説明

航空機の搭乗者に酸素を生産し、供給するための吸着装置およびそのような吸着装置を備えた酸素発生装置

吸着剤は、コンパクトで緻密な構造を有し、hφが0.8〜2となるように吸着剤塊を含み、吸着剤塊(6)の断面積Sとダクト(7)の断面積sの比は80〜110である。本発明は、大規模民間航空機において酸素を供給するためによりよく使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、筒状ケーシング内で、このケーシングと同軸の中央ガスダクトの周りに窒素を優先的に吸着する吸着剤塊を備える、航空機の搭乗者に酸素を生産し、供給するための吸着装置に関する。
【0002】
PSAタイプの機上酸素発生装置(OBOGS)は、民間航空機、特に大規模航空機においてますます重要となっている。通常のフライター飛行機用の酸素発生装置と比べ、輸送飛行機用の酸素発生装置は、大体積の空気を処理しなければならず、従って、当該システムの大部分を占める多量の吸着剤を用いなければならない。
【0003】
従って、性能を減じることなく、吸着剤塊を最小化するために、吸着剤の設計を最適化する要求がある。
【0004】
本発明の主題は、上記タイプの吸着装置であって、吸着剤塊が、25cm以上の平均軸方向寸法hと外径φを、h/φが0.8〜2であるように有するところの吸着装置である。
【0005】
本発明のより特別の特徴によると、h/φは、0.8〜1.5、有利には0.95〜1.2である。
【0006】
吸着剤塊の断面積Sと中央ダクトの断面積sの比S/sは、80〜110、有利には95〜105である。
【0007】
吸着剤は、主として、0.8mm以下の、有利には0.6〜0.7mmの粒子サイズを有する、典型的にはLiLSXタイプの、微細ゼオライトを含む。
【0008】
本発明の主題は、また、PSAサイクルで交互に操作される上記吸着装置を2つ備える酸素発生装置を用いる方法であって、サイクル時間が6秒以下、有利には5秒以下であり、酸素富化混合物(典型的には、80%以上の酸素濃度にある)の出力が、2バール(相対)(30psig)以上の出力圧で毎分約300lであるところの方法である。
【0009】
本発明による吸着装置の構成および操作方法は、ガスが流れるシーブの長さを減少させることにより吸着剤における有効流れ面積を最適化することを可能とし、この吸着剤塊の最適化は、コストの減少とは別に、大体積の酸素富化混合物を生産するために必要な吸着装置の合計数を減少させることを可能とし、故障の危険性をかなり減少させ、メンテナンスを容易にし、航空機の閉じられたスペースに取り付けることを容易にする。
【0010】
本発明は、また、航空機、特に大規模民間航空機の搭乗者に酸素を供給するためのシステムにおけるかかる吸着装置の使用に、およびかかる吸着装置を少なくとも1つ組み込んだ航空機にも関する。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面に関連して、例示として与えられ、いかなる制限をも意味しない1つの態様についての以下の記述から明らかとなるであろう。
【0012】
図1は、大規模民間航空機により特に好適な本発明による吸着装置の1つの態様の縦断面での概略図である。
【0013】
図1は、PSA吸着装置の主要な構成要素、すなわち、フランジ2および3により端部が閉じられた周囲シェルもしくはケーシング1を示し、該フランジは、それぞれ、シェル1内に設けられた吸着剤塊6の軸方向両側に流体分配チャンバ4および5を規定し、吸着剤塊中にダクト7が中央に延びており、このダクトは、シェル1と同軸であり、上部チャンバ5を、下部チャンバ4内中央に設けられ、下部フランジ2内に形成された通路9を介して外部回路と連通する下部プレナム8と接続させている。下部チャンバ4は、下部フランジ2内に形成された少なくとも1つの通路10を介して、外部ラインと連通し、吸着装置の入力/出力を吸着装置の同じ1つの末端に一緒にグループ化させている。吸着装置は、典型的には対で、酸素を輸送航空機の搭乗者に供給するための回路に供給するために、空気から酸素を分離するためのPSAシステムに組み込まれるように設計されている。
【0014】
典型的に、吸着剤の環状塊6は、典型的には焼結金属で作られたガス透過性底壁11と、例えば焼結金属または微細メッシュにより作られ、それぞれシェル1の内面および中央ダクト7の外面と協働する摩擦リップシール13および14を介して吸着剤塊6の上端に圧接されて保持された上部多孔質圧縮壁12との間に保持されている。
【0015】
本発明の1つの側面によると、中央ダクト7は、吸着剤塊が最大断面積Sを維持するように、小さな断面積sを有する。加えて、純酸素の高い生産性(7l/分/kgシーブ以上、典型的には8.5l/分/kgシーブ以上)を維持する一方、ヘッド損失を最適化するために、吸着剤塊の(軸方向)高さh、すなわち、ガスが沿って流れる距離は、h/φが0.8〜2、有利には0.8〜1.5、好ましくは0.95〜1.2となるように選ばれ、φは、シェルの内径である。
【0016】
示した例において、本出願人名義の文献FR−A−2765491に記載されている、88%以上までリチウム交換され、0.8mm以下、典型的には0.6〜0.7mmの粒子サイズを有するLiLSXゼオライトタイプの高性能吸着剤、約30cmの高さh、約30cmの直径φ、30mmの直径dを用いて、約14kgの低い最適化された吸着剤塊を有する吸着装置を製造し、これは、2バール(相対)の最大出力圧で300l/分のガス出力について、交互に操作する2つの同じ吸着装置を用いた約4.5秒のPSAサイクルにおいて、8.9l/分/kgシーブまでの純酸素生産率を与える。
【0017】
本発明を1つの具体的な態様の場合において説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ここに添付した特許請求の範囲内において当業者に明らかとなるであろう改変および変更を行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】大規模民間航空機により特に好適な本発明による吸着装置の1つの態様の縦断面での概略図。
【符号の説明】
【0019】
1…ケーシング
2,3…フランジ
4,5…流体分配チャンバ
6…吸着剤塊
7…中央ダクト
8…下部プレナム
9,10…通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ケーシング内で、このケーシングと同軸の中央ガスダクトの周りに窒素を優先的に吸着する吸着剤塊を備え、前記吸着剤塊(6)が、25cm以上の平均軸方向寸法hと外径φを、h/φが0.8〜2であるように有することを特徴とする、航空機の搭乗者に酸素を生産し、供給するための吸着装置。
【請求項2】
h/φが、0.8〜1.5であることを特徴とする請求項1に記載の吸着装置。
【請求項3】
h/φが、0.95〜1.2であることを特徴とする請求項2に記載の吸着装置。
【請求項4】
前記吸着剤塊(6)の断面積Sと前記中央ダクト(7)の断面積sの比S/sが、80〜110であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸着装置。
【請求項5】
S/sが、95〜105であることを特徴とする請求項4に記載の吸着装置。
【請求項6】
前記吸着剤が、主として、0.8mm以下の粒子サイズを有するゼオライトを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸着装置。
【請求項7】
前記ゼオライトが、0.6〜0.7mmの粒子サイズを有することを特徴とする請求項6に記載の吸着装置。
【請求項8】
前記ゼオライトが、88%以上リチウム交換されていることを特徴とする請求項6または7に記載の吸着装置。
【請求項9】
PSAサイクルで交互に操作される請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸着装置を2つ備える酸素発生装置を用いる方法であって、サイクル時間が6秒以下であり、ガス出力が、2バール(相対)以上のガス出力圧について約300l/分である方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸着装置の、航空機の搭乗者に酸素を供給するためのシステムにおける使用。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸着装置を少なくとも1つ組み込んだ、航空機の搭乗者に酸素を供給するためのシステムを備える航空機。

【図1】
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【公表番号】特表2006−519694(P2006−519694A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505841(P2006−505841)
【出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050082
【国際公開番号】WO2004/080796
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・ア・ディレクトワール・エ・コンセイユ・ドゥ・スールベイランス・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】