説明

芳香族D−アミノ酸を含むペプチドおよびその利用方法

芳香族D−アミノ酸を含むD−ペプチドおよびD−ペプチドのライブラリーを開示する。また、標的タンパク質に結合する、芳香族D−アミノ酸を含む小さなD−ペプチドを同定する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連する出願の参照
この出願は、2002年7月3日出願の米国仮出願番号60/394,176の利益を要求する。
【0002】
背景技術
多くのタンパク質の生物学的活性は、該タンパク質の他の分子との結合によって調節を受ける。例えば、レクチンは、その活性が単糖類や多糖類を含む炭水化物との結合に影響を受ける類のタンパク質である。レクチンは、例えば、バクテリアにおける能動輸送や走化性、ウィルス感染の確立、白血球−内皮細胞間での細胞認識の媒介、バクテリアまたはウィルスの、他の細胞への接着の媒介、並びに、正常または異常な糖タンパク質および多糖類の認識を含む、多くの重要な機能に関与している。レクチンは重要な生物学的活性に関与しているため、薬物治療における魅力的なターゲットである。
薬剤的価値を持つ可能性のある分子を同定する方法のひとつは、その分子の、重要な生物学的活性を持つタンパク質と結合する能力を調べることである。なぜなら、通常はそのタンパク質の基質やリガンドとして機能しない分子と結合することによって、タンパク質の活性が影響を受ける可能性があるからである。
当技術分野において必要なのは、標的タンパク質と結合することが可能な新規化合物と、標的タンパク質と結合する能力のある化合物を同定する方法である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の簡単な説明
ひとつの側面からは、本発明は、3個から7個のD−アミノ酸残基の配列を含むD−ペプチドを提供し、ここで、その少なくとも2個のアミノ酸残基は、D−トリプトファン、D−チロシン、D−フェニルアラニンからなるグループから独立に選択されたものである。
別の側面からは、本発明は、Xaa1YYFF、Xaa1FYFF、Xaa1YFFF、Xaa1FFYF、Xaa1YFFY、Xaa1YFYF、Xaa1FFFF、Xaa1FYYF、FXaa1FFF、YFXaa1FF、Xaa1FWXaa2Y、Xaa1FXaa2WY、Xaa1Xaa2FFW、Xaa1FFFY、FFFFXaa1、YXaa1YFF、YXaa1FFY、Xaa1FFXaa2Xaa3、Xaa1WYFF、Xaa1FXaa2FF、Xaa1YXaa2FF、Xaa1FFYXaa2、Xaa1FFXaa2F、Xaa1Xaa2Xaa3YY、Xaa1Xaa2Xaa3FF、Xaa1FYWF、Xaa1Xaa2FYY、Xaa1YYFY、Xaa1FYXaa2Y、WXaa1FFF、Xaa1FFFXaa2、Xaa1YYYY、FXaa1WFF、WXaa1FWXaa2、WFXaa1FXaa2、FWXaa1FF、FXaa1FFY、Xaa1Xaa2WXaa3Y、FFWXaa1Y、FXaa1WXaa2Xaa3、YYXaa1YY、FFFXaa1F、YFYFXaa1、YWXaa1FF、WXaa1YXaa2F、WXaa1YFXaa2、WXaa1FFXaa2、FFFXaa1W、FWFXaa1Xaa2、FYXaa1YF、FWXaa1Xaa2Xaa3、FXaa1YYW、FXaa1YYXaa2、FWXaa1WY、FFWYW、FXaa1Xaa2FXaa3、FYWXaa1Y、FYWXaa1W、FXaa1YFXaa2、FWWYF、FYYYXaa1、および FFXaa1WW からなるグループから選択されたペンタペプチド配列を含むD−ペプチドを提供し、ここで、Xaa1、Xaa2、および Xaa3 は、D、E、K、R、H、N、Q、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択された、D−型あるいはL−型のアミノ酸である。
別の側面からは、本発明は、複数のD−ペプチドを含むライブラリーを提供し、ここで、各D−ペプチドは3個から7個のD−アミノ酸残基の配列を含み、D−ペプチドの配列の少なくとも25%は、D−トリプトファン、D−チロシン、D−フェニルアラニンからなるグループから独立に選択されたアミノ酸残基を少なくとも2個含む。
【0004】
さらに別の側面からは、本発明は、予め選択したタンパク質に結合する能力を持つD−ペプチドを同定する方法を提供し、これは、本発明のD−ペプチドライブラリーを該タンパク質と接触させ、該タンパク質のD−ペプチドへの結合を検出して結合したD−ペプチドを得、および結合したD−ペプチドを同定することを含む。
さらに別の側面からは、本発明は、予め選択したタンパク質に結合する能力を持つD−ペプチドを作製する方法を提供し、これは、本発明のD−ペプチドライブラリーを該タンパク質と接触させ、該タンパク質のD−ペプチドへの結合を検出して結合したD−ペプチドを得、結合したD−ペプチドを同定し、および該D−ペプチドを合成することを含む。
重要な側面からは、本発明は、毒素にさらされた哺乳動物における毒素の毒性を軽減する方法を提供し、これは、該毒素に結合すると確認されたD−アミノ酸のD−ペプチドを、毒性を軽減するのに効果的な量で該哺乳動物に投与することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
発明の詳細な説明
本発明の1つの側面において、薬剤的効用を持つD−ペプチドの同定を見込んで、標的タンパク質の、芳香族D−アミノ酸を含むD−ペプチドと結合する能力を評価した。ここで使用した通り、D−ペプチドとはD−型のアミノ酸を含むペプチドである。D−アミノ酸に加えて、D−ペプチドはさらにL−アミノ酸を含み得る。標的タンパク質とは、ある分子との結合によって変化する生物学的活性を持つ、あるいは持つと推定される、あらゆるタンパク質を意味する。上に述べた通り、レクチンは多くの生物学的作用を媒介し、故に、薬物設計の有用なターゲットとなり得る。限定をするものではないが、他の標的タンパク質として、タンパク質毒素(例えば様々な病原菌の生産するもの)および抗体が挙げられる。
D−ペプチドの、予め選択した標的タンパク質と結合する能力をテストするため、芳香族D−アミノ酸残基をエンリッチしたペンタペプチドライブラリーを合成し、次いで、レクチン、様々なタンパク質毒素、様々な抗体、および他のタンパク質と結合する能力をテストした。アミノ酸残基3個から7個の長さの、短いD−ペプチドのライブラリーもまた、標的タンパク質と結合するD−ペプチドの同定に使用し得ると想定される。
【0006】
3個から7個のアミノ酸残基を持つD−ペプチドのライブラリーにおいて、芳香族D−アミノ酸を含むD−ペプチドをエンリッチしたライブラリーとは、ライブラリーの配列の約25%以上が2個以上の芳香族D−アミノ酸残基を含むもののことである。好ましくは、約30%以上のD−ペプチドが2個以上の芳香族D−アミノ酸残基を含む。さらにより好ましくは、約30%以上のD−ペプチドが3個以上の芳香族D−アミノ酸残基を含む。さらにより好ましくは、40%、あるいは50%以上にも及ぶD−ペプチドが、少なくとも3個またはそれより多い芳香族D−アミノ酸残基を含む。
下記の実施例において述べる通り、4つのD−アミノ酸(アラニン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン、または、アミノ酸の一文字表記を使用してそれぞれ A、F、Y、および W )およびグリシン(G)を使用して、芳香族D−アミノ酸をエンリッチしたペンタペプチドライブラリーを、スプリット合成法で構築した。グリシンはアキラルであり、従って、D−型またはL−型は存在しない。ここで使用した通り、A、F、Y、W のアミノ酸、または他のアミノ酸は、別途特定しない限り、D−型である。芳香族D−アミノ酸を含む、D−ペプチドをエンリッチしたライブラリーを作製しようとする者は、どのような適切な方法を使用して行ってもよい。スプリット合成法で作製したライブラリーのペンタペプチドの約23%が2個の芳香族D−アミノ酸残基を含み、約34%が3個の芳香族D−アミノ酸残基を含み、そして約25%が4個の芳香族D−アミノ酸残基を含む。
アミノ酸残基を、多数あるアミノ酸のうちのいずれかからも選択し得るD−ペプチド配列においては、該残基は"Xaa1"と表す。多数あるアミノ酸のうちのいずれかから選択したアミノ酸残基を1個より多く持つD−ペプチド配列においては、そのようなアミノ酸残基は、"Xaa1"、"Xaa2"、"Xaa3"などと表す。
【0007】
好ましくは、ライブラリーのD−ペプチドは固体支持体に付着させる。下記の実施例においては、芳香族D−アミノ酸をエンリッチしたペンタペプチドのライブラリーを、TentaGel ビーズ上で合成し、ここで、各ビーズはポリスチレンの核を持ち、その核には複数のポリオキシエチレンのアームが付属しており、各アームはその自由端に第一級アミンを持つ。D−ペプチドは、従来からの標準的なD−ペプチド合成化学を利用して、D−ペプチドへ各アミノ酸残基を連続して付加することにより合成した。このように構築したD−ペプチドは遊離アミノ末端をもつ。スプリット合成法により、単一D−ペプチド配列の多数のコピーを含むビーズが生じる。5種類のアミノ酸を使用した場合、作製したライブラリーに含まれる異なったペンタペプチド配列の数は、55すなわち 3125 である。
TentaGel ビーズのポリオキシエチレンアームは水溶性であるため、D−ペプチドの高次構造は、主に熱力学およびそれらの一次配列によって決まる。当業者が理解しているように、D−ペプチドはどのような適切な支持体に付着させてもよい。例えば、C末端に少なくとも1個のリジン残基を含むD−ペプチドを合成し、結合実験に使用するために、無水マレイン酸でコートした96ウェルポリスチレンプレートに共有結合で結合させた。このようにポリスチレンプレートに結合させたD−ペプチドは遊離アミノ残基を持つ。
【0008】
下記の実施例において要約した、ライブラリーのスクリーニングから得られた結果からは、本発明のD−ペプチドの中の芳香族アミノ酸 F、Y、および W は、タンパク質との結合に重要な貢献をしていると思われる。好ましくは、本発明によるD−ペプチドは、3個から7個の長さのD−アミノ酸残基の配列を含み、その配列は少なくとも2個の芳香族D−アミノ酸残基を含む。より好ましくは、配列は少なくとも3個または4個の芳香族D−アミノ酸残基を含む。
下で説明する、例示のD−ペプチドライブラリーの構築においては、G および A が芳香族でないアミノ酸として使用されているが、本発明は、G および A の残基を含むD−ペプチドまたはD−ペプチドライブラリーに限定されない。例として、G および/または A を、残りのD−アミノ酸(すなわち D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、V、L、I、M、および P )のいずれか1つと置き換えることによって、本発明に基づく別のD−ペプチドまたはD−ペプチドライブラリーが適切に作製されると具体的に想定される。例えば、G および A を、D−セリン(S)およびD−ロイシン(L)に置き換えることにより、それぞれ 3125 のメンバーからなる別のライブラリーを構築し得る。また、G または A の残基をL−型のアミノ酸と置き換えることによって、D−型およびL−型のペプチド混合のライブラリーを作製し得ると想定される。
【0009】
G または A を、D−型またはL−型の、”普通でない”または”自然でない”アミノ酸(例えば、D−もしくはL−α−アミノ酪酸、p−クロロ−D−フェニルアラニン、p−クロロ−L−フェニルアラニン、D−(2−ナフチル)アラニン、またはL−(2−ナフチル)アラニンなど)と置き換えることが可能であることは合理的に予想される。このような普通でないアミノ酸は、ペプチド合成に適した誘導体として商業的に入手可能である。実施例において説明するライブラリーは、アミノ末端が遊離アミノ基であるD−ペプチドを持つ。遊離アミノ基は誘導体化、例えばアセチル化されてもよく、合成したペプチドのライブラリーは、すべての標的タンパク質との結合能がテストされる。さらに、D−ペプチドのアミノ末端の遊離アミノ基を取り除くこと以外は同様の方法で、適切なライブラリーを構築し得ると想定される。これは、ライブラリー構築の最後の工程において、酢酸、プロピオン酸、3−フェニル−プロピオン酸、3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオン酸、あるいは3−インドール−プロピオン酸の化合物を加えることで成し遂げられる。
さらには、非芳香族残基を他の非芳香族残基と置き換えることによって、標的タンパク質と結合すると確認されたD−ペプチド配列を、別のライブラリーをデザインするのに使用し得ると想定される。例えば、仮に特定の個所に A 残基を持つD−ペプチドが、あるタンパク質に結合すると確認された場合、その A の位置が置換された別のサブライブラリーを容易に構築し得る。A を、元のライブラリーの構築で使用しなかったアミノ酸のうちの1つと置き換えることによって、別のD−ペプチドを含むサブライブラリーを構築し得る。G または A を2個所以上に持つD−ペプチド配列については、G または A 残基がみられる2箇所の残基を、別のアミノ酸と置き換えることによって、196 のメンバーを持つ新たなサブライブラリーを作製し得る。このようにして作製したサブライブラリーをスクリーニングすることによって、はじめに同定したD−ペプチドと、標的タンパク質に対する結合特異性や結合性が異なるメンバーを同定し得る。
【0010】
アミノ酸でないビルディングブロックを使用することにより、芳香族化合物のライブラリーを構築することも可能である。例えば、αまたはβ位の炭素に芳香族成分を持つ、α−ヒドロキシ−またはβ−ヒドロキシ−カルボン酸が使用可能であり、個々のカルボン酸はエステル結合の形成によって互いに結合する。このライブラリーは、カルボキシル基を持つ、G、A、F、Y、W の適切な類縁物質(例えば、グリコール酸、乳酸、フェニル乳酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)−乳酸、または3−インドール−乳酸)を使用して、カルボジイミド触媒カップリングによる構築が可能であり、そして、下記の実施例で説明するように、標的タンパク質との結合のスクリーニングに使用される。
D−型α−アミノ酸の場合と同じ方法で、アミノ酸 G、A、F、Y、W の適切な類縁物質から構成されるβ−アミノ酸を使用して、TentaGel ビーズ上に、適切なライブラリーを構築し得る。β−アミノ酸類縁物質を使用した、D−ペプチドの合成は、Applella et al.(Nature,387,381-384,1997) において説明されており、その説明は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0011】
本発明のD−ペプチドライブラリーのスクリーニングに使用した、予め選択したタンパク質は、例えば、レクチン、タンパク質毒素、または抗体など、いかなる標的タンパク質でもよい。下記の実施例においては、タチナタマメレクチン(ConA)、エンドウマメレクチン(PSA)、および GSI-B4 と表すレクチン、並びに2種類の抗−炭水化物抗体を、タンパク質との結合能についてのD−ペプチドライブラリーのスクリーニングに使用した。下記の実施例において説明する競合的結合実験は、D−ペプチドが炭水化物結合サイトに結合する可能性を示唆する。しかし、当然のことながら、本発明は、炭水化物結合サイトに結合するD−ペプチドに限定されるものではない。
他の実施例においては、ボツリヌス毒素、リシン毒素、コレラ毒素、および炭疽毒素の構成要素などのタンパク質毒素の、D−ペプチドと結合する能力をスクリーニングした。毒素を使用した生物戦の可能性を考えると、これらの毒素と相互作用する分子を同定することは、特別な関心事である。テストした各毒素について、そのタンパク質と結合する能力を持つD−ペプチドが同定された。
【0012】
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)は、BoNT/A - BoNT/G と表される、7種類のボツリヌス神経毒素を生産する。これらの毒素は、シナプス前ニューロンからニューロンシナプス(neuronal synapse)へのアセチルコリンの放出を阻害し、最終的には麻痺症を引き起こし得る。毒性を発揮するには、毒素が細胞に結合することが必要である。ボツリヌス毒素の、ターゲット細胞への結合の阻害、または、神経毒素のプロテアーゼ活性の阻害は、毒素の病的効力を防ぐ、あるいは軽減する。
下記の実施例において、BoNT/A、BoNT/B、または BoNT/E と結合するD−ペプチドを同定した。BoNT/A と結合する能力を持つ3つのD−ペプチドの混合物を、BoNT/A 毒素を注射したマウスに投与した。生きたマウスを使用した予備的データは、該D−ペプチドが哺乳動物において BoNT/A 毒素の毒性を軽減することを示唆する。
ボツリヌス毒素の結合ドメインは、破傷風神経毒素(TeNT)(Shapiro et al., J. Biol. Chem., 272, 30380-30386, 1997)、ジフテリア毒素 (Choe et al., Nature, 357, 216-222, 1992)、および緑膿菌(Pseudomonas aeriginosa)外毒素A(Allerud et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 83, 1320-1324, 1986)などの他の毒素のそれと似ている。従って、本発明のライブラリーを使用することによって、TeNT、ジフテリア毒素、および外毒素Aと結合する能力を持つD−ペプチドが同定され、またそのようなD−ペプチドは哺乳動物において該毒素の毒性を軽減すると期待される。
【0013】
リシンは、細胞表面結合ドメイン(B)および、N−グルコシダーゼ活性のある、酵素的に活性なAドメインを含む、植物性細胞毒素である(Lord et al., Semin.Cell Biol.,2,15-22,1991)。Bドメインは細胞表面のガラクトース残基に結合し、Aドメインは rRNA の保存配列から1つのアデニンを削り、その結果、リボソームを非活性化し、細胞死を引き起こす(Endo and Tsurugi、J. Biol. Chem., 263,8735-8739,1988)。リシンと結合する能力のあるD−ペプチドの同定は、毒素の細胞への結合を減らし、またはその活性を低下させ、それにより毒性を軽減し得る。
コレラ毒素は1つのAサブユニットと5つのBサブユニットを持ち、その全体構造は大腸菌エンテロトキシン、赤痢菌毒素、および百日咳菌毒素と類似する。コレラ毒素は、腸管上皮細胞の管腔表面(luminal surface)の細胞表面ガングリオシド GM1と結合し、そこでAサブユニットを細胞内に入れ、アデニル酸シクラーゼの調節を担うグアニンヌクレオチド結合タンパク質を修飾する。Bサブユニットと標的細胞との結合を阻害することによって、Aサブユニットの内在化を阻害し、毒素と関連した毒性を軽減する。
炭疽毒素は3つの構成要素を持つ:防御抗原(protective antigen; PA)、致死因子(lethal factor; LF)、および浮腫因子(edema factor; EF)。防御抗原は宿主細胞表面の受容体に結合し、フリンに似たプロテアーゼによって切断され、C末端フラグメントが7量体化され、致死因子または浮腫因子を結合する(Milne et al., J. Biol. Chem., 269, 20607-20612, 1994; Elliott et al., Biochemistry, 39, 6706-6713, 2000)。浮腫因子と致死因子は宿主細胞の細胞質ゾルに移され、そこで浮腫因子はアデニレートシクラーゼ活性を活性化し、プロテアーゼである致死因子は、マイトジェンにより活性化されたタンパク質キナーゼファミリーのメンバーを切断する。炭疽毒素の構成要素へのD−ペプチドの結合は毒性を減らし得る。
【0014】
他の実施例においては、抗体の、D−ペプチドライブラリーのD−ペプチドと結合する能力をスクリーニングした。テストしたある1つの抗体は、内皮細胞の抗原に結合し、血管形成の応答に関連する反応を阻害する、炭水化物配列 H および Ley を含む炭水化物エピトープと結合する抗体であった(Szekanecz and Koch, Current Opinion in Rheumatology, 13:202-208, 2001)。抗体に結合すると確認されたD−ペプチドは、血管新生の研究に使用され得る、あるいは血管新生の作用薬、拮抗薬として使われ得る。移植したブタ臓器に対する霊長類の拒否反応に関わるα−Galエピトープ、に対するヒト抗体(Galili, Biochimie 83:557-563, 2001)をスクリーニングし、該抗体と結合するD−ペプチドを同定した。そのようなD−ペプチドは、ヒト抗α−Gal抗体の司る拒否反応の阻害に有用であり得る。
他の実施例においては、TNFαおよび TGFβ1の、D−ペプチドとの結合能力をスクリーニングし、いくつかのD−ペプチド配列を同定した。TNFαおよび TGFβ1 は、多くの細胞シグナルリングパスウェイに関与するタンパク質である(LaCuca and Gaspari, Dermatologic Clinics 19:617-635, 2001; Taylor, Current Opinion in Rheumatology 13:164-169, 2001; Massague, Nature Review Molecular Cell Biology 1:169-178, 2000; Letterio, Cytokine & Growth Factor Reviews 11:81-87, 2000)。同定したD−ペプチドは、シグナリングパスウェイの研究に、または、TNFαおよび TGFβ1 が仲介者として関与する病気の治療物質の候補として使用し得る。
【0015】
本発明の方法に従って、予め選択したタンパク質と結合するD−ペプチドを同定した後は、当業者は、さらなる評価や治療における使用に十分な量の該D−ペプチドを容易に合成し得、それは、予め選択した該タンパク質の活性の変更や、タンパク質毒素の場合には該毒素の毒性軽減に使用し得る。
哺乳動物(例えば毒素にさらされた哺乳動物)への投与を想定する本発明のD−ペプチドについては、該D−ペプチドは、溶解度を高めるために適切に構築または修飾される。下記の実施例においては、マウスに投与したD−ペプチドは、溶解度を高めるために3個のD−リジン残基をD−ペプチドのC末端に持つように設計、合成した。C末端における1個から4個のD−リジンが溶解度を高めると想定される。さらには、R、D、および/または E のアミノ酸を含む、溶解度を高める傾向のあるどのアミノ酸残基をC末端に含んでもよいと想定される。またさらには、D−ペプチドのC末端において、アミノ酸以外の置換基を用いて誘導体化して溶解度を高め得ると想定される。そのような置換基には、複数のヒドロキシル基をもつ化合物(例えばポリオキシエチレンポリマー、または単糖類や多糖類など)を含み得る。また、多糖類やタンパク質などの水溶性の化合物に、1種類あるいはそれより多いD−ペプチドを化学的に結合させて、水性の溶媒や生理的な液体への溶解を促し得ると想定される。水性の生理的な液体への溶解を促すために、D−ペプチドをリポソームなどの構造体に物理的に組み込んだり、化学的に結合させたりし得ると想定される。さらには、D−ペプチド多量体の機能的な親和力(結合力)を成し遂げることによる効果が期待される哺乳動物へ投与するために、1種類より多いD−ペプチドを担体分子に結合させて、得られる複合化合物を多量体化させ得ると想定される。さらにまた、標的タンパク質に結合すると確認された1種類より多いD−ペプチドを担体化合物に結合させて、機能的な親和力を得ることができると想定される。加えて、別のペプチド、タンパク質、または炭水化物の配列(例えば、ボツリヌス毒素に結合サイトを持つことが知られているシアリルラクトース炭水化物配列)に、1種類あるいはそれより多いD−ペプチドを結合させて、これら複合体の標的タンパクへの結合を促し得ると想定される。
【0016】
本発明によるポリペプチド配列は、経口、非経口、鼻腔内、あるいは埋め込みなど、許容されるどのような方法で投与してもよい。経口投与には、錠剤、懸濁液、埋め込み、溶液、乳状液、カプセル、粉末、シロップ、水組成物などを含む。鼻腔内投与は、本発明の組成物をスプレー、溶液などで投与することを含む。
本発明の方法において有用な治療剤は、注射、あるいは長期間の潅流投与で非経口的に投与し得る。投与は静脈内投与、腹腔内投与、筋肉投与、皮下投与、空洞内への投与、または経皮投与で行い得る。
非経口投与のための製剤として、滅菌した、水性あるいは非水性溶液、懸濁液、および乳状液が挙げられる。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油、およびオレイン酸エチルなどの投与可能な有機エステル、が挙げられる。水性の担体としては、水、アルコール性/水性の溶液、乳状液、または懸濁液、例えば生理食塩水や緩衝作用のある溶剤など、が挙げられる。非経口投与の媒体としては、塩化ナトリウム溶液、デキストロース入りリンゲル液、デキストロースおよび塩化ナトリウム、ラクトリンゲル液、水分補充剤や栄養補充剤を含む静脈投与用の媒体、電解質補充薬(例えばデキストロース入りリンゲル液をベースとするもの)などが挙げられる。防腐剤およびその他の添加剤、例えば抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、および不活性ガスなど、を含んでもよい。
【0017】
本発明のポリペプチド配列の、実際の投与量、成分、または組成は、個人の体格や健康状態などの多くの要素に左右される。しかしながら、適切な投与量は当業者によって決定され得る。以下の教示は指針を提供するものであり、その説明は参照により本明細書に組み込まれるものとする:Spilker B., Guide to Clinical Studies and Developing Protocols, Raven Press Books, Ltd., New York, 1984, pp. 7-13, 54-60; Spilker B., Guide to Clinical Trials, Raven Press, Ltd., New York, 1991, pp. 93-101; Craig C., and R. Stitzel, eds., Modern Pharmacology, d. ed., Little, Brown and Co., Boston, 1986, pp. 127-33; T. Sleight, ed., Avery's Drug Treatment: Principles and Practice of Clinical Pharmacology and Therapeutics, 3d ed., Williams and Wilkins, Baltimore, 1987, pp. 50-56; R. Tallarida, R. Raffa and P. McGonigle, Principles in General Pharmacology, Springer-Verlag, New York, 1988, pp. 18-20。本発明のポリペプチド配列は、ユニットの剤形で容易に投与し得、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Pub. Co., Easton, PA, 1990) に説明されているような、医薬分野の当業者によく知られる、どのような方法で調製してもよい。
【0018】
生理学的に許容される、および医薬的に許容される補形薬や担体は、当業者によく知られている。ここで用いる、”生理学的に、あるいは医薬的に許容される担体”とは、それが使用されたときに、本発明のポリペプチド配列が安定であり、かつ生物学的利用が可能である、あらゆる実質的に無毒の投与用担体を意味する。例えば、本発明のポリペプチド配列は液体に溶解し得るし、一般的な方法で溶剤に分散または乳状化させて液体の製剤を形成し得るし、半固体あるいは固体の担体と混合してペースト、軟膏、クリーム、ローションなどを形成し得る。
適切な担体として、石油系ゼリー(ワセリン(登録商標))、ペトロラタム、ミネラルオイル、植物油、動物油、マイクロクリスタリンワックスやパラフィンワックスやオゾセントワックス(ozocente wax)などの有機もしくは非有機ワックス、キサンタンやゼラチンやセルロースやアラビアゴムなどの天然高分子、合成高分子、アルコール、多価アルコール、水などが挙げられる。実質的に水と混和性のある、水混和性の担体組成物を使用し得る。そのような水混和性の担体組成物には、上に列記した成分の1つあるいはそれより多いものから作製したものを含むが、それだけでなく、水含有、水分散、または水溶性の組成物(例えば、リポソーム、マイクロスポンジ、マイクロスフィアもしくはマイクロカプセル、水性軟膏、油中水型もしくは水中油型の乳状液、またはゲルなど)などの、徐放性または遅延放出型の担体をも含む。
【0019】
担体は徐放型や遅延放出型の担体を含み得る。担体は、ポリペプチド配列の徐放または遅延放出が可能な、いかなる材料でもよい。担体は、本発明のポリペプチドの放出を得るために、担体に含有させたポリペプチド配列の量に依存した拡散または放出によって意図した投与領域の環境にさらされた場合にペプチド配列を放出することができる。そのような担体の、限定を伴わない例として、リポソーム、マイクロスポンジ、マイクロスフィア、マトリクス、または、天然および合成高分子のマイクロカプセルなどが挙げられる。湿気のある環境における、徐放または遅延放出に適した担体の例として、ゼラチン、アラビアガム、キサンタン高分子;含有量に応じた放出に適した担体の例としてリグニン高分子など;油性の、脂肪性の、または蝋状の環境に適した担体の例として、熱可塑性樹脂(例えばポリビニルハライド、ポリビニルエステル、ポリビニリデンハライド、ハロゲン化ポリオレフィンなど)、軟質熱硬化性樹脂(flexible thermoset resin)(例えばポリウレタン、エポキシ樹脂など)、およびエラストマー(例えば天然ゴム(brasiliensis)、ポリジエン、ハロゲン化された天然および合成ゴムなど)が挙げられる。徐放性または遅延放出型の担体は、リポソーム、マイクロスポンジ、マイクロスフィア、またはゲルであってもよい。pH 調整した注射用のバッファーを使用してもよい。当業者が理解しているように、好ましい担体は投与の態様によって異なる。投与のための組成物は、通常、組成物の総重量に対して、約0.0001重量%から約90重量%のポリペプチド配列を含む。
【0020】
D−ペプチドライブラリーは、予め選択した標的タンパク質のアフィニティクロマトグラフ精製に使用するD−ペプチドの同定に有用であり得る。該D−ペプチドは、クロマトグラフ分離での使用に適したいずれのマトリクスにも、よく知られた化学技法を使って容易に共有結合させ得る。そのD−ペプチドマトリクスは、混合物中から、予め選択したタンパク質を結合し、次いで該タンパク質を溶出および回収することに使用可能である。
以下の実施例は単に説明することを意図するものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
ペプチドライブラリーの設計および合成
D−ペプチドライブラリーは、Peptides International(ケンタッキー州ルイビル)により TentaGel S レジン、NH2("TentaGel ビーズ")を用いて合成された。アキラルな分子であるグリシンの例外を除いて、D−ペプチドのすべてのアミノ酸残基はD−型のものである。TentaGel ビーズはポリオキシエチレンのアームが付属したポリスチレンの核を持ち、各アームはその末端に第一級アミンの官能基を持つ。レジンは 8.87 x 105 ビーズ/グラムを含み、ビーズの平均直径は130ミクロンであり、0.2−0.3ミリ当量/グラムの最大結合量、および 280−330ピコモルの第一級アミン基/ビーズの最大結合量をもつ。標準のD−ペプチド合成化学を用いて、アミノ酸をレジンに結合させ、脱保護した。
アミノ酸は一文字表記で表す。すべてのアミノ酸は、別途記した場合を除いてD−型のものである。グリシンをレジンに付加し、TentaGel ビーズのポリオキシエチレン鎖の端にある利用可能な第一級アミン基の約30%を置換した。グリシンを付加しなかったアミン基は、無水酢酸を用いたアセチル化によってブロックした。30%の置換により、ビーズ表面のD−ペプチド間の平均間隔は約100から200オングストロームとなる。この間隔を採用したのは、1つのD−ペプチド配列に対して1つのタンパク質が結合するように最適化するため、および、立体障害によってタンパク質分子がD−ペプチドに結合するのを妨げられる可能性、またはタンパク質分子が1よりも多いD−ペプチドに結合する可能性を減らすためである。
【0022】
未反応の第一級アミン基のブロッキングに続き、スプリット合成法(Lebl et al., Biopolymers (Peptide Science), 37, 177-198 (1995))によってD−ペプチドライブラリーを構築した。レジンの混合物を5つの部分に均等に分け、この5つの G 置換レジンの部分の1つに、G、A、F、Y、または W の1つを共有結合によって付加した。次いでビーズを混合し、再び5つの部分に均等に分け、各部分を、G、A、F、Y、または W の1つを別々の反応混合物に加える反応に使用した。この工程を5サイクル繰り返し、レジンの G 残基に付加したペンタペプチド配列のライブラリーを作製した。各ビーズは単一D−ペプチド配列の複数のコピーを含む。5回のアミノ酸付加工程のそれぞれで5種類のアミノ酸を使用したため、作製したビーズライブラリーは 3125 種類のペンタペプチド配列を含む。最後のアミノ酸付加のあとはレジンのバッチを分けた状態にし、その結果、異なる 625 種類の配列の、5つのサブライブラリーが得られ、最後に付加したアミノ酸に従って G、A、F、Y、または W と表す。
【0023】
D−ペプチドに結合するタンパク質のスクリーニングおよびD−ペプチド置換ビーズ(ペプチド−ビーズ)への結合実験の結果
別途記した場合を除き、概して以下のように、タンパク質のD−ペプチドビーズへの結合のスクリーニングを行った。
各サブライブラリーからの一部(それぞれ約1000ビーズを含む)を24ウェルポリスチレンマルチ−ウェルプレートのウェルに加えた。Superblock (Pierce Chemical Company;イリノイ州ロックフォード) 試薬、0.1%ゼラチン(魚の皮(fish skin)ゼラチン;Sigma Chemical Company;ミズーリ州セントルイス)、または1%(w/v) ウシ血清アルブミン(BSA, Sigma Chemical Company)、の入った pH 7.4リン酸緩衝生理食塩水 (PBS)を各ウェルに1.5から2ml加え、軽い振とうによる定期的または連続的撹拌をしながら、プレートを室温(RT)で1時間から2時間インキュベートした。結合をテストするタンパク質は、最終濃度が約10-6から10-8モルとなるように Superblock または0.1%ゼラチン−PBS に希釈した。希釈したタンパク質溶液をD−ペプチド−ビーズと共に室温で1時間から2時間インキュベートした。インキュベーションの後は、タンパク質溶液を除き、ビーズを PBS で3回洗浄した。2回目の洗浄では約30分間ビーズを PBS に入れた状態にし、弱く結合したタンパク質を解離させた。
【0024】
PBS で洗浄した後、結合したタンパク質を検出する物質を加えた。いくつかのケースでは、テストタンパク質をアルカリフォスファターゼ(AP)で標識しており、二次検出試薬は必要なかった。別のケースでは、ビオチン化物質 NHS-LC-ビオチン(Pierce Chemical Company)を使用して、供給業者の使用説明に従ってテストタンパク質をビオチンで標識した。ビオチン標識したタンパク質を、ニュートラアビジン(neutravidin)(Pierce Chemical Company) に結合した AP を用いて検出した。結合したビオチン化タンパク質を検出する別の方法は、ビーズ上の結合ビオチン化タンパク質を検出する AP 結合抗−ビオチン抗体試薬(AP-conjugated anti-biotin antibody reagent)を使用するものであった。別の事例では、検出試薬は、該タンパク質に対する AP−標識抗体であった。検出試薬は、通常、ビーズと共に30分間インキュベートし、その後ビーズをトリス緩衝生理食塩水(pH 7.5)で3回洗浄し、2回目の洗浄では30分間ビーズと接触した状態で置いた。次いで、ワンステップ NBT/BCIP (ニトロ−ブルーテトラゾリウムクロリド/5−ブロモ−4−クロロ−3'−インドリルフォスフェイト p−トルイジン塩)(Pierce Chemical Co.)を加え、ビーズのいくつかが濃い紫から紫−黒(濃い紫−黒)色になるまで低倍率顕微鏡でビーズを観察した。AP 酵素の存在下では、BCIP のフォスフォリル基は加水分解され、BCI 産物は NBT と反応し、NBT-ホルマザン(formazan)を形成する。NBT-ホルマザンはビーズ上に紫−黒の沈殿を形成し、そこに AP が付着する。次いでビーズを PBS で2回洗浄し、次いで1%酢酸で洗浄し、最後に水で洗浄した。ある実験では、AP 陽性のビーズ上に明るい赤色の沈殿を生じる、Fast Red TR/AS-MX 基質キット(Pierce Chemical Co.)を使用した。後者の色素−沈殿は、ビーズをエタノールで洗浄することで取り除くことが可能である。
【0025】
濃い紫−黒のビーズ、または明るい赤のビーズ(Fast Red 基質を使用した場合)を口径の小さいピペットで除き、ルイジアナ州立大学健康科学センターの Core Laboratories においてアミノ酸配列解析を行った。得られた配列は基本的に不明瞭なものであった。5つのサブライブラリーは別々におかれていたため、アミノ末端の最初の残基は既知であった。G を TentaGel ビーズに結合させていたため、ライブラリー中のすべてのD−ペプチドについて、6番目のアミノ酸は G であった。D−ペプチド配列を報告する目的に鑑み、6番目の残基(G)は報告しない。
【0026】
レクチン PSA(エンドウマメ(Pisum sativum, garden pea)レクチン)および ConA (タチナタマメ(Canavalia ensiformis, jack bean)レクチン)の、D−ペプチド−ビーズへの結合
AP と結合したレクチン(AP-PSA および AP-ConA) を EY Laboratories(カリフォルニア州サンマテオ)より購入した。上に概要を説明した手順に従って、該レクチンを F および Y サブライブラリーと共にインキュベートした。各インキュベーションウェルの紫−黒のビーズ数および総ビーズ数を数え、陽性のビーズ割合を計算した。F−および Y−サブライブラリーそれぞれに、625 の異なるD−ペプチド配列があることを基に、陽性配列の概数を計算した。
【0027】
表1:レクチン AP-ConA および AP-PSA の、F および Y サブライブラリーD−ペプチドビーズへの結合

【0028】
得られた陽性ビーズの割合が比較的低いことは、F および Y サブライブラリーのD−ペプチドとレクチンとの結合が選択的であることを示唆する。仮にD−ペプチド配列の疎水性のみに起因してタンパク質がビーズに結合したとすると、高い割合の陽性ビーズを得ることが予想される。その一方、タンパク質がどのD−ペプチド配列にも結合することができなかった場合は、D−ペプチドは、レクチンの結合サイトまたはレクチンタンパク質の他の表面領域、に適合しないと結論づけられるかもしれない。そうではなく、結果は、レクチンの結合頻度は、少数のD−ペプチド配列に選択的であったことを示した。コントロール実験は、AP 酵素はD−ペプチド配列への結合を担うものではなかったことを示した。
1つのビーズに結合するタンパク質の量は、以下の仮定に従うと約5ピコモルタンパク質/ビーズであると計算される:(1)AP-PSA および AP-ConA を1mlの容量および 10-7 Mの濃度でビーズに加えた;(2)D−ペプチド配列およびレクチンの複合体の解離平衡定数(Kd)が約 10-7 M であると想定される;(3)平衡点において、AP-ConA または AP-PSA 総タンパク質の半分が結合している;および(4)平均で 1000ビーズ中、約10個が陽性である。
【0029】
AP-ConA および AP-PSA に対する、D−ペプチド−ビーズの交差反応性
特定のD−ペプチドの、AP-ConA および AP-PSAの双方に結合する能力を評価するため、F−および Y−サブライブラリーを、AP-ConA または AP-PSA のいずれかと共にインキュベートした。Fast Red TR/AS-MX 基質を使用して陽性ビーズを検出した。陽性のビーズを取り除き、エタノールでビーズから色素を洗った。次いで、当初 AP-ConA 陽性のビーズは AP-PSA と共にインキュベートし、当初 AP-PSA 陽性のビーズは AP-ConA と共にインキュベートした。次いで、NBT/BCIP 色素試薬を使用して陽性ビーズを検出し、陽性ビーズ(紫−黒色)の数を調べた。AP-ConA との結合で当初陽性であった、テストした Y−サブライブラリーの11ビーズのうち、3個(27%)が AP-PSA との結合で陽性であった。AP-PSA との結合で当初陽性であった Y−サブライブラリーの9ビーズのうちの1個(11%)が AP-ConA との結合で陽性であった。AP-PSA との結合で当初陽性であった F−サブライブラリーの26ビーズのうち、8個(31%)が AP-ConA との結合で陽性であった。AP-ConA との結合で当初陽性であった F−サブライブラリーの2ビーズは、いずれも AP-PSA と結合しなかった。テストした全ビーズ(48個)のうち、12個(25%)が両レクチンに対する交差反応性を示した。つまり、類似した炭水化物構造との結合特異性を共有するレクチンについては、特定のD−ペプチド配列は交差反応性の結合活性を示す可能性がある。ConA および PSAレクチンは、オリゴ糖の非還元末端にα−アノマー型のグルコシド結合でマンノースを有する構造体に対して特異性を持つ。従って、レクチンと結合するD−ペプチドのいくつかが同じであり、また、特定のD−ペプチドが1より多いレクチンと結合するとしても驚くことではない。
【0030】
D−ペプチドビーズおよび炭水化物リガンドの間における、レクチンに対する競合的結合
レクチンが、その炭水化物結合サイトを通してD−ペプチド配列と結合しているかをテストするため、F−および Y−サブライブラリーのD−ペプチドビーズを、濃度10 mM のα−メチル−マンノシドの存在下、および非存在下において、AP-ConA と共にインキュベートした。次いで、ビーズを NBT/BCIP 試薬と共にインキュベートした。α−メチル−マンノシドの非存在下においては、F−および Y−サブライブラリーのそれぞれ7.9%および5.7%のD−ペプチドが ConA と結合した。α−メチル−マンノシドの存在下でD−ペプチドと共にインキュベートした場合、ConA は、F−および Y−サブライブラリーのそれぞれ4.0%および1.2%のD−ペプチドと結合した。これらの結果は、F−サブライブラリー中の陽性D−ペプチド配列の約半分、および、Y−サブライブラリー中の陽性D−ペプチド配列の約5分の1が、α−メチル−マンノシドが結合するのと同じ結合サイトに結合することを示唆する。
別の実験において、F−および Y−サブライブラリーのビーズを、まずα−メチル−マンノシドの存在下で AP-ConA と共にインキュベートし、その結果、Phe ビーズの2.1%、および Tyr ビーズの1.1%が陽性であった。それらのビーズをインキュベーションウェルから取り除き、該ビーズを、α−メチル−マンノシドの添加がない条件で、AP-ConA と共にさらにインキュベートした。基質 NBT/BCIP を加えた後、Phe サブライブラリーの3.6%および Tyr サブライブラリーの5.6%が再び濃い紫−黒に変色し、各サブライブラリー中の一部のD−ペプチド配列は ConA レクチンの炭水化物結合サイトに結合していたことを示した。
【0031】
ニワトリ抗体およびレクチンの、D−ペプチドへの結合
αGalエピトープを含む抗原に対して開発された、アフィニティー精製したニワトリ抗体(Cook et al., J. Biosci.& Bioeng., 91, 305-310, 2001)、および同じエピトープに結合するビオチン化レクチン GS1、B4 アイソフォーム(Murphy and Goldstein, J. Biol. Chem., 252, 4739-4742, 1977)の、A−および G−サブライブラリーとの結合をテストした。ニワトリ抗体とビーズの結合は、ニワトリ IgY に対する AP−標識二次抗体を使用して検出した。レクチンとビーズの結合は AP−ニュートラアビジンを使用して検出した。ニワトリ抗体およびレクチンは、濃度 50μg/ml、それぞれ 0.3μM および 0.44μM でビーズと共にインキュベートした。抗体またはレクチンと結合するD−ペプチドの割合を、上に説明した方法に従って調べた。
【0032】
表2:ニワトリ抗−αGal抗体およびレクチン GS1-B4 の、D−ペプチドビーズの G−および A−サブライブラリーとの結合頻度

【0033】
これらの結果は、炭水化物エピトープに対する抗体、および、同一の炭水化物エピトープに対する結合サイトを持つレクチンが、共にD−ペプチド配列との結合に特異性を示すことを示す。さらには、これらの結果は、ConA および PSA のものとは異なる炭水化物エピトープに対する反応性を持つレクチンが、D−ペプチド配列との結合性を示すことを示す。
【0034】
D−ペプチド配列に対する炭水化物エピトープと反応する、更なるふたつの抗体の結合特異性
ビオチン化された、Ley/H 炭水化物エピトープ(Holloran et al., J. Immunol., 164, 4868-4877, 2000)に対するマウス IgM モノクローナル抗体、またはアフィニティー精製されたヒト抗−αGal抗体(Fryer et al., Xenotransplantation, 56:98-109, 1999)を、A−、G−、F−、Y−、および W−サブライブラリーのD−ペプチドと共にインキュベートした。D−ペプチドとの結合を、AP−標識抗−マウス IgM 試薬(Sigma)または AP−標識抗−ヒト Ig 試薬(Sigma Chemical Co.)を使用して検出した。抗体と結合するD−ペプチドの割合を下記の表3に示す。






【0035】
表3:2つの抗−炭水化物抗体の、D−ペプチドビーズへの結合頻度

【0036】
これらの結果は、更なる2つの抗−炭水化物抗体が、D−ペプチドビーズへの選択的な結合性を示すことを示す。マウス抗−Ley/H 抗体は、Y および W サブライブラリーのD−ペプチド配列と反応性があった。抗体はさらに G サブライブラリーのD−ペプチドとも結合したが、結合はバックグラウンドを超えなかった(すなわち、AP−標識抗−マウス IgM 試薬は、抗−Ley/H 抗体の存在下および非存在下で同数の配列と結合した)。ヒト抗−αGal抗体は、A および G サブライブラリーのD−ペプチド配列と結合しているように見受けられ、AP−標識抗−ヒト Ig 試薬は、W サブライブラリーの1つの配列としか結合しなかった。従って、D−ペプチド配列は、先の実施例のニワトリ抗−αGal抗体と比較して、別の型の抗−αGal抗体(ヒト)に対して特異的であると見られる。ヒトおよびニワトリの抗−αGal抗体が TentaGel ビーズ上の同じD−ペプチド配列に結合したかどうかについては調べなかった。
【0037】
毒素の調製
以下に続く実施例において、いくつかの毒素の、D−ペプチドビーズライブラリーのD−ペプチド配列との結合能についてスクリーニングを行った。毒素は、ボツリヌス毒素の神経毒素成分、細胞と結合するコレラ毒素Bサブユニット、炭疽毒素の防御抗原の部分、およびリシン毒素の細胞結合用構成要素を含む。生物戦の物質として使用される可能性を考慮すると、これらの毒素は特に重要である(J. Am. Med. Assoc., vol. 278, no.5, August 6, 1997)。
ボツリヌス毒素の A、B、および E の抗原型の神経毒素成分、並びにボツリヌスB型複合形(botulinum type B complex form)(それぞれ BoNT/A、BoNT/B、BoNT/E、および BotBcomp と表す)を、Tse et al. (Eur. J. Biochem, 122, 493-500, 1982) および Moberg and Sugiyama (Appl. Environ. Microbiol., 35, 878-880, 1987)に説明された方法で精製した。リシン毒素の2つの型(RCA60 および RCA120)は、Sigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)より購入した。コレラ毒素Bサブユニットは、List Biological Laboratories(カリフォルニア州キャンベル)より購入した。炭疽毒素の防御抗原(PA)構成要素は、米国陸軍感染症研究所(United States Army Medical Research Institute of Infectious Diseases)より快く提供を受けた。
【0038】
BoNT/A および BoNT/B の、D−ペプチドビーズへの結合頻度
ビオチン化した BoNT/A および BoNT/B 神経毒素をD−ペプチドビーズの5つのサブライブラリーと共にインキュベートし、上に説明したように、AP-ニュートラアビジン試薬を使用して結合を検出した。強陽性(紫−黒)ビーズの頻度を調べた。




































【0039】
表4:BoNT/A および BoNT/B 神経毒素の、D−ペプチドビーズへの結合頻度

D−ペプチドビーズとインキュベートした毒素の濃度。
*ビーズへの結合実験は10μg/mlの濃度で3回繰り返し行った。
+10 および1μg/mlの濃度では、BoNT/A 毒素の、D−ペプチドビーズへの結合はなかった。
【0040】
これらの結果は、予想された通り、ビーズと共にインキュベートする毒素の濃度が下がるに従って、陽性ビーズの頻度は検出限界以下に下がることを示す。例えば、BoNT/A の、G サブライブラリー中のD−ペプチドへの結合は、BoNT/A の濃度 667 nM および 67 nM においては検出可能であったが、一方、BoNT/A の、A および F サブライブラリー中のD−ペプチドへの結合は、BoNT/A の濃度667 nM においてのみ検出可能であった。毒素に対するD−ペプチドの選択性は、低い結合頻度によって示唆される。BoNT/B 毒素について見られた、より高い結合頻度は、BoNT/B および BoNT/A の選択的ビオチン化(differential biotinylation)、ビオチン化による BoNT/A 活性への影響、またはスクリーニングアッセイに使用した特定の精製試料のより大きな活性によるものであるかもしれない。
【0041】
リシン毒素(RCA60)、炭疽防御抗原(PA)、およびコレラ毒素Bサブユニット(CT)の、D−ペプチドビーズに対する結合頻度
リシン毒素の RCA60 型、PA タンパク質、およびコレラ毒素のBサブユニットをビオチン化し、D−ペプチドライブラリービーズと共にインキュベートし、AP-ニュートラアビジン試薬を使用して結合を検出した。陽性ビーズの数を数え、その頻度を計算した。
【0042】
表5:リシン(RCA60)、防御抗原(PA)、およびコレラ毒素(CT)の、D−ペプチドビーズへの結合頻度

D−ペプチドとインキュベートしたタンパク質の濃度
【0043】
これらの結果は、テストした各毒素成分への、D−ペプチド配列の選択的結合を示した。
BoNT/E 毒素、リシンの RCA120 型、およびボツリヌスB複合体毒素 (BotB 複合体)を用いて、更なる結合実験を行った。
【0044】
様々なタンパク質との結合実験における陽性ビーズの配列
結合実験で同定した陽性のビーズを無作為に選択し、個別のビーズについてアミノ酸配列を調べた。配列を表6に示す。
【0045】
表6:テストしたレクチンまたは毒素と結合するD−ペプチドの配列

【0046】
得られたすべての配列のうち、90%が3個または4個の芳香族D−アミノ酸を含むものであった。G および A サブライブラリーから同定された配列(すなわち、アミノ末端に G または A 残基を持つD−ペプチド)のうち、89%が3個または4個の芳香族D−アミノ酸を含むものであった。ある配列、GFYFF、は ConA、BoNT/B、および RCA60 に結合すると確認された。ある別の配列、GYFFY、は BoNT/A および RCA60 に結合すると確認された。3つ目の配列、AFYYF、は RCA60、BoNT/A、および GS1-B4 に結合すると確認された。2つの例において、同じ配列が、ある特定のタンパク質に(GFFYF が BoNT/A に、および、WAFFF が RCA60 に)結合すると確認された。
【0047】
TNFαおよび TGFβ1を使用した結合実験の陽性ビーズの配列
商業的供給業者から取得した TNFαおよび TGFβ1を、上に説明した手順を用いてD−ペプチドライブラリービーズと共にインキュベートし、該タンパク質の結合を、商業的に入手可能なモノクローナルおよびポリクローナル抗体を使用して検出した。F、Y、および W サブライブラリーと行った TNFαのインキュベーションの陽性ビーズを取り出し、シークエンスを行い、また、F サブライブラリーと行った TGFβ1のインキュベーションの陽性ビーズを取り出し、シークエンスを行った。配列を表7に列挙する。
【0048】
表7: TNFαまたは TGFβ1と結合するD−ペプチドの配列

【0049】
TNFαでのスクリーニングからの配列、YFAFF は、シークエンスを行った6つの Y サブライブラリービーズのうちの4つに見つかり、またそれは、BoNT/A を結合すると判明した配列と同じである。TNFαとの結合実験において F −サブライブラリーからシークエンスした両ビーズは、同一の配列 FFFAF を持っていた。全27配列うちの2つ(7%)は2個の芳香族D−アミノ酸を含み、6つ(22%)が3個の芳香族D−アミノ酸を含み、17(63%)が4個のD−アミノ酸を含み、そして2つ(7%)が5個の芳香族D−アミノ酸を含んでいた。
【0050】
D−ペプチド配列と結合するタンパク質を同定するためのマイクロプレートアッセイ
上記解析によってタンパク質と結合すると確認した特定のD−ペプチド配列を、水性溶液への該D−ペプチドの溶解度を上げるためにC末端に3個または4個のD−リジン(K)残基を持つように合成した。D−リジン−含有D−ペプチドを、無水マレイン酸でコートした96−ウェルポリスチレンプレート(Pierce Chemical Co.)に共有結合させ、次いでウェルをバックコートした。D−ペプチドの結合は主にD−K アミノ基を通して行われ、従ってD−ペプチドの大部分はプレートの壁から溶剤の中に突出し、これは TentaGel ビーズ上におけるD−ペプチドの体裁と似ている。D−ペプチドでコートしたウェルにタンパク質を様々な濃度で加え、最低1時間インキュベートして結合の平衡が起こるようにした。ウェルを PBS で数回洗い、そして結合したタンパク質の相対的な量を調べた。通常、タンパク質はビオチン化しており、結合したタンパク質の相対的な量は、AP-ニュートラアビジンを加え、リン酸p−ニトロフェニルと共にインキュベートしてp−ニトロ−フェノールを比色定量的に測量することで結合した AP を測定することにより、決定した。特定のD−ペプチドでコートしたウェルに加えられたタンパク質の量によって、タンパク質の最大の結合量が決定した。D−ペプチドでコートされていないウェル、またはタンパク質のインキュベーションを行わずに AP-ニュートラアビジン試薬を加えたウェルにおけるバックグラウンド結合を、あらゆるタンパク質について調べた。D−ペプチドでコートしたウェルで、最大結合量の半分となったものに加えたタンパク質の量から、解離平衡定数(Kd)を推定できた。
ウェルをコートするのに使用したD−ペプチド、結合の飽和を得た毒素の濃度、および結合したタンパク質について得られた Kd の推定値は以下の通りである。


【0051】
表8:様々な毒素と結合するD−ペプチドの解離定数の決定

*マイクロプレートのウェルのコーティングに使用したD−ペプチドは、溶解性およびコーティングの目的で、C−末端にそれぞれ3個のD−K 残基が付加されていた。
【0052】
これらの結果は、D−ペプチドが、テストした様々な毒素に対して高い結合能を持つことを示唆する。興味深いことに、D−ペプチド配列 GFFFY は BoNT/B 神経毒素に結合すると確認されたものであるが、この結合実験において、該配列は、BoNT/B および BoNT/A の両神経毒素、さらには BotB 複合体とも結合した。配列 GFGWY および GAFFW もまた BoNT/B 神経毒素と共にインキュベートしたD−ペプチドビーズから同定されたが、それらのD−ペプチドは BoNT/A および BoNT/B の両神経毒素と結合した。これらの結果は、D−ペプチド配列のいくつかは、構造的に似通っているボツリヌス毒素に対して交差反応性を示すこと、並びに、このようなD−ペプチドのいずれか1つまたはD−ペプチドの混合物が、毒素のいくつかの抗原型、および毒素の Bot 複合体形体(Bot complex form)の毒素作用を中和するのに有用であり得ることを示唆する。
【0053】
D−ペプチドに存在し得る毒性のテスト
動物において毒素を中和する能力をテストするD−ペプチドに存在し得る毒性を、該D−ペプチドをマウスに静脈内(iv)あるいは腹腔内(ip)投与し、長期にわたってその動物の毒性の兆候を観察することにより、評価した。
【0054】
表9:毒性検査に使用したD−ペプチド

使用した各D−ペプチドにはC−末端に3個のD−リジン残基が付加されている。
*マウスの血液の容量を2mlとして濃度を計算した。
【0055】
実験1および2においては、マウスは、5日間の観察期間にわたって目に見える毒性(例えば、昏睡や被毛粗雑など)を示さなかった。実験3および4においては、マウスは、D−ペプチドの投与後のはじめの1時間から2時間にわたって昏睡状態を示し、そして3日間の観察期間の残りについては目に見える毒性の兆候を示さず、正常に見えた。実験5においては、マウスははじめに昏睡状態、被毛粗雑、および孤立を示し、そして観察の次の日は正常に見えた。
【0056】
ボツリヌス毒素と共にD−ペプチドを投与したマウスの生存期間の延長
実験1.マウス各5匹の2つのグループに、500 x LD50の BoNT/A 神経毒素を単独で、または同量の神経毒と共にD−ペプチド混合物を、腹腔内投与した。D−ペプチド混合物は、GYFFFKKK (263μg)、GFFYFKKK (500μg)、および GYFYFKKK (220μg)を含むものであった。各グループの動物が死亡するまでの時間を記した。
【0057】
表10:D−ペプチドの存在下または非存在下における、毒素を投与したマウスの生存時間

>300 分で生きていたマウスは、翌朝には死亡していた。
【0058】
BoNT/A のみを与えた5匹の動物の平均生存時間は、(観察時間のはじめの5時間を生き延びた1匹の動物については300分として)194 ± 29 (標準誤差)分であった。BoNT/A と共にD−ペプチドを与えた動物の平均生存時間は、(観察時間のはじめの5時間を生き延びた2匹のマウスについては300分として)269 ± 20分であった。Student's t 検定による2つのグループ間の生存時間の差のp値は 0.14 であり、カイ二乗検定を使用したp値は 0.11 であった。
大量の BoNT/A(毒素の LD50の500倍に相当)を投与し、かつ、D−ペプチドで処理したマウスの平均生存時間は、同量の BoNT/A を投与した、処理なしのマウスと比較して、少なくとも35%伸びた。
【0059】
実験2.同量の BoNT/A 神経毒素を使用して(毒素の LD50の500倍をマウスに投与)実験1を繰り返し行った。神経毒素と共に投与するD−ペプチド混合物は、GYFFFKKK (310μg)、GFFYFKKK (382μg)、および GYFYFKKK (310μg)を含むものであった。各グループの動物が死亡するまでの時間を記した。
【0060】
表11:D−ペプチドの存在下または非存在下における、毒素を投与したマウスの生存時間

【0061】
はじめの観察時間の330分よりも長く生き延びた2匹のうちの1匹は翌朝には死亡しており、もう一方のマウスは生きていた。
BoNT/A のみを与えた動物の平均生存時間は 135 ± 8.5 (標準誤差)分であった。BoNT/A と共にD−ペプチドを与えたマウスの平均生存時間は、(はじめの観察時間5.5時間を生き延びた2匹のマウスの生存時間として330分を使用して)278 ± 29分であった。生存時間の差のp値は、Student's t 検定を使用した場合に 0.01 であり、カイ二乗検定を使用した場合は 0.009 であった。
BoNT/A およびD−ペプチドで処理したグループの平均生存時間は、BoNT/A のみで処理されたグループの2倍であり、その差は統計学的に有意であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3個から7個のD−アミノ酸残基の配列を含むD−ペプチドであって、その配列の少なくとも2個のアミノ酸残基は、D−トリプトファン、D−チロシン、およびD−フェニルアラニンからなるグループから独立に選択されたものであるD−ペプチド。
【請求項2】
前記配列が、D−トリプトファン、D−チロシン、およびD−フェニルアラニンからなるグループから独立に選択された少なくとも3個のアミノ酸残基を含む、請求項1記載のD−ペプチド。
【請求項3】
Xaa1YYFF、Xaa1FYFF、Xaa1YFFF、Xaa1FFYF、Xaa1YFFY、Xaa1YFYF、Xaa1FFFF、Xaa1FYYF、FXaa1FFF、YFXaa1FF、Xaa1FWXaa2Y、Xaa1FXaa2WY、Xaa1Xaa2FFW、Xaa1FFFY、FFFFXaa1、YXaa1YFF、YXaa1FFY、Xaa1FFXaa2Xaa3、Xaa1WYFF、Xaa1FXaa2FF、Xaa1YXaa2FF、Xaa1FFYXaa2、Xaa1FFXaa2F、Xaa1Xaa2Xaa3YY、Xaa1Xaa2Xaa3FF、Xaa1FYWF、Xaa1Xaa2FYY、Xaa1YYFY、Xaa1FYXaa2Y、WXaa1FFF、Xaa1FFFXaa2、Xaa1YYYY、FXaa1WFF、WXaa1FWXaa2、WFXaa1FXaa2、FWXaa1FF、FXaa1FFY、Xaa1Xaa2WXaa3Y、FFWXaa1Y、FXaa1WXaa2Xaa3、YYXaa1YY、FFFXaa1F、YFYFXaa1、YWXaa1FF、WXaa1YXaa2F、WXaa1YFXaa2、WXaa1FFXaa2、FFFXaa1W、FWFXaa1Xaa2、FYXaa1YF、FWXaa1Xaa2Xaa3、FXaa1YYW、FXaa1YYXaa2、FWXaa1WY、FFWYW、FXaa1Xaa2FXaa3、FYWXaa1Y、FYWXaa1W、FXaa1YFXaa2、FWWYF、FYYYXaa1、および FFXaa1WW からなるグループから選択されたペンタペプチド配列を含むD−ペプチドであって、Xaa1、Xaa2、および Xaa3 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型またはL−型のアミノ酸であるD−ペプチド。
【請求項4】
コアペンタペプチドが、GYYFF、GFYFF、GYFFF、GFFYF、GYFFY、GYFYF、AFFFF、AFYYF、AFFYF、FAFFF、YFAFF、GFWGY、GFGWY、GAFFW、GFFFY、AFYFF、AFFFY、FFFFG、YAYFF、YAFFY、GFFGA、GWYFF、GFGFF、GYGFF、GFFYG、GFFGF、AAGYY、AAAFF、GFYWF、GGFYY、GYYFY、AFYAY、WAFFF、GFFFA、AYYYY、FAWFF、WAFWA、YGYYA、WFAFA、AFFFA、FWAFF、FAFFY、GAWAY、FFWGY、FAWGA、YYAYY、FFFAF、YFYFA、YWAFF、FFFGW、FWFGA、FYGYF、FWAAA、FAYYW、FGYYG、FWAWY、FFWYW、FAAFG、FYWAY、FYWGW、FAYFG、FYYYA、FWGFF、および FFAWW からなるグループから選択されたものである、請求項3記載のD−ペプチド。
【請求項5】
複数のD−ペプチドを含むライブラリーであって、各D−ペプチドが3個から7個のD−アミノ酸残基を含み、D−ペプチドの少なくとも25%が、D−トリプトファン、D−チロシン、およびD−フェニルアラニンからなるグループから独立に選択されたアミノ酸残基を少なくとも3個含むライブラリー。
【請求項6】
D−ペプチドの少なくとも50%が、D−トリプトファン、D−チロシン、およびD−フェニルアラニンからなるグループから独立に選択されたアミノ酸残基を少なくとも3個含む、請求項5記載のライブラリー。
【請求項7】
D−ペプチドを少なくとも5個含む、請求項5記載のライブラリー。
【請求項8】
D−ペプチドを少なくとも10個含む、請求項5記載のライブラリー。
【請求項9】
D−ペプチドを少なくとも50個含む、請求項5記載のライブラリー。
【請求項10】
予め選択したタンパク質に結合する能力を持つD−ペプチドを同定する方法であって、該タンパク質を請求項5記載のD−ペプチドライブラリーと接触させ、該タンパク質のD−ペプチドへの結合を検出し、および結合したD−ペプチドを同定することを含む方法。
【請求項11】
予め選択したタンパク質に結合するD−ペプチドを作製する方法であって、請求項5記載のD−ペプチドライブラリーを該タンパク質と接触させ、該タンパク質のD−ペプチドへの結合を検出し、結合したD−ペプチドを同定し、およびそのD−ペプチドを合成することを含む方法。
【請求項12】
毒素にさらされた哺乳動物における毒素の毒性を軽減する方法であって、該毒素に結合するD−ペプチドを、毒性を軽減するのに効果的な量で該哺乳動物に投与することを含み、ここで該D−ペプチドは3個から7個のD−アミノ酸残基を含み、該D−アミノ酸残基の少なくとも2個は、D−フェニルアラニン、D−トリプトファン、およびD−チロシンからなるグループから独立に選択されたものである方法。
【請求項13】
D−ペプチドが請求項10記載の方法により同定される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
毒素が、ボツリヌス毒素、リシン毒素、コレラ毒素、および炭疽毒素、または毒素サブコンポーネントからなるグループから選択されたものである、請求項12記載の方法。
【請求項15】
毒素が BoNT/A であり、かつ、D−ペプチドが、Xaa1YFFF、Xaa1FFYF、Xaa1YFFY、Xaa1YFYF、Xaa1FFFF、Xaa1FYYF、Xaa1FFYF、FXaa1FFF、YFXaa1FF からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項12記載の方法であって、Xaa1 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項16】
毒素が BoNT/A であり、かつ、D−ペプチドが、GYFFF、GFFYF、GYFFY、GYFYF、AFFFF、AFYYF、AFFYF、FAFFF、および YFAFF からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
毒素が BoNT/B であり、かつ、D−ペプチドが、Xaa1FWXaa2Y、Xaa1FXaa2WY、Xaa1Xaa2FFW、Xaa1FFFY、Xaa1FYFF、Xaa1FYFF、Xaa1FFFY、FFFFXaa1、YXaa1YFF、および YXaa1FFY からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項12記載の方法であって、Xaa1 および Xaa2 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M からなるグループから選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項18】
D−ペプチドが、GFWGY、GFGWY、GAFFW、GFFFY、GFYFF、AFYFF、AFFFY、FFFFG、YAYFF、および YAFFY からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
毒素が BoNT/E であり、かつ、D−ペプチドが、Xaa1FFXaa2Xaa3 および Xaa1WYFF からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項12記載の方法であって、Xaa1、Xaa2、および Xaa3 は、D、E、K、R、H、N、Q、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項20】
D−ペプチドが、GFFGA および GWYFF からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
毒素が BotB 複合体であり、かつ、D−ペプチドが、Xaa1FXaa2FF、Xaa1YXaa2FF、Xaa1FFYXaa2、Xaa1FFXaa2F、Xaa1Xaa2Xaa3YY、および Xaa1Xaa2Xaa3FF からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項12記載の方法であって、Xaa1、Xaa2、および Xaa3 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項22】
D−ペプチドが、GFGFF、GYGFF、GFFYG、 GFFGF、AAGYY、および AAAFF からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
毒素が RCA60 であり、かつ、D−ペプチドが、Xaa1FYWF、Xaa1Xaa2FYY、Xaa1YYFY、Xaa1FYFF、Xaa1YFFY、Xaa1FYXaa2Y、Xaa1FYYF、および WXaa1FFF からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項12記載の方法であって、Xaa1 および Xaa2 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項24】
D−ペプチドが、GFYWF、GGFYY、GYYFY、GYFFY、GYFFY、AFYAY、AFYYF、および WAFFF からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
毒素が RCA120 であり、かつ、D−ペプチドが、Xaa1FFFXaa2 および Xaa1YYYY からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項12記載の方法であって、Xaa1 および Xaa2 は、D、E、K、R、H、N、Q、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項26】
D−ペプチドが、GFFFA および AYYYY からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
毒素がコレラ毒素であり、かつ、D−ペプチドが、FXaa1WFF および WXaa1FWXaa2 からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項12記載の方法であって、Xaa1 および Xaa2 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項28】
D−ペプチドが、FAWFF および WAFWA からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
毒素が炭疽防御抗原であり、かつ、D−ペプチドが、YGYYA および WFXaa1FXaa2 からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項12記載の方法であって、Xaa1 および Xaa2 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項30】
D−ペプチドが、YGYYA および WFAFG からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
ConA レクチンの、その受容体の少なくとも1つへの結合を減らす方法であって、XaalYYFF および Xaa1FYFF からなるグループから選択されたペンタペプチドコアを含むD−ペプチドを哺乳動物に投与することを含み、Xaa1 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項32】
各D−ペプチドが、GYYFF および GFYFF からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
GS1-B4 レクチンの、GS1-B4 受容体への結合を減らす方法であって、Xaa1FYYF、Xaa1FFFXaa2、FWXaa1FF、および FXaa1FFY からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含むD−ペプチドを哺乳動物に投与することを含み、Xaa1 および Xaa2 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項34】
D−ペプチドが、AFYYF、AFFFA、FWAFF、および FAFFY からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
抗−αGal 抗体の、αGal エピトープへの結合を減らす方法であって、Xaa1Xaa2WXaa3Y、FFWXaa1Y、および FXaa1WXaa2Xaa3 からなるグループから選択されたペンタペプチドコアを含むD−ペプチドを哺乳動物に投与することを含み、Xaa1、Xaa2、および Xaa3 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項36】
D−ペプチドが、GAWAY、FFWGY および FAWGA のグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
抗−Ley/H 抗体の、Ley/H エピトープへの結合を減らす・阻害する方法であって、YYXaa1YY からなるグループから選択されたペンタペプチドコアを含むD−ペプチドを哺乳動物に投与することを含み、Xaa1 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項38】
D−ペプチドが、YYAYY からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
TNFαの、TNFα受容体への結合を減らす方法であって、FFFXaa1F、YFXaa1FF、YFYFXaa1、YWXaa1FF、WXaa1YXaa2F、WXaa1YFXaa2、および WXaa1FFXaa2 からなるグループから選択されたペンタペプチドコアを含むD−ペプチドを哺乳動物に投与することを含み、Xaa1 および Xaa2 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項40】
D−ペプチドが、FFFAF、YFAFF、YFYFA、YWAFF、WGYAF、WGYFA、および WAFFA からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
TGFβ1 の、TNFβ1 受容体への結合を減らす方法であって、FFFXaa1W、FWFXaa1Xaa2、FYXaa1YF、FWXaa1Xaa2Xaa3、FXaa1YYW、FXaa1YYXaa2、FWXaa1WY、FFWYW、FXaa1Xaa2FXaa3、FYWXaa1Y、FYWXaa1W、FXaa1YFXaa2、FYYYXaa1、FWXaa1FF、および FFXaa1WW からなるグループから選択されたペンタペプチドコアを含むD−ペプチドを哺乳動物に投与することを含み、Xaa1、Xaa2、および Xaa3 は、D、E、K、R、H、N、Q、C、S、T、G、A、V、L、I、M、および P からなるグループから独立に選択されたD−型あるいはL−型のアミノ酸である方法。
【請求項42】
D−ペプチドが、FFFGW、FWFGA、FYGYF、FWAAA、FAYYW、FGYYG、FWAWY、FFWYW、FAAFG、FYWAY、FYWGW、FAYFG、FYYYA、FWGFF、および FFAWW からなるグループから選択されたペンタペプチドコア配列を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
各D−ペプチドが固体支持体に付着している、請求項5記載のライブラリー。
【請求項44】
固体支持体がビーズに付着している、請求項31記載のライブラリー。
【請求項45】
各ペプチドがマイクロタイタープレートに付着している、請求項31記載のライブラリー。

【公表番号】特表2006−511452(P2006−511452A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−519742(P2004−519742)
【出願日】平成15年7月2日(2003.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/020757
【国際公開番号】WO2004/005318
【国際公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(505007261)バイオ サイエンス インターナショナル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】