説明

航空機の滑走路への着陸航法と進入ボリュームの計算方法

【課題】航空機が滑走路への着陸態勢に入ろうとするときに、誤り、または不要警報、警告が発せられないようにする。
【解決手段】航空機が所定の空港を囲む幾何的ボリューム内にあるか否かを決定し、幾何的ボリューム内にあるなら選択された距離または時間について航空機の現行目標飛行経路を決定し、該目標飛行経路を空港の滑走路から幾何的ボリュームの外縁に向けて延在する進入ボリュームと比較し、航空機が進入ボリューム内にあって滑走路への進入ボリューム内にステイしていると予期されるような現行目標飛行経路ならば航空機が着陸のための適正なコース上にあることを表示し、航空機が進入ボリューム内にあって滑走路への進入ボリューム内にステイしていると予期されないような現行目標飛行経路ならば航空機が着陸のための適正なコース上にないことを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は航空機の滑走路への着陸航法と進入ボリュームの計算方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既知の航空機搭載の、地形認識システム用従来型高度表示器は、航空機より低い、一定距離(例えば、2000フィート)内の地形だけでなく、航空機以上の高度を有する地形を、パイロットに可視画像で提示する。
【0003】
もし、その航空機がその地形に衝突しようとしている、あるいは至近位置に接近中と見えると、様々な警報、警告が発せられる。例えば、Connerらの、米国特許第6,138,060号を参照されたい。この中でも用いられているように、警告という用語は、警報よりも一層脅威的状況であることを意味する。どちらも、ユーザーに対する可聴的、可視的、あるいは別形式の提示法を含む。
【0004】
従来型システムのひとつの問題点は、航空機が滑走路への着陸態勢に入ろうとするときに、誤り、または不要警報、警告が発せられる可能性があることである。
【0005】
つまり、航空機が降下中は、地形(滑走路)へ向かって直進中と見えることは、自然なことだから、不要警報、警告が発せられる可能性がある。その上、その地形が航法表示ユニット上に表示され続けるかも知れない。
【0006】
その結果、そのスクリーンは着陸中ずっと、非脅威的地形データによって、混乱するかも知れない。
【この発明の要約】
【0007】
この発明によれば、いくつかの実施例において、上記した従来技術の不利益を克服することができる。
【0008】
ひとつの態様として、この発明は、次のような航法を含む、滑走路へ着陸すべく航空機を飛行させる方法を目指す。つまり、航空機が空港周囲の所定の幾何的ボリューム内にあるか否かを決定し、航空機が該幾何的ボリューム内にある場合には、航空機のための選択された距離または時間についての、現行目標飛行経路を決定し、航空機の現行目標飛行経路を、空港の滑走路から幾何的ボリュームの外縁に向けて延在する進入ボリュームと比較し、航空機の現行目標飛行経路が、航空機が進入ボリューム内にあり、かつ滑走路への進入ボリュームにステイすると予期されるものである場合には、該航空機が着陸のための適正なコース上にあることを表示し、もし、航空機が進入ボリューム内にあって、滑走路への進入ボリューム内にステイしていると予期されないような、現行目標飛行経路ならば、航空機が着陸のための適正なコース上にないことを表示することを含む、滑走路へ着陸すべく航空機を飛行させる方法を目指すことを含む、滑走路へ着陸すべく航空機を飛行させる方法を目指す。
【0009】
もうひとつの態様として、この発明は、地形認識、および警告システム、または航空機航法システムに用いる、滑走路についての、次のような進入ボリュームの計算方法を目指す。つまり、(a)滑走路を囲む所定の幾何的ボリュームを設定し、(b)滑走路に添ってグランドポイントインターセプト(GPI)としてひとつの場所を選択し、(c)最も好ましい進入経路滑空斜面角度を選択し、(d)進入ボリュームについて側縁を選択し、(e)GPIと交差し、かつ進入経路滑空斜面角度より所定量以上鋭角な角度で、幾何的ボリュームの外縁に延在する、仮下側進入経路面を考慮し、(f)仮下側進入経路面が、GPIから幾何的ボリュームの外縁まで、全ての地形を所定の安全率でクリアーしているか否かを決定して、もしそうならば、仮下側進入経路面を、実際の下側進入経路面として選択し、もしそうでなければ、進入経路滑空斜面角度を増加して、実際の下側進入経路面が得られるまでステップ(e)と(f)を反復し、かつ、(g)上側進入経路面が、進入経路ボリュームについて、最大所望進入経路を表わすように選ばれた角度で、滑走路上の所定の場所から、幾何的ボリュームの外縁に向けて、延在する上側進入経路面を選択する。このような進入ボリュームの計算方法を目指す。
【0010】
もうひとつの態様として、この発明は、次のような航空機用地形認識警告システムを目指す。つまり、航空機の現行目標飛行経路に基づいて、所定の予見区域内の地形を表示し、かつ航空機の現行目標飛行経路内、または近傍の地形について、警報と警告を発生する手段と、少なくとも以下の条件下において、警報と警告と地形表示との少なくともひとつを禁止する手段とを含み、該条件とは、航空機が空港を囲む所定の幾何的ボリューム内にあり、航空機の現行目標飛行経路が、航空機が空港の滑走路から幾何的ボリュームの外縁に向けて延在する、進入ボリューム内にあり、かつ滑走路への進入ボリューム内にステイすると予期される。このような航空機用地形認識警告システムを目指す。
【0011】
もうひとつの態様として、この発明は、次のような航空機用地形認識警告システムにおける、不要な警報と警告の少なくともひとつを低減する方法を目指す。つまり、航空機用地形認識警告システムにおける、不要な警報と警告の少なくともひとつを低減する方法であって、(a)航空機が空港を囲む所定の幾何的ボリューム内にあるか否かを決定し、(b)航空機が幾何的ボリューム内にある場合には、航空機のための選択された距離または時間について、所定の現行目標飛行経路を決定し、(c)航空機の現行目標飛行経路を、空港の滑走路から幾何的ボリュームの外縁に向けて延在する、進入ボリュームの少なくともひとつと比較し、(d)航空機の現行目標飛行経路が、航空機が進入ボリュームと交差すると予期されるようなものである場合には、選択されたパラメータ下において、航空機が進入ボリューム内を操縦可能で、滑走路への進入ボリューム内にステイできるか否かを決定し、(e)ステップ(d)における決定がポジティブの場合には、地形に伴う選ばれた警報と警告の少なくともひとつを、禁止してステップ(d)を反復し、かつ(f)ステップ(d)における決定がネガティブの場合には、前に禁止されたステップ(e)の警報と警告とを再発生する。このような警報と警告の少なくともひとつを低減する方法を目指す。
【0012】
その他の態様、目的、および利点は、図面、および特許請求の範囲を含む以下の記述により、明らかになるであろう。
【実施例】
【0013】
図1にこの発明の地形認識および警告システム(TAWS)用の表示装置100を示す。この表示装置100はスクリーンディスプレー102を有しており、該スクリーンディスプレー102はアメリカ特許第6,259,378号(この発明の譲受人が所有)に開示されたようなLCD後投射型スクリーンなどである。また表示装置100は種々のボタンやインターフェースを有している。
【0014】
以下表示装置100の一例を記載するがこの発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
トグルボタン104が押下されると、スクリーンディスプレー102は地形ディスプレーと相対高度ディスプレーとの間を切り換わる。予測高度ディスプレー(PRED)ボタン106が押下されると、スクリーンディスプレー102はPREDディスプレーに代わる。この点についてはアメリカ特許出願(本出願と同日付けで出願した「予測高度表示の方法と装置」)に詳細に記載されている。
【0016】
飛行ディスプレーボタン108は航空機近傍の局地飛行の表示がなされる。この機能は入力として対象航空機の無線レンジ内で作用する機上トランスポンダーからのセンサー読取り値を用いる。補助ボタン110は天気、補助的航法エイドなどの種々の情報を表示する。
【0017】
機能ボタン126を装備すると、通常の入力以外に種々の他のボタンからのものを選択できる。例えば機能ボタン126を使って装置の設定を行う能力を向上させることができる。他の例としては、警報または警告中に機能ボタン126を押下すると消音することができる。警報状態が表示されたら、スクリーンディスプレー102はパイロットが最も効果的に状態を解決できる機能を表示するように切り換わるのが望ましい。多くの場合PRAD機能は最も適切なそのような表示である。
【0018】
光センサー120を用いてスクリーンディスプレー102の輝度とコントラストを自動的に制御して見易くすることができる。マイクロUSBポート118を用いて表示装置100からのデータの外部入力/出力を行うことができる。以下に詳しく記載するように、滑走路情報や地形データや滑走路進入データなどの諸データは使用前に表示装置100にアップロードしてもよい。この情報は定期的に更新する必要があり、マイクロUSBポート118をこの目的に使うことができる。勿論他の方法などによってもよい。例えば無線リンクでデータを更新することもできる。
【0019】
レンジボタン122は表示内外のズームを可能とし、VUEボタン124は360度ディスプレーと前方円弧ディスプレー(例えば70度)との間のディスプレー切換えを行う。そのような選択は特にボタン104、106および108により生じる機能にとって有用である。
【0020】
一般に使用時には、表示装置100は航空機の位置、その地上トラック、側方トラック、速度、高度、地上からの高さなどに関するデータを受信する。このデータは、航空機近傍の地形や目標飛行経路に基づいて選択された予見距離または時間内の航空機の近傍内の地形に関する予め記憶されたデータと、比較される。所望の予見距離または時間はシステムまたは使用者がダイナミックに調整することができる。
【0021】
例えばシステムは10秒予見状態に設定でき、これは目標飛行経路に基づいて航空機がつぎの10秒に近づくであろう地形の表示を与える。これは現行の機首方向や気流速度や地上トラックなどのデータに基づいて計算される。システムは飛行の位相に基づいて予見距離/時間を調整できる。
【0022】
ここで用いる地形とは自然のもの、人工の障害物および地勢などを含むものである。例えば高い建物、高いアンテナ塔および山並みなどは全てここでは「地形」と考えられる。
【0023】
航空機の地形に対する関係(または目標関係)によっては、表示装置100上に地形を表示したりしなかったりする。例えばもし航空機が地形中にまたは極近接状に飛行するようであれば、表示装置100上に地形が赤で表示されるかおよび/または可聴警告が発生されて使用者に危険を警報する。より脅威度が少ないときには地形は黄色で表示されるかおよび/または可聴警報が発生される。
【0024】
航空機が地形に対して脅威的な関係にないような状況においては、地形は緑色で表示される。地形が航空機から充分に遠い(航空機の飛行経路から遥か下方であるか遥か離れている)場合には地形は表示されない。
【0025】
上記したように、航空機が着陸態勢に入っているときには特殊な状況が起きる。航空機が滑走路に接近すると、当然地形(例えば滑走路、隣接滑走路、航空管制塔、隣接丘陵地など)に近くなる。この結果システムがその通常モードの作用を続けると、可聴警報および/または警告が発生されて、最も安全な着陸進入についてでさえも脅威(例えば赤または黄色)であるとして大量の地形が表示される。
【0026】
この結果表示装置100のほぼ全視界が赤または黄色となり、実際の脅威(例えば空港近くの山並みなど)と非脅威(例えば航空機が着陸しようとしている滑走路)との間の区別がなくなる。
【0027】
以下に詳しく記載するように、この発明のシステムは異なる滑走路について所定の滑走路進入データを提供する。一実施例においては、航空機が着陸しようとする各滑走路について進入ボリュームが発生される。
【0028】
航空機が該進入ボリューム内にあるかそれに入ろうとしており、かつ航空機の目標航路が滑走路への進入ボリューム内にある場合には、航空機が着陸しようとしているものと仮定され、地形警告と警報とが禁止される。ある実施例では、地形表示もまた禁止されて、表示装置100はいかなる地形をも表示しない。
【0029】
多くの空港が多くの滑走路を有しており、多くの場合航空機は与えられた滑走路上のいかなる方向にも着陸することができるので、多重進入ボリュームが各空港について発生される。
【0030】
航空機が空港に接近すると、システムは航空機がどの滑走路に着陸する可能性があるかを決定する(かつかくして適正な進入ボリュームが決定される)。以下に詳しく記載するように、これには種々の方法がある。例えば、特定の滑走路がシステムに取り込まれている(例えば飛行管制システムにより)場合には、付帯する進入ボリュームは容易に選択される。
【0031】
代りに、システムが航空機の現行飛行経路を反復モニターして、どの滑走路に航空機が着陸するかを予測し、付帯する進入ボリュームを選択する。ある実施例では、多重進入ボリュームが予測されてかつランク付けされるかまたは同時に使用される。
【0032】
ある実施例では、この適正な探索ボリュームを探索するプロセスは、航空機が離陸状態になくてかつ所定の空港区域200に入るときに、に開始される。
【0033】
図2Aに示すのは空港区域200の一例である。この空港区域200は滑走路202の端部から全ての方向に所定の距離Z1だけ延在し、かつ滑走路202上方所定の高度Z2まで延在している。ある実施例ではZ1は5海里(NM)でありZ2は1900〜5000フィートの範囲から選択される。滑走路202の各端部には個別の進入ボリューム300と300’とが示されている。
【0034】
空港の各滑走路について多重重複区域200が形成されるような、個別の空港区域200が形成されてもよい。図2Bに示すのはそのような構成の一例の平面図であって、Z1は5NMであり3個の滑走路202、202’および202”が与えられている。図示のように各滑走路200〜200”のそれぞれの端部に個別の進入ボリュームが存在している。
【0035】
ついで進入ボリューム300について説明する。一般に進入ボリュームは与えられた滑走路202についての好ましき着陸進入に基づいたものであるが、全ての方向について好ましき着陸進入の周囲に所定量の辺変化区域を有している。
【0036】
図3に示す進入ボリューム300の一例は滑走路202の一端に付帯するものである。図示の例では直進進入であると仮定されており、一定の進入経路滑空斜面角度302が示されている。すなわち航空機は全空港区域200を通って滑走路に真っ直ぐに飛行でき、いかなる障害物や地形をもクリアーし、しかも同じ進入経路滑空斜面角度302を維持している。この例では進入経路滑空斜面角度302は3度である。斜行進入およびギアダウン滑空斜面角度であるより複雑な例については後記する。
【0037】
ある実施例における進入ボリューム300は図3に示すように楔形状を有しているが、これに限定されるものではない。例えば円錐形状など適宜なものを使用できる。
【0038】
図3に示すように進入ボリューム300は上側進入経路面304と下側進入経路面306とを有している。ある実施例では滑走路から所定の距離で、上側進入経路304は滑走路202上方で一定高さとなる。
【0039】
そのようなものとして上側進入経路面304は技術上2個の別個の幾何的面304a、304bから構成されてもよく、これらはライン304cにおいて交差する。さらに以下に詳記するように、ギアダウン角度区域が用いられるならば、下側進入経路面306も多数の幾何的面を有することができる。上下の進入経路面304、306はそれぞれ進入経路滑空斜面308の上下になる。
【0040】
ついで進入ボリューム300の決定方法を説明するが、他の方法によってもよい。
【0041】
グランドポイントインターセプト(GPI)がある。これは滑走路に沿っての航空機が着地して滑走路終端からの距離309にあると考えられる好ましき場所を言うものである。滑走路終端とは着陸に用いられる滑走路の一番外側の部分を言う。図3の実施例では滑走路終端は滑走路の実際の端部に相当し、後記のように斜行が存在することもある。
【0042】
GPIは公刊されているInstrument Landing System(ILS)ガイドラインなどに基づいている。GPIは滑走路終端の上方の所定の高度(例えば55フィート)における一点を選び、進入経路滑空斜面がその点を通ることを確認することにより計算できる。
【0043】
進入経路滑空斜面308はGPI(または滑走路終端)で始まってもよく、かつ滑走路202から所望の進入経路滑空斜面角度302で延在する。空港区域200の外縁に向けて延在するのが望ましい。
【0044】
下側進入経路面306もGPI(または滑走路終端)で始まってもよく、下側進入経路角度(滑空斜面角度302より所定量310だけ少ない)で滑走路202から延在する。ある実施例では、所定量310は3度の滑空斜面角度302について0.7度である。下側進入経路角度は2.3度となる。
【0045】
上側進入経路面304は問題としている進入ボリュームを経て着陸している航空機から見て滑走路202の遠端部204から始まってもよい。上側進入経路面304はしかして滑走路202から空港区域200の外縁に延在する。ある実施例では上側進入経路面304の滑走路上方高度は空港区域200の最高高度Z2を超過してはならない。かくして上側進入経路面304は図3に示すようにライン304cにおいて一定高度で少なくなり、2個の交差する幾何的面304b、304cを形成する。
【0046】
進入ボリュームの側縁は、所定の幅312が滑走路終端場所でボリュームにより囲まれるように、選択される。
【0047】
適正な幅312を確実にするべく、滑走路202の遠端204からの所定距離における側縁頂点314が用いられる。該頂点314は滑走路202の中央線に沿っているのが望ましい。側縁角度316は所望の幅32が得られるように選択できる。角度316は中央線から各側方進入経路縁318a、318bまで測られる。
【0048】
ある実施例では角度316は+/−3.85度であり、側縁318a、318bの間の角度が角度316の2倍または7.7度になるようになっている。かくしてこの例では所望の幅312が900フィートならば、滑走路終端から頂点314への距離320は6686フィートとなる。これは下記の計算式により計算される。
【0049】
【数1】

【0050】
ここで式を再配列すると距離320=450/tan(3.85度)=450/0.0673=6686フィートとなる。
【0051】
進入経路側縁318a、318bは滑走路202から空港区域200の外縁に延在する。
【0052】
この発明はこれらの数値に限定されるものではない。例えば角度316は1.5〜4度の範囲であるのが望ましく、進入経路滑空斜面角度302は3〜5度の範囲であるのが望ましい。
【0053】
図4に示すのは上記した数値を用いた進入ボリュームであって、滑走路終端から滑走路202の端部までノーゼロ滑走路終端斜行を有している。
【0054】
進入ボリュームのなかには地形を囲むものもあるので、同じ進入経路滑空斜面角度302を全ての滑走路202について(または同じ滑走路の他端から進入している場合でさえも)用いるのが常に可能な訳ではない。この結果、より急なまたは異なる進入経路滑空斜面角度302が用いられる。図5に与えられた進入ボリュームについて正しい進入経路滑空斜面角度302を決定するプロセスの流れ図を示す。
【0055】
該プロセスはステップ400において開始され、進入経路滑空斜面角度302(図5でGAと示されている)は最も望ましい角度に初期設定される。上記した例ではGAは当初3度に設定される。ステップ404においては全下側進入経路面306が空港区域200の始めからGPIまでの全ての障害物を与えられたGAについて所定の安全率でクリアーするか否かが決定される。安全率は全ての進入ボリュームについて同じ量(例えば75フィート)であるかまたは滑走路202により近い進入ボリュームの部分(例えば空港区域200の外縁から75フィート〜滑走路終端から10,000フィートついで25フィート)については変化する。
【0056】
ステップ404における答えがイエスならば、現行のGAを用いてステップ408で進入ボリュームが設定される。
【0057】
ステップ404における答えがノーならば、ステップ410で増分量(例えば0.5度)だけGAが増分される。ステップ412において、新たなGAが最大許容GA(好ましくは5度、航空機能力に応じて5.5度まで)以下であるか否かが決定される。
【0058】
ステップ412の答えがイエスならば、ステップ404からプロセスが反復される。もし答えがノーならば、ステップ413において直進進入ボリュームが使用されず、滑走路の中央線から斜行する少なくとも一部である進入ボリュームが使用される。これについてつぎに説明する。
【0059】
図6に斜行進入ボリューム300’と修正斜行進入ボリューム300”とを示す。直進進入ボリュームの側縁は滑走路中央線206と滑走路終端とが交差する点について回転されている。これにより斜行進入ボリューム300’は進入斜行角度322を有することになる。ある実施例では直進進入の場合のように同じ幅312を滑走路終端に維持するのが望ましい。かくして斜行進入ボリューム300’はそれ自身の中央線に沿って動かされて、その滑走路終端における幅は幅312と同じとなる。この結果修正斜行進入ボリューム300”が得られる。
【0060】
図7に示すように、修正斜行進入ボリューム300”と一緒に用いるために短直進進入ボリューム324が計算される。空港区域200の外縁に距離Z1で延在する修正斜行進入ボリューム300”とは異なり、短直進進入ボリューム324は滑走路終端から短い距離Z3延在するだけである(例えば1NMまたは地形に交差しない限りでできるだけ可能な)。実際には航空機は滑走路202から約距離Z3となるまで修正斜行進入ボリュームに沿って飛行する。ついで航空機は着陸のために短直進進入ボリューム324内に入るべく操縦される。
【0061】
図8に修正斜行進入ボリューム300”を決定するためのプロセス流れ図を示す。ステップ500においてプロセスが開始する。ステップ502において進入斜行角度322(図8にてOAと示す)が初期値に設定され図5の直進進入計算を妨げる地形から曲離する。
【0062】
この初期値は滑走路の中央線から0または0.5度離れるのが望ましい。ステップ504において滑空斜面角度GAが最も好ましい値(例えば3度)にリセットされる。ステップ506において、与えられたGAおよびOAについて、全ての下側進入経路面306が空港区域200の始めから滑走路終端までの地形の全てを所定の安全率でクリアーするか否かが決定される。安全率は全進入ボリュームについて同じ量(例えば75フィート)であってもよく、滑走路202により近い進入ボリュームの部分について変化してもよい(例えば空港区域200の外縁から75フィート〜滑走路終端から10,000フィートついで25フィート)。
【0063】
ステップ506の答えがイエスならば、修正斜行進入ボリューム300”がステップ508で現行GAとOAとを用いて設定される。
【0064】
ステップ404の答えがノーならば、ステップ512においてGAがある増分量(例えば0.5度)で増分される。ステップ514で新たなGAが最大許容GA(好ましくは5度または航空機の能力に応じて5.5度まで)以下であるか否かが決定される。ステップ514における答えがイエスならば、ステップ506からプロセスが反復される。
【0065】
ステップ514の答えがノーならば、ステップ516においてOAがある増分量(例えば0.5度)で増分される。ステップ518において、新たなOAが最大許容OA(例えば30度)以下であるか否かが決定される。ステップ518の答えがイエスならば、ステップ504からプロセスが反復される。
【0066】
ステップ518の答えがノーならば、ステップ520において適当な進入ボリュームが使えず、ステップ510においてプロセスが完了する。
【0067】
短直進進入ボリューム324は上記した修正斜行進入ボリュームに用いられたと同じ進入滑空斜面角度を有するのが望ましい。短直進進入ボリュームのための地形クリアーが行われ、該角度は図5について説明したと同じやり方で必要なように調整される。
【0068】
図3〜5に関して上記した斜行進入ボリュームでも直進進入ボリュームのシナリオでも、減速滑空斜面角度が与えられるプロセスは変更できる。すなわち滑走路202内のほとんどの距離について航空機は安定した進入経路滑空斜面角度302で進むことができるが、ある実施例では航空機はより急な進入滑空斜面角度で着陸前に減速するのが望ましい。
【0069】
図9にそのような急な進入滑空斜面角度での進入ボリュームを示す。簡単のために上側進入経路面304は図示されてない。図示のように進入滑空斜面308はGPIで始まり、前記のように進入経路滑空斜面角度302で外側に延在する。下側進入経路滑空斜面306は同様にGPIから(角度302〜角度310)の角度で始まる。
【0070】
滑走路終端から距離Z4において、より急な進入経路滑空斜面角度が導入されて、下側進入経路滑空斜面306は角度326に減少する。これにより進入ボリュームが地面方向上方の高度において距離Z4〜GPIにおいて厚くなる。この角度326は図5について説明したと同じ方法で地形クリアーを証明されている。
【0071】
加えて減速滑空斜面が真のステップ状機能として示されたが、下側進入経路面306へのより湾曲または連続的な調整も用いることができる。
【0072】
以上各滑走路終端についていかにして進入ボリュームが計算されるかを説明した。これらの進入ボリュームは「経路外れ」で計算される、つまり航空機が経路上に飛行していないのであるのが望ましいが、経路上の場合にもこれらの計算はできる。この情報は爾後表示装置100に記録されて飛行中に参照される。この情報は航空機整備中に定期的に更新できる。例えば図1のマイクロUSBポート118により更新する。これに代えて衛星または他の無線リンクにより遠隔更新もできる。
【0073】
上記したようにこのデータは予見TAWSシステムで使われる。システムでは現行目標飛行経路に基づいて航空機の近傍である地形が用いられて警報と警告とをアメリカ特許出願(本出願と同日付けで出願した「予見高度表示方法と装置」)に記載のように発生され、表示装置上に正確に表示される。
【0074】
この発明はそれらの警告や警報および地形データの表示を禁止するのに用いられる。すなわち航空機が進入ボリュームに入って滑走路202内にステイするように指向される場合には、ある警報と警告とが禁止される。さらに非脅威地形もまた表示を禁止されるかまたは赤や黄色ではなくて緑色で表示されるのである。
【0075】
一実施例においては、航空機が進入ボリューム内にある時に発生される全ての警報と警告とが禁止される。さらに航空機が進入ボリューム内にある時に表示されるべき全ての地形が表示装置100の予見表示内に表示を禁止される。勿論この操作モードは使用者が選択することができる。データの他の使用もまたこの発明の範囲に属するものである。
【0076】
図10に航空機のための可能な着陸進入を示す。図示のように航空機はしばしば滑走路202と直接またはほぼ直接に整列している空港区域200に入らない。しばしば、進入は3個のセグメントを有していると考えられる場合には、航空機は図示のパターンで滑走路202に進入する。ここではセグメント600は追い風セグメントであって、しばしば滑走路202に実質的に平行である。航空機はついでベースセグメント602内で滑走路へ向かってターンし、ついで最終進入セグメント604内で滑走路202に揃う。セグメント604はしばしば滑走路終端点に比較的近い(例えば1〜2NMで)。
【0077】
したがってある実施例ではシステムは航空機が進入ボリュームに入りながらまだそのベースセグメント602内にある否かを予測する。ある実施例では、現行航空機飛行経路(例えばその横トラックと垂直トラック)がアクティブ進入ボリュームと交差する場合には、システムが航空機が進入ボリュームに入れないがある種のパラメータ(例えば30度を越えないバンク角度で1を越えない“G”加速度では、それらのパラメータは使用者またはシステムにより調整される)を満たしているかを決定するまで、警報、警告と地形表示が禁止される。例えば進入と反対側のいかなる警報、警告または地形表示は禁止される。
【0078】
図11にこの考え方を示す。ここではPは航空機がターンしなければならない点である。同様に図12において、もし航空機が進入ボリューム内に降下しているようならば、システムが航空機が進入ボリューム内にプルアップできずあるパラメータ(例えば減速度0.25“G”を越えず現行の地上速度を維持している)を満たしていると決定するまで、同じ情報が禁止される。これは図12中でQで示されている。簡単のために図中には下側進入経路面のみが示されている。
【0079】
図13にこの発明により航空機のある警報と警告とを禁止するか否かを決定するプロセスの流れ図を示す。
【0080】
プロセスはステップ700で始まる。ステップ702において、航空機が滑走路202内にありかつ飛行の離陸位相にないか否かが決定される。答えがノーならば、プロセスが反復される。答えがイエスならば、ステップ704において目標飛行経路がアクティブ進入ボリュームの相対的位置の所定の角度内(例えば110度内)にあるか否か、その目標飛行経路が進入ボリュームと交差するか(またはその中にステイするか)否かが決定される。
【0081】
ステップ704で答えがノーならば、禁止された警報と警告(以下に説明する)とはいずれもステップ706においてリセットされる。答えがイエスならば、ステップ708において航空機がアクティブ進入ボリューム内にありかつその目標飛行経路がアクティブ進入ボリュームの相対的位置の第2の所定角度内(例えば45度以内)にあるか否かが決定される。
【0082】
ステップ708の答えがノーならば、航空機がベース飛行セグメント内にあるようだと決定されて、警告と警報の第1のセットがステップ710において禁止される。ついでステップ712において航空機が進入経路内に入って位置を維持すことができかつ選択された規範を満たしている(例えば図11、12について説明された規範)か否かが決定される。答えがイエスならば、ステップ708においてプロセスが反復される。答えがノーならば、ステップ714において非励動された警報と警告とが再起動されて、プロセスがステップ702から反復される。
【0083】
ステップ708における答えがイエスならば、航空機が着陸進入内にあると決定されて、警報と警告の第2のセットがステップ716で禁止される。ステップ710に比べて、システムは航空機がステップ716で着陸しているとより確信するので、警報と警告の第1のセットより第2のセットの方がより包括的である。ついでステップ702からプロセスが反復される。加えて地形表示が同様な方法で禁止される。
【0084】
さらに上記した説明は警報と警告との禁止に関したものであったが、この発明はこれらを作動させるおよび/または生成するのにも使用できる。例えば航空機が進入ボリューム内にあり滑走路に近いならば、着陸装置やフラップが降ろされない場合には警報が発生される。
【0085】
さらにこの発明は警報、警告、地形表示の禁止について説明されたが、航法ガイドとしては進入経路ボリュームも使用できる。つまりILS(またはそれに加えて)の代わりに、航空機を滑走路にガイドするのにも使用できる。特に表示装置は航空機の着陸における使用のためにパイロットに進入ボリュームを表示できるのである。
【0086】
以上諸実施例について説明したがこの発明はこれに限定されるものではなく、当業者推考可能な範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明によるひとつの実施例としての、装置の説明図で、特にディスプレー(表示器)、およびボタンのレイアウトを示す。
【図2】(A)この発明による実施例内で参照する、代表的空港区域の説明図である。 (B)この発明による実施例内で参照する、複数の空港交差区域を示す平面図である。
【図3】この発明による実施例内で参照する、滑走路と代表的進入ボリュームの説明図である。
【図4】この発明による実施例内で参照する、進入ボリュームの平面図である。
【図5】この発明による実施例内で参照する、直進進入経路の滑空斜面角度決定用フローチャートを示す。
【図6】この発明による実施例内で参照する、斜行進入ボリューム、および修正された斜行進入ボリュームを示す平面図である。
【図7】この発明による実施例内で参照する、斜行進入ボリュームと短い直進進入ボリュームとを重ねた斜視図である。
【図8】この発明による実施例内で参照する、修正された斜行進入ボリュームの決定用フローチャートを示す。
【図9】この発明による実施例内で参照する、ステップダウン式進入滑空斜面角度を有する、進入ボリュームの側面図である。
【図10】この発明による実施例内で参照する、航空機の有り得る着陸進入路を示す平面図である。
【図11】この発明による実施例内で参照する、進入ボリュームの横側への、目標飛行経路と共に示す、航空機の平面図である。
【図12】この発明による実施例内で参照する、進入ボリュームの上端への、目標飛行経路と共に示す、航空機の側面図である。
【図13】この発明による実施例内で参照する、航空機の警報・警告を禁止するか否かの、決定用フローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機が所定の空港を囲む幾何的ボリューム内にあるか否かを決定し、若し航空機が幾何的ボリューム内にあるならば選択された距離または時間について航空機の現行目標飛行経路を決定し、航空機の現行目標飛行経路を空港の滑走路から幾何的ボリュームの外縁に向けて延在する進入ボリュームと比較し、航空機が進入ボリューム内にあって滑走路への進入ボリューム内にステイしていると予期されるような現行目標飛行経路ならば航空機が着陸のための適正なコース上にあることを表示し、航空機が進入ボリューム内にあって滑走路への進入ボリューム内にステイしていると予期されないような現行目標飛行経路ならば航空機が着陸のための適正なコース上にないことを表示することを特徴とする航空機の滑走路への着陸航法。
【請求項2】
地形認識および警告システムまたは航空機航法システムに用いる滑走路ついての進入ボリュームを計算する方法であって、(a)滑走路を囲む所定の幾何的ボリュームを設定し、(b)滑走路に添ってグランドポイントインターセプト(GPI)としてひとつの場所を選択し、(c)最も好ましい進入経路滑空斜面角度を選択し、(d)進入ボリュームについて側縁を選択し、(e)GPIと交差しかつ進入経路滑空斜面角度より所定量より鋭角な角度で幾何的ボリュームの外縁に延在する仮下側進入経路面を考慮し、(f)仮下側進入経路面がGPIから幾何的ボリュームの外縁まで全ての地形を所定の安全率でクリアーしているか否かを決定して、もしそうならば仮下側進入経路面を実際の下側進入経路面として選択し、もしそうでなければ進入経路滑空斜面角度を増加して実際の下側進入経路面が得られるまでステップ(e)と(f)を反復し、かつ(g)上側進入経路面が進入経路ボリュームについて最大所望進入経路を表わすように選ばれた角度で滑走路上の所定の場所から幾何的ボリュームの外縁に向けて延在する上側進入経路面を選択することを特徴とする計算方法。
【請求項3】
最も好ましい進入経路滑空斜面角度が3〜5.5度の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−68861(P2008−68861A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242587(P2007−242587)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【分割の表示】特願2003−575360(P2003−575360)の分割
【原出願日】平成13年10月11日(2001.10.11)
【出願人】(503133221)サンデル アヴィオニクス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】