説明

色彩可変インキ及びその印刷物

【課題】水性グラビアインキ又はUVインキで、有機溶剤等の薬品の塗布又は浸漬により色相が変化する色彩可変インキ及び当該インキを使用した印刷物を提供する。
【解決手段】本発明は、ワニスに染料を含有する色彩可変インキに関する発明であり、着色剤に水不溶性有機溶剤可溶型の油溶性染料を用い、かつ、所望のワニスに練和することで、水性グラビアインキ、紫外線硬化型オフセットインキ又は紫外線硬化型凹版インキの作製を可能にしたことを特徴とする色彩可変インキ及び当該インキを使用した印刷物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物等の消印あるいは割印を消去して印刷物等を再使用する化学的改ざん行為に対する抵抗力を付与するための印刷インキ及び印刷物であって、インキは、油溶性染料、着色顔料、ワニス、体質顔料及び添加剤等の助剤で構成されており、印紙、切手、証紙等の有価証券並びに各種証明書及び重要書類等のセキュリティ用の改ざん防止性に優れたインキ及び印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印紙、切手等の有価証券並びに各種証明書及び重要書類等の印刷物は、印刷物等に押印された消印又は割印等の有機溶剤等による消去を防止するため、用紙やインキ等に変色効果等のある材料を改ざん防止のために配合し、当該印刷物が有機溶剤等に接触した場合には、印刷物に使用したインキや用紙等が変色することによって改ざん等を防止する方法がある。
【0003】
例えば、改ざん等の偽造を防止するインキとしては、アミノイミノイソインドレニン及び金属化合物を石油系溶剤に含有させて、インキが変色することによって改ざん等の偽造を防止することを特徴とするインキがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、油性ビヒクル等にスピロピラ系化合物等を含有させ、薬品等と接触することによって変色又は消色し、化学薬品類による改ざん等の偽造を防止することを特徴とするインキがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、結合剤マトリックスを形成することのできる少なくとも1つの化合物と、有機溶媒及び/又は他の化学物質に対して感受性を有する少なくとも1つの染料とを含み、前記結合剤マトリックスを形成する化合物が、重合作用及び/又は架橋作用によって固体の結合剤マトリックスを形成することのできる化合物から選択されることを特徴とする滲出性インクがある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平04−293977号公報
【特許文献2】特開平05−156193号公報
【特許文献3】特表平11−510548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特開平4−293977号公報の油性インキ等は、有機溶剤を含有しているため、作業環境や人体に悪影響をおよぼすおそれがあるという問題があった。
【0008】
また、特開平05−156193号公報の油性インク等は、酸化重合により硬化するため、インキ皮膜の乾燥に時間を要し、印刷物に裏移りを生じるおそれがあるという問題があった。
【0009】
また、特表平11−510548号公報のインク等は、UV硬化型インキとして使用した場合は、染料や樹脂等を三次元状に架橋させ、架橋内に溶剤が浸透することによって滲みが生じることを特徴とするインクであるため、印刷物を有機溶剤等に5分ほど浸漬させなければ改ざんの有無を確認できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、カルボキシル基及び/又は水酸基を含むアクリル系樹脂を揮発性塩基で中和した水溶性ワニスに着色剤を含有する水性グラビアインキにおいて、着色剤は、0.1〜20重量%の少なくとも一種類の水不溶性かつ有機溶剤可溶型の油溶性染料と、1〜20重量%の着色顔料を含む又は着色顔料を含まないものであって、ワニスは、カルボキシル基及び/又は水酸基を含むアクリル系樹脂を10〜40重量%含有するものであって、前述の着色剤及びワニスを少なくとも含有する色彩可変インキであることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、単官能基及び/又は2官能アクリレートモノマーを主成分とするワニスに着色剤を含有する紫外線硬化型オフセットインキにおいて、着色剤は、5〜20重量%の少なくとも一種類の水不溶性かつ有機溶剤可溶型の油溶性染料と、5〜20重量%の着色顔料を含む又は前記着色顔料を含まないものであって、ワニスは、単官能基及び/又は2官能アクリレートモノマーを50〜80重量%含有するものであって、前述の着色剤及びワニスを少なくとも含有する色彩可変インキであることを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、水酸基を含有する単官能アクリレートモノマーを酸無水物でカルボシキル化した紫外線硬化成分と、アルカリ可溶型のアルキド樹脂の酸化重合成分からなるワニスに着色剤と、体質顔料を含有する紫外線硬化型凹版インキにおいて、着色剤は10〜20重量%の少なくとも一種類の水不溶性かつ有機溶剤可溶型の油溶性染料と、5〜20重量%の着色顔料であって、体質顔料は20〜45重量%であって、ワニスは、単官能基及び/又は2官能アクリレートモノマーを35〜60重量%含有するものであって、前述の着色剤、体質顔料及びワニスを少なくとも含有する色彩可変インキであることを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、前述の色彩可変インキにより印刷された少なくとも一つの色彩可変領域を有する印刷物であることを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、少なくとも一種類以上の色彩可変インキにより印刷された少なくとも第一の領域及び/又は第二の領域と、油溶性染料を含有しないインキにより印刷された少なくとも第三の領域の中から選択される少なくとも二種類以上の印刷領域を有する印刷物において、前述の少なくとも二種類以上の印刷領域の内、少なくとも二つの領域の色相が等色の印刷物であることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の印刷物における色彩可変領域は、有機溶剤を塗布又は浸漬させる前の色相と、有機溶剤を塗布又は浸漬させた後の色相が、JIS表色系に基づく△E26以上の色差の印刷物であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の色彩可変インキは、有機溶剤を使用する油性インキと比較して、印刷の作業環境の改善、並びに、人体に対する安全性を確保するという効果を奏する。
【0017】
また、本発明の色彩可変インキは、UV硬化型インキとして使用した場合は酸化重合型インキより乾燥性に優れているため、印刷物の裏移りを防止できるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明の色彩可変インキは、化学的改ざん行為に使用される特定薬品、有機溶剤及びその他の化学物質に接触した時に瞬時に色相が変化するため、消印や割印等の消去による印刷物の改ざんを防止できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載における技術的思想の範囲内であれば、その他の色々な実施の形態が含まれる。
【0020】
本発明の色彩可変インキで使用する油溶性染料は、水不溶性で、かつ、有機溶剤可溶性であれば公知のものを使用できるが、好ましくは、ケトン類及びエステル類等の有機溶剤に対して溶解性を示すものである。また、使用する油溶性染料は一種類でも可能であるが、二種類以上使用することが好ましい。油溶性染料の中には、特定の有機溶剤に溶解しないものがあるため、一種類では公知の有機溶剤のすべてに反応させることが困難な場合もあるからである。
【0021】
また、各種有機溶剤に対する溶解度が異なる二種類以上の油溶性染料を組合せることによって、特定の有機溶剤による印刷物の改ざん行為に対し、二種類以上の色相の変化を印刷物に付与することできるため、印刷物の改ざん防止効果を向上させることができる。
【0022】
なお、油溶性染料とは、主として有機溶剤、合成樹脂、油脂等の着色に用いられる染料であって、多くの場合単なる溶解現象により目的物を着色する点に特徴がある。また、ここでいう油溶とは、油脂類に溶解するという狭義の意味だけではなく、水以外の多くの有機溶剤に溶解性をもつ意味も含んでいる。すなわち、水溶性基がなく、油脂類や炭化水素類に可溶な染料であり、油脂、ガソリン、セッケン、バター、クツ墨及びプラスチック等の着色に用いられるものである。
【0023】
また、一般的に油溶性染料は、化学構造により種類が分類されており、黄、オレンジ、褐色及び赤系にはアゾ系の染料が多く、紫、青及び緑系にはアントラキノン系及びフタロシアニン系が多く、黒系にはニグロシン等アジン系に属するものも含まれている。本発明で用いられている油溶性染料は、どの有機溶剤に溶解するか「染料便覧」(有機合成化学協会編「染料便覧」:丸善、1970年発行)に記載されており、カラーインデックス(C.I.番号)によりその種類を特定できる。一例として、C.I.12715の赤色染料は、アセトン、エタノール、セロソルブ系等の有機溶剤に溶解するものである。また、C.I.12195の黒色染料は、低級脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、エステル及びケトン類の有機溶剤に溶解するものである。
【0024】
なお、有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール及びブチルアルコール等といったアルコール類のような極性溶剤、ベンゼン、トルエン及びキシレン等といった芳香族炭化水素類のような非極性溶剤、ガソリン、石油、ベンジン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、クロロホルム等といったハロゲン化炭化水素類、アセトン、アセトニトリル、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン等といったケトン類、酢酸エチル及び酢酸ブチル等の酢酸エステル類等の公知の有機溶剤が挙げられる。
【0025】
本発明の色彩可変インキに使用する着色顔料は、特に限定されず、粉末又は水性スラリーやプレスケーキといった水に分散した状態の顔料であっても良く、有機顔料、無機顔料等は公知の顔料を使用することができる。例えば、グラビアインキであれば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、ジオキサジン系、キナクリドン系、アゾ系金属錯体、スレンブルー等の顔料を使用することができる。
【0026】
また、例えば紫外線硬化型オフセットインキ又は酸化重合併用型紫外線硬化型凹版インキにおける着色顔料は、有機顔料としては酸性染料系レーキ及び塩基性染料系レーキ等といった染付けレーキ顔料、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、β−ナフトール系、ナフトールAS系、ピラゾロン系及びベンズイミダゾロン系等といった不溶性アゾ顔料をはじめ、縮合アゾ顔料及びアゾレーキ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、インジゴ系、ジオキサジン系、キノフタロン系、イソインドリノン系及びジケトピロロピロール系等といった縮合多環系顔料等を使用することができる。また、無機顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、鉄黒等の金属酸化物系顔料、コバルトグリーン、コバルトブルー、コバルトブラック等の複合酸化物系顔料、群青及び紺青等の金属錯塩系顔料、アルミペースト、アルミフレークパウダー、ブロンズ粉及び亜鉛粉等の金属粉系顔料、カーボンブラック及び真珠光沢顔料等の公知の無機顔料を使用することができる。
【0027】
また、体質顔料としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、マイカ、硫酸バリウム、シリカ及び水酸化アルミニウム等の公知の体質顔料を使用することができる。なお、体質顔料を水性グラビアインキと紫外線硬化型オフセットインキについて使用する場合は、0〜10重量%にすることが好ましい。体質顔料によるインキのゲル化を防止するためである。
【0028】
また、本発明の色彩可変インキは、必要に応じて消泡剤、分散剤、潤滑剤等を添加することができる。
【0029】
また、本発明の色彩可変インキは、印刷する基材は特に限定されず、紙、プラスチック、フィルム、金属板等に印刷することができる。
【0030】
また、本発明の色彩可変インキの応用例としては、基材への印刷方式を特に限定されるものではなく、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、凹版印刷方式等の公知の印刷方式を使用することができる。次に、一例として本発明の色彩可変インキを水性グラビアインキとして使用する場合について説明する。
【0031】
(水性グラビアインキの場合)
本発明の色彩可変インキを水性グラビアインキとして使用する場合は、油溶性染料を0.1〜20重量%、着色顔料を1〜20重量%、助剤を60〜88重量%に配合することが好ましい。良好な顔料分散性、インキ流動性及び印刷適性等を得るためである。なお、特に好ましいのは、カルボキシル基を含むアクリル系樹脂を揮発性塩基で中和し、水溶性を付与したワニス成分に対して、着色剤に用いられる顔料1〜20重量%、油溶性染料0.5〜20重量%、助剤70〜88重量%を配合したものである。なお、本発明における助剤とは、水、アルコール類等の有機溶媒、消泡剤、分散剤、潤滑剤等を含むものである。
【0032】
また、前述のワニスのバインダー成分としては、公知のバインダー成分を使用することが可能であり、水溶性樹脂や水分散性樹脂、その中間的なハイドロゾル型樹脂等を使用することができる。具体的には、シェラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ウレタン変性アクリル酸樹脂、水溶性ウレタン、水溶性ポリエステル樹脂の単独、又はこれらの混合物からなる樹脂、水溶性樹脂を保護コロイドとするコロイド状水性樹脂等が挙げられる。このうち、特に印刷物品質の点から、水性グラビアインキ用にはカルボキシル基を持ったアクリル系樹脂が適しているが、混合系樹脂からなるカルボキシル基を有するものでも良い。また、コロイダルディスバージョンタイプ及びエマルションタイプのインキでも良い。なお、前記水ワニスに使用するカルボキシル基を有するアクリル系樹脂の重量平均分子量は、3000〜50000の範囲のポリマーであるものが好ましい。
【0033】
また、前記水性グラビアインキは、水溶性ワニスに対して、着色剤として油溶性染料0.5〜20重量%と着色顔料1〜20重量%を配合し、上記各成分の他にアルコール等が添加することにより調整される。また、水性グラビアインキは、必要に応じて分散剤、消泡剤、ワックス及び潤滑剤等を添加し、ボールミル、アトライター又はサンドミル等の分散機により、水に溶解又は分散させることにより調整することもできる。なお、油溶性染料と着色顔料の水溶性ワニスの樹脂成分に対する割合は、油溶性染料を0.5〜20重量%、着色顔料を1〜20重量%に配合することが好ましい。水溶性ワニス成分に対して、着色顔料が1〜20重量%、油溶性染料を20重量%以上配合した場合は、インキの貯蔵安定性や印刷物の堅牢性が劣るおそれがあるためである。また、逆に、顔料1〜20重量%に対して、油溶性染料が0.5重量%より少ない場合は、有機溶剤による印刷物の色相変化が乏しくなるおそれがあるためである。
【0034】
また、前記水性グラビアインキに使用する有機溶剤は、公知の有機溶剤を使用することができるが、樹脂に対する溶解性が良く、樹脂の合成上も問題がないもの、蒸気圧が水より高く、脱溶剤し易いもの、さらに、水と混和性のあるものが好ましい。例えば、そのような溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、グリコールエーテル類等が特に好ましい。
【0035】
また、バインダーに使用されるアクリル系樹脂のカルボキシル基を塩基性化合物を用いて中和し、樹脂を親水性化して水に分散させる際に使用する揮発性の塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モルマリンのような有機アミン等が挙げられる。
【0036】
また、着色顔料とバインダーのカルボキシル基を有する樹脂との割合は、着色顔料に対して、二倍程度までの範囲とすることが好ましい。樹脂の固形分が着色顔料に対して1%よりも少ない場合は、着色顔料を充分微細に分散しにくくなるからである。また、二倍程度よりも多い場合は、分散体中の着色顔料の割合が少なくなり、水性顔料分散体を印刷インキ等に用いたときにおける配合設計上の自由度がなくなるからである。次に、本発明の色彩可変インキを紫外線硬化型インキとして使用する場合について説明する。
【0037】
(紫外線硬化型オフセットインキの場合)
本発明の色彩可変インキを紫外線硬化型オフセットとして使用する場合は、油溶性染料を5〜20重量%、有機顔料及び無機顔料を含んだ着色顔料は5〜20重量%、架橋密度が低く官能基数の少ないアクリレートモノマーを主成分としたワニス50〜80重量%とすることが好ましい。なお、特に好ましいのは、油溶性染料を10〜15重量%、有機顔料及び無機顔料を含んだ着色顔料は5〜10重量%である。前記配合割合としたのは、良好な顔料分散性、インキ流動特性及び印刷適性等を得るためである。
【0038】
また、消印あるいは割印を消去して再利用される化学的行為に対する抵抗力を付与するため、架橋密度が低く官能基数の少ないアクリレートモノマーを主成分としたワニス70〜80重量%に対して、着色剤に用いられる油溶性染料を10〜15重量%、着色顔料を5〜10重量%以下とすることが好ましい。
【0039】
紫外線硬化型オフセットインキのワニス成分としては、油溶性染料を配合したインキ皮膜が、薬品と十分に接触できるように単官能アクリレートモノマー(例えば、ECH変性フェノキシアクリレート等)をベースにすることが望ましい。単官能アクリレートモノマーは分子中にアクリロイル基を1つ持つ構造で、一般的に低粘度で硬化物は柔軟で密着性が良い。この反面、硬化速度が遅く、硬化皮膜の強度が弱いという欠点が挙げられる。材料の硬化性を低下させずに粘度を上げるためにジアリルフタレート樹脂(例えば、ダイソーダップモノマー(ダイソー(株))、ケトン樹脂(例えば、ハイラック 110H 日立化成工業(株))、アクリル樹脂(例えば、MM-428 藤倉化成(株))や2官能アクリレートオリゴマー(例えば、ウレタンアクリレート等)で粘度調整するのが良い。
【0040】
また、2官能アクリレートモノマー(例えば、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール等)を主成分としたワニスにおいても、インキ皮膜内の油溶性染料を有機溶剤等の薬品と十分に接触させることができる。しかし、三官能(例えば、PO変性グリセロールトリアクリレート等)又は多官能アクリレートモノマー(例えば、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレートベースの多官能モノマー混合物等)を主成分としたバインダーの場合は、架橋密度が高過ぎて油溶性染料を配合したインキ皮膜内の油溶性染料が有機溶剤等の薬品と十分に接触することが困難と考えられる。
【0041】
なお、紫外線硬化型オフセットインキは、上記にて説明した油溶性染料を5〜20重量%、着色顔料を5〜20重量%、ワニスを50〜80重量%に配合して混合し、3本ロールミルで作製することができる。なお、紫外線硬化型オフセットインキは、必要に応じて、ワックス、分散剤等の添加剤を付与することができる。
【0042】
(紫外線硬化型凹版インキの場合)
本発明の色彩可変インキを紫外線硬化型凹版インキとして使用する場合は、油溶性染料を10〜20重量%、有機顔料及び無機顔料を含んだ着色顔料を5〜20重量%、体質顔料を20〜45重量%、架橋密度が低く官能基数の少ないアクリレートモノマーを主成分としたワニス35〜60重量%からなる配合組合せが好ましい。なお、特に好ましいのは、油溶性染料を15〜20重量%、有機顔料及び無機顔料を含んだ着色顔料を5〜20重量%、体質顔料を30〜40重量%からなる配合組合せである。上記配合は、良好な顔料分散性、インキ流動特性及び印刷適性等を得るためである。
【0043】
また、消印あるいは割印を消去して再利用される化学的行為に対する抵抗力を付与するため、架橋密度が低く官能基数の少ないアクリレートモノマーを主成分としたワニス40〜50重量%に対して、着色剤に用いられる油溶性染料を15〜20重量%、着色顔料を5〜15重量%、体質顔料を30〜40重量%とすることが望ましい。
【0044】
紫外線硬化型凹版インキのワニス成分は、紫外線硬化型と酸化重合併用型組成物からなり、紫外線硬化型のワニス成分は、水酸基含有の単官能アクリレートモノマーを主成分とし、アルカリ液に溶解させるため酸無水物でカルボシキル化させたものを使用し、酸化重合型のワニス成分はアルカリ可溶型のアルキド樹脂を使用した。
【0045】
なお、紫外線硬化型凹版インキは、上記にて説明した油溶性染料を10〜20重量%、着色顔料を5〜20重量%、体質顔料を20〜45重量%とワニスを35〜60重量%を混合して3本ロールミルで作製することができる。なお、必要に応じて、ワックス及び分散剤等の添加剤を付与することができる。
【実施例】
【0046】
以下、上記の本発明の色彩可変インキについて具体的な実施例を挙げ、詳細に説明する。
【0047】
実施例1と実施例2は、本発明の色彩可変インキを水性グラビアインキとして使用した実施例である。また、比較例1と比較例2は、油溶性染料を含有しないインキであり、本発明のインキとの有機溶剤による効果の違いを示すものである。なお、油溶性染料は、「商品名Oil Black DA−411」(有本化学工業(株)製)を用いた。上記製品の化学式は、C2924であり、外観は黒色の粉末であり、水にはほとんど溶けず、メタノール及びブタノールに対して6%程度、並びに、メチルエチルケトン及びキシレンに対しては10%溶解するものである。着色顔料は、アゾ系顔料等の公知の顔料を使用した。また、使用するワニスは、アンモニアで中和したカルボキシル基を含むアクリル系樹脂もしくはカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド系樹脂を含有するものを使用した。助剤は、水及びイソプロピルアルコールを含有するものを使用した。
【0048】
(実施例1)
[緑色系水性グラビアインキの組成]
油溶性染料 0.5重量%
アゾ系黄色顔料 1重量%
アクリル系樹脂 10重量%
ポリカルボジイミド系樹脂 9.1重量%
助剤 79.4重量%
【0049】
(実施例2)
[灰色系水性グラビアインキの組成]
油溶性染料 1重量%
アゾ系赤顔料 0.5重量%
アゾ系黄色顔料 2重量%
アクリル系樹脂 12重量%
助剤 84.5重量%
【0050】
本発明の色彩可変インキとの溶剤に対する色相の変化を比較するため、比較例のインキの組成を例示する。なお、着色顔料は、フタロシアニン系顔料とアゾ系顔料等の公知の顔料を使用した。ワニスは、アクリル系樹脂を使用した。また、助剤は、水及びイソプロピルアルコールを含有するものを使用した。
【0051】
(比較例1)
[緑色系水性グラビアインキの組成]
フタロシアニン系緑色顔料 2重量%
アゾ系黄色顔料 9重量%
黒色顔料 0.5重量%
アクリル系樹脂 10重量%
助剤 78.5重量%
【0052】
(比較例2)
[黒色系水性グラビアインキの組成]
アゾ系黄色顔料 0.1重量%
黒色顔料 2重量%
アクリル系樹脂 10重量%
助剤 87.9重量%
【0053】
上記実施例1及び実施例2、上記比較例1及び比較例2の水性グラビアインキを、ベタ部(線数175線)、版深20μmからなるグラビア版面の画線部に充填し、コート紙に印刷した。数日経過後、各水性グラビアインキにより印刷された印刷物は、試薬特級アセトン(和光純薬工業(株)製)及び試薬特級酢酸エチル(和光純薬工業(株)製)を用いて5秒間浸漬させ、印刷物の色相変化を目視並びに分光光度計で評価した。
【0054】
印刷物の色相及び色差は、GretagMacbeth分光光度計(SpectroEye グレタグ社製)を使用し印刷物の色相(L*、a*、b*)を測定し、色差(ΔE)を算出した。なお、色差(ΔE)の評価は、13〜25の範囲内であれば系統色名で区別がつく程度の色の差で、この範囲を越えると、別な色になるという日本色彩研究所による資料に基づいて行うものである。また、色差(ΔE)の計算式は、日本色彩研究所による資料に基づいて次の式1により行うものとする。なお、式1のΔL*、Δa*、Δb*は、溶剤浸漬前と溶剤浸漬後における各差分である。
【0055】

【0056】

【0057】
表1を用いて、上記実施例1及び実施例2、上記比較例1及び比較例2について検証する。なお、評価の基準は、以下のようにした。
◎:印刷物の色相変化が顕著。
○:印刷物の色相及び印刷濃度変化が若干見受けられる傾向。
△:印刷物の色相変化が乏しく、浸漬前の水準と同等の外観。
【0058】
前述の印刷物を光学的機器で測色した結果、実施例1は、アセトンによる浸漬ではΔE32.78、酢酸エチルではΔ39.06となり、実施例2においても、アセトンによる浸漬ではΔE29.17、酢酸エチルではΔ36.03となり、色差の大幅な変化を確認した。
【0059】
一方、比較例1と比較例2の前記印刷物は、光学的機器により双方とも色差の大幅な変化を確認することができなかった。
【0060】
前述の印刷物を目視で評価した結果、実施例1は、アセトン及び酢酸エチルによって、5秒以内に緑色系から黄色系へ変化することを確認した。また、実施例2においても、黒色系から橙色系へ印刷物の色相が5秒以内で変化することを確認した。
【0061】
一方、比較例1は印刷物の色相変化が乏しく、浸漬前の水準と同等の外観であった。また、比較例2は、印刷物の色相及び印刷濃度変化が若干見受けられる傾向であったが、瞬時に判別できるほどの色相変化はなかった。
【0062】
次に、本発明の色彩可変インキを紫外線硬化型インキとして使用した実施例3〜6について説明する。実施例3〜5は、本発明の色彩可変インキを紫外線硬化型オフセットインキとして使用した実施例である。また、実施例6は、本発明の色彩可変インキを紫外線硬化型凹版インキとして使用した実施例である。
【0063】
油溶性染料は、「商品名:MACROLEX Orange R(ランクセス(株))、Plast blue 8510(有本化学(株)製)」と、「商品名:Plust Red 8320(有本化学工業(株)製)」を用いた。なお、「商品名:Oil Black DA−411」(有本化学工業(株)製)は、上記実施例と同製品であるため説明は省略する。上記記載の製品「MACROLEX Orange R 」の化学構造及び化学名は、メチン系染料で、Disperse orange47であり、外観は橙色粉末、水には不溶で、ケトン及びエステル系溶剤に対しては10%程度溶解する。「Plast blue 8510」の化学構造及び化学名は、アントラキノン系染料で、Solvent Blue 36であり、外観は青色粉末、水及びエタノールにはほとんど溶けず、ケトン及びエステル系溶剤に対しては、10%程度溶解するものである。「Plust Red 8320」の化学構造及び化学名はアントラキニノン系染料で、SolventRed 168であり、外観は赤色粉末で水及びメタノール・ブタノールに溶けにくく、MEK、キシレンに5.3%溶解するものである。
【0064】
着色顔料は、アゾ系顔料等の公知の顔料を使用した。ワニスは、単官能アクリレートモノマー又はニ官能アクリレートモノマーを主成分とするバインダーを使用した。また、実施例3〜5と実施例6との差異は、実施例6が体質顔料と乾燥剤、ワックスを含有することである。また、本発明における消色とは、色彩が消失又は色彩がほぼ消失、もしくは色彩が淡い無彩色に変化することを含むものとする。なお、実施例5は、着色顔料を1重量%以下にすることにより色彩をほぼ消失させる一例であり、着色顔料を一切使用しない場合は色彩を消失させることができる。
【0065】
(実施例3)
[紫外線硬化型褐色系から青色に変化するオフセットインキの組成]
橙色系油溶性染料 15重量%
黄色顔料 2重量%
青色顔料 3重量%
ワニス 76重量%
光重合開始剤 4重量%
【0066】
(実施例4)
[紫外線硬化型褐色系から赤色系に変化するオフセットインキの組成]
青色系油溶性染料 15重量%
黄色顔料 2重量%
赤色顔料 3重量%
ワニス 76重量%
光重合開始剤 4重量%
【0067】
(実施例5)
[紫外線硬化型褐色系から消色するオフセットインキの組成]
青色系油溶性染料 10重量%
橙色系油溶性染料 10重量%
ワニス 76重量%
光重合開始剤 4重量%
【0068】
(実施例6)
[紫外線硬化型と酸化重合併用型の黒色系から黄色に変化する凹版インキの組成]
青色系油溶性染料 10重量%
赤色系油溶性染料 5重量%
黄色顔料 5重量%
体質顔料 30重量%
ワニス(1) 43.5重量%
ワニス(2) 0.5重量%
光重合開始剤 3重量%
乾燥剤 1重量%
ワックス 2重量%
【0069】
本発明の色彩可変インキとの溶剤に対する色相の変化を比較するため比較例3のインキの組成を例示する。なお、着色顔料は、フタロシアニン系顔料とアゾ系顔料等の公知の顔料を使用した。ワニスは、アクリル系樹脂を使用した。また、助剤は、水及びイソプロピルアルコールを含有するものを使用した。
【0070】
(比較例3)
[紫外線硬化型褐色系オフセットインキの組成]
橙色系顔料 15重量%
黄色顔料 2重量%
緑色顔料 3重量%
ワニス(多官能アクリレートを主成分)76重量%
光重合開始剤 4重量%
【0071】
上記実施例3〜6の組成からなるインキ原料は、3本ロールミル練肉機により練和させて各々をオフセットインキ、又は凹版インキとして作製し、オフセット印刷機又は凹版印刷機を使用してコート紙に印刷した。前述の印刷物を試薬特級アセトン(和光純薬工業(株)製)及び試薬特級酢酸エチル(和光純薬工業(株)製)を用いて、5秒間浸漬させ、印刷物の色相変化を目視並びに分光光度計で評価した。なお、評価の基準及び分光光度計は、上記水性グラビアインキによる印刷物と同様であるため省略する。
【0072】

【0073】
表2を用いて、上記実施例3〜6、上記比較例3について検証する。
【0074】
前述の印刷物を光学的機器で測色した結果、実施例3における色差は、アセトンによる浸漬ではΔE50〜55、酢酸エチルでもΔE45〜50、実施例4においても、アセトンによる浸漬ではΔE35〜40、酢酸エチルではΔE30〜35、実施例5は、アセトンによる浸漬ではΔE60〜65、酢酸エチルではΔE55〜60、実施例6は、アセトンによる浸漬ではΔE50〜55、酢酸エチルではΔE50〜55、色差の大幅な変化を確認した。
【0075】
一方、比較例3は光学的機器により色差の大幅な変化を確認することができなかった。
【0076】
前述の印刷物を目視で評価した結果、実施例3は、アセトン及び酢酸エチルによって、瞬時に褐色から青色へ色相が変化することを確認した。また、実施例4においても、瞬時に褐色から赤色へ色相が変化した。実施例5については、褐色から瞬時に色相が消色した。実施例6についても黒色から瞬時に黄色へ色相が変化した。
【0077】
一方、比較例3は、色差がΔE5〜7であるため印刷物の色相変化が乏しく、浸漬前の水準と同等の外観であった。また、比較例3は、印刷物の色相及び印刷濃度変化が若干見受けられる傾向であったが、瞬時に判別できるほどの色相変化はなかった。
【0078】
次に、本発明の色彩可変インキにより印刷した色彩可変領域と比較用の通常インキにより印刷した印刷領域からなる印刷物の実施例について図面を用いて説明する。なお、本実施例においては、比較例で作製したインキを使用しているが、油溶性染料を含有しないインキであれば公知のインキを使用することができる。
【0079】
(実施例7)
図1は、実施例1の水性グラビアインキによる色彩可変領域2と、比較例2の水性グラビアインキによる印刷領域3を基材1に印刷した印刷物A1である。図1(a)は、印刷物A1にアセトンを塗布する前の色彩可変領域2と印刷領域3の状態を示す平面図である。図1(b)は、印刷物A1にアセトンを塗布した後の色彩可変領域2´と印刷領域3の状態を示す平面図である。
【0080】
図1(a)に示すように、印刷物A1は、緑色からなる色彩可変領域2と黒色からなる印刷領域3を有している。一方、図1(b)に示すように、印刷物A1にアセトンを塗布した後は、色彩可変領域2´のように緑色から黄色へ色相が変化することを確認できた。なお、印刷領域3の色相は、変化しなかった。
【0081】
(実施例8)
図2は、実施例3の紫外線硬化型インキによる色彩可変領域4と、比較例3の紫外線硬化型インキによる印刷領域5を基材1に印刷した印刷物A2である。図2(a)は、印刷物A2にアセトンを塗布する前の色彩可変領域4と、印刷領域5の状態を示す平面図である。図2(b)は、印刷物A2にアセトンを塗布した後の色彩可変領域4´と印刷領域5の状態を示す平面図である。なお、色彩可変領域4と印刷領域5の色は、溶剤塗布前は双方とも褐色、すなわち等色であるため本来なら色彩可変領域4と印刷領域5を区別することはできない。しかしながら、図面による説明の都合上、色彩可変領域4と印刷領域5を区別して図示したものである。また、本実施例における色彩可変領域は一つであるが、二種類以上の色彩可変インキを使用して、二以上の色彩可変領域を印刷し、二以上の色彩可変領域と印刷領域とが等色である印刷物にすることもできる。
【0082】
図2(a)に示すように、印刷物A2は、褐色からなる色彩可変領域4と褐色からなる印刷領域5を有している。図2(b)に示すように、印刷物A2にアセトンを塗布した後は色彩可変領域4´のように褐色から青色へ色相が変化することを確認できた。一方、印刷領域5の色相は、変化しなかった。次に、色彩可変インキを二種類以上使用した印刷物について説明する。
【0083】
(実施例9)
図3は、実施例4の紫外線硬化型インキによる色彩可変領域6と、実施例5の紫外線硬化型インキによる色彩可変領域7を基材1に印刷した印刷物A3である。図3(a)は、印刷物A2にアセトンを塗布する前の色彩可変領域6と色彩可変領域7の状態を示す平面図である。図3(b)は、印刷物A3にアセトンを塗布した後の色彩可変領域6´と色彩可変領域7´の状態を示す平面図である。なお、色彩可変領域6と色彩可変領域7の色は、溶剤塗布前は双方とも褐色、すなわち等色であるため本来なら色彩可変領域6と色彩可変領域7を区別することはできない。しかしながら、図面による説明の都合上、色彩可変領域6と色彩可変領域7を区別して図示したものである。また、本願記載における等色とは、肉眼で二種類以上の領域における色相の区別が困難であることを意味し、同一色のみならず類似色も含むものである。
【0084】
図3(a)に示すように、印刷物A3は、褐色からなる万線と数字による色彩可変領域6と褐色からなる色彩可変領域7を有している。図3(b)に示すように、印刷物A3にアセトンを塗布した後は色彩可変領域6´のように褐色から赤色へ色相が変化することを確認できた。一方、色彩可変領域7´の色相が、ほぼ消失することを確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】印刷物A1を示す平面図
【図2】印刷物A2を示す平面図
【図3】印刷物A3を示す平面図
【符号の説明】
【0086】
A1、A2、A3 印刷物
1 基材
2 色彩可変領域(緑色系水性グラビアインキ)
2´ 溶剤塗布後の色彩可変領域
3 印刷領域(黒色系水性グラビアインキ)
4 色彩可変領域(褐色系紫外線硬化型オフセットインキ)
4´ 溶剤塗布後の色彩可変領域
5 印刷領域(褐色系紫外線硬化型オフセットアインキ)
6 色彩可変領域(褐色系紫外線硬化型オフセットインキ)
6´ 溶剤塗布後の色彩可変領域
7 色彩可変領域(褐色系紫外線硬化型オフセットインキ)
7 ´溶剤塗布後の色彩可変領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基及び/又は水酸基を含むアクリル系樹脂を揮発性塩基で中和した水溶性ワニスに着色剤を含有する水性グラビアインキにおいて、前記着色剤は、0.1〜20重量%の少なくとも一種類の水不溶性かつ有機溶剤可溶型の油溶性染料と、1〜20重量%の着色顔料を含む又は前記着色顔料を含まないものであって、前記ワニスは、カルボキシル基及び/又は水酸基を含むアクリル系樹脂を10〜40重量%含有するものであって、前記着色剤及び前記ワニスを少なくとも含有することを特徴とする色彩可変インキ。
【請求項2】
単官能基及び/又は2官能アクリレートモノマーを主成分とするワニスに着色剤を含有する紫外線硬化型オフセットインキにおいて、前記着色剤は、5〜20重量%の少なくとも一種類の水不溶性かつ有機溶剤可溶型の油溶性染料と、5〜20重量%の着色顔料を含む又は前記着色顔料を含まないものであって、前記ワニスは、単官能基及び/又は2官能アクリレートモノマーを50〜80重量%含有するものであって、前記着色剤及び前記ワニスを少なくとも含有することを特徴とする色彩可変インキ。
【請求項3】
水酸基を含有する単官能アクリレートモノマーを酸無水物でカルボシキル化した紫外線硬化成分と、アルカリ可溶型のアルキド樹脂の酸化重合成分からなるワニスに着色剤と、体質顔料を含有する紫外線硬化型凹版インキにおいて、前記着色剤は10〜20重量%の少なくとも一種類の水不溶性かつ有機溶剤可溶型の油溶性染料と、5〜20重量%の着色顔料であって、前記体質顔料は20〜45重量%であって、前記ワニスは、単官能基及び/又は2官能アクリレートモノマーを35〜60重量%含有し、前記着色剤、前記体質顔料及び前記ワニスを少なくとも含有することを特徴とする色彩可変インキ。
【請求項4】
基材に、前記請求項1から前記請求項3のいずれかに記載の色彩可変インキにより印刷された少なくとも一つの色彩可変領域を有することを特徴とする印刷物。
【請求項5】
少なくとも一種類以上の前記色彩可変インキにより印刷された少なくとも一つ以上の第一の領域及び/又は第二の領域と、油溶性染料を含有しないインキにより印刷された少なくとも一つ以上の第三の領域の中から選択される少なくとも二種類以上の印刷領域を有する印刷物において、前記少なくとも二種類以上の印刷領域のうち、少なくとも二つの領域の色相が等色であることを特徴とする請求項4記載の印刷物。
【請求項6】
前記請求項4及び/又は5記載の前記印刷物の前記色彩可変領域は、有機溶剤を塗布又は浸漬させる前の色相と、有機溶剤を塗布又は浸漬させた後の色相が、JIS表色系に基づく△E26以上の色差であることを特徴とする請求項4又は5記載の印刷物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−149788(P2009−149788A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329661(P2007−329661)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】