説明

芯上下式石油ストーブ

【課題】カートリッジタンク内の燃油がなくなることで、対震消火装置を作動させて自動消火させて臭気発生の燃焼が継続することを防止する芯上下式石油ストーブを提供する。
【解決手段】燃料タンク19内に昇降可能に設けた灯芯12を上下動させる芯上下手段と、上昇させた灯芯12を降下方向へ附勢するバネ48と、このバネ48のバネ力に抗して灯芯12を上昇位置で保持するロック金具52と、地震発生等の非常時にこのロック金具52を解除して灯芯12を降下させる対震消火装置14と、前記燃料タンク19の給油口22に備えたピン23を口金26の弁体25に挿入して燃料タンク19に燃油を供給するカートリッジタンク10と、このカートリッジタンク10の重量を感知して燃油切れで前記対震消火装置14を作動させて消火するようにしたので、安全で安心して使用出来る芯上下式石油ストーブを提供出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、灯芯を上下動させて火力調節可能な芯上下式石油ストーブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、カートリッジタンク内に貯留される燃油量によって、給油表示したり、カートリッジタンクの抜き去り時に、対震自動消火装置を作動させて消火させて、利便性と安全性を計るものであった。
【特許文献1】特公平7−1085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、カートリッジタンクを抜き去れば消火するが、給油せずにカートリッジタンクをそのままの状態にしておいても消火はされず、燃焼が継続されて燃料がなくなり自然に消火するまで気づかないと言うことが多々あり、この間の燃焼は燃料が徐々に減少するので、良い燃焼とは言えず、臭気も発生するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し、上記欠点を解決する為、特に請求項1ではその構成を、燃料タンク内に昇降可能に設けた灯芯を上下動させる芯上下手段と、上昇させた灯芯を降下方向へ附勢するバネと、このバネのバネ力に抗して灯芯を上昇位置で保持するロック金具と、地震発生等の非常時にこのロック金具を解除して灯芯を降下させる対震消火装置と、前記燃料タンクの給油口に備えたピンを口金の弁体に挿入して燃料タンクに燃油を供給するカートリッジタンクと、このカートリッジタンクの重量を感知して燃油切れで前記対震消火装置を作動させて消火するようにしたものである。
【0005】
又請求項2では、燃料タンク内に昇降可能に設けた灯芯を上下動させる芯上下手段と、上昇させた灯芯を降下方向へ附勢するバネと、このバネのバネ力に抗して灯芯を上昇位置で保持するロック金具と、地震発生等の非常時にこのロック金具を解除して灯芯を降下させる対震消火装置と、前記燃料タンクの給油口に備えたピンを口金の弁体に挿入して燃料タンクに燃油を供給するカートリッジタンクと、前記燃料タンク内の燃油量を検知する燃油量検知手段を備え、燃油量が所定値以下に低下した時には、前記対震消火装置を作動させて消火するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明の請求項1によれば、灯芯式の石油ストーブに於いて、燃油切れをカートリッジタンクの重量で感知して、対震消火装置を利用して消火させるものであり、カートリッジタンクが空となっても、本体側の燃料タンクの残油や灯芯に含浸した燃油で燃焼が継続して、残油がなくなり消火して始めて知ると言うことがなく、この間の燃焼で完全燃焼が得られずに臭気が発生すると言う不具合を解消出来、安全で安心して使用出来る芯上下式石油ストーブを提供出来るものである。
【0007】
又請求項2によれば、燃料タンク内の燃油量を直接検知し、所定値以下に低下することにより、対震消火装置を作動させて消火するので、燃油量が確実に少なくなると消火され、カートリッジタンクが空となっても、本体側の燃料タンクの残油や灯芯に含浸した燃油で燃焼が継続して、残油がなくなり消火して始めて知ると言うことがなく、この間の燃焼で完全燃焼が得られずに臭気が発生すると言う不具合を解消出来、安全で安心して使用出来る芯上下式石油ストーブを提供出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次にこの発明に係る芯上下式石油ストーブを図面に示された一実施例で説明する。
1は芯上下式石油ストーブの枠体で、底面の下皿2と背面及び左右の側面を覆う側板3と前面下部の前板4と上面の天板5によって横長方形状の筐体を形成し、内部に燃油を燃焼する燃焼筒6等を備え、前面中央から上部の開口部7から赤熱した前記燃焼筒6によって輻射熱を放出し、前記天板5中央の多数の長穴8より燃焼筒6の熱気を上方に放出して室内を暖房するものである。
【0009】
9は前記天板5の右端部に設けたタンク装着口(図示せず)を覆うタンク蓋で、燃油供給の際に開口してカートリッジタンク10の着脱を行うものである。
11は前面中央やや下部に設けた芯上下ハンドルで、回動によって内部の灯芯12の上下動を行うものであり、この芯上下ハンドル11の上方には押圧によって点火装置(図示せず)の操作を行う点火窓13が設けられ、この点火窓13の右隣には燃焼時の押圧によって前記灯芯12が素早く下降して瞬時に消火動作を行うように、対震消火装置14の操作をする緊急消火窓15を備えている。また前記芯上下ハンドル11の右側には燃油の残量が少なくなった場合に、表示の色が変わったり、「給油」等の文字が表示されたりして使用者に燃油切れや給油の必要を知らせる給油表示窓16を設けている。
【0010】
前記開口部7を除く燃焼筒6の周りは、前方向に輻射熱を反射するための輻射板17によって囲まれ、開口部7は多数の金属棒で構成されるガード枠18によって保護されている。
前記下皿2上の枠体1内部には燃油を貯える燃料タンク19がネジ等(図示せず)によって固定されている。この燃料タンク19は左側上面の燃焼部20と右側上面の前記カートリッジタンク10の装着部21から成り、この装着部21の右端には円形の給油口22を開口しており、この給油口22にはカップ状の底面中央から金属のピン23を立設し、側面には燃油を通過する穴を備えた燃油受24にて給油口22を覆っている。
【0011】
前記燃油受24の上方には縦長方形の前記カートリッジタンク10が備えられ、このカートリッジタンク10の底面には中央に弁体25を形成した口金26が螺合され、上面には持ち運び用の取手27を備えている。また前記燃油受24にカートリッジタンク10の口金26をセットする事により、前記ピン23が弁体25を押し上げて、カートリッジタンク10内の燃油が燃油受24から燃料タンク19内に流れ込むものである。
【0012】
28は前記給油口22近傍に設けられたコの字型の支点金具で、前記燃料タンク19の上面にネジ止め又はスポット溶接等によって固定され、左右の軸穴29と作動金具30の軸穴31及びバネ部材33を重ね、軸34を挿入することにより、この軸34を支点として前記作動金具30が上向き方向のバネ力を受けながら回動する軸支部35を構成する。
【0013】
前記作動金具30は略十字形の腕の後側一端に前記軸穴31を、前側の腕には前記給油表示窓16に対応する給油表示部36を、右側の腕には前記カートリッジタンク10との連接部37を、左側の腕には給油消火部38を備えている。
【0014】
39は前記燃料タンク19の燃焼部20中央に燃料タンク19底面から立設された芯案内パイプで、この芯案内パイプ39の周囲に沿って芯止め金具40で上下動自在に前記灯芯12が設けられている。
【0015】
41は前記灯芯12と芯案内パイプ39の周囲を覆う芯案内筒で、前記燃料タンク19上面に固定された3本のボルト42とナット(図示せず)によってネジ止めされる。またこの芯案内筒41と芯案内パイプ39の上端には前記燃焼筒6が載置され灯芯12によって燃料タンク19から吸い上げた燃油を芯案内パイプ39と芯案内筒41との隙間にて蒸発させ燃焼筒6内で燃焼する。
【0016】
前記芯上下ハンドル11は円盤状で、背面の中心に備えた突部43に芯上下軸44を挿入し回転により芯の上下をするものである。前記芯上下軸44の先端には、前記芯止め金具40のラック45と噛み合う歯車46が前記燃料タンク19前面の穴47の内側に設けられ、芯上下軸44の中間部で前記穴47の前方には灯芯12を下降方向に附勢するバネ48とこのバネ48に反して芯上下軸44の回転をロックして灯芯12の下降を阻止するロックギア49を備えている。
【0017】
前記対震消火装置14は地震発生時に地震の揺れを感知するための重り50と、この重り50を乗せる重り台51と、ロック金具52から成り、このロック金具52は軸53にて重り台51に回動自在に取り付けられ、係止ロット54が前記ロックギア49に係止し、前記重り50の足部55が重り台51の穴56とロック金具52の穴57を貫通し、重り50の揺れをロック金具52に伝え、ロックギア49を解除して灯芯12を一度に下降するものである。
【0018】
前記作動金具30の連接部37は上方に向かって15°傾斜し、満量状態のカートリッジタンク10の装着によって、タンク10底面と接触し作動金具30と共に下方に押し下げられる先端の第1接触部58と、カートリッジタンク10の空量状態で該タンク10を持ち上げながら作動金具30が軸支部35を支点に15°回動することで、連接部37が水平になりタンク10底面とは、連接部37後端の第2接触部59で接触するようにしている。
【0019】
更にこの第1接触部58と回動中心となる軸支部35までの距離Aと、第2接触部59と軸支部35までの距離Bとでは、距離Bの方が長くなるようにすることで、カートリッジタンク10を持ち上げようとするモーメントは第2接触部59の方が弱くなり、タンク10を持ち上げる力が減少して給油表示が安定するものである。
【0020】
また前記給油表示部36は、燃油の十分入ったカートリッジタンク10の重量で押し下げられている場合、給油表示窓16からは白又は茶色等の前記前板4と同系の色彩であまり目立たない色の表示を行い、満タンで約5リットルのタンク10内の燃油が燃焼により減少し残量が約1.5リットルになると前記バネ部材33の力がタンク10の重量と釣り合い、以後徐々に作動金具30は上昇方向に回動を始め、残量が約1リットルになると「給油」の文字表示や赤色等の目立つ表示が少しずつ見え始め、残量が約0.5リットルになると「給油」等の表示がすべて表れ、そして空になると、作動金具30が更に上方向に回動し、給油消火部38が前記対震消火装置14のロック金具52を押し上げてロックが外れ、前記灯芯12が下降することにより消火を行うものである。
【0021】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
芯上下ハンドル11を右側に回して灯芯12を上昇し、点火窓13より点火装置を押圧すれば、灯芯12にしみ込んだ燃油に火がついて燃焼が開始される。消火する時は、芯上下ハンドル11を左側に回せば灯芯12が下降し燃焼を停止する。また緊急消火窓15から対震消火装置14の重り50を押圧して転倒すればロック金具52が回動し、係止ロット54がロックギア49から外れてバネ48の力で瞬時に灯芯12が下降し燃焼を停止する。
【0022】
燃焼中に燃油が減少し残量が約1.5リットルになるまでは、カートリッジタンク10の底面が作動金具30の第1接触部58を押圧して該作動金具30が下げられている、そして残量が約1.5リットルになるとバネ部材33の力がタンク10の重量と釣り合い、以後燃油消費に応じて徐々に作動金具30は上昇方向に回動を始め、残量が約1リットルになると給油表示窓16の表示が「給油」の文字表示や赤色等の目立つ表示が少しずつ見え始め、残量が約0.5リットルになると「給油」等の表示がすべて表れ、空になるまで表示は「給油」を維持する。
【0023】
この時、図6に示すようにカートリッジタンク10の底面とは第1接触部58で連接していた作動金具30が、タンク10の空量状態と共に図7に示すように、第2接触部59による連接に変わり、作動金具30はモーメントに関係なくバネ部材33の反発力で勢い良く回動して、給油消火部38が前記対震消火装置14のロック金具52を押し上げてロックが外れ、前記灯芯12が下降することで確実に消火が行われ安全が確保されるものである。
【0024】
従って、カートリッジタンク10が空になれば、作動金具30で対震消火装置14で灯芯12を急降下させて消火するので、燃油切れをカートリッジタンク10の重量で感知して、対震消火装置14を利用して消火させるものであり、カートリッジタンク10が空となっても、本体側の燃料タンク19の残油や灯芯12に含浸した燃油で燃焼が継続して、残油がなくなり消火して始めて知ると言うことがなく、この間の燃焼で完全燃焼が得られずに臭気が発生すると言う不具合を解消出来、安全で安心して使用出来る芯上下式石油ストーブを提供出来るものである。
【0025】
次に図8に示す他の実施形態について説明すれば、乾電池60を電源とする電気回路を構成し、点火ヒータ61と点火レバー62の直列回路と、燃料タンク19に備えられた燃油量検知手段としてのフロートスイッチ63によって制御される、キャンセルスイッチ64と対震消火装置14の作動で開成されるOFFスイッチ65と対震消火装置14を作動させるモータ66の直列回路、発光ダイオードから成る給油サイン67が接続されている。
【0026】
又この実施形態の作動は、燃料タンク19内の燃油量が空の所定値以下となった事を、フロートスイッチ63が検知して閉成することにより、モータ66が駆動して駆動軸に備えられたカムがロック金具52を押し上げ対震消火装置14を作動させることで、灯芯12が急降下して消火すると共に、この対震消火装置14の作動でOFFスイッチ65が開成してモータ66の駆動を停止するものであり、又給油サイン67が点灯されて給油を促すものである。
【0027】
更に燃油量が少なくなっても消火させずに空炊きで灯芯12のクリーニングを行う場合には、キャンセルスイッチ6を開成して於けば、フロートスイッチ63が燃油量が所定値以下で閉成しても、モータ66は駆動せず自動消火は行われずに、燃焼が継続して灯芯12のクリーニングが行われるものであり、燃油がなくなった時に消火するように安全性を向上させたとしても、灯芯12のクリーニングが出来、常に灯芯12を綺麗な状態に維持し、良好な燃焼が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明一実施形態の斜視図。
【図2】同内部の展開斜視図。
【図3】同要部側面の説明図。
【図4】同要部正面の説明図。
【図5】同作動金具の平面図。
【図6】同重量状態の要部説明図。
【図7】同空量状態の要部説明図。
【図8】他の実施形態を示す電気回路図。
【符号の説明】
【0029】
10 カートリッジタンク
12 灯芯
14 対震消火装置
19 燃料タンク
22 給油口
23 ピン
25 弁体
26 口金
48 バネ
52 ロック金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内に昇降可能に設けた灯芯を上下動させる芯上下手段と、上昇させた灯芯を降下方向へ附勢するバネと、このバネのバネ力に抗して灯芯を上昇位置で保持するロック金具と、地震発生等の非常時にこのロック金具を解除して灯芯を降下させる対震消火装置と、前記燃料タンクの給油口に備えたピンを口金の弁体に挿入して燃料タンクに燃油を供給するカートリッジタンクと、このカートリッジタンクの重量を感知して燃油切れで前記対震消火装置を作動させて消火する事を特徴とする芯上下式石油ストーブ。
【請求項2】
燃料タンク内に昇降可能に設けた灯芯を上下動させる芯上下手段と、上昇させた灯芯を降下方向へ附勢するバネと、このバネのバネ力に抗して灯芯を上昇位置で保持するロック金具と、地震発生等の非常時にこのロック金具を解除して灯芯を降下させる対震消火装置と、前記燃料タンクの給油口に備えたピンを口金の弁体に挿入して燃料タンクに燃油を供給するカートリッジタンクと、前記燃料タンク内の燃油量を検知する燃油量検知手段を備え、燃油量が所定値以下に低下した時には、前記対震消火装置を作動させて消火する事を特徴とする芯上下式石油ストーブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−24393(P2007−24393A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206505(P2005−206505)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】