航空標識灯検査装置
【課題】測定データの測定精度を低下させることなく測定データの測定時間を短縮でき、また検査を効率よく行うことができる航空標識灯検査装置を提供することである。
【解決手段】架台制御部34により、航空標識灯12の所定の配光パターンに従って航空標識灯12を搭載した架台24を連続的に回動させ、航空標識灯12からの光を光検出部25で受光し直線上に配置された複数の光センサで照度や色度を検出する。配光測定制御部35は、航空標識灯12を所定の配光パターンで点灯するとともに架台24が予め定めた回動角だけ移動する度に光検出部25からの光受信信号をA/D変換して受信し、データ処理部36は配光測定制御部35でA/D変換された光受信信号及び架台24の回動角に基づいて面状の航空標識灯19の配光パターンを得る。
【解決手段】架台制御部34により、航空標識灯12の所定の配光パターンに従って航空標識灯12を搭載した架台24を連続的に回動させ、航空標識灯12からの光を光検出部25で受光し直線上に配置された複数の光センサで照度や色度を検出する。配光測定制御部35は、航空標識灯12を所定の配光パターンで点灯するとともに架台24が予め定めた回動角だけ移動する度に光検出部25からの光受信信号をA/D変換して受信し、データ処理部36は配光測定制御部35でA/D変換された光受信信号及び架台24の回動角に基づいて面状の航空標識灯19の配光パターンを得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空標識灯の検査のための測定データを測定しデータ処理する航空標識灯検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空港においては、航空機の離着陸のため滑走路や誘導路等において各種の航空標識灯が設置されている。図11は滑走路や誘導路への航空標識灯の配置を示す平面図、図12は滑走路に埋設された航空標識灯の埋設状態を説明する俯瞰図、図13は航空標識灯の上面部の一例を示す平面図である。
【0003】
図11に示すように、滑走路10には、航空標識灯として複数の滑走路中心線灯11が滑走路中心線13に沿い所定の間隔を保って配置され、滑走路10の前後のセンターライン14には複数のアプローチセンターラインライト15が配置され、その左右にはアプローチサイドバレットライト16が配置される。また、誘導路17には直線用誘導路中心線灯18や曲線用誘導路中心線灯19が設置されている。
【0004】
また、これらの航空標識灯は、図12に示すように灯器の上面部が滑走路面に突出して配置され、灯器の基台は空港の滑走路や誘導路の路中に埋設される。そして、その基台の中に光源部や点灯回路等が収納され防水構造となっている。また、図13に示すように、基台上面部20には灯体21がボルト22で装着される。灯体21の内部には光源部23が設けられ、光源部23から灯体21の外部に放射され滑走路や誘導路の路面を照明する。
【0005】
これらの航空標識灯については、滑走路中心線灯11、アプローチセンターラインライト15、アプローチサイドバレットライト16、直線用誘導路中心線灯18、曲線用誘導路中心線灯19の種別に応じて、それぞれ異なる照明の特性に関する基準が指定されている。その基準の一つに航空標識灯から投射される光の明るさの分布すなわち配光特性がある。航空標識灯が各種別に応じて所定の配光特性を維持しているか否かを確認するために、航空標識灯を滑走路や誘導路から外して持ち帰り配光特性を測定するようにしている。すなわち、滑走路や誘導路に設置された航空標識灯12の給電コンセントを交流定電流電源から取り外し、灯体本体を持ち帰る。
【0006】
図14は、航空標識灯の配光特性を測定する従来の測定装置の構成図である。架台24に持ち帰った航空標識灯12を搭載し、航空標識灯12の光源部23からの光を光検出部25で受光し、この光検出部25で受光した光受信信号に基づいて配光パターンを得るようにしている。光検出部25は直線上に配置された複数個の光センサである照度計26と、中央部に配置された1個の光センサである色度計27とにより構成されている。照度計26は航空標識灯12の光源部23の照射角度毎の照度を検出するものであり、この照度分布から配光パターンを得ることになる。色度計27は航空標識灯12の光源部23の彩度を検出するものである。そして、これらセンサはスクリーン28上に配置されている。
【0007】
配光特性を測定するに当たっては、滑走路や誘導路から持ち帰った配光特性測定対象の航空標識灯12を架台24に搭載し、航空標識灯12の光源部23から光検出部25に光を照射する。そして、その航空標識灯12の所定の配光パターンが得られる範囲で、所定の測定間隔だけ小刻みに架台24を回動させる。例えば、所定の測定間隔として回動角度10°で100°回動させる場合には、20回小刻みに架台を回動させることになる。そして、各々の回動位置で架台24を停止させて光信号を計測し、各々の回動位置で計測した光受信信号に基づいて面状の配光パターンを得る。
【0008】
図15は、従来の測定装置で得られた面状の配光パターンの平面図である。図15に示すように、航空標識灯12の配光パターン29が得られるように、航空標識灯12を搭載した架台24を小刻みに回動させる。図15では回動位置P1〜P21まで20回小刻みに回動させ、その回動位置P1〜P21で停止させて各々の照度計26で照度を検出する。そして、各々の回動位置P1〜P21において各々の照度計26で検出された照度に基づいて面状の配光パターンを得る。このように、従来においては、直線上に配置した照度計26に対し、測光される航空標識灯12を回動させることによって面状の照度分布を求め配光パターンを得る。
【0009】
ここで、照度計の代わりにCCDカメラを用いて面の輝度を測定し、複数配置した照度計の照度との相関によりCCD画素値から多点照度値を換算し、面の多点測光を実現してするようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭64−35343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1のものではCCD画素値からの換算による誤差が生じる。また、白色スクリーンの輝度を測定することにより、低照度発光(スクリーン上は低輝度)器具を測定することになるので、CCDカメラのシャッタースピードを遅くしなければならない。そのため、測定時間が長期化しCCD素子への負荷も大きなり、画素欠陥の影響を受ける。
【0011】
一方、直線上に配置した照度計26に対し、測光される航空標識灯12を回動させることによって面状の照度分布を求め配光パターンを得るものでは、小刻みに回動させ各々の回動位置で架台24を停止させて光信号を計測することになるので、光信号の測定に時間が掛かる。
【0012】
また、航空標識灯12は、配光測定だけでなく絶縁抵抗測定や漏洩検査も行われる。例えば、絶縁抵抗測定は航空標識灯12に点灯用の交流定電流電源を供給する給電コネクタから絶縁抵抗測定用の電源を供給して絶縁強度が維持されているか否かを判定する。一方、漏洩検査を行う場合には、航空標識灯12に点灯用の交流定電流電源を供給する給電コネクタとは別の空気充填用コネクタ(カプラ)から圧縮空気を充填して検査を実施している。そのため、配光測定、絶縁抵抗測定、漏洩検査という3つの作業を個別に行わなければならないので、検査に時間がかかり非効率的なものであった。
【0013】
本発明の目的は、測定データの測定精度を低下させることなく測定データの測定時間を短縮でき、また検査を効率よく行うことができる航空標識灯検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明に係わる航空標識灯検査装置は、架台に搭載された航空標識灯からの光を受光し直線上に配置された光センサで照度を検出する光検出部と;前記航空標識灯の所定の配光パターンに従って前記航空標識灯を搭載した架台を連続的に回動させる架台制御部と;前記航空標識灯を所定の配光パターンで点灯するとともに、前記架台が予め定めた回動角だけ移動する度に、その回動角の開始位置から前記光検出部からの光受信信号のA/D変換を開始し、その回動角の終了位置でA/D変換を終了し、A/D変換された光受信信号を受信する配光測定制御部と;前記配光測定制御部でA/D変換された光受信信号及び前記架台の回動角に基づいて面状の前記航空標識灯の配光パターンを得るデータ処理部と;を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は以下による。
【0016】
光検出部の光センサは航空標識灯からの光の照度を検出する照度計であり、複数の照度計は直線上に配置される。架台は検査対象の航空標識灯を搭載して架台制御部により連続的に回動し、航空標識灯の光検出部に対する相対的位置を連続的に変化させる。航空標識灯の所定の配光パターンに従って航空標識灯を搭載した架台を連続的に回動させるとは、航空標識灯の所定の配光パターンを表す照度データが取得できる範囲内で架台の停止を伴わずに回動させることをいい、例えば、航空標識灯の左右前方の拡がり角度がα°である配光パターンである場合には、左右前方の拡がり角度がα°の照度データが検出できるように、少なくとも架台の回動角の停止を伴わずに変化させる。
【0017】
配光測定制御部は、航空標識灯を所定の配光パターンで点灯するとともに、架台が予め定めた回動角だけ移動する度に、光検出部からの光受信信号をA/D変換して受信する。つまり、架台の回動角の開始位置から光検出部からの光受信信号のA/D変換を開始し、その回動角の終了位置でA/D変換を終了し、A/D変換された光受信信号を受信する。これにより、連続的に光受信信号をA/D変換できる。
【0018】
架台が予め定めた回動角だけ移動する度とは、例えば、測定間隔に相当する回動角だけ架台が移動する度であり、これにより、測定間隔毎に光受信信号をA/D変換して受信することになり、回動角とA/D変換との同期が取られる。
【0019】
データ処理部は、配光測定制御部でA/D変換された光受信信号及び架台の回動角に基づいて面状の航空標識灯の配光パターンを得る。面状の航空標識灯の配光パターンとは、直線上に配置された照度計により検出された各々の回動角での照度データを組み合わせて作成した面状の配光パターンである。
【0020】
請求項2の発明に係わる航空標識灯検査装置は、請求項1の発明において、前記航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタから絶縁抵抗測定電源を供給し前記航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部と;前記配光測定制御部と前記絶縁抵抗測定部とを切り替える切替器と;を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明は、請求項1の発明において、絶縁抵抗測定部を設け、航空標識灯の配光測定と絶縁抵抗測定とを切替器で切り替えて行えるようにしたものである。給電コネクタを絶縁抵抗測定用のコネクタとして共用し、航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する際には、切替器で配光測定制御部から絶縁抵抗測定部に切り替え、給電コネクタから絶縁抵抗測定電源を供給し、航空標識灯の絶縁抵抗を測定する。
【0022】
請求項3の発明に係わる航空標識灯検査装置は、請求項1または2の発明において、前記航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタに前記航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子を一体的に設け、前記圧縮空気充填用コネクタ端子から前記航空標識灯内部に漏洩検査用の圧縮空気を注入し漏洩検査を行う漏洩検査部を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明は、請求項1または2の発明において、航空標識灯内部の漏洩検査を行う場合には、圧縮空気充填用コネクタ端子から航空標識灯内部に圧縮空気を充填し、例えばマスターチャンバーとの差圧検出による方法で航空標識灯の気密性を確認する。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、検査対象の航空標識灯を連続的に回動して航空標識灯の照度データを測定できるので、配光パターンの測定時間を短縮できる。
【0025】
すなわち、航空標識灯を停止することなく回動しながら測定できることから高速測定が実現できる。また、航空標識灯の予め定めた回動角と連動してA/D変換を行うので、連続してA/D変換した照度データを得ることができる。従って、測定精度が十分確保され高速測定が可能になるとともに、航空標識灯の定期的な光度管理の効率を向上できる。
【0026】
請求項2の発明によれば、切替器で配光測定制御部から絶縁抵抗測定部に切り替え、給電コネクタから絶縁抵抗測定電源を供給し、航空標識灯の絶縁抵抗を測定するので、絶縁抵抗測定の作業が簡素化できる。請求項3の発明によれば、配光測定制御部からの航空標識灯の点灯用交流定電流電源や絶縁抵抗用電源の供給と、圧縮空気充填の供給とが同時に行えるので、配光パターン測定作業、絶縁抵抗測定作業、及び漏洩検査作業を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図である。光検出部25は図1では記載を省略しているが、図14に示したように構成される。すなわち、直線上に配置された複数の照度計及び一つの色度計を有し、スクリーンを介して架台24に搭載された航空標識灯12の光源部23からの光を受光し照度と色度とを検出する。
【0028】
航空標識灯12に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30は、図2に示すように、電力供給用の2本のコネクタ端子31を有し、測定用コネクタ32に接続される。これにより、航空標識灯12の光源部23には測定用交流直流電源33から点灯用の電源が供給され、航空標識灯12は測定用交流直流電源33からの電力で点灯する。
【0029】
架台制御部34は航空標識灯12の所定の配光パターンに従って航空標識灯12を搭載した架台24を連続的に回動させる。例えば、航空標識灯の左右前方の拡がり角度が100°である配光パターンである場合には、左右前方の拡がり角度が100°の照度データが検出できるように、架台24の回動角を停止を伴わずに回動させる。
【0030】
配光測定制御部35は航空標識灯12を所定の配光パターンで点灯するとともに、架台24が予め定めた回動角だけ移動する度に光検出部25からの光受信信号をA/D変換して受信する。すなわち、順次測定間隔に相当する回転角だけ架台24が移動すると光受信信号をA/D変換して受信する。これにより、回動角とA/D変換との同期をとるようにしている。
【0031】
データ処理部36は配光測定制御部35でA/D変換された光受信信号及び架台24の回動角に基づいて面状の航空標識灯の配光パターンを得るものであり、直線上に配置された照度計により検出された各々の回動角での照度データを組み合わせて面状の配光パターンを作成する。
【0032】
図3は本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の詳細構成図である。光検出部25は直線上に配置された複数個の光センサである照度計26と、1個の光センサである色度計27とにより構成されている。図3ではスクリーンの記載を省略している。光検出部25の照度計26で検出された照度信号はA/D変換器37でそれぞれアナログ信号からデジタル信号に変換され計測制御部38に入力される。また、色度計27で検出された色彩信号は色度信号処理部39に入力されデータ処理部36のコンピュータ40に入力される。
【0033】
計測制御部38は中継端子基板41を介して電動機駆動部42に駆動指令を出力し、架台24の図示省略の電動機を駆動して架台24を回動させる。これにより、架台24に搭載された航空標識灯12を連続的に回動させる。電動機としては、例えばステッピングモータを用いる。
【0034】
また、計測制御部38は中継端子基板41を介して測定用交流直流電源33に点灯制御指令を出力し、測定用交流直流電源33から航空標識灯12の光源部23に点灯用電力を供給する。測定用交流直流電源33から航空標識灯12の光源部23に点灯用電力が出力されていることを示す点灯制御信号はA/D変換器43に入力され、アナログ信号からデジタル信号に変換されて計測制御部38にフィードバックされる。
【0035】
計測制御部38は電動機駆動部42に駆動指令を出力し、架台24が予め定めた回動角だけ移動する度に光検出部25の照度計26からの照度信号をA/D変換して受信し、回動角と照度計26からの照度信号のA/D変換との同期をとるようにしている。
【0036】
データ処理部36のコンピュータ40は、計測制御部38からの照度信号を回転角と関連づけて入力し面状の配光パターンを作成する。コンピュータ40には入力装置としてキーボード44、マウス45、バーコードハンディースキャナ46等が接続され、出力装置としてディスプレイ装置47やレーザプリンタ48等が接続されている。コンピュータ40で作成された面状の配光パターンは、ディスプレイ装置47に画面表示され、必要に応じてレーザプリンタ48に印刷出力される。
【0037】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られたアプローチセンターラインライトの面状の配光パターンの平面図、図5は、本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られた直線用誘導路中心線灯の面状の配光パターンの平面図である。
【0038】
架台制御部34の計測制御部38は、航空標識灯の種別に応じて配光パターンが得られるように、航空標識灯を搭載した架台24を連続的に回動させる。例えば、航空標識灯がアプローチセンターラインライト15である場合には、図4に示すように、アプローチセンターラインライト15の配光パターン29が得られるように、航空標識灯であるアプローチセンターラインライト15を搭載した架台24を連続的に回動させる。同様に、航空標識灯が直線用誘導路中心線灯18である場合には、図5に示すように、直線用誘導路中心線灯18の配光パターン29’が得られるように、航空標識灯を搭載した架台24を連続的に回動させる。
【0039】
架台制御部34の計測制御部38は、航空標識灯の所定の配光パターン29を表す照度データが取得できる範囲内で架台24を連続的に回動させる。図4において、航空標識灯であるアプローチセンターラインライト15の所定の配光パターン29の左右方向範囲は、回動位置P1〜回動位置P21であり、この範囲の照度データが得られるようにアプローチセンターラインライト15を搭載した架台24を連続的に回動させる。そして、アプローチセンターラインライト15を連続的に回動させることから、アプローチセンターラインライト15の光源部23の光検出部25に対する相対的位置は連続的に変化する。
【0040】
そこで、配光測定制御部35の測定制御部38は、アプローチセンターラインライト15の所定の配光パターン29の左右方向範囲の回動位置P1〜回動位置P21の範囲で照度データが得られるように、直線上に配置した照度計26などの光センサに対し、測定間隔ΔT(回動角度Δθ)の半分の角度Δθ/2を超えた位置S1からA/D変換を開始し、半分の角度Δθの位置S2でA/D変換を終え、順次、同様に回動位置S22までA/D変換の処理を行う。
【0041】
図5に示した直線用誘導路中心線灯の場合も同様に、航空標識灯12である直線用誘導路中心線灯の所定の配光パターン29’の左右方向範囲は、回動位置P1〜回動位置P17であり、この範囲の照度データが得られるように直線用誘導路中心線灯を搭載した架台24を連続的に回動させる。そして、配光測定制御部35の測定制御部38は、直線用誘導路中心線灯の所定の配光パターン29’の左右方向範囲の回動位置P1〜回動位置P17の範囲で照度データが得られるように、直線上に配置した照度計26などの光センサに対し、測定間隔ΔT(回動角度Δθ)の半分の角度Δθ/2を超えた位置S1からA/D変換を開始し、半分の角度Δθの位置S2でA/D変換を終え、順次、同様に回動位置S18までA/D変換の処理を行う。
【0042】
表1は、各種の航空標識灯につき本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られた平均光度及び均斉度と従来の測定装置で得られた平均光度及び均斉度との比較表である。
【表1】
【0043】
例えば、白色のアプローチセンターラインライトの場合、平均光度及び均斉度ともに、従来の測定装置と同等な精度で測定できており、しかも測定時間は1/3以下である。以下同様に、赤色のアプローチサイドバレットライト、赤色または白色の滑走路中心線灯、緑色または黄色の直線用誘導路中心線灯、緑色または黄色の曲線用誘導路中心線灯についても、従来の測定装置と同等な精度で測定できており、しかも測定時間は1/3以下である。このように、測定対象である航空標識灯を連続的に回動させて照度データを測定し、面状の配光パターンを求めても測定精度は従来と同等の精度が得られることが分かる。
【0044】
すなわち、従来のように、架台24を停止させて測定対象である航空標識灯12を停止させて測定した場合と、連続的に回動させた場合とで得られた輝度データに殆ど差異がない。当然、架台24を停止させながら測定した場合の方が精度が高いことになるが、このように本発明の第1の実施の形態のように架台24を連続的に回動させ、測定対象である航空標識灯12を連続的に回動させる測定手法を用いても照度データに差異がないことが分かる。これは、相対位置の関係から、実際は斜めにA/D変換していることになるが、測定開始の回動角度を測定間隔ΔT(回動角度Δθ)の1/2だけ先行させて開始しているからである。
【0045】
以上の説明では、配光パターンを含む周辺の照度計からの照度データも入力するようにしたが、必要な照度計のみの照度データをA/D変換してサンプリングするようにしてもよい。例えば、配光パターンを形成する領域内の照度計のみの照度データをA/D変換してサンプリングするようにしてもよい。
【0046】
また、光検出部25で得られた輝度データから面状の配光パターンの平均光度や均斉度を求めるようにしたが、図6に示すように等光度曲線などにより光度分布図を作成するようにしてもよい。
【0047】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるデータ処理装置で作成した等光度曲線の平面図である。図6では、滑走路中心線灯の配光パターン29を示しており、サブ配光パターン29”とともに等光度曲線C1、C2、C3を示している。曲線C1は平均光度値の等光度曲線、曲線C2は平均光度値の1/2の等光度曲線、曲線C3は平均光度値の1/10の等光度曲線である。
【0048】
平均光度値の等光度曲線C1の内側領域の光度値は平均光度値より大きく、平均光度値の等光度曲線C1と平均光度値の1/2の等光度曲線C2との間の領域は、平均光度値より小さく平均光度値の1/2より大きい光度値である。同様に、平均光度値の1/2の等光度曲線C2と平均光度値の1/10の等光度曲線C3との間の領域は、平均光度値の1/2より小さく平均光度値の1/10より大きい光度値である。そして、平均光度値の1/10の等光度曲線C3の外側領域は平均光度値の1/10より小さい光度値である。
【0049】
配光パターン29は、平均光度値より大きい領域(等光度曲線C1の内側領域)と、平均光度値より小さく平均光度値の1/2より大きい領域(等光度曲線C1と等光度曲線C2との間の領域)とが大半を占めるので、その配光パターン29の平均光度は、ほぼ規定値に等しくなっている。このように、等光度曲線を描画しディスプレイ装置に表示することで作業員は直観的に配光パターンや平均光度さらには均斉度を把握できる。
【0050】
第1の実施の形態によれば、検査対象の航空標識灯12を連続的に回動して、航空標識灯12と光検出部25との相対位置の関係から、測定開始の回動角度を測定間隔ΔT(回動角度Δθ)の1/2だけ先行させて開始し、斜めに連続的にA/D変換するので、測定精度を十分確保し航空標識灯を停止することなく回動しながら測定できる。従って、配光パターンの測定を高速で行うことができ測定時間を短縮でき、航空標識灯の定期的な光度管理の効率を向上できる。また、等光度曲線を描画しディスプレイ装置に表示する場合には、作業員は容易に配光パターンや平均光度さらには均斉度を把握できる。
【0051】
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部49と、配光測定制御部35と絶縁抵抗測定部49とを切り替える切替器50とを追加して設けたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0052】
航空標識灯12に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30は、前述したように、電力供給用の2本のコネクタ端子31を有し、測定用コネクタ32に接続される。測定用コネクタ32は切替器50を介して配光測定制御部35及び絶縁抵抗測定部49に接続されている。
【0053】
絶縁抵抗測定部49は、絶縁抵抗測定電源を航空標識灯12内部に供給し絶縁抵抗を測定するものである。例えば、航空標識灯12の灯器の外表面を接地し、給電コネクタ30を介して航空標識灯12内部に絶縁抵抗測定電源の電圧を印加する。絶縁強度が保たれている場合にはほとんど電流は流れないが、絶縁劣化している場合には漏れ電流が流れる。この漏れ電流を検出することにより絶縁抵抗を測定する。
【0054】
このように、給電コネクタ30を絶縁抵抗測定用のコネクタとして共用し、航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する際には、切替器50で配光測定制御部35から絶縁抵抗測定部49に切り替え、給電コネクタ30から絶縁抵抗測定電源を印加し、航空標識灯の絶縁抵抗を測定する。
【0055】
本発明の第2の実施の形態によれば、配光測定用の給電コネクタ30を絶縁抵抗測定用のコネクタとして共用して、切替器50で配光測定制御部35と絶縁抵抗測定部とを切り替え可能にしているので、配光測定作業と絶縁抵抗測定作業とを同一の航空標識灯検査装置で切り替えて行うことができ、配光測定作業及び絶縁抵抗測定作業を簡素化できる。
【0056】
(第3の実施の形態)
図8は本発明の第3の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、航空標識灯内部の漏洩検査を行う漏洩検査部51と、所定の圧力の空気が収納された複数のマスターチャンバー52とを追加して設けるとともに、航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30に航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子53を一体的に設けたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0057】
航空標識灯12に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30は、図9に示すように、電力供給用の2本のコネクタ端子31を有するとともに圧縮空気充填用コネクタ端子53を有している。通常、給電コネクタ30は、図2に示すように電力供給用のみの2本のコネクタ端子31が標準となっているが、第3の実施の形態では、航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子53を一体的に設ける。
【0058】
このように、給電コネクタ30は電力供給用の2本のコネクタ端子31と圧縮空気充填用コネクタ端子53とを備えたハイブリッド形コネクタに形成する。そして、この給電コネクタ30と接続される測定用コネクタ32には、2本のコネクタ端子31だけでなく圧縮空気充填用コネクタ端子53を挿入する雌コネクタ部も設ける。
【0059】
圧縮空気充填用コネクタ端子53としては、測定用コネクタ32の雌コネクタ部から圧縮空気充填用コネクタ端子53を通じ航空標識灯12内部に圧縮空気が充填できる機能を有し、かつ圧縮空気充填用コネクタ端子53を測定用コネクタ32の雌コネクタ部から外した場合に、航空標識灯12内部の空気が漏れない機構を有しているものを採用する。例えば、コネクタ勘合ゴム部分にて気密機能を有しているもの、カップリング機能(ワンタッチカプラによる気密機能)を有しているもの、逆流防止弁付きワンタッチカプラを用いた構造のもの、あるいは逆流防止弁付きカプラを用いた構造のものを採用する。
【0060】
これにより、給電コネクタ30を測定用コネクタ32に接続すると、電力供給と圧縮空気充填とが同時に行える。従って、航空標識灯12の配光測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行うことができる。航空標識灯12の漏洩検査は、圧縮空気を航空標識灯12内部に充填しマスターチャンバー52との差圧検出による方法で航空標識灯12の気密性を確認することで行う。漏洩検査部51での検査結果はデータ処理部36のコンピュータでデータ処理されディスプレイ装置47に表示出力され、またレーザプリンタ48に印刷出力される。
【0061】
本発明の第3の実施の形態によれば、配光測定用の給電コネクタ30を電力供給用の2本のコネクタ端子31と圧縮空気充填用コネクタ端子53とを備えたハイブリッド形コネクタに形成するので、航空標識灯12の配光測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行うことができ、配光測定作業及び漏洩検査作業を簡素化できる。
【0062】
(第4の実施の形態)
図10は本発明の第4の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図である。この第4の実施の形態は、図7に示した第2の実施の形態に対し、航空標識灯内部の漏洩検査を行う漏洩検査部51と、所定の圧力の空気が収納された複数のマスターチャンバー52とを追加して設けるとともに、航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30に航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子53を一体的に設けたものである。
【0063】
すなわち、図8に示した第3の実施の形態に対し、航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部49と、配光測定制御部35と絶縁抵抗測定部49とを切り替える切替器50とを追加して設けたものである。図7及び図8と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0064】
給電コネクタ30は第3の実施の形の図9に示す給電コネクタ30と同一構成であり、電力供給用の2本のコネクタ端子31を有するとともに圧縮空気充填用コネクタ端子53を有している。
【0065】
この給電コネクタ30を測定用コネクタ32に接続すると、電力供給と圧縮空気充填とが同時に行える。従って、航空標識灯12の配光測定または絶縁抵抗測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行うことができる。
【0066】
航空標識灯12の配光測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行う場合には、切替器50で給電コネクタ30のコネクタ端子31を測定用交流直流電源33を介して配光測定制御部35に接続する。そして、航空標識灯12を点灯して照度の測定を行うとともに、給電コネクタ30の圧縮空気充填用コネクタ端子53から航空標識灯12に圧縮空気を供給して漏洩検査を行う。
【0067】
一方、航空標識灯12の絶縁抵抗測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行う場合には、切替器50で給電コネクタ30のコネクタ端子31を絶縁抵抗測定部49に接続する。そして、航空標識灯12の灯器の外表面を接地し絶縁抵抗測定電源を航空標識灯12内部に供給し絶縁抵抗を測定するとともに、給電コネクタ30の圧縮空気充填用コネクタ端子53から航空標識灯12に圧縮空気を供給して漏洩検査を行う。また、空標識灯12の配光測定、絶縁抵抗測定、漏洩検査をそれぞれ個別に行ってもよい。
【0068】
本発明の第4の実施の形態によれば、航空標識灯の配光測定、絶縁抵抗測定、漏洩検査のうちのいずれか一つを単独で、または配光測定と漏洩検査、絶縁抵抗測定と漏洩検査を並行して行うことができるので、配光測定作業、絶縁抵抗測定及び漏洩検査作業を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における給電コネクタの斜視図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の詳細構成図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られた滑走路中心線灯の面状の配光パターンの平面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られた直線用誘導路中心線灯の面状の配光パターンの平面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるデータ処理装置で作成した等光度曲線の平面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図。
【図9】本発明の第3の実施の形態における給電コネクタの斜視図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図。
【図11】滑走路や誘導路への航空標識灯の配置を示す平面図。
【図12】滑走路に埋設された航空標識灯の埋設状態を説明する俯瞰図。
【図13】航空標識灯の上面部の一例を示す平面図。
【図14】航空標識灯の配光特性を測定する従来の測定装置の構成図。
【図15】従来の測定装置で得られた面状の配光パターンの平面図。
【符号の説明】
【0070】
10…滑走路、11…滑走路中心線灯、12…航空標識灯、13…滑走路中心線、14…センターライン、15…アプローチセンターラインライト、16…アプローチサイドバレットライト、17…誘導路、18…直線用誘導路中心線灯、19…曲線用誘導路中心線灯、20…基台上面部、21…灯体、22…ボルト、23…光源部、24…架台、25…光検出部、26…照度計、27…色度計、28…スクリーン、29…配光パターン、30…給電コネクタ、31…コネクタ端子、32…測定用コネクタ、33…測定用交流直流電源、34…架台制御部、35…配光測定制御部、36…データ処理部、37…A/D変換器、38…計測制御部、39…色度信号処理部、40…コンピュータ、41…中継端子基板、42…電動機駆動部、43…A/D変換器、44…キーボード、45…マウス、46…バーコードハンディースキャナ、47…ディスプレイ装置、48…レーザプリンタ、49…絶縁抵抗測定部、50…切替器、51…漏洩検査部、52…マスターチャンバー、53…圧縮空気充填用コネクタ端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空標識灯の検査のための測定データを測定しデータ処理する航空標識灯検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空港においては、航空機の離着陸のため滑走路や誘導路等において各種の航空標識灯が設置されている。図11は滑走路や誘導路への航空標識灯の配置を示す平面図、図12は滑走路に埋設された航空標識灯の埋設状態を説明する俯瞰図、図13は航空標識灯の上面部の一例を示す平面図である。
【0003】
図11に示すように、滑走路10には、航空標識灯として複数の滑走路中心線灯11が滑走路中心線13に沿い所定の間隔を保って配置され、滑走路10の前後のセンターライン14には複数のアプローチセンターラインライト15が配置され、その左右にはアプローチサイドバレットライト16が配置される。また、誘導路17には直線用誘導路中心線灯18や曲線用誘導路中心線灯19が設置されている。
【0004】
また、これらの航空標識灯は、図12に示すように灯器の上面部が滑走路面に突出して配置され、灯器の基台は空港の滑走路や誘導路の路中に埋設される。そして、その基台の中に光源部や点灯回路等が収納され防水構造となっている。また、図13に示すように、基台上面部20には灯体21がボルト22で装着される。灯体21の内部には光源部23が設けられ、光源部23から灯体21の外部に放射され滑走路や誘導路の路面を照明する。
【0005】
これらの航空標識灯については、滑走路中心線灯11、アプローチセンターラインライト15、アプローチサイドバレットライト16、直線用誘導路中心線灯18、曲線用誘導路中心線灯19の種別に応じて、それぞれ異なる照明の特性に関する基準が指定されている。その基準の一つに航空標識灯から投射される光の明るさの分布すなわち配光特性がある。航空標識灯が各種別に応じて所定の配光特性を維持しているか否かを確認するために、航空標識灯を滑走路や誘導路から外して持ち帰り配光特性を測定するようにしている。すなわち、滑走路や誘導路に設置された航空標識灯12の給電コンセントを交流定電流電源から取り外し、灯体本体を持ち帰る。
【0006】
図14は、航空標識灯の配光特性を測定する従来の測定装置の構成図である。架台24に持ち帰った航空標識灯12を搭載し、航空標識灯12の光源部23からの光を光検出部25で受光し、この光検出部25で受光した光受信信号に基づいて配光パターンを得るようにしている。光検出部25は直線上に配置された複数個の光センサである照度計26と、中央部に配置された1個の光センサである色度計27とにより構成されている。照度計26は航空標識灯12の光源部23の照射角度毎の照度を検出するものであり、この照度分布から配光パターンを得ることになる。色度計27は航空標識灯12の光源部23の彩度を検出するものである。そして、これらセンサはスクリーン28上に配置されている。
【0007】
配光特性を測定するに当たっては、滑走路や誘導路から持ち帰った配光特性測定対象の航空標識灯12を架台24に搭載し、航空標識灯12の光源部23から光検出部25に光を照射する。そして、その航空標識灯12の所定の配光パターンが得られる範囲で、所定の測定間隔だけ小刻みに架台24を回動させる。例えば、所定の測定間隔として回動角度10°で100°回動させる場合には、20回小刻みに架台を回動させることになる。そして、各々の回動位置で架台24を停止させて光信号を計測し、各々の回動位置で計測した光受信信号に基づいて面状の配光パターンを得る。
【0008】
図15は、従来の測定装置で得られた面状の配光パターンの平面図である。図15に示すように、航空標識灯12の配光パターン29が得られるように、航空標識灯12を搭載した架台24を小刻みに回動させる。図15では回動位置P1〜P21まで20回小刻みに回動させ、その回動位置P1〜P21で停止させて各々の照度計26で照度を検出する。そして、各々の回動位置P1〜P21において各々の照度計26で検出された照度に基づいて面状の配光パターンを得る。このように、従来においては、直線上に配置した照度計26に対し、測光される航空標識灯12を回動させることによって面状の照度分布を求め配光パターンを得る。
【0009】
ここで、照度計の代わりにCCDカメラを用いて面の輝度を測定し、複数配置した照度計の照度との相関によりCCD画素値から多点照度値を換算し、面の多点測光を実現してするようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭64−35343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1のものではCCD画素値からの換算による誤差が生じる。また、白色スクリーンの輝度を測定することにより、低照度発光(スクリーン上は低輝度)器具を測定することになるので、CCDカメラのシャッタースピードを遅くしなければならない。そのため、測定時間が長期化しCCD素子への負荷も大きなり、画素欠陥の影響を受ける。
【0011】
一方、直線上に配置した照度計26に対し、測光される航空標識灯12を回動させることによって面状の照度分布を求め配光パターンを得るものでは、小刻みに回動させ各々の回動位置で架台24を停止させて光信号を計測することになるので、光信号の測定に時間が掛かる。
【0012】
また、航空標識灯12は、配光測定だけでなく絶縁抵抗測定や漏洩検査も行われる。例えば、絶縁抵抗測定は航空標識灯12に点灯用の交流定電流電源を供給する給電コネクタから絶縁抵抗測定用の電源を供給して絶縁強度が維持されているか否かを判定する。一方、漏洩検査を行う場合には、航空標識灯12に点灯用の交流定電流電源を供給する給電コネクタとは別の空気充填用コネクタ(カプラ)から圧縮空気を充填して検査を実施している。そのため、配光測定、絶縁抵抗測定、漏洩検査という3つの作業を個別に行わなければならないので、検査に時間がかかり非効率的なものであった。
【0013】
本発明の目的は、測定データの測定精度を低下させることなく測定データの測定時間を短縮でき、また検査を効率よく行うことができる航空標識灯検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明に係わる航空標識灯検査装置は、架台に搭載された航空標識灯からの光を受光し直線上に配置された光センサで照度を検出する光検出部と;前記航空標識灯の所定の配光パターンに従って前記航空標識灯を搭載した架台を連続的に回動させる架台制御部と;前記航空標識灯を所定の配光パターンで点灯するとともに、前記架台が予め定めた回動角だけ移動する度に、その回動角の開始位置から前記光検出部からの光受信信号のA/D変換を開始し、その回動角の終了位置でA/D変換を終了し、A/D変換された光受信信号を受信する配光測定制御部と;前記配光測定制御部でA/D変換された光受信信号及び前記架台の回動角に基づいて面状の前記航空標識灯の配光パターンを得るデータ処理部と;を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は以下による。
【0016】
光検出部の光センサは航空標識灯からの光の照度を検出する照度計であり、複数の照度計は直線上に配置される。架台は検査対象の航空標識灯を搭載して架台制御部により連続的に回動し、航空標識灯の光検出部に対する相対的位置を連続的に変化させる。航空標識灯の所定の配光パターンに従って航空標識灯を搭載した架台を連続的に回動させるとは、航空標識灯の所定の配光パターンを表す照度データが取得できる範囲内で架台の停止を伴わずに回動させることをいい、例えば、航空標識灯の左右前方の拡がり角度がα°である配光パターンである場合には、左右前方の拡がり角度がα°の照度データが検出できるように、少なくとも架台の回動角の停止を伴わずに変化させる。
【0017】
配光測定制御部は、航空標識灯を所定の配光パターンで点灯するとともに、架台が予め定めた回動角だけ移動する度に、光検出部からの光受信信号をA/D変換して受信する。つまり、架台の回動角の開始位置から光検出部からの光受信信号のA/D変換を開始し、その回動角の終了位置でA/D変換を終了し、A/D変換された光受信信号を受信する。これにより、連続的に光受信信号をA/D変換できる。
【0018】
架台が予め定めた回動角だけ移動する度とは、例えば、測定間隔に相当する回動角だけ架台が移動する度であり、これにより、測定間隔毎に光受信信号をA/D変換して受信することになり、回動角とA/D変換との同期が取られる。
【0019】
データ処理部は、配光測定制御部でA/D変換された光受信信号及び架台の回動角に基づいて面状の航空標識灯の配光パターンを得る。面状の航空標識灯の配光パターンとは、直線上に配置された照度計により検出された各々の回動角での照度データを組み合わせて作成した面状の配光パターンである。
【0020】
請求項2の発明に係わる航空標識灯検査装置は、請求項1の発明において、前記航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタから絶縁抵抗測定電源を供給し前記航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部と;前記配光測定制御部と前記絶縁抵抗測定部とを切り替える切替器と;を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明は、請求項1の発明において、絶縁抵抗測定部を設け、航空標識灯の配光測定と絶縁抵抗測定とを切替器で切り替えて行えるようにしたものである。給電コネクタを絶縁抵抗測定用のコネクタとして共用し、航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する際には、切替器で配光測定制御部から絶縁抵抗測定部に切り替え、給電コネクタから絶縁抵抗測定電源を供給し、航空標識灯の絶縁抵抗を測定する。
【0022】
請求項3の発明に係わる航空標識灯検査装置は、請求項1または2の発明において、前記航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタに前記航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子を一体的に設け、前記圧縮空気充填用コネクタ端子から前記航空標識灯内部に漏洩検査用の圧縮空気を注入し漏洩検査を行う漏洩検査部を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明は、請求項1または2の発明において、航空標識灯内部の漏洩検査を行う場合には、圧縮空気充填用コネクタ端子から航空標識灯内部に圧縮空気を充填し、例えばマスターチャンバーとの差圧検出による方法で航空標識灯の気密性を確認する。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、検査対象の航空標識灯を連続的に回動して航空標識灯の照度データを測定できるので、配光パターンの測定時間を短縮できる。
【0025】
すなわち、航空標識灯を停止することなく回動しながら測定できることから高速測定が実現できる。また、航空標識灯の予め定めた回動角と連動してA/D変換を行うので、連続してA/D変換した照度データを得ることができる。従って、測定精度が十分確保され高速測定が可能になるとともに、航空標識灯の定期的な光度管理の効率を向上できる。
【0026】
請求項2の発明によれば、切替器で配光測定制御部から絶縁抵抗測定部に切り替え、給電コネクタから絶縁抵抗測定電源を供給し、航空標識灯の絶縁抵抗を測定するので、絶縁抵抗測定の作業が簡素化できる。請求項3の発明によれば、配光測定制御部からの航空標識灯の点灯用交流定電流電源や絶縁抵抗用電源の供給と、圧縮空気充填の供給とが同時に行えるので、配光パターン測定作業、絶縁抵抗測定作業、及び漏洩検査作業を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図である。光検出部25は図1では記載を省略しているが、図14に示したように構成される。すなわち、直線上に配置された複数の照度計及び一つの色度計を有し、スクリーンを介して架台24に搭載された航空標識灯12の光源部23からの光を受光し照度と色度とを検出する。
【0028】
航空標識灯12に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30は、図2に示すように、電力供給用の2本のコネクタ端子31を有し、測定用コネクタ32に接続される。これにより、航空標識灯12の光源部23には測定用交流直流電源33から点灯用の電源が供給され、航空標識灯12は測定用交流直流電源33からの電力で点灯する。
【0029】
架台制御部34は航空標識灯12の所定の配光パターンに従って航空標識灯12を搭載した架台24を連続的に回動させる。例えば、航空標識灯の左右前方の拡がり角度が100°である配光パターンである場合には、左右前方の拡がり角度が100°の照度データが検出できるように、架台24の回動角を停止を伴わずに回動させる。
【0030】
配光測定制御部35は航空標識灯12を所定の配光パターンで点灯するとともに、架台24が予め定めた回動角だけ移動する度に光検出部25からの光受信信号をA/D変換して受信する。すなわち、順次測定間隔に相当する回転角だけ架台24が移動すると光受信信号をA/D変換して受信する。これにより、回動角とA/D変換との同期をとるようにしている。
【0031】
データ処理部36は配光測定制御部35でA/D変換された光受信信号及び架台24の回動角に基づいて面状の航空標識灯の配光パターンを得るものであり、直線上に配置された照度計により検出された各々の回動角での照度データを組み合わせて面状の配光パターンを作成する。
【0032】
図3は本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の詳細構成図である。光検出部25は直線上に配置された複数個の光センサである照度計26と、1個の光センサである色度計27とにより構成されている。図3ではスクリーンの記載を省略している。光検出部25の照度計26で検出された照度信号はA/D変換器37でそれぞれアナログ信号からデジタル信号に変換され計測制御部38に入力される。また、色度計27で検出された色彩信号は色度信号処理部39に入力されデータ処理部36のコンピュータ40に入力される。
【0033】
計測制御部38は中継端子基板41を介して電動機駆動部42に駆動指令を出力し、架台24の図示省略の電動機を駆動して架台24を回動させる。これにより、架台24に搭載された航空標識灯12を連続的に回動させる。電動機としては、例えばステッピングモータを用いる。
【0034】
また、計測制御部38は中継端子基板41を介して測定用交流直流電源33に点灯制御指令を出力し、測定用交流直流電源33から航空標識灯12の光源部23に点灯用電力を供給する。測定用交流直流電源33から航空標識灯12の光源部23に点灯用電力が出力されていることを示す点灯制御信号はA/D変換器43に入力され、アナログ信号からデジタル信号に変換されて計測制御部38にフィードバックされる。
【0035】
計測制御部38は電動機駆動部42に駆動指令を出力し、架台24が予め定めた回動角だけ移動する度に光検出部25の照度計26からの照度信号をA/D変換して受信し、回動角と照度計26からの照度信号のA/D変換との同期をとるようにしている。
【0036】
データ処理部36のコンピュータ40は、計測制御部38からの照度信号を回転角と関連づけて入力し面状の配光パターンを作成する。コンピュータ40には入力装置としてキーボード44、マウス45、バーコードハンディースキャナ46等が接続され、出力装置としてディスプレイ装置47やレーザプリンタ48等が接続されている。コンピュータ40で作成された面状の配光パターンは、ディスプレイ装置47に画面表示され、必要に応じてレーザプリンタ48に印刷出力される。
【0037】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られたアプローチセンターラインライトの面状の配光パターンの平面図、図5は、本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られた直線用誘導路中心線灯の面状の配光パターンの平面図である。
【0038】
架台制御部34の計測制御部38は、航空標識灯の種別に応じて配光パターンが得られるように、航空標識灯を搭載した架台24を連続的に回動させる。例えば、航空標識灯がアプローチセンターラインライト15である場合には、図4に示すように、アプローチセンターラインライト15の配光パターン29が得られるように、航空標識灯であるアプローチセンターラインライト15を搭載した架台24を連続的に回動させる。同様に、航空標識灯が直線用誘導路中心線灯18である場合には、図5に示すように、直線用誘導路中心線灯18の配光パターン29’が得られるように、航空標識灯を搭載した架台24を連続的に回動させる。
【0039】
架台制御部34の計測制御部38は、航空標識灯の所定の配光パターン29を表す照度データが取得できる範囲内で架台24を連続的に回動させる。図4において、航空標識灯であるアプローチセンターラインライト15の所定の配光パターン29の左右方向範囲は、回動位置P1〜回動位置P21であり、この範囲の照度データが得られるようにアプローチセンターラインライト15を搭載した架台24を連続的に回動させる。そして、アプローチセンターラインライト15を連続的に回動させることから、アプローチセンターラインライト15の光源部23の光検出部25に対する相対的位置は連続的に変化する。
【0040】
そこで、配光測定制御部35の測定制御部38は、アプローチセンターラインライト15の所定の配光パターン29の左右方向範囲の回動位置P1〜回動位置P21の範囲で照度データが得られるように、直線上に配置した照度計26などの光センサに対し、測定間隔ΔT(回動角度Δθ)の半分の角度Δθ/2を超えた位置S1からA/D変換を開始し、半分の角度Δθの位置S2でA/D変換を終え、順次、同様に回動位置S22までA/D変換の処理を行う。
【0041】
図5に示した直線用誘導路中心線灯の場合も同様に、航空標識灯12である直線用誘導路中心線灯の所定の配光パターン29’の左右方向範囲は、回動位置P1〜回動位置P17であり、この範囲の照度データが得られるように直線用誘導路中心線灯を搭載した架台24を連続的に回動させる。そして、配光測定制御部35の測定制御部38は、直線用誘導路中心線灯の所定の配光パターン29’の左右方向範囲の回動位置P1〜回動位置P17の範囲で照度データが得られるように、直線上に配置した照度計26などの光センサに対し、測定間隔ΔT(回動角度Δθ)の半分の角度Δθ/2を超えた位置S1からA/D変換を開始し、半分の角度Δθの位置S2でA/D変換を終え、順次、同様に回動位置S18までA/D変換の処理を行う。
【0042】
表1は、各種の航空標識灯につき本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られた平均光度及び均斉度と従来の測定装置で得られた平均光度及び均斉度との比較表である。
【表1】
【0043】
例えば、白色のアプローチセンターラインライトの場合、平均光度及び均斉度ともに、従来の測定装置と同等な精度で測定できており、しかも測定時間は1/3以下である。以下同様に、赤色のアプローチサイドバレットライト、赤色または白色の滑走路中心線灯、緑色または黄色の直線用誘導路中心線灯、緑色または黄色の曲線用誘導路中心線灯についても、従来の測定装置と同等な精度で測定できており、しかも測定時間は1/3以下である。このように、測定対象である航空標識灯を連続的に回動させて照度データを測定し、面状の配光パターンを求めても測定精度は従来と同等の精度が得られることが分かる。
【0044】
すなわち、従来のように、架台24を停止させて測定対象である航空標識灯12を停止させて測定した場合と、連続的に回動させた場合とで得られた輝度データに殆ど差異がない。当然、架台24を停止させながら測定した場合の方が精度が高いことになるが、このように本発明の第1の実施の形態のように架台24を連続的に回動させ、測定対象である航空標識灯12を連続的に回動させる測定手法を用いても照度データに差異がないことが分かる。これは、相対位置の関係から、実際は斜めにA/D変換していることになるが、測定開始の回動角度を測定間隔ΔT(回動角度Δθ)の1/2だけ先行させて開始しているからである。
【0045】
以上の説明では、配光パターンを含む周辺の照度計からの照度データも入力するようにしたが、必要な照度計のみの照度データをA/D変換してサンプリングするようにしてもよい。例えば、配光パターンを形成する領域内の照度計のみの照度データをA/D変換してサンプリングするようにしてもよい。
【0046】
また、光検出部25で得られた輝度データから面状の配光パターンの平均光度や均斉度を求めるようにしたが、図6に示すように等光度曲線などにより光度分布図を作成するようにしてもよい。
【0047】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるデータ処理装置で作成した等光度曲線の平面図である。図6では、滑走路中心線灯の配光パターン29を示しており、サブ配光パターン29”とともに等光度曲線C1、C2、C3を示している。曲線C1は平均光度値の等光度曲線、曲線C2は平均光度値の1/2の等光度曲線、曲線C3は平均光度値の1/10の等光度曲線である。
【0048】
平均光度値の等光度曲線C1の内側領域の光度値は平均光度値より大きく、平均光度値の等光度曲線C1と平均光度値の1/2の等光度曲線C2との間の領域は、平均光度値より小さく平均光度値の1/2より大きい光度値である。同様に、平均光度値の1/2の等光度曲線C2と平均光度値の1/10の等光度曲線C3との間の領域は、平均光度値の1/2より小さく平均光度値の1/10より大きい光度値である。そして、平均光度値の1/10の等光度曲線C3の外側領域は平均光度値の1/10より小さい光度値である。
【0049】
配光パターン29は、平均光度値より大きい領域(等光度曲線C1の内側領域)と、平均光度値より小さく平均光度値の1/2より大きい領域(等光度曲線C1と等光度曲線C2との間の領域)とが大半を占めるので、その配光パターン29の平均光度は、ほぼ規定値に等しくなっている。このように、等光度曲線を描画しディスプレイ装置に表示することで作業員は直観的に配光パターンや平均光度さらには均斉度を把握できる。
【0050】
第1の実施の形態によれば、検査対象の航空標識灯12を連続的に回動して、航空標識灯12と光検出部25との相対位置の関係から、測定開始の回動角度を測定間隔ΔT(回動角度Δθ)の1/2だけ先行させて開始し、斜めに連続的にA/D変換するので、測定精度を十分確保し航空標識灯を停止することなく回動しながら測定できる。従って、配光パターンの測定を高速で行うことができ測定時間を短縮でき、航空標識灯の定期的な光度管理の効率を向上できる。また、等光度曲線を描画しディスプレイ装置に表示する場合には、作業員は容易に配光パターンや平均光度さらには均斉度を把握できる。
【0051】
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部49と、配光測定制御部35と絶縁抵抗測定部49とを切り替える切替器50とを追加して設けたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0052】
航空標識灯12に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30は、前述したように、電力供給用の2本のコネクタ端子31を有し、測定用コネクタ32に接続される。測定用コネクタ32は切替器50を介して配光測定制御部35及び絶縁抵抗測定部49に接続されている。
【0053】
絶縁抵抗測定部49は、絶縁抵抗測定電源を航空標識灯12内部に供給し絶縁抵抗を測定するものである。例えば、航空標識灯12の灯器の外表面を接地し、給電コネクタ30を介して航空標識灯12内部に絶縁抵抗測定電源の電圧を印加する。絶縁強度が保たれている場合にはほとんど電流は流れないが、絶縁劣化している場合には漏れ電流が流れる。この漏れ電流を検出することにより絶縁抵抗を測定する。
【0054】
このように、給電コネクタ30を絶縁抵抗測定用のコネクタとして共用し、航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する際には、切替器50で配光測定制御部35から絶縁抵抗測定部49に切り替え、給電コネクタ30から絶縁抵抗測定電源を印加し、航空標識灯の絶縁抵抗を測定する。
【0055】
本発明の第2の実施の形態によれば、配光測定用の給電コネクタ30を絶縁抵抗測定用のコネクタとして共用して、切替器50で配光測定制御部35と絶縁抵抗測定部とを切り替え可能にしているので、配光測定作業と絶縁抵抗測定作業とを同一の航空標識灯検査装置で切り替えて行うことができ、配光測定作業及び絶縁抵抗測定作業を簡素化できる。
【0056】
(第3の実施の形態)
図8は本発明の第3の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、航空標識灯内部の漏洩検査を行う漏洩検査部51と、所定の圧力の空気が収納された複数のマスターチャンバー52とを追加して設けるとともに、航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30に航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子53を一体的に設けたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0057】
航空標識灯12に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30は、図9に示すように、電力供給用の2本のコネクタ端子31を有するとともに圧縮空気充填用コネクタ端子53を有している。通常、給電コネクタ30は、図2に示すように電力供給用のみの2本のコネクタ端子31が標準となっているが、第3の実施の形態では、航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子53を一体的に設ける。
【0058】
このように、給電コネクタ30は電力供給用の2本のコネクタ端子31と圧縮空気充填用コネクタ端子53とを備えたハイブリッド形コネクタに形成する。そして、この給電コネクタ30と接続される測定用コネクタ32には、2本のコネクタ端子31だけでなく圧縮空気充填用コネクタ端子53を挿入する雌コネクタ部も設ける。
【0059】
圧縮空気充填用コネクタ端子53としては、測定用コネクタ32の雌コネクタ部から圧縮空気充填用コネクタ端子53を通じ航空標識灯12内部に圧縮空気が充填できる機能を有し、かつ圧縮空気充填用コネクタ端子53を測定用コネクタ32の雌コネクタ部から外した場合に、航空標識灯12内部の空気が漏れない機構を有しているものを採用する。例えば、コネクタ勘合ゴム部分にて気密機能を有しているもの、カップリング機能(ワンタッチカプラによる気密機能)を有しているもの、逆流防止弁付きワンタッチカプラを用いた構造のもの、あるいは逆流防止弁付きカプラを用いた構造のものを採用する。
【0060】
これにより、給電コネクタ30を測定用コネクタ32に接続すると、電力供給と圧縮空気充填とが同時に行える。従って、航空標識灯12の配光測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行うことができる。航空標識灯12の漏洩検査は、圧縮空気を航空標識灯12内部に充填しマスターチャンバー52との差圧検出による方法で航空標識灯12の気密性を確認することで行う。漏洩検査部51での検査結果はデータ処理部36のコンピュータでデータ処理されディスプレイ装置47に表示出力され、またレーザプリンタ48に印刷出力される。
【0061】
本発明の第3の実施の形態によれば、配光測定用の給電コネクタ30を電力供給用の2本のコネクタ端子31と圧縮空気充填用コネクタ端子53とを備えたハイブリッド形コネクタに形成するので、航空標識灯12の配光測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行うことができ、配光測定作業及び漏洩検査作業を簡素化できる。
【0062】
(第4の実施の形態)
図10は本発明の第4の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図である。この第4の実施の形態は、図7に示した第2の実施の形態に対し、航空標識灯内部の漏洩検査を行う漏洩検査部51と、所定の圧力の空気が収納された複数のマスターチャンバー52とを追加して設けるとともに、航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタ30に航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子53を一体的に設けたものである。
【0063】
すなわち、図8に示した第3の実施の形態に対し、航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部49と、配光測定制御部35と絶縁抵抗測定部49とを切り替える切替器50とを追加して設けたものである。図7及び図8と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0064】
給電コネクタ30は第3の実施の形の図9に示す給電コネクタ30と同一構成であり、電力供給用の2本のコネクタ端子31を有するとともに圧縮空気充填用コネクタ端子53を有している。
【0065】
この給電コネクタ30を測定用コネクタ32に接続すると、電力供給と圧縮空気充填とが同時に行える。従って、航空標識灯12の配光測定または絶縁抵抗測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行うことができる。
【0066】
航空標識灯12の配光測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行う場合には、切替器50で給電コネクタ30のコネクタ端子31を測定用交流直流電源33を介して配光測定制御部35に接続する。そして、航空標識灯12を点灯して照度の測定を行うとともに、給電コネクタ30の圧縮空気充填用コネクタ端子53から航空標識灯12に圧縮空気を供給して漏洩検査を行う。
【0067】
一方、航空標識灯12の絶縁抵抗測定と航空標識灯12の漏洩検査とを並行して行う場合には、切替器50で給電コネクタ30のコネクタ端子31を絶縁抵抗測定部49に接続する。そして、航空標識灯12の灯器の外表面を接地し絶縁抵抗測定電源を航空標識灯12内部に供給し絶縁抵抗を測定するとともに、給電コネクタ30の圧縮空気充填用コネクタ端子53から航空標識灯12に圧縮空気を供給して漏洩検査を行う。また、空標識灯12の配光測定、絶縁抵抗測定、漏洩検査をそれぞれ個別に行ってもよい。
【0068】
本発明の第4の実施の形態によれば、航空標識灯の配光測定、絶縁抵抗測定、漏洩検査のうちのいずれか一つを単独で、または配光測定と漏洩検査、絶縁抵抗測定と漏洩検査を並行して行うことができるので、配光測定作業、絶縁抵抗測定及び漏洩検査作業を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における給電コネクタの斜視図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の詳細構成図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られた滑走路中心線灯の面状の配光パターンの平面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置で得られた直線用誘導路中心線灯の面状の配光パターンの平面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるデータ処理装置で作成した等光度曲線の平面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図。
【図9】本発明の第3の実施の形態における給電コネクタの斜視図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係わる航空標識灯検査装置の構成図。
【図11】滑走路や誘導路への航空標識灯の配置を示す平面図。
【図12】滑走路に埋設された航空標識灯の埋設状態を説明する俯瞰図。
【図13】航空標識灯の上面部の一例を示す平面図。
【図14】航空標識灯の配光特性を測定する従来の測定装置の構成図。
【図15】従来の測定装置で得られた面状の配光パターンの平面図。
【符号の説明】
【0070】
10…滑走路、11…滑走路中心線灯、12…航空標識灯、13…滑走路中心線、14…センターライン、15…アプローチセンターラインライト、16…アプローチサイドバレットライト、17…誘導路、18…直線用誘導路中心線灯、19…曲線用誘導路中心線灯、20…基台上面部、21…灯体、22…ボルト、23…光源部、24…架台、25…光検出部、26…照度計、27…色度計、28…スクリーン、29…配光パターン、30…給電コネクタ、31…コネクタ端子、32…測定用コネクタ、33…測定用交流直流電源、34…架台制御部、35…配光測定制御部、36…データ処理部、37…A/D変換器、38…計測制御部、39…色度信号処理部、40…コンピュータ、41…中継端子基板、42…電動機駆動部、43…A/D変換器、44…キーボード、45…マウス、46…バーコードハンディースキャナ、47…ディスプレイ装置、48…レーザプリンタ、49…絶縁抵抗測定部、50…切替器、51…漏洩検査部、52…マスターチャンバー、53…圧縮空気充填用コネクタ端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台に搭載された航空標識灯からの光を受光し直線上に配置された光センサで照度を検出する光検出部と;
前記航空標識灯の所定の配光パターンに従って前記航空標識灯を搭載した架台を連続的に回動させる架台制御部と;
前記航空標識灯を所定の配光パターンで点灯するとともに、前記架台が予め定めた回動角だけ移動する度に、その回動角の開始位置から前記光検出部からの光受信信号のA/D変換を開始し、その回動角の終了位置でA/D変換を終了し、A/D変換された光受信信号を受信する配光測定制御部と;
前記配光測定制御部でA/D変換された光受信信号及び前記架台の回動角に基づいて面状の前記航空標識灯の配光パターンを得るデータ処理部と;
を備えたことを特徴とする航空標識灯検査装置。
【請求項2】
前記航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタから絶縁抵抗測定電源を供給し前記航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部と;
前記配光測定制御部と前記絶縁抵抗測定部とを切り替える切替器と;
を備えたことを特徴とする請求項1記載の航空標識灯検査装置。
【請求項3】
前記航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタに前記航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子を一体的に設け、前記圧縮空気充填用コネクタ端子から前記航空標識灯内部に漏洩検査用の圧縮空気を注入し漏洩検査を行う漏洩検査部を備えたことを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の航空標識灯検査装置。
【請求項1】
架台に搭載された航空標識灯からの光を受光し直線上に配置された光センサで照度を検出する光検出部と;
前記航空標識灯の所定の配光パターンに従って前記航空標識灯を搭載した架台を連続的に回動させる架台制御部と;
前記航空標識灯を所定の配光パターンで点灯するとともに、前記架台が予め定めた回動角だけ移動する度に、その回動角の開始位置から前記光検出部からの光受信信号のA/D変換を開始し、その回動角の終了位置でA/D変換を終了し、A/D変換された光受信信号を受信する配光測定制御部と;
前記配光測定制御部でA/D変換された光受信信号及び前記架台の回動角に基づいて面状の前記航空標識灯の配光パターンを得るデータ処理部と;
を備えたことを特徴とする航空標識灯検査装置。
【請求項2】
前記航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタから絶縁抵抗測定電源を供給し前記航空標識灯内部の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部と;
前記配光測定制御部と前記絶縁抵抗測定部とを切り替える切替器と;
を備えたことを特徴とする請求項1記載の航空標識灯検査装置。
【請求項3】
前記航空標識灯に交流定電流電源を供給する給電コネクタに前記航空標識灯内部に圧縮空気を充填する圧縮空気充填用コネクタ端子を一体的に設け、前記圧縮空気充填用コネクタ端子から前記航空標識灯内部に漏洩検査用の圧縮空気を注入し漏洩検査を行う漏洩検査部を備えたことを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の航空標識灯検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−240241(P2007−240241A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60611(P2006−60611)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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