説明

色素化合物並びに該色素化合物を含有するインク

【課題】耐光性、耐ガス性の高い色素化合物を提供する。又、インク、特にインクジェット用インクとした場合、保存安定性に優れた画像を与えるインクを提供する。
【解決手段】アゾ成分がカルボン酸基、もしくはスルホン酸基が置換している芳香環、又は含窒素複素環であり、他方、カップリング成分がベンゾ[f]イミダゾ[2,3−b]ピリミジン、トリアゾロ[3,2−b]ピリミジンを有するモノアゾ染料。これらの色素化合物は、耐光性、耐ガス性、及び保存安定性が良好であることから種々の用途に適用可能である。即ち、着色剤としての用途にとどまらず、光記録用色素やカラーフィルター用色素等の電子材料への応用にも十分に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素化合物並びに該色素化合物を含有するインクに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット用記録液(インク)に使用される色素としては、水溶性染料を用いるのが一般的であるが、水溶性染料を含有するインクにより形成された記録画像は、画像の保存安定性に劣るという問題がある。即ち、太陽光や各種照明光等による画像の変褪色(耐光性)や、大気中に微量に含まれる酸化性ガス(オゾン、NOX、SOX等)に対する画像の変褪色(耐ガス性)等に問題がある。
【0003】
これらの問題を解決すべく、インクジェット用水溶性染料としてピリドンアゾ系色素化合物が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
又、特許文献2においては、6−フェニラゾ−S−トリアゾロ[2,3−a]ピリミジンが開示されている。特許文献3においては、3−アリ−ル−4−ヒドロキシ−2−オキソピリミド[2,1−b]ベンゾイミダゾール構造をもつ色素化合物が開示されている。
【特許文献1】特表2003−510398号公報
【特許文献2】特公昭37−006280号公報
【特許文献3】独国特許第2623839号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の水溶性染料は、近年求められるような高い耐候性、特に耐光性を満足するものではない。又、特許文献2に記載の6−フェニラゾ−S−トリアゾロ[2,3−a]ピリミジンは、水溶液中での安定性が低く、インクジェット用インクへの適用は難しい。特許文献3に記載の3−アリ−ル−4−ヒドロキシ−2−オキソピリミド[2,1−b]ベンゾイミダゾール構造をもつ色素化合物は、水溶性を持つものではない。
【0006】
従って、本発明の目的は、これらの課題を解決し、耐光性、耐ガス性といった耐候性に優れた色素化合物を提供することである。又、本発明の別の目的は、インク、特にインクジェット用インクとした場合、保存安定性の良好なインクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち本発明は、下記一般式(1)で表わされることを特徴とする色素化合物である。
【0008】
【化1】

【0009】
[一般式(1)中、R1、R2は各々独立してアミノ基、もしくはヒドロキシル基を表わす。A1はN、もしくはCR4を表わす。R4はR3と共に芳香環を形成する。A1がNのとき、R3はハメットの置換基定数が負の値を示す置換基を表わす。Cyは芳香環を表わす。更に、一般式(1)は少なくとも1つの陰イオン性基をもつ。]
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐光性、耐ガス性が良好な色素化合物が提供される。又、本発明によれば、前記の色素化合物をインクの色材として用いることで、保存安定性が良好で、耐光性、耐ガス性が良好な画像を与えることができるインク、特に、インクジェット記録用インクが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0012】
本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を行なった。この結果、下記一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物は、耐光性、耐ガス性が良好な画像を与えることが可能であることを見出した。更に、一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物をインクの色材として用いることで、保存安定性の良好なインクを提供可能であることを見出した。
【0013】
【化2】

【0014】
[一般式(1)中、R1、R2は各々独立してアミノ基、もしくはヒドロキシル基を表わす。A1はN、もしくはCR4を表わす。R4はR3と共に芳香環を形成する。A1がNのとき、R3はハメットの置換基定数が負の値を示す置換基を表わす。Cyは芳香環を表わす。更に、一般式(1)は少なくとも1つの陰イオン性基をもつ。]
一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物について詳述する。
【0015】
一般式(1)中のR1、R2は各々独立してアミノ基、もしくはヒドロキシル基を表わす。特に、R1、R2がいずれもヒドロキシル基であるか、R1がヒドロキシル基、R2がアミノ基であることが、合成の容易性の点で好ましい。該アミノ基は置換基を有しても良く、該置換基としては、本発明の色素化合物の水溶性や保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、トリアジニル基、ベンゾチアゾリル基等の置換基が挙げられる。該アミノ基としては、無置換アミノ基、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基。N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−アセチルアミノ基、N−トリアジニルアミノ基等が合成の容易性、色素化合物の水溶性の点で好ましい。
【0016】
一般式(1)中のA1はN、もしくはCR4を表わす。R4はR3と共に芳香環を形成する。該芳香環は更に置換基を有しても良い。該芳香環に置換していても良い基としては、本発明の色素化合物の水溶性や保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。該置換基としては、スルホン酸基が好ましい。これは、色素化合物の水溶性が増加し、インクとしての安定性が向上するためである。
【0017】
一般式(1)中のA1がNのとき、R3はハメットの置換基定数が負の値を示す置換基である。
【0018】
ここでハメット則とは、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年 L.P.Hammettにより提唱された経験則である。ハメット則は、今日広く妥当性が認められている。ハメットの置換基定数については、多数の文献に記載がある。例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、「新実験化学講座14・有機化合物の合成と反応V」2605頁(日本化学会編、丸善)、仲矢忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、Chem.Rev.91,165(1991)に詳述されている。本発明では、各置換基をハメットの置換基定数σにより限定、説明する場合があるが、当然のことながら、これらの置換基は、上記の文献等に記載された、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではない。置換基のハメットの置換基定数が文献未知であっても、ハメット則に基づいて測定した場合に本発明で定義した範囲内に含まれる置換基は、本発明の範囲内に含む。ハメットの置換基定数が負の値を有する置換基としては、例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ基:σ=−0.27;エトキシ基:σ=−0.24;フェノキシ基:σ=−0.32;ベンジルオキシ基:σ=−0.42)、アミノ基(例えば、アミノ基:σ=−0.66;メチルアミノ基:σ=−0.70;ジメチルアミノ基:σ=−0.83;エチルアミノ基:σ=−0.61;ジエチルアミノ基:σ=−0.72;ブチルアミノ基:σ=−0.51;フェニルアミノ基:σ=−0.56;ヒドロキシルアミノ基:σ=−0.34)、ヒドラジノ基(σ=−0.55)、ウレイド基(σ=−0.24)、ヒドロキシル基(σ=−0.37)等が挙げられる。
【0019】
又、一般式(1)におけるA1がNの場合、R3はアミノ基であることが好ましい。これは、R3がアミノ基であることで、一般式(1)で表される色素化合物を含有するインクの保存安定性が向上するためである。又、該アミノ基は置換基を有しても良く、該置換基としては、本発明の色素化合物の水溶性や保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、トリアジニル基、ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。該アミノ基としては、無置換アミノ基、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基。N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−アセチルアミノ基、N−トリアジニルアミノ基等が合成の容易性、色素化合物の水溶性の点で好ましい。
【0020】
本発明の一般式(1)中のCyは置換もしくは未置換の芳香環を表わす。芳香環としては特に限定されるものではない。例えば、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭素環基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、ピロリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ピラゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の芳香族複素環基が挙げられる。該芳香環には、アルキル基、カルボン酸基、もしくはスルホン酸基が置換していても良い。特に、該芳香環には、カルボン酸基、もしくはスルホン酸基が置換していることが、水性媒体中への溶解性が向上するため好ましい。又、該カルボン酸基、もしくはスルホン酸基はCyのアゾ基の隣接位に置換していることが、耐ガス性がより良好であるという理由で好ましい。更に、Cyが含窒素芳香族複素環、中でも、含窒素芳香族5員複素環であることが、耐光性の点で好ましい。
【0021】
又、一般式(1)は少なくとも1つの陰イオン性基をもつ。該陰イオン性基としては、例えばカルボン酸基、スルホン酸基、りん酸基等が挙げられる。この中でも、カルボン酸基、もしくはスルホン酸基が合成の容易性の点で好ましい。又、該陰イオン性基とは、水素が遊離したもの、更にカウンターイオンが付加したものも含む。好ましいカウンターイオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、n−プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、n−ブチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、イソブチルアンモニウム。モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等の第四級アンモニウムが挙げられる。
【0022】
本発明の一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物は、下記一般式(1’)、(1’’)等で表わされる互変異性体が存在する。本発明の色素化合物が有する一般式(1)で表わされる構造は、下記一般式(1’)、(1’’)等で表わされる構造も包含する。
【0023】
【化3】

【0024】
[一般式(1’)及び一般式(1’’)で表わされる構造を有する色素化合物におけるR1’、R2’は、各々独立して、置換しても良いイミノ基、カルボニル基を表わす。一般式(1’)及び一般式(1’’)中のR1、R2、R3、A1及びCyは、一般式(1)中のR1、R2、R3、A1及びCyと同意義を有する。]
次に、本発明の一般式(1)で表される色素化合物の製造方法について以下に説明する。本発明の一般式(1)で表される色素化合物の製造方法は、下記の2工程によって製造することが好ましい。即ち、第1の工程では、下記一般式(2)で表わされる芳香族アミン化合物と下記一般式(3)で表わされる化合物を、溶媒の存在下、もしくは非存在下で縮合反応させることにより、下記一般式(4)で表わされる化合物を得る。この場合、適当な縮合剤を使用しても良い。
【0025】
【化4】

【0026】
[一般式(2)中、A1及びR3は、前記一般式(1)におけるA及びR3の場合と同意義を有する。]
【0027】
【化5】

【0028】
[一般式(3)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立にシアノ基、もしくはアルコキシカルボニル基を表わす。]
【0029】
【化6】

【0030】
[一般式(4)中、A1及びR1乃至R3は、前記一般式(1)におけるA及びR1乃至R3の場合と同意義を有する。]
次いで行なう第2の工程は、前記第1の工程で得られた一般式(4)で表わされる化合物を、下記一般式(5)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分とカップリングさせるカップリング工程である。そして、該カップリング工程により、一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物が製造される。
【0031】
【化7】

【0032】
[一般式(5)中、Cyは、前記一般式(1)におけるCyの場合と同意義を有する。]
本反応において、前記一般式(4)中のR1及びR2はそれぞれ、原料である一般式(3)中のQ1及びQ2によって決定される。即ち、Q1、Q2がともにアルコキシカルボニル基の場合、R1、R2はともにヒドロキシル基となり、以下、同様にして、シアノ基の場合はアミノ基となる。
【0033】
上記した第1の工程において行なう縮合反応は、一般式(2)で表わされる芳香族アミン化合物と、一般式(3)で表わされる化合物を、無溶媒下、もしくはメタノール、エタノール、氷酢酸等の単独又は混合溶媒中で加熱還流する。かかる溶媒の使用量は特に制限されないが、通常、一般式(2)で表わされる芳香族アミン化合物に対して100質量倍以下であるのが好ましい。又、この場合、適当な縮合剤を用いても良い。縮合剤としては、例えば、ナトリウムアルコキシド、ピペリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0034】
上記した第2の工程のカップリング工程は、公知の方法により行なうことができる。即ち、第2の工程では、一般式(4)で表わされる化合物と、一般式(5)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分とをカップリングさせて、一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物を得る。具体的なカップリング方法としては、例えば、下記のような方法が挙げられる。先ず、水溶媒中、一般式(5)で表わされるアニリン誘導体を、塩酸又は硫酸等の無機酸の存在下、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩と反応させて、対応するジアゾニウム塩に変換する。次に、このジアゾニウム塩を一般式(4)で表わされる化合物とカップリングさせ、一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物を製造する。
【0035】
上記したような工程によって得られる最終生成物は、通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精製をすることで目的の用途に用いる。
【0036】
上記の製造方法によって、一般式(1)で表される色素化合物を合成することができる。以下の表1及び表2に、本発明の一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物の具体例を示すが、下記の例に限定されるものではない。
【0037】
【化8】

【0038】
【表1】

【0039】
【化9】

【0040】
【表2】

【0041】
[同定方法]
得られた反応生成物の同定は、下記に挙げる装置を用いた複数の分析方法によって行なった。使用した分析装置は、H及び13C核磁気共鳴分光分析装置(ECA−400、日本電子(株)製)。高速液体クロマトグラフィー(LC−20A、(株)島津製作所製)、LC/TOF MS(LC/MSD TOF、Agilent Technologies社製)。UV/Vis分光光度計(U−3310形分光光度計、(株)日立製作所製)である。
【0042】
[インク]
本発明の色素化合物は、鮮やかな色調を有し、その優れた分光特性により、イエロー、マゼンタ、ブラック等の着色剤、好ましくは画像情報の記録用材料として用いることができる。具体的には、以下に詳述する、インクジェット用インクを始めとして、その他、印刷用インク、塗料又は筆記具用インクの材料(色材)として好適に用いることができる。
【0043】
次に、インクジェット用インクとして好適に用いることができる、本発明の色素化合物を含有するインクの製造方法について説明する。前記一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物を液媒体に溶解もしくは(及び)分散させることで、インクとして利用可能なインク組成物を製造できる。液媒体としては水性媒体を用いることが好ましい。該水性媒体としては、水、もしくは水と水溶性有機溶剤との混合媒体を用いることが好ましい。該水溶性有機溶剤は、水溶性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶剤、含硫黄極性溶剤等が挙げられる。該水溶性有機溶剤の含有量は、インクの保湿性維持や色材の溶解性向上、インクの記録紙への効果的な浸透等を考慮すると、インク全体の1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。又、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。インク中の水の含有量は、インク全体の30質量%以上であることが好ましく、95質量%以下であることが好ましい。このようにすれば、本発明の色素化合物を含む色材のインク中における分散性、或いは溶解性を良好なものとできる。特に、インクジェット記録用とした場合に安定したインク吐出に適した粘度を有し、且つ、ノズル先端における目詰まりを生じさせないようにすることができる。
【0044】
インクジェット用インクとする場合は、インクの保存安定性、記録画像の粒状性を考慮すると、インク100質量部中に、前記色素化合物を0.2質量部以上、10質量部以下含有することが好ましい。又、0.2質量部以上、5質量部以下であることがより好ましい。
【0045】
本発明の色素化合物を含むインクの構成成分としては、イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤のような化学合成された界面活性剤を用いることができる。その他、天然物由来及びこれを酵素等により改質したものも用いることができる。これらの界面活性剤は、単独もしくは併用して用いることができる。インク中における界面活性剤の総含有量は、本発明の色素化合物の分散安定性を良好に保つ目的から、インク全体の0.5質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。
【0046】
前記界面活性剤としてはその種類に特に制限はない。好ましくは、イオン性界面活性剤としては、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩。N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩。アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖もしくは分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩。N−メチル−N−アシルタウリン塩。アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩。アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤。アルキルアミン塩類、塩化、臭化もしくはヨウ化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化、臭化もしくはヨウ化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム、塩化アルキルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤。アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルもしくはジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル。ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール。脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
【0047】
高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、ポリリン酸等の陰イオン性高分子。ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール等の非イオン性高分子等が挙げられる。
【0048】
天然物由来及びこれを酵素等により改質した界面活性剤としては、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質。アラビアゴム等の天然ゴム。サポニン等のグルコキシド、アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース誘導体。リグニンスルホン酸塩。セラック等の天然高分子や、レシチン、酵素分解レシチンといった食品用界面活性剤が挙げられる。
【0049】
本発明の色素化合物を用いてインクを製造する場合におけるインクのpHは特に限定されるものではないが、4.0以上、11.0以下であるとインクとして扱いやすい。又、インクジェット用インクを作製する場合には、インクの保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等の保湿性固形分もインク成分として用いても良い。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等、保湿性固形分のインク中の含有量は、一般には、インクに対して0.1質量%以上が好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましい。又、20.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以下がより好ましい。
【0050】
更に、インクとする場合には、前記成分以外にも、必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させても良い。
【0051】
以上説明した本発明の色素化合物を用いて調製されたインクは、熱エネルギーの作用により液滴を吐出させて記録を行なうインクジェット記録方式にとりわけ好適に用いられる。又、他のインクジェット記録方法に適用するインクや、一般の筆記用具等の材料としても使用できる。更に、本発明の色素化合物は、着色剤としての用途にとどまらず、光記録用色素やカラーフィルター用色素等の電子材料にも適用できる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
【0053】
[実施例1]
下記のようにして、それぞれ前記一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物の一具体例である、色素化合物(1a−1)、(1a−12)、(1b−12)を得た。
【0054】
<合成例1>
合成例1では、以下のようにして、下記化合物(6)を製造した。
【0055】
【化10】

【0056】
2−アミノベンズイミダゾール5.0g、マロン酸ジエチル6.0g、ナトリウムエトキシド5.1gをエタノール100mLに加えて4時間還流した。冷却後、析出した結晶を濾別し、1.0M塩酸で洗浄した。これを乾燥させることにより、化合物(6)の白色粉末7.2gを得た。
【0057】
<合成例2>
(色素化合物(1a−1)の製造)
合成例2では、以下のようにして、下記色素化合物(1a−1)を製造した。
【0058】
【化11】

【0059】
5−スルホアントラニル酸15g、35%の塩酸溶液7.1gを水200mLに加えて撹拌し、5℃以下まで冷却した。これに亜硝酸ナトリウム5.2gを添加して1時間撹拌した後、過剰の亜硝酸ナトリウムをアミド硫酸2.0gにより分解してジアゾ化液を得た。別途、合成例1で得た化合物(6)の白色粉末7.2gをピリジン100mLに加えて撹拌し、5℃以下まで冷却し、懸濁液を得た。そして、この懸濁液に、先に得たジアゾ化液をゆっくりと滴下し、8時間撹拌した。その後、析出した結晶を濾別し、充分なエタノールで洗浄した。更に、得られた結晶を200mLの水に分散させ、1.0M水酸化ナトリウム水溶液で中和、溶解した。この水溶液を電気透析により脱塩した後、乾燥させることによって色素化合物(1a−1)の黄色粉末16gを得た。色素化合物(1a−1)の構造は、先に述べた装置及び条件で、NMR分析、質量分析、HPLC分析及びUV/Vis分光分析を行なって確認した。以下に、得られた各分析結果を示す。
【0060】
[色素化合物(1a−1)についての分析結果]
[1]H NMR(400MHz、DMSO−d6、24℃)の結果:[図1]
δ[ppm]=7.24(t、1H)、7.30(t、1H)、7.50(d、1H)、7.75(dd、1H)、7.89(d、1H)、8.16(d、1H)、8.34(d、1H)。
[2]13C NMR(100MHz、DMSO−d6、24℃)の結果:
δ[ppm]=114.1、114.3、117.1、119.0、122.2、124.4、124.9、128.7、128.9、129.8、141.5、143.4、144.3、148.0、157.2、160.8、169.0。
[3]質量分析(ESI−TOF)の結果:
m/z=450.01(M−Na)、213.68(M−2Na)2−
[4]HPLCの結果:
純度=97.2面積%、保持時間14.2分(0.1mM TFA溶液−MeOH)。
[5]UV/Vis分光分析の結果:
λmax=408.5nm、ε=37197M−1cm−1(溶剤:HO、23℃)。
【0061】
<合成例3>
合成例3では、以下のようにして、下記化合物(7)を製造した。
【0062】
【化12】

【0063】
2−アミノベンズイミダゾール5.0g、シアノ酢酸エチル20gを撹拌し、150℃で2時間加熱した。冷却後、析出した結晶を濾別し、1.0M塩酸で洗浄した。これを乾燥させることにより、化合物(7)の白色粉末7.0gを得た。
【0064】
<合成例4>
(色素化合物(1a−12)の製造)
合成例4では、以下のようにして、下記色素化合物(1a−12)を製造した。
【0065】
【化13】

【0066】
5−スルホアントラニル酸15g、35%の塩酸溶液7.3gを水200mLに加えて撹拌し、5℃以下まで冷却した。これに亜硝酸ナトリウム5.3gを添加して1時間撹拌した後、過剰の亜硝酸ナトリウムをアミド硫酸2.0gにより分解してジアゾ化液を得た。別途、合成例3で得た化合物(7)の白色粉末7.0gをピリジン100mLに加えて撹拌し、5℃以下まで冷却し、懸濁液を得た。そして、この懸濁液に、先に得たジアゾ化液をゆっくりと滴下し、8時間撹拌した。その後、析出した結晶を濾別し、充分なエタノールで洗浄した。更に、得られた結晶を200mLの水に分散させ、1.0M水酸化ナトリウム水溶液で中和、溶解した。この水溶液を電気透析により脱塩した後、乾燥させることによって色素化合物(1a−12)の黄色粉末15gを得た。色素化合物(1a−12)の構造は、先に述べた装置及び条件で、NMR分析、質量分析、HPLC分析及びUV/Vis分光分析を行なって確認した。以下に、得られた各分析結果を示した。
【0067】
[色素化合物(1a−12)についての分析結果]
[1]H NMR(400MHz、DMSO−d6、24℃)の結果:
δ[ppm]=7.04(t、1H)、7.16(t、1H)、7.55(d、1H)、7.65(dd、1H)、8.02(d、1H)、8.31(d、1H)、8.40(d、1H)、9.20(s、1H)。
[2]13C NMR(100MHz、DMSO−d6、24℃)の結果:
δ[ppm]=113.15、114.52、116.53、118.71、120.23、122.41、123.08、128.54、129.94、131.07。
[3]質量分析(ESI−TOF)の結果:
m/z=449.03(M−Na)、213.18(M−2Na)2−
[4]HPLCの結果:
純度=95.7面積%、保持時間13.2分(0.1mM TFA溶液−MeOH)。
[5]UV/Vis分光分析の結果:
λmax=403.0nm、ε=26488M−1cm−1(溶剤:HO、23℃)。
【0068】
<合成例5>
合成例5では、以下のようにして、下記化合物(8)を製造した。
【0069】
【化14】

【0070】
3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール5.0g、マロン酸ジエチル8.1g、ナトリウムエトキシド6.9gをエタノール100mLに加えて4時間還流した。冷却後、水100mLにゆっくりと滴下し、これを35%塩酸溶液により中和して析出した結晶を濾別した。これを十分な水で洗浄し、乾燥させることにより、化合物(8)の白色粉末5.1gを得た。
【0071】
<合成例6>
(色素化合物(1b−1)の製造)
合成例6では、以下のようにして、下記色素化合物(1b−1)を製造した。
【0072】
【化15】

【0073】
5−スルホアントラニル酸6.6g、35%の塩酸溶液3.2gを水100mLに加えて撹拌し、5℃以下まで冷却した。これに亜硝酸ナトリウム2.3gを添加して1時間撹拌した後、過剰の亜硝酸ナトリウムをアミド硫酸0.88gにより分解してジアゾ化液を得た。別途、合成例5で得た化合物(8)の白色粉末5.1g、炭酸ナトリウム6.5gを水100mLに加えて撹拌し、5℃以下まで冷却し、懸濁液を得た。そして、この懸濁液に、先に得たジアゾ化液をゆっくりと滴下し、2時間撹拌した。その後、酸析し、析出した結晶を濾別した。更に、得られた結晶を200mLの水に分散させ、1.0M水酸化ナトリウム水溶液で中和、溶解した。この水溶液を電気透析により脱塩した後、乾燥させることによって色素化合物(1b−1)の黄色粉末12gを得た。色素化合物(1b−1)の構造は、先に述べた装置及び条件で、NMR分析、質量分析、HPLC分析及びUV/Vis分光分析を行なって確認した。以下に、得られた各分析結果を示した。
【0074】
[色素化合物(1b−1)についての分析結果]
[1]H NMR(400MHz、DMSO−d6、23℃)の結果:
δ[ppm]=8.30(d、1H)、7.80(d、1H)、7.64(dd、1H)、5.64(s、2H)。
[2]13C NMR(100MHz、D2O、24℃)の結果:
δ[ppm]=119.3、123.6、127.0、131.5、132.0、132.1、141.7、146.3、159,0、167.2、174.8、183.9。
[3]質量分析(ESI−TOF)の結果:
m/z=416.00(M−Na)、196.51(M−2Na)2−
[4]HPLCの結果:
純度=99.0面積%、保持時間4.9分(0.1mM TFA溶液−MeOH)。
[5]UV/Vis分光分析の結果:
λmax=404.0nm、ε=26532M−1cm−1(溶剤:HO、23℃)。
【0075】
[実施例2]
<インクの調製例1>
下記に示す成分を合計100部となるように混合後、十分に撹拌して溶解し、インク(A)を調製した。
・色素化合物(1a−1)‥3.5部
・アセチレノールEH(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)‥1部
・エチレングリコール‥7.5部
・グリセリン‥7.5部
・尿素‥7.5部
・イオン交換水‥残部
<インクの調製例2乃至11>
インクの調製例1で使用した色素化合物(1a−1)をそれぞれ色素化合物(1a−2)、色素化合物(1a−5)、色素化合物(1a−6)、色素化合物(1a−9)乃至(1a−12)、色素化合物(1b−1)、(1b−2)、色素化合物(1b−6)に変更した。これ以外は同様の操作を行なって、インク(B)乃至(K)を調製した。
【0076】
<比較用インクの調製例1乃至3>
インクの調製例1で使用した色素化合物(1a−1)を、下記比較用色素化合物(9)乃至(11)に変更した。これ以外は同様の操作を行なって、比較用インク(L)乃至(N)を調製した。
【0077】
【化16】

【0078】
【化17】

【0079】
【化18】

【0080】
本発明にかかる色素化合物(1a−1)、色素化合物(1a−12)、色素化合物(1b−1)と比較用色素化合物(10)の、水中、23℃における紫外可視吸収スペクトルを図2に示す。
【0081】
<評価>
インクの調製例1乃至11で得たインク(A)乃至(K)、比較用インクの調製例1乃至3で得た比較用インク(L)乃至(N)をそれぞれ、インクジェット記録装置(Pixus iP8600、キヤノン(株)製)のインクカートリッジに充填した。そして、このインクジェット記録装置にて、写真光沢紙プロフェッショナルフォトペーパー(PR−101、キヤノン(株)製)に2cm四方のベタ画像を印字し、記録物を作成した。そして、得られた記録物を24時間自然乾燥して、評価用の記録物とした。
【0082】
[耐光性]
得られた記録物をアトラスウエザオメータ(Ci4000、(株)東洋精機製作所製)に投入し、50時間曝露した。このときの測定条件は、Black Panel:50℃、Chamber:40℃、Rel.Humidity:70%、Irradiance(340nm):0.39W/mとした。照射前後の試験紙はSpectroLino(Gretag Machbeth社製)にて分析した。L表色系における光学濃度及び色度(L、a、b)を測定した。色差(△E)は色特性の測定値に基づき、下記式によって算出した。
【0083】
色差(△E)=√{(a試験前−a試験後)+(b試験前−b試験後)+(c試験前−c試験後)
評価は以下の基準で行なった。
◎:△Eが5未満
○:△Eが5以上、10未満
×:△Eが10以上
[耐ガス性]
得られた記録物をオゾンウェザーメーター(OMS−H、スガ試験機(株)製)にて、オゾン濃度10ppm、温度24℃、相対湿度60%の雰囲気下で記録物を4時間曝露した。そして、記録物の反射濃度を試験前後で測定した。得られた結果は耐光性の場合と同様の基準で判断した。色差(△E)は色特性の測定値に基づき、下記式によって算出した。
【0084】
色差(△E)=√{(a試験前−a試験後)+(b試験前−b試験後)+(c試験前−c試験後)
評価は以下の基準で行なった。
◎:△Eが5未満
○:△Eが5以上、10未満
×:△Eが10以上
[保存安定性]
前記インクの調製例1乃至11で得たインク(A)乃至(K)、前記比較用インクの調製例1乃至3で得た比較用インク(L)乃至(N)をそれぞれ、ガラス製の密閉容器に入れ、60℃で1ヶ月間、静止放置した。その後、UV/Vis分光分析により最大吸収波長における吸光度(Abs)を測定し、60℃で1ヶ月間静止放置する前における値(Abs0)と比較した。
【0085】
評価は以下の基準で行なった。
◎:Abs/Abs0が0.95以上
○:Abs/Abs0が0.90以上、0.95未満
×:Abs/Abs0が0.90未満
各インクに用いた色素の種類及び、耐光性、耐ガス性、及び保存安定性の評価結果を表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
表3より、本発明の色素化合物を用いたインクは、耐光性、耐ガス性、及び保存安定性が良好であることから、インク用色素化合物として有用であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の活用例としては、本発明の色素化合物は種々の用途に適用可能である。即ち、着色剤としての用途にとどまらず、光記録用色素やカラーフィルター用色素等の電子材料への応用にも十分に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の色素化合物(1a−1)のDMSO−d6中、24℃、400MHzにおけるH NMRスペクトルを表わす図である。
【図2】本発明にかかる色素化合物(1a−1)、色素化合物(1a−12)、色素化合物(1b−1)と比較用色素化合物(10)の、水中、23℃における紫外可視吸収スペクトルを表わす図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされる構造を有する色素化合物。
【化1】

[一般式(1)中、R1、R2は各々独立してアミノ基、もしくはヒドロキシル基を表わす。A1はN、もしくはCR4を表わす。R4はR3と共に芳香環を形成する。A1がNのとき、R3はハメットの置換基定数が負の値を示す置換基を表わす。Cyは芳香環を表わす。更に、一般式(1)は少なくとも1つの陰イオン性基をもつ。]
【請求項2】
前記一般式(1)中のR1がヒドロキシル基であり、R2がアミノ基である請求項1に記載の色素化合物。
【請求項3】
前記一般式(1)中のA1がNであり、R3がアミノ基である請求項1又は2に記載の色素化合物。
【請求項4】
前記一般式(1)中のR1、R2がいずれもヒドロキシル基である請求項1に記載の色素化合物。
【請求項5】
前記一般式(1)中の陰イオン性基がカルボン酸基、もしくはスルホン酸基である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の色素化合物。
【請求項6】
前記R4とR3が共に形成する芳香環がスルホン酸基を有する芳香環である請求項1、2、4、5のいずれか1項に記載の色素化合物。
【請求項7】
前記一般式(1)中のCyがカルボン酸基、もしくはスルホン酸基が置換している芳香環である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の色素化合物。
【請求項8】
前記一般式(1)中のCyがアゾ基の隣接位にカルボン酸基、もしくはスルホン酸基をもつ芳香環である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の色素化合物。
【請求項9】
前記一般式(1)中のCyが含窒素芳香族複素環であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の色素化合物。
【請求項10】
前記一般式(1)中のCyが含窒素芳香族5員複素環であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の色素化合物。
【請求項11】
水性媒体及び色素化合物を含有するインクであって、該色素化合物が、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の色素化合物であることを特徴とするインク。
【請求項12】
インクジェット用である請求項11に記載のインク。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−286869(P2009−286869A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139677(P2008−139677)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】