパイロットから管制官へのダウンリンク送信が意図されたメッセージのいずれかが種々の飛行要件に従って選択される。
【0007】
航空機と航空機管制官との通信システムおよび方法が、以下の図面に関してさらに説明される。
図1Aは、管制官からパイロットへのアップリンク通信システム10Aの概略図である。システム10Aは、航空機30においてパイロットによって着用されるヘッドホン11Bと、航空交通管制センター60において航空交通管制官によって着用されるヘッドホン11Aとを含む。各ヘッドホン11Aおよび11Bは、少なくとも1つのスピーカ14およびマイクロホン16を含む。航空交通管制センター60においてヘッドホン11Aを着用する管制官は、マイクロホン16に発声する。マイクロホン16およびスピーカ14はマイクロプロセッサ表示装置およびトランシーバ20Aに接続されている。トランシーバ20Aは、航空機30によって受信されるアップリンク信号40Aを発する無線通信塔40と通信している。航空機30では、マイクロプロセッサ表示装置およびトランシーバ20Bがアップリンク信号40Aを受信し、パイロットのヘッドホン11Bのスピーカ14を介して音声と等価物を提供する。
【0008】
図1Bは、パイロットから管制官へのダウンリンク通信の概略図である。図示されるように、通信システム10Bが航空機60からのダウンリンク信号40Bを生じさせる。パイロットがスピーカ16に発声しそれがデバイス20Bに送信される。デバイス20Bが送信を行って塔40にダウンリンク無線送信信号40Bを送信し、タワー40は受信した信号40Bをデバイス20Aに中継する。
【0009】
図2は、センター60とのダウンリンク信号40Bの送信またはアップリンク信号40Aの受信に対して使用される航空機30のマイクロプロセッサおよびトランシーバ20Bの概略図である。マイクロホン16およびスピーカ14は、通信管理ユニット(CMU)20−1とデータ通信をしている。CMU20−1は、さらに、以下で説明されるように、多目的制御ディスプレイユニット(MCDU)20−12および超高周波デジタル無線(VDR)20−16と信号通信をしている。MCDU20−12は、パイロットとCMU20−1との間のインターフェースを提供する。
【0010】
CMU20−1は、マイクロホン16と信号通信している音声認識プロセッサ20−2と、音声認識プロセッサ20−2と信号通信している命令プロセッサ20−6と、命令プロセッサ20−6およびスピーカ14と信号通信している音声復唱プロセッサ20−8とを含む。命令プロセッサ20−6は、音声復唱プロセッサ20−8と、パイロットがそれを介してやりとりをするMCDU20−12と別個に信号通信をしており、さらに、別個にVDR20−16と信号通信している。VDR20−16は、ダウンリンク無線信号40Bを生成および送信するか、またはセンター60によって送信されるアップリンク無線信号40Aを受信および搬送する。MCDUは、多機能表示装置(MFD)を含んでよい。
【0011】
図3は、航空機30とのダウンリンク信号40Bの受信またはアップリンク信号40Aの送信に対して使用される、センター60のマイクロプロセッサおよびトランシーバ20Aの構成要素を示す。ダウンリンク電磁信号40Bは、超短波(VHF)地上局50−2を使用してマイクロプロセッサおよびトランシーバ20Aによって受信される。代替的に、デバイス20Aが高周波(HF)、SATCOM、ゲートリンク(Gatelink)、広帯域衛星、またはデータリンクサブネットワークであってもよい。送信40Bの情報内容がVHF50−2を経由して航空情報呼び出し/伝達システム(ACARS)ルータ50−6または航空通信ネットワーク(ATN)ルータ50−10に送信される。ACARSルータ50−6およびATNルータ50−10は、共にネットワーク50−14に集結する。ネットワーク50−14は、ACARSルータ50−6およびATNルータ50−10と協力して、近くおよび遠く離れた航空機を管理する他の航空業務管制センターをリンクするように機能する。ネットワークのACARSおよびATNルータ50−6、10は、所与の航空機30のその飛行の間の業務管轄区域を有するか有することになるATCセンターに出発および他の航空関連情報を送信する。ネットワーク50−14は、MCDU20−12が航空機30のパイロットに対して行うようなものと同様の聴覚および視覚のインターフェースタスクをセンター60の管制官にサービス提供する双方向表示装置50−16と信号通信をしている。双方向表示装置50−16は、航空交通管制官のヘッドホン11とデータ通信をしており、以下で説明されるように、そこで、音声から文字列への処理がマイクロホン16と連携され、文字列から音声への処理がスピーカ14と連携される。
【0012】
図4は、航空機30または航空管制官60のいずれかで使用される方法のフローチャートである。概略的な方法は、CPDLCセッションが音声プロセスによって確立されるブロック60−2で開始する。その後、プロセスブロック60−4で、地上管制官およびパイロットが音声および聴覚のプロセスによってデータリンク通信を実行する。次に、方法は、音声命令によってCPDLCセッションが終了されるプロセスブロック60−6で完了する。
【0013】
図5は、図4の副アルゴリズムブロック60−4の拡大図である。ブロック60−2から開始して、ブロック60−4は複数の副アルゴリズムを含む。第1に、飛行業務の種々の段階に対応する参照番号に従って分類されている、管制官からパイロットへのアップリンク(UM)およびパイロットから管制官へのダウンリンク(DM)のCPDLCメッセージと一致する標準の航空機および管制用語を使用してパイロットまたは航空交通管制官が発声する副アルゴリズムブロック60−4A。例えば、RTCA/DO−290および上記の12版文書で説明されているように、参照番号UM0−5はアップリンク応答および確認応答通報に関し、UM6−223はアップリンクの垂直方向クリアランスに関し、DM0−5はダウンリンク応答および確認応答通報に関し、DM6−10はダウンリンクの垂直方向クリアランスに関する。例えば、論理確認応答通報(LACK)、DM99CDA、およびその他のいくつかのメッセージは自動的に生成される。他のUMおよびDMのCPDLC参照番号セットは、速度要求、経路修正要求、報告、ネゴシエーション、緊急メッセージ、その他等の他の飛行業務に関する。標準UMおよびDMでは、メッセージが用語であるか、またはメッセージ要素がCPDLC参照番号との照合に関するトリガーとしてその後で使用されるキーワードを有している。
【0014】
管制官またはパイロットが各UMまたはDM参照CPDLCメッセージのメッセージ要素をマイクロホン16に発声すると、発声メッセージのファイル記憶と共に音声から文字列への変換が次のブロック60−4Cで生じる。音声から文字列への変換は、Nuance社(バーリントン、マサチューセッツ州、米国)から市販されているNaturallySpeaking8等の実行可能プログラムを実行するように構成されているマイクロプロセッサによって達成されてよい。例えば、パイロットがCPDLCメッセージDM27の下で特定の距離までの天候偏差を要求する場合、パイロットは「3048メートル(10000フィート)までの天候偏差を要求」と発声し、ここで、部分的語句「までの天候偏差」の「天候偏差」は、以下で説明されるように地上管制官にその後で送信されるDM27 CPDLCメッセージを特定および選択するためのトリガーキーワードとして動作するように機能する。同様に、DM27メッセージを受信した地上管制官は「3048メートル(10000フィート)まで偏差することを許可する」と発声し、ここで、「偏差することを許可する」は、UM82 CPDLCメッセージを特定および選択するためのトリガーキーワードとして動作するように機能する。
【0015】
図5を続けると、ブロック60−4Eで、記憶されたファイルからメッセージが取り出されてキーワード内容に関して解析される。プロセス60−4Gで、発声されたメッセージは、記憶されているCPDLC標準メッセージセット、例えば、ユーザが航空機30のパイロットであるかまたはセンター60の管制官であるかに応じてアップリンクメッセージ(UM)またはダウンリンクメッセージ(DM)と比較される。UMおよびDMは、UMまたはDMメッセージ要素ステートメントの目的または使用のために指定されたカラムを有する規定の形式で構築されている。所与の体系化されたUMまたはDMに関する所与のメッセージ要素ステートメントが、体系化されたUMまたはDM通信の目的または使用と一致する、パイロットまたは管制官によって発声され得る言葉を指定する境界された括弧内に含まれる。くくられたメッセージは、上記で引用されたRTCA/DO−290および12.0版文書で参照されるSARPSに説明されるように、抽象構文記法−1(ASN−1)の下でパック化符号化規則を利用するソフトウェアによって解釈される。は発声するパイロットまたは発声する地上管制官の用語の意味は、PER標準の利用の下で文脈上の意味に従って順位付けされる。ブロック60−4Hで、発声メッセージと合致するCPDLC標準メッセージが存在するか否かを決定するために、記憶されているCPDLC文脈上順位付けされたメッセージセットの文脈上の管理が、データベースから取り出してパイロットまたは管制官の発声メッセージのキーワードトリガーを比較することによって確立される。ブロック60−4Hの結果が「いいえ」である場合、次にプロセスはユーザが別のメッセージを示すブロック60−4Aに戻る。結果が、合致の存在する「はい」である場合、次にプロセスブロック60−4JでCPDLC合致メッセージがMCDU20−12上に表示される。一度、メッセージが表示されると、別の決定ダイヤモンドは、システムがCPDLC表示メッセージを復唱するべきか否かを決定する決定ダイヤモンド60−4Kに到達する。「いいえ」である場合、次にプロセスブロック60−4Rで表示されたCPDLC合致メッセージが無線送信アップリンク信号40Aまたはダウンリンク信号40Bとして送信される。「はい」である場合、表示された合致CPDLCメッセージがプロセスブロック60−4Lで復唱される。復唱プロセスは、Nuance社(バーリントン、マサチューセッツ州、米国)から市販されているVocalizer4.0等の実行可能プログラムを実行するように構成されているマイクロプロセッサによって達成され得る文字列から音声への変換を利用する。その後、アルゴリズムで、CPDLCメッセージがユーザに受け入れ可能であるか否かの問い合わせが示される別の決定ダイヤモンド60−4Pに到達される。受け入れ可能である場合、プロセスがブロック60−4Rで実行されて合致CPDLCメッセージが無線送信信号40Aまたは40Bとして出力される。メッセージが受け入れ可能でない場合、次に、プロセスはユーザが別のメッセージを発声するブロック60−4Aに戻る。照合アルゴリズムの代替的な実施形態は、PERおよびASN−1によってメッセージ要素を順位付けするソフトウェアアルゴリズムを使用して、発声メッセージに対する第2の、第3の、および他の順位のCPLDCメッセージが、パイロットまたは航空交通管制官に適切なメッセージとしての検討のために提供されることを可能にする。
【0016】
図6は、CPDLCセッションを確立、実行および終結するための代替的なプロセス70である。このプロセスは、発声メッセージによりブロック71で開始する。発声メッセージは記録され、デジタル化され、メモリに記憶される。メッセージの検索がブロック72で行われ、メッセージがMCDU20−12上の表示文字列として示される、ブロック74を参照されたい。次に、決定ダイヤモンド76が、提示されたメッセージを復唱するか否かの問い合わせで続く。答えが「いいえ」である場合、次にブロック82でメッセージがアップリンク信号またはダウンリンク信号のいずれかとして送信される。問い合わせが「はい」であり、メッセージを復唱する場合、次に、プロセスブロック78で、メッセージが復唱され、その後に再度、復唱メッセージが受け入れ可能か否かの問い合わせが続く、決定ダイヤモンド80を参照されたい。メッセージが受け入れ可能である場合、次に、メッセージがプロセスブロック82でアップリンク信号もしくはダウンリンク信号のいずれかとして送信され、または代替的に、答えが「いいえ」である場合、メッセージ「CPDLCメッセージなし」がオペレータに示される。「CPDLCメッセージなし」を聞くと、パイロットまたは地上管制官はプロセスブロック71で新規のメッセージを発声し、プロセス70を繰り返す。図5および6の方法は、航空機30に配置されているMCDU20−12表示装置20a、またはセンター60に配置されている別の表示装置上に配置されている画面領域または画像アイコン、例えば、押しボタンアイコン等の音声駆動に同様に適用可能であり、信号40Aおよび/または信号40Bの送信を生じる。
【0017】
図7〜9は、航空機30のパイロットと航空交通センター60の管制官との間で行われる音声トリガーCPDLCメッセージのシステムおよび方法の適用の一例を示す。パイロットおよび管制官の両方からのメッセージが、航空機30および航空機管制センター60の各々、MCDU90および双方向表示装置92に描いて示されている。図示されるシナリオの連続は、信号98に含まれるCPDLCダウンリンクメッセージで搬送されるパイロットが発した要求、アップリンク信号100に含まれるCPDLCアップリンクメッセージで搬送される管制官の応答、およびダウンリンク信号102に含まれる追加のダウンリンクメッセージでのパイロットからの確認を含む。
【0018】
図7は、航空交通管制官へのCPDLCセッションの間に行われる聴覚および発声プロセスを使用する、パイロットからの信号98に含まれるダウンリンク通信要求を概略的に示す。このシナリオでは、パイロットが特定の海里(NM)範囲の飛行偏差を要求している。航空機30からのダウンリンク信号98は、パイロットがパイロットのマイクロホン16Bに「経路の残り55.56キロメートル(30海里)までの天候偏差を要求する」と発声した結果として、それが音声から文字列に変換されてパイロットの画面表示106としてMCDU90上に示される、合致CPDLCステートメントDM27を含む。画面表示106のパイロットが発声ステートメントの英数字文字列は「経路の残り55.56キロメートル(30海里)までの天候偏差を要求する」と示され、パイロットが見ることまたはパイロットのスピーカ14Bでパイロットに対して復唱することが可能である。一度、メッセージが検討(例えば、聴覚の復唱または表示)されると、次にパイロットが「送信」と言い、ダウンリンクメッセージをATC管制官に送信する。
【0019】
航空機30内で、ダウンリンク信号98が処理されて双方向表示装置92上に「航空機HON1234が経路の残り55.56キロメートル(30海里)までの天候偏差を要求」と示される。管制センター60で、管制官は、次に、表示された管制官メッセージの文字列から音声への変換が示される、呼び出しウィンドウを参照されたい。一実施形態では、省略形が非省略形版に(例えば、NM=海里)に音声変換される。受信したメッセージの下にプロンプト「応答する?」があり、管制官がパイロットの問い合わせに対して音声トリガーCPDLC応答メッセージを準備することを催促する。
【0020】
図8は、図7のパイロットの問い合わせに対する管制官からの信号100で搬送されるアップリンクCPDLC通信応答を概略的に示す。この場合、管制官が管制官のマイクロホン16に「航空機HON1234が経路の残り30海里(55.56キロメートル)まで偏差することを許可する」と発声し、それがその後に音声から文字列に変換される。管制官応答からの情報が、アップリンク信号100においてCPDLC標準メッセージUM82で航空機30に送信される。管制官の発声メッセージが音声認識プロセッサを介して処理され、「航空機HON1234が経路の残り55.56キロメートル(30海里)までの天候偏差することを許可する」と「応答する?」に隣接して示される。さらに状況も未確認と示される。
【0021】
航空機30内で、アップリンク信号100が受信され、処理され、「航空機HON1234が経路の残り30海里(55.56キロメートル)まで偏差することを許可する」の英数字文字列としてMCDU90上に示される。航空機30において、次にパイロットが文字列から音声への変換を聞く、MCDU90の上の呼び出しウィンドウを参照されたい。次に、パイロットは、パイロットの問い合わせに対する管制官の応答に対する確認メッセージを準備する。
【0022】
図9は、図8の管制官の応答に対するパイロットからの信号102で搬送されるダウンリンクCPDLC確認応答を概略的に示す。応答して、パイロットは、応じるという意味の「了解」とパイロットのマイクロホン16Bに応答し、音声から文字列へのメッセージがMCDU90上に「了解」と示される。「了解」に関する情報内容が、ダウンリンク信号102に含まれるCPDLCダウンリンクメッセージDM0を介してセンター60にいる管制官に搬送される。パイロットの確認が、双方向表示装置92上に状態:確認済として表示される。パイロットの確認が音声に変換される、双方向表示装置92の上の呼び出しウィンドウを参照されたい(「HON1234は偏差の許可に従う」)。
【0023】
図7〜9で取り上げられた前述の例は、ATCログオンおよびCPDLC接続の確立にも適用され得る。さらに、メッセージが送信される前に「通知」、「ログオン」、「ログオンの実行」、「了解」、「確認」、「承諾」、「拒否」等の短い応答を必要とするいくつかのメッセージは、発声するパイロットまたは発声する地上管制官によって検討され得て、「送信」、「中止」、または「後で応答」と言う選択肢を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】管制官からパイロットへのアップリンク通信の概略図である。
【図1B】パイロットから管制官へのダウンリンク通信の概略図である。
【図2】センターとのダウンリンク信号の送信またはアップリンク信号の受信に使用される航空機のマイクロプロセッサおよびトランシーバの概略図である。
【図3】航空機とのダウンリンク信号40Bの受信またはアップリンク信号の送信に使用されるセンターのマイクロプロセッサおよびトランシーバの構成要素を説明する説明図である。
【図4】航空機または航空管制官の改良された管制パイロットデータリンクシステムのいずれかで使用される例示的な方法のフローチャートである。
【図5】航空機または航空管制官の改良された制御パイロットデータリンクシステムのいずれかで使用される例示的な方法のフローチャートである。
【図6】航空機または航空管制官の改良された制御パイロットデータリンクシステムのいずれかで使用される例示的な方法のフローチャートである。
【図7】通信セッションの際に実行される聴覚および発声プロセスを使用するパイロットから航空交通管制官への信号内に含まれるダウンリンク通信要求を概略的に示す説明図である。
【図8】図7のパイロットの問い合わせに対する管制官からの信号で搬送されるアップリンク通信応答を概略的に示す説明図である。
【図9】図8の管制官の応答に対するパイロットからの信号で搬送されるダウンリンク確認応答を概略的に示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホン(16)と、
スピーカ(14)と、
発声するユーザによって前記マイクロホンに送達された発声メッセージをデジタル化メッセージに変換するマイクロプロセッサ(20−2)デバイスと、
前記デジタル化メッセージと照合する複数の記憶されている命令を有する、前記マイクロプロセッサデバイスによってアクセス可能なデータベースと、
前記複数の記憶されている命令から標準メッセージを選択するように構成されているマイクロプロセッサ実行可能プログラムと、
前記選択された標準化メッセージを示す表示装置(20−12)と、
前記選択されたメッセージを受信者に送信する第1のトランシーバ(20−16)と、
前記選択されたメッセージを受信する第2のトランシーバ(20−8)とを有し、
前記選択されたメッセージが前記受信者によって受信され、前記受信者が聞くために前記スピーカによって送達可能な聴覚形式に変換される、
通信システム。
【請求項2】
前記マイクロプロセッサデバイスは、音声を文字列に変換する実行可能プログラムによって構成可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
照合が、前記デジタル化メッセージを前記記憶されている命令の内容と比較するマイクロプロセッサによって実行可能な内容照合プログラムを含み、前記内容照合プログラムは、前記記憶されている命令を前記発声メッセージの内容の意味に近似する順に選択および順位付けするアルゴリズムをさらに含み、内容の近似は、アップリンクおよびダウンリンクCPDLCメッセージに関する文脈上の意味を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
CPDLCメッセージの前記文脈上の意味がログオン命令を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項5】
発声するユーザと受信者との間の通信方法であって、
発声メッセージをデジタルメッセージに変換するステップと、
前記デジタルメッセージの内容を複数の標準メッセージの内容と照合するステップと、
前記複数の標準メッセージから前記メッセージの内容の意味に最も近似する標準メッセージを選択するステップと、
前記選択されたメッセージを発声するユーザの表示装置上に示すステップと、
前記選択されたメッセージを受信者に送信するステップと、
前記選択されたメッセージを受信者表示装置上に示すステップと、
前記選択されたメッセージを前記受信者表示装置から聴覚形式に変換するステップと、
前記聴覚形式を前記受信者の聞こえる範囲内でスピーカに送信するステップとを有する、方法。
【請求項6】
前記選択されて前記発声するユーザの表示装置上に示されたメッセージは、前記発声するユーザの命令に応じて復唱される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記標準メッセージは、前記発声するユーザによって発声される航空用語の内容を照合するアップリンクCPDLC命令を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記標準メッセージは、前記発声するユーザによって発声される航空用語の内容を照合するダウンリンクCPDLC命令を含む、請求項5に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−527822(P2009−527822A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555452(P2008−555452)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/062036
【国際公開番号】WO2007/098329
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】