苗供給機
【課題】 苗移植機による圃場での苗移植において、苗移植機の苗載台へ苗を供給する苗供給作業は、作業者にとって作業のウエイトが大きく労を要し、特に移植圃場の近くに準備した予備の苗を供給する必要があるときには、予備の苗がある位置から苗移植機の位置まで作業者が前記予備の苗を運ぶ必要があった。
【解決手段】 走行装置（３）と苗載台（４）とを備える苗移植機（１）を収容可能な苗移植機収容部（２１）と、苗を上下に複数保持して苗引継ぎ位置（Ｈ）へ順次搬送する苗保持装置（２２）と、前記苗引継ぎ位置（Ｈ）から前記苗移植機収容部（２１）の苗載台（４）へ苗を供給する苗供給装置（２３）とを設け、前記苗保持装置（２２）を苗移植機収容部（２１）の側方に配置し、前記苗供給装置（２３）を苗移植機収容部（２１）に収容された苗移植機（１）より上側に配置した苗供給機（２０）を構成した。
【解決手段】 走行装置（３）と苗載台（４）とを備える苗移植機（１）を収容可能な苗移植機収容部（２１）と、苗を上下に複数保持して苗引継ぎ位置（Ｈ）へ順次搬送する苗保持装置（２２）と、前記苗引継ぎ位置（Ｈ）から前記苗移植機収容部（２１）の苗載台（４）へ苗を供給する苗供給装置（２３）とを設け、前記苗保持装置（２２）を苗移植機収容部（２１）の側方に配置し、前記苗供給装置（２３）を苗移植機収容部（２１）に収容された苗移植機（１）より上側に配置した苗供給機（２０）を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、苗を供給する苗供給機の技術分野に属する。
【背景技術】
【０００２】
走行装置により機体を走行させながら、苗載台上に載置した苗トレイのセルから苗取出装置により苗を取り出して苗植付装置へ供給し、前記苗植付装置により圃場に苗を植え付ける苗移植機がある（特許文献１参照。）。この苗移植機は、圃場で苗移植作業を行うに伴って該苗移植機の苗載台上の苗が減少すれば、作業者が逐次前記苗載台へ苗を供給するようになっている。
【特許文献１】特開２００２−２３３２１８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
苗移植機による圃場での苗移植において、苗移植機の苗載台へ苗を供給する苗供給作業は、作業者にとって作業のウエイトが大きく労を要し、特に移植圃場の近くに準備した予備の苗を供給する必要があるときには、予備の苗がある位置から苗移植機の位置まで作業者が前記予備の苗を運ぶ必要があった。
【０００４】
そこで、本発明は、苗移植機へ苗を容易に供給できるようにし、苗移植作業の作業能率の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、走行装置（２，３）と苗載台（４）とを備える苗移植機（１）を収容可能な苗移植機収容部（２１）と、苗を上下に複数保持して苗引継ぎ位置（Ｈ）へ順次搬送する苗保持装置（２２）と、前記苗引継ぎ位置（Ｈ）から前記苗移植機収容部（２１）の苗載台（４）へ苗を供給する苗供給装置（２３）とを設け、前記苗保持装置（２２）を苗移植機収容部（２１）の側方に配置し、前記苗供給装置（２３）を苗移植機収容部（２１）に収容された苗移植機（１）より上側に配置した苗供給機とした。
【０００６】
従って、圃場への苗移植作業に伴って苗移植機（１）の苗載台（４）上の苗が減少すれば、苗移植機（１）を苗移植機収容部（２１）に収容することにより、苗保持装置（２２）の苗を苗供給装置（２３）を介して苗移植機（１）の苗載台（４）上へ補充することができる。その後、苗移植機（１）により、圃場への苗移植作業を再開することができる。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の苗供給機は、苗を上下に複数保持する苗保持装置（２２）を苗移植機収容部（２１）の側方に配置し、苗供給装置（２３）を苗移植機収容部（２１）に収容された苗移植機（１）より上側に配置したので、苗保持装置（２２）で多量の苗を保持できる構成としながら、苗供給機全体の設置スペースの省スペース化が図れ、ひいては該苗供給機を移植圃場の近くに設置することができ、苗移植機（１）への苗供給が容易に行えて苗移植作業の作業能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
この発明の実施の一形態を以下に説明する。
先ず、苗移植機１について説明する。この苗移植機１は、走行車輪（走行装置）となる左右一対の前輪２及び後輪３と、縦横に複数のセル（育苗ポット）を備える可撓性の苗トレイを載置する苗載台４と、該苗載台４上の苗取出位置Ｐにある苗トレイのセルから苗を一株づつ取り出して下方へ落下供給する苗取出装置５と、該苗取出装置５により落下供給される苗を受けて圃場に植え付ける苗植付装置６とを備えている。前記苗載台４は、苗トレイをその長手方向に搬送する構成であり、苗トレイを苗取出位置Ｐへ向けて前斜め下側に搬送し、その後苗が取り出されて空になった苗トレイを屈曲させて反転し、この空の苗トレイを後斜め上側へ搬送する苗搬送経路を有し、該苗搬送経路で苗トレイを搬送させるための搬送駆動回転体７を備えている。この搬送駆動回転体７は、回転方向に所定ピッチで設けた複数の係合具７ａを各々左右方向に延設し、該係合具７ａが苗トレイのセルの間に入って係合し苗トレイを搬送する構成となっている。また、苗載台４を苗トレイのセルの配列ピッチで左右移動させるリードカム軸等を備える左右移動機構（図示せず）を設けており、該左右移動機構により苗トレイの横方向（左右方向）に並ぶセルを苗取出位置Ｐへ順に供給し、左右移動端で横一列のセル（苗）が全て苗取出位置Ｐへ供給されると搬送駆動回転体７を駆動して次列のセル（苗）を苗取出位置Ｐへ供給する構成となっている。前記苗取出装置５は、苗の床部を突き刺して苗を保持する苗保持爪５ａを備え、この苗保持爪５ａが苗載台４側（後側）へ向く状態で突出して苗トレイのセルにある苗を保持し、その後前記苗保持爪５ａが苗載台４から退避しながら下方へ向き、苗保持爪５ａが下方へ向いた状態で別途備える苗押出具で苗を下方へ押し出して落下供給する構成となっている。前記苗植付装置６は、苗を内部に収容して保持する植付カップ６ａをその下部が前後に２分割して開閉するように設け、苗を保持した状態で前記植付カップ６ａを下降させて該植付カップ６ａを土壌内へ突入させ、この植付カップ６ａの下部を開いて土壌に植付穴を形成すると共に該植付穴に苗を落下供給させて苗を植え付ける構成となっている。左右の走行車輪２，３の間で且つ苗植付装置６の後方で且つ苗載台４の下方となる苗移植機１の前後及び左右方向における略中央部には、電源となるバッテリー８を設けている。このバッテリー８は、走行車輪２，３を支持する車体フレーム９の下側に固着されるバッテリー支持フレーム１０に支持されている。また、後輪３より上側で且つ苗載台４の後方となる苗移植機１の後端部には、前記バッテリー８からの電力で駆動する駆動モータ（原動機）１１を設けている。この駆動モータ（原動機）１１は、苗載台４、苗取出装置５及び苗植付装置６等を支持する植付フレーム１２の後端に固着されるモータ支持フレーム１３に支持されている。該駆動モータ１１からの動力により、走行車輪２，３、苗載台４の搬送駆動回転体７、苗取出装置５及び苗植付装置６が駆動する構成となっている。尚、上述では前輪２及び後輪３が駆動する構成としたが、前輪２及び後輪３のうちの一方のみを駆動車輪とし他方を転動車輪としてもよい。尚、前記植付フレーム１２は、接続フレーム１４を介して前記車体フレーム９の上側に固着して設けられている。
【０００９】
苗載台４の上部には予備の苗トレイを載置する予備苗台１５を備えており、この予備苗台１５は、左右方向の回動支点軸１６回りに回動するように設けられ、予備苗台１５の後斜め下側に設けた回動用シリンダ１７の作動により苗載台４の苗搬送経路に沿う前下がり姿勢（苗搬出姿勢）と水平姿勢（苗受取姿勢）とに切替可能に構成されている。また、予備苗台１５には、苗トレイのセルの間に入って係合し苗トレイの移動を規制する規制具１８を設けている。一方、苗載台４には、前下がり姿勢の予備苗台１５の下端より苗搬送経路の搬送下手側（下側）で且つ苗取出位置Ｐより苗搬送経路の搬送上手側の任意の位置での苗トレイの有無を検出する苗検出センサ１９を設けている。従って、該苗検出センサ１９が苗トレイを検出せずに苗が所定量以下に減少したことを検出すると、回動用シリンダ１７を作動させて予備苗台１５を水平姿勢にすると共に規制具１８を予備苗台１５から突出させて苗トレイの移動を規制する状態にし、その状態で後述する苗供給機２０から予備苗台１５上へ予備の苗トレイが供給されると、回動用シリンダ１７を作動させて予備苗台１５を前下がり姿勢にすると共に規制具１８を予備苗台１５から退避させて苗トレイの規制を解除する状態にして、苗載台４の苗搬送経路へ苗トレイを供給するための制御装置を設けている。
【００１０】
次に、苗供給機２０について説明する。この苗供給機２０は、上述の苗移植機１を前進させて収容可能な苗移植機収容部２１と、苗が育苗された苗トレイを上下に複数保持して苗引継ぎ位置Ｈへ順次搬送する苗保持装置２２と、前記苗引継ぎ位置Ｈから前記苗移植機収容部２１に収容された苗移植機１の苗載台４の予備苗台１５へ苗を供給する苗供給装置２３とを備えている。そして、前記苗保持装置２２を苗移植機収容部２１の側方（右側）に配置し、前記苗供給装置２３が苗移植機収容部２１に収容された苗移植機１より上側に配置される構成となっている。苗移植機収容部２１及び苗供給装置２３を支持する主フレーム２４の下部には複数の転動輪２５を取り付けて設け、該転動輪２５により苗供給機２０を圃場周辺の適宜位置へ移動させることができる構成となっている。尚、苗保持装置２２を支持する苗保持装置フレーム２６は、前記主フレーム２４に固着して支持されている。
【００１１】
苗移植機収容部２１は、苗移植機１の走行車輪２，３を通行させる左右各々の通行路２７を備え、該通行路２７を通行させて苗移植機１を搬入する構成となっている。前記通行路２７は、苗移植機収容部２１の内部に位置する水平部分２７ａと該水平部分２７ａに繋がる傾斜部分２７ｂとを備え、該傾斜部分２７ｂから走行車輪２，３を誘導して苗移植機収容部２１の所定の位置に苗移植機１を移動させるようになっている。通行路２７は、走行車輪２，３より広幅に構成され、左右両端部に走行車輪２，３が脱輪しないように路面から立ち上がるガード体２７ｃを備えている。また、苗移植機収容部２１における苗移植機１の搬入奥手側（苗移植機１の前側）の位置には苗移植機１が搬入されたことを検出する搬入検出センサ２８を主フレーム２４に取り付けて設けており、苗移植機１の前進により苗移植機１に設けた植付フレーム１２の前端部が前記搬入検出センサ２８の検出子２８ａを押して苗移植機収容部２１に苗移植機１が搬入されたことを検出する構成となっている。尚、前記植付フレーム１２の前端部は、走行車輪２，３が通行路２７のどの左右位置を通行していても搬入検出センサ２８の検出子２８ａが検出できるように、左右に長く設けられている。
【００１２】
苗保持装置２２は、上下に周回する一対の搬送用の無端チェーン（無端帯）２９と、この一対の無端チェーン２９で支持される苗保持台３０とを備え、該苗保持台３０上に苗が育苗された予備の苗トレイを載置して昇降させる構成となっている。詳述すると、前記一対の無端チェーン２９は、各々下側の駆動スプロケット３１と上側の従動スプロケット３２との間に巻回されて図１視で右回りに周回する構成となっており、互いに前後位置及び左右位置をずらせて並列して設けられている。また、各々の無端チェーン２９の同一の位相位置にあるチェーンリンク２９ａに、該チェーンリンク２９ａから無端チェーン２９の周回平面（周回方向）に対して垂直な方向（前後方向）で且つ互いに他方の無端チェーン２９側に延びる苗保持台支持軸３３を固着して設けている。この苗保持台支持軸３３は、無端チェーン２９の周回軌跡において所定のピッチ毎に等間隔に複数本（６本）設けられている。そして、各無端チェーン２９の同一の位相位置にある一対の苗保持台支持軸３３に、苗保持台３０の平面視で対角位置に設けた突出部３０ａが前記苗保持台支持軸３３に対して回動するように支持されている。尚、前記突出部３０ａは、苗保持台支持軸３３を覆う構成で苗保持台３０の左側及び右側に突出しており、左側の突出部３０ａが前側に位置し右側の突出部３０ａが後側に位置して平面視で対角位置に配置されているので、苗保持台３０をその対角位置から苗保持台支持軸３３により安定して支持できる。従って、一対の無端チェーン２９を同期して回転させることにより、苗保持台３０は、苗移植機収容部２１側（左側）で上昇して苗移植機収容部２１と反対側（右側）で下降する無端チェーン２９に沿う移動軌跡で水平姿勢を維持しながら昇降する。尚、苗保持台３０は、苗保持台支持軸３３の数に対応して複数（６枚）設けられている。また、苗保持台３０は、平面視で苗トレイの寸法に合わせた概ね方形状となっており、苗保持台支持軸３３に沿う前後方向が長くて左右方向が短い構成となっている。更に、苗保持台３０の上面には左右方向に延びる突条３０ｂを適宜位置に複数設けており、該突条３０ｂが苗トレイのセルの間に入って苗保持台３０上で苗トレイが前後方向に移動しないようにしている。従って、苗保持台３０の移動軌跡において下降する側（右側）となる下降経路にある苗保持台３０上に機体の右側から、作業者が苗が育苗された苗トレイをその長手方向が前後に向く状態で載せて供給し、苗保持台３０ひいては苗トレイが下降経路から上昇経路を介して直線状に鉛直方向へ上昇させる該上昇経路の上端部の苗引継ぎ位置Ｈへ順次搬送される構成となっている。尚、前記苗引継ぎ位置Ｐでの苗保持台３０の有無を検出する苗保持台検出センサ３４を設けており、該苗保持台検出センサ３４が次の苗保持台３０を検出するまで該苗保持台３０を移動させて苗引継ぎ位置Ｈへ順次搬送するようになっている。尚、上昇経路と下降経路とで対向する苗保持台３０の突出部３０ａは、左右方向の位置が重複するが、平面視で重複しないように前後に振り分けて配置されており、苗保持台３０の昇降で互いに衝突しない構成となっている。ところで、苗保持台３０及び搬送用の無端チェーン２９の下側には電動式の搬送用駆動モータ３５を配置しており、該搬送用駆動モータ３５の出力軸３５ａと一体回転する原動用のスプロケット３６を設け、該原動用のスプロケット３６に巻回される伝動用の無端チェーン３７を別の２枚の作動用のスプロケット３８，３９にも巻回している。該２枚の作動用のスプロケット３８，３９のうちの一方となる左側のスプロケット３８は、苗移植機収容部２１側（左側）の搬送用無端チェーン２９の駆動スプロケット３１と一体回転する構成となっている。前記２枚の作動用のスプロケット３８，３９のうちの他方となる右側のスプロケット３９は、該スプロケット３９と同軸上で同じ径の中継用駆動スプロケット４０を一体回転させる。そして、前記中継用駆動スプロケット４０から中継用無端チェーン４１を介して苗移植機収容部２１と反対側（右側）の搬送用無端チェーン２９の駆動スプロケット３１と一体回転する中継用従動スプロケット４２へ伝動する構成となっている。従って、搬送用駆動モータ３５の駆動により、一対の搬送用の無端チェーン２９を同じ方向に同じ速度で周回させる構成となっている。尚、この苗保持装置２２は、苗を苗引継ぎ位置Ｈへ順次搬送する苗搬送装置でもある。
【００１３】
苗供給装置２３は、苗保持装置２２の苗引継ぎ位置Ｐにある苗トレイをすくい上げて保持する苗保持部４３と、該苗保持部４３を苗保持装置２２側と苗移植機収容部２１側との間で左右方向へ移動させる移動部４４とを備えて構成される。前記苗保持部４３は、基部４３ａから苗保持装置２２側（右側）へ延びる複数（４本）の苗すくい体４５を備え、該苗すくい体４５が苗保持装置２２の苗引継ぎ位置Ｐにある苗トレイのセルの間に入って該苗トレイを保持する構成となっている。従って、苗すくい体４５は、苗トレイの短手方向へ移動して該苗トレイの長い端縁部側から確実に保持する構成となっている。前記移動部４４のスライダ４６に対して基部４３ａを昇降アクチュエータ（図示せず）により昇降させることにより、前記苗すくい体４５を昇降させる構成となっている。尚、前記スライダ４６には基部４３ａが上昇位置にあることを検出する上昇位置センサ４７と、基部４３ａが下降位置にあることを検出する下降位置センサ４８とを設け、これらのセンサ４７，４８が基部４３ａを検出するまで昇降アクチュエータを駆動させて苗保持部４３を所望の上下位置に昇降させる構成となっている。また、苗移植機１の予備苗台１５の位置を検出する苗移植機検出センサ４９を苗すくい体４５に取り付けて設けており、該苗移植機検出センサ４９の検出に基づいて移動部４４により苗すくい体４５を苗移植機１の位置まで左右移動させる構成となっている。前記移動部４４は、左右方向に移動する前記スライダ４６と、該スライダ４６を支持すると共に該スライダ４６の移動を案内するべく左右方向に延びる前後２本の案内レール５０と、スライダ４６を移動させるべく移動用螺子軸を駆動する移動用モータ５１とを備えて構成される。前記案内レール５０及び移動用モータ５１は、苗供給機の主フレーム２４の上部に取り付けて支持されている。苗保持装置２２側（右側）から順に苗すくい位置センサ５２、待機位置センサ５３及び初期位置センサ５４を案内レール５０から取り付けて設けており、これらのセンサ５２，５３，５４がスライダ４６を検出して該スライダ４６を所望の左右位置に移動させる構成となっている。前記苗すくい位置センサ５２がスライダ４６を検出する苗すくい位置では、苗すくい体４５が苗保持装置２２の苗引継ぎ位置Ｈにある苗トレイのセルの間に入る状態となる。前記待機位置センサ５３がスライダ４６を検出する待機位置では、苗すくい体４５が苗保持装置２２の苗引継ぎ位置Ｈにある苗トレイの手前位置（直ぐ左側の位置）となる（苗すくい体４５が図１の仮想線の位置となる）。前記初期位置センサ５４がスライダ４６を検出する初期位置は、スライダ４６ひいては苗すくい体４５が苗保持装置２２から最も離れた左右移動における左端位置である。従って、苗保持装置２２の苗保持台検出センサ３４により苗引継ぎ位置Ｈに苗トレイが位置することを検出すると、待機位置又は初期位置から苗すくい体４５が苗保持装置２２側（右側）に移動して前記苗トレイのセルの間に入り、苗すくい体４５（苗保持部４３）を上昇させて苗トレイを苗保持装置２２の苗保持台３０から持ち上げて受け継ぎ保持する。その状態で、スライダ４６ひいては苗すくい体４５を苗移植機検出センサ４９により苗移植機収容部２１にある苗移植機１の予備苗台１５の位置まで左側に移動させる。このとき、苗移植機検出センサ４９は予備苗台１５の位置を検出するので、左右移動機構による苗載台４の位置並びに通行路２７における走行車輪２，３の位置に拘らず、苗すくい体４５を予備苗台１５の位置へ正確に移動させることができる。そして、苗すくい体４５（苗保持部４３）を下降させることにより水平姿勢の前記予備苗台１５に苗トレイを載せ、苗すくい体４５を下降させたままで初期位置まで左側に移動させて苗トレイのセルの間から苗すくい体４５を抜き出す。尚、苗移植機１の予備苗台１５と苗保持装置２２の苗保持台３０とは、上下高さが同じで、前記苗すくい体４５の下降位置で、該苗すくい体４５と接触せず、且つ載置される苗トレイと苗すくい体４５とが接触しない高さに設定されている。初期位置に復帰した苗すくい体４５は上昇し、苗移植機１への苗供給を継続する場合は苗すくい体４５を待機位置まで移動させる。このとき、苗移植機収容部２１に苗移植機１があっても、苗すくい体４５は予備苗台１５に載置される苗トレイの上方を通過して移動する。そして、待機位置で苗すくい体４５が下降する。
【００１４】
従って、この苗供給機２０は、苗移植機収容部２１に苗移植機１があることを搬入検出センサ２８が検出すると、上述のように苗供給装置２３が苗引継ぎ位置Ｈにある苗トレイを苗移植機１の予備苗台１５へ供給する。尚、主フレーム２４の上部に設けた予備苗検出センサ５５により苗移植機収容部２１にある苗移植機１の予備苗台１５上に苗（苗トレイ）が無いことを検出しないと、苗供給装置２３が予備苗台１５へ苗供給しないようになっている。これにより、例えば苗移植機１の苗載台４の苗搬送経路において苗トレイがひっかかる等して予備苗台１５上に苗トレイがあると、予備苗台１５へ次の苗トレイを供給しないので、苗トレイの損傷を防止すると共に苗供給作業の安全性が高まる。苗供給装置２３が苗引継ぎ位置Ｈにある苗トレイを取り出して苗移植機１の予備苗台１５の位置まで左側に移動すると、苗保持台検出センサ３４により苗保持装置２２の次の苗保持台３０が苗引継ぎ位置Ｈに移動して停止する。尚、この苗保持台３０の移動は上記の作動条件と共にオペレータが操作手段を操作したことに伴って行われるようにすれば、苗保持台３０が不意に移動することがなく、下降経路側での苗保持台３０への苗トレイの供給作業を安全に行える。そして、搬入検出センサ２８が再度苗移植機収容部２１に苗移植機１があることを検出すると、同様に苗移植機１の予備苗台１５への苗供給を行う。これらの作動の制御は、苗供給機２０に設けた制御装置により行う。また、苗供給機２０の各種アクチュエータ（搬送用駆動モータ３５、移動用モータ５１等）は、該苗供給機２０に備える太陽光発電装置からの電力により作動する構成であるが、別途設けるバッテリーにより作動する構成としてもよい。
【００１５】
また、苗供給装置２３のスライダ４６ひいては苗すくい体４５（苗保持部４３）は、待機位置並びに初期位置では苗移植機収容部２１の苗移植機１に干渉しない位置となり、苗移植機収容部２１への苗移植機１の搬入の邪魔になることがない。苗供給機２０側の制御装置と苗移植機１側の制御装置とは無線通信手段により連動しており、苗すくい体４５が苗移植機１の予備苗台１５へ苗を供給して苗すくい体４５が初期位置へ戻ると、回動用シリンダ１７が作動して予備苗台１５が前下がり姿勢（苗搬出姿勢）となって苗載台４の苗搬送経路へ苗を供給する。また、搬入検出センサ２８により苗移植機１を検出しても、苗検出センサ１９が苗載台４上の苗を検出する状態あるいは予備苗台１５が前下がり姿勢（苗搬出姿勢）であれば、苗保持装置２２は作動可能であるが苗供給装置２３は作動させない牽制手段を前記制御装置に備えている。尚、予備苗台１５へ苗を供給する際、予備苗検出センサ５５を予備苗台１５の左右方向の位置をも検出できる予備苗台検出センサとし、該センサの検出に基づいて苗移植機１の左右移動機構を作動させ、苗移植機収容部２１における所望の位置に予備苗台１５を左右移動させる構成としてもよい。これにより、予備苗台１５と苗すくい体４５との位置関係の適正化が図れ、予備苗台１５への苗供給を精度良く行える。このとき、予備苗台１５へ苗が供給された後は、左右移動機構を作動させて苗載台４を元の左右位置に復帰させる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】苗供給機を示す背面図
【図２】苗供給機を示す側面断面図
【図３】苗保持装置の一部を示す平面図
【符号の説明】
【００１７】
１：苗移植機、２：前輪、３：後輪、４：苗載台、１５：予備苗台、２０：苗供給機、２１：苗移植機収容部、２２：苗保持装置、２３：苗供給装置、Ｈ：苗引継ぎ位置
【技術分野】
【０００１】
この発明は、苗を供給する苗供給機の技術分野に属する。
【背景技術】
【０００２】
走行装置により機体を走行させながら、苗載台上に載置した苗トレイのセルから苗取出装置により苗を取り出して苗植付装置へ供給し、前記苗植付装置により圃場に苗を植え付ける苗移植機がある（特許文献１参照。）。この苗移植機は、圃場で苗移植作業を行うに伴って該苗移植機の苗載台上の苗が減少すれば、作業者が逐次前記苗載台へ苗を供給するようになっている。
【特許文献１】特開２００２−２３３２１８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
苗移植機による圃場での苗移植において、苗移植機の苗載台へ苗を供給する苗供給作業は、作業者にとって作業のウエイトが大きく労を要し、特に移植圃場の近くに準備した予備の苗を供給する必要があるときには、予備の苗がある位置から苗移植機の位置まで作業者が前記予備の苗を運ぶ必要があった。
【０００４】
そこで、本発明は、苗移植機へ苗を容易に供給できるようにし、苗移植作業の作業能率の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、走行装置（２，３）と苗載台（４）とを備える苗移植機（１）を収容可能な苗移植機収容部（２１）と、苗を上下に複数保持して苗引継ぎ位置（Ｈ）へ順次搬送する苗保持装置（２２）と、前記苗引継ぎ位置（Ｈ）から前記苗移植機収容部（２１）の苗載台（４）へ苗を供給する苗供給装置（２３）とを設け、前記苗保持装置（２２）を苗移植機収容部（２１）の側方に配置し、前記苗供給装置（２３）を苗移植機収容部（２１）に収容された苗移植機（１）より上側に配置した苗供給機とした。
【０００６】
従って、圃場への苗移植作業に伴って苗移植機（１）の苗載台（４）上の苗が減少すれば、苗移植機（１）を苗移植機収容部（２１）に収容することにより、苗保持装置（２２）の苗を苗供給装置（２３）を介して苗移植機（１）の苗載台（４）上へ補充することができる。その後、苗移植機（１）により、圃場への苗移植作業を再開することができる。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の苗供給機は、苗を上下に複数保持する苗保持装置（２２）を苗移植機収容部（２１）の側方に配置し、苗供給装置（２３）を苗移植機収容部（２１）に収容された苗移植機（１）より上側に配置したので、苗保持装置（２２）で多量の苗を保持できる構成としながら、苗供給機全体の設置スペースの省スペース化が図れ、ひいては該苗供給機を移植圃場の近くに設置することができ、苗移植機（１）への苗供給が容易に行えて苗移植作業の作業能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
この発明の実施の一形態を以下に説明する。
先ず、苗移植機１について説明する。この苗移植機１は、走行車輪（走行装置）となる左右一対の前輪２及び後輪３と、縦横に複数のセル（育苗ポット）を備える可撓性の苗トレイを載置する苗載台４と、該苗載台４上の苗取出位置Ｐにある苗トレイのセルから苗を一株づつ取り出して下方へ落下供給する苗取出装置５と、該苗取出装置５により落下供給される苗を受けて圃場に植え付ける苗植付装置６とを備えている。前記苗載台４は、苗トレイをその長手方向に搬送する構成であり、苗トレイを苗取出位置Ｐへ向けて前斜め下側に搬送し、その後苗が取り出されて空になった苗トレイを屈曲させて反転し、この空の苗トレイを後斜め上側へ搬送する苗搬送経路を有し、該苗搬送経路で苗トレイを搬送させるための搬送駆動回転体７を備えている。この搬送駆動回転体７は、回転方向に所定ピッチで設けた複数の係合具７ａを各々左右方向に延設し、該係合具７ａが苗トレイのセルの間に入って係合し苗トレイを搬送する構成となっている。また、苗載台４を苗トレイのセルの配列ピッチで左右移動させるリードカム軸等を備える左右移動機構（図示せず）を設けており、該左右移動機構により苗トレイの横方向（左右方向）に並ぶセルを苗取出位置Ｐへ順に供給し、左右移動端で横一列のセル（苗）が全て苗取出位置Ｐへ供給されると搬送駆動回転体７を駆動して次列のセル（苗）を苗取出位置Ｐへ供給する構成となっている。前記苗取出装置５は、苗の床部を突き刺して苗を保持する苗保持爪５ａを備え、この苗保持爪５ａが苗載台４側（後側）へ向く状態で突出して苗トレイのセルにある苗を保持し、その後前記苗保持爪５ａが苗載台４から退避しながら下方へ向き、苗保持爪５ａが下方へ向いた状態で別途備える苗押出具で苗を下方へ押し出して落下供給する構成となっている。前記苗植付装置６は、苗を内部に収容して保持する植付カップ６ａをその下部が前後に２分割して開閉するように設け、苗を保持した状態で前記植付カップ６ａを下降させて該植付カップ６ａを土壌内へ突入させ、この植付カップ６ａの下部を開いて土壌に植付穴を形成すると共に該植付穴に苗を落下供給させて苗を植え付ける構成となっている。左右の走行車輪２，３の間で且つ苗植付装置６の後方で且つ苗載台４の下方となる苗移植機１の前後及び左右方向における略中央部には、電源となるバッテリー８を設けている。このバッテリー８は、走行車輪２，３を支持する車体フレーム９の下側に固着されるバッテリー支持フレーム１０に支持されている。また、後輪３より上側で且つ苗載台４の後方となる苗移植機１の後端部には、前記バッテリー８からの電力で駆動する駆動モータ（原動機）１１を設けている。この駆動モータ（原動機）１１は、苗載台４、苗取出装置５及び苗植付装置６等を支持する植付フレーム１２の後端に固着されるモータ支持フレーム１３に支持されている。該駆動モータ１１からの動力により、走行車輪２，３、苗載台４の搬送駆動回転体７、苗取出装置５及び苗植付装置６が駆動する構成となっている。尚、上述では前輪２及び後輪３が駆動する構成としたが、前輪２及び後輪３のうちの一方のみを駆動車輪とし他方を転動車輪としてもよい。尚、前記植付フレーム１２は、接続フレーム１４を介して前記車体フレーム９の上側に固着して設けられている。
【０００９】
苗載台４の上部には予備の苗トレイを載置する予備苗台１５を備えており、この予備苗台１５は、左右方向の回動支点軸１６回りに回動するように設けられ、予備苗台１５の後斜め下側に設けた回動用シリンダ１７の作動により苗載台４の苗搬送経路に沿う前下がり姿勢（苗搬出姿勢）と水平姿勢（苗受取姿勢）とに切替可能に構成されている。また、予備苗台１５には、苗トレイのセルの間に入って係合し苗トレイの移動を規制する規制具１８を設けている。一方、苗載台４には、前下がり姿勢の予備苗台１５の下端より苗搬送経路の搬送下手側（下側）で且つ苗取出位置Ｐより苗搬送経路の搬送上手側の任意の位置での苗トレイの有無を検出する苗検出センサ１９を設けている。従って、該苗検出センサ１９が苗トレイを検出せずに苗が所定量以下に減少したことを検出すると、回動用シリンダ１７を作動させて予備苗台１５を水平姿勢にすると共に規制具１８を予備苗台１５から突出させて苗トレイの移動を規制する状態にし、その状態で後述する苗供給機２０から予備苗台１５上へ予備の苗トレイが供給されると、回動用シリンダ１７を作動させて予備苗台１５を前下がり姿勢にすると共に規制具１８を予備苗台１５から退避させて苗トレイの規制を解除する状態にして、苗載台４の苗搬送経路へ苗トレイを供給するための制御装置を設けている。
【００１０】
次に、苗供給機２０について説明する。この苗供給機２０は、上述の苗移植機１を前進させて収容可能な苗移植機収容部２１と、苗が育苗された苗トレイを上下に複数保持して苗引継ぎ位置Ｈへ順次搬送する苗保持装置２２と、前記苗引継ぎ位置Ｈから前記苗移植機収容部２１に収容された苗移植機１の苗載台４の予備苗台１５へ苗を供給する苗供給装置２３とを備えている。そして、前記苗保持装置２２を苗移植機収容部２１の側方（右側）に配置し、前記苗供給装置２３が苗移植機収容部２１に収容された苗移植機１より上側に配置される構成となっている。苗移植機収容部２１及び苗供給装置２３を支持する主フレーム２４の下部には複数の転動輪２５を取り付けて設け、該転動輪２５により苗供給機２０を圃場周辺の適宜位置へ移動させることができる構成となっている。尚、苗保持装置２２を支持する苗保持装置フレーム２６は、前記主フレーム２４に固着して支持されている。
【００１１】
苗移植機収容部２１は、苗移植機１の走行車輪２，３を通行させる左右各々の通行路２７を備え、該通行路２７を通行させて苗移植機１を搬入する構成となっている。前記通行路２７は、苗移植機収容部２１の内部に位置する水平部分２７ａと該水平部分２７ａに繋がる傾斜部分２７ｂとを備え、該傾斜部分２７ｂから走行車輪２，３を誘導して苗移植機収容部２１の所定の位置に苗移植機１を移動させるようになっている。通行路２７は、走行車輪２，３より広幅に構成され、左右両端部に走行車輪２，３が脱輪しないように路面から立ち上がるガード体２７ｃを備えている。また、苗移植機収容部２１における苗移植機１の搬入奥手側（苗移植機１の前側）の位置には苗移植機１が搬入されたことを検出する搬入検出センサ２８を主フレーム２４に取り付けて設けており、苗移植機１の前進により苗移植機１に設けた植付フレーム１２の前端部が前記搬入検出センサ２８の検出子２８ａを押して苗移植機収容部２１に苗移植機１が搬入されたことを検出する構成となっている。尚、前記植付フレーム１２の前端部は、走行車輪２，３が通行路２７のどの左右位置を通行していても搬入検出センサ２８の検出子２８ａが検出できるように、左右に長く設けられている。
【００１２】
苗保持装置２２は、上下に周回する一対の搬送用の無端チェーン（無端帯）２９と、この一対の無端チェーン２９で支持される苗保持台３０とを備え、該苗保持台３０上に苗が育苗された予備の苗トレイを載置して昇降させる構成となっている。詳述すると、前記一対の無端チェーン２９は、各々下側の駆動スプロケット３１と上側の従動スプロケット３２との間に巻回されて図１視で右回りに周回する構成となっており、互いに前後位置及び左右位置をずらせて並列して設けられている。また、各々の無端チェーン２９の同一の位相位置にあるチェーンリンク２９ａに、該チェーンリンク２９ａから無端チェーン２９の周回平面（周回方向）に対して垂直な方向（前後方向）で且つ互いに他方の無端チェーン２９側に延びる苗保持台支持軸３３を固着して設けている。この苗保持台支持軸３３は、無端チェーン２９の周回軌跡において所定のピッチ毎に等間隔に複数本（６本）設けられている。そして、各無端チェーン２９の同一の位相位置にある一対の苗保持台支持軸３３に、苗保持台３０の平面視で対角位置に設けた突出部３０ａが前記苗保持台支持軸３３に対して回動するように支持されている。尚、前記突出部３０ａは、苗保持台支持軸３３を覆う構成で苗保持台３０の左側及び右側に突出しており、左側の突出部３０ａが前側に位置し右側の突出部３０ａが後側に位置して平面視で対角位置に配置されているので、苗保持台３０をその対角位置から苗保持台支持軸３３により安定して支持できる。従って、一対の無端チェーン２９を同期して回転させることにより、苗保持台３０は、苗移植機収容部２１側（左側）で上昇して苗移植機収容部２１と反対側（右側）で下降する無端チェーン２９に沿う移動軌跡で水平姿勢を維持しながら昇降する。尚、苗保持台３０は、苗保持台支持軸３３の数に対応して複数（６枚）設けられている。また、苗保持台３０は、平面視で苗トレイの寸法に合わせた概ね方形状となっており、苗保持台支持軸３３に沿う前後方向が長くて左右方向が短い構成となっている。更に、苗保持台３０の上面には左右方向に延びる突条３０ｂを適宜位置に複数設けており、該突条３０ｂが苗トレイのセルの間に入って苗保持台３０上で苗トレイが前後方向に移動しないようにしている。従って、苗保持台３０の移動軌跡において下降する側（右側）となる下降経路にある苗保持台３０上に機体の右側から、作業者が苗が育苗された苗トレイをその長手方向が前後に向く状態で載せて供給し、苗保持台３０ひいては苗トレイが下降経路から上昇経路を介して直線状に鉛直方向へ上昇させる該上昇経路の上端部の苗引継ぎ位置Ｈへ順次搬送される構成となっている。尚、前記苗引継ぎ位置Ｐでの苗保持台３０の有無を検出する苗保持台検出センサ３４を設けており、該苗保持台検出センサ３４が次の苗保持台３０を検出するまで該苗保持台３０を移動させて苗引継ぎ位置Ｈへ順次搬送するようになっている。尚、上昇経路と下降経路とで対向する苗保持台３０の突出部３０ａは、左右方向の位置が重複するが、平面視で重複しないように前後に振り分けて配置されており、苗保持台３０の昇降で互いに衝突しない構成となっている。ところで、苗保持台３０及び搬送用の無端チェーン２９の下側には電動式の搬送用駆動モータ３５を配置しており、該搬送用駆動モータ３５の出力軸３５ａと一体回転する原動用のスプロケット３６を設け、該原動用のスプロケット３６に巻回される伝動用の無端チェーン３７を別の２枚の作動用のスプロケット３８，３９にも巻回している。該２枚の作動用のスプロケット３８，３９のうちの一方となる左側のスプロケット３８は、苗移植機収容部２１側（左側）の搬送用無端チェーン２９の駆動スプロケット３１と一体回転する構成となっている。前記２枚の作動用のスプロケット３８，３９のうちの他方となる右側のスプロケット３９は、該スプロケット３９と同軸上で同じ径の中継用駆動スプロケット４０を一体回転させる。そして、前記中継用駆動スプロケット４０から中継用無端チェーン４１を介して苗移植機収容部２１と反対側（右側）の搬送用無端チェーン２９の駆動スプロケット３１と一体回転する中継用従動スプロケット４２へ伝動する構成となっている。従って、搬送用駆動モータ３５の駆動により、一対の搬送用の無端チェーン２９を同じ方向に同じ速度で周回させる構成となっている。尚、この苗保持装置２２は、苗を苗引継ぎ位置Ｈへ順次搬送する苗搬送装置でもある。
【００１３】
苗供給装置２３は、苗保持装置２２の苗引継ぎ位置Ｐにある苗トレイをすくい上げて保持する苗保持部４３と、該苗保持部４３を苗保持装置２２側と苗移植機収容部２１側との間で左右方向へ移動させる移動部４４とを備えて構成される。前記苗保持部４３は、基部４３ａから苗保持装置２２側（右側）へ延びる複数（４本）の苗すくい体４５を備え、該苗すくい体４５が苗保持装置２２の苗引継ぎ位置Ｐにある苗トレイのセルの間に入って該苗トレイを保持する構成となっている。従って、苗すくい体４５は、苗トレイの短手方向へ移動して該苗トレイの長い端縁部側から確実に保持する構成となっている。前記移動部４４のスライダ４６に対して基部４３ａを昇降アクチュエータ（図示せず）により昇降させることにより、前記苗すくい体４５を昇降させる構成となっている。尚、前記スライダ４６には基部４３ａが上昇位置にあることを検出する上昇位置センサ４７と、基部４３ａが下降位置にあることを検出する下降位置センサ４８とを設け、これらのセンサ４７，４８が基部４３ａを検出するまで昇降アクチュエータを駆動させて苗保持部４３を所望の上下位置に昇降させる構成となっている。また、苗移植機１の予備苗台１５の位置を検出する苗移植機検出センサ４９を苗すくい体４５に取り付けて設けており、該苗移植機検出センサ４９の検出に基づいて移動部４４により苗すくい体４５を苗移植機１の位置まで左右移動させる構成となっている。前記移動部４４は、左右方向に移動する前記スライダ４６と、該スライダ４６を支持すると共に該スライダ４６の移動を案内するべく左右方向に延びる前後２本の案内レール５０と、スライダ４６を移動させるべく移動用螺子軸を駆動する移動用モータ５１とを備えて構成される。前記案内レール５０及び移動用モータ５１は、苗供給機の主フレーム２４の上部に取り付けて支持されている。苗保持装置２２側（右側）から順に苗すくい位置センサ５２、待機位置センサ５３及び初期位置センサ５４を案内レール５０から取り付けて設けており、これらのセンサ５２，５３，５４がスライダ４６を検出して該スライダ４６を所望の左右位置に移動させる構成となっている。前記苗すくい位置センサ５２がスライダ４６を検出する苗すくい位置では、苗すくい体４５が苗保持装置２２の苗引継ぎ位置Ｈにある苗トレイのセルの間に入る状態となる。前記待機位置センサ５３がスライダ４６を検出する待機位置では、苗すくい体４５が苗保持装置２２の苗引継ぎ位置Ｈにある苗トレイの手前位置（直ぐ左側の位置）となる（苗すくい体４５が図１の仮想線の位置となる）。前記初期位置センサ５４がスライダ４６を検出する初期位置は、スライダ４６ひいては苗すくい体４５が苗保持装置２２から最も離れた左右移動における左端位置である。従って、苗保持装置２２の苗保持台検出センサ３４により苗引継ぎ位置Ｈに苗トレイが位置することを検出すると、待機位置又は初期位置から苗すくい体４５が苗保持装置２２側（右側）に移動して前記苗トレイのセルの間に入り、苗すくい体４５（苗保持部４３）を上昇させて苗トレイを苗保持装置２２の苗保持台３０から持ち上げて受け継ぎ保持する。その状態で、スライダ４６ひいては苗すくい体４５を苗移植機検出センサ４９により苗移植機収容部２１にある苗移植機１の予備苗台１５の位置まで左側に移動させる。このとき、苗移植機検出センサ４９は予備苗台１５の位置を検出するので、左右移動機構による苗載台４の位置並びに通行路２７における走行車輪２，３の位置に拘らず、苗すくい体４５を予備苗台１５の位置へ正確に移動させることができる。そして、苗すくい体４５（苗保持部４３）を下降させることにより水平姿勢の前記予備苗台１５に苗トレイを載せ、苗すくい体４５を下降させたままで初期位置まで左側に移動させて苗トレイのセルの間から苗すくい体４５を抜き出す。尚、苗移植機１の予備苗台１５と苗保持装置２２の苗保持台３０とは、上下高さが同じで、前記苗すくい体４５の下降位置で、該苗すくい体４５と接触せず、且つ載置される苗トレイと苗すくい体４５とが接触しない高さに設定されている。初期位置に復帰した苗すくい体４５は上昇し、苗移植機１への苗供給を継続する場合は苗すくい体４５を待機位置まで移動させる。このとき、苗移植機収容部２１に苗移植機１があっても、苗すくい体４５は予備苗台１５に載置される苗トレイの上方を通過して移動する。そして、待機位置で苗すくい体４５が下降する。
【００１４】
従って、この苗供給機２０は、苗移植機収容部２１に苗移植機１があることを搬入検出センサ２８が検出すると、上述のように苗供給装置２３が苗引継ぎ位置Ｈにある苗トレイを苗移植機１の予備苗台１５へ供給する。尚、主フレーム２４の上部に設けた予備苗検出センサ５５により苗移植機収容部２１にある苗移植機１の予備苗台１５上に苗（苗トレイ）が無いことを検出しないと、苗供給装置２３が予備苗台１５へ苗供給しないようになっている。これにより、例えば苗移植機１の苗載台４の苗搬送経路において苗トレイがひっかかる等して予備苗台１５上に苗トレイがあると、予備苗台１５へ次の苗トレイを供給しないので、苗トレイの損傷を防止すると共に苗供給作業の安全性が高まる。苗供給装置２３が苗引継ぎ位置Ｈにある苗トレイを取り出して苗移植機１の予備苗台１５の位置まで左側に移動すると、苗保持台検出センサ３４により苗保持装置２２の次の苗保持台３０が苗引継ぎ位置Ｈに移動して停止する。尚、この苗保持台３０の移動は上記の作動条件と共にオペレータが操作手段を操作したことに伴って行われるようにすれば、苗保持台３０が不意に移動することがなく、下降経路側での苗保持台３０への苗トレイの供給作業を安全に行える。そして、搬入検出センサ２８が再度苗移植機収容部２１に苗移植機１があることを検出すると、同様に苗移植機１の予備苗台１５への苗供給を行う。これらの作動の制御は、苗供給機２０に設けた制御装置により行う。また、苗供給機２０の各種アクチュエータ（搬送用駆動モータ３５、移動用モータ５１等）は、該苗供給機２０に備える太陽光発電装置からの電力により作動する構成であるが、別途設けるバッテリーにより作動する構成としてもよい。
【００１５】
また、苗供給装置２３のスライダ４６ひいては苗すくい体４５（苗保持部４３）は、待機位置並びに初期位置では苗移植機収容部２１の苗移植機１に干渉しない位置となり、苗移植機収容部２１への苗移植機１の搬入の邪魔になることがない。苗供給機２０側の制御装置と苗移植機１側の制御装置とは無線通信手段により連動しており、苗すくい体４５が苗移植機１の予備苗台１５へ苗を供給して苗すくい体４５が初期位置へ戻ると、回動用シリンダ１７が作動して予備苗台１５が前下がり姿勢（苗搬出姿勢）となって苗載台４の苗搬送経路へ苗を供給する。また、搬入検出センサ２８により苗移植機１を検出しても、苗検出センサ１９が苗載台４上の苗を検出する状態あるいは予備苗台１５が前下がり姿勢（苗搬出姿勢）であれば、苗保持装置２２は作動可能であるが苗供給装置２３は作動させない牽制手段を前記制御装置に備えている。尚、予備苗台１５へ苗を供給する際、予備苗検出センサ５５を予備苗台１５の左右方向の位置をも検出できる予備苗台検出センサとし、該センサの検出に基づいて苗移植機１の左右移動機構を作動させ、苗移植機収容部２１における所望の位置に予備苗台１５を左右移動させる構成としてもよい。これにより、予備苗台１５と苗すくい体４５との位置関係の適正化が図れ、予備苗台１５への苗供給を精度良く行える。このとき、予備苗台１５へ苗が供給された後は、左右移動機構を作動させて苗載台４を元の左右位置に復帰させる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】苗供給機を示す背面図
【図２】苗供給機を示す側面断面図
【図３】苗保持装置の一部を示す平面図
【符号の説明】
【００１７】
１：苗移植機、２：前輪、３：後輪、４：苗載台、１５：予備苗台、２０：苗供給機、２１：苗移植機収容部、２２：苗保持装置、２３：苗供給装置、Ｈ：苗引継ぎ位置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
走行装置（２，３）と苗載台（４）とを備える苗移植機（１）を収容可能な苗移植機収容部（２１）と、苗を上下に複数保持して苗引継ぎ位置（Ｈ）へ順次搬送する苗保持装置（２２）と、前記苗引継ぎ位置（Ｈ）から前記苗移植機収容部（２１）の苗載台（４）へ苗を供給する苗供給装置（２３）とを設け、前記苗保持装置（２２）を苗移植機収容部（２１）の側方に配置し、前記苗供給装置（２３）を苗移植機収容部（２１）に収容された苗移植機（１）より上側に配置した苗供給機。
【請求項１】
走行装置（２，３）と苗載台（４）とを備える苗移植機（１）を収容可能な苗移植機収容部（２１）と、苗を上下に複数保持して苗引継ぎ位置（Ｈ）へ順次搬送する苗保持装置（２２）と、前記苗引継ぎ位置（Ｈ）から前記苗移植機収容部（２１）の苗載台（４）へ苗を供給する苗供給装置（２３）とを設け、前記苗保持装置（２２）を苗移植機収容部（２１）の側方に配置し、前記苗供給装置（２３）を苗移植機収容部（２１）に収容された苗移植機（１）より上側に配置した苗供給機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００７−２２２０９５（Ｐ２００７−２２２０９５Ａ）
【公開日】平成１９年９月６日（２００７．９．６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−４８３３１（Ｐ２００６−４８３３１）
【出願日】平成１８年２月２４日（２００６．２．２４）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年９月６日（２００７．９．６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年２月２４日（２００６．２．２４）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
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