説明

芳香、抗菌材

【課題】檜等の木材の芳香、抗菌機能を効率よく引き出し、芳香、抗菌力と芳香・抗菌機能の持続性に優れた芳香・抗菌材を提供する。
【解決手段】本発明に係る芳香、抗菌材は,本体部の底部から本体部1の木質部5へ少なくとも底部2側の切り込み6を形成した。また底部側の切り込み6が本体部の頂部側の外面7へ達している。そして底部側の切り込み6を本体部の底部2と頂部側の外面7との間に形成された貫通部6aとし、また貫通部6aに間隙性を有する木片集合物10が充填される。底部側の切り込み6に接触する水が本体部の木質部5に浸透する。底部側で貫通部の下端開口4aに接触する水が貫通部の内周面11aに沿って貫通部の下端開口4aから頂部側で外気に接触する貫通部の上端開口4bへ浸透する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香、抗菌材、特に木製の芳香、抗菌材に関する。
【背景技術】
【0002】
檜等の木材はフィトンチッド、ヒノキチオール等の成分を含み、芳香、抗菌の機能がある。このような木材の芳香、抗菌の機能を利用した芳香、抗菌材が開発されている。この種製品の重要なポイントに芳香力、抗菌力の強さ及び芳香、抗菌機能の持続性を挙げることができる。例えば、総檜造りの家屋では建築材料として使用される多量の檜材が発する芳香力、抗菌力は相当に強く、また芳香、抗菌機能の持続性もある。しかし通常の芳香、抗菌材では材料である木材の使用量は多くないから、芳香力、抗菌力と芳香、抗菌機能の持続性に問題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開公報 特開平11−36121
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、檜等の木材の芳香、抗菌機能を効率よく引き出し、芳香、抗菌力と芳香、抗菌機能の持続性に優れた芳香、抗菌材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る芳香、抗菌材は,本体部の底部から本体部の木質部へ少なくとも底部側の切り込みを形成した。また本体部の底部から本体部の木質部へ底部側の切り込みを形成し、底部側の切り込みが本体部の頂部側の外面へ達している。そして底部側の切り込み本体部の底部と頂部側の外面との間に形成された貫通部とすることができる。
【0006】
また貫通部に間隙性を有する木片集合物が充填される。そして木片集合物は柔軟性の収容部に収容することができる。また本体部の底部から本体部の木質部へ形成された底部側の切り込みにおいて、底部側の切り込みに接触する水が本体部の木質部に浸透する。
【0007】
本体部の底部と頂部側の外面との間に形成された貫通部において、底部側で貫通部の下端開口に接触する水が貫通部の内周面に沿って貫通部の下端開口から頂部側で外気に接触する貫通部の上端開口へ浸透する。また貫通部に充填された間隙性を有する木片集合物において、底部側で木片集合物の下部に接触する水が木片集合物の下部から頂部側で外気に接触する木片集合物の上部へ浸透する。貫通部は上端開口、下端開口の少なくともいずれか一方を拡径口とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
一般に時間の経過とともに木材(檜材)の表面から放散される芳香等(芳香と抗菌を含む、以下同様)が徐々に弱くなる。このような場合、檜材等の表面を削りその木質部を新しい表面として露出させ、芳香等を回復する方法が知られている。しかし本件発明は本体部の外面(表面)を削る等の手段を採用しない。即ち、本体部の底部から本体部の木質部へ少なくとも底部側の切り込みを形成し、本体部の外面と切込みの表面からも香等が放散され、芳香力等が強くかつ持続する。貫通部に間隙性を有する木片集合物が充填される構造では、貫通部の内周面だけでなく、貫通部内の木製小片集物からも芳香等が効果的に放散される。
【0009】
本体部の底部から本体部の木質部へ形成された底部側の切り込みにおいては、底部側の切り込みに接触する水が切り込みに浸透し、水の浸透した切り込みから木質部の芳香等が放散される。本体部の底部と頂部側の外面との間に形成された貫通部においては、貫通部の下端開口に接触する水が貫通部の内周面に沿って下端開口から外気に接触する上端開口へ浸透し、貫通部の内周面から芳香等が放散される。これは水の浸透により木質部の芳香等が効率よく外気に放散されるという知見に基づくものであり、強い芳香力等と持続性を有する。
【0010】
また貫通部に充填された間隙性を有する木片集合物においては、木片集合物の下部に接触する水が木片集合物の下部から外気に接触する木片集合物の上部へ浸透し、木片集合物から芳香等が外気に放散される。間隙性を有する木片集合物は水浸透性と保水性に優れ、木片集合物から芳香等が安定して放散される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る芳香材、抗菌材(以下「芳香材等」という)の斜視図である。
【図2】他の構造に係る同芳香材等の斜視図である。
【図3】図2の芳香材等の底面図である。
【図4】さらに他の構造に係る芳香材等の斜視図である。
【図5】図4の芳香材等の底面図である。
【図6】別の構造にかかる芳香材等の斜視図である。
【図7】図6の芳香材等の平面図である。
【図8】図6の芳香材等の正面図である。
【図9】図8の芳香材等の貫通部に充填された木片集合物を説明する正面図である。
【図10】さらに別の構造にかかる同芳香材等の斜視図である。
【図11】図10の芳香材等の正面図である。
【図12】図10の芳香材等の貫通部に挿入された円柱状の収納部を説明する正面図である。
【図13】貫通部に挿入前の収納部の正面図である。
【図14】図13の収納部の斜視図である。
【図15】貫通部内の円柱状の収納部を説明する拡大平面図である。
【図16】貫通部内で一方側(同図の下側)に押圧・圧縮された収納部を説明する拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態につき図面を参照して説明する。本体部1は木製であり、フィトンチッド、ヒノキチオール等による芳香、抗菌(以下「芳香等」という)機能を有する。本体部1には檜材が最適であり、以下の実施例で本体部1は檜製である。本体部1は底部2と頂部3を有する直方体である。本体部は直方体に限らず、円柱形、四角錐、円球等でもよく、その全体形状や大きさは任意である(図示せず)。なお説明の都合上、本体部1の高さH(頂部3と底部2間の長さ)の中間線(C−C)を基準線として頂部3を含む側(図8における上側)を頂部側、底部2を含む側(図8における下側)を底部側とする。本体部1には底部2から本体部の木質部5へ底部側の切り込み6が形成されている。底部側の切り込み6は底部2から頂部3側へ直線状に延び、通常は複数個である。図_では底部2に対して垂直方向の直線状の切り込み6(複数)が木質部5で互いに交差している。底部側の切り込みの形状、数、大きさ、長さは任意であり、また湾曲状でもよい(図示せず)。本体部1の頂部側に切り込み12を形成してよく、この場合の頂部側の切り込み12は底部2に達していない(図1参照)。
【0013】
底部側の切り込み6は上端9が頂部側の外面7に達していないもの(図1、図2参照)と、上端が本体部の頂部側の外面7に達しているものがある。底部側の切り込み6の上端が頂部側の外面7に達していないものとして、本体部の底部2と頂部側の外面7との間に形成された貫通部6aがある(図2、4、6等参照)。また他に本体部の側面部15であって、本体部の底部2と頂部側の外面7との間に形成された溝6bがある。貫通部6aの内径の大きさ(同径、異径を含む)、断面形状(円形、楕円形、角形、不定形)等は任意である。貫通部6aは上端開口4b、下端開口4aのいずれか一方又は両者が拡径口とすることができる。図6乃至919では上端開口、下端開口はいずれも拡径口19である。本体部2の外面と木質部の切込み6の表面からは芳香等が放散される。切り込み6により本体部の内部の木質部の芳香等が放散され、特に本体部1を貫通する貫通部6aから本体部の深い部位の芳香等も放散される。上端開口4b、下端開口4aのいずれか一方又は両者が拡径口19の構造では本体部(外面)と外気との接触面積が大きく、芳香等が有効に放散される。
【0014】
また他の構造において貫通部6aには間隙性を有する木片集合物10が充填される(図9、12参照)。木片集合物10は木材の切り屑、おが粉、おが屑、チップ、切粉、細小片、粉状物やその混合物であり、また他の素材を含んでもよい。間隙性を有するとは木片集合物10の全体的な密度が本体部の木質部5より粗く、水浸透性が本体部(木質部5)より高いものをいう。木片集合物10は檜で構成されるのが好ましい。間隙性の程度は任意に選択される。貫通部6aに木片集合物10を充填することにより、本体部1の外面と貫通部6aの内周面11aだけでなく貫通部6内の木片集合物10からも芳香等が発散される。貫通部6aの上端開口5b、下端開口5aが拡径口の構造では、拡径口19を含む貫通部6に木片集合物10が充填される(図9参照)。拡径口19のいずれか一方又は両者に木片集合物10が充填され、拡径口19に収容された木片集合物10からも香等が放散される。
【0015】
木片集合物10を貫通部6aに充填する場合、上端開口の拡径口19は木片集合物10を貫通部6aへの落とし込み案内としても機能する。例えば、容器25の内側面22に本体部1を配置し、下端開口4aが一時的に塞がれた状態で、拡径口19に一旦収容された木片集合物10を上端開口4bから貫通部6aに落とし込みながら挿入し、貫通部6aに木片集合物10を充填する。木片集合物10の落とし込みには指先やヘラ、棒状の器具を使用する。また貫通部に充填された木片集合物10には貫通部の延設方向(上端開口6b側から下端開口6a側)へ指先、ヘラ等の器具で適宜に押圧して木片集合物10の間隙性、つまり全体的な粗密度が調整される。拡径口19の形成する凹部に一旦木片集合物10を収容することから、貫通部6aへの木片集合物10の充填、貫通部6a内での木片集合物10の押圧が容易である。これは貫通部6aの内径が比較的小さい場合にも有効であり、木片集合物10の粗密度の調整が確実となる。貫通部6a内で押圧された木片集合物10はばらけが生じにくく、上・下端開口4b、4a外に分散しにくい。木片集合物10は一定期間の経過後に貫通部6aから除去する一方、新たな木片集合物10を貫通部6aに充填し、これにより強い芳香等が容易に維持できる。なお木片集合物10を貫通部6aから除去する場合、棒状の器具等を使用するのが有効である。
【0016】
また木片集合物10は柔軟性を有する収容部14に収容することができる。収容部14は全体として変形可能な柔軟性があり、織物、紙、合成樹脂等、その素材の種類を問わない。収容部14は袋状、ケース状等、その構造、形状は任意である。収容部14に収納された木片集合物10は全体が分散しないからその取り扱いが容易である。特に貫通部6aに対する木片集合物10の挿入と取り出し、貫通部6a内での木片集合物10の押圧と粗密度の調整が容易である。収納部14は水浸透性を有するのが好ましいが、これに限定されない(後述の説明参照)。
【0017】
本体部1はさらに水と接触させることができる。本体部の底部2から本体部の木質部5へ底部側の切り込み6が形成された構造では、底部側の切り込み6と接触する水が本体部の木質部5に浸透する。本体部1は受け部に載置され、例えば、水8が収容された容器25に載置され、底部2が容器の内側面22に当接している(図11等参照)。底部側の切り込み6は少なくともはその一部が水8と接触し、また本体部の頂部側の外面7も少なくともその一部が外気に接触している。本体部の木質部5はかなり硬質であり、本体部1と接触する水の木質部への浸透は緩慢又は困難である。本体部1が直方体のような塊状物の場合は水の浸透は容易に進行しないが、底部側の切り込み6と接触する水が本体部の木質部5に容易に浸透する。
【0018】
まず底部側の切り込み6の上端9が頂部側の外面7に達していない構造においては、底部側の切り込み6と接触する水が本体部の木質部5から切り込みの上端9、つまり外気との接触部分へ浸透する(図1、2参照、但し容器は省略)。なお本体部の底部2側と接触する容器25内の水8には本体部1から抗菌成分が溶け出し、抗菌機能がある。本体部1と水との接触の手段は容器に収容された水に限定されない。次に底部側の切り込み6の上端が頂部側の外面7に達している構造においては、同様に底部側の切り込み6と接触する水が本体部の木質部5から頂部側の外面7へ浸透する。このような底部側の切り込み6には本体部の側面部15に穿設された溝6b、本体部の木質内部を貫通する貫通部6aがある。いずれも底部2と頂部側の外面7の間に形成される。
【0019】
溝6bの場合、底部側で溝の下端開口4aに接触する水が、溝の内側面11bに沿い、下端開口4aから頂部側で外気に接触する溝の上端開口4bへ浸透する。また貫通部6aの場合、底部側で貫通部の下端開口4aに接触する水が、貫通部の内周面11aに沿い、下端開口4aから頂部側で外気に接触する貫通部の上端開口4bへ浸透する。いずれの場合も水の浸透した部分からは芳香等が直接に又は水の蒸発と共に放散される。特に貫通部6aでは水の浸透が顕著であり、水は貫通部の内周面11aに容易に浸透し、頂部側の外面7で貫通部の上端開口4bの周辺域13へと水が浸透する。本体部の大きさ等によっても異なるが、貫通部6aの内径は通常1cm乃至3cm程度であるから、貫通部6aでの迅速な水の浸透は毛細管現象と関係ない。なお貫通部の数、その内径の大きさは任意である。
【0020】
次に貫通部6aに木片集合物10が充填される構造では、間隙性を有する木片集合物10と接触する水が全体に容易に浸透する(図9参照)。即ち貫通部6a内の木片集合物10において、底部側で木片集合物の下部10aに接触する水が木片集合物の下部10aから頂部側で外気に接触する木片集合物の上部10bへ浸透する。頂部3側では水の浸透した木片集合物10から芳香等が直接に又は水の蒸発と共に放散される。木片集合物10は本体部(木質部5)より水浸透性のよく、木片集合物10の水浸透性は木片集合物10の間隙性、つまり全体の粗密度で調整される。即ち、前記のように、貫通部6a内の木片集合物10を貫通部6aの延設方向(上端開口4b側から下端開口4a側)へ適宜に押圧してその調整を行う。粗さが過大では水浸透性が小さくなり、また密度が過大でも同様に水浸透性が小さくなる。粗密度の調整には貫通部6a内でおこなう木片集合物10の押圧が有効である。
【0021】
そして貫通部6aにおいては、底部2側で貫通部の下端開口4aに接触する水が貫通部の内周面11aに沿って、通部の下端開口4aから頂部側で外気に接触する貫通部の上端開口4bへ浸透し、また底部2側で木片集合物の下部10aに接触する水が木片集合物の下部10aから頂部側で外気に接触する木片集合物の上部10bへ浸透する。即ち、貫通部の内周面11aと木片集合物10にそれぞれ水が浸透する一方、貫通部6a内で木片集合物10と貫通部の内周面11aとの接触部分でも相互に水が浸透する。従って両者間で水の浸透度に差が生じると、一方から他方(貫通部の内周面から木片集合物又はその逆)へ水が浸透し、全体的に水の浸透が促進される。なお上端開口、下端開口における拡径口19の両者又はその一方にも木片集合物10を充填することができる。この場合、底部側の下端開口4aでは拡径口19内の木片集合物10に水が容易に浸透し、また頂部側の上端開口4bでは拡径口19内の木片集合物10へ水が容易に浸透する。
【0022】
また木片集合物10は収容部14に収容することができ、収容部14を介して木片集合物10が貫通部6aに挿入して充填される。木片集合物10に水が浸透する構造の場合、収容部14は水浸透性とするのがよい。収容部14は水浸透性を有する素材(縦糸と横糸を組み合わせた織物、紙、空隙を適度に調整した不織布等)で構成され、収容部14に水浸透性が付与される。水浸透性を有する収容部14の場合、貫通部6aにおいて、底部側で貫通部の下端開口4aに接触する水が、貫通部の内周面11aに沿って、貫通部の下端開口4aから頂部側で外気に接触する貫通部の上端開口4bへ浸透する。また底部側で収容部の下部14aに接触する水が収容部14の下部14aから頂部側で外気に接触する上部14bへ浸透する。また底部側で収容部14を介して木片集合物の下部10aに接触する水が木片集合物の下部10aから頂部側で外気に接触する木片集合物の上部10bへ浸透する(図12参照)。即ち、貫通部の内周面11a、木片集合物10、収容部14にそれぞれ水が浸透するが、3者間で水の浸透度に差が生じたような場合、木片集合物10、収容部14、貫通部の内周面11aの各接触部分から相互に水が浸透し、全体に水の浸透が促進される。織物、布、紙のように水浸透性のよい収容部14が貫通部の内周面11aと木片集合物10との間に介在することにより水浸透の効率が高まる。間隙性を有する木片集合物10は水浸透性だけでなく保水性にも優れ、木片集合物10から芳香等の放散が安定して継続する。
【0023】
また収容部14は適宜な柔軟性を有し、中空部に木片集合物10が移動可能に収容された収容部14は全体的形状が任意に変形可能である。例えば、収容部14は多数の小間隙を有する柔軟性の合成樹脂製の不織布で構成された袋状であり、周縁20を閉鎖する一方、内部(中空部)に木片集合物10(檜おが粉等の集合物)が収容されている。中空部の容積は木片集合物10の量(体積)より若干大きい。中空部の容積と木片集合物の量(体積)を調整し、収容部14内での木片集合物10の移動とそれに伴う収容部14の変形度が調節される。そこで収容部14を指先等で軽く押しながら収容部14内の木片集合物10を任意に移動するとともに収容部14を適宜の形状に変形させ、貫通部のいずれかの開口(上・下端開口4b、4aのいずれかより貫通部6aに挿入する。
【0024】
木片集合物10が収容された収容部14は貫通部6a内で押圧が可能であり、貫通部6a内で収容部14を適宜に押圧し、木片集合物10の粗密度、つまり木片集合物10の水浸透性が調整される。同時に片集合物10を収容部14をともに貫通部(内周面11a)に対応して全体的形状を変形させ、収容部14が介在する木片集合物10と貫通部(内周面11a)との接触度、接触面積を調整する。木片集合物10、収容部14、貫通部(内周面11a)間で相互の接触度、接触面積が大きくなると全体に水浸透性がよくなる。相互の接触度、接触面積の調整は貫通部内の片集合物10(収容部14に収容)を一方側に押圧・圧縮しておこなう。例えば、収容部14内のほぼ円柱状の木片集合物10を貫通部6aの延設方向に指先等で押圧し圧縮する(図12、15参照)。あるいは収容部14内の木片集合物10の側面12を貫通部の内周面11aに向けて(貫通部6aの延設方向と直交する方向に)押圧し圧縮する(図16参照)。この調整は片集合物10を構成する材料により異なり、これは片集合物10の粗密度の調整の場合と同様である。なお貫通部6aには1個の収容部14だけでなく、複数個の小径の収容部を挿入してもよい(図示せず)。また貫通部6内の収容部14は上・下端開口4b、4aから取り出し、他の収容部14との取り替えが可能である。
【0025】
以上の構成では水浸透性と保水性に極めて良好で、浸透水の蒸発も効率的である。なお本体部は貫通部に花卉の茎部を挿入する花立てとして利用することもできる。前記のように、本体部と接触する容器内の水には抗菌機能があり、茎部下端が容器内の水に接触するところから切花等は枯れにくく長持ちする。
【符号の説明】
【0026】
1 本体部
2 底部
3 頂部
4a 貫通部、溝の下端開口
4b 貫通部、溝の上端開口
5 本体部の木質部
6 底部側の切り込み
6a 貫通部
7 頂部側の外面
10 木片集合物
10a 木片集合物の下部
10b 木片集合物の上部
11a 貫通部の内周面
14 収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の底部から本体部の木質部へ少なくとも底部側の切り込みを形成した芳香、抗菌材。
【請求項2】
本体部の底部から本体部の木質部へ底部側の切り込みを形成し、前記底部側の切り込みが本体部の頂部側の外面へ達している芳香、抗菌材。
【請求項3】
前記底部側の切り込みが本体部の底部と頂部側の外面との間に形成された貫通部である請求項2に記記載の芳香、抗菌材。
【請求項4】
前記貫通部に間隙性を有する木片集合物が充填される請求項3に記載の芳香、抗菌材。
【請求項5】
前記木片集合物が柔軟性を有する収容部に収容される請求項4に記載の芳香、抗菌材。
【請求項6】
前記本体部の底部から本体部の木質部へ形成された底部側の切り込みにおいて、底部側の切り込みに接触する水が本体部の木質部に浸透する請求項1又は2に記載の芳香、抗菌材。
【請求項7】
前記本体部の底部と頂部側の外面との間に形成された貫通部において、底部側で貫通部の下端開口に接触する水が貫通部の内周面に沿って貫通部の下端開口から頂部側で外気に接触する貫通部の上端開口へ浸透する請求項3に記載の芳香、抗菌材。
【請求項8】
前記貫通部に充填された間隙性を有する木片集合物において、底部側で木片集合物の下部に接触する水が木片集合物の下部から頂部側で外気に接触する木片集合物の上部へ浸透する請求項4に記載の芳香、抗菌材
【請求項9】
前記貫通部は上端開口、下端開口の少なくともいずれか一方が拡径口である請求項7又は8に記載の芳香、抗菌材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−14869(P2013−14869A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159381(P2011−159381)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511177008)
【Fターム(参考)】