説明

芝刈機

【課題】流体継手を冷却することができ、かつ重量増加やコスト増大を抑えることができる芝刈機を提供する。
【解決手段】芝刈機10は、エンジン15とその動力により回転する刈刃23との間にトルクコンバータ18が介装されている。芝刈機10は、刈刃23の周囲を覆うとともにトルクコンバータ18の下方に設けられたハウジング31と、ハウジング31から立ち上げられてトルクコンバータ18の周囲を覆うことで、トルクコンバータ18の周囲に筒状の空洞64を形成するトルコン囲み部材33とを備えている。これにより、筒状の空洞64を空気の流路として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源とその動力により回転する刈刃との間に流体継手が介装された芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機のなかの除雪機には、駆動源と作業部との間に流体継手を設けたものがある。
駆動源と作業部との間に流体継手を設けることで、作業部に異物が混入されて作業部の回転が停止された場合に、流体継手をストール状態(流体継手の出力軸を停止させて流体継手の入力軸を回転させた状態)にして駆動源の回転を許容することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−5917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、芝刈機は駆動源の近傍に作業部(すなわち、刈刃)が設けられているため、駆動源と作業部との間に流体継手を設ける場合、流体継手が駆動源の近傍に設けられる。
このため、駆動源の熱で流体継手の流体(オイル)の早期劣化を招く虞があり、オイル交換時期、すなわちメンテナンスインターバルが短くなる。
【0005】
流体継手内のオイルを冷却する方法として専用の冷却手段を設けることが考えられる。
しかし、芝刈機に流体継手や専用の冷却手段を設けた場合、芝刈機の重量が大きく増加し、かつ、コストが大きく増大する。
【0006】
本発明は、流体継手を冷却することができ、かつ重量増加やコスト増大を抑えることができる芝刈機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、駆動源とその動力により回転する刈刃との間に流体継手が介装された芝刈機であって、前記刈刃の周囲を覆うとともに前記流体継手の下方に設けられたハウジングと、前記ハウジングから立ち上げられて前記流体継手の周囲を覆うことで、前記流体継手の周囲に筒状の空洞を形成する囲み部材と、を備え、前記筒状の空洞を空気の流路として用いることを特徴とする。
【0008】
ここで、流体継手とは、フルードカップリング(いわゆる、狭義の流体継手)や、トルクコンバータなどの流体(オイル)の運動エネルギーを用いて動力を伝達する装置をいう。
フルードカップリングは、ポンプおよびタービンを備え、ポンプからタービンに流体(オイル)を送ることでタービンに動力を伝達するものである。
トルクコンバータは、ポンプ、タービンおよびステータを備え、ポンプからタービンに流体(オイル)を送ることでタービンに動力を伝達するものである。
タービンに送られた流体(オイル)は、ステータを経てポンプに戻される。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記流体継手の外面に、前記流体継手の回転により空気を送る案内羽根を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明では、刈刃の周囲を覆うハウジングを流体継手の下方に設けた。ハウジングから囲み部材を立ち上げ、囲み部材で流体継手の周囲を覆うことで、流体継手の周囲に筒状の空洞を形成した。そして、この筒状の空洞を空気の流路として用いるようにした。
【0011】
このように、筒状の空洞を空気の流路として利用することで、筒状の空洞を流れる空気で流体継手を冷却することができる。
よって、流体継手内の流体(オイル)を適温状態に維持(冷却)することが可能になる。
これにより、流体継手のオイル交換時期(メンテナンスインターバル)を長くすることができる。
【0012】
加えて、流体継手の周囲を覆う囲み部材を、流体継手の冷却部材として兼用することができる。
これにより、流体継手を冷却する専用の部材を不要にでき、部品点数の増加を防いで重量増加やコスト増大を抑えることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、流体継手の外面に案内羽根を備え、案内羽根を流体継手の回転で回転可能とした。
このように、流体継手で案内羽根を回転することで空気を送ることができる。
これにより、筒状の空洞の空気を案内羽根で良好に流すことができるので、筒状の空洞を流れる空気で流体継手を一層効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る芝刈機(実施例1)を示す側面図である。
【図2】図1の芝刈機の要部を示す断面図である。
【図3】図2の要部を拡大した状態を示す断面図である。
【図4】図3のトルコン囲み部材を示す斜視図である。
【図5】図4のトルコン囲み部材を断面で示す斜視図である。
【図6】本発明に係るトルコン囲み部材(実施例2)を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るオイルパン/トルコン囲み部材(実施例3)を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るハウジングユニット(実施例4)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0016】
実施例1に係る芝刈機10について説明する。
図1に示すように、芝刈機10は、芝刈機10のフレームを構成するハウジングユニット11と、ハウジングユニット11の前部に回転自在に設けられた左右の前輪12と、ハウジングユニット11の後部に設けられた左右の後輪13と、ハウジングユニット11の後部から後上方に向けて延出されたハンドル14とを備えている。
【0017】
さらに、芝刈機10は、ハウジングユニット11の上部に設けられたエンジン(駆動源)15と、エンジン15の出力軸16に連結された後輪駆動部17と、エンジン15の出力軸16に連結されたトルクコンバータ(流体継手)18と、トルクコンバータ18の出力軸(以下、「トルコン出力軸」という)19に連結されたクラッチ/ブレーキ装置21と、クラッチ/ブレーキ装置21の出力軸(以下、「クラッチ/ブレーキ出力軸」という)22に設けられた刈刃23とを備えている。
【0018】
図2に示すように、ハウジングユニット11は、トルクコンバータ18の下方に設けられるとともに刈刃23の周囲を覆うハウジング31(図1も参照)と、ハウジング31内に設けられてクラッチ/ブレーキ装置21を収容するクラッチ/ブレーキ囲み部材32と、ハウジング31の上部中央31aに設けられてトルクコンバータ18を収容するトルコン囲み部材(囲み部材)33とを備えている。
【0019】
ハウジング31は、平面視略矩形状に形成された天井パネル部35と、天井パネル部35の周縁から下方に向けて張り出された周壁部36とを備え、下部31bが開口されたケースである。
このハウジング31は、天井パネル部35および周壁部36で収納空間38が形成されている。収納空間38は、下部31bの開口を経てハウジング31の外部に連通されている。
【0020】
ハウジング31の前部31cに左右の前輪12が回転自在に設けられ、ハウジング31の後部31dに左右の後輪13が設けられている。
左右の後輪13は、後輪駆動部17および連結手段41を介してエンジン15の出力軸16に連結されている。後輪駆動部17は、ハウジング31内の収納空間38のうち後部に収容されている。
エンジン15の動力が連結手段41および後輪駆動部17を経て左右の後輪13に伝えられる。
【0021】
エンジン15の出力軸16は、鉛直状に設けられ、下端部16aがエンジン15のオイルパン43を貫通してトルコン囲み部材33内に延出されている。
オイルパン43は、エンジン15の潤滑油を蓄える容器(部材)である。
出力軸16の下端部16aにトルクコンバータ18が連結されている。トルクコンバータ18はトルコン囲み部材33内に収容されている。
【0022】
トルクコンバータ18は、エンジン15とその動力により回転する刈刃23(具体的には、クラッチ/ブレーキ装置21)との間に介装されている。
このトルクコンバータ18は、ポンプ、タービンおよびステータを備え、エンジン15の動力を流体(オイル)の運動エネルギーを用いてクラッチ/ブレーキ装置21に伝達する装置である。
【0023】
具体的には、エンジン15の出力軸16が回転することにより、トルクコンバータ18のポンプが回転し、ポンプからタービンにオイルを送る。ポンプから送られたオイルでタービンが回転する。ポンプを回転させたオイルはステータを経てポンプに戻る。
タービンが回転することで、タービンの回転がトルコン出力軸19に伝えられ、トルコン出力軸19がエンジン15の出力軸16と同じ方向に回転する。
【0024】
トルクコンバータ18をエンジン15と刈刃23(具体的には、クラッチ/ブレーキ装置21)との間に介装することで、刈刃23にかかる(作用する)負荷の変動をトルクコンバータ18で吸収してエンジン15に伝わらないようにできる。
【0025】
このトルクコンバータ18は、外周壁(外面)18aに複数の案内羽根45(図5参照)を備えている。
複数の案内羽根45は、トルクコンバータ18の回転により空気を送るための部材である。
複数の案内羽根45については後で詳しく説明する。
【0026】
トルコン出力軸19は、鉛直状に設けられ、下端部19aがクラッチ/ブレーキ囲み部材32内に延出されている。
トルコン出力軸19の下端部19aにクラッチ/ブレーキ装置21が連結されている。クラッチ/ブレーキ装置21はクラッチ/ブレーキ囲み部材32内に収容されている。
【0027】
クラッチ/ブレーキ出力軸22は、鉛直状に設けられ、下端部22aが収納空間38に露出されている。
収納空間38に露出された下端部22aに支持ブラケット24を介して刈刃23が設けられている。
【0028】
クラッチ/ブレーキ装置21は、クラッチオン/ブレーキ解除状態に切り替えたときトルコン出力軸19の回転を刈刃23に伝達可能で、一方、クラッチオフ/ブレーキ作動状態に切り替えたときトルコン出力軸19を回転させるとともに刈刃23を停止可能な装置である。
クラッチ/ブレーキ装置21をクラッチオン/ブレーキ解除状態に切り替えてトルコン出力軸19の回転を刈刃23に伝達することで刈刃23が回転する。
【0029】
ここで、クラッチ/ブレーキ装置21を設けることで、エンジン回転数をアイドル状態まで下降させた状態で、トルクコンバータ18特有の、いわゆる連れ回り現象を防いで刈刃23を確実に静止状態に保持できる。
【0030】
図3に示すように、刈刃23は、回転した状態において、刈刃23の周辺(上方や下方)から空気(外気)を引き込んで、引き込んだ空気を機体後方に向けて送り出すように曲げ形成されている。
【0031】
具体的には、刈刃23を回転した状態において、渦流の空気の流れが形成され、刈刃23の上方から矢印Aの如く空気を引き込むとともに、刈刃23の下方から矢印Bの如く空気を引き込むことができる。
そして、引き込んだ空気を収納空間38の後方に矢印Cの如く送り出すことができる。
よって、回転中の刈刃23で刈り取った芝を収納空間38の後方に矢印Cの如く送り出し、ハウジング31の後部31dに設けられた収納袋(図示せず)に刈り取った芝を収納する。
【0032】
クラッチ/ブレーキ囲み部材32は、ハウジング31のベース51に複数のスタッド52で設けられ、ハウジング31内に収納されている。
このクラッチ/ブレーキ囲み部材32は、下部が開口され、この開口を経てハウジング31の収納空間38に連通されている。
【0033】
図3、図4に示すように、トルコン囲み部材33は、ハウジング31の上部中央31aから立ち上げられてハウジング31およびオイルパン43間に介装されている。
このトルコン囲み部材33は、周壁55が円筒状の中空体に形成され、周壁55から外側に複数のボス部56が膨出され、複数のボス部56に取付孔57が貫通され、周壁55の上端部55aに複数の空気導入孔58が形成されている。
複数の空気導入孔58は、トルクコンバータ18の上方に位置する円形の貫通孔である。
なお、空気導入孔58を円形に形成した例について説明したが、空気導入孔58の形状は適宜変更が可能である。
【0034】
オイルパン43の壁部に複数のスタッド52の上ねじ部52aがねじ結合され、複数のスタッド52に周壁55の取付孔57がそれぞれ嵌合されている。
複数の取付孔57から突出した各スタッド52の下ねじ部52bにハウジング31、クラッチ/ブレーキ囲み部材32およびベース51の取付孔が嵌合されている。
【0035】
ベース51の取付孔から突出された各下ねじ部52bにナット62がそれぞれねじ結合されている。
これにより、トルコン囲み部材33がハウジング31およびオイルパン43間に配置された状態で、ベース51およびオイルパン43に複数のスタッド52で設けられている(取り付けられている)。
【0036】
トルコン囲み部材33をハウジング31およびオイルパン43間に介装することで、トルコン囲み部材33でトルクコンバータ18の周囲が覆われている。
トルコン囲み部材33でトルクコンバータ18の周囲を覆うことで、トルクコンバータ18の周囲に筒状の空洞64が形成されている。
【0037】
ベース51は、トルコン囲み部材33の筒状の空洞64に臨む部位に複数の空気導出孔66が形成されている。
よって、トルコン囲み部材33の筒状の空洞64が、複数の空気導出孔66を介してハウジング31の収納空間38に連通されている。
【0038】
よって、刈刃23が回転した状態において、クラッチ/ブレーキ囲み部材32内の空気を矢印Aの如く刈刃23に向けて導くことで、筒状の空洞64の空気を複数の空気導出孔66を経てクラッチ/ブレーキ囲み部材32に矢印Dの如く導くことができる。
筒状の空洞64の空気をクラッチ/ブレーキ囲み部材32内に導くことで、トルコン囲み部材33外の空気を複数の空気導入孔58を経て筒状の空洞64に矢印Eの如く導くことができる。
【0039】
以上説明したように、芝刈機10によれば、図3に示すように、トルコン囲み部材33外の空気を複数の空気導入孔58を経て筒状の空洞64に導き、筒状の空洞64に導いた空気を複数の空気導出孔66を経てクラッチ/ブレーキ囲み部材32内に導くことができる。
よって、筒状の空洞64を外気(冷気)を導入するための空気の流路として用いることができる。
【0040】
筒状の空洞64を空気の流路として利用することで、筒状の空洞64を流れる空気でトルクコンバータ18を冷却することができる。
トルクコンバータ18を冷却することで、トルクコンバータ18内の流体(オイル)を適温状態に維持(冷却)することができる。
これにより、トルクコンバータ18のオイル交換時期(メンテナンスインターバル)を長くすることができる。
【0041】
さらに、トルクコンバータ18の周囲を覆うトルコン囲み部材33を、トルクコンバータ18の冷却部材として兼用することができる。
これにより、トルクコンバータ18を冷却する専用の部材を不要にでき、部品点数の増加を防いで重量増加やコスト増大を抑えることができる。
【0042】
ここで、図5に示すように、トルクコンバータ18は、トルクコンバータ18の外周壁18aに複数の案内羽根45を備えている。
よって、トルクコンバータ18が作動して外周壁18aが回転することにより、外周壁18aとともに複数の案内羽根45が矢印Fの如く回転する。
【0043】
複数の案内羽根45が回転することで、筒状の空洞64の空気を複数の空気導出孔66に向けて下方に導く(送る)ことができる。
よって、筒状の空洞64の空気を複数の空気導出孔66を経てクラッチ/ブレーキ囲み部材32にさらに良好に導くことができる。
これにより、筒状の空洞64を流れる空気でトルクコンバータ18を一層効率よく冷却することができる。
【0044】
つぎに、実施例2〜4を図6〜図8に基づいて説明する。
なお、実施例2〜4において実施例1の芝刈機10と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0045】
実施例2に係るトルコン囲み部材(囲み部材)70について説明する。
図6に示すように、トルコン囲み部材70は、実施例1のトルコン囲み部材33に備えた複数の空気導入孔58に代えて複数の空気導入凹部72を備えたものである。
【0046】
複数の空気導入凹部72は、トルコン囲み部材70の周壁55のうち上縁55bに形成されている。
トルコン囲み部材70をハウジング31およびオイルパン43間に介装することで、周壁55の上縁55bがオイルパン43の底部43aに当接する。
【0047】
よって、オイルパン43の底部43aおよび空気導入凹部72で空気導入用の開口部(以下、「空気導入孔」という)73が略矩形状に形成される。
空気導入孔73は、実施例1の空気導入孔58と同様に、トルクコンバータ18の上方に位置する。
なお、空気導入孔73を略矩形状に形成した例について説明したが、空気導入孔73の形状は適宜変更が可能である。
【0048】
以上説明した実施例2のトルコン囲み部材70によれば、トルコン囲み部材70外の空気を複数の空気導入孔73を経て筒状の空洞64に導き、筒状の空洞64に導いた空気を複数の空気導出孔66を経てクラッチ/ブレーキ囲み部材32内に導くことができる。
これにより、実施例1と同様に筒状の空洞64を空気の流路として用いることができ、筒状の空洞64を流れる空気でトルクコンバータ18を冷却することができる。
【0049】
加えて、トルコン囲み部材70の周壁55のうち上縁55bに複数の空気導入凹部72を加工することで、空気導入孔73を形成することができる。
これにより、複数の空気導入凹部72を加工するだけの簡単な加工で空気導入孔73を得ることができ、空気導入孔73を加工する場合と比較してコストを抑えることができる。
【実施例3】
【0050】
実施例3に係るオイルパン/トルコン囲み部材80について説明する。
図7に示すように、オイルパン/トルコン囲み部材80は、実施例1のオイルパン43に実施例1のトルコン囲み部材33を一体に形成したものである。
【0051】
すなわち、オイルパン/トルコン囲み部材80は、周壁81が矩形筒状の中空体に形成され、周壁81の四隅に取付孔82が貫通され、周壁81の上縁81aの下方に所定間隔をおいて仕切底部83が形成され、仕切底部83にエンジン15(図2参照)の出力軸16が貫通され、周壁81のうち仕切底部83の下方に複数の空気導入孔58が形成されている。
【0052】
よって、オイルパン/トルコン囲み部材80は、上半部にオイルパン部84を備え、かつ、下半部にトルコン囲み部(囲み部材)85を備えている。
オイルパン部84は、オイルパン/トルコン囲み部材80の上半部に周壁81の上半部および仕切底部83で形成された部位である。
トルコン囲み部85は、オイルパン/トルコン囲み部材80の下半部に周壁81の下半部および複数の空気導入孔58で形成された部位である。
【0053】
このオイルパン/トルコン囲み部材80は、ハウジング31およびエンジン15のシリンダブロック87間に介装されている。
これにより、オイルパン部84は、実施例1のオイルパン43と同様に、シリンダブロック87の下方に設けられている。
また、トルコン囲み部85は、実施例1のトルコン囲み部材33と同様に、トルクコンバータ18(図4参照)を覆うように設けられている。
【0054】
トルコン囲み部85でトルクコンバータ18の周囲を覆うことで、トルクコンバータ18の周囲に筒状の空洞64が形成されている。
この状態で、複数の空気導入孔58は、トルクコンバータ18の上方に位置する。
【0055】
よって、実施例3のオイルパン/トルコン囲み部材80によれば、オイルパン/トルコン囲み部材80外の空気を複数の空気導入孔58を経て筒状の空洞64に導き、筒状の空洞64に導いた空気を複数の空気導出孔66を経てクラッチ/ブレーキ囲み部材32(図3参照)内に導くことができる。
これにより、実施例1と同様に筒状の空洞64を空気の流路として用いることができ、筒状の空洞64を流れる空気でトルクコンバータ18(図4参照)を冷却することができる。
【0056】
加えて、オイルパン/トルコン囲み部材80はオイルパン部84およびトルコン囲み部85が一体に形成されている。
これにより、芝刈機10の部品点数を減らすとともに組付け工数を減らしてコストを抑えることができる。
【実施例4】
【0057】
実施例4に係るハウジングユニット90について説明する。
図8に示すように、ハウジングユニット90は、実施例1のハウジング31にトルコン囲み部材91を一体に形成したもので、その他の構成は実施例1のハウジングユニット11と同様である。
【0058】
トルコン囲み部材91は、ハウジング31の上部中央31aから一体に立ち上げられ、ハウジング31およびオイルパン43間に介装されてトルクコンバータ18を収容する筒体である。
このトルコン囲み部材91は、周壁92が円錐台筒状の中空体に形成され、周壁92の上端部92aに複数の空気導入孔93が円形に形成されている。
なお、空気導入孔93を円形に形成した例について説明したが、空気導入孔93の形状は適宜変更が可能である。
【0059】
トルコン囲み部材91内にカラー95が配置され、配置されたカラー95に複数のスタッド52が貫通されている。
複数のスタッド52の上ねじ部52aがオイルパン43の壁部にねじ結合されている。
また、複数のスタッド52の下ねじ部52bがナット62でベース51に取り付けられている。
よって、トルコン囲み部材91がハウジング31およびオイルパン43間に介装されている。
複数の空気導入孔93は、トルクコンバータ18の上方に位置する。
【0060】
以上説明した実施例4のハウジングユニット90によれば、トルコン囲み部材91外の空気を複数の空気導入孔93を経て筒状の空洞64に導き、筒状の空洞64に導いた空気を複数の空気導出孔66を経てクラッチ/ブレーキ囲み部材32内に導くことができる。
これにより、実施例1と同様に筒状の空洞64を空気の流路として用いることができ、筒状の空洞64を流れる空気でトルクコンバータ18を冷却することができる。
【0061】
加えて、ハウジングユニット90のハウジング31にトルコン囲み部材91が一体に形成されている。
これにより、芝刈機10の部品点数を減らすとともに組付け工数を減らしてコストを抑えることができる。
【0062】
なお、本発明に係る芝刈機10は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例1〜4では、流体継手としてトルクコンバータ18を例示したが、これに限らないで、フルードカップリング(いわゆる、狭義の流体継手)などの他の流体継手を用いることも可能である。
【0063】
また、前記実施例1〜4では、トルクコンバータ18にクラッチ/ブレーキ装置21を介して刈刃23を連結した例について説明したが、これに限らないで、クラッチ/ブレーキ装置21を備えないでトルクコンバータ18に刈刃23を直接連結することも可能である。
【0064】
さらに、前記実施例1〜4で示したハウジングユニット11,90、エンジン15、トルクコンバータ18、刈刃23、ハウジング31、トルコン囲み部材33,70,85,91、案内羽根45、空気導入孔58,73,93、筒状の空洞64およびオイルパン/トルコン囲み部材80などの形状は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、駆動源とその動力により回転する刈刃との間に流体継手が介装された芝刈機への適用に好適である。
【符号の説明】
【0066】
10…芝刈機、11,90…ハウジングユニット、15…エンジン(駆動源)、18…トルクコンバータ(流体継手)、18a…トルクコンバータの外周壁(外面)、23…刈刃、31…ハウジング、33,70,85,91…トルコン囲み部材(囲み部材)、45…案内羽根、58,73,93…空気導入孔、64…筒状の空洞、80…オイルパン/トルコン囲み部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源とその動力により回転する刈刃との間に流体継手が介装された芝刈機であって、
前記刈刃の周囲を覆うとともに前記流体継手の下方に設けられたハウジングと、
前記ハウジングから立ち上げられて前記流体継手の周囲を覆うことで、前記流体継手の周囲に筒状の空洞を形成する囲み部材と、
を備え、
前記筒状の空洞を空気の流路として用いることを特徴とする芝刈機。
【請求項2】
前記流体継手の外面に、前記流体継手の回転により空気を送る案内羽根を備えたことを特徴とする請求項1記載の芝刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−72202(P2011−72202A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224177(P2009−224177)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】