説明

芳香剤保持具

【課題】トイレットペーパーホルダに対して容易に脱着が可能な芳香剤保持具を提供することを課題とする。
【解決手段】トイレットペーパー11を保持するホルダ本体122、及びトイレットペーパー11の上部を覆うカバー121を有するトイレットペーパーホルダ12に取り付けられる芳香剤保持具1であって、芳香剤10を保持するための保持部2と、保持部2から延びつつ保持部2との間でカバー121を挟持するよう折り返され、保持部2側に付勢された弾性変形可能な折り返し部3と、折り返し部3に設けられた、トイレットペーパー11を切断するための切断部33と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーホルダに取付け可能な芳香剤保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレ内を快適な空間とするために、ラベンダーやバラなどといったような良好な芳香を発する芳香剤が収容された容器をトイレ内に配置することが広く行われている。このような芳香剤が収容された容器は、トイレの床や窓枠、棚などに置くものが一般的なタイプであるが、そのような場所に容器を配置することは掃除する際に邪魔となることがある。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば、トイレットペーパーを保持するトイレットペーパーホルダに芳香剤を保持させる手段が提案されている。特許文献1には、芳香剤が収容された円柱状の芳香剤容器が、カバーの先端に転動自在に取り付けられたトイレットペーパーホルダが開示されている。このトイレットペーパーホルダは、トイレットペーパーが引き出されることで回転したときに、芳香剤容器が転動して芳香剤容器内部の芳香剤の香料が周囲に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−6633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したトイレットペーパーホルダは、芳香剤容器がホルダー部材を介して取り付けられており、その取付けや取り外しは容易に行えるものではなく、より容易に脱着ができる芳香剤保持具が要望されていた。
【0006】
そこで本発明は、トイレットペーパーホルダに対して容易に脱着が可能な芳香剤保持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る芳香剤保持具は、トイレットペーパーを保持するホルダ本体、及びトイレットペーパーの上部を覆うカバーを有するトイレットペーパーホルダに取り付けられる芳香剤保持具であって、芳香剤を保持するための保持部と、前記保持部から延びつつ前記保持部との間で前記カバーを挟持するよう折り返され、前記保持部側に付勢された弾性変形可能な折り返し部と、前記折り返し部に設けられた、前記トイレットペーパーを切断するための切断部と、を備えている。
【0008】
上述した芳香剤保持具は、弾性変形可能な折り返し部の付勢力を利用して折り返し部と保持部とでトイレットペーパーホルダのカバーを挟持して、トイレットペーパーホルダに装着される構成となっている。このため、折り返し部の付勢力に抗して折り返し部を保持部から離間する方向に移動させ、この間にカバーの先端を挿入し、後は芳香剤保持具をそのまま押し込むだけで芳香剤保持具をカバーに装着することができる。また、芳香剤保持具を取り外すときは、カバーから芳香剤保持具を引っ張り取るだけでよく、容易な脱着が可能となる。また、この芳香剤保持具は、トイレットペーパーホルダの前面側から取り外し可能となっているため、トイレットペーパーホルダのホルダ本体がどのような形状であっても取り付けることができ、汎用性に富むといった利点も有している。なお、上記折り返し部は保持部から延びるという構成を採用しているが、折り返し部と保持部とが一体成形されているタイプや、折り返し部と保持部とを別々に形成し、少なくとも使用時にこれらを嵌合させたりするなど種々の方法で組み合わせるタイプであってもよい。ここで、一体成形のタイプにすることによって、芳香剤保持具を装着する際の安定性を確保できるという利点がある。
【0009】
上記芳香剤保持具は種々の構成をとることができる。例えば、上記切断部は、トイレットペーパーの幅方向にわたって延びる突起列によって構成することができる。この他にも切断刃を折り返し部に取り付けたり、折り返し部の一部を鋭角に形成したり、と種々の方法で切断部を構成することができる。切断部を突起列によって構成する場合は、突起列を、間隔をおいて形成された複数の突起片から構成することができる。
【0010】
また、上記突起列は、複数列形成することができ、これによって以下のような効果を得ることができる。トイレットペーパーは使用されることでその径が小さくなるため、トイレットペーパーホルダのカバーの先端は徐々に下方へと下がってくるが、このことによって、突起列が一列しか無い場合は、突起列がトイレットペーパーを切断するために適した箇所に位置されなくなることがある。これに対して、突起列が複数列形成される場合は、トイレットペーパーに対するカバーの角度が変わっても、各角度に適した箇所それぞれに突起列を設けることで、トイレットペーパーの切断をよりスムーズに行うことが可能となる。なお、突起列を複数列形成した場合は、トイレットペーパーから一番離れた突起列の高さが一番高いような構成とすることができる。
【0011】
また、折り返し部よりも大きい摩擦係数を有する押さえ部材を、折り返し部における保持具と最も近接しカバーを挟持する部分に取り付けることができる。これにより、より強固にカバーを挟持することができる。なお、このように押さえ部材を取り付けた場合は、折り返し部と保持部とでカバーを挟持するのではなく、押さえ部材と保持部とによってカバーを挟持することとなる。
【0012】
また、折り返し部は、湾曲状に折り返されているような形状とすることができる。このような形状とすることにより、トイレットペーパーが折り返し部に接触された状態で引き出される場合であっても、トイレットペーパーに掛かる負担を軽くすることができ、トイレットペーパーのスムーズな引き出しが可能となる。
【0013】
また、折り返し部は、トイレットペーパー側に膨出する膨出部を有するような構成とすることもできる。
【0014】
また、保持部は、トイレットペーパーと協働して、芳香剤の香料の拡散を抑制するよう、芳香剤を内部に閉じ込めるような構成とすることができる。この構成によれば、以下のような効果を得ることができる。トイレ内が常に芳香で満たされていれば、トイレ使用者は、その芳香に鼻が慣れてしまい、芳香を感じにくくなることがある。これに対して、上記構成を採用すれば、保持部がトイレットペーパーと協働して芳香剤を内部に閉じ込めているため、非使用時は、トイレ内は芳香で満たされていない。また、保持部単独で芳香剤を内部に閉じ込めているのではなく、トイレットペーパーと協働して閉じ込めるという構成を採用しているため、トイレットペーパーを使用する際に、芳香剤からの芳香が外部へと拡散される状態となり、芳香剤を効率的に使用することができる。また、使用時のみ芳香剤の芳香が外部へと拡散されるため、芳香剤の寿命を延ばすことができるといった利点も有する。なお、芳香剤を完全に閉じ込める必要はなく、芳香剤の芳香が外部に拡散するのをある程度抑制することができる程度であれば、多少の隙間が空いていてもよい。またさらには、芳香剤が保持部とトイレットペーパーとによって閉じ込められているため、効率的にトイレットペーパーに芳香成分を賦香することができ、そして、このトイレットペーパーに賦香された芳香成分を、トイレットペーパーを引き出す際にトイレ空間に放出することができる。
【0015】
また、保持部によって保持された芳香剤をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に掛かる芳香剤保持具によれば、トイレットペーパーホルダへの脱着を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本実施形態に係る芳香剤保持具を示す斜視図である。
【図2】図2は図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は本実施形に係る芳香剤保持具を示す底面図である。
【図4】図4は本実施形態に係る芳香剤保持具に芳香剤を挿入する途中の状態を底面側から見た斜視図である。
【図5】図5は本実施形態に係る芳香剤保持具をトイレットペーパーホルダに装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る芳香剤保持具の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、図1の芳香剤保持具1の長手方向を幅方向と称し、図1の配置状態の上下方向を基準とする。
【0019】
図1に示すように、芳香剤保持具1は、芳香剤10を保持する保持部2と、この保持部2から延びる折り返し部3とから主に構成されている。この保持部2と折り返し部3とは、特に限定されるものではないが、本実施形態においては一体的に形成されており、例えばその材質をポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートとすることができる。
【0020】
保持部2は、芳香剤10を保持することをその主な役割とするものであって、トイレットペーパー11と協働して芳香剤10をその内部に閉じ込め、芳香剤10の香料が外部(トイレ空間内)へと拡散することを抑制するような構成となっている。具体的には、図2や図3に示すように、保持部2は、天板部21を有しており、この天板部21の周縁から、第1及び第2の長手側壁部22,23や、第1及び第2の短手側壁部24、25が延びている。そして、天板部21と対向する面は開口面となっている。第1及び第2の長手側壁部22,23には、幅方向にわたって段部221、231が形成されており、この段部221、231によって芳香剤10の外周縁部を支持するように構成されている。また、第2の短手側壁部25には、挿入口251が形成されており(図1参照)、図4に示すように芳香剤10がこの挿入口251からスライドして保持部2内に挿入可能となっている。
【0021】
第1及び第2の長手側壁部22,23は段部221、231が形成されているが、この段部221,231からさらに下側へと先端部222,232が延びている。図5に示すような芳香剤保持具1をトイレットペーパーホルダ12のカバー121に取り付けた状態において、各先端部222、232は、トイレットペーパー11に当接する。なお、特に限定されるものではないが、第1の長手側壁部22の先端部222の方が、第2の長手側壁部23の先端部232よりも高さを高くすることができる。このように構成することで、トイレットペーパー11の径が小さくなったときに、より確実に、各先端部222,232をトイレットペーパー11に当接させることができる。
【0022】
第1及び第2の長手側壁部22,23には、芳香剤10の外周縁部をガイドするためのガイド溝を形成するよう、上述した段部221、231との間でガイド壁(図示省略)を形成することができる。このガイド壁は、挿入口251近傍にだけ形成されていてもよいし、幅方向にわたって第1及び第2の長手側壁部22,23全体に形成されていてもよい。また、保持部2の幅方向の長さよりも幅方向の長さが短い芳香剤10を使用する可能性がある場合は、図3や図4に示すように、芳香剤10の端部に当接するストッパー部26を天板部21に設けることもでき、このストッパー部26により芳香剤10を保持部2内の一定の位置にセットすることができる。
【0023】
続いて折り返し部3について説明する。折り返し部3は、図1に示すように、保持部2の第2の長手側壁部23から延びており、保持部2の天板部21との間でトイレットペーパーホルダ12のカバー121を挟持するように折り返された形状となっている。より詳細には、図2に示すように、折り返し部3は、断面が略S字状となっており、保持部2の天板部21に最も近接する部分が保持部2の天板部21を押圧する押圧部31となっている。また、折り返し部3は、第2の長手側壁部23と連結する固定端34と、これと反対側に位置する自由端35とを有している。そして、図5に示すように芳香剤保持具1をカバー121に装着した場合、折り返し部3の押圧部31と保持部2の天板部21とによってカバー121を挟持する。このようにカバー121を押圧部31と保持部2の天板部21との間に挿入し且つ挿入されたカバー121を押圧部31と保持部2の天板部21とによって挟持するために、折り返し部3の押圧部31が保持部2の天板部21側に付勢された状態で保持部2の上面から離間することができるよう、折り返し部3は弾性変形可能となっている。本実施形態では押圧部31が保持部2の上面を押圧しているが、押圧部31と保持部2の上面との間に隙間が形成されていてもよい。この場合は、カバー121を挟持するために、その隙間がカバー121の厚さよりも小さい必要がある。
【0024】
なお、本実施形態においては、より強固にカバー121を挟持するよう押圧部31に押さえ部材4を取り付けている。この押さえ部材4は、折り返し部3の押圧部31の幅方向中央部に取り付けられているため、折り返し部3の押圧部31は、幅方向中央部においては保持部2の天板部21を押圧しておらず、代わりに押さえ部材4がカバー121を介して保持部2の天板部21を押圧している。この押さえ部材4は、特に限定されるものではないが、その材質を折り返し部3の摩擦係数よりも大きい摩擦係数を有するものを使用することが好ましく、例えば、エラストマーなどをその材質として挙げることができる。
【0025】
また、折り返し部3は、図2に示すように、押圧部31において保持部2の天板部21と最も近接し、この押圧部31よりも自由端35側に行くにつれて今度は逆に保持部2の天板部21から離れる方向に延びている。このような形状とすることによって、芳香剤保持具1をトイレットペーパーホルダ12のカバー121に取り付ける際に、カバー121の先端を容易に保持部2の天板部21と折り返し部3の押圧部31との間に挿入することができ、取付けが容易になるといった利点がある。
【0026】
折り返し部3は、下方に膨出する膨出部32も有している。この膨出部32は、上述した第2の長手側壁部23の先端部232と同様に下方へと膨出している。このため、図5に示すような、芳香剤保持具1をカバー121に装着した状態では、折り返し部3の膨出部32も各先端部222,232と同様にトイレットペーパー11に当接する。この膨出部32は、各先端部222,232に比べて使用者から見て一番手前側に配置されているため、トイレットペーパー11を引き出す際に各先端部222,232よりも負荷がかかる部分となる。しかしながら、この膨出部32は湾曲面となっているため、トイレットペーパー11が膨出部32に接触しながら引き出されても、トイレットペーパー11に対して局所的に負荷を掛けることなくスムーズに引き出せることができるという利点を有する。
【0027】
また、折り返し部3には、トイレットペーパー11を切断する手段である突起列33が形成されている。この突起列33は、幅方向に間隔をおいて形成された複数の突起片331から構成されている(図3参照)。また、突起列33は、トイレットペーパー11の幅と同じ程度の長さを有していることが好ましい。そして、突起列33は、一列だけ形成してもよいが、複数列形成することもできる。本実施形態においては、突起列33を間隔をあけて3列形成しており、膨出部32に近い方から順に第1の突起列33a、第2の突起列33b、第3の突起列33cとする。このように突起列33を複数列設けることで、トイレットペーパー11の使用状態(トイレットペーパー11の径の大きさ)や、使用者のトイレットペーパー11を引っ張る向き、トイレットペーパーホルダ12(特にカバー121)の形状に応じて、切断に使用される突起列33を選択することができ、汎用性を向上させることができる。
【0028】
第1の突起列33aは、膨出部32に形成されており、より詳細には、膨出部32の最もトイレットペーパー11に近接する部分から自由端35側に少しずれた部分、例えば、最も近接する部分から約2〜5mmずれた部分に形成されている。膨出部32の最もトイレットペーパー11に近接する部分はトイレットペーパー11が未使用に近い状態のときにトイレットペーパー11に当接するため、この部分に第1の突起列33aを形成するとトイレットペーパー11を引き出す際に干渉してしまいトイレットペーパー11をスムーズに引き出せなくなる可能性があるためである。また、第3の突起列33cは、芳香剤保持具1をカバー121に装着した際にカバー121の先端と略対応する位置に形成されており、第2の突起列33bは、第1の突起列33aと第3の突起列33cとの間に形成されている。なお、各突起列33a〜33cの高さについては、第3の突起列33cが一番高くなっている。特に限定されるものではないが、詳細には、第1の突起列33aの高さは1〜5mm程度、第2の突起列33bの高さは1〜5mm程度、第3の突起列33cの高さは2〜10mm程度とすることが好ましい。また、トイレットペーパーが未使用に近い状況(トイレットペーパーの直径が大きい状況)において、トイレットペーパーを引きだす際の干渉を防ぐ観点からは、第1及び第2の突起列33a及び33bは、第3の突起列33cよりも高さを低く設定するのが好ましい。
【0029】
上述したように構成された芳香剤保持具1は、以下のようにしてトイレットペーパーホルダ12に取り付けられる。なお、トイレットペーパーホルダ12は、トイレットペーパー11を保持するホルダ本体122と、トイレットペーパー11の上面を覆うカバー121とから構成されている。
【0030】
まず、図4に示すように、芳香剤10を挿入口251から差し込み保持部2に保持させる。具体的には、先端部がストッパー部26に当接するまで芳香剤10を挿入口251から保持部2内に挿入する。このように挿入された芳香剤10は、後述するように接着された外周縁部が、第1及び第2の長手側壁部22,23の段部221、231に支持される。また、芳香剤10は、香料透過性フィルムがトイレットペーパー11側を向くように配置される。
【0031】
特に限定されるものではないが、本実施形態において用いられる芳香剤10について説明すると、芳香剤10は、略矩形状の香料透過性フィルムと香料非透過性シートとを重ね合わせてこれらの外周縁部同士を接着させて内部に空間を画定しており、その内部空間に液体香料組成物を封止することで構成されている。なお、芳香剤10については、例えば、特開2008−87816号公報において開示されており、当該技術分野では公知である。
【0032】
本明細書において香料透過性フィルムとは、香料を透過させることができ、且つ、香料が当該フィルムを透過する透過速度が当該フィルムを透過した香料が揮散する揮散速度以下である材質のフィルムのことである。このような香料透過性フィルムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート、紙、及びこれらの混合物などを採用することができる、好ましい香料透過性フィルム素材として、リニアローデンシティポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。また、香料透過性フィルムは、1種の素材からなる単層のフィルムであってもよく、また上記素材の同一又は異なる素材からなる2以上の層が積層されたフィルムであってもよい。そして、香料透過性フィルムは、特に限定されるものではないが、香料組成物の残存量の視認を可能にするために無色又は有色透明にすることが好ましい。
【0033】
また、本明細書において香料非透過性シートとは、液体状の香料だけでなく揮散した香料も透過させない(又は揮散した香料の透過を著しく抑制できる)シートのことである。このような香料非透過性シートについては、例えば、ガラス、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アルミニウム等をはじめとして様々なタイプのシートが知られており、これらを適宜選択し使用できる。
【0034】
なお、芳香剤10は、使用前に香料が揮散するのを防止するために、上記香料透過性フィルムの表面(外気と接触する面)を、剥離可能な香料非透過性フィルムなどで覆っておくことが望ましい。
【0035】
以上のように構成される芳香剤10を保持した芳香剤保持具1を、図5に示すようにトイレットペーパーホルダ12のカバー121に取り付ける。詳細には、折り返し部3の押圧部31を保持部2の天板部21から離間する方向に移動させ、これによってできた隙間にカバー121の先端部を挿入する。そして、カバー121の先端が折り返し部3の内側壁に当接するまで芳香剤保持具1を奥へと押し込むことによって芳香剤保持具1がトイレットペーパーホルダ12のカバー121に装着される。なお、本実施形態の芳香剤保持具1は、折り返し部3の自由端35が上方へと延びているため、カバー121の先端を保持部2の天板部21と折り返し部3の自由端部との間に滑り込ませ、その状態で芳香剤保持具1をカバー121側へと押し込む。すると、カバー121の先端部によって折り返し部3の押圧部31は天板部21から離間する方向へと持ち上げられる。後は、そのままカバー121の先端が折り返し部3の内側に当接するまで芳香剤保持具1を押し込むことで、芳香剤保持具1をトイレットペーパーホルダ12のカバー121に装着することができる。なお、このように芳香剤保持具1を装着した際、芳香剤10は、香料透過性フィルムがトイレットペーパー11側を向くように、すなわち、香料非透過性シートがカバー121側を向くように配置されているため、香料はトイレットペーパー11側のみに揮散され、カバー121に香料は揮散されない。このため、揮散された香料がカバー121に悪影響を及ぼす材料の場合において、カバー121へ香料が悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0036】
以上のように、カバー121に芳香剤保持具1が取り付けられた状態では、第1の長手側壁部22の先端部222や、折り返し部3の膨出部32、第1の短手側壁部24がトイレットペーパー11に当接している。以上のように、芳香剤10は、第2の短手側壁部25に挿入口251が形成されているものの、保持部2の各壁部やトイレットペーパー11によって実質的に囲われた状態となっているため、芳香剤10の香料が外部へと拡散することが抑制される。そして、トイレットペーパー11を引き出すと、それに伴うトイレットペーパー11の回転により、芳香剤10の香料が外部へと拡散されてトイレ内に芳香が漂う。このように、本実施形態に係る芳香剤保持具1を装着した場合は、トイレットペーパー11を使用するときのみ香料がトイレ内へと拡散され、トイレ内が常に芳香で満たされている状態ではない。このため、常に芳香で満たされることによって鼻が芳香に慣れてしまい、芳香剤の効果が半減してしまうといった問題を解消することができる。また、芳香剤10の香料が外部へ拡散するのを抑制しているため、芳香剤10の寿命を延ばすことができるといった利点もある。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態において、芳香剤10は、第1及び第2の長手側壁部22,23に形成された段部221,231によって支持されているが、特に芳香剤保持具1の保持方法はこれに限定されるわけではなく、例えば、芳香剤10を両面テープによって天板部21に貼り付けることもできるし、その他種々の公知の方法によって芳香剤10を保持部2に保持させることができる。
【0039】
また、上記実施形態では、保持部2は、天板部21や各壁部22〜25によって構成されているが、これはあくまでも一例であって、芳香剤を保持できるものであれば、その構成は上述したものに限定されるわけではない。
【0040】
また、上記実施形態では、トイレットペーパー11を切断するための切断部として、複数の突起片331から構成された突起列33a〜33cを例示しているが、トイレットペーパー11を切断するもの、もしくはトイレットペーパー11の切断を補助するものであれば特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、切断刃を折り返し部3に設けることもできるし、その他にも、折り返し部3の一部を鋭角に形成し、この鋭角部分によってトイレットペーパーの切断を行うこともできるなど、種々の構成をとることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、芳香剤10として、香料透過性フィルム及び香料非透過性フィルム内に液体香料組成物を封止したものを用いているが、特にこの形態に限定されるものではなく、例えばゲル状の芳香剤や、香料が含浸された固形タイプの芳香剤、香料が含浸された不織布タイプの芳香剤などを保持部2に保持させることもできる。また、このような芳香剤を使用した場合であっても、本実施形態では、各長手側壁部22,23の先端部222,232がトイレットペーパー11に当接しているため、芳香剤10自体が直接トイレットペーパー11に接触することを防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 芳香剤保持具
2 保持部
3 折り返し部
32 膨出部
33 突起列(切断部)
331 突起片
4 押さえ部材
11 トイレットペーパー
12 トイレットペーパーホルダ
121 カバー
122 ホルダ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレットペーパーを保持するホルダ本体、及びトイレットペーパーの上部を覆うカバーを有するトイレットペーパーホルダに取り付けられる芳香剤保持具であって、
芳香剤を保持するための保持部と、
前記保持部から延びつつ前記保持部との間で前記カバーを挟持するよう折り返され、前記保持部側に付勢された弾性変形可能な折り返し部と、
前記折り返し部に設けられた、前記トイレットペーパーを切断するための切断部と、
を備えた、芳香剤保持具。
【請求項2】
前記切断部は、前記トイレットペーパーの幅方向にわたって延びる突起列によって構成されている、請求項1に記載の芳香剤保持具。
【請求項3】
前記突起列は、間隔をおいて形成された複数の突起片から構成される、請求項2に記載の芳香剤保持具。
【請求項4】
前記突起列は、複数列形成されている、請求項2又は3に記載の芳香剤保持具。
【請求項5】
前記突起列は、前記トイレットペーパーから一番離れた突起列の高さが一番高い、請求項2〜4のいずれかに記載の芳香剤保持具。
【請求項6】
前記折り返し部における前記保持具と最も近接し前記カバーを挟持する部分に取り付けられ、前記折り返し部よりも大きい摩擦係数を有する押さえ部材をさらに備えた、請求項1〜5のいずれかに記載の芳香剤保持具。
【請求項7】
前記折りかえし部は、湾曲状に折り返されている、請求項1〜6のいずれかに記載の芳香剤保持具。
【請求項8】
前記折り返し部は、トイレットペーパー側に膨出する膨出部を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の芳香剤保持具。
【請求項9】
前記保持部は、前記トイレットペーパーと協働して、前記芳香剤の香料の拡散を抑制するよう、前記芳香剤を内部に閉じ込める、請求項1〜8のいずれかに記載の芳香剤保持具。
【請求項10】
前記保持部によって保持された芳香剤をさらに備えた、請求項1〜9のいずれかに記載の芳香剤保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−160887(P2011−160887A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24768(P2010−24768)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】