船外機のカウル構造
【課題】ロアカウルのトップカウル接合面の切り欠きをなくして水の侵入を回避可能な船外機のカウル構造を提供する。
【解決手段】ロアカウル3Lのトップカウル接合面より下側に貫通穴17を形成し、奥側板金22のケーブル支持溝29にコントロールケーブル20,21を支持した状態で当該奥側板金22を貫通穴17に固定し、それらのコントロールケーブル20,21の外側に被せたシール部材23を貫通穴17に嵌め込み、手前側板金24の凹溝32をコントロールケーブル20,21にまたがせて当該手前側板金24をシール部材23にあてがい、ボルト40で当該シール部材23を手前側板金24ごとロアカウル3Lに固定する。
【解決手段】ロアカウル3Lのトップカウル接合面より下側に貫通穴17を形成し、奥側板金22のケーブル支持溝29にコントロールケーブル20,21を支持した状態で当該奥側板金22を貫通穴17に固定し、それらのコントロールケーブル20,21の外側に被せたシール部材23を貫通穴17に嵌め込み、手前側板金24の凹溝32をコントロールケーブル20,21にまたがせて当該手前側板金24をシール部材23にあてがい、ボルト40で当該シール部材23を手前側板金24ごとロアカウル3Lに固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば船外機の上部でエンジンを覆うカウル構造に関するものであり、特にロアカウルにトップカウルを覆ってカウルとする場合に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
船外機は、一般に上部にエンジンを搭載しており、カウルと称する覆いで覆われている。また、船外機は、船尾に配設され、操縦席は、船体の前方に設けられる。そこで、操縦席のアクセル操作やシフト操作をスロットルケーブルやシフトケーブルで船外機に伝達する。船外機は、その性格上、完成された船体に後付けされる場合が多く、同じく完成された船外機のカウル部分の外側からケーブルを内部に接続しなければならない。そのため、例えば下記特許文献1に示すように、ゴム製のシール部材(グロメット)でケーブルの外側を覆い、そのシール部材をロアカウルのトップカウル接合面の一部を切除した凹溝に嵌め込んで固定するようにしたものがある。
【特許文献1】特開平6−211191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の船外機のカウル構造では、ロアカウルとトップカウルの接合面における所定のシール性を確保できるものの、ロアカウルのトップカウル接合面の一部を切除しているため、どうしてもトップカウル接合面に切り欠きが形成されてしまい、この切り欠きからカウル内に水が入らないようにしようとすると、複雑なシール構造が必要となってしまうという問題がある。例えば、図13は、従来のカウル構造の一例であり、ケーブル挿通部に相当するロアカウル3Lのトップカウル接合面11’の一部を分割して分割パーツ101’とし、この分割パーツ101’及びロアカウル3Lに形成された幅の狭いスロット104’、105’に、夫々、ケーブル20,21に被せた金属製の支持板金102’及びゴム製のシール部材103’を嵌め込み、その上から分割パーツ101’を被せてボルト106’で、支持板金102’、シール部材103’、ケーブル20,21を分割パーツ101’ごとロアカウル3Lに固定する。この従来のカウル構造では、ケーブル20,21周りからの水の侵入は防止できるが、分割パーツ101’によってトップカウル接合面11’に切り欠きがあるため、そこからカウル内部に水が浸入してしまう可能性があるため、この切り欠きにおけるシール性の確保も必要となり、シール構造が複雑となる。
本発明は前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、ロアカウルのトップカウル接合面の切り欠きをなくして水の侵入を回避可能な船外機のカウル構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記諸問題を解決するため、本発明の船外機のカウル構造は、外部のケーブル類をカウル内部に接続するための貫通穴が形成され且つエンジン下方を覆うロアカウルと、前記ロアカウルと液密な接合面で当接され且つ前記ロアカウルの上方を覆うトップカウルとからなる。
この船外機のカウル構造では、外部のケーブル類をカウル内部に接続するための貫通穴をロアカウルに形成し、トップカウルは液密な接合面でロアカウルと当接されるので、ロアカウルのトップカウル接合面に切り欠きがなく、水の侵入を回避することができる。
【0005】
また、本発明の船外機のカウル構造は、外形が前記貫通穴と略同形状で且つ前記ケーブル類を保持するシール部材と、前記シール部材を覆う第1板金と、前記第1板金を介して前記貫通穴に前記シール部材を押圧固定する締結部材とからなる。
この船外機のカウル構造では、ケーブル類をシール部材に保持した状態で当該シール部材をロアカウルの貫通穴に押し込み、第1板金をシール部材にあてがって締結部材でシール部材を貫通穴に押圧固定することで、貫通穴を液密に閉塞することができる。
【0006】
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記締結部材は、前記ケーブル類の軸線方向に向けて前記第1板金を固定することを特徴とするものである。
この船外機のカウル構造では、ケーブル類の軸線方向に向けて締結部材で第1板金を固定することにより、ロアカウルのトップカウル接合面に切り欠きが生じない。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記シール部材の大きさを貫通穴の内部に緊密に嵌入する大きさとし、当該シール部材の貫通穴当接面のカウル外側部分にリップを形成したことを特徴とするものである。
【0007】
この船外機のカウル構造では、シール部材の大きさを貫通穴の内部に緊密に嵌入する大きさとし、当該シール部材のカウル外側部分にリップを形成したことにより、シール部材を貫通穴内に嵌め込むだけで、その周囲を液密に密閉することができ、カウル内への水の侵入を確実に回避することが可能となる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記シール部材のカウル外側面につまみを突設したことを特徴とするものである。
【0008】
この船外機のカウル構造では、シール部材のカウル外側面につまみを突設したことにより、例えば貫通穴内に緊密に嵌入したシール部材を容易に取り出すことができ、その分だけ、ケーブル類の着脱が容易になる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記貫通穴内で前記ケーブル類を前記シール部材よりカウル内側で支持する第2板金を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
この船外機のカウル構造では、第2板金でケーブル類を貫通穴のカウル内側で支持することにより、シール部材の嵌め込みや第1板金の固定が容易になる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記第2板金を1本の締結部材でロアカウルに固定する場合、前記ロアカウルの貫通穴内に、第2板金の端部が当接してその回転を規制する規制突子を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
この船外機のカウル構造では、ロアカウルの貫通穴内に、第2板金の端部が当接してその回転を規制する規制突子を設けたことにより、第2板金及びケーブル類の位置決めが容易になり、ケーブル類を第2板金に支持してロアカウルに固定する作業が容易になる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記ケーブル類を2本平行に並べた状態でカウルの内部に接続する場合、ケーブル類の並列方向の両外側から前記第2板金に形成されたケーブル支持溝と、前記シール部材に形成され且つ各ケーブル類が挿通する2つの挿通穴と、前記挿通穴に連通し且つ前記ケーブル類の並列方向と交差し且つ各ケーブル類の軸線方向とも交差する方向から前記シール部材に形成された割りと、前記ケーブル類の並列方向と交差し且つ各ケーブル類の軸線方向とも交差する方向から前記第1板金に開設され且つ各ケーブル類にまたぐ凹溝とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
この船外機のカウル構造では、2本のケーブル類を平行に並べてカウルの内部に接続する場合、第2板金のケーブル支持溝の夫々に2本のケーブル類の夫々を支持した状態で当該第2板金をロアカウルの貫通穴に固定することで、ケーブル類の並列方向の位置が位置決めされ、それらのケーブル類の外側に被せたシール部材を貫通穴に嵌め込むと、各ケーブル類の並列方向と交差する方向の位置が位置決めされ、その状態で、第1板金の凹溝をケーブル類にまたがせて当該第1板金をシール部材にあてがい、締結部材で当該シール部材を第1板金ごとロアカウルに固定することで、ケーブル類を位置決めしながら、それらを容易にロアカウルに固定することができる。
【0012】
また、本発明の船外機のカウル構造は、トップカウルとの接合面より下方にフック受け部を形成すると共に、トップカウルの外側にフックを取付けたことを特徴とするものである。
この船外機のカウル構造では、トップカウルの外側に取付けられたフックをロアカウルのフック受け部にフックしてロアカウルにトップカウルを固定することとしたため、ロアカウルのトップカウル接合面の切り欠きをなくして水の侵入を回避することができる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記フックの外側にカバーを取付けたことを特徴とするものである。
この船外機のカウル構造では、フックの外側にカバーを取付けたことにより、見栄えがよい。
【発明の効果】
【0013】
而して、本発明の船外機のカウル構造によれば、外部のケーブル類をカウル内部に接続するための貫通穴をロアカウルに形成し、トップカウルは液密な接合面でロアカウルと当接されるので、ロアカウルのトップカウル接合面の切り欠きがなくなり、これにより水の侵入を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の船外機のカウル構造の一実施形態について、図面を引用しながら説明する。
図1は、本実施形態の船外機のカウル構造を装着した船舶の概略構成図である。この船舶は、オープンデッキタイプの船体52の船尾に船外機1を搭載し、前部にステアリングホイール54、シート55、リモコンレバー56、メインスイッチ及びスタートスイッチを有するスイッチパネル57、メータパネル58等を配設した操縦席を備えている。船外機1内には、後述するカウル内に配設されたエンジンを制御するエンジン制御装置が内装されている。また、スイッチパネル57内には、船外機1を遠隔操作するためのリモートコントロール(以下、リモコンとも記す)制御装置が内装されており、エンジン制御装置とケーブルで接続されている。また、操縦席の下方の船体52の側壁に相当する垂直面又はほぼ垂直面には、所謂トランスポンダ(発信器或いは中継器)からの認証コードを受信するイモビライザ受信装置10が取付けられており、ケーブルでスイッチパネル57のリモコン制御装置に接続されている。
【0015】
船外機1は、図2に示すように、上方から、カウル3、アッパケース4、ロアケース5の順に組立てられ、図示しないクランプによって、船体52に対し、上下方向及び横方向に揺動可能に取付けられている。カウル3は、トップカウル3Uとロアカウル3Lの組合せからなり、内部にエンジン2を内装している。
また、ロアケース5内には、プロペラ6の回転軸であるプロペラシャフト6aが水平方向に挿通されており、カウル3内からロアケース5内まで延設されたドライブシャフト80の下端は、ベベルギヤで構成される駆動ギヤ85、前進ギヤ86F、後進ギヤ86Rとドグクラッチ87によるシフト変換機構83を介してプロペラシャフト6aに連結されている。そして、ドライブシャフト80と平行に上下方向に配設されたシフトロッド84を、図示しない電子制御装置によって制御される電動モータを含む電動回転機構ESMで回転させることにより、シフト変換機構83が作動して、ニュートラルか、前進か、後進かの何れかに随時変換した状態で、ドライブシャフト80からプロペラシャフト6aに回転力が伝達される。
【0016】
即ち、シフト変換機構83は、ドライブシャフト80の下端に固定した駆動ギヤ85に、プロペラシャフト6a上に回転自在に配置した前進ギヤ86Fと後進ギヤ86Rとを夫々噛合させ、プロペラシャフト6aに対して摺動可能で回転不能に配設したドグクラッチ87を、前進ギヤ86Fと後進ギヤ86Rとの間に配置して、シフトロッド84の回転(シフトロッド下端のカム面の回転)に連動させてドグクラッチ87をプロペラシャフト6a上で摺動させるようにしたものである。
【0017】
このようなシフト変換機構83により、電動回転機構ESMでシフトロッド84をその軸回りに回転させることでドグクラッチ87を移動させて、前進ギヤ86Fと後進ギヤ86Rの何れかに噛合させるか、或いは、その中間部で何れとも噛合させないようにすることで、ドライブシャフト80の回転を前進ギヤ86Fか後進ギヤ86Rの何れかを介してプロペラシャフト6aに伝達させるか、或いは、ドライブシャフト80の回転をプロペラシャフト6aに伝達させないニュートラル状態となるようにしている。
【0018】
船外機1には、図示しないバッテリスイッチ及びバッテリケーブルを介して、船体52側のバッテリが接続され、バッテリからの電力が船外機1の電装部品及びエンジン制御装置に供給される。また、船外機1と船体52側とは、リモコンケーブル及びスロットル・シフトケーブルによって接続されている。本実施形態では、船外機1のエンジン制御装置は、船外機1側に搭載されており、このエンジン制御装置とスイッチパネル57内のリモコン制御装置とをリモコンケーブルで接続する。前述したように、スイッチパネル57内のリモコン制御装置とイモビライザ受信装置10とは接続されているので、エンジン制御装置にイモビライザ受信装置10の認証コード認証結果を送信することで、コード認証後の仕様をエンジン制御装置によって種々に設定することができる。本実施形態では、イモビライザ受信装置10によって認証コードが認証された場合に船外機1のエンジン2の始動を許可するものとし、認証コード認証後にスイッチパネル57によってエンジン始動指令が出力された場合に限ってエンジン2を始動する。コード認証後の仕様は、これに限定されるものではなく、例えば前記バッテリスイッチの投入を可能としたり、前記シフト変換機構のシフトロックを解除したりするようにしてもよい。
【0019】
図3には、トップカウル3U及びロアカウル3Lを斜め前方から見た状態を示す。図中の符号11が、ロアカウル3Lのトップカウル接合面であり、ロアカウル3Lの上縁部全周にわたって切り欠きがない。トップカウル3Uとロアカウル3Lの間には、トップカウル3Uの下縁部全周に被せたシール部材16が介装されており、この全周に及ぶシール部材16と切り欠きのないトップカウル接合面によって、両者間のシール性、つまり液密性が確保される。なお、トップカウル接合面11の内側には、トップカウル3Uの下縁部を内側から支持する支持縁12が突設されている。
【0020】
このシール性を確保するため、カウル前部でトップカウル3Uをロアカウル3Lに固定するためのフック構造を発明した。このフック構造は、例えば図4に明示するように、トップカウル3Uの前方部外側に取付けられたフック13を、ロアカウル3Lに形成されたフック受け部14にフックして、トップカウル3Uをロアカウル3Lに固定するようにしている。図5は、ロアカウル3Lに形成されたフック受け部14の詳細、図6は、トップカウル3Uに取付けられたフック13の詳細を示したものである。また、図中の符号17は、後述するケーブル接続用の貫通穴である。
【0021】
フック受け部14は、ロアカウル3Uの前方で且つトップカウル接合面より下方位置にロアカウル3Uを窪ませて形成された凹部である。フック13は、トップカウル3Lの前方で且つフック受け部14の上方位置に取付けられている。このフック13の外側には、意匠を施したカバー15が被せられている。このカバー15には、スタッドボルト18が取付けられており、このスタッドボルト18をフック13及びトップカウル3Uに貫通し、それに袋ナット19を螺合し締付けてフック13をトップカウル3Uに固定している。図5から明らかなように、フック受け部14がロアカウル3Uのトップカウル接合面より下方位置に形成されているため、トップカウル接合面11には切り欠きがない。また、これに合わせて、フック13がトップカウル3Uの外側に取付けられているため、図6に明らかなように、シール部材16とトップカウル接合面11の間に隙間がない。これにより、両者のシール性、即ち液密性が確保される。
【0022】
図10は、従来のトップカウルフック構造である。説明を容易にするため、本実施形態と同じ構成には同じ符号を用いる。このフック構造では、図11に示すように、フック13’がトップカウル3Uの内側に取付けられ、フック13’の下端部はロアカウル3Lの外側になるように曲げられている。ちなみに、このフック13’はリベットRによってトップカウル3Uに固定されている。図12には、このフック構造のフック受け部14’を示す。この従来のフック構造では、フック13’の下端部がシール部材16を内側からくぐるようにしてフック受け部14’に到達しなければならないため、フック受け部14’の上方では、ロアカウル3Lを窪ませ、トップカウル接合面11’の一部が切り欠かれている。また、トップカウル支持縁12’の一部も窪んでいる。
【0023】
この従来のトップカウルフック構造では、このようにトップカウル接合面11’の一部が切り欠かれ、トップカウル支持縁12’の一部も窪んでいるため、フック13’とトップカウル接合面11’やトップカウル支持縁12’との間に隙間が生じ、この隙間からカウル内部に水が浸入する。これに対し、本実施形態のトップカウルフック構造では、トップカウル接合面11に切り欠きがなく、トップカウル接合面11とシール部材16によってトップカウル3Uとロアカウル3Lとのシール性、即ち液密性が確保される。
【0024】
また、本実施形態では、トップカウル3Uとロアカウル3Lとのシール性、即ち液密性を確保するため、前述したロアカウル3Lの貫通穴17からシフトケーブル20及びスロットルケーブル21の2本のコントロールケーブルをカウル3の内部に接続する。図7には、組立状態のケーブル挿通部を示す。ちなみに、図中の符号91は、燃料供給口であり、図示しない個別の接続部材及び燃料パイプを介して燃料タンクに接続される。本実施形態のケーブル挿通構造は、金属製板材からなる貫通穴奥側の奥側板金(第2板金)22、ゴム製のシール部材23、金属製の手前側板金(第1板金)24及び締結部材であるボルトなどで構成される。また、貫通穴17は、ほぼ方形の鋳抜き穴であり、その四隅には、後述する奥側板金22の回転を規制する規制突子28がもうけられている。また、貫通穴17をカウル外側から見たときの奥方中央部にはボルト受け部25が立設され、その中央部にボルト穴26が1つ形成されている。また、貫通穴17をカウル外側から見たときの手前側壁部には、2つのボルト穴27が形成されている。
【0025】
図8aは奥側板金22の正面図、図8bはシール部材23の平面図、図8cは同じくシール部材23の正面図、図8dは手前側板金24の正面図である。奥側板金22は、2本のケーブル20,21の並列方向に長手なほぼ長方形な金属製板材であり、短辺方向の長さは、前記貫通穴17の高さより短い。また、この奥側板金22の長手方向両側、即ちケーブル20,21の並列方向両外側から各ケーブル20,21をケーブル支持溝29が開設され、長手方向中央部には、後述するボルトを挿通するためのボルト挿通穴30が開設されている。
【0026】
シール部材23は、前述した方形の貫通穴17に緊密に嵌入する大きさで、その長手方向両端部に、ケーブル20、21を挿通するケーブル挿通穴31が開設され、図8cの上方、即ち2本のケーブル20,21の並列方向と交差し且つ各ケーブル20,21の軸線方向にも交差する方向から割り33が形成されている。また、シール部材23の外周部のうち、カウル外側部分には、同じゴム材料からなる薄いリップ35が突設されている。また、シール部材23のカウル外側面の長手方向中央部には、シール部材23をつまんで引っ張り出すためのつまみ34が突設されている。また、つまみ34の反対側には、ボルトの頭部を収納する収納部36が開設されている。
【0027】
手前側板金24は、前述した方形の貫通穴1を覆う大きさで、ケーブル20,21をまたぐケーブル凹溝32が、前記シール部材23の割り33と同じ方向、即ち2本のケーブル20,21の並列方向と交差し且つ各ケーブル20,21の軸線方向とも交差する方向から開設されている。また、2つのケーブル凹溝32の中央部には、同じくシール部材23のつまみ34をまたぐつまみ凹溝37が、ケーブル凹溝32と同じ方向から開設されている。また、手前側板金24のうち、前記ロアカウル3Lの貫通穴17から外れた位置には、前記ボルト穴27に螺合するボルトのボルト挿通穴38が開設されている。
【0028】
このケーブル挿通構造を組立てる場合には、例えば図9aに示す貫通穴17に対し、図9bに示すように、奥側板金22の各ケーブル支持溝29に各ケーブル20,21を嵌め込み、各ケーブル20,21を貫通穴17のボルト受け部25の両側の夫々に通し、ボルト受け部25に当接するまで奥側板金22を貫通穴17に差し込む。貫通穴17内に奥側板金22を差し込むと、当該奥側板金22の四隅が貫通穴17の四隅に形成された規制突子28に当接して当該奥側板金22の回転が規制されるので、その状態でボルト挿通穴30にボルト39を挿通し、ボルト穴26にボルト39を螺合し締め付けて、図9cに示すように、奥側板金22をロアカウル3Lに固定する。これによりケーブル20,21の横方向の位置、即ちケーブル20,21の並列方向の位置が位置決めされる。
【0029】
次に、図9dに示すように、シール部材23の2つの割り33を開いて、夫々、ケーブル20,21に嵌め、ケーブル挿通穴31内に各ケーブル20,21を挿通し、その状態で、図9eに示すように、つまみ34がカウルの外側になるようにしてシール部材23を貫通穴17内に押し込む。シール部材23は貫通穴17に緊密に嵌入する大きさである上に、カウル外側部分にリップ35が形成されているため、貫通穴17がシール部材23によって液密に密閉されると共に、ケーブル20,21の上下方向の位置、即ちケーブル20,21の並列方向と交差する方向の位置が位置決めされる。
【0030】
最後に、図9eに示すように、2本のケーブル20,21の夫々に手前側板金24の凹溝32を夫々またがせ、これを貫通穴17の手前側壁部に突き当てると、手前側板金24がシール部材23にあてがわれた状態となる。この状態で、2つのボルト挿通穴38の夫々にボルト40を挿通し、ボルト穴27にボルト40を螺合し締め付けて、図9fに示すように、シール部材23を手前側板金24ごとロアカウル3Lに固定する。これにより、ケーブル20,21が固定されると共に、貫通穴17がシール部材23などにより液密に密閉され、少なくとも貫通穴17から水が浸入するのを防止することができる。また、前述したように、トップカウル接合面11には切り欠きがないので、トップカウル接合面11とシール部材16によってトップカウル3Uとロアカウル3Lとのシール性、即ち液密性が確保される。
【0031】
前述したように、図13に示す従来のケーブル挿通構造では、分割パーツ101’によってトップカウル接合面11’に切り欠きがあるため、そこからカウル内部に水が浸入してしまう。これに対し、本実施形態のケーブル挿通構造では、トップカウル接合面11に切り欠きがないので、カウル内部への水の侵入を回避することができる。
このように本実施形態の船外機のカウル構造によれば、外部のケーブル20,21をカウル内部に接続するための貫通穴17をロアカウル3Lに形成し、トップカウル3Uは液密なトップカウル接合面11でロアカウル3Lと当接されるので、ロアカウル3Lのトップカウル接合面11に切り欠きがなく、水の侵入を回避することができる。
【0032】
また、外形が貫通穴17と略同形状なシール部材23にケーブル20,21を保持した状態で当該シール部材23をロアカウルの貫通穴に押し込み、手前側板金(第1板金)24をシール部材23にあてがってボルト(締結部材)40でシール部材23を貫通穴17に押圧固定することで、貫通穴17を液密に閉塞することができる。
また、ケーブル20,21の軸線方向に向けてボルト(締結部材)40で手前側板金(第1板金)24を固定することにより、ロアカウル3Uのトップカウル接合面11に切り欠きが生じない。
【0033】
また、シール部材23の大きさを貫通穴17の内部に緊密に嵌入する大きさとし、当該シール部材23のカウル外側部分にリップ35を形成したことにより、シール部材23を貫通穴17内に嵌め込むだけで、その周囲を液密に密閉することができ、カウル内への水の侵入を確実に回避することが可能となる。
また、シール部材23のカウル外側面につまみ34を突設したことにより、例えば貫通穴17内に緊密に嵌入したシール部材23を容易に取り出すことができ、その分だけ、ケーブル20,21の着脱が容易になる。
【0034】
また、奥側板金(第2板金)22でケーブル20,21を貫通穴17のカウル内側で支持することにより、シール部材23の嵌め込みや手前側板金(第1板金)24の固定が容易になる。
また、ロアカウル3Lの貫通穴17内に、奥側板金(第2板金)22の端部が当接してその回転を規制する規制突子28を設けたことにより、奥側板金(第2板金)22及びケーブル20,21の位置決めが容易になり、ケーブル20,21を奥側板金(第2板金)22に支持してロアカウル3Lに固定する作業が容易になる。
【0035】
また、2本のケーブル20,21を平行に並べてカウルの内部に接続する場合、奥側板金(第2板金)22のケーブル支持溝29の夫々に2本のケーブル20,21の夫々を支持した状態で当該奥側板金(第2板金)22をロアカウル3Lの貫通穴17に固定することで、ケーブル20,21の並列方向の位置が位置決めされ、それらのケーブル20,21の外側に被せたシール部材23を貫通穴17に嵌め込むと、各ケーブル20,21の並列方向と交差する方向の位置が位置決めされ、その状態で、手前側板金(第1板金)24の凹溝32をケーブル20,21にまたがせて当該手前側板金(第1板金)24をシール部材23にあてがい、ボルト(締結部材)40で当該シール部材23を手前側板金(第1板金)24ごとロアカウル3Lに固定することで、ケーブル20,21を位置決めしながら、それらを容易にロアカウル3Lに固定することができる。
【0036】
また、トップカウル3Uの外側に取付けられたフック13をロアカウル3Lのフック受け部14にフックしてロアカウル3Lにトップカウル3Uを固定することとしたため、ロアカウル3Lのトップカウル接合面11の切り欠きをなくして水の侵入を回避することができる。
また、フック13の外側にカバー15を取付けたことにより、見栄えがよい。
なお、本発明の船外機のカウル構造が適用される船外機は、前記実施形態に記載されるものに限定されない。また、同様に、本発明の船外機のカウル構造が適用される船舶は、前記実施形態に記載されるものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の船外機制御装置を搭載した船舶の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の船舶に用いられた船外機の外形図である。
【図3】図2の船外機のカウルの斜視図である。
【図4】図3のカウルのトップカウルフック構造の斜視図である。
【図5】図4のフック構造のフック受け部の斜視図である。
【図6】図4のフック構造のフックの断面図である。
【図7】図3のカウルのケーブル接続構造を示すものであり、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図8】図7のケーブル接続構造の各構成要素の説明図である。
【図9】図7のケーブル接続構造の組立説明図である。
【図10】従来のカウルのトップカウルフック構造の斜視図である。
【図11】図10のフック構造のフックの断面図である。
【図12】図10のフック構造のフック受け部の斜視図である。
【図13】従来のケーブル接続構造の組立説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1は船外機、2はエンジン、3Uはアッパカウル、3Lはロアカウル、3はカウル、4はアッパケース、5はロアケース、6はプロペラ、10はイモビライザ受信装置、11はトップカウル接合面、12はトップカウル支持縁、13はフック、14はフック受け部、15はカバー、16はシール部材、17は貫通穴、18はスタッドボルト、19は袋ナット、20,21はコントロールケーブル、22は奥側板金(第2板金)、23はシール部材、24は手前側板金(第1板金)、25はボルト受け部、26,27はボルト穴、28は規制突子、29はケーブル支持溝、30はボルト挿通穴、31はケーブル挿通穴、32はケーブル凹溝、33は割り、34はつまみ、35はリップ、36は収納部、37はつまみ凹溝、38はボルト挿通穴、39,40はボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば船外機の上部でエンジンを覆うカウル構造に関するものであり、特にロアカウルにトップカウルを覆ってカウルとする場合に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
船外機は、一般に上部にエンジンを搭載しており、カウルと称する覆いで覆われている。また、船外機は、船尾に配設され、操縦席は、船体の前方に設けられる。そこで、操縦席のアクセル操作やシフト操作をスロットルケーブルやシフトケーブルで船外機に伝達する。船外機は、その性格上、完成された船体に後付けされる場合が多く、同じく完成された船外機のカウル部分の外側からケーブルを内部に接続しなければならない。そのため、例えば下記特許文献1に示すように、ゴム製のシール部材(グロメット)でケーブルの外側を覆い、そのシール部材をロアカウルのトップカウル接合面の一部を切除した凹溝に嵌め込んで固定するようにしたものがある。
【特許文献1】特開平6−211191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の船外機のカウル構造では、ロアカウルとトップカウルの接合面における所定のシール性を確保できるものの、ロアカウルのトップカウル接合面の一部を切除しているため、どうしてもトップカウル接合面に切り欠きが形成されてしまい、この切り欠きからカウル内に水が入らないようにしようとすると、複雑なシール構造が必要となってしまうという問題がある。例えば、図13は、従来のカウル構造の一例であり、ケーブル挿通部に相当するロアカウル3Lのトップカウル接合面11’の一部を分割して分割パーツ101’とし、この分割パーツ101’及びロアカウル3Lに形成された幅の狭いスロット104’、105’に、夫々、ケーブル20,21に被せた金属製の支持板金102’及びゴム製のシール部材103’を嵌め込み、その上から分割パーツ101’を被せてボルト106’で、支持板金102’、シール部材103’、ケーブル20,21を分割パーツ101’ごとロアカウル3Lに固定する。この従来のカウル構造では、ケーブル20,21周りからの水の侵入は防止できるが、分割パーツ101’によってトップカウル接合面11’に切り欠きがあるため、そこからカウル内部に水が浸入してしまう可能性があるため、この切り欠きにおけるシール性の確保も必要となり、シール構造が複雑となる。
本発明は前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、ロアカウルのトップカウル接合面の切り欠きをなくして水の侵入を回避可能な船外機のカウル構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記諸問題を解決するため、本発明の船外機のカウル構造は、外部のケーブル類をカウル内部に接続するための貫通穴が形成され且つエンジン下方を覆うロアカウルと、前記ロアカウルと液密な接合面で当接され且つ前記ロアカウルの上方を覆うトップカウルとからなる。
この船外機のカウル構造では、外部のケーブル類をカウル内部に接続するための貫通穴をロアカウルに形成し、トップカウルは液密な接合面でロアカウルと当接されるので、ロアカウルのトップカウル接合面に切り欠きがなく、水の侵入を回避することができる。
【0005】
また、本発明の船外機のカウル構造は、外形が前記貫通穴と略同形状で且つ前記ケーブル類を保持するシール部材と、前記シール部材を覆う第1板金と、前記第1板金を介して前記貫通穴に前記シール部材を押圧固定する締結部材とからなる。
この船外機のカウル構造では、ケーブル類をシール部材に保持した状態で当該シール部材をロアカウルの貫通穴に押し込み、第1板金をシール部材にあてがって締結部材でシール部材を貫通穴に押圧固定することで、貫通穴を液密に閉塞することができる。
【0006】
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記締結部材は、前記ケーブル類の軸線方向に向けて前記第1板金を固定することを特徴とするものである。
この船外機のカウル構造では、ケーブル類の軸線方向に向けて締結部材で第1板金を固定することにより、ロアカウルのトップカウル接合面に切り欠きが生じない。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記シール部材の大きさを貫通穴の内部に緊密に嵌入する大きさとし、当該シール部材の貫通穴当接面のカウル外側部分にリップを形成したことを特徴とするものである。
【0007】
この船外機のカウル構造では、シール部材の大きさを貫通穴の内部に緊密に嵌入する大きさとし、当該シール部材のカウル外側部分にリップを形成したことにより、シール部材を貫通穴内に嵌め込むだけで、その周囲を液密に密閉することができ、カウル内への水の侵入を確実に回避することが可能となる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記シール部材のカウル外側面につまみを突設したことを特徴とするものである。
【0008】
この船外機のカウル構造では、シール部材のカウル外側面につまみを突設したことにより、例えば貫通穴内に緊密に嵌入したシール部材を容易に取り出すことができ、その分だけ、ケーブル類の着脱が容易になる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記貫通穴内で前記ケーブル類を前記シール部材よりカウル内側で支持する第2板金を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
この船外機のカウル構造では、第2板金でケーブル類を貫通穴のカウル内側で支持することにより、シール部材の嵌め込みや第1板金の固定が容易になる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記第2板金を1本の締結部材でロアカウルに固定する場合、前記ロアカウルの貫通穴内に、第2板金の端部が当接してその回転を規制する規制突子を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
この船外機のカウル構造では、ロアカウルの貫通穴内に、第2板金の端部が当接してその回転を規制する規制突子を設けたことにより、第2板金及びケーブル類の位置決めが容易になり、ケーブル類を第2板金に支持してロアカウルに固定する作業が容易になる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記ケーブル類を2本平行に並べた状態でカウルの内部に接続する場合、ケーブル類の並列方向の両外側から前記第2板金に形成されたケーブル支持溝と、前記シール部材に形成され且つ各ケーブル類が挿通する2つの挿通穴と、前記挿通穴に連通し且つ前記ケーブル類の並列方向と交差し且つ各ケーブル類の軸線方向とも交差する方向から前記シール部材に形成された割りと、前記ケーブル類の並列方向と交差し且つ各ケーブル類の軸線方向とも交差する方向から前記第1板金に開設され且つ各ケーブル類にまたぐ凹溝とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
この船外機のカウル構造では、2本のケーブル類を平行に並べてカウルの内部に接続する場合、第2板金のケーブル支持溝の夫々に2本のケーブル類の夫々を支持した状態で当該第2板金をロアカウルの貫通穴に固定することで、ケーブル類の並列方向の位置が位置決めされ、それらのケーブル類の外側に被せたシール部材を貫通穴に嵌め込むと、各ケーブル類の並列方向と交差する方向の位置が位置決めされ、その状態で、第1板金の凹溝をケーブル類にまたがせて当該第1板金をシール部材にあてがい、締結部材で当該シール部材を第1板金ごとロアカウルに固定することで、ケーブル類を位置決めしながら、それらを容易にロアカウルに固定することができる。
【0012】
また、本発明の船外機のカウル構造は、トップカウルとの接合面より下方にフック受け部を形成すると共に、トップカウルの外側にフックを取付けたことを特徴とするものである。
この船外機のカウル構造では、トップカウルの外側に取付けられたフックをロアカウルのフック受け部にフックしてロアカウルにトップカウルを固定することとしたため、ロアカウルのトップカウル接合面の切り欠きをなくして水の侵入を回避することができる。
また、本発明の船外機のカウル構造は、前記フックの外側にカバーを取付けたことを特徴とするものである。
この船外機のカウル構造では、フックの外側にカバーを取付けたことにより、見栄えがよい。
【発明の効果】
【0013】
而して、本発明の船外機のカウル構造によれば、外部のケーブル類をカウル内部に接続するための貫通穴をロアカウルに形成し、トップカウルは液密な接合面でロアカウルと当接されるので、ロアカウルのトップカウル接合面の切り欠きがなくなり、これにより水の侵入を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の船外機のカウル構造の一実施形態について、図面を引用しながら説明する。
図1は、本実施形態の船外機のカウル構造を装着した船舶の概略構成図である。この船舶は、オープンデッキタイプの船体52の船尾に船外機1を搭載し、前部にステアリングホイール54、シート55、リモコンレバー56、メインスイッチ及びスタートスイッチを有するスイッチパネル57、メータパネル58等を配設した操縦席を備えている。船外機1内には、後述するカウル内に配設されたエンジンを制御するエンジン制御装置が内装されている。また、スイッチパネル57内には、船外機1を遠隔操作するためのリモートコントロール(以下、リモコンとも記す)制御装置が内装されており、エンジン制御装置とケーブルで接続されている。また、操縦席の下方の船体52の側壁に相当する垂直面又はほぼ垂直面には、所謂トランスポンダ(発信器或いは中継器)からの認証コードを受信するイモビライザ受信装置10が取付けられており、ケーブルでスイッチパネル57のリモコン制御装置に接続されている。
【0015】
船外機1は、図2に示すように、上方から、カウル3、アッパケース4、ロアケース5の順に組立てられ、図示しないクランプによって、船体52に対し、上下方向及び横方向に揺動可能に取付けられている。カウル3は、トップカウル3Uとロアカウル3Lの組合せからなり、内部にエンジン2を内装している。
また、ロアケース5内には、プロペラ6の回転軸であるプロペラシャフト6aが水平方向に挿通されており、カウル3内からロアケース5内まで延設されたドライブシャフト80の下端は、ベベルギヤで構成される駆動ギヤ85、前進ギヤ86F、後進ギヤ86Rとドグクラッチ87によるシフト変換機構83を介してプロペラシャフト6aに連結されている。そして、ドライブシャフト80と平行に上下方向に配設されたシフトロッド84を、図示しない電子制御装置によって制御される電動モータを含む電動回転機構ESMで回転させることにより、シフト変換機構83が作動して、ニュートラルか、前進か、後進かの何れかに随時変換した状態で、ドライブシャフト80からプロペラシャフト6aに回転力が伝達される。
【0016】
即ち、シフト変換機構83は、ドライブシャフト80の下端に固定した駆動ギヤ85に、プロペラシャフト6a上に回転自在に配置した前進ギヤ86Fと後進ギヤ86Rとを夫々噛合させ、プロペラシャフト6aに対して摺動可能で回転不能に配設したドグクラッチ87を、前進ギヤ86Fと後進ギヤ86Rとの間に配置して、シフトロッド84の回転(シフトロッド下端のカム面の回転)に連動させてドグクラッチ87をプロペラシャフト6a上で摺動させるようにしたものである。
【0017】
このようなシフト変換機構83により、電動回転機構ESMでシフトロッド84をその軸回りに回転させることでドグクラッチ87を移動させて、前進ギヤ86Fと後進ギヤ86Rの何れかに噛合させるか、或いは、その中間部で何れとも噛合させないようにすることで、ドライブシャフト80の回転を前進ギヤ86Fか後進ギヤ86Rの何れかを介してプロペラシャフト6aに伝達させるか、或いは、ドライブシャフト80の回転をプロペラシャフト6aに伝達させないニュートラル状態となるようにしている。
【0018】
船外機1には、図示しないバッテリスイッチ及びバッテリケーブルを介して、船体52側のバッテリが接続され、バッテリからの電力が船外機1の電装部品及びエンジン制御装置に供給される。また、船外機1と船体52側とは、リモコンケーブル及びスロットル・シフトケーブルによって接続されている。本実施形態では、船外機1のエンジン制御装置は、船外機1側に搭載されており、このエンジン制御装置とスイッチパネル57内のリモコン制御装置とをリモコンケーブルで接続する。前述したように、スイッチパネル57内のリモコン制御装置とイモビライザ受信装置10とは接続されているので、エンジン制御装置にイモビライザ受信装置10の認証コード認証結果を送信することで、コード認証後の仕様をエンジン制御装置によって種々に設定することができる。本実施形態では、イモビライザ受信装置10によって認証コードが認証された場合に船外機1のエンジン2の始動を許可するものとし、認証コード認証後にスイッチパネル57によってエンジン始動指令が出力された場合に限ってエンジン2を始動する。コード認証後の仕様は、これに限定されるものではなく、例えば前記バッテリスイッチの投入を可能としたり、前記シフト変換機構のシフトロックを解除したりするようにしてもよい。
【0019】
図3には、トップカウル3U及びロアカウル3Lを斜め前方から見た状態を示す。図中の符号11が、ロアカウル3Lのトップカウル接合面であり、ロアカウル3Lの上縁部全周にわたって切り欠きがない。トップカウル3Uとロアカウル3Lの間には、トップカウル3Uの下縁部全周に被せたシール部材16が介装されており、この全周に及ぶシール部材16と切り欠きのないトップカウル接合面によって、両者間のシール性、つまり液密性が確保される。なお、トップカウル接合面11の内側には、トップカウル3Uの下縁部を内側から支持する支持縁12が突設されている。
【0020】
このシール性を確保するため、カウル前部でトップカウル3Uをロアカウル3Lに固定するためのフック構造を発明した。このフック構造は、例えば図4に明示するように、トップカウル3Uの前方部外側に取付けられたフック13を、ロアカウル3Lに形成されたフック受け部14にフックして、トップカウル3Uをロアカウル3Lに固定するようにしている。図5は、ロアカウル3Lに形成されたフック受け部14の詳細、図6は、トップカウル3Uに取付けられたフック13の詳細を示したものである。また、図中の符号17は、後述するケーブル接続用の貫通穴である。
【0021】
フック受け部14は、ロアカウル3Uの前方で且つトップカウル接合面より下方位置にロアカウル3Uを窪ませて形成された凹部である。フック13は、トップカウル3Lの前方で且つフック受け部14の上方位置に取付けられている。このフック13の外側には、意匠を施したカバー15が被せられている。このカバー15には、スタッドボルト18が取付けられており、このスタッドボルト18をフック13及びトップカウル3Uに貫通し、それに袋ナット19を螺合し締付けてフック13をトップカウル3Uに固定している。図5から明らかなように、フック受け部14がロアカウル3Uのトップカウル接合面より下方位置に形成されているため、トップカウル接合面11には切り欠きがない。また、これに合わせて、フック13がトップカウル3Uの外側に取付けられているため、図6に明らかなように、シール部材16とトップカウル接合面11の間に隙間がない。これにより、両者のシール性、即ち液密性が確保される。
【0022】
図10は、従来のトップカウルフック構造である。説明を容易にするため、本実施形態と同じ構成には同じ符号を用いる。このフック構造では、図11に示すように、フック13’がトップカウル3Uの内側に取付けられ、フック13’の下端部はロアカウル3Lの外側になるように曲げられている。ちなみに、このフック13’はリベットRによってトップカウル3Uに固定されている。図12には、このフック構造のフック受け部14’を示す。この従来のフック構造では、フック13’の下端部がシール部材16を内側からくぐるようにしてフック受け部14’に到達しなければならないため、フック受け部14’の上方では、ロアカウル3Lを窪ませ、トップカウル接合面11’の一部が切り欠かれている。また、トップカウル支持縁12’の一部も窪んでいる。
【0023】
この従来のトップカウルフック構造では、このようにトップカウル接合面11’の一部が切り欠かれ、トップカウル支持縁12’の一部も窪んでいるため、フック13’とトップカウル接合面11’やトップカウル支持縁12’との間に隙間が生じ、この隙間からカウル内部に水が浸入する。これに対し、本実施形態のトップカウルフック構造では、トップカウル接合面11に切り欠きがなく、トップカウル接合面11とシール部材16によってトップカウル3Uとロアカウル3Lとのシール性、即ち液密性が確保される。
【0024】
また、本実施形態では、トップカウル3Uとロアカウル3Lとのシール性、即ち液密性を確保するため、前述したロアカウル3Lの貫通穴17からシフトケーブル20及びスロットルケーブル21の2本のコントロールケーブルをカウル3の内部に接続する。図7には、組立状態のケーブル挿通部を示す。ちなみに、図中の符号91は、燃料供給口であり、図示しない個別の接続部材及び燃料パイプを介して燃料タンクに接続される。本実施形態のケーブル挿通構造は、金属製板材からなる貫通穴奥側の奥側板金(第2板金)22、ゴム製のシール部材23、金属製の手前側板金(第1板金)24及び締結部材であるボルトなどで構成される。また、貫通穴17は、ほぼ方形の鋳抜き穴であり、その四隅には、後述する奥側板金22の回転を規制する規制突子28がもうけられている。また、貫通穴17をカウル外側から見たときの奥方中央部にはボルト受け部25が立設され、その中央部にボルト穴26が1つ形成されている。また、貫通穴17をカウル外側から見たときの手前側壁部には、2つのボルト穴27が形成されている。
【0025】
図8aは奥側板金22の正面図、図8bはシール部材23の平面図、図8cは同じくシール部材23の正面図、図8dは手前側板金24の正面図である。奥側板金22は、2本のケーブル20,21の並列方向に長手なほぼ長方形な金属製板材であり、短辺方向の長さは、前記貫通穴17の高さより短い。また、この奥側板金22の長手方向両側、即ちケーブル20,21の並列方向両外側から各ケーブル20,21をケーブル支持溝29が開設され、長手方向中央部には、後述するボルトを挿通するためのボルト挿通穴30が開設されている。
【0026】
シール部材23は、前述した方形の貫通穴17に緊密に嵌入する大きさで、その長手方向両端部に、ケーブル20、21を挿通するケーブル挿通穴31が開設され、図8cの上方、即ち2本のケーブル20,21の並列方向と交差し且つ各ケーブル20,21の軸線方向にも交差する方向から割り33が形成されている。また、シール部材23の外周部のうち、カウル外側部分には、同じゴム材料からなる薄いリップ35が突設されている。また、シール部材23のカウル外側面の長手方向中央部には、シール部材23をつまんで引っ張り出すためのつまみ34が突設されている。また、つまみ34の反対側には、ボルトの頭部を収納する収納部36が開設されている。
【0027】
手前側板金24は、前述した方形の貫通穴1を覆う大きさで、ケーブル20,21をまたぐケーブル凹溝32が、前記シール部材23の割り33と同じ方向、即ち2本のケーブル20,21の並列方向と交差し且つ各ケーブル20,21の軸線方向とも交差する方向から開設されている。また、2つのケーブル凹溝32の中央部には、同じくシール部材23のつまみ34をまたぐつまみ凹溝37が、ケーブル凹溝32と同じ方向から開設されている。また、手前側板金24のうち、前記ロアカウル3Lの貫通穴17から外れた位置には、前記ボルト穴27に螺合するボルトのボルト挿通穴38が開設されている。
【0028】
このケーブル挿通構造を組立てる場合には、例えば図9aに示す貫通穴17に対し、図9bに示すように、奥側板金22の各ケーブル支持溝29に各ケーブル20,21を嵌め込み、各ケーブル20,21を貫通穴17のボルト受け部25の両側の夫々に通し、ボルト受け部25に当接するまで奥側板金22を貫通穴17に差し込む。貫通穴17内に奥側板金22を差し込むと、当該奥側板金22の四隅が貫通穴17の四隅に形成された規制突子28に当接して当該奥側板金22の回転が規制されるので、その状態でボルト挿通穴30にボルト39を挿通し、ボルト穴26にボルト39を螺合し締め付けて、図9cに示すように、奥側板金22をロアカウル3Lに固定する。これによりケーブル20,21の横方向の位置、即ちケーブル20,21の並列方向の位置が位置決めされる。
【0029】
次に、図9dに示すように、シール部材23の2つの割り33を開いて、夫々、ケーブル20,21に嵌め、ケーブル挿通穴31内に各ケーブル20,21を挿通し、その状態で、図9eに示すように、つまみ34がカウルの外側になるようにしてシール部材23を貫通穴17内に押し込む。シール部材23は貫通穴17に緊密に嵌入する大きさである上に、カウル外側部分にリップ35が形成されているため、貫通穴17がシール部材23によって液密に密閉されると共に、ケーブル20,21の上下方向の位置、即ちケーブル20,21の並列方向と交差する方向の位置が位置決めされる。
【0030】
最後に、図9eに示すように、2本のケーブル20,21の夫々に手前側板金24の凹溝32を夫々またがせ、これを貫通穴17の手前側壁部に突き当てると、手前側板金24がシール部材23にあてがわれた状態となる。この状態で、2つのボルト挿通穴38の夫々にボルト40を挿通し、ボルト穴27にボルト40を螺合し締め付けて、図9fに示すように、シール部材23を手前側板金24ごとロアカウル3Lに固定する。これにより、ケーブル20,21が固定されると共に、貫通穴17がシール部材23などにより液密に密閉され、少なくとも貫通穴17から水が浸入するのを防止することができる。また、前述したように、トップカウル接合面11には切り欠きがないので、トップカウル接合面11とシール部材16によってトップカウル3Uとロアカウル3Lとのシール性、即ち液密性が確保される。
【0031】
前述したように、図13に示す従来のケーブル挿通構造では、分割パーツ101’によってトップカウル接合面11’に切り欠きがあるため、そこからカウル内部に水が浸入してしまう。これに対し、本実施形態のケーブル挿通構造では、トップカウル接合面11に切り欠きがないので、カウル内部への水の侵入を回避することができる。
このように本実施形態の船外機のカウル構造によれば、外部のケーブル20,21をカウル内部に接続するための貫通穴17をロアカウル3Lに形成し、トップカウル3Uは液密なトップカウル接合面11でロアカウル3Lと当接されるので、ロアカウル3Lのトップカウル接合面11に切り欠きがなく、水の侵入を回避することができる。
【0032】
また、外形が貫通穴17と略同形状なシール部材23にケーブル20,21を保持した状態で当該シール部材23をロアカウルの貫通穴に押し込み、手前側板金(第1板金)24をシール部材23にあてがってボルト(締結部材)40でシール部材23を貫通穴17に押圧固定することで、貫通穴17を液密に閉塞することができる。
また、ケーブル20,21の軸線方向に向けてボルト(締結部材)40で手前側板金(第1板金)24を固定することにより、ロアカウル3Uのトップカウル接合面11に切り欠きが生じない。
【0033】
また、シール部材23の大きさを貫通穴17の内部に緊密に嵌入する大きさとし、当該シール部材23のカウル外側部分にリップ35を形成したことにより、シール部材23を貫通穴17内に嵌め込むだけで、その周囲を液密に密閉することができ、カウル内への水の侵入を確実に回避することが可能となる。
また、シール部材23のカウル外側面につまみ34を突設したことにより、例えば貫通穴17内に緊密に嵌入したシール部材23を容易に取り出すことができ、その分だけ、ケーブル20,21の着脱が容易になる。
【0034】
また、奥側板金(第2板金)22でケーブル20,21を貫通穴17のカウル内側で支持することにより、シール部材23の嵌め込みや手前側板金(第1板金)24の固定が容易になる。
また、ロアカウル3Lの貫通穴17内に、奥側板金(第2板金)22の端部が当接してその回転を規制する規制突子28を設けたことにより、奥側板金(第2板金)22及びケーブル20,21の位置決めが容易になり、ケーブル20,21を奥側板金(第2板金)22に支持してロアカウル3Lに固定する作業が容易になる。
【0035】
また、2本のケーブル20,21を平行に並べてカウルの内部に接続する場合、奥側板金(第2板金)22のケーブル支持溝29の夫々に2本のケーブル20,21の夫々を支持した状態で当該奥側板金(第2板金)22をロアカウル3Lの貫通穴17に固定することで、ケーブル20,21の並列方向の位置が位置決めされ、それらのケーブル20,21の外側に被せたシール部材23を貫通穴17に嵌め込むと、各ケーブル20,21の並列方向と交差する方向の位置が位置決めされ、その状態で、手前側板金(第1板金)24の凹溝32をケーブル20,21にまたがせて当該手前側板金(第1板金)24をシール部材23にあてがい、ボルト(締結部材)40で当該シール部材23を手前側板金(第1板金)24ごとロアカウル3Lに固定することで、ケーブル20,21を位置決めしながら、それらを容易にロアカウル3Lに固定することができる。
【0036】
また、トップカウル3Uの外側に取付けられたフック13をロアカウル3Lのフック受け部14にフックしてロアカウル3Lにトップカウル3Uを固定することとしたため、ロアカウル3Lのトップカウル接合面11の切り欠きをなくして水の侵入を回避することができる。
また、フック13の外側にカバー15を取付けたことにより、見栄えがよい。
なお、本発明の船外機のカウル構造が適用される船外機は、前記実施形態に記載されるものに限定されない。また、同様に、本発明の船外機のカウル構造が適用される船舶は、前記実施形態に記載されるものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の船外機制御装置を搭載した船舶の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の船舶に用いられた船外機の外形図である。
【図3】図2の船外機のカウルの斜視図である。
【図4】図3のカウルのトップカウルフック構造の斜視図である。
【図5】図4のフック構造のフック受け部の斜視図である。
【図6】図4のフック構造のフックの断面図である。
【図7】図3のカウルのケーブル接続構造を示すものであり、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図8】図7のケーブル接続構造の各構成要素の説明図である。
【図9】図7のケーブル接続構造の組立説明図である。
【図10】従来のカウルのトップカウルフック構造の斜視図である。
【図11】図10のフック構造のフックの断面図である。
【図12】図10のフック構造のフック受け部の斜視図である。
【図13】従来のケーブル接続構造の組立説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1は船外機、2はエンジン、3Uはアッパカウル、3Lはロアカウル、3はカウル、4はアッパケース、5はロアケース、6はプロペラ、10はイモビライザ受信装置、11はトップカウル接合面、12はトップカウル支持縁、13はフック、14はフック受け部、15はカバー、16はシール部材、17は貫通穴、18はスタッドボルト、19は袋ナット、20,21はコントロールケーブル、22は奥側板金(第2板金)、23はシール部材、24は手前側板金(第1板金)、25はボルト受け部、26,27はボルト穴、28は規制突子、29はケーブル支持溝、30はボルト挿通穴、31はケーブル挿通穴、32はケーブル凹溝、33は割り、34はつまみ、35はリップ、36は収納部、37はつまみ凹溝、38はボルト挿通穴、39,40はボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のケーブル類をカウル内部に接続するための貫通穴が形成され且つエンジン下方を覆うロアカウルと、前記ロアカウルと液密な接合面で当接され且つ前記ロアカウルの上方を覆うトップカウルとからなる船外機のカウル構造。
【請求項2】
外形が前記貫通穴と略同形状で且つ前記ケーブル類を保持するシール部材と、前記シール部材を覆う第1板金と、前記第1板金を介して前記貫通穴に前記シール部材を押圧固定する締結部材とからなる請求項1に記載の船外機のカウル構造。
【請求項3】
前記締結部材は、前記ケーブル類の軸線方向に向けて前記第1板金を固定することを特徴とする請求項2に記載の船外機のカウル構造。
【請求項4】
前記シール部材の大きさを貫通穴の内部に緊密に嵌入する大きさとし、当該シール部材の貫通穴当接面のカウル外側部分にリップを形成したことを特徴とする請求項請求項2又は3に記載の船外機のカウル構造。
【請求項5】
前記シール部材のカウル外側面につまみを突設したことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の船外機のカウル構造。
【請求項6】
前記貫通穴内で前記ケーブル類を前記シール部材よりカウル内側で支持する第2板金を備えたことを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の船外機のカウル構造。
【請求項7】
前記第2板金を1本の締結部材でロアカウルに固定する場合、前記ロアカウルの貫通穴内に、第2板金の端部が当接してその回転を規制する規制突子を設けたことを特徴とする請求項6に記載の船外機のカウル構造。
【請求項8】
前記ケーブル類を2本平行に並べた状態でカウルの内部に接続する場合、ケーブル類の並列方向の両外側から前記第2板金に形成されたケーブル支持溝と、前記シール部材に形成され且つ各ケーブル類が挿通する2つの挿通穴と、前記挿通穴に連通し且つ前記ケーブル類の並列方向と交差し且つ各ケーブル類の軸線方向とも交差する方向から前記シール部材に形成された割りと、前記ケーブル類の並列方向と交差し且つ各ケーブル類の軸線方向とも交差する方向から前記第1板金に開設され且つ各ケーブル類にまたぐ凹溝とを備えたことを特徴とする請求項6又は7に記載の船外機のカウル構造。
【請求項9】
前記ロアカウルのうち、トップカウルとの接合面より下方にフック受け部を形成すると共に、トップカウルの外側にフックを取付けたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の船外機のカウル構造。
【請求項10】
前記フックの外側にカバーを取付けたことを特徴とする請求項9に記載の船外機のカウル構造。
【請求項1】
外部のケーブル類をカウル内部に接続するための貫通穴が形成され且つエンジン下方を覆うロアカウルと、前記ロアカウルと液密な接合面で当接され且つ前記ロアカウルの上方を覆うトップカウルとからなる船外機のカウル構造。
【請求項2】
外形が前記貫通穴と略同形状で且つ前記ケーブル類を保持するシール部材と、前記シール部材を覆う第1板金と、前記第1板金を介して前記貫通穴に前記シール部材を押圧固定する締結部材とからなる請求項1に記載の船外機のカウル構造。
【請求項3】
前記締結部材は、前記ケーブル類の軸線方向に向けて前記第1板金を固定することを特徴とする請求項2に記載の船外機のカウル構造。
【請求項4】
前記シール部材の大きさを貫通穴の内部に緊密に嵌入する大きさとし、当該シール部材の貫通穴当接面のカウル外側部分にリップを形成したことを特徴とする請求項請求項2又は3に記載の船外機のカウル構造。
【請求項5】
前記シール部材のカウル外側面につまみを突設したことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の船外機のカウル構造。
【請求項6】
前記貫通穴内で前記ケーブル類を前記シール部材よりカウル内側で支持する第2板金を備えたことを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の船外機のカウル構造。
【請求項7】
前記第2板金を1本の締結部材でロアカウルに固定する場合、前記ロアカウルの貫通穴内に、第2板金の端部が当接してその回転を規制する規制突子を設けたことを特徴とする請求項6に記載の船外機のカウル構造。
【請求項8】
前記ケーブル類を2本平行に並べた状態でカウルの内部に接続する場合、ケーブル類の並列方向の両外側から前記第2板金に形成されたケーブル支持溝と、前記シール部材に形成され且つ各ケーブル類が挿通する2つの挿通穴と、前記挿通穴に連通し且つ前記ケーブル類の並列方向と交差し且つ各ケーブル類の軸線方向とも交差する方向から前記シール部材に形成された割りと、前記ケーブル類の並列方向と交差し且つ各ケーブル類の軸線方向とも交差する方向から前記第1板金に開設され且つ各ケーブル類にまたぐ凹溝とを備えたことを特徴とする請求項6又は7に記載の船外機のカウル構造。
【請求項9】
前記ロアカウルのうち、トップカウルとの接合面より下方にフック受け部を形成すると共に、トップカウルの外側にフックを取付けたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の船外機のカウル構造。
【請求項10】
前記フックの外側にカバーを取付けたことを特徴とする請求項9に記載の船外機のカウル構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−6137(P2010−6137A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164989(P2008−164989)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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