説明

芳香族末端基をもつアミドゲル化化合物を調製するためのプロセス

【課題】転相インク用ゲル化剤を調整する改良法を提供する。
【解決手段】下式の化合物を(1)、(2)により調製する。(1)式HOOC−R2−COOHの二酸と、式H2N−R3−NH2のジアミンとを反応させ、式HOOC−R2−CONH−R3−HNCO−R2’−COOHの末端が酸のオリゴアミド中間体を得ることと、(2)この末端が酸のオリゴアミド中間体と、式R1−OHのモノアルコールとを、スズ触媒または有機チタネート触媒のいずれかである触媒存在下、カップリング剤は存在せず、溶媒も存在しない状態で反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、芳香族エステル末端基をもつジアミド化合物を調製するためのプロセスが開示されている。より特定的には、本明細書には、2工程プロセスによってこれらの化合物を調製し、有機スズ触媒を用いる第2の工程で溶媒を用いないプロセスが開示されている。
【背景技術】
【0002】
これらの意図する目的のために、既知の組成物およびプロセスが適しているが、耐引っかき性が優れた画像を作り出す転相インク、また、紙のような基材に対する接着性が優れた画像を作り出す転相インクの必要性が依然として存在し、インクの粘度特性に悪影響を与えることなく、望ましい吐出温度で転相インク媒剤に組み込むことが可能な紫外線硬化性化合物、インクの融点に悪影響を与えることなく、転相インク媒剤に組み込むことが可能な紫外線硬化性化合物、紙または透明材料のような最終基材にインクを直接吐出するインクジェット印刷プロセスで使用可能な紫外線硬化性化合物の必要性が依然として存在し、最終的な記録シート上で改良された堅牢性を示す画像を作り出す転相インクの必要性が依然として存在する。さらに、改良された靭性をもつ画像を作り出す転相インク、低温で吐出可能な転相インク、特に、最終的な基材の上にインクを直接吐出させるプロセスにおいて、インクのドットの広がりを制御することができる転相インク、特に、最終的な基材の上にインクを直接吐出させるプロセスにおいて、基材内部に過剰に染み込まない転相インク、特に、最終的な基材の上にインクを直接吐出させるプロセスにおいて、望ましくないような大きな積み重ね高を生じない転相インク、画像を作成するのに多量の液滴が必ずしも必要ではない転相インク、透き通しが少ない画像を作り出す転相インク、光開始中にインクの粘度が増加することによって、酸素の拡散速度およびインクにおける抑制効果が減り、それによって、硬化効率が高まった転相インクの必要性が依然として存在し、製造時の印刷で使用する、改良された紫外線硬化性転相インク組成物、基材の自由度が広く、接着性が優れており、顔料分散暗転性が高まった、改良された転相インク組成物、スペクトル透過性およびゲル化性を高めることが可能な、転相インク用ゲル化剤組成物、簡単に製造することができ、望ましいゲル化剤組成物を得るのに反応後の精製を必要としない転相インク用ゲル化剤組成物、複雑な処理工程を必要とすることなく、十分なゲル強度を与えることが可能な転相インク用ゲル化剤組成物、高い熱安定性をもつ転相インク用ゲル化剤組成物が依然として必要とされている。
【0003】
さらに、このようなゲル化剤を調製する改良法が依然として必要とされている。これらの材料を調製する一般的な方法は、Steiglich縮合反応を用い、溶媒を用いるエステル化工程を利用する。この反応に使用される試薬としては、例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN,N−ジメチルアミノピリジンが挙げられる。このプロセスは、溶媒集約的であり、ジシクロヘキシルカルボジイミドカップリング剤が高価であり、副生成物としてかなりの量の固体尿素廃棄物が生成するという点において、無駄が多い。「もっと環境に優しく」、費用が安く、速度が速く、無駄の少ない、アミドゲル化剤分子を製造するためのプロセスの必要性が存在する。また、多分散性を制御した生成物を得ることが可能な、アミドゲル化剤分子を製造する方法も必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、以下の式の化合物を調製する方法が開示されており
【化1】

式中、
nは、繰り返しモノマー単位の数をあらわし、一実施形態では、1〜10であり、別の実施形態では、1〜5であるが、nの値は、これらの範囲からはずれていてもよく、
R1およびR1’は、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、ここで、R1およびR1’は、アルキル(直鎖および分枝鎖、飽和または不飽和、環状および非環状、置換および非置換のアルキルを含み、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)が、場合によりアルキル中に存在していてもよい)、種々の実施形態では、少なくとも2個、3個または4個の炭素、種々の実施形態では、100個以下、60個以下、または30個以下の炭素を含むが、炭素の数は、これらの範囲からはずれていてもよく、ある特定の実施形態では、アルキル内に少なくとも1個のエチレン系不飽和部を含むアルキルである、アリール(置換および非置換のアリールを含み、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)が、場合によりアリール中に存在していてもよい)、種々の実施形態では、少なくとも2個、3個または4個の炭素、種々の実施形態では、100個以下、60個以下、または30個以下の炭素を含むが、炭素の数は、これらの範囲からはずれていてもよく、例えば、フェニルなど、アリールアルキル(置換および非置換のアリールアルキルを含み、アリールアルキルのアルキル部分は、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)が、場合によりアリールアルキルのアリールまたはアルキルのいずれかに存在していてもよい)、種々の実施形態では、少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では、100個以下、60個以下、または30個以下の炭素を含むが、炭素の数は、これらの範囲からはずれていてもよく、例えば、ベンジルなど、ある特定の実施形態では、アリールアルキル内に少なくとも1個のエチレン系不飽和部を含むアリールアルキル、または、アルキルアリール(置換および非置換のアルキルアリールを含み、アルキルアリールのアルキル部分は、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)が、場合により、アルキルアリールのアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では、100個以下、60個以下、または30個以下の炭素を含むが、炭素の数は、これらの範囲からはずれていてもよく、例えば、トリルなど、ある特定の実施形態では、アルキルアリール内に少なくとも1個のエチレン系不飽和部を含むアルキルアリールであり、ここで、R1およびR1’の置換されたアルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリールの置換基は、限定されないが、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアネート基、イソシアネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2個以上の置換基が一緒になって環を形成していてもよく、但し、R1およびR1’のうち、少なくとも1つは芳香族基を含み、但し、R1およびR1’は、どちらも光開始基を含まず、
R2およびR2’は、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、ここで、R2およびR2’は、それぞれ互いに独立して、アルキレン(直鎖および分枝鎖、飽和および不飽和,環状および非環状,置換および非置換のアルキレンであり、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、場合によりアルキレン中に存在していてもよい)、種々の実施形態では、少なくとも2個、4個または6個の炭素、種々の実施形態では、100個以下、60個以下または50個以下の炭素、種々の実施形態では、8個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、22個、24個、26個、28個、30個、32個、34個、または36個の炭素を含むが、炭素の数はこれらの範囲からはずれていてもよい、アリーレン(置換および非置換のアリーレンを含み、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、場合によりアリーレン中に存在していてもよい)、例えば、フェニレンなど、種々の実施形態では、少なくとも5個または6個の炭素、種々の実施形態では、100個以下、60個以下、または50個以下の炭素を含むが、炭素の数はこれらの範囲からはずれていてもよい、アリールアルキレン(置換および非置換のアリールアルキレンを含み、アリールアルキレンのアルキル部分は、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、場合により、アリールアルキレンのアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい)、例えば、ベンジレンなど、種々の実施形態では、少なくとも6個または7個の炭素を含み、種々の実施形態では、100個以下、60個以下、または50個以下の炭素を含むが、炭素の数はこれらの範囲からはずれていてもよい、または、アルキルアリーレン(置換および非置換のアルキルアリーレン、アルキルアリーレンのアルキル部分は、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、場合により、アルキルアリーレンのアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい)、例えば、トリレンなど、種々の実施形態では、少なくとも6個または7個の炭素を含み、種々の実施形態では、100個以下、60個以下、または50個以下の炭素を含むが、炭素の数はこれらの範囲からはずれていてもよく、R2およびR2’の置換されたアルキル、アルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、アルキルアリーレンの置換基は、限定されないが、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、チオシアネート基、カルボキシレート基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2個以上の置換基が一緒になって環を形成していてもよく、
R3は、アルキレン(直鎖および分枝鎖、飽和および不飽和、環状および非環状、置換および非置換のアルキレン、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)ば、場合によりアルキレン中に存在していてもよい)、一実施形態では、少なくとも2個の炭素、種々の実施形態では、80個以下、60個以下、50個以下、または36個以下の炭素を含むが、炭素の数はこれらの範囲からはずれていてもよい、アリーレン(置換および非置換のアリーレンを含み、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)は、場合により、アリーレン中に存在していてもよい)、種々の実施形態では、少なくとも5個または6個の炭素、種々の実施形態では、50個以下、25個以下、または18個以下の炭素を含むが、炭素の数はこれらの範囲からはずれていてもよい、例えば、フェニレンなど、アリールアルキレン(置換および非置換のアリールアルキレンを含み、アリールアルキレンのアルキル部分が、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)が、場合により、アリールアルキレンのアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい)、種々の実施形態では、少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では、50個以下、36個以下、または18個以下の炭素を含むが、炭素の数はこれらの範囲からはずれていてもよく、例えば、ベンジレンなど、または、アルキルアリーレン(置換および非置換のアルキルアリーレン、アルキルアリーレンのアルキル部分が、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素など)が、場合により、アルキルアリーレンのアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい)、種々の実施形態では、少なくとも6個または7個の炭素、種々の実施形態では、50個以下、36個以下、または18個以下の炭素を含むが、炭素の数はこれらの範囲からはずれていてもよく、例えば、トリレンなどであり、R3基の置換されたアルキレン基、アリーレン基、アリールアルキレン基、アルキルアリーレン基の置換基は、限定されないが、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、カルボキシレート基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2個以上の置換基が一緒になって環を形成していてもよい。
【0005】
特定の実施形態では、R1およびR1’は同じであり、以下
【化2】

【化3】

などのような芳香族基から選択される。
【0006】
他の特定の実施形態では、R1およびR1’のうち、ひとつは、以下の式
【化4】

を有し、ここで、mは、繰り返し−O−(CH2)2−単位の数をあらわす整数であり、限定されないが、1〜10であってもよい。
【0007】
特定の実施形態では、R2およびR2’は、両方ともアルキレンであり、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、環状または非環状の置換アルキレンであってもよく、場合により、ヘテロ原子がアルキレン中に存在していてもよい。ある実施形態では、R2およびR2’は両方とも飽和アルキレンである。他の実施形態では、R2およびR2’は、両方とも非置換アルキレンである。ある実施形態では、R2およびR2’は、式−C34H56+a−のそれぞれの基であり、飽和部および環状基を含んでいてもよい分枝鎖アルキレンであり、aは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の整数である。特定の実施形態では、R2およびR2’は、以下の式を有する異性体を含む。
【化5】

【0008】
特定の実施形態では、R3は、直鎖または分枝鎖のアルキレンであり、飽和または不飽和、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子は、場合により、アルキレン中に存在していてもよい。特定の実施形態では、R3は、エチレン基−CH2CH2−である。
【0009】
これらの化合物の例としては、
【化6】

【化7】

【化8】

など、およびこれらの混合物、ならびに対応するオリゴマーが挙げられる。
【0010】
これらの化合物は、以下のように調製することができる。第1の実施形態では、式HOOC−R2−COOHの二酸2モル当量と、式H2N−R3−NH2のジアミン1モル当量とを、希釈しない状態(すなわち、溶媒が存在しない状態)で、反応混合物から出る水を除去しつつ、高温で反応させ、式HOOC−R2−CONH−R3−HNCO−R2’−COOHの末端が酸のオリゴアミドを得てもよい。
【0011】
二酸およびジアミンは、任意の望ましい相対量または有効な相対量で存在していてもよく、種々の実施形態では、ジアミン1モルあたり、二酸が少なくとも1.75または2モル、種々の実施形態では、ジアミン1モルあたり、二酸が2.5モル以下、2.3モル以下または2.1モル以下であってもよいが、この相対量は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0012】
例えば、Dean−Starkトラップ、モレキュラーシーブまたは他の乾燥剤などの任意の望ましい方法または有効な方法によって、二酸およびジアミンの反応混合物から出る水を除去してもよい。
【0013】
二酸とジアミンの反応は、任意の望ましい温度または有効な温度で、種々の実施形態では、少なくとも90℃、100℃または155℃、種々の実施形態では、180℃以下、175℃以下、または165℃以下の温度で行われてもよいが、この温度は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0014】
二酸とジアミンの反応は、任意の望ましい時間または有効な時間、種々の実施形態では、少なくとも2時間、2.5時間、または3時間、種々の実施形態では、5時間以下、4.5時間以下、または4時間以下の時間行われてもよいが、この時間は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0015】
所望な場合、高温にさらされたときに起こり得る樹脂の変色を減らすために、酸化防止剤も含まれていてもよい。適切な酸化防止剤の例としては、IRGAFOS(登録商標)168などが挙げられる。
【0016】
または、式HOOC−R2−CONH−R3−HNCO−R2’−COOHを有する、末端が酸のオリゴアミドは、カップリング剤(例えば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)存在下、触媒(例えば、4−ジメチルアミノピリジン)存在下、溶媒(例えば、塩化メチレン)存在下、低温で二酸とジアミンとを反応させた後、徐々に室温まで加温して有機アミド中間体を生成させることによって調製することができる。
【0017】
適切なカップリング剤の例としては、以下の式を有する1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【化9】

1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]3−エチルカルボジイミドHCl、N,N−カルボニルジイミダゾール、N−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)−カルボジイミドメチル−p−トルエンスルホネート、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、(o−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホン酸クロリド、(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
カップリング剤および二酸は、任意の望ましい相対量または有効な相対量で存在していてもよく、種々の実施形態では、二酸1モルあたりカップリング剤が少なくとも1.8、1.9、または2モル、種々の実施形態では、二酸1モルあたり、カップリング剤が2.75モル以下、2.5モル以下、または2.2モル以下であってもよいが、この相対量は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0019】
適切な触媒の例としては、以下の式の4−ジメチルアミノピリジン
【化10】

トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
触媒および二酸は、任意の望ましい相対量または有効な相対量で存在していてもよく、種々の実施形態では、二酸1モルあたり少なくとも0.05モル、0.1モル、または0.2モル、種々の実施形態では、二酸1モルあたり1モル以下、0.8モル以下、または0.5モル以下であってもよいが、この相対量は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0021】
任意の望ましい溶媒または有効な溶媒を使用してもよい。適切な溶媒の例としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ヘキサン、酢酸エチルなど、およびこれらの混合物および組み合わせが挙げられる。
【0022】
溶媒は、任意の望ましい量または有効な量で存在していてもよく、種々の実施形態では、二酸1ミリモルあたり少なくとも10mL、15mLまたは20mL、種々の実施形態では、二酸1ミリモルあたり、50mL以下、40mL以下、または30mL以下であってもよいが、溶媒の量は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0023】
この実施形態では、二酸、ジアミン、カップリング剤の反応は、任意の望ましい温度または有効な温度、種々の実施形態では、少なくとも0℃、5℃、または15℃、種々の実施形態では、50℃以下、40℃以下、または30℃以下の温度で行われてもよいが、温度は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0024】
以下、式HOOC−R2−CONH−R3−HNCO−R2’−COOHの末端が酸のオリゴアミドを、有機酸化スズ触媒存在下、溶媒が存在しない(希釈していない)状態で式R1−OHの芳香族モノアルコール2モル当量と反応させ、以下の式
【化11】

の最終生成物が得られる。この反応は、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのようなカップリング剤が存在しない状態で、4−ジメチルアミノピリジンなどのような有機スズ触媒以外の従来の触媒が存在しない状態で起こる。
【0025】
末端が酸のオリゴアミド中間体およびモノアルコールは、任意の望ましい相対量または有効な相対量で存在していてもよく、種々の実施形態では、末端が酸のオリゴアミド中間体1モルあたり、モノアルコールが少なくとも2モル、2.15モル、または2.25モル、種々の実施形態では、末端が酸のオリゴアミド中間体1モルあたり、モノアルコールが2.75モル以下、2.5モル以下、または2.4モル以下であってもよいが、この相対量は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0026】
R基が互いに異なる非対称生成物は、アルコールの混合物を反応剤として使用することによって得ることができ、この場合、対称形の生成物と非対称形の生成物の混合物が得られる。それに加え、非対称生成物は、保護基の化学を用い、1箇所が保護された有機アミドと1個のアルコールとを反応させ、この中間体生成物を単離し、脱保護し、次いで、脱保護した中間体を第2のアルコールと反応させることによって得ることができる。
【0027】
触媒および末端が酸のオリゴアミド中間体は、任意の望ましい相対量または有効な相対量で存在していてもよく、種々の実施形態では、末端が酸のオリゴアミド中間体1モルあたり、触媒が少なくとも0.05モル、0.1モル、または0.2モル、種々の実施形態では、末端が酸のオリゴアミド中間体1モルあたり、触媒が1モル以下、0.8モル以下または0.5モル以下であってもよいが、この相対量は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0028】
触媒は、スズであり、ある特定の実施形態では、有機スズオキシドまたは有機チタネート触媒である。適切な有機スズオキシド触媒の例としては、ジブチルスズオキシド((C4H9)2SnO)、ブチルスズ酸(C4H9SnOOH)、ブチルスズトリス−2−エチルヘキサノエート(C28H54O6Sn)、ジブチルスズジアセテート(C12H24O4Sn)、ジブチルスズジラウレート((C4H9)2Sn(OOC12H23)2)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)((C4H9)2Sn(OOC8H15)2)、ジブチルジクロロスタンナン、ブチルトリクロロスタンナン、ジブチルスズジメトキシド(C16H36O2Sn)、ジブチルスズジブトキシド(C16H36O2Sn)、ジブチルスズビス(1−チオグリセロール)((C4H9)2Sn(SCH2CHOHCH2OH)2)、モノブチルスズトリクロリド、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、トリフェニルスズヒドロキシド((C6H5)3SnOH)、ジオクチルスズビス(2−エチルヘキシル−メルカプトアセテート)((C8H15)2Sn(SCH2COOC8H17)2、第一スズビス(2−エチルヘキサノエート)、ブチルクロロスズジヒドロキシド(C4H9Sn(OH)2Cl)など、およびこれらの混合物が挙げられる。他の適切なスズ触媒の例としては、スズオキシド(SnO)、シュウ酸第一スズ(SnC2O4)、塩化第一スズ(SnCl2)、四塩化スズ(SnCl4)など、およびこれらの混合物が挙げられる。適切な有機チタネート触媒の例としては、限定されないが、テトラ−n−ブチルチタネート(Ti(OCH2CH2CH2CH3)4)、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート(Ti(OCH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH2CH3)4)、トリエタノールアミンチタネート、テトライソノニルチタネート、ブチルイソプロピルチタネートなど、およびこれらの混合物が挙げられる。スズ系触媒および有機チタネート触媒の2種類以上の混合物も使用してもよい。
【0029】
反応が終了した後、反応生成物中に触媒が残っていると考えられる。したがって、最終生成物は、有機スズ化合物を、種々の実施形態では、生成物の少なくとも0.01重量%、0.10重量%または0.15重量%、種々の実施形態では、生成物の0.5重量%以下、0.25重量%以下、または0.2重量%以下の量で含むが、この量は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0030】
末端が酸のオリゴアミド中間体とモノアルコールの反応は、任意の望ましい温度または有効な温度で、種々の実施形態では、少なくとも90℃、120℃、または150℃、種々の実施形態では、250℃以下、200℃以下、または175℃以下で行われてもよいが、この温度は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0031】
末端が酸のオリゴアミド中間体とモノアルコールの反応は、任意の望ましい時間または有効な時間、種々の実施形態では、少なくとも1時間、1.5時間または2時間、種々の実施形態では、2日以下、1.5日以下、または1日以下の時間行われてもよいが、この時間は、これらの範囲からはずれていてもよい。
【0032】
このようにして調製された多くの実施形態は、溶液の状態で存在すると、ゲル状の挙動を示すことができる。溶解させることが可能な材料の例としては、硬化性モノマー、例えば、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、SR9003)が挙げられる。ゲル状の挙動とは、比較的狭い温度範囲で比較的鋭い粘度上昇を受けることを意味する。種々の実施形態では、本明細書に開示されているようなある種の化合物は、種々の実施形態では、少なくとも5℃、10℃、または30℃の温度範囲で、少なくとも103センチポイズ、105センチポイズまたは106センチポイズの粘度変化を受けるが、粘度範囲および温度範囲は、これらの範囲からはずれていてもよく、これらの範囲内で変化を受けない化合物も本発明に含まれる。
【0033】
本明細書に開示されている化合物の少なくともいくつかの例は、第1の温度で半固体のゲルを形成することができる。例えば、化合物が転相インクに組み込まれている場合、この温度は、インクが吐出される特定の温度よりも低い。半固体のゲル相は、物理的なゲルであり、1つ以上の固体のゲル化剤分子と液体溶媒の力学的平衡状態として存在する。半固体のゲル相は、分子成分が、水素結合、ファンデルワールス相互作用、芳香族の非結合性相互作用、イオン結合または配位結合、London分散力などの非共有性相互作用によって一緒に保持されている力学的に網目構造になった集合体であり、温度、機械的な撹拌などの物理的な力、またはpH、イオン強度などの化学的な力によって刺激を受けると、巨視的なレベルで液体状態から半固体状態に可逆的に遷移することができる。ゲル化剤分子を含む溶液は、温度が、その溶液のゲル化温度よりも上または下に変わると、半固体のゲル相から液体相へと熱可逆的な遷移を示す。半固体ゲル相と液体相の可逆的な遷移サイクルは、溶液配合物中で何度も繰り返すことができる。
【0034】
本明細書に開示されている化合物の少なくともいくつかは硬化性である。「硬化性」は、本明細書で使用する場合、重合可能または鎖伸長可能なこと、すなわち、(限定されないが)遊離ラジカル重合または鎖伸長、カチオン系重合または鎖伸長を含む重合によって硬化させることが可能な材料、および/または、重合が放射線感受性の光開始剤を用いることによって光開始される材料を意味する。放射線硬化性は、本明細書で使用する場合、開始剤が存在する状態または存在しない状態を含め、(限定されないが)光源および熱源を含む放射線源にさらされると硬化するあらゆる形態を包含することを意図している。放射線硬化の例としては、(限定されないが)例えば、場合により光開始剤および/または感光剤が存在する状態で、200〜400ナノメートルの波長をもつ紫外(UV)線、可視光など、場合により、光開始剤が存在する状態で、電子線照射、場合により、高温熱開始剤(好ましくは、転相インク中で使用される場合、吐出温度で主に不活性である)が存在する状態で、熱による硬化、およびこれらの適切な組み合わせが挙げられる。
【0035】
本明細書で開示されているプロセスによって作られるオリゴアミド化合物は、ある特定の実施形態では、多分散性の値(Mw/Mn)が3以下、2.75以下、または2.5以下であるが、この値は、これらの範囲からはずれていてもよい。分子量が制御され、多分散性が狭いオリゴアミド化合物を提供することによって、本明細書に開示されているプロセスによって、得られる生成物の靭性を高めることができる。
【実施例】
【0036】
(実施例I)
有機アミド前駆体を以下のように調製した。4Lのケトルに加熱マントル、ポリテトラフルオロエチレンのパドルがついたオーバーヘッドスターラー、250mLの滴下漏斗、Dean−Starkトラップ、還流凝縮器を取り付け、これにPRIPOL(登録商標)C36ダイマー二酸(酸値196、2当量、4.23mol、2,422g、Cognis Corporationから得られる)を加えた後、IRGAFOS(登録商標)168(0.2重量%、5.1g、7.9mmol、BASFから得られる)を加えた。粘性溶液を90℃まで加熱し、アルゴンをパージし、撹拌した。その後に、エチレンジアミン(1eq、2.11mol、141.4mL、Sigma−Aldrichから得られる)を滴下漏斗に入れ、ケトルに1時間かけて加えた。加え終わったら、ケトルを155℃まで加熱し、この温度で3時間保持した。この間に、Dean−Starkトラップに水凝縮物が集まった。3時間後、反応生成物は粘性の金色シロップ状物であった。反応を止め、溶融した生成物をホイル皿に出し、室温まで冷却した。有機アミド生成物2,205gを粘着性の褐色樹脂として単離した。この生成物は、以下の式を有していたと考えられる。
【化12】

【0037】
(実施例II)
ポリテトラフルオロエチレンブレードがついたオーバーヘッドスターラー、Dean−Starkトラップ、凝縮器を取り付けた500mL丸底フラスコに、実施例Iで調製した有機アミド中間体86.44g(67.2mmol)を入れた。この材料を混合しながら100℃まで加熱し、容器にアルゴンをパージした。その後に、反応容器に0.2重量%トリス(2,4−ジtert−ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS 168酸化防止剤、BASFから得られる)を入れた後、0.1重量%ブチルスズ酸(FASCAT(登録商標)4100、Arkema)を加え、次いで、フェニルグリコール(16.86mL、134mmol、2eq.)を加えた。次いで、反応容器にアルゴンをパージし、20℃ずつ上げながら合計で30分間かけて170℃まで加熱した。その後、温度を170℃に2時間維持し、次いで、240℃まで加熱し、240℃で4時間維持した。この間に、反応物から水凝縮物が放出され、Dean−Starkトラップに集まった。次に、反応容器を90℃まで冷却し、皿に生成物を取り出し、室温まで冷却した。合計反応時間は約4時間であり、温度は、160〜340℃の範囲であった。ゲル相クロマトグラフィーによって、生成物を以下の式を有する既知の材料と比較し、
【化13】

匹敵する分子量分布プロフィールが示された。また、この材料は、温度に対する複素粘度のプロフィールに基づき、匹敵するレオロジーを示した。
【0038】
(実施例III)
ポリテトラフルオロエチレンブレードがついたオーバーヘッドスターラー、Dean−Starkトラップ、凝縮器を取り付けた500mL丸底フラスコに、実施例Iで調製した有機アミド中間体146.53g(114mmol)を加えた。この材料を混合しながら100℃まで加熱し、容器にアルゴンをパージした。その後に、反応容器に0.2重量%トリス(2,4−ジtert−ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS 168、0.3g)を入れた後、0.1重量%ジブチルスズオキシド(FASCAT(登録商標)4201、Arkema、0.146g)を加え、次いで、フェニルグリコール(28.6mL、228mmol、2eq.)を加えた。まず、反応容器を100℃まで加熱し、次に120℃まで加熱し、次に150℃まで加熱した。次いで、反応混合物を150℃で5時間撹拌した。最後に、残留水と過剰量のフェニルグリコールを抜き取るために1時間減圧状態にした。次いで、反応を止め、溶融した生成物をホイル皿に取り出し、冷却した。生成物は、以下の式を有すると考えられ、
【化14】

これを暗金色の固体ガム状物として単離した(151g、108mmol、収率95%)。
【0039】
(実施例IV)
オーバーヘッドスターラー、PTFEブレード、Dean−Starkトラップ、凝縮器を取り付けた100mLのケトルに、実施例Iで調製した有機アミド中間体65.89g(51.3mmol)を加えた。この材料を混合しながら100℃まで加熱し、容器にアルゴンをパージした。その後に、反応容器に0.2重量%IRGAFOS 168酸化防止剤(BASF、0.1g)を入れた後、0.2重量%VERTEC AC422アルコキシチタネート触媒(Johnson−Matthey、0.133g)を加え、次いで、フェニルグリコール(14.16g、103mmol、2eq.)を加えた。反応物を、10〜20℃ずつ温度を上げながら170℃まで加熱し、170℃で一晩操作した(約18時間)。18時間後、30分間減圧状態にして、水濃縮物を副生成物としてDean−Starkトラップに集めた。ケトルを120℃未満まで冷却し、生成物を皿に取り出し、室温まで冷却した。フェニルグリコールゲル化生成物は、実施例IIおよびIIIと同じ式を有すると考えられ、これをわずかに粘着性の固体として単離した。
【0040】
(実施例V)
オーバーヘッドスターラー、PTFEブレード、Dean−Starkトラップ、凝縮器を取り付けた100mLのケトルに、実施例Iで調製した有機アミド中間体55g(42.7mmol)を加えた。この材料を混合しながら120℃まで加熱し、この容器にアルゴンをパージした。その後、反応容器に0.2重量%IRGAFOS 168(BASF、0.1g)を入れた後、0.1重量%ジブチルスズオキシド(FASCAT(登録商標)4201、0.1g)を加え、その後、フェニルグリコール(11.8g、85.4mmol、2eq.)を加えた。反応物を、10〜20℃ずつ温度を上げながら170℃まで加熱し、174℃に4.5時間維持した。次に、30分間減圧状態にして、水濃縮物を副生成物としてDean−Starkトラップに集めた。ケトルを120℃未満まで冷却し、溶融した生成物をホイル皿に取り出し、冷却した。フェニルグリコールゲル化剤は、実施例IIおよびIIIと同じ式を有すると考えられ、これをわずかに粘着性の固体として単離した。Mw=2.768×103、Mn=1.166×103、PDI(多分散性指数)=2.374。
【0041】
(実施例VI)
オーバーヘッドスターラー、PTFEブレード、Dean−Starkトラップ、凝縮器を取り付けた100mLのケトルに、実施例Iで調製した有機アミド中間体55.4g(43mmol)を加えた。この材料を混合しながら120℃まで加熱し、この容器にアルゴンをパージした。その後、反応容器に0.2重量%IRGAFOS 168(0.11g)を入れた後、0.1重量%ブチルスズ酸(FASCAT(登録商標)4100、0.1g)を加え、次いで、フェニルグリコール(11.80g、85.4mmol、2eq.)を加えた。反応物を、10〜20℃ずつ温度を上げながら170℃まで加熱し、170〜180℃に4時間維持した。次に、30分間減圧状態にして、水濃縮物を副生成物としてDean−Starkトラップに集めた。ケトルを120℃未満まで冷却し、溶融した生成物をホイル皿に取り出し、冷却した。フェニルグリコールゲル化剤は、実施例IIおよびIIIと同じ式を有すると考えられ、これをわずかに粘着性の固体として単離した。Mw=2.854×103、Mn=1.296×103、PDI=2.202。
【0042】
(実施例VII)
オーバーヘッドスターラー、PTFEブレード、Dean−Starkトラップ、凝縮器を取り付けた100mLのケトルに、実施例Iで調製した有機アミド中間体55.4g(43mmol)を加えた。この材料を混合しながら120℃まで加熱し、この容器にアルゴンをパージした。その後、反応容器に0.2重量%IRGAFOS 168(0.11g)を入れた後、0.1重量%ブチルスズ酸(FASCAT(登録商標)4100、0.1g)を加え、次いで、フェニルグリコール(5.9g、42.74mmol、1eq.)およびドデカノール(7.96g、42.74mmol、1eq.Sigma−Aldrich)の混合物を加えた。反応物を、10〜20℃ずつ温度を上げながら170℃まで加熱し、170〜180℃に4時間維持した。次に、30分間減圧状態にして、水濃縮物を副生成物としてDean−Starkトラップに集めた。ケトルを120℃未満まで冷却し、溶融した生成物をホイル皿に取り出し、冷却した。この生成物は、フェニルグリコールで保護されたゲル化剤、ドデカノールで保護されたゲル化剤、フェニルグリコール/ドデカノールで保護された混合ゲル化剤の統計学的混合物である。
【0043】
(比較例A)
オーバーヘッドスターラー、PTFEブレード、Dean−Starkトラップ、凝縮器を取り付けた100mLのケトルに、PRIPOL(登録商標)C36ダイマー二酸(酸価196、Cognis Corporation、86mmol)50g、0.2重量% IRGAFOS(登録商標)168酸化防止剤(0.1g)、0.2重量%ブチルスズ酸(FASCAT(登録商標)4100、0.1g)を加えた。粘性溶液を90℃まで加熱し、アルゴンをパージし、撹拌した。その後、反応容器に、フェニルグリコール(25.08g、182mmol、2.1eq.)を加えた後、エチレンジアミン(3.25mL、48.6mmol、0.56eq.、Sigma−Aldrichから得られる)を、シリンジを介し、15分間かけて滴下した。反応物を、20℃ずつ温度を上げながら200℃まで加熱し、180〜200℃に一晩維持した(約18時間)。18時間後、30分間減圧状態にして、水濃縮物を副生成物としてDean−Starkトラップに集めた。ケトルを120℃未満まで冷却し、溶融した生成物をホイル皿に取り出し、冷却した。フェニルグリコールゲル化剤は、実施例IIおよびIIIと同じ式を有すると考えられ、これをわずかに粘着性の固体として単離した。Mw=2.781×103、Mn=0.68×103、PDI=4.09。
【0044】
(比較例B)
オーバーヘッドスターラー、PTFEブレード、Dean−Starkトラップ、凝縮器を取り付けた100mLのケトルに、PRIPOL(登録商標)C36ダイマー二酸(酸価196、86mmol)50g、0.2重量% IRGAFOS(登録商標)168酸化防止剤(0.1g)、0.2重量%ブチルスズ酸(FASCAT(登録商標)4201、0.1g)を加えた。粘性溶液を90℃まで加熱し、アルゴンをパージし、撹拌した。その後、反応容器に、フェニルグリコール(25.08g、182mmol、2.1eq.)を加えた後、エチレンジアミン(3.25mL、48.6mmol、0.56eq.Sigma−Aldrich)を、シリンジを介し、15分間かけて滴下した。反応物を、20℃ずつ温度を上げながら180℃まで加熱し、150〜180℃に一晩維持した(約18時間)。18時間後、30分間減圧状態にして、水濃縮物を副生成物としてDean−Starkトラップに集めた。ケトルを120℃未満まで冷却し、溶融した生成物をホイル皿に取り出し、冷却した。フェニルグリコールゲル化剤は、実施例IIおよびIIIと同じ式を有すると考えられ、これをわずかに粘着性の固体として単離した。Mw=2.427×103、Mn=0.598×103、PDI=4.06。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物を調製するプロセスであって、
【化15】

式中、
(a)R1およびR1’は、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、ここで、R1およびR1’は、
(i)置換および非置換のアルキルを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アルキル中に存在していてもよい、アルキル、
(ii)置換および非置換のアリールを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アリール中に存在していてもよい、アリール、
(iii)置換および非置換のアリールアルキルを含み、ヘテロ原子が、場合により、前記アリールアルキルの前記アリールまたは前記アルキルのいずれかに存在していてもよい、アリールアルキル、または
(iv)置換および非置換のアルキルアリールを含み、ヘテロ原子が、場合により、前記アルキルアリールの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アルキルアリールであり、
但し、
(A)R1およびR1’のうち、少なくとも1つは芳香族基を含み、
(B)R1およびR1’は、どちらも光開始基を含まず、
(b)R2およびR2’は、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、ここで、R2およびR2’は、それぞれ互いに独立して、
(i)置換および非置換のアルキレンを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アルキレン中に存在していてもよい、アルキレン、
(ii)置換および非置換のアリーレンを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アリーレン中に存在していてもよい、アリーレン、
(iii)置換および非置換のアリールアルキレンを含み、ヘテロ原子が、場合により、前記アリールアルキレンの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アリールアルキレン、または
(iv)置換または非置換のアルキルアリーレンを含み、ヘテロ原子は、場合により、前記アルキルアリーレンの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アルキルアリーレンであり、
(c)R3は、
(i) 置換および非置換のアルキレンを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アルキレン中に存在していてもよい、アルキレン、
(ii)置換および非置換のアリーレンを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アリーレン中に存在していてもよい、アリーレン、
(iii)置換および非置換のアリールアルキレンを含み、ヘテロ原子が、場合により、前記アリールアルキレンの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アリールアルキレン、または
(iv)置換または非置換のアルキルアリーレンを含み、ヘテロ原子は、場合により、前記アルキルアリーレンの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アルキルアリーレンであり、
(d)nは、繰り返しモノマー単位の数をあらわし、
このプロセスは、
(I)式HOOC−R2−COOHの二酸と、式H2N−R3−NH2のジアミンとを反応させ、式HOOC−R2−CONH−R3−HNCO−R2’−COOHの末端が酸のオリゴアミド中間体を得ることと、
(II)前記末端が酸のオリゴアミド中間体と、式R1−OHのモノアルコールとを、
(a)次のいずれかである触媒の存在のある状態で、
(i)スズ触媒、
(ii)有機チタネート触媒、
(b)カップリング剤は存在せず、
(c)溶媒も存在しない状態で反応させ、生成物を得ることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
二酸とジアミンとを反応させ、末端が酸のオリゴアミド中間体を得る前記反応が、溶媒が存在しない状態で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記触媒が、ジブチルスズオキシド、ブチルスズ酸、ブチルスズトリス−2−エチルヘキサノエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルジクロロスタンナン、ブチルトリクロロスタンナン、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジブトキシド、ジブチルスズビス(1−チオグリセロール)、モノブチルスズトリクロリド、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、トリフェニルスズヒドロキシド、ジオクチルスズビス(2−エチルヘキシル−メルカプトアセテート)、第一スズビス(2−エチルヘキサノエート)、酸化スズ、シュウ酸第一スズ、塩化第一スズ、四塩化スズ、ブチルクロロスズジヒドロキシド、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、テトライソノニルチタネート、またはこれらの混合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記末端が酸のオリゴアミド中間体と前記モノアルコールとの前記反応が、スズ触媒または有機チタネート触媒以外の触媒が存在しない状態である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
このようにして調製された前記化合物は、多分散性が3以下である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記生成物が以下の式を有する、請求項1に記載のプロセス。
【化16】


【化17】

【化18】

【請求項7】
組成物であって、
(I)以下の式の化合物と
【化19】

〔式中、
(a)R1およびR1’は、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、ここで、R1およびR1’は、
(i)置換および非置換のアルキルを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アルキル中に存在していてもよい、アルキル、
(ii)置換および非置換のアリールを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アリール中に存在していてもよい、アリール、
(iii)置換および非置換のアリールアルキルを含み、ヘテロ原子が、場合により、前記アリールアルキルの前記アリールまたは前記アルキルのいずれかに存在していてもよい、アリールアルキル、または
(iv)置換および非置換のアルキルアリールを含み、ヘテロ原子が、場合により、前記アルキルアリールの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アルキルアリールであり、
但し、
(A)R1およびR1’のうち、少なくとも1つは芳香族基を含み、
(B)R1およびR1’は、どちらも光開始基を含まず、
(b)R2およびR2’は、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよく、ここで、R2およびR2’は、それぞれ互いに独立して、
(i)置換および非置換のアルキレンを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アルキレン中に存在していてもよい、アルキレン、
(ii)置換および非置換のアリーレンを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アリーレン中に存在していてもよい、アリーレン、
(iii)置換および非置換のアリールアルキレンを含み、ヘテロ原子が、場合により、前記アリールアルキレンの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アリールアルキレン、または
(iv)置換または非置換のアルキルアリーレンを含み、ヘテロ原子は、場合により、前記アルキルアリーレンの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アルキルアリーレンであり、
(c)R3は、
(i)置換および非置換のアルキレンを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アルキレン中に存在していてもよい、アルキレン、
(ii)置換および非置換のアリーレンを含み、ヘテロ原子が、場合により前記アリーレン中に存在していてもよい、アリーレン、
(iii)置換および非置換のアリールアルキレンを含み、ヘテロ原子が、場合により、前記アリールアルキレンの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アリールアルキレン、または
(iv)置換または非置換のアルキルアリーレンを含み、ヘテロ原子は、場合により、前記アルキルアリーレンの前記アリール部分または前記アルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アルキルアリーレンであり、
(d)nは、繰り返しモノマー単位の数をあらわす〕、
(II)0.01〜0.5重量%の量で存在するスズ化合物または有機チタネート化合物と、を含む、組成物。
【請求項8】
前記スズ化合物または有機チタネート化合物が、ジブチルスズオキシド、ブチルスズ酸、ブチルスズトリス−2−エチルヘキサノエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルジクロロスタンナン、ブチルトリクロロスタンナン、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジブトキシド、ジブチルスズビス(1−チオグリセロール)、モノブチルスズトリクロリド、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、トリフェニルスズヒドロキシド、ジオクチルスズビス(2−エチルヘキシル−メルカプトアセテート)、第一スズビス(2−エチルヘキサノエート)、酸化スズ、シュウ酸第一スズ、塩化第一スズ、四塩化スズ、ブチルクロロスズジヒドロキシド、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、テトライソノニルチタネート、またはこれらの混合物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
R1およびR1’が、それぞれ、
【化20】

【化21】

である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
R1およびR1’のうち、ひとつが、以下の式
【化22】

であり、mが、繰り返し−O−(CH2)2−単位の数をあらわず整数である、請求項7に記載の組成物。

【公開番号】特開2012−251145(P2012−251145A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109645(P2012−109645)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】