説明

良好な接着性を有するコーティング膜を形成する防食剤およびその非ガルバニック塗布のための方法

本発明は、ポリマー骨格に沿って、共有結合した親水性基の濃度に勾配を有する水分散性および/または水溶性ポリマーPを含む、金属基板用水性コーティング剤に関し、ポリマーPは、基板の腐食時に放出される金属イオンと、および/または基板表面とキレートを形成する共有結合した配位子A、およびそれ自身と、ポリマーP上の別の相補的官能基B’と、および/または架橋剤V上の別の官能基Bおよび/またはB’と共有結合を形成することができる架橋官能基Bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
種々の金属基板の無電解腐食抑制コーティングのための方法およびコーティング材が知られている。これらは、電界の印加が必要なアニオンまたはカチオン電着(それぞれAEDまたはCED)と比較して、利点、具体的には、より単純かつ低費用の作業、およびより短い作業時間という利点を提供する。無電解プロセスは、具体的には、電界の印加を必要とするプロセスを用いるよりも効果的に、対象基板の空洞または縁部をコーティングすることを可能にする。
【0002】
ACC(autophoretic chemical coating)プロセスとも称される無電解腐食抑制コーティングの場合、一般的にポリマーを使用するが、例として、アクリレートまたはスチレン/ブタジエンを含有するエマルジョンポリマーがあり、これらはアニオン的に安定化される。しかしながら、前述のAEDおよびCEDプロセスと比較すると、ACCプロセスは、沈着したコーティングが欠陥を呈し、それが基板を著しく腐食しやすくするという欠点を有する。したがって、ACCプロセスによって沈着したこの種のコーティングは、一般的に、クロムを含有する水性コーティング材ですすいで処理することにより、欠陥部の腐食抑制を向上させる。しかしながら、近年、クロムコーティング材は、環境適合性の点で大きな問題を有することが判明し、健康に非常に有害として分類されることになっている。したがって、目的は、腐食抑制コーティング中のクロムを完全に置き換えることである。
【0003】
クロムを含有しないコーティング材の開発の結果として、さらに、ランタニド元素の塩およびd元素の塩、ならびに有機塗膜形成成分を含むACCコーティング材も、クロムコーティング材のものと同程度の、非常に良好な腐食抑制を同様に確保することがわかった。国際特許出願第01/86016(A)号は、バナジウム成分と、ジルコニウム、チタン、モリブデン、タングステン、マンガン、およびセリウムからなる群から選択された少なくとも1つの金属を含むさらなる成分とを含む腐食防止剤を記載している。国際特許出願第01/86016(A)号のタイプの腐食防止剤の欠点は、ポリマーが不十分な塗膜形成をもたらすために、基板から形成された金属イオンが沈着された腐食抑制コーティングを通って移動する傾向にあることである。
【0004】
国際特許出願第99/29927(A)号は、その成分が、チタン(IV)および/またはジルコニウム(IV)のヘキサフルオロアニオン、バナジウムイオン、遷移金属イオン、およびリン酸および/またはホスホン酸を含む、クロムを含有しない水性腐食防止剤を記載している。国際特許出願第99/29927(A)号のタイプの腐食防止剤に付随する不利点は、ポリマーが不十分な塗膜形成をもたらすために、基板から形成された金属イオンが沈着された腐食抑制コーティングを通って移動する傾向にあること、また環境に危険な物質、具体的にはフッ化水素酸またはフッ化物などを使用することである。
【0005】
国際特許出願第96/10461(A)号は、その成分が、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、およびシリコンからなる群から選択された中心原子および少なくとも4個のフッ素原子配位子とを備えるアニオンと、有機ポリマー分散液とを含む水性腐食防止剤を記載している。国際特許出願第96/10461(A)号による発明の欠点は、基板表面上への腐食防止剤の沈着が、ポリマー分散粒子の凝集を伴い、それによりその表面の接触面積が小さくなることである。さらに、ラテックス粒子は、その分布が分子的に分散しているポリマーと比較して、三次元基板の空洞内または縁部上への拡散という状況で、移動速度が比較的低いという欠点を有する。
さらに、1マイクロメートル〜1mmの厚さのコーティングが形成され、対応するコーティングされる基板の単位面積当たりの材料消費をもたらす。さらなる欠点には、基板から形成された金属イオンが沈着された腐食抑制コーティングを通って移動する傾向にあること、また環境に危険な物質、具体的にはフッ化水素酸またはフッ化物などを使用することが含まれる。
【0006】
ドイツ特許第37 27 382号は、金属製表面の自動泳動(autophoretic)コーティングに適した、カルボン酸およびイソシアネートのエポキシドとの付加物の、クロムを含有しない水性分散液を包含する。分散形態において、かかる分散液は、300nm未満、好ましくは100〜250nmの粒径を有し、金属表面上への沈着後、60〜200℃の温度で架橋することができる。この種のラテックス粒子も、その分布が分子的に分散しているポリマーと比較して、三次元基板の空洞内または縁部上への拡散という状況で、比較的低い移動速度を有するという欠点を有する。さらに、1マイクロメートル〜1mmの厚さのコーティングが形成され、対応するコーティングされる基板の単位面積当たりの材料消費と、乾燥時に亀裂を生じる傾向とをもたらす。さらなる欠点には、基板から形成された金属イオンが沈着された腐食抑制コーティングを通って移動する傾向にあること、また環境に危険な物質、具体的にはフッ化水素酸またはフッ化物などを使用することが含まれる。
【0007】
ドイツ特許第103 30 413号は、金属製表面をコーティングするのに適し、ポリエチレンイミンに基づくカプロラクタムで改質されたポリイソシアネートを含みうるコーティング材を記載している。このコーティング材は、沈着コーティングによって塗布することができ、乾燥後、1〜300マイクロメートルの厚さを有する。このようにして作成されたコーティングも、同様に多量の材料を必要とし、また亀裂を生じる傾向がある。
【0008】
前述の従来技術を考慮して、本発明が対処した課題は、環境問題の観点からほぼ異論がなく、容易に技術的に達成できる作業によって保護すべき基板に塗布できる腐食防止剤を発見することであった。具体的には、腐食防止剤は、基板から形成された金属イオンの移動を実質的に防止すべきであり、また基板の縁部上および空洞内に効果的に沈着できるべきである。さらに、コーティングが乾燥時に亀裂を生じる傾向は、特に可能な限り低く抑えるべきである。さらに、外来金属イオンの影響は、非常に低く抑えるべきであり、比較的低量の使用材料で、効果的な腐食抑制を得るべきである。具体的には、極性の腐食性物質、例えば特に腐食性の塩などを金属基板の表面に添加することは、効果的に防止すべきである。さらに、化成コーティング材は、可能な限り多くの金属基板に対して効果的な保護を展開するべきであり、コーティングされる基板の酸化還元電位と実質的に無関係であるべきである。
【0009】
前述の課題を考慮して、ポリマー主鎖に沿って、共有結合した親水性基HGの濃度に勾配を有する、水分散性および/または水溶性ポリマーPであって、基板腐食の過程で放出される金属イオンと、および/または基板表面とキレートを形成する共有結合した配位子Aをさらに含有し、また、それ自身と、ポリマーPの別の官能基B’と、および/または別の官能基Bおよび/またはB’とともに、架橋剤Vとの共有結合を形成することができる架橋性官能基Bをさらに有するポリマーPを含む、水性コーティング材を発見した。
【0010】
また、ポリマー主鎖に沿って、共有結合した親水性基HGの濃度に勾配を有する水分散性および/または水溶性ポリマーPであって、基板腐食の過程で放出される金属イオンと、および/または基板表面とキレートを形成する共有結合した配位子Aをさらに含有し、また、それ自身と、ポリマーPの別の官能基B’と、および/または別の官能基Bおよび/またはB’とともに、架橋剤Vとの共有結合を形成することができる架橋性官能基Bをさらに有するポリマーPを含む、効果的な腐食抑制を特徴とする金属基板用水性コーティング材の自動泳動塗布のための方法であって、自動泳動塗布後のコーティング材の厚さは5〜900nmである方法も発見した。
【0011】
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、本発明の腐食防止剤の沈着前に、さらに上流のプロセスステップにおいて、基板を腐食防止剤Kで前処理する。
【0012】
本発明のコーティング材
本発明のコーティング材の水分散性および/または水溶性ポリマーPは、ポリマー主鎖に沿って、共有結合した親水性基HGの濃度に勾配を有し、基板の腐食時に放出される金属イオンとキレートを形成する配位子A、ならびにそれ自身と、および/または別の官能基Cとともに、架橋剤Vとの共有結合を形成することができる架橋性官能基Bを担持する。
【0013】
本発明において、水分散性または水溶性とは、ポリマーPが、水相中で平均粒径<50nm、好ましくは<35nm、より好ましくは<20nmの凝集体を形成する、あるいは分子的に分散した溶液中にあることを意味する。かかる凝集体は、その平均粒径が分散粒子と大きく異なるが、これは例えばドイツ特許第37 27 382号または国際特許出願第96/10461(A)号に記載されている。分子的に分散した溶液中のポリマーPは、一般的に分子量<100,000、好ましくは<50,000、より好ましくは<20,000ダルトンを有する。
ポリマーPからなる凝集体のサイズは、好ましくは、従来の方法で、ポリマーPへの親水性基HGの導入によって生じてもよい。
【0014】
本発明にとって不可欠なのは、親水性基HGが、ポリマー主鎖に沿ってその濃度に勾配を形成することである。勾配は、ポリマー主鎖に沿った親水性基の空間濃度の勾配によって画定される。この種の構造を有するポリマーPは、水性媒体中にミセルを形成することができ、コーティングされる基板の表面上に表面活性を有する。すなわち、コーティングされる表面で、本発明のコーティング材の界面エネルギーが減少される。
【0015】
勾配は、従来の方法で、好ましくは、ポリマーを構成し、またとりわけ親水性基および/または親水性基HGを生成できる基を担持するモノマー単位の適切な配列によって生成される。
【0016】
ポリマーP上の好ましい親水性基HGは、イオン性基、具体的には、硫酸基、スルホン酸基、スルホニウム基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスホニウム基、アンモニウム基、および/またはカルボキシル基など、および非イオン性基、具体的には、ヒドロキシル基、1級、2級、および/または3級アミン基、アミド基、および/またはさらなる基でエーテル化されていてもよい、オリゴアルコキシまたはポリアルコキシ置換基、例えば好ましくは、エトキシル化またはプロポキシ化置換基などである。親水性基HGは、下記の配位子Aおよび/または架橋性官能基BおよびB’と同一であってもよい。ポリマーP上の親水性基HGの数は、溶媒和能および基HGの立体アクセス性に依存し、当業者により同様に従来的に調整することができる。
【0017】
ポリマーPの骨格として使用できるポリマーは、それ自体が任意であり、平均分子量Mw500〜50,000ダルトンを有するポリマーが好ましく、分子量Mw700〜20,000ダルトンを有するポリマーがより好ましい。使用される好ましい骨格ポリマーは、ポリオレフィンまたはポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリアルキレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアルキレンアミン、ポリエーテル、ポリエステル、およびポリアルコールであり、特に部分的にアセタール化された、および/または部分的にエステル化されたものである。ポリマーPは、構造が線状、分岐状、および/または樹枝状であってもよい。特に好ましいポリマー骨格は、ポリアルキレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアルコール、また特にポリ(メタ)アクリレートである。
【0018】
ポリマーPは、好ましくは、酸性pH領域、具体的にはpH値<5、より好ましくはpH値<3において、加水分解に対して安定である。
【0019】
好適な配位子Aは、基板の腐食時に放出される金属イオンとキレートを形成することができる全ての基または化合物である。配位子Aは、一般的に、ポリマーP中にランダムに分布している。単座および/または多座の潜在的アニオン性配位子が好ましい。特に好ましい配位子は、以下のとおりである:
− 非官能化または官能化尿素および/またはチオ尿素、特にアシルチオ尿素、例えばベンゾイルチオ尿素など;
− 非官能化または官能化アミンおよび/またはポリアミン、具体的にはEDTAなど;
− 非官能化または官能化アミド、特にカルボキサミド;
− イミンおよびイミド、具体的にはイミン−官能化ピリジンなど;
− オキシム、好ましくは1,2−ジオキシム、例えば官能化ジアセチルジオキシムなど;
− 有機硫黄化合物、具体的には、非官能化または官能化チオール、例えばチオエタノールなど、チオカルボン酸、チオアルデヒド、チオケトン、ジチオカルバメート、スルホンアミド、チオアミド、また特に好ましくはスルホン酸塩;
− 有機リン化合物、具体的には、リン酸塩、より好ましくは(メタ)アクリレートのリン酸エステル、またホスホン酸塩、より好ましくはビニルホスホン酸、およびヒドロキシ−、アミノ−、およびアミド−官能化ホスホン酸塩;
− 非官能化または官能化有機ホウ素化合物、具体的にはホウ酸エステルなど;
− 非官能化または官能化ポリアルコール、具体的には炭水化物およびその誘導体、ならびにキトサン;
− 非官能化または官能化酸、具体的には二官能性および/またはオリゴ官能性酸、あるいは非官能化または官能化(ポリ)カルボン酸、具体的には金属中心にイオン的におよび/または配位的に結合しうるカルボン酸、好ましくは酸性基、あるいは二官能性またはオリゴ官能性酸を含む(ポリ)メタクリレート;
− 非官能化または官能化カルベン;
− アセチルアセトネート;
− 非官能化または官能化複素環、例えばキノリン、ピリジン、具体的にはイミン−官能化ピリジン、ピリミジン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、好ましくはメルカプトベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、あるいはインドール;
− 非官能化または官能化アセチレン;および
− フィチン酸およびその誘導体。
【0020】
ポリマーP上の好適な架橋性官能基Bは、それ自身と、および/または相補的官能基B’と共有結合を形成することができるものである。架橋性官能基Bは、一般的に、ポリマーP上にランダムに分布している。好ましくは、共有結合は、熱的におよび/または放射線への曝露によって形成される。特に好ましくは、共有結合は熱的に形成される。架橋性官能基BおよびB’は、ポリマーPの分子間に分子間ネットワークの形成をもたらす。放射線への曝露時に架橋する官能基Bおよび/またはB’は、活性化可能な結合、例えば炭素−水素、炭素−炭素、炭素−酸素、炭素−窒素、炭素−リン、または炭素−シリコン結合を含有し、これらは単結合または二重結合であってよい。炭素−炭素二重結合は、この状況で特に有利である。基Bとして特に好適な炭素−炭素二重結合は、以下のとおりである:
− 特に好ましくは、(メタ)アクリレート基
− エチルアクリレート基
− ビニルエーテル基およびビニールエステル基
− クロトン酸基および桂皮酸基
− アリル基
− ジシクロペンタジエニル基
− ノルボルニル基およびイソプレニル基
− イソプロペニル基またはブテニル基。
【0021】
熱架橋性官能基Bは、熱エネルギーへの曝露時に、それ自身と、あるいは好ましくは相補的な架橋性官能基B’と共有結合を形成する。
【0022】
特に好適な熱架橋性官能基BおよびB’は、以下のとおりである:
− 特に好ましくは、ヒドロキシル基
− メルカプト基およびアミノ基
− アルデヒド基
− アジド基
− 酸性基、特にカルボン酸基
− 無水酸基、特に無水カルボン酸基
− 酸エステル基、特にカルボン酸エステル基
− エーテル基
− 特に好ましくは、カルバメート基
− 尿素基
− エポキシド基
− 特に好ましくは、イソシアネート基、これは非常に好ましくは、本発明のコーティング材の焼き付け温度で脱ブロックする、および/または脱ブロックせずにその形成するネットワークに組み込まれるブロック剤と反応させてある。
【0023】
熱架橋性基Bと相補的な基B’との特に好ましい組み合わせは以下のとおりである:
− ヒドロキシル基と、イソシアネート基および/またはカルバメート基、
− アミノ基と、イソシアネート基および/またはカルバメート基、ならびに
− カルボン酸性基とエポキシド基。
【0024】
特に好ましいポリマーPは、以下の水性媒体中での1段階または多段階のフリーラジカル共重合によって製造可能な混合ポリマーPMを含む:
a)(a1)は、少なくとも1つの親水性基HGを有するオレフィン性不飽和モノマー(a11)からなる群から、少なくとも配位子基Aを有するオレフィン性不飽和モノマー(a12)からなる群から、および少なくとも1つの架橋性基Bを有するオレフィン性不飽和モノマー(a13)からなる群からの、それぞれの場合に少なくとも1つのモノマーを含む、オレフィン性不飽和モノマー(a1)および(a2)、
および
b)オレフィン性不飽和モノマー(a1)および(a2)と異なる、一般式I
12C=CR34 (I)
[式中、
基R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ互いに独立して、水素原子、あるいは置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アルキルアリール、シクロアルキルアリール、アリールアルキル、またはアリールシクロアルキル基であるが、ただし可変部R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくとも2つは、置換または非置換のアリール、アリールアルキル、またはアリールシクロアルキル基、特に置換または非置換のアリール基である]
の少なくとも1つのオレフィン性不飽和モノマー。
【0025】
好適な親水性モノマー(a11)は、少なくとも1つの親水性基(HG)を含むが、これは上述のように、好ましくは硫酸基、スルホン酸基、スルホニウム基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスホニウム基、アンモニウム基、および/またはカルボキシル基、ならびにヒドロキシル基、1級、2級、および/または3級アミン基、アミド基、および/またはさらなる基でエーテル化されていてもよい、オリゴアルコキシまたはポリアルコキシ置換基、好ましくは、エトキシル化またはプロポキシ化置換基などからなる群から選択される。
【0026】
非常に好適なモノマー(a11)の例には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸、およびそれらの塩、好ましくはアクリル酸およびメタクリル酸、オレフィン性不飽和のスルホン酸、硫酸、リン酸、またはホスホン酸、それらの塩および/またはそれらの部分エステルがある。また、オレフィン性不飽和のスルホニウムおよびホスホニウム化合物も非常に好適である。1分子につき少なくとも1つのヒドロキシル基またはヒドロキシメチルアミノ基を担持し、酸性基を本質的に含まないモノマー(a11)、具体的にはα,β−オレフィン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルなど、例えば、ヒドロキシアルキル基が最大20個の炭素原子を含む、アクリル酸、メタクリル酸、およびエタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなど、好ましくは、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチルアクリレートおよびメタクリレートなど、α,β−オレフィン性不飽和カルボン酸およびα,β−不飽和カルボキサミドのアミノアルキルエステルのホルムアルデヒド付加物、例えばN−メチロール−およびN,N−ジメチロール−アミノエチルアクリレート、−アミノエチルメタクリレート、−アクリルアミド、および−メタクリルアミドなども非常に好適である。アミン基を含有する好適なモノマー(a11)には、以下が含まれる:2−アミノエチルアクリレートおよびメタクリレート、N−メチル−およびN,N−ジメチル−アミノエチルアクリレート、またはアリルアミン。アミド基を含有する使用するモノマー(a11)は、好ましくは、α,β−オレフィン性不飽和カルボン酸のアミド、例えば(メタ)アクリルアミド、好ましくはN−メチル−またはN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドである。使用するエトキシル化またはプロポキシ化モノマー(a11)は、その鎖長が好ましくは2〜20のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド構造単位である、ポリエチレンオキシド単位および/またはポリプロピレンオキシド単位のアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルであることが好ましい。
【0027】
親水性モノマー(a11)を選択する際、不溶性塩および高分子電解質複合体の形成を確実に防止するために注意を要する。
【0028】
非常に好適なモノマー(a12)の例には、上述の配位子Aを置換基として含有するオレフィン性不飽和モノマーがある。好適なモノマー(a12)の例には、エステルおよび/またはアミド残基中に配位子Aを含有する、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸のエステルおよび/またはアミド、特にアクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルおよび/またはアミドがある。配位子Aとして、非官能化または官能化尿素および/またはチオ尿素置換基、非官能化または官能化アミンおよび/またはポリアミン置換基、イミンおよびイミド置換基、具体的にはイミン−官能化ピリジンなど、オキシム置換基、好ましくは1,2−ジオキシム、例えば官能化ジアセチルジオキシムなど、有機硫黄置換基、具体的には、非官能化または官能化チオールから誘導可能なもの、例えばチオエタノール、チオカルボン酸、チオアルデヒド、チオケトン、ジチオカルバメート、スルホンアミド、チオアミド、および特に好ましくはスルホン酸塩、有機リン置換基、具体的にはリン酸塩から誘導可能なもの、より好ましくは(メタ)アクリレートのリン酸エステル、またホスホン酸塩、より好ましくはビニルホスホン酸、およびヒドロキシ−、アミノ−、およびアミド−官能化ホスホン酸塩、非官能化または官能化有機ホウ素置換基、具体的にはホウ酸エステルから誘導可能なものなど、非官能化または官能化ポリアルコール置換基、具体的には炭水化物およびその誘導体から誘導可能なものなど、またキトサン、非官能化または官能化酸置換基、具体的には二官能性および/またはオリゴ官能性酸から誘導可能なものなど、または非官能化または官能化(ポリ)カルボン酸、具体的には、金属中心にイオン的におよび/または配位的に結合しうるカルボン酸など、好ましくは酸性基、あるいは二官能性またはオリゴ官能性酸を有する(ポリ)メタクリレート、非官能化または官能化カルベンを有する置換基、アセチルアセトネート、非官能化または官能化アセチレン、またフィチン酸およびその誘導体を使用することが好ましい。
【0029】
非常に好適なモノマー(a13)の例には、上述の配位子Bを置換基として含有するオレフィン性不飽和モノマーがある。好適なモノマー(a13)の例には、エステルおよび/またはアミド残基中に架橋性基Bを含有する、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸の、特にアクリル酸のおよび/またはメタクリル酸のエステルおよび/またはアミドがある。特に好ましい架橋性基Bは、ヒドロキシル基、また例えばメルカプト基およびアミノ基、アルデヒド基、アジド基、酸性基、特にカルボン酸基、無水酸基、特に無水カルボン酸基、酸エステル基、特にカルボン酸エステル基、エーテル基、より好ましくは、カルバメート基、例として尿素基、エポキシド基、また特に好ましくはイソシアネート基があり、これは非常に好ましくは、本発明のコーティング材の焼き付け温度で脱ブロックする、および/または脱ブロックせずにその形成するネットワークに組み込まれるブロック剤と反応させてある。
【0030】
モノマー(a11)は、上述のポリマー主鎖に沿った親水性基HGの勾配を生成するように、ポリマーPM中に配列される。これは一般的に、水性反応媒体中の異なるモノマー(a11)、(a12)、(a13)、(a2)、および(b)の特異的な共重合パラメータによって生じる。前述のモノマー(a12)および(a13)は、好ましくは、ポリマー主鎖に沿ってランダムに配列される。上記の一覧に例示したモノマー(a11)、(a12)、および(a13)から、親水性基HG、配位子A、および架橋性基Bが部分的または完全に同一であってもよいことは明らかである。この場合、配位子Aおよび架橋性官能基Bも一般的にポリマー主鎖に沿って勾配を示す。
【0031】
好ましいオレフィン性不飽和コモノマー(a2)の例は、以下のとおりである。
(1)実質的に酸性基を含有しないオレフィン性不飽和酸のエステル、例えば、アルキル基に最大20個の炭素原子を有する、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタクリル酸、ビニルホスホン酸、またはビニルスルホン酸のアルキルまたはシクロアルキルエステルなど、特にメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、ステアリル、およびラウリルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、また混合アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばC13(メタ)アクリレート(平均13個のC原子を有する線形アルキル基);
(2)分子中に5〜18個の炭素原子を有するα−分岐モノカルボン酸のビニールエステル、例えば、VeoVa(登録商標)の商標名で販売されるVersatic(登録商標)酸のビニールエステル;
および
(3)ビニル芳香族炭化水素、例えばスチレン、ビニルトルエン、またはα−アルキルスチレン、特にα−メチルスチレン。
【0032】
モノマー(b)としては、一般式Iの化合物を使用する。一般式Iにおいて、基R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ互いに独立して、水素原子、あるいは置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アルキルアリール、シクロアルキルアリール、アリールアルキル、またはアリールシクロアルキル基であるが、ただし可変部R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくとも2つは、置換または非置換のアリール、アリールアルキル、またはアリールシクロアルキル基、特に置換または非置換のアリール基である。好適な基R1、R2、R3、およびR4の例は、例えばドイツ特許第198 58 708号にさらに記載されている。
【0033】
本発明によって特に好ましく使用するモノマー(b)の例には、ジフェニルエチレン、ジナフタレンエチレン、シス−またはトランス−スチルベン、ビニリデンビス(4−N,N−ジメチルアミノベンゼン)、ビニリデンビス(4−アミノベンゼン)、またはビニリデンビス(4−ニトロベンゼン)がある。反応計画および得られるコポリマー(PM)の特性に関して、ジフェニルエチレンが特に有利であるため、本発明によって非常に好ましく使用される。
【0034】
混合ポリマーPMを製造するために、好ましくは、全てのモノマーの混合物を同時に水相に計量供給すると、オリゴマーまたはポリマーの形成の結果として、初期にはポリマー鎖に沿って高濃度の親水性基を有し、さらなる連鎖成長の過程でポリマー鎖に沿った親水性基の数が減少する、ポリマー鎖に沿った親水性基の勾配が確立される。また、ポリマー鎖に沿った親水性基の濃度勾配は、(a11)、(a12)、(a13)、(a2)、および(b)のモノマー混合物の時間的および/または空間的に異なる組成物を自体公知の方法で供給することによって、実現することができる。混合ポリマーPMの製造に関して、さらにドイツ特許第198 58 708号、ドイツ特許第102 06 983号、およびドイツ特許第102 56 226号の教示も参照することができる。
【0035】
熱的におよび/または放射線への曝露によって架橋する、基Bおよび/またはB’を含有する好適な架橋剤Vは、原則として、当業者に周知の全ての架橋剤である。分子量<20,000ダルトン、より好ましくは<10,000ダルトンを有する、低分子量またはオリゴマーの架橋剤Vが好ましい。架橋性基Bおよび/またはB’を担持する架橋剤Vの骨格は、構造が線状、分岐、および/または超分岐であってもよい。分岐および/または超分岐構造体、特に例えば国際特許出願第01/46296(A)号に記載されるようなものが好ましい。
【0036】
架橋剤Vは、好ましくは酸性pH領域、具体的にはpH値<5、より好ましくはpH値<3において、加水分解に対して安定である。特に好ましい架橋剤Vは、ポリマーPの架橋性基と反応して共有結合を形成する、上述の架橋性基Bおよび/またはB’を担持する。特に好ましい架橋剤Vは、熱的に、また所望であればさらに放射線への曝露によって架橋する、基Bおよび/またはB’を有するものである。本発明の別の特に好ましい一実施形態において、架橋剤Vは、架橋性基Bおよび/またはB’と同様に配位子A’を担持するが、これはポリマーPの配位子Aと同一であっても、および/または異なってもよい。架橋剤Vの特に好適な架橋性官能基BおよびB’は以下のとおりである:
− 特に、ヒドロキシル基
− 特に、アルデヒド基
− アジド基
− 無水酸基、特に無水カルボン酸基
− カルバメート基
− 尿素基
− 特にイソシアネート基、これは非常に好ましくは、本発明のコーティング材の焼き付け温度で脱ブロックする、および/または脱ブロックせずに形成するネットワークに組み込まれるブロック剤と反応させる
− (メタ)アクリレート基
− ビニル基
またはそれらの組み合わせ。
【0037】
特に好ましい架橋剤Vは、少なくとも部分的にブロックされ、また配位子Aをさらに担持する、分岐および/または超分岐ポリイソシアネートである。
【0038】
本発明の別の一実施形態では、架橋剤Vは、ポリマーPの配位子Lと共有結合形成することができる、基Bおよび/またはB’を担持する。
【0039】
本発明のコーティング材に使用する連続相は、水、好ましくは脱イオン水および/または蒸留水である。さらに、連続相中に、主として水混和性の溶媒が、連続相に基づき30質量%、好ましくは25質量%までの割合で存在することも可能である。好ましい水混和性溶媒は、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、およびN−エチルピロリドンである。特に本発明のコーティング材を使用して、すでに塗装された基板上の塗料の損傷修復する場合、水混和性溶媒を、連続相に基づき1〜30質量%の割合、好ましくは2〜25質量%の割合で使用する。
【0040】
使用する別の好ましい成分は、酸化が可能な少なくとも1つの酸であり、これは本発明のコーティング材のpHが好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4となるように使用される。特に好ましい酸は、酸化性鉱酸、具体的には、硝酸、亜硝酸、硫酸、および/または亜硫酸などからなる群から選択される。必要な場合、pHを調整するために、緩衝媒体、例えば強塩基および弱酸、具体的には酢酸アンモニウムなどの塩などを使用することができる。本発明の特に好ましい一実施形態において、本発明のコーティング材は、そのカチオン性構成物質として、ランタニド金属カチオンおよび/またはd金属カチオンを有する塩をさらに含む。好ましいランタニド金属カチオンは、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、および/またはジスプロシウムカチオンである。ランタン、セリウム、およびプラセオジムカチオンは、特に好ましい。ランタニド金属カチオンは、一価、二価、および/または三価の酸化状態であってよく、三価の酸化状態が好ましい。
好ましいd金属カチオンは、チタン、バナジウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、および/またはイリジウムカチオンである。d元素カチオンとしての検討から除外されるのは、あらゆる酸化状態のクロムカチオンである。バナジウム、マンガン、タングステン、モリブデン、および/またはイットリウムカチオンは、特に好ましい。d元素カチオンは、一価から六価までの酸化状態で存在してよいが、三価から六価までの酸化状態が好ましい。
【0041】
本発明のコーティング材を塗布するための方法
本発明のコーティング材を塗布する前に、本発明の好ましい一実施形態では、好ましくは洗剤および/またはアルカリ性洗浄剤を用いて、基板の特に油性および脂肪性の残留物を洗浄する。本発明の別の好ましい変形形態では、洗剤および/またはアルカリ性洗浄剤による洗浄のあと、本発明のコーティング材の塗布前に、水ですすぐ。基板表面から沈着物および/または化学的に改質された膜、特に酸化膜を除去するために、本発明の別の好ましい実施形態では、すすぎステップの前に、例えば研磨媒体を用いて、および/または例えば脱酸素洗浄剤を用いた表面膜の化学的除去によって、表面の機械的清浄をおこなう。
【0042】
このように前処理した基板を本発明のコーティング材と接触させる。これは好ましくは、基板を本発明のコーティング材を含む浴に浸漬する、あるいは通すことによって実施される。本発明のコーティング材中の基板の滞留時間は、好ましくは1秒〜15分、より好ましくは10秒〜10分、非常に好ましくは30秒〜8分となる。本発明のコーティング材を含む浴の温度は、好ましくは20〜90℃、より好ましくは25〜80℃、非常に好ましくは30〜70℃である。
【0043】
本発明のコーティング材を用いて作成されたコーティングの厚さは、乾燥ステップ前、好ましくは5〜900nm、特に好ましくは10〜800nmであり、これは防食効果を踏まえて、使用する材料を著しく減らすことを可能にする。
【0044】
本発明のコーティング材を用いた基板の処理後、好ましくは、基板およびコーティング材を含む系を約30〜200℃、具体的には100〜180℃の温度で乾燥させる。乾燥装置は、本発明のコーティング材の効果にとってほぼ重要ではないとみなすことができる。架橋性基Bおよび/またはB’が少なくとも部分的に放射線硬化性である場合、本発明のコーティング材のコーティングは、好ましくは当業者に周知の方法で、化学放射によっておよび/または電子線によって放射線照射され、この放射線照射は、適切な場合には、熱処理に加えて実施される。
【0045】
本発明のコーティング材は、驚くべきことに、広範な基板上に使用することができ、基板の酸化還元電位とはほぼ無関係である。
好ましい基板材料は、亜鉛、鉄、マグネシウム、およびアルミニウム、またそれらの合金であり、前記の合金は、好ましくは前述の金属を少なくとも20質量%含有する。基板は、好ましくは、例えば自動車、建築、および機械工学産業で使用されているものと同様の金属板として形成される。本発明のコーティング材でコーティングされた板は、特に成形板、および板のコイルコーティングに関連して使用される。
本発明の別の実施形態では、本発明のコーティング材は、上述の板の切断端部をシーリングするため、特にすでにコーティングされた板の切断端部をシーリングするために使用される。
【0046】
本発明の別の実施形態では、上述の基板は、本発明のコーティング材が沈着される前に、同様に無電解沈着が可能なさらなる腐食防止剤でコーティングされる。本発明のコーティング材によるコーティング、および未コーティング基板の双方に対して有効な接着性を示す無機構成物質を有する腐食防止剤が好ましい。この種の無機腐食防止剤は、例えば、欧州特許出願第1 217 094(A)号、欧州特許出願第0 534 120(A)号、US−A−5,221,371号、および国際特許出願第01/86016(A)号に記載されている。
【0047】
本発明の特に好ましい一実施形態では、本発明のコーティング材の塗布は、別個のステップにおいて、pH1〜5を有し、そのカチオンとしてランタニド金属および/またはクロムを除くd元素金属、および/またはそのアニオンとしてクロム含有メタレートを除くd元素メタレートを有する少なくとも1つの化合物AAと、リン酸および/またはクロム酸を除く酸化が可能な少なくとも1つの酸BBとを有する水性腐食防止剤Kの塗布のあとにおこなわれる。
【0048】
塩形成性成分AAは、そのカチオン性構成物質として、ランタニド金属カチオンおよび/またはd金属カチオンを有する。好ましいランタニド金属カチオンは、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、および/またはジスプロシウムカチオンである。ランタン、セリウム、およびプラセオジムカチオンは特に好ましい。
【0049】
ランタニド金属カチオンは、一価、二価、および/または三価の酸化状態であってよく、三価の酸化状態が好ましい。好ましいd金属カチオンは、チタン、バナジウム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、および/またはイリジウムカチオンである。d元素カチオンとしての検討から除外されるのは、あらゆる酸化状態のクロムカチオンである。バナジウム、マンガン、タングステン、モリブデン、および/またはイットリウムカチオンは、特に好ましい。d元素カチオンは、一価から六価までの酸化状態で存在してよいが、三価から六価までの酸化状態が好ましい。
【0050】
前述の成分AAのカチオンの塩は、好ましくは、非常に良好な水可溶性を有する。溶解度積SP、つまり[カチオン]n×[アニオン]mが、>10-8×mol(n+m)/l(n+m)の[カチオン]n[アニオン]m塩(nおよびmはそれぞれ≧1)は特に好ましく、溶解度積SP>10-6×mol(n+m)/l(n+m)を有する塩が非常に好ましい。本発明の特に好ましい一実施形態では、腐食防止剤中の塩(A)の濃度は、10-1〜10-4mol/l、具体的には5×10-1〜10-3mol/lである。d元素カチオンとともに塩AAを形成するアニオンは、好ましくは、前述の溶解度積SPの条件が満たされるように選択される。元素周期表の第6、7、および8族遷移族元素の酸化性酸のアニオン、および元素周期表の第5または6族主族元素の酸化性酸のアニオン(リンおよびクロムの酸化性酸のアニオンを除く)を使用することが好ましく、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、および/または硫酸塩の使用が特に好ましい。さらなる好ましいアニオンは、ハロゲン化物、具体的には塩化物および臭化物などである。
【0051】
本発明の別の好ましい実施形態では、d元素カチオンが、単座および/または多座の潜在的アニオン性配位子との複合体の形態で存在してもよい。好ましい配位子は、非官能化または官能化ターピリジン、非官能化または官能化尿素および/またはチオ尿素、非官能化または官能化アミンおよび/またはポリアミン、具体的にはEDTAなど、イミン、具体的にはイミン−官能化ピリジンなど、有機硫黄化合物、具体的には非官能化または官能化チオール、チオカルボン酸、チオアルデヒド、チオケトン、ジチオカルバメート、スルホンアミド、チオアミド、また特に好ましくはスルホン酸塩、非官能化または官能化有機ホウ素化合物、具体的にはホウ酸エステルなど、非官能化または官能化ポリアルコール、具体的には炭水化物およびその誘導体、ならびにキトサン、非官能化または官能化酸、具体的には二官能性および/またはオリゴ官能性酸、非官能化または官能化カルベン、アセチルアセトネート、非官能化または官能化アセチレン、非官能化または官能化複素環、例えばキノリン、ピリジン、具体的にはイミン−官能化ピリジン、ピリミジン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、好ましくはメルカプトベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、あるいはインドール、非官能化または官能化カルボン酸、具体的には金属中心にイオン的におよび/または配位的に結合しうるカルボン酸、およびフィチン酸およびその誘導体である。
特に好ましい配位子は、フィチン酸、その誘導体、およびスルホン酸塩であり、これは官能化されていてもよい。
【0052】
本発明の別の実施形態では、塩AAは、そのアニオンとしてd元素メタレートを含有し、これはd元素カチオンとともに、あるいは単独で、塩AAを形成することができる。メタレートに好ましいd元素は、バナジウム、マンガン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、および/またはタングステンである。バナジウム、マンガン、タングステン、および/またはモリブデンが、特に好ましい。d元素メタレートとしての検討から除外されるのは、あらゆる酸化状態のクロム酸塩である。特に好ましいd元素メタレートは、オキソアニオン、具体的にはタングステン酸塩、過マンガン酸塩、バナジウム酸塩、および/またはモリブデン酸塩である。d元素メタレートが単独で塩AAを形成する場合、すなわちランタニド金属カチオンおよび/またはd金属カチオンを用いない場合も、かかる塩の好ましい溶解度積SPに関する上述の説明は当てはまる。かかる塩の好ましいカチオンは、有機基で置換されたまたは置換されていないアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、および/またはスルホニウムイオン;アルカリ金属カチオン、具体的には、リチウム、ナトリウム、および/またはカリウムなど;およびアルカリ土類金属カチオン、具体的にはマグネシウムおよび/またはカルシウムである。特に好ましいイオンは、有機基により置換または非置換のアンモニウムイオン、およびアルカリ金属カチオンであり、これらは塩AA側の特に高い溶解度積SPを確保する。
【0053】
腐食防止剤Kの成分BBとして、酸化可能な少なくとも1つの酸を使用するが、これは腐食防止剤のpHが1〜5、好ましくは2〜4となるように使用される。好ましい酸BBは、酸化性鉱酸、具体的には、硝酸、亜硝酸、硫酸、および/または亜硫酸などからなる群から選択される
pHを設定するために、必要な場合には、緩衝媒体、例えば強塩基および弱酸、具体的には酢酸アンモニウムなどの塩などを使用することができる。
【0054】
本発明のコーティング材に使用する連続相は、水、好ましくは脱イオン水および/または蒸留水である。
【0055】
本発明の好ましい一実施形態では、腐食防止剤Kの塗布前に、好ましくは洗剤および/またはアルカリ性洗浄剤を用いて、基板の特に油性および脂肪性の残留物を洗浄する。本発明の別の好ましい変形形態では、洗剤および/またはアルカリ性洗浄剤による洗浄のあと、腐食防止剤Kの塗布前に、水ですすぐ。本発明の別の好ましい実施形態では、基板表面から沈着物および/または化学的に改質された膜、特に酸化膜を除去するために、すすぎステップの前に、例えば研磨媒体を用いて、および/または例えば脱酸素洗浄剤を用いた表面膜の化学的除去によって、表面の機械的清浄をおこなう。
【0056】
このように前処理した基板を腐食防止剤Kと接触させる。これは好ましくは、基板を腐食防止剤Kを含む浴に浸漬する、あるいは通すことによって実施される。腐食防止剤K中の基板の滞留時間は、好ましくは1秒〜10分、好ましくは10秒〜8分、より好ましくは30秒〜6分となる。腐食防止剤Kを含む浴の温度は、好ましくは25〜90℃、より好ましくは30〜80℃、非常に好ましくは35〜70℃である。
【0057】
基板を本発明の腐食防止剤で処理した後、ブロー乾燥によって、または温度約30〜200℃での乾燥によって、基板および腐食防止剤を含む系の乾燥をおこなうことが好ましい。乾燥温度、および乾燥の種類または乾燥装置は、腐食防止剤Kの有利な効果にとってほぼ重要ではないとみなすことができる。
【0058】
好ましい方法の第2のステップでは、腐食防止剤Kでコーティングされた基板を本発明のコーティング材でコーティングする。これは好ましくは、コーティングされた基板を本発明のコーティング材を含む浴に浸漬する、または通すことによって実施される。本発明のコーティング材中の基板の滞留時間は、好ましくは1秒〜15分、より好ましくは10秒〜10分、非常に好ましくは30秒〜8分となる。本発明のコーティング材を含む浴の温度は、好ましくは20〜90℃、より好ましくは25〜80℃、非常に好ましくは30〜70℃である。
本発明のコーティング材を用いて作成されたコーティングの厚さは、乾燥ステップ前、好ましくは5〜900nm、特に好ましくは10〜800nmであり、これは防食効果を踏まえて、使用する材料を著しく減らすことを可能にする。
【0059】
本発明のコーティング材を用いて基板を処理した後、基板ならびに腐食防止剤Kおよび本発明のコーティング材のコーティングを含む系の乾燥を約30〜200℃、具体的には100〜180℃の温度でおこなうことが好ましい。乾燥装置は、本発明のコーティング材の有利な効果にとってほぼ重要ではないとみなすことができる。架橋性基Bおよび/またはB’が少なくとも部分的に放射線硬化性である場合、本発明のコーティング材のコーティングの放射線照射は、好ましくは当業者に周知の方法で、化学放射および/または電子線を用いておこない、適切な場合にはこれは熱処理に加えて実施される。
【0060】
下記の実施例は、本発明をさらに説明することを目的とする。
【0061】
実施例
実施例1 腐食防止剤Kを有する第1槽の製造
水1リットルに、モリブデン酸アンモニウム四水和物1.77g(0.01モル)を溶解する。この溶液を硝酸を用いてpH=2.5に調整する。前述のpHを設定するために、所望であれば、アンモニア水溶液での逆の緩衝を用いる。
【0062】
実施例2a 本発明のコーティング材用のポリマー成分PMの合成
4kg鋼鉄製反応器にDI水1016.9gを充填し、この初期充填物を90℃まで加熱する。続いて、90℃の一定温度で、3つの別個の供給流を同時に同一速度で計量供給する。供給流1は、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド90.0g、メチルメタクリレート240.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート120.0g、メタクリルエステル13(メタクリル酸エステル、直鎖飽和アルコールのC原子の平均数が13個;CAS No. 90 551−76−1;供給元:Degussa、Roehm GmbH、Darmstadt)120.0g、およびジフェニルエチレン30.0gからなる。供給流2として添加するのは、85%濃度のリン酸61.0gおよびDI水104.7gからなる溶液165.7gである。供給流3は、ペルオキシ二硫酸アンモニウム45.0gをDI水105.0gに加えた溶液からなる。供給流1および2は4時間かけて、供給流3は4.5時間かけて計量供給する。添加終了後に、90℃で2時間の後重合をおこなう。得られた分散液は、固体含有量37質量%を有する。
【0063】
実施例2b 本発明のコーティング材用の架橋剤Vの合成
水50ml中の塩化セリウム(III)七水和物3.1g(0.008モル)を初期充填物として導入する。溶液を水50mlに加えた4−ヒドロキシ桂皮酸4.1g(0.025モル)と水酸化ナトリウム1g(0.025モル)とから製造し、塩酸を用いてpH=7.9に調整する。この溶液をセリウム溶液にゆっくりと添加し、セリウム溶液のpHが6を上回って上昇しないようにする。沈殿物をエタノールと水とで洗浄する。
【0064】
このセリウム複合体1.7g(0.003モル)をジメチルピラゾールで75%ブロックされた分岐ポリイソシアネート(Bayer AG製Bayhydur VP LS 2319)9.1g(NCO含有量2.5%)と、酢酸エチル80.1gおよびOH−官能性ジプロピレントリアミン(Huntsmann製Jeffcat−ZR 50)0.7g中で、40℃で5時間反応させる。生成物は、さらに精製せずに使用する。
【0065】
実施例2 本発明のコーティング材を有する第2槽の製造
1リットルの水に、実施例2aによるポリマー成分P 3gと、実施例2bによる架橋剤V 2gとを溶解する。この溶液を硝酸を用いてpH=2.5に調整する。前述のpHを設定するために、所望であれば、アンモニア水溶液での逆の緩衝を用いる。
【0066】
実施例3 腐食防止剤Kおよび本発明のコーティング材による基板のコーティング
基板(亜鉛メッキされた鋼板)を洗浄溶液(Henkel製Ridoline C72)を用いて55℃で5分間洗浄し、その後蒸留水ですすぐ。
【0067】
続いて、蒸留水ですすいだ板を直ちに実施例1による腐食防止剤Kの第1槽に45℃で4分間浸漬する。その後、コーティングした板を蒸留水ですすぎ、窒素でブロー乾燥する。
その直後に、板を実施例2による本発明の腐食防止剤の第2槽に、35℃で5分間浸漬する。λ/4領域の可視光において、不可視ないし乳白光を発するコーティングが形成される。その後、コーティングした板を蒸留水ですすぎ、窒素でブロー乾燥する。続いて板を150℃で30分間乾燥させる。
【0068】
このようにコーティングした板および以下の参照試料を、全ての板に自由縁が得られるように、板せん断機を用いて切断する。
【0069】
本発明に使用する参照物は、Gardobond 958 54(Chemetall GmbH:リン酸塩処理をおこなったあと、六フッ化ジルコニウム溶液ですすいだ亜鉛メッキされた鋼板)である。
【0070】
実施例4
実施例3のとおりにコーティングされた基板に対する、濃度3%の塩化ナトリウム水溶液を用いた促進腐食試験
自由脱イオン水中に3%塩化ナトリウムを含む溶液を使用する。ここで使用できる基板は、鋼鉄、亜鉛メッキされた鋼、または亜鉛合金である。アルミニウムおよびその合金の場合、塩化ナトリウム溶液をさらに酢酸を用いてpH=3に調整する。試料(3×3cm)をこの溶液170mlに浸漬し、ほぼ100%の湿度でデシケーター内に保管する。湿潤雰囲気は、完全脱イオン水を入れた2本の洗浄瓶を通過させた脂肪を含まない圧縮空気によって発生させ、デシケーターに流す。この設定は、一定の大気湿度と一定の二酸化炭素含量を確実にし、温度を25℃に維持する。浸漬前に、試料を分析天秤で計量する。未処理の参照用の板(鋼鉄、亜鉛メッキされた鋼)をエタノール中の超音波浴で5分間洗浄する。24時間の保管後、板を溶液から取り出し、使い捨てピペットを用いて、ガラスビーカーの上で、取り出した濃度3%の塩化ナトリウム溶液(試料の片面当たり塩化ナトリウム溶液約10ml)ですすぐ。続いて板を窒素でブロー乾燥させ、その後50℃で15分間乾燥させて、計量する。続いて、板を同じ濃度の新鮮な塩化ナトリウム溶液に中に再懸濁する。あらゆる沈殿物を溶解するために、濃度32%の塩酸1mlを使用済みの塩化ナトリウム溶液に添加する。得られる透明溶液をICP−OES(誘導結合プラズマ−発光分析)によって、基板金属(Zn、Fe、Al、Mg)について検定する。上述の手順は、24時間、72時間、96時間、および168時間後に繰り返す。測定値は、二重判定によって検証する。
【0071】
腐食試験の評価:
a)浸漬溶液のICP−OESデータ
ICP−OESデータは、試料の面積に対して標準化する。これらのデータは、線形プロットを生成する。腐食反応速度の線形性により、グラフの傾斜によって様々なコーティングを比較することが可能である。ICP−OESデータは、単位面積当たりおよび単位時間当たりの基板の溶解を再現するため、いかなる特定のコーティングの場合にも可能な、腐食速度の直接の指標である。
b)試料の計量
計量は、さらにコーティングがどの程度まで表面を不動態化させる、あるいは不動態化させないかの可能性についての情報を提供する。このために、質量低下をモル濃度に換算し、試料の面積に対して標準化する。アルカリ洗浄のみをおこなったそれぞれの基板を腐食反応速度の比較のために使用した。ICP−OESデータによる傾斜をブランクの参照物(未処理基板)およびその他の参照物と比較して示す。
【0072】
第1表 腐食試験の結果
【表1】

【0073】
腐食試験の結果は、本発明のコーティング材の従来の腐食抑制(参照物)に対する優位性を明らかに示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分散性および/または水溶性ポリマーPを含有する金属基板用水性コーティング材であって、前記ポリマーPは、ポリマー主鎖に沿って、共有結合した親水性基の濃度に勾配を有し、その際、前記ポリマーPは、前記基板の腐食時に放出される金属イオンと、および/または前記基板表面とキレートを形成する共有結合した配位子Aを有し、並びにそれ自体と、前記ポリマーPの別の相補的官能基B’と、および/または別の官能基Bおよび/またはB’とともに、架橋剤Vとの共有結合を形成することができる架橋性官能基Bを有する、金属基板用水性コーティング材。
【請求項2】
前記ポリマーPが、オレフィン性不飽和モノマーのラジカル重合によって製造される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1に記載の水性コーティング材。
【請求項3】
前記ポリマーPが、
a)オレフィン性不飽和モノマー(a1)および(a2)と、
その際、(a1)は、少なくとも1つの親水性基HGを有するオレフィン性不飽和モノマー(a11)からなる群から、少なくとも配位子基Aを有するオレフィン性不飽和モノマー(a12)からなる群からの、および少なくとも1つの架橋性基Bを有するオレフィン性不飽和モノマー(a13)からなる群から、それぞれの場合に少なくとも1つのモノマーを含む、
b)一般式I
12C=CR34 (I)
[式中、
基R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ互いに独立して、水素原子、あるいは置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アルキルアリール、シクロアルキルアリール、アリールアルキル、またはアリールシクロアルキル基であるが、ただし可変部R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくとも2つは、置換または非置換のアリール、アリールアルキル、またはアリールシクロアルキル基、特に置換または非置換のアリール基である]
のオレフィン性不飽和モノマー(a)とは異なる、少なくとも1つのオレフィン性不飽和モノマーと、
のラジカル重合によって得られた少なくとも1つの混合ポリマーPMを含む、
請求項1または2に記載の水性コーティング材。
【請求項4】
前記架橋剤Vは、共有結合した配位子Aを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の水性コーティング材。
【請求項5】
前記配位子Aが、尿素、アミン、アミド、イミン、イミド、ピリジン、有機硫黄化合物、有機リン化合物、有機ホウ素化合物、オキシム、アセチルアセトネート、ポリアルコール、酸、フィチン酸、アセチレン、および/またはカルベンからなる群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の水性コーティング材。
【請求項6】
前記ポリマーPおよび前記架橋剤Vが、熱的におよび/または放射線によって架橋可能な架橋性基Bおよび/またはB’を含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の水性コーティング材。
【請求項7】
前記ポリマーPが、その骨格として、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアミン、およびポリアルキレンイミンからなる群から選択される1つ以上の構成要素を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の水性コーティング材。
【請求項8】
そのカチオン性構成物質として、ランタニド金属カチオン、および/またはクロムカチオンを除くd金属カチオンを有する塩をさらに含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の水性コーティング材。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の水性コーティング材の自動泳動塗布のための方法であって、自動泳動塗布後の前記基板上の前記コーティング材の厚さが5〜900nmである方法。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の水性コーティング材の自動泳動塗布のための方法であって、前記基板を前記コーティング材の浴に、1秒〜15分間、温度20〜90℃で浸漬するステップを含む方法。
【請求項11】
金属基板の腐食抑制処理のための2段階方法であって、
(I)第1ステップにおいて、前記基板を腐食防止剤Kの浴に浸漬し、その結果前記基板表面における転換をもたらすステップと、
(II)第2ステップにおいて、ステップ(I)のとおりに処理された前記基板を請求項1から8までのいずれか1項に記載のコーティング材の浴に浸漬するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記第1ステップ(I)において、そのカチオンとして、ランタニド金属および/またはクロムを除くd元素金属を有する、および/またはそのアニオンとして、クロムを含有するメタレートを除くd元素メタレートを有する、少なくとも1つの化合物と、リン酸および/またはクロム酸を除く、酸化が可能な少なくとも1つの酸とを含む水性腐食防止剤Kが使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のコーティング材の沈着後、前記基板は、温度50〜200℃で熱的に、および/または放射線照射によって後処理される、請求項9から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記基板が、Fe、Al、および/またはZnからなる群から選択される金属少なくとも20質量%を含有する、請求項9から13までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−509470(P2010−509470A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536613(P2009−536613)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008132
【国際公開番号】WO2008/058586
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】