説明

芝草の集草装置

【課題】刈り取った芝草を収容する収容容器のスペースを有効に利用できると共に、刈取り集草作業の効率が向上する芝草の集草装置の提供である。
【解決手段】走行車体1に設けたモーア13により刈り取られた芝草を収容するための開放部67を前部に備えた収容容器66と、収容容器66に芝草を収容する作業姿勢と該作業姿勢から芝草を排出する排出姿勢に切り替える姿勢切替手段(69又は172など)とを備え、姿勢切替手段(69又は172)は作業姿勢から収容容器66を後方下りに傾斜させると共に芝草を開放部67近傍から後方に移動させる芝草移動機能を有する芝草の集草装置である。収容容器66前部の芝草が後方へ移動するため、収容容器66のスペースを有効に利用できると共に、刈取り集草作業が続行可能となる。また、収容容器66を満杯にすることができ、芝草の排出作業の回数が少なくなって、作業効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝刈機などに装備され、刈り取った草を収容する集草装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来モーアを車体前部又は下部に装着した乗用芝刈機は、該モーアで刈り取った芝草を車体下方に配したシュータ(ダクト)を介して車体後部のコレクタ(収容容器)にブロアにより送風搬送して集草する構成となっている。
モーアは2連刃又は3連刃からなる回転刃(刈刃)を備えており、これらの回転刃で芝等の草を刈り取る。そして、刈り取った芝草は回転刃の勢いにより後方のシュータ及びコレクタまで飛ばされる。
【0003】
シュータはモーアの左右方向中間部に設けられ、前後方向に長手方向を有して芝草の搬送通路を形成している。このシュータの底面は側面視で後方上り傾斜であり、すなわち前方から後方に掛けて高くなっている。そして、シュータを通過した芝草はコレクタの前部に形成された収容口からコレクタ内に収容される。コレクタの収容口から芝草が入り込み、満杯になるとコレクタの上方後端部を支点として回動し、コレクタ前面からコレクタ内の芝草が放出される。
【0004】
下記特許文献1には、芝刈作業時には後部が後上がり姿勢となっているコレクタが開示されており、この構成により、傾斜地での作業時でもコレクタの後端部が地面に当接することがなく、従って凹凸の多い傾斜地で作業しているときにコレクタを変形させたりする恐れがない。
【0005】
また、走行車体に対してコレクタが上下動するように、走行車体とコレクタとの連結部に昇降リンク機構を設け、芝草の排出時にはコレクタを上動させて比較的高い位置から芝草を排出する乗用芝刈機(ハイダンプ)もある。このタイプの乗用芝刈機では、刈取作業を終えてコレクタ内が満杯になると、コレクタを上方へ持ち上げて、高い位置からコレクタ内の芝草を放出するが、コレクタを上方へ持ち上げる際に芝草がコレクタの収容口から零れ落ちることがある。特に、コレクタの後部が後上がり姿勢となっている場合は、そのままコレクタを上方へ持ち上げた場合にコレクタ前部の収容口から芝草が零れ落ちやすい。
【0006】
下記特許文献1には、このような芝草の零れ落ちを防止するために、刈取作業を終えてコレクタを上方へ持ち上げたときには、コレクタ前面に設けた開口部(収容口)が上向き姿勢となるように支持された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−130799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1記載の芝草の集草装置によれば、上述の構成により、傾斜地での作業が安心して行えると共に、コレクタを上方へ持ち上げた場合でもコレクタ内の芝草の零れ落ちを防止することができる。
一方、モーアの回転刃により刈り取られた芝草は回転刃の勢いで後方へ飛ばされるが、シュータの底面は側面視で後方上り傾斜であり、更にコレクタの後部も後上がり姿勢となっているために、芝草は坂道を上るようにしてようやくコレクタ内部に辿り着く。
【0009】
したがって、比較的コレクタの前部に芝草が溜まりやすく、コレクタの収容口付近で芝草が詰まることがある。このような場合はコレクタに十分な収容力(スペース)があっても有効に利用できず、刈取り作業を一旦停止しなければならない。そして、掻き寄せ棒のようなものをコレクタの上から差し込んで集草を後方に寄せる必要がある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、刈り取った芝草を収容する収容容器のスペースを有効に利用できると共に、刈取り集草作業の効率が向上する芝草の集草装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、走行車体(1)に設けられたモーア(13)と、モーア(13)の後方に設けられ、該モーア(13)により刈り取られた芝草を収容するための開放部(67)を前部に備えた収容容器(66)と、該収容容器(66)に芝草を収容する作業姿勢と該作業姿勢から芝草を排出する排出姿勢に切り替える姿勢切替手段(69又は172など)とを備え、該姿勢切替手段(69又は172など)は前記作業姿勢から収容容器(66)を後方下りに傾斜させて収容した芝草を前記開放部(67)近傍から後方に移動させる芝草移動機能を有する芝草の集草装置である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記収容容器(66)と走行車体(1)との間に設けられ、前記排出姿勢時には前記作業姿勢時の所定位置から収容容器(66)を走行車体(1)に対して上昇させて、前記作業姿勢時には前記上昇位置から収容容器(66)を下降させて前記所定位置に戻す上下動手段(146,160,162,169など)と、前記収容容器(66)の後部に設けられ、収容容器(66)内の芝草を排出するための排出口(66a,66b)と、該排出口(66a,66b)の外側に設けられ、開閉手段(172,215など)を備えた収容容器(66)のドア部(70)と、前記作業姿勢時の所定位置における芝草移動機能による収容容器(66)の後方下り傾斜時に前記ドア部(70)の開閉手段(172,215など)による開動を規制するドア部規制手段(200,203,210など)と、前記上下動手段(146,160,162,169など)による収容容器(66)の上昇に連動して前記ドア部規制手段(200,203,210など)の開動規制を解除するドア部規制解除手段(160,162,205,207など)とを備え、前記姿勢切替手段(172など)は、該ドア部規制解除手段(160,162,205,207など)によって開動規制が解除されたドア部(70)を前記芝草移動機能による収容容器(66)の後方下り傾斜作動に連動して前記開閉手段(172,215など)により開動させることで収容容器(66)内の芝草を前記排出口(66a,66b)から排出する芝草排出機能を有する請求項1記載の芝草の集草装置である。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記姿勢切替手段(172など)は、ドア部(70)の内面と収容容器(66)の壁面との間に設けた伸縮シリンダー(172)を備え、前記芝草移動機能は伸縮シリンダー(172)の伸張により発揮される機能であって、前記ドア部(70)の開閉手段(172,215など)は、一端部がドア部(70)の内面に連結した第1リンク(215a)と、一端部が前記伸縮シリンダー(172)のドア部(70)側端部に連結した第2リンク(215b)と、第1リンク(215a)の他端部と第2リンク(215b)の他端部が連結する連結部(S)と、第1リンク(215a)及び第2リンク(215b)上を第1リンク(215a)と第2リンク(215b)との連結部(S)における中折れ状態を許容する位置と第1リンク(215a)と第2リンク(215b)との連結部(S)であって、第1リンク(215a)と第2リンク(215b)が直線状となる位置とにスライド可能なスライド部材(217)とを備えた開閉機構(172,215a,215b,223など)を有し、該開閉機構(172,215a,215bなど)は、前記上下動手段(146,160,162,169など)による収容容器(66)の上昇に連動して前記スライド部材(217)がスライドし、第1リンク(215a)と第2リンク(215b)との中折れ状態を許容する位置から第1リンク(215a)と第2リンク(215b)が直線状となる位置に切り替わると共に前記伸縮シリンダー(172)の伸張による収容容器(66)の後方下り傾斜作動に連動してドア部(70)が開動する機構である請求項2記載の芝草の集草装置である。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記姿勢切替手段(69)は、上端部に把持部(69a)を有し、該把持部(69a)よりも下方が収容容器(66)に連結して、該収容容器(66)を収容容器(66)の前方上端部(K1)と後方上端部(K2)の二つの支点により前後方向に傾倒させるレバー(69)である請求項1記載の芝草の集草装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、芝草の収容容器(66)を作業姿勢と排出姿勢に切り替える姿勢切替手段(69又は172)は作業姿勢の状態から収容容器(66)を後方下りに傾斜させて、収容した芝草を開放部(67)から後方に移動させるための芝草移動機能を有することで、開放部(67)からは芝草は排出されず、収容容器(66)前部の芝草が後方へ移動して芝草を圧縮するため、収容容器(66)前部に空きスペースができ、刈り取った芝草を収容する収容容器(66)のスペースを有効に利用できると共に、刈取り集草作業が続行可能となる。また、収容容器(66)を満杯にすることができるため芝草の排出作業の回数が少なくなって、作業効率が向上する。
【0016】
また、請求項2記載の発明によれば、作業姿勢の状態ではドア部規制手段(200,203,210など)によりドア部(70)の開動が規制されるため、収容容器(66)が後方下り傾斜しても収容容器(66)内の芝草は排出されない。一方、上下動手段(146,160,162,169など)により収容容器(66)が上昇し、収容容器(66)が上昇状態で後方下り傾斜すると、ドア部規制解除手段(160,162,205,207など)及びドア部開閉手段(172,215など)により、ドア部(70)は開動して収容容器(66)内の芝草は排出される。
【0017】
したがって、請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、作業姿勢時には収容容器(66)に収容した芝草を開放部(67)から後方に移動させてもドア部(70)の開動が規制されるため芝草が零れ落ちることなく、収容容器(66)を満杯にすることができ、刈り取った芝草を効率よく集草することができる。一方、排出姿勢時にはドア部(70)が開動するため、収容容器(66)内の芝草を速やかに排出することができる。
【0018】
また、請求項3記載の発明によれば、上記請求項2記載の発明の効果に加えて、第1リンク(215a)と第2リンク(215b)との中折れ状態を許容する位置に設けたスライド部材(217)が、上下動手段(146,160,162,169など)による収容容器(66)の上昇に連動することにより、第1リンク(215a)と第2リンク(215b)が直線状に伸びる位置にスライドして切り替わると共に、伸縮シリンダー(172)の伸張により、容易にドア部(70)を開動させて、収容容器(66)内の芝草を速やかに排出することができる(芝草排出機能)。そして、このように芝草の排出が上下動手段(146,160,162,169など)による収容容器(66)の上昇と伸縮シリンダー(172)の伸張に連動しているため、特別な操作もせず簡便に収容容器(66)内の芝草の排出作業を行うことができる。
【0019】
また、請求項4記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、収容容器(66)の後方上端部(K2)を支点としてレバー(69)を操作すると、収容容器(66)前部の芝草が後方へ移動して芝草を圧縮するため、収容容器(66)前部に空きスペースができ、刈り取った芝草を収容する収容容器(66)のスペースを有効に利用できると共に、刈取り集草作業が続行可能となる。一方、収容容器(66)の前方上端部(K1)を支点としてレバー(69)を操作すると、収容容器(66)の前部に設けた開放部(67)から収容容器(66)内の芝草を排出できる。すなわち、一つのレバー(69)で刈取り集草作業時の収容容器(66)内の芝草の後方移動操作(芝草移動機能)と刈取り集草作業後の排出操作(芝草排出機能)を行うことができ、構成が簡素となり、簡便に両操作及び両作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の集草装置を搭載した乗用型芝刈り機の側面図である(ローダンプ仕様)。
【図2】図1の主に動力伝達系の拡大側面図である。
【図3】図2の動力伝動構成の平面図である。
【図4】図4(a)は、図1のコレクタバッグの斜視図であり、図4(b)は、コレクタバッグを支持する支持フレームの斜視図である。
【図5】コレクタバッグを回動させた場合の乗用型芝刈機の側面図である。
【図6】本発明の他の実施形態の乗用型芝刈機の側面図である(ハイダンプ仕様)。
【図7】図6の二点鎖線で示したコレクタの詳細図である。
【図8】コレクタを上昇させたときのコレクタの側面図である。
【図9】図8の状態からコレクタバッグを傾けて収容芝草を排出するときのコレクタの側面図である。
【図10】昇降リンクとスライドロック機構との連結関係を説明するための詳細図である。
【図11】スライドロック機構の構成図である。
【図12】図9のコレクタに従来のコレクタバッグのカバーを加えた図である。
【図13】本発明の一実施形態の集草装置の制御ブロック図である。
【図14】本発明の一実施形態の集草装置の制御フローの一例である。
【図15】コレクタの昇降用油圧シリンダーにカバーを設けた場合の図である。
【図16】図1に示す乗用型芝刈機の燃料タンク周辺の構図を変えた場合の乗用型芝刈機の側面図である。
【図17】図16のステップシート下部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
本発明の一実施形態の集草装置を搭載した乗用型芝刈機の側面図を図1に示し、モーア部分と車輪への動力伝動構成の側面図を図2に示し、モーア部分と車輪への動力伝動構成の平面図を図3に示す。
なお、本明細書において乗用型芝刈機の前進方向を向いて左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後ろということにする。
【0022】
車体1の前部下側に左右一対の前輪23を有したフロントアクスル24をセンタピボット25周りに揺動自在にして支架し、後部下側に左右一対の後輪26を有したリヤアクスルハウジング4を支架する。車体1の前端上に搭載したエンジン27のエンジン出力軸3の駆動回転によって、このエンジン出力軸3の後側に連結した主伝動軸6を伝動して、後輪26を駆動連動して走行することができる。このエンジン出力軸3はエンジンボディの下部で左右幅方向の中央部で、車体1幅中央部の前後方向に沿うセンタラインL(図3)の上部に沿って設ける。このエンジン出力軸3の前端部にはフライホイル28を取付け、エンジン27の後側にはラジエータ29や、ラジエータファン30等を配置し、上部をボンネット31で被覆し、これらの後側にオイルタンク32を設けて、ステアリングポスト33上にハンドル34を設けて、前記前輪23を操向連動する構成としている。
前輪23と後輪26との間には芝を刈る左右一対のブレード54をそれぞれ内装するモーアデッキ(芝刈り機)13を設けている。
【0023】
前記リヤアクスルハウジング4は、前記センタラインLに対してトレッドの一側(本実施例では左側、以下同じ)寄り位置に後輪デフギヤ機構を内装するデフケース35を形成し、このデフケース35の側部に油圧無段変速装置(HST)ケース8を一体構成し、HST入力軸9を、このケース8から直上方に向けて突出させて、プーリ36や冷却ファン37等を一体回転する構成とし、このHST入力軸9の後側にHST制御のトラニオン軸機構38を配置している。
【0024】
前記リヤアクスルハウジング4に内装した後車軸39の両端部に後輪26を軸装している。そして、前記リヤアクスルハウジング4の左右両側部から立設したリヤブラケット40の上端部間を連結フレーム(図示せず)で連結し、この連結フレームの上側にエンジン27用の燃料タンク42を搭載し、更にこの上側にステップシート43を設けている。
【0025】
前記車体1及び主伝動軸6の上側部にはステップフロア2を敷設し、このステップフロア2の後部に上方に屈曲するシートフロア44を連設して、その後端部を連結フレーム上に固定し、左右両側にはフェンダ45を形成する。
なお、主伝動軸6は、エンジン出力軸3に始端部が連結した第1伝動軸6aと、その後端に第1継手部材71(図2、図3)を介して始端部を連結し、終端部をリヤケース5内の伝動系に連結している第2伝動軸6bとからなる。
【0026】
また、主伝動軸6は、第2伝動軸6bの前部に後記のプーリ53を固定して設け、後端をリヤケース5内に延長し、ベベルギヤ48を装着する構成である。
主伝動軸6の斜め下方にはモーアデッキ13内のブレード54に主伝動軸6の動力を伝達するPTO軸11を設ける。PTO軸11はプーリ52を固定して設け、該プーリ52と第2伝動軸6bのプーリ53とをベルト12で巻回することで、第2伝動軸6bの動力を受け取る第3伝動軸11aと、第2継手部材72(図2、図3)を介して第3伝動軸11aと連結する第4伝動軸11bとから構成される。第4伝動軸11bの伝動終端部を第3継手部材73(図2、図3)を介してモーアデッキ13の入力軸15に連結する構成である。
【0027】
モーアデッキ13内のブレード54に動力を伝動する順序は第1伝動軸6a、第2伝動軸6b、ベルト12、第3伝動軸11a、第4伝動軸11b、入力軸15の順である。
後輪26に動力を伝達する伝動構成は、車体1のステップフロア2の下側を前後方向に沿って、車体前部に搭載したエンジン出力軸3からリヤアクスルハウジング4上を経て後部一側上のリヤケース5にわたる主伝動軸6を設け、このリヤケース5から垂下したリヤ出力軸7と、前記リヤアクスルハウジング4の後部一側(本例では左側)に配置したHSTケース8上のHST入力軸9との間にベルト10を掛けてリヤ出力軸7とHST入力軸9を連動させる構成である。
【0028】
図2に示すように前記リヤアクスルハウジング4の後部に配置したHSTケース8の入力軸9の動力は、このリヤケース5のリヤ出力軸7からベルト10(図2)に伝動される。前方のエンジン出力軸3の駆動回転は、車体1のセンタラインLの一側部に偏倚する主伝動軸6を経て、後端部のリヤ出力軸7、ベルト10等を伝動し、HST入力軸9を伝動すると共に、この主伝動軸6の途中部からPTO軸11をベルト12を介して伝動する。後述の支持メタル51内に油圧式のPTOクラッチ90(図13)を内装する構成とし、PTOクラッチレバー260(図13)のPTOバルブ267の切換操作でPTOクラッチ90を接続又は遮断に切り替える構成となっている。
【0029】
前記車体1の後端部には、モーアデッキ13からブレード54の回転作用で搬送されて送り込まれる芝草を収容するコレクタ16が装着されている。モーアデッキ13で刈取られた芝草は、排出口20から前記主伝動軸6やPTO軸11(第3伝動軸11a)の前側に連結したPTO軸11(第4伝動軸11b)と反対側に配置したダクト22を経て、コレクタ16に搬入、収容される。
【0030】
そして、前記リヤブラケット40に連結した連結ブラケット47に、第2伝動軸6bの後端を連結する入力軸(ベベルギヤ)48(図2)のリヤケース5を取付支持し、また、この第2伝動軸6bを軸受するメタル49(図1、図2)を取付支持する。
このリヤケース5にはベベルギヤ48を介して連動の上下方向のリヤ出力軸7を軸装して、下方に突出させてプーリ50を固定する。このプーリ50は前記HSTの入力軸9のプーリ36の後側の同高さ位置に配置されてベルト10を掛け渡して伝動する。又、前記PTO軸11は、その後端部をリヤアクスルハウジング4の左端前部に突出するメタル51に軸受けする。メタル51内にはPTOクラッチ90が内装されており、固定のプーリ52と前記上側の主伝動軸6に固定のプーリ53との間にベルト12を掛け渡して、PTO軸11を伝動回転する。このPTO軸11は上側の主伝動軸6よりも左外側下部に位置して設け、前方のモーアデッキ13上の入力軸15の略直後方部に対向させるように配置している。
【0031】
前記モーアデッキ13は、車体1腹部に装着するミッドマウント形態で、センタラインLに対して左右両側部に偏倚して左、右一対のブレード軸14を軸装し、各ブレード軸14の下端部に芝草を刈取るブレード54を有する。このモーアデッキ13は、前後下端部にゲージホイル55、56を配置し、中央上部には刈取芝草を中央後部の排出口20へ案内する排出筒77を形成する。モーアデッキ13は、上部に左右一対の平行状の前リンク57と、後リンク58を配置して、車体1に対して吊下げ、リフト機構によって水平状態を維持して昇降するように構成している。又、このモーアデッキ13上の左、右ブレード軸14上部には、ブレードケース59、60を設け、左側ブレードケース59に、前記入力軸15を軸支して、ベベルギヤ48を介してこの直下のブレード軸14を噛合連動する。なお、動力はブレードケース59からブレードケース60へブレード伝動軸62により伝動される。
【0032】
前記コレクタ16は、車体1の後端に装着する。車体1の後端部に着脱可能の取付フレーム63(図1)を設け、取付フレーム63(図1)の左右2箇所に、コレクタバッグ(収容容器)66を支持するための支持フレーム101をそれぞれ設け、該各支持フレーム101の前後方向2箇所に凹部101a(図4)を設けて、該左右前後の計4箇所の凹部101aにコレクタバッグ66の上方側部のバッグ枠68から突出するロッド80を係止させる。支持フレーム101は側面視L字型で前部が取付フレーム63(図1)に固着している。
【0033】
このコレクタバッグ66は前面が開放状態であり、排出口20から放出される芝草を搬送案内して前記リヤアクスルハウジング4の右側上部を経るダクト22から、開放部67(図4)を介してコレクタバッグ66内へ収容させる。
【0034】
コレクタバッグ66は、外周角部に沿ってバッグ枠68を形成し、このバッグ枠68の外周を通風網布で被覆して構成している。コレクタバッグ66の前面は開放された状態(壁面がない状態)で、この開放部67から芝草が収容され、搬送風は網布のメッシュ部から排出される。又、収容芝草は、コレクタバッグ66の上方に突出したハンドルレバー69を操作して後方上部へ回動することにより(前傾姿勢を取る)、この開放部67を下向きに開いて、収容している芝草を落下、排出することができる。このコレクタバッグ66の上側はカバー70で覆われている。
【0035】
前記コレクタバッグ66が芝草収容姿勢(作業姿勢)位置の時のコレクタバッグ66内上側面(図示せず)は下り傾斜面に形成して、排出作用時に残留芝草のないように形成することができる。
【0036】
図4(a)には、図1のコレクタバッグ66の斜視図を示し、図4(b)には、コレクタバッグ66を支持する支持フレーム101の斜視図を示す。
図1に示す乗用型芝刈機のコレクタ16は、ハンドルレバー69の操作によるコレクタバッグ66の回動支点を前後方向に2箇所設けた場合の乗用型芝刈機の側面図を示している。更に、図5には、図1に示すコレクタバッグ66を回動させた場合の乗用型芝刈機の側面図を示す。
【0037】
図4に示すように、コレクタバッグ66の一側(図示例では右側)に、補強フレーム81を上下のバッグ枠68間に亘って設け、該補強フレーム81には上下及び中間の3箇所にハンドルレバー69の長手方向に沿って摺動自在に挿通するブラケット83を設けている。そして、ハンドルレバー69を下端ブラケット83に差し込む収容姿勢とハンドルレバー69の把持部69aを上方(矢印A方向)に持ち上げてハンドルレバー69を下端ブラケット83から引き抜き、矢印B方向(又は矢印B方向と反対方向)に回して回転モーメントを稼ぐ作用姿勢とに切り替えて操作できる。
【0038】
ハンドルレバー69を矢印B方向(前方)に傾けると前方側のロッド80と凹部101aの係止部K1(図1)を回動支点としてコレクタバッグ66は矢印C方向に回動し、ハンドルレバー69を矢印B方向とは反対側(後方)に傾けると後方側のロッド80と凹部101aの係止部K2を回動支点としてコレクタバッグ66は矢印D方向に回動する。
【0039】
ハンドルレバー69を矢印B方向(前方)に傾けると係止部K1周りにコレクタバッグ66が後方上部へ回動することにより、コレクタバッグ66は前傾姿勢を取り(一点鎖線で示すY位置、レバー69が前方にある)、開放部67を下向きにして、収容している芝草を落下排出することができる(芝草排出機能)。一方、ハンドルレバー69を矢印B方向とは反対側(後方)に傾けると係止部K2周りにコレクタバッグ66が前方上部へ回動することによりコレクタバッグ66は後傾姿勢を取り(実線で示すZ位置、レバー69が後方にある)、コレクタバッグ66の前部の芝草を後方へ移動させることができ(芝草移動機能)、芝草を圧縮するため、コレクタバッグ66の前部に空きスペースができ、刈り取った芝草を収容するコレクタバッグ66のスペースを有効に利用できると共に、刈取り集草作業が続行可能となる。また、コレクタバッグ66を満杯にすることができ芝草の排出作業の回数が少なくなるため、作業効率が向上する。
【0040】
なお、図示したY位置やZ位置よりもコレクタバッグ66が前傾又は後傾可能であることは言うまでもない。また、図示しないが、ダクト22の後部底面を弾性体で形成したり、コレクタバッグ66とダクト22間に弾性体等の部材を設けたりすることで、コレクタバッグ66が後傾しても、コレクタバッグ66の前端部とダクト22の後部との干渉は緩和される。
【0041】
本構成を採用することにより、同じ(一つの)ハンドルレバー69で排出姿勢(前傾姿勢)と移動圧縮姿勢(後傾姿勢)の2つの姿勢が得られる。従来は、ハンドルレバー69を操作してコレクタバッグ66を後方上部へ回動させる前傾姿勢によって芝草を排出させるものしかなかったが、このように同じハンドルレバー69でコレクタバッグ66を前方上部へ回動させる後傾姿勢を可能としたことで、簡素な構成ながら芝草の排出と移動圧縮が行え、コレクタバッグ66の充填率も向上する。また、従来の排出姿勢のみの場合は、すぐにコレクタバッグ66が満杯になって芝草を排出しなければならなかったが、本構成によれば、従来よりも多くの芝草を収容することができるため、芝草を排出する作業回数が少なくなる。また、わざわざ掻き寄せ棒のようなものをコレクタバッグ66の上から差し込んで集草を後方に寄せる必要もなく、刈取作業の能率も向上する。
【0042】
図1〜図5に示すコレクタ16はいわゆるローダンプ仕様といって、比較的地面近くの低い位置でこれを回動させて収容している刈草を排出させるものである。そして、ハンドルレバー69を操作することで、コレクタバッグ66が係止部K1(図1)を中心として回動し、収容している芝草を落下、排出する。
一方、機体とコレクタバッグ66上面前部との間に1本の単動式の油圧シリンダー(図示せず)を介装し、この油圧シリンダーを伸縮させることによってコレクタバッグ66が係止部K1(図1)を中心として回動させるようにしても良い。
【0043】
図6には、本発明の他の実施形態の乗用型芝刈機の側面図を示す。
図6に示す乗用型芝刈機は、いわゆるハイダンプ仕様のコレクタ16を取り付けている。ハイダンプ仕様のコレクタ16はトラック等への荷台に刈った草を落とし込むために放出位置を高くしたもので、マスト部146の長さが長く、2本のリンク機構(昇降リンク160,162)と昇降用の油圧シリンダー169、ダンプ用の油圧シリンダー172を具備している。モーアデッキ13はリンク機構116により昇降自在に取り付けられている。このリンク機構116は前後のリンク片116a,116bを左右一対にして設けたもので平行リンクを構成し、牽引ロッド117の昇降操作によって、モーアデッキ13を地面に対して略平行な状態で昇降させることができる。
なお、モーアデッキ13の昇降は手動レバー操作によるが電動モータや油圧シリンダー等のアクチュエータにより行う。昇降操作はレバーでもスイッチ操作でも良い。
【0044】
図7には、図6の二点鎖線で示したコレクタ16の詳細図を示し、図8には、コレクタ16を上昇させたときのコレクタ16の側面図を示し、図9には図8の状態からコレクタバッグ66を傾けて収容芝草を排出するときのコレクタ16の側面図を示す。
図6〜図9に基づいて、ハイダンプ仕様のコレクタバッグ66について説明する。
左右のマスト146,146上部に設けた2つの上部回動支点158,159には2本の昇降リンク160,162が枢着されている。
【0045】
2本の昇降リンク160,162は後部が下向に屈曲していてそれらの後端部には側面から見てく字型の縦リンク163,163が下部回動支点(連結部)164,165において取り付けられている。前側の上部回動支点158,159間の距離に比べて下部回動支点164,165間の距離は短く、また、上リンク160の支点158,164間距離に比べて下リンク162の支点159,165間距離の方が短い構成となっている。
【0046】
これは、作業時にはコレクタバッグ66の後部が前部よりも高く傾斜し(図7)、昇降リンク160,162を上昇させたときにはコレクタ40の前部が後部よりも高く傾斜する(図8)ようにするためである。前記縦リンク163,163の中間部に設けた支点168によりコレクタバッグ66を回動枢支する。マスト146,146下部と下リンク162,162との間には昇降用の油圧シリンダー169を取り付け、油圧昇降レバー255(図13)を操作して昇降バルブ265の上昇側油路を開くことで作動油を油圧シリンダー169内に導けばコレクタ16が上昇し、反対に油圧昇降レバー255を下げ側に操作すると昇降バルブ265の上昇側油路が閉じて下降側油路が開放し油圧シリンダー169内の作動油がタンク側に排出されてコレクタ16が下降するように構成している。そして、これら左右のマスト146,146、昇降リンク160,162、昇降用の油圧シリンダー169などはコレクタ16(コレクタバッグ66)の上下動手段として機能する。
【0047】
図7の状態が芝草収容姿勢(刈取作業姿勢)であり、図8の状態が上昇時の排出姿勢である。これらの図から明らかなように作業姿勢ではコレクタバッグ66の後部が尻上り状態に支持されているので、コレクタバッグ66の後部が地面に当接する恐れがなく、傾斜地での作業でコレクタバッグ66が地面に当たって変形するといった不具合を無くすことができる。反対に油圧シリンダー169内に作動油を供給してコレクタ16を上昇させたときには前上がりとなるのでコレクタバッグ66前面に設けた開放部67から草が零れ落ちるといった不具合をなくすことができる。
【0048】
コレクタバッグ66の外側にはコレクタバッグ66と一体に形成された枠体170があり、この枠体170は側面から見ると倒T字形状をしており、この長辺170a部分にコレクタバッグ66の回動支点168を設け、縦リンク163,163の上部と枠体170の短辺170bとの間にダンプ用の油圧シリンダー172を介装連結している。ダンプ用の油圧シリンダー172を伸ばすと支点168を中心としてコレクタバッグ66が時計方向に回動する。
【0049】
なお、このハイダンプ仕様のコレクタバッグ66は上面と背面が大きく開口しており、収容している刈草をこの開口部から放出するものである。常態では上面も背面も樹脂製のカバー70で覆われており、草がこれら上部開口部66aと背面開口部66bから零れ落ちることはない。前記カバー70は上面水平部70aと後面垂直部70bが一体でも良いが、途中で前後に2分割しても良い。
【0050】
次に、芝草の集草作業について説明する。
コレクタ16を最も下げた位置(芝草収容姿勢位置であり、作業位置ともいう)において、コレクタバッグ66の後部が尻上り状態に支持されており(図7の状態)、モーアデッキ13のブレード54により刈り取られた芝草はブレード54の回転作用で搬送されてコレクタバッグ66に送り込まれるが、ダクト22の底面は側面視で後方上り傾斜であり、更にコレクタバッグ66の後部も後上がり姿勢となっているために、芝草は坂道を上るようにしてようやくコレクタバッグ66の内部に辿り着く。
【0051】
したがって、比較的コレクタバッグ66の前部に芝草が溜まりやすく、芝草が収容される入り口となる開放部67付近で芝草が詰まることがある。このような場合はコレクタバッグ66に十分な収容力(スペース)があっても有効に利用できず、刈取り作業を一旦停止しなければならない。そして、掻き寄せ棒のようなものをコレクタの上から差し込んで集草を後方に寄せる必要がある。
【0052】
図7に示す昇降シリンダ169の短縮状態では昇降リンク160,162が下降しており、コレクタバッグ66も作業姿勢(作業位置)にある。そこで、ダンプ用の油圧シリンダー172を伸ばすとコレクタバッグ66は、回動支点168(T型枠体170に連結)回りに後傾する。このとき、カバー70が開かないように、カバー70側のピン200とコレクタバッグ66側のフック203とが係合状態を維持する構成とする。
【0053】
昇降リンク160,162の下リンク162には、該下リンク162の長手方向に略直交する方向に長手方向を有するブラケット205が固着しており、該ブラケット205の上リンク160側端部(図示例では上端部)205aにカバー70をロックするためのワイヤ207の端部が連結している。ワイヤ207の他端部はカバー70に固着したピン200に係合するフック203の上部に連結し、フック203の基部とワイヤ207間に設けたバネ(弾性部材)210によって、フック203はカバー70のピン200に係合状態となるよう付勢されている。ワイヤ207が弛むように、ワイヤ207の長さをブラケット205の上端部205aとフック203の上部間の距離よりも長くすることで、カバー70側のピン200とコレクタバッグ66側のフック203とにより係合状態が維持されてカバー70の開動が規制される。これらピン200、フック203、バネ210などは、コレクタバッグ66のドア部としてのカバー70の開動を規制するドア部規制手段として機能する。
【0054】
そして、ダンプ用の油圧シリンダー172を伸ばした場合、カバー70は閉じたままの状態でコレクタバッグ66を後傾させることができる。この時、図6の実線状態のように、後述する開閉リンク215の第1リンク215aと第2リンク215bとは屈曲(屈折)状態になって、カバー70が開かない(開動作用を付与しない)。また、図示しないが、ダクト22の後部底面を弾性体で形成したり、コレクタバッグ66とダクト22間に弾性体等の部材を設けたりすることで、コレクタバッグ66が後傾しても、コレクタバッグ66の前端部とダクト22の後部との干渉は緩和される。
【0055】
そして、コレクタバッグ66の前部の芝草を後方へ移動させることができ(芝草移動機能)、芝草を圧縮するため、コレクタバッグ66の前部に空きスペースができ、刈り取った芝草を収容するコレクタバッグ66のスペースを有効に利用できると共に、刈取り集草作業が続行可能となる。
【0056】
一方、昇降リンク160,162が上昇状態では、図8に示すように、昇降リンク160,162が下降状態の場合と比べてブラケット205の上端部205aとフック203の上部間の距離は長くなるため、ワイヤ207が弛む余裕がなくなって引かれる。
すなわち、昇降リンク160,162が下降状態では、側面視で上リンク160側端部205aはブラケット205の後部に位置するためブラケット205の上端部205aとフック203の上部間の距離は比較的短くなるが、昇降リンク160,162が上昇状態では、昇降リンク160,162の上昇に伴いブラケット205が回転し、側面視で上リンク160側端部205aはブラケット205の前部に位置するためブラケット205の上端部205aとフック203の上部間の距離は比較的長くなる。
【0057】
したがって、昇降リンク160,162が上昇状態では、ワイヤ207は引かれて、フック203基部のバネ210の付勢力に抗してフック203は回動し、ピン200から外れてカバー70の規制を解除できる。
このように、昇降リンク160,162が下降状態では、一端がフック203に連結し、他端が前記昇降リンク160,162のうち下リンク162に設けたブラケット205の上端部205aに連結したワイヤ207の引き作動が生じない(弛い)ため、フック203はバネ210によりカバー70に固着したピン200に係合する状態を保持する一方、昇降リンク160,162が上昇状態では、ワイヤ207が張ってバネ210の付勢力に抗してワイヤ207の引き作動が生じ、フック203が回動することでカバー70の規制を解除できる。これら昇降リンク160,162、ブラケット205、ワイヤ207などは、カバー70の開動の規制を解除するドア部規制解除手段として機能する。
【0058】
また、この集草装置は、カバー70の開閉のため、カバー70の支点70cの後方部に開閉リンク215の上端を連結し、前記ダンプシリンダ172の伸張作用でコレクタバッグ66の前記後傾作動を行うと同時に開閉リンク215の突っ張り作用で支点70c回りにL型のカバー70を開くことができる構成となっている。開閉リンク215はカバー70側に連結している第1リンク215aとダンプシリンダ172側に連結している第2リンク215bとからなり、スライドロック機構Rにより第1リンク215aと第2リンク215bが屈折可能又は屈折不能の直線状態に切替わる構成となっている。第2リンク215bはボルト224及びナット225によってダンプシリンダ172及び縦リンク163の上端部に回動可能に連結している。カバー70の開閉手段として、これら第1リンク215a、第2リンク215b、スライドロック機構R、ダンプシリンダ172などからなる開閉機構を構成している。
【0059】
図10には、昇降リンク160,162とスライドロック機構Rとの連結関係を説明するための詳細図を示し、図11には、スライドロック機構Rの構成図を示す。
スライドロック機構Rは、第1リンク215aと第2リンク215bの枢支部(連結部S)にスライド移動して、これら両リンク215a,215bを直線状にロックするプレート状のスライド部材217と、該スライド部材217を非ロック位置(中折れ状態可能位置)に付勢するバネ(弾性部材)220と、該バネ220に抗してロック位置に引き作動するワイヤ223からなり、ワイヤ223の一端は前記スライド部材217にボルト224及びナット225によって連結し、他端は縦リンク163の係止部(アウターワイヤが固定されている)163aを介して前記昇降リンク160,162の下リンク162に設けたブラケット205の上リンク160側とは反対側端部(図示例では下端部)205bに連結している。
【0060】
そして、ワイヤ223とスライド部材217との連結部にあるボルト(ピン)224はワイヤ223の引き作用とバネ220の付勢力によって第1リンク215a内の長孔215aa内を摺動することで、スライド部材217は矢印J方向及び矢印J方向とは反対方向にスライドする。
【0061】
昇降リンク160,162が下降状態において(図7)、ダンプ用の油圧シリンダー172が短縮している場合、ワイヤ223は弛んでスライド部材217はバネ220に引かれて矢印J方向にスライドすることで第1リンク215aと第2リンク215bの連結部(支点部)Sが現われて連結部Sを支点として屈折(中折れ)可能となる。そして、図7の状態からダンプ用の油圧シリンダー172を伸ばした場合、図6の実線で示す状態(後傾姿勢)となる。ダンプ用の油圧シリンダー172が伸びると、コレクタバッグ66が回動支点168回りに後傾するが、カバー70はフック203との係合状態によって開動が規制されてるため、すなわちドア部規制手段が機能する。なお、フック203が外れているとカバー70がその自重でばたばたするので、フック203で規制している。
【0062】
そして、コレクタバッグ66が後傾しても(図6の実線状態)縦リンク163の係止部163aとピン224間の距離は殆ど変わらず、スライド部材217はワイヤ223に引かれることはない。したがって、ワイヤ223はバネ220によって引かれて矢印J方向にスライドした状態を保ち、第1リンク215aと第2リンク215bは屈折可能状態を保持する。
【0063】
一方、昇降リンク160,162が上昇状態では、図8に示すように、縦リンク163の係止部163aとブラケット205の下端部205b間の距離が長くなってワイヤ223の弛みが少なくなってワイヤ223が突っ張り、スライド部材217が矢印J方向とは反対方向に引かれて支点部Sがロックされることで、第1リンク215aと第2リンク215bは屈折可能状態から屈折不可の直線状態に切り替わる。そして、図9に示すように、ダンプ用の油圧シリンダー172が伸びると、コレクタバッグ66が回動支点168回りに後傾し、カバー70の規制が解除されていることからカバー70が開く。
【0064】
コレクタ16が上昇して第1リンク215aと第2リンク215bが直線状態になってもカバー70は開かないが(図8の状態)、第1リンク215aと第2リンク215bが直線状態で、且つダンプ用の油圧シリンダー172が伸びることでカバー70は開く(図9の状態)。すなわち、カバー70の上部70aは昇降リンク160,162の上昇に伴い開閉リンク215により突っ張り状態となっていき、ダンプ用の油圧シリンダー172が伸びてコレクタバッグ66が右(時計回り)に回転するとカバー70は開く。図8の状態では、ワイヤ223は突っ張った状態を示しており、その状態でダンプ用の油圧シリンダー172が伸びるとコレクタバッグ66が後傾してカバー70が開く構成である。
【0065】
昇降リンク160,162が下降状態では、側面視で下リンク162と縦リンク163は鋭角を形成しており、ブラケット205の上リンク160側とは反対側端部205bと縦リンク163の係止部163a間の距離は比較的短くなるが、昇降リンク160,162が上昇状態では、昇降リンク160,162の上昇に伴い下リンク162と縦リンク163間の角度が大きくなり、側面視で下リンク162と縦リンク163は鈍角を形成するため、ブラケット205の上リンク160側とは反対側端部205bと縦リンク163の係止部163a間の距離は比較的長くなる。そして、コレクタ16の上昇によって突っ張れる位置にワイヤ223を連結しており、コレクタ16の上昇行程を利用して、ブラケット205の端部205bと縦リンク163の係止部163aとの間隔の変動する箇所にワイヤ223を連携すれば良い。
【0066】
上述のように、昇降リンク160,162が上昇状態では、カバー70をロックするためのワイヤ207は引かれてフック203基部のバネ210の付勢力に抗してフック203を回動し、ピン200から外れてカバー70の規制を解除できる(ドア部規制解除手段が機能する)。そして、ワイヤ223によりスライド部材217が矢印J方向とは反対方向に引かれて第1リンク215aと第2リンク215bがスライド部材217により直線状にロックされる。ダンプ用の油圧シリンダー172が伸張してコレクタバッグ66が後傾すると、第1リンク215aと第2リンク215bがスライド部材217により直線状にロックされていてカバー70を押し上げるため、支点70cを中心としてカバー70が回動し、図9に示すようにコレクタバッグ66内の芝草は上部開口部66a及び背面開口部66bから排出される(芝草排出機能)。
【0067】
本構成を採用することにより、昇降リンク160,162が下降状態の作業姿勢時にはダンプ用の油圧シリンダー172を伸ばしてもドア部規制手段が機能してカバー70の開動が規制されるため、カバー70が閉じたままの状態でコレクタバッグ66は回動支点168回りに後傾する。したがって、芝草が零れ落ちることなく収容した芝草をコレクタバッグ66の前部から後方に移動して芝草を圧縮することで、コレクタバッグ66の前部に空きスペースができ、コレクタバッグ66のスペースを有効に利用できると共に、刈取り集草作業が続行可能となる。
そして、コレクタバッグ66を満杯にさせることで芝草の排出作業の回数が少なくなるため、作業効率が向上する。
【0068】
一方、昇降リンク160,162が上昇状態の排出姿勢時にはドア部規制解除手段が機能してカバー70の開動規制が解除されるため、ダンプ用の油圧シリンダー172を伸ばすことでカバー70が開動する。そして、コレクタバッグ66が回動支点168回りに後傾することで、コレクタバッグ66内の芝草を上面開口部66aや背面開口部66bから速やかに排出することができる。そして、このように芝草の排出が昇降リンク160,162の上昇とコレクタバッグ66の後傾作動に連動しているため、特別な操作もせず簡便にコレクタバッグ66内の芝草の排出作業を行うことができる。
【0069】
図12には、図9に示すコレクタ16に従来のコレクタバッグ66のカバー75を加えた図を示す。従来は、図12に示すように、コレクタバッグ66の背面開口部66bを覆うカバー75がコレクタバッグ66後方上部に設けた支点75aを中心として開くことで芝草を排出していたが、カバー75の回動軌跡位置M1が背面開口部66bよりも低い位置であるために背面開口部66bから排出された芝草が回動軌跡位置M1(点線で示す)付近に溜まるため、うまく排出されない場合があった。しかし、本実施形態によれば、カバー70の支点70cをコレクタバッグ66の前方上部に設けたため、カバー70の回動軌跡位置M2(一点鎖線で示す)が従来の回動軌跡位置M1よりも高くなり、芝草の排出時に上面開口部66aや背面開口部66bから排出された芝草が回動軌跡位置M2付近に溜まって邪魔になることがなく、芝草を高く積み上げることができる。したがって、芝草の排出作業の効率が向上する。
【0070】
以上説明した通り、カバー70を開閉する開閉リンク215の第1リンク215aと第2リンク215bが中折れ式になっており、昇降リンク160,162の位置(下降又は上昇)によって、スライド部材217に連結するワイヤ223の弛み具合が変わるため、第1リンク215aと第2リンク215bが中折れとなる屈折可能状態と直線状となる屈折不可状態にスライド部材217がスライドすることで、カバー70の開閉を連動状態または非連動状態に切換できる。
【0071】
すなわち、コレクタバッグ66内の芝草の排出口を覆うカバー70がコレクタバッグ66の高さ位置によって開いたり、閉じたまま後傾する。コレクタ16を最も下げた位置(作業位置)でダンプ用の油圧シリンダー172を伸ばすとカバー70は閉じたままコレクタバッグ66は後傾姿勢を取る。一方、コレクタ16を最も上げた位置(排出位置)でダンプ用の油圧シリンダー172を伸ばすとカバー70は開いてコレクタバッグ66は後傾姿勢を取る。昇降リンク160,162を中間位置よりも上げた位置でダンプ用の油圧シリンダー172を伸ばすとカバー70が開くように、ブラケット205の下リンク162への取り付け位置やワイヤ207,ワイヤ223の長さを調整しても良い。
【0072】
このように、開閉リンク215の第1リンク215aと第2リンク215bが中折れ状態や直線状態になる感知を昇降リンク160,162の変位によって行い、スライド部材217に連結するワイヤ223によりスライド部材217がスライドし、第1リンク215aと第2リンク215bの直線状態をロックしたり解除したりする構成とする。
【0073】
そして、コレクタバッグ66内やダクト22などに収容感知センサ250を設け、収容感知センサ250によってコレクタバッグ66内の芝草が所定量となった場合に、ブザー245などの音声により報知する構成とすれば、収容量をきめ細かく把握できる。なお、ブザー245に限らず、視覚で感知できるランプなどでも良い。そして、刈取作業中に、収容感知センサ250が感知してブザー245が鳴った場合にコレクタ16の最下位置(作業位置)で、コレクタバッグ66を後傾させることによりコレクタバッグ66の前部に堆積した芝草を後方に移動させると共に、芝草を圧縮させるため、コレクタバッグ66の前部に空きスペースができ、コレクタバッグ66のスペースを有効に利用できる。そして、刈取り集草作業が続行可能となり、作業効率が大幅に向上する。。
【0074】
また、コレクタバッグ66内の芝草が満杯となった場合にブザー245により報知する構成でも良い。すなわち、収容感知センサ250を満杯センサとし、コレクタバッグ66内の芝草が満杯になるとセンサ250が感知してブザー245などの報知手段により報知する構成とする。収容感知センサ250又は満杯センサは、ダクト22のコレクタバッグ66入り口近傍に設けても良い。
【0075】
図13には、本発明の一実施形態の集草装置の制御ブロック図を示し、図14には制御フローの一例を示す。
本機始動用キースイッチ253の入り(オン)によりエンジン27が始動し、PTOクラッチレバー260の操作によってPTOバルブ267を作動させることでPTOクラッチ90を入りにしてHSTを前進側に操作すると乗用型芝刈り機が前進してモーアデッキ13内のブレード54が回転し、芝刈り作業を開始する。図14には、コレクタバッグ66内の芝草の収容量を感知する収容感知センサ250を設けた例を示しており、収容感知センサ250をコレクタバッグ66の前部に設けた場合、コレクタバッグ66内の前部の芝草が所定量に達して収容感知センサ250が入りになると、コントローラ100にセンサ信号が入力されてブザー245が鳴る。
【0076】
そこで、作業者はHSTを中立側に操作して乗用型芝刈り機を停止させ、更にダンプレバー257を操作すると、ブザー245が鳴り止む。次に作業者がPTOクラッチレバー260を切り操作するとコントローラ100によってPTOバルブ267が作動してPTOクラッチ90が切りとなりモーアデッキ13内のブレード54の回転が停止する。芝刈り作業が停止すると、ダンプバルブ263が作動してダンプ用の油圧シリンダー172が伸張し、コレクタバッグ66は後傾姿勢をとる。コレクタバッグ66を後傾させることによりコレクタバッグ66の前部に堆積した芝草は後方に移動するため、芝草が圧縮されて、コレクタバッグ66の前部に空きスペースができる。油圧シリンダー172の伸び時間(コレクタバッグ66の後傾時間)はタイマで計測されて、所定時間経過すると(タイマアップ)ダンプ用の油圧シリンダー172が短縮側に切り替わり、コレクタバッグ66は後部が尻上り状態である元の姿勢に戻る。
【0077】
そして、芝草の集草作業を継続して再びコレクタバッグ66内の前部の芝草が所定量に達して収容感知センサ250が入りになるとブザー245が鳴り、作業者はHSTを中立側に操作して乗用型芝刈り機を停止させ、PTOクラッチレバー260の操作によってPTOクラッチ90を切りにする。そして、作業者が昇降レバー255を操作するとコントローラ100によって昇降バルブ265が開いて昇降用の油圧シリンダー169が伸張し、昇降リンク160,162が上昇してコレクタ16が上昇する。そして、作業者がダンプレバー257を操作すると、ダンプバルブ263が作動してダンプ用の油圧シリンダー172が伸張し、コレクタバッグ66は後傾姿勢をとる。このときカバー70の規制は解除されているため、ダンプ用の油圧シリンダー172が伸張することでカバー70が開き、コレクタバッグ66内の芝草が上面開口部66aや背面開口部66bから排出される。
【0078】
コレクタバッグ66内の芝草の排出が終了して、作業者がダンプレバー257を操作するとダンプバルブ263が作動してダンプ用の油圧シリンダー172が短縮し、更に昇降レバー255を操作して昇降バルブ265を閉じると昇降用の油圧シリンダー169が短縮し、昇降リンク160,162が下降してコレクタ16は最下位置(作業位置)に戻る。本機始動用キースイッチ253が入りの状態ではフローをリターンし、キースイッチ253を切ると(オフ)、フローは終了する。
【0079】
図15には、図6などに示すコレクタ16の昇降用の油圧シリンダー169にカバーを設けた場合の図(一部断面図)を示す。
コレクタ16の昇降用の油圧シリンダー169とトラックの荷台等の干渉を防止するために、油圧シリンダー169にカバー180を設け、油圧シリンダー169本体をカバー180のスライド用のガイドに利用すると良い。
【0080】
図15に示すように、昇降用の油圧シリンダー169のピストン169aの上端部周囲(外径)に筒状(円筒状など)のカバー180が固着しており、ピストン169aが上下方向に伸縮するとカバー180も上下方向に移動する構成である。ピストン169aとシリンダー本体部169bとの径が異なるため、ピストン169aのシリンダー本体部169bへの挿入部は段部を形成し、芝草やごみなどが溜まりやすいが、カバー180の長さをピストン169aが最大に伸びた場合のピストン169aの長さよりも長くすることで、確実に段部を覆うことができ、ピストン169aとシリンダー本体部169b間の隙間に芝草やごみなどが食い込むことを防止できる。
【0081】
本構成によれば、油圧シリンダー169にカバー180を設けることで、油圧シリンダー169に芝草やごみなどが食い込むことを防止できる。また、油圧シリンダー本体部169bをカバー180のスライド用のガイドに利用することで、簡素な構成でカバー180を構成できる。
【0082】
図16には、図1に示す乗用型芝刈機の燃料タンク周辺の構図を変えた場合の乗用型芝刈機の側面図を示す。また、図17には、図16のステップシート43下部の背面図を示す。
図1に示す乗用型芝刈機では、コレクタバッグ66に連結するダクト22が乗用型芝刈機の右側に位置しているが、ダクト22を乗用型芝刈機の左右方向中央部に位置させた方が、機体のバランスが良くなる。ダクト22を乗用型芝刈機の中央に配置する場合は、図22に示すように、冷却ファン37をダクト22と干渉しないように凹部22cを設けた形状とし、更に、燃料タンク42の断面をステップシート43のサスペンション46及びダクト22を避けた形状とする。すなわち、燃料タンク42の上部と下部にサスペンション46及びダクト22と干渉しないように凹部42a,42bを設け、縦断面がH型となるような形状にする。
【0083】
このように、ダクト22周辺の部材の形状をそれぞれ干渉しないような形状とすることで、容易にダクト22を乗用型芝刈機の左右方向中央部に位置させることができ、機体のバランスが良くなると共に、機体のコンパクト化も達成される。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の集草装置を備えた乗用芝刈機は、家庭用、産業用の乗用芝刈機として有用性が高い。
【符号の説明】
【0085】
1 車体 2 ステップフロア
3 エンジン出力軸 4 リヤアクスルハウジング
5 リヤケース 6 主伝動軸(第1伝動軸6a,第2伝動軸6b)
7 リヤ出力軸 8 HSTケース
9 HST入力軸 10 ベルト
11 PTO軸(第3伝動軸11a,第4伝動軸11b)
12 ベルト 13 モーアデッキ
14 ブレード軸 15 モーア入力軸
16 コレクタ 20 モーアデッキ排出口
22 ダクト 23 前輪
24 フロントアクスル 25 センタピボット
26 後輪 27 エンジン
28 フライホイル 29 ラジエータ
30 ラジエータファン 31 ボンネット
32 オイルタンク 33 ステアリングポスト
34 ハンドル 35 デフケース
36,50,52,53 プーリ
37 冷却ファン 38 トラニオン軸機構
39 後車軸 40 リヤブラケット
42 燃料タンク 43 ステップシート
44 シートフロア 45 フェンダ
46 サスペンション 47 連結ブラケット
48 ベベルギヤ(リヤケース入力軸)
49,51 メタル 54 ブレード
55,56 ゲージホイル
57 前リンク 58 後リンク
59,60 ブレードケース 62 ブレード伝動軸
63 取付フレーム 66 コレクタバッグ
67 開放部 68 バッグ枠
69 ハンドルレバー 70,75 カバー
71 第1継手部材 72 第2継手部材
73 第3継手部材 77 排出筒
80 ロッド 81 補強フレーム
83 ブラケット 90 PTOクラッチ
100 コントローラ 101 支持フレーム
116 リンク機構 117 牽引ロッド
146 マスト 158,159 上部回動支点
160,162 昇降リンク 163 縦リンク
164,165 下部回動支点
168 支点 169 昇降用油圧シリンダー
170 枠体 172 ダンプ用油圧シリンダー
180 油圧シリンダーのカバー
200 ピン 203 フック
205 ブラケット 207 ワイヤ
210,220 バネ 215 開閉リンク
217 スライド部材 223 ワイヤ
224 ボルト(ピン) 225 ナット
245 ブザー 250 収容感知センサ(満杯センサ)
253 キースイッチ 255 油圧昇降レバー
257 ダンプレバー 260 PTOクラッチレバー
263 ダンプバルブ 265 昇降バルブ
267 PTOバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)に設けられたモーア(13)と、
モーア(13)の後方に設けられ、該モーア(13)により刈り取られた芝草を収容するための開放部(67)を前部に備えた収容容器(66)と、
該収容容器(66)に芝草を収容する作業姿勢と該作業姿勢から芝草を排出する排出姿勢に切り替える姿勢切替手段(69又は172など)とを備え、
該姿勢切替手段(69又は172など)は前記作業姿勢から収容容器(66)を後方下りに傾斜させて収容した芝草を前記開放部(67)近傍から後方に移動させる芝草移動機能を有することを特徴とする芝草の集草装置。
【請求項2】
前記収容容器(66)と走行車体(1)との間に設けられ、前記排出姿勢時には前記作業姿勢時の所定位置から収容容器(66)を走行車体(1)に対して上昇させて、前記作業姿勢時には前記上昇位置から収容容器(66)を下降させて前記所定位置に戻す上下動手段(146,160,162,169など)と、
前記収容容器(66)の後部に設けられ、収容容器(66)内の芝草を排出するための排出口(66a,66b)と、
該排出口(66a,66b)の外側に設けられ、開閉手段(172,215など)を備えた収容容器(66)のドア部(70)と、
前記作業姿勢時の所定位置における芝草移動機能による収容容器(66)の後方下り傾斜時に前記ドア部(70)の開閉手段(172,215など)による開動を規制するドア部規制手段(200,203,210など)と、
前記上下動手段(146,160,162,169など)による収容容器(66)の上昇に連動して前記ドア部規制手段(200,203,210など)の開動規制を解除するドア部規制解除手段(160,162,205,207など)とを備え、
前記姿勢切替手段(172など)は、該ドア部規制解除手段(160,162,205,207など)によって開動規制が解除されたドア部(70)を前記芝草移動機能による収容容器(66)の後方下り傾斜作動に連動して前記開閉手段(172,215など)により開動させることで収容容器(66)内の芝草を前記排出口(66a,66b)から排出する芝草排出機能を有することを特徴とする請求項1記載の芝草の集草装置。
【請求項3】
前記姿勢切替手段(172など)は、ドア部(70)の内面と収容容器(66)の壁面との間に設けた伸縮シリンダー(172)を備え、前記芝草移動機能は伸縮シリンダー(172)の伸張により発揮される機能であって、
前記ドア部(70)の開閉手段(172,215など)は、一端部がドア部(70)の内面に連結した第1リンク(215a)と、一端部が前記伸縮シリンダー(172)のドア部(70)側端部に連結した第2リンク(215b)と、第1リンク(215a)の他端部と第2リンク(215b)の他端部が連結する連結部(S)と、第1リンク(215a)及び第2リンク(215b)上を第1リンク(215a)と第2リンク(215b)との連結部(S)における中折れ状態を許容する位置と第1リンク(215a)と第2リンク(215b)との連結部(S)であって、第1リンク(215a)と第2リンク(215b)が直線状となる位置とにスライド可能なスライド部材(217)とを備えた開閉機構(172,215a,215b,223など)を有し、
該開閉機構(172,215a,215bなど)は、前記上下動手段(146,160,162,169など)による収容容器(66)の上昇に連動して前記スライド部材(217)がスライドし、第1リンク(215a)と第2リンク(215b)との中折れ状態を許容する位置から第1リンク(215a)と第2リンク(215b)が直線状となる位置に切り替わると共に前記伸縮シリンダー(172)の伸張による収容容器(66)の後方下り傾斜作動に連動してドア部(70)が開動する機構であることを特徴とする請求項2記載の芝草の集草装置。
【請求項4】
前記姿勢切替手段(69)は、上端部に把持部(69a)を有し、該把持部(69a)よりも下方が収容容器(66)に連結して、該収容容器(66)を収容容器(66)の前方上端部(K1)と後方上端部(K2)の二つの支点により前後方向に傾倒させるレバー(69)であることを特徴とする請求項1記載の芝草の集草装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−147350(P2011−147350A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8792(P2010−8792)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】