船舶用推進装置及び船舶用推進装置の設計方法
【課題】プロペラと、このプロペラを囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置において、プロペラに起因する起振力を低減させると共に、ボラードプルと航走時における推進効率の向上を図ることができる船舶の推進装置と船舶の推進装置の設計方法を提供する。
【解決手段】前記プロペラを20度以上60度以下のスキュー角度を有するプロペラ形状で形成すると共に、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置して構成する。
【解決手段】前記プロペラを20度以上60度以下のスキュー角度を有するプロペラ形状で形成すると共に、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置して構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曳船、トロール船等の作業船で、推進器荷重が大きく、大きな推力を必要とする船舶に装備される船舶用推進装置及び船舶用推進装置の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
曳船、トロール船等の作業船で、推進器荷重が大きく、大きな推力を必要とする船舶には、スクリュープロペラを囲んで、横断面が翼形の断面形状をしたノズルが設置され、そのノズルとスクリュープロペラが発生する推力を利用した推進装置が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このノズル付の推進装置(ノズルプロペラ)は、特に低速域で大きな推進力を必要とされる船舶で使用されており、近年、ノズル付の推進装置の性能を向上させる目的で、ノズルの断面形状自体の開発も行われてきている(例えば、特許文献2参照。)。特に、この種の開発では、船が静止時に対象物を引く力であるボラードスラストの向上を図ることを目的とすることが多い。
【0004】
これらのノズルプロペラは、ノズルだけでなくプロペラにも大きな推力を発生させることになるため、プロペラの翼背面上にはキャビテーション(空洞現象)が発生し易く、振動の問題や翼チップ付近のノズル内面にキャビテーションエロージョンが発生する恐れがある。そのため、ノズルの内面を、鉄材ではなく、耐エロージョン性能に優れたステンレス鋼材で形成することもあった。
【0005】
このキャビテーションエロージョン対策の一つとして、通常のノズル無しのプロペラの場合には、スキュー角を付けたプロペラ形状を採用して、キャビテーションの発生を制御することが行われている。しかしながら、プロペラ翼のスキュー量を大きくする程プロペラの効率は悪くなる。そのため、従来技術においては、ノズルプロペラには、図9〜図11に示すように、スキューが無く、レーキ(Rake)の分布が直線状であるプロペラ翼20Xを採用し、このプロペラ翼20Xの中心位置Pcとノズル30の翼弦長の中央位置Ncとを一致させるように配置している。なお、図中のTmaxはプロペラ翼の最大翼厚を示す。
【0006】
また、プロペラを原因とする起振力を低減できるスキュー角度としては、一般的に20度以上が好ましく最大でも60度以下が好ましいことが知られている。しかし、新たなノズルプロペラとして、このスキュー角が20度以上のスキュープロペラ翼をノズルプロペラに採用して、従来技術には無いノズルプロペラを開発しようとすると、次のような問題が生じる。
【0007】
つまり、単純に、図12や図14に示すような20度以上のスキュー角αが採用されているプロペラ翼20Y、20Zをノズルプロペラに採用すると、図13や図15に示すように、プロペラ翼20Y、20Zのチップ(先端)位置21での翼弦長の中央位置Pcは、ノズル30の翼弦長の中央位置Ncよりも後方になってしまうため、ノズルプロペラとしての効率が著しく低下する。そのため、できるだけ効率を向上させたいという要求とは逆行した結果となる。
【0008】
特に、ボラード状態におけるスラストの向上及び航走時の推進効率の向上を図るために、図8に示すような従来の19A翼形(点線C)と異なる翼形を有するノズル(実線A、一点鎖線B)を採用するノズルプロペラのような場合においては、ノズル内面の円筒面の部分(P1とP2の間の直線部分)も狭くなる傾向にあるので、プロペラ翼のチップの前後位置がノズルプロペラの性能に及ぼす影響がより大きなものとなる。これらの円筒面の部分が狭いノズルでは、プロペラ翼のチップの中心位置が後方にずれると、この円筒面の部分から外れる場合も生じる。従って、この前後方向の相対位置の問題は、ノズルプロペラにスキュープロペラを採用する際に重要な問題となる。
【特許文献1】特開昭57−994号公報
【特許文献2】特開2006−90750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、プロペラ翼と、このプロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置(スクリュー型ノズルプロペラ)において、プロペラに起因する起振力を低減させると共に、ボラードプルと航走時における推進効率の向上を図ることができる船舶の推進装置と船舶の推進装置の設計方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の船舶用推進装置は、プロペラ翼と、該プロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置において、前記プロペラ翼を20度以上60度以下のスキュー角度を有するプロペラ形状で形成すると共に、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置して構成される。
【0011】
このスキュー角度は図12に示したように、プロペラ翼を前方から見た際に、翼弦長の中央位置を結んだ曲線のプロペラ翼中心からの開き角αで示され、従来型のノズルプロペラでは、図9に示すようにほぼ0度、ノズルが無い一般のプロペラ翼の場合、通常は10度程度である。このスキュー角度を大きくするほどプロペラ翼に発生するキャビテーションを原因とする起振力の低減効果は大きくなるが、プロペラ効率が低下するため、実用的な範囲でスキュー角度が決められている。通常ノズルプロペラの場合は、20度〜30度が採用されることが多い。
【0012】
また、プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置の配置に関する、ノズルの前縁から上記の範囲は、図8に示すようなノズルの形状を考慮した、図7に示すような実験結果等から得られたものである。
【0013】
そして、このプロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置することは、次のような構成等とすることで実現できる。
【0014】
上記の船舶用推進装置において、前記プロペラ翼のプロペラボスへの取り付け位置を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置としたり、前記プロペラ翼を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成したりして構成する。このレーキ(Rake)とは、プロペラボスの中心を通る鉛直面とプロペラ翼の各半径位置の断面が交差する点を結んだ線である。通常レーキとはプロペラ翼の前後方向の倒れ方を表している。
【0015】
また、上記の目的を達成するための本発明の船舶用推進装置の設計方法は、スキュー角度が20度以上60度以下のスキュー型プロペラ翼と、該プロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置の設計方法であって、前記プロペラ翼のチップ位置での翼弦長の中央位置と前記ノズルの翼弦長の中央位置との相対位置との関係において、前記プロペラ翼におけるチップ位置での翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%〜55%後方の間に配置することを特徴とする方法である。
【0016】
また、上記の船舶用推進装置の設計方法において、前記プロペラ翼のプロペラボスへの取り付け位置を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置としたり、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成したりすることで、プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の船舶用推進装置及び船舶用推進装置の設計方法によれば、スキュー型のプロペラを採用するとボラード状態及び航走時の推進効率を向上できるだけでなく、ノズルプロペラを原因とする起振力を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して本発明の実施の形態の船舶用推進装置及び船舶用推進装置の設計方法について説明する。
【0019】
図1〜図6に示すように、この本発明の実施の形態の船舶用推進装置であるスキュー型のノズルプロペラ1A、1B、1Cは、プロペラボス10に固定されたプロペラ翼20Aと、このプロペラ翼20Aを囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズル30とを備えて構成される。
【0020】
このプロペラ翼20A、20B、20Cは、図1に示すように、20度以上60度以下のスキュー角度αを有するプロペラ形状で形成する。このスキュー角度αが、下限の20度より小さいとプロペラ翼に発生するキャビテーションを原因とする起振力の低減効果が小さく、通常ノズルプロペラでは20度〜30度の範囲で使われるが、起振力を小さくする必要があるとさらにスキュー角度は大きく採用される。しかし、上限の60度よりも大きいとプロペラ効率が極端に低下するため、実用的でなくなる。なお、図中の実線22は各半径方向毎の翼弦長の中央位置を示す線である。
【0021】
それと共に、図2、図3及び図5に示すように、プロペラ翼20A、20B、20Cのチップ21の位置における翼弦長の中央位置Pcを、ノズル30の前縁Nfからノズルコード長Ln(前縁Nfと後縁Neの距離)の42%後方Naとノズルコード長Lnの55%後方Nbの間の範囲Ra内に、言い換えれば、ノズル30の前後位置の中心位置Ncの前方8%Lnの位置Naから中心位置Ncの後方5%Lnの位置Nbの間の範囲Ra内に配置して構成される。
【0022】
そして、図2に示す第1の実施の形態のノズルプロペラ1Aでは、プロペラ翼20Aのチップ位置における翼弦長の中央位置Pcを、そのまま単純にプロペラ翼20Yを従来技術と同様に配置した場合(点線で図示)よりも、プロペラ翼20Aのプロペラボス10への取り付け位置を前方に移動させて配置する。この前方配置により、プロペラ翼20Aのチップ21の位置における翼弦長の中央位置Pcを範囲Ra内に配置する。
【0023】
このプロペラ翼20Aのチップ21の位置における翼弦長の中央位置Pcの配置に関する範囲Raは、図8に示すようなノズルの形状(A、B、C)を考慮した、図7に示す実験結果等の検討から得られたものである。この図7から、範囲Raでプロペラ効率(推進器効率)(KTT/10KQ)が高いことが分かる。このKTTはノズルプロペラのノズル及びプロペラに働く合計スラストのスラスト係数(推力係数)であり、KQはプロペラのトルク係数である。
【0024】
また、図3に示す第2の実施の形態のノズルプロペラ1Bでは、図4に示すように、プロペラ翼20Bを、プロペラチップ位置のレーキが負の値になるレーキ分布のプロペラ形状として形成する。この第2の実施の形態のノズルプロペラ1Bでは、図4に示すように、プロペラ半径方向で、プロペラ翼の一部分(図4では、プロペラ半径の約0.7倍より外側の部分)だけでレーキ(Rake)を負(−)側にしている。なお、図中のTmaxは最大翼厚を示す。
【0025】
また、図5に示す第3の実施の形態のノズルプロペラ1Cでは、図6に示すように、プロペラ翼20Cを、プロペラチップ位置のレーキが負の値になるレーキ分布のプロペラ形状として形成するが、図6に示すように、プロペラ半径方向に関して、殆ど全部でレーキ分布を設け、プロペラ翼の内側(図6ではプロペラ半径の約0.85倍より内側)では、レーキ(Rake)を正(+)側にし、その外側では、レーキを負(−)側にしている。この構成とすることにより、図5に示すように、前方に凸となる量が減少するので、図2,3のノズルプロペラ翼1A,1Bに比べて、プロペラボス長さを短縮できるというメリットが生じる。
【0026】
そして、本発明の船舶用推進装置の設計方法は、第1〜第3の実施の形態のノズルプロペラ1A、1B、1Cを設計する設計方法であり、次のように行われる。
【0027】
先ず、スキュー型プロペラ翼20A、20B、20Cに関しては、スキュー角度が20度以上60度以下のスキュー型プロペラ翼として形成する。また、翼形の断面形状を有するノズル30を、このプロペラ翼20A、20B、20Cを囲んで配置する。
【0028】
そして、プロペラ翼20A、20B、20Cのチップ21の位置での翼弦長の中央位置Pcとノズル30の翼弦長の中央位置Ncとの相対位置との関係において、プロペラ翼20A、20B、20Cにおけるチップ21の位置での翼弦長の中央位置Pcを、ノズル30の前縁Nfからノズルコード長Lnの42%後方〜55%後方の間の範囲Raに配置する。
【0029】
この中央位置Pcを範囲Raに配置するに際しては、図2に示すように、プロペラ翼20Aのプロペラボス30への取り付け位置を、従来技術の場合よりも前方に移動して、中央位置Pcが範囲Ra内に配置される位置とする。あるいは、プロペラ翼20B、20Cを、図3〜図6に示すように、プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成し、中央位置Pcがプロペラ根部に対して後方に形成されないようにして、中央位置Pcを範囲Ra内に配置する。
【0030】
このレーキ分布としては、図4に示すように、プロペラ翼20Bのチップ近傍の一部分(図4では、プロペラ半径の約0.7倍より外側の部分)だけでレーキを負(−)側にしたり、図6に示すように、プロペラ翼20Cのプロペラ半径方向に関して、殆ど全部でレーキ分布を設け、プロペラ翼20Cの内側(図6ではプロペラ半径の約0.85倍より内側)では、レーキを正(+)側にし、その外側では、レーキを負(−)側にしたりする。
【0031】
なお、プロペラ半径方向に関して、図6に示すように、プロペラ翼20Cの内側をレーキが正(+)側になるように構成とすることにより、図5に示すように、前方に凸となる量を減少させることができるので、図2及び図3のノズルプロペラ1A,1Bに比べて、プロペラボス長さを短縮できるというメリットを得ることができる。
【0032】
上記の船舶用推進装置及び船舶用推進装置の設計方法によれば、スキュー型のプロペラを採用して、ノズルプロペラを原因とする起振力を低減させることができ、しかも、ボラード状態及び航走時の推進効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のスキュー型プロペラを採用したノズルプロペラの構成を示す部分的な正面投影図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図4】図3のスキュー型プロペラのプロペラ前後方向に関してのプロペラのレーキ分布と最大翼厚分布を示す図である。
【図5】本発明に係る第3の実施の形態のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図6】図5のスキュー型プロペラのプロペラ前後方向に関してのプロペラのレーキ分布と最大翼厚分布を示す図である。
【図7】ノズルの前後方向に関しての、ノズルに対するプロペラチップの翼コード長の中心位置の変化とプロペラ効率との関係を示す図である。
【図8】ノズルの形状を示す側断面図である。
【図9】従来技術のノズルプロペラのスキュー無しのプロペラを採用したノズルプロペラの構成を示す部分的な正面投影図である。
【図10】図9のプロペラを採用したノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図11】図9のプロペラ前後方向に関してのプロペラのレーキ分布と最大翼厚分布を示す図である。
【図12】スキュー型プロペラを適用したノズルプロペラの構成を示す部分的な正面投影図である。
【図13】単純に図12のスキュー型プロペラを適用した場合のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図14】他のスキュー型プロペラを適用したノズルプロペラの構成を示す部分的な正面投影図である。
【図15】単純に図14のスキュー型プロペラを適用した場合のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1A、1B、1C スキュー型のノズルプロペラ(船舶用推進装置)
10 プロペラボス
20A、20B、20C プロペラ翼(スキュー有り)
20X プロペラ翼(スキュー無し)
20Y、20Z プロペラ翼(スキュー有り)
21 チップ
22 翼弦長の中心を結ぶ線
30 ノズル
31 ノズル外面
32 ノズル内面
α スキュー角
Ln ノズルのノズルコード長
Na ノズルの前縁から42%Ln後方の位置(ノズルの中央位置より8%Ln前方の位置)
Nb ノズルの前縁から55%Ln後方の位置(ノズルの中央位置より5%Ln後方の位置)
Nc ノズルの中央位置
Ne ノズルの後縁
Nf ノズルの前縁
Pc プロペラ翼のチップ位置での翼弦長の中央位置
Ra 範囲(NaとNbの間)
【技術分野】
【0001】
本発明は、曳船、トロール船等の作業船で、推進器荷重が大きく、大きな推力を必要とする船舶に装備される船舶用推進装置及び船舶用推進装置の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
曳船、トロール船等の作業船で、推進器荷重が大きく、大きな推力を必要とする船舶には、スクリュープロペラを囲んで、横断面が翼形の断面形状をしたノズルが設置され、そのノズルとスクリュープロペラが発生する推力を利用した推進装置が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このノズル付の推進装置(ノズルプロペラ)は、特に低速域で大きな推進力を必要とされる船舶で使用されており、近年、ノズル付の推進装置の性能を向上させる目的で、ノズルの断面形状自体の開発も行われてきている(例えば、特許文献2参照。)。特に、この種の開発では、船が静止時に対象物を引く力であるボラードスラストの向上を図ることを目的とすることが多い。
【0004】
これらのノズルプロペラは、ノズルだけでなくプロペラにも大きな推力を発生させることになるため、プロペラの翼背面上にはキャビテーション(空洞現象)が発生し易く、振動の問題や翼チップ付近のノズル内面にキャビテーションエロージョンが発生する恐れがある。そのため、ノズルの内面を、鉄材ではなく、耐エロージョン性能に優れたステンレス鋼材で形成することもあった。
【0005】
このキャビテーションエロージョン対策の一つとして、通常のノズル無しのプロペラの場合には、スキュー角を付けたプロペラ形状を採用して、キャビテーションの発生を制御することが行われている。しかしながら、プロペラ翼のスキュー量を大きくする程プロペラの効率は悪くなる。そのため、従来技術においては、ノズルプロペラには、図9〜図11に示すように、スキューが無く、レーキ(Rake)の分布が直線状であるプロペラ翼20Xを採用し、このプロペラ翼20Xの中心位置Pcとノズル30の翼弦長の中央位置Ncとを一致させるように配置している。なお、図中のTmaxはプロペラ翼の最大翼厚を示す。
【0006】
また、プロペラを原因とする起振力を低減できるスキュー角度としては、一般的に20度以上が好ましく最大でも60度以下が好ましいことが知られている。しかし、新たなノズルプロペラとして、このスキュー角が20度以上のスキュープロペラ翼をノズルプロペラに採用して、従来技術には無いノズルプロペラを開発しようとすると、次のような問題が生じる。
【0007】
つまり、単純に、図12や図14に示すような20度以上のスキュー角αが採用されているプロペラ翼20Y、20Zをノズルプロペラに採用すると、図13や図15に示すように、プロペラ翼20Y、20Zのチップ(先端)位置21での翼弦長の中央位置Pcは、ノズル30の翼弦長の中央位置Ncよりも後方になってしまうため、ノズルプロペラとしての効率が著しく低下する。そのため、できるだけ効率を向上させたいという要求とは逆行した結果となる。
【0008】
特に、ボラード状態におけるスラストの向上及び航走時の推進効率の向上を図るために、図8に示すような従来の19A翼形(点線C)と異なる翼形を有するノズル(実線A、一点鎖線B)を採用するノズルプロペラのような場合においては、ノズル内面の円筒面の部分(P1とP2の間の直線部分)も狭くなる傾向にあるので、プロペラ翼のチップの前後位置がノズルプロペラの性能に及ぼす影響がより大きなものとなる。これらの円筒面の部分が狭いノズルでは、プロペラ翼のチップの中心位置が後方にずれると、この円筒面の部分から外れる場合も生じる。従って、この前後方向の相対位置の問題は、ノズルプロペラにスキュープロペラを採用する際に重要な問題となる。
【特許文献1】特開昭57−994号公報
【特許文献2】特開2006−90750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、プロペラ翼と、このプロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置(スクリュー型ノズルプロペラ)において、プロペラに起因する起振力を低減させると共に、ボラードプルと航走時における推進効率の向上を図ることができる船舶の推進装置と船舶の推進装置の設計方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の船舶用推進装置は、プロペラ翼と、該プロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置において、前記プロペラ翼を20度以上60度以下のスキュー角度を有するプロペラ形状で形成すると共に、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置して構成される。
【0011】
このスキュー角度は図12に示したように、プロペラ翼を前方から見た際に、翼弦長の中央位置を結んだ曲線のプロペラ翼中心からの開き角αで示され、従来型のノズルプロペラでは、図9に示すようにほぼ0度、ノズルが無い一般のプロペラ翼の場合、通常は10度程度である。このスキュー角度を大きくするほどプロペラ翼に発生するキャビテーションを原因とする起振力の低減効果は大きくなるが、プロペラ効率が低下するため、実用的な範囲でスキュー角度が決められている。通常ノズルプロペラの場合は、20度〜30度が採用されることが多い。
【0012】
また、プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置の配置に関する、ノズルの前縁から上記の範囲は、図8に示すようなノズルの形状を考慮した、図7に示すような実験結果等から得られたものである。
【0013】
そして、このプロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置することは、次のような構成等とすることで実現できる。
【0014】
上記の船舶用推進装置において、前記プロペラ翼のプロペラボスへの取り付け位置を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置としたり、前記プロペラ翼を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成したりして構成する。このレーキ(Rake)とは、プロペラボスの中心を通る鉛直面とプロペラ翼の各半径位置の断面が交差する点を結んだ線である。通常レーキとはプロペラ翼の前後方向の倒れ方を表している。
【0015】
また、上記の目的を達成するための本発明の船舶用推進装置の設計方法は、スキュー角度が20度以上60度以下のスキュー型プロペラ翼と、該プロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置の設計方法であって、前記プロペラ翼のチップ位置での翼弦長の中央位置と前記ノズルの翼弦長の中央位置との相対位置との関係において、前記プロペラ翼におけるチップ位置での翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%〜55%後方の間に配置することを特徴とする方法である。
【0016】
また、上記の船舶用推進装置の設計方法において、前記プロペラ翼のプロペラボスへの取り付け位置を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置としたり、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成したりすることで、プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の船舶用推進装置及び船舶用推進装置の設計方法によれば、スキュー型のプロペラを採用するとボラード状態及び航走時の推進効率を向上できるだけでなく、ノズルプロペラを原因とする起振力を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して本発明の実施の形態の船舶用推進装置及び船舶用推進装置の設計方法について説明する。
【0019】
図1〜図6に示すように、この本発明の実施の形態の船舶用推進装置であるスキュー型のノズルプロペラ1A、1B、1Cは、プロペラボス10に固定されたプロペラ翼20Aと、このプロペラ翼20Aを囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズル30とを備えて構成される。
【0020】
このプロペラ翼20A、20B、20Cは、図1に示すように、20度以上60度以下のスキュー角度αを有するプロペラ形状で形成する。このスキュー角度αが、下限の20度より小さいとプロペラ翼に発生するキャビテーションを原因とする起振力の低減効果が小さく、通常ノズルプロペラでは20度〜30度の範囲で使われるが、起振力を小さくする必要があるとさらにスキュー角度は大きく採用される。しかし、上限の60度よりも大きいとプロペラ効率が極端に低下するため、実用的でなくなる。なお、図中の実線22は各半径方向毎の翼弦長の中央位置を示す線である。
【0021】
それと共に、図2、図3及び図5に示すように、プロペラ翼20A、20B、20Cのチップ21の位置における翼弦長の中央位置Pcを、ノズル30の前縁Nfからノズルコード長Ln(前縁Nfと後縁Neの距離)の42%後方Naとノズルコード長Lnの55%後方Nbの間の範囲Ra内に、言い換えれば、ノズル30の前後位置の中心位置Ncの前方8%Lnの位置Naから中心位置Ncの後方5%Lnの位置Nbの間の範囲Ra内に配置して構成される。
【0022】
そして、図2に示す第1の実施の形態のノズルプロペラ1Aでは、プロペラ翼20Aのチップ位置における翼弦長の中央位置Pcを、そのまま単純にプロペラ翼20Yを従来技術と同様に配置した場合(点線で図示)よりも、プロペラ翼20Aのプロペラボス10への取り付け位置を前方に移動させて配置する。この前方配置により、プロペラ翼20Aのチップ21の位置における翼弦長の中央位置Pcを範囲Ra内に配置する。
【0023】
このプロペラ翼20Aのチップ21の位置における翼弦長の中央位置Pcの配置に関する範囲Raは、図8に示すようなノズルの形状(A、B、C)を考慮した、図7に示す実験結果等の検討から得られたものである。この図7から、範囲Raでプロペラ効率(推進器効率)(KTT/10KQ)が高いことが分かる。このKTTはノズルプロペラのノズル及びプロペラに働く合計スラストのスラスト係数(推力係数)であり、KQはプロペラのトルク係数である。
【0024】
また、図3に示す第2の実施の形態のノズルプロペラ1Bでは、図4に示すように、プロペラ翼20Bを、プロペラチップ位置のレーキが負の値になるレーキ分布のプロペラ形状として形成する。この第2の実施の形態のノズルプロペラ1Bでは、図4に示すように、プロペラ半径方向で、プロペラ翼の一部分(図4では、プロペラ半径の約0.7倍より外側の部分)だけでレーキ(Rake)を負(−)側にしている。なお、図中のTmaxは最大翼厚を示す。
【0025】
また、図5に示す第3の実施の形態のノズルプロペラ1Cでは、図6に示すように、プロペラ翼20Cを、プロペラチップ位置のレーキが負の値になるレーキ分布のプロペラ形状として形成するが、図6に示すように、プロペラ半径方向に関して、殆ど全部でレーキ分布を設け、プロペラ翼の内側(図6ではプロペラ半径の約0.85倍より内側)では、レーキ(Rake)を正(+)側にし、その外側では、レーキを負(−)側にしている。この構成とすることにより、図5に示すように、前方に凸となる量が減少するので、図2,3のノズルプロペラ翼1A,1Bに比べて、プロペラボス長さを短縮できるというメリットが生じる。
【0026】
そして、本発明の船舶用推進装置の設計方法は、第1〜第3の実施の形態のノズルプロペラ1A、1B、1Cを設計する設計方法であり、次のように行われる。
【0027】
先ず、スキュー型プロペラ翼20A、20B、20Cに関しては、スキュー角度が20度以上60度以下のスキュー型プロペラ翼として形成する。また、翼形の断面形状を有するノズル30を、このプロペラ翼20A、20B、20Cを囲んで配置する。
【0028】
そして、プロペラ翼20A、20B、20Cのチップ21の位置での翼弦長の中央位置Pcとノズル30の翼弦長の中央位置Ncとの相対位置との関係において、プロペラ翼20A、20B、20Cにおけるチップ21の位置での翼弦長の中央位置Pcを、ノズル30の前縁Nfからノズルコード長Lnの42%後方〜55%後方の間の範囲Raに配置する。
【0029】
この中央位置Pcを範囲Raに配置するに際しては、図2に示すように、プロペラ翼20Aのプロペラボス30への取り付け位置を、従来技術の場合よりも前方に移動して、中央位置Pcが範囲Ra内に配置される位置とする。あるいは、プロペラ翼20B、20Cを、図3〜図6に示すように、プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成し、中央位置Pcがプロペラ根部に対して後方に形成されないようにして、中央位置Pcを範囲Ra内に配置する。
【0030】
このレーキ分布としては、図4に示すように、プロペラ翼20Bのチップ近傍の一部分(図4では、プロペラ半径の約0.7倍より外側の部分)だけでレーキを負(−)側にしたり、図6に示すように、プロペラ翼20Cのプロペラ半径方向に関して、殆ど全部でレーキ分布を設け、プロペラ翼20Cの内側(図6ではプロペラ半径の約0.85倍より内側)では、レーキを正(+)側にし、その外側では、レーキを負(−)側にしたりする。
【0031】
なお、プロペラ半径方向に関して、図6に示すように、プロペラ翼20Cの内側をレーキが正(+)側になるように構成とすることにより、図5に示すように、前方に凸となる量を減少させることができるので、図2及び図3のノズルプロペラ1A,1Bに比べて、プロペラボス長さを短縮できるというメリットを得ることができる。
【0032】
上記の船舶用推進装置及び船舶用推進装置の設計方法によれば、スキュー型のプロペラを採用して、ノズルプロペラを原因とする起振力を低減させることができ、しかも、ボラード状態及び航走時の推進効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のスキュー型プロペラを採用したノズルプロペラの構成を示す部分的な正面投影図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図4】図3のスキュー型プロペラのプロペラ前後方向に関してのプロペラのレーキ分布と最大翼厚分布を示す図である。
【図5】本発明に係る第3の実施の形態のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図6】図5のスキュー型プロペラのプロペラ前後方向に関してのプロペラのレーキ分布と最大翼厚分布を示す図である。
【図7】ノズルの前後方向に関しての、ノズルに対するプロペラチップの翼コード長の中心位置の変化とプロペラ効率との関係を示す図である。
【図8】ノズルの形状を示す側断面図である。
【図9】従来技術のノズルプロペラのスキュー無しのプロペラを採用したノズルプロペラの構成を示す部分的な正面投影図である。
【図10】図9のプロペラを採用したノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図11】図9のプロペラ前後方向に関してのプロペラのレーキ分布と最大翼厚分布を示す図である。
【図12】スキュー型プロペラを適用したノズルプロペラの構成を示す部分的な正面投影図である。
【図13】単純に図12のスキュー型プロペラを適用した場合のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【図14】他のスキュー型プロペラを適用したノズルプロペラの構成を示す部分的な正面投影図である。
【図15】単純に図14のスキュー型プロペラを適用した場合のノズルプロペラの構成におけるノズルとプロペラの相対的な前後位置関係を示す、ノズル断面を含む側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1A、1B、1C スキュー型のノズルプロペラ(船舶用推進装置)
10 プロペラボス
20A、20B、20C プロペラ翼(スキュー有り)
20X プロペラ翼(スキュー無し)
20Y、20Z プロペラ翼(スキュー有り)
21 チップ
22 翼弦長の中心を結ぶ線
30 ノズル
31 ノズル外面
32 ノズル内面
α スキュー角
Ln ノズルのノズルコード長
Na ノズルの前縁から42%Ln後方の位置(ノズルの中央位置より8%Ln前方の位置)
Nb ノズルの前縁から55%Ln後方の位置(ノズルの中央位置より5%Ln後方の位置)
Nc ノズルの中央位置
Ne ノズルの後縁
Nf ノズルの前縁
Pc プロペラ翼のチップ位置での翼弦長の中央位置
Ra 範囲(NaとNbの間)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラ翼と、該プロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置において、前記プロペラ翼を20度以上60度以下のスキュー角度を有するプロペラ形状で形成すると共に、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置したことを特徴とする船舶用推進装置。
【請求項2】
前記プロペラ翼のプロペラボスへの取り付け位置を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置としたことを特徴とする請求項1記載の船舶用推進装置。
【請求項3】
前記プロペラ翼を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の船舶用推進装置。
【請求項4】
スキュー角度が20度以上60度以下のスキュー型プロペラ翼と、該プロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置の設計方法であって、前記プロペラ翼のチップ位置での翼弦長の中央位置と前記ノズルの翼弦長の中央位置との相対位置との関係において、前記プロペラ翼におけるチップ位置での翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%〜55%後方の間に配置することを特徴とする船舶用推進装置の設計方法。
【請求項5】
前記プロペラ翼のプロペラボスへの取り付け位置を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とすることを特徴とする請求項4記載の船舶用推進装置の設計方法。
【請求項6】
前記プロペラ翼を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成することを特徴とする請求項4又は5記載の船舶用推進装置の設計方法。
【請求項1】
プロペラ翼と、該プロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置において、前記プロペラ翼を20度以上60度以下のスキュー角度を有するプロペラ形状で形成すると共に、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置したことを特徴とする船舶用推進装置。
【請求項2】
前記プロペラ翼のプロペラボスへの取り付け位置を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置としたことを特徴とする請求項1記載の船舶用推進装置。
【請求項3】
前記プロペラ翼を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の船舶用推進装置。
【請求項4】
スキュー角度が20度以上60度以下のスキュー型プロペラ翼と、該プロペラ翼を囲んで配置され、かつ、翼形の断面形状を有するノズルとを備えた船舶用推進装置の設計方法であって、前記プロペラ翼のチップ位置での翼弦長の中央位置と前記ノズルの翼弦長の中央位置との相対位置との関係において、前記プロペラ翼におけるチップ位置での翼弦長の中央位置を、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%〜55%後方の間に配置することを特徴とする船舶用推進装置の設計方法。
【請求項5】
前記プロペラ翼のプロペラボスへの取り付け位置を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とすることを特徴とする請求項4記載の船舶用推進装置の設計方法。
【請求項6】
前記プロペラ翼を、前記プロペラ翼のチップ位置における翼弦長の中央位置が、前記ノズルの前縁からノズルコード長の42%後方とノズルコード長の55%後方の間の範囲内に配置される位置とするように、プロペラ翼のレーキ分布を変更したプロペラ形状として形成することを特徴とする請求項4又は5記載の船舶用推進装置の設計方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−1212(P2009−1212A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165948(P2007−165948)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000144049)株式会社三井造船昭島研究所 (27)
【出願人】(503116899)新潟原動機株式会社 (61)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000144049)株式会社三井造船昭島研究所 (27)
【出願人】(503116899)新潟原動機株式会社 (61)
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