苗移植機
【課題】 本発明の課題は、接地検出センサとして、地表面に接触することにより発生する歪、衝撃が検出できる圧電セラミックス素子を用いることによって、低コストで地表面の変化を的確に検出でき、シンプルな制御が可能な制御手段を具現することにある。
【解決手段】 本発明は、苗植付部(2)の前側に地表面を整地する整地ロータ(4)を備えてある苗移植機において、圃場の地表面に対する接触により発生する歪、衝撃が検出できる圧電セラミックスプレートからなる接触検出センサ(3)を苗植付部(2)の適所に配置して設け、該接地検出センサ(3)は、この接地面が地表面に沿うように対設すると共に、地表面の変化検出結果に基づき苗植付部の植付姿勢を自動制御する。
【解決手段】 本発明は、苗植付部(2)の前側に地表面を整地する整地ロータ(4)を備えてある苗移植機において、圃場の地表面に対する接触により発生する歪、衝撃が検出できる圧電セラミックスプレートからなる接触検出センサ(3)を苗植付部(2)の適所に配置して設け、該接地検出センサ(3)は、この接地面が地表面に沿うように対設すると共に、地表面の変化検出結果に基づき苗植付部の植付姿勢を自動制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地表面に対する接触によって地表面の変化を検出する接触検出センサを備えた苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、機体に対して昇降可能に装備された苗植付部の近くに、圃場面に接地して追従する植付深さセンサが設けられ、植付深さセンサからの検出値に基づき、苗植付部を自動的に昇降制御して、苗植付部の設定高さを自動調節する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−344019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の植付深さ検出センサは、接地追従センサとは云え、上下の回動角を検出する角速度センサを用いたものであるため、構造的に高価なものとなり、制御も複雑となって、制御の応答遅れ等が発生する問題がある。
【0005】
本発明の課題は、接地検出センサとして、地表面に接触することにより発生する歪、衝撃が検出できる圧電セラミックス素子を用いることによって、低コストで地表面の変化を的確に検出でき、シンプルな制御が可能な制御手段を具現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、苗植付部(2)の前側に地表面を整地する整地ロータ(4)を備えてある苗移植機において、圃場の地表面に対する接触により発生する歪、衝撃が検出できる圧電セラミックスプレート(15)からなる接触検出センサ(3)を苗植付部(2)の適所に配置して設け、該接地検出センサ(3)は、この接地面が地表面に沿うように対設すると共に、地表面の変化検出結果に基づき苗植付部の植付姿勢を自動制御すべく構成してあることを特徴とする。
【0007】
接地検出センサ(3)は、機体の進行に伴い接地した状態で地表面に沿って追従移動し、地表面の変化を逐次検出する。かかる圧電セラミックス(15)使用の接地検出センサによる場合は、地表面の凹凸変化や、硬軟度が検出され、土面が軟らかくても、センサ接地面で土が擦れることによって信号が得られ、出力信号は摩擦力が大きいほど、また、土面が硬いほど大きく表れる。
【0008】
そして、このような接地検出センサからの検出値に基づき、苗植付部の植付姿勢を自動制御することができる。例えば、センサ検出値に基づき、苗植付部を昇降制御し、植付部の対地高さを設定高さに維持するよう自動制御することができる。
【0009】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記接地検出センサ(3)によって圃場の硬軟度を検出し、この硬軟度合に応じて整地ロータ(4)の回転速度を制御すべく構成してあることを特長とする。
【0010】
接地検出センサ(3)によって検出される表土面の硬軟度が「硬い」と判断された場合には、整地ロータ(4)の回転速度を高速側に変速し、「軟らかい」と判断された場合には低速側に変速する。
【0011】
従って、圃場の硬軟度に関係なく整地作業が良好に行え、均平に仕上げることできる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、接地検出センサは、圧電セラミックスを利用することで、圃場面に対する接地抵抗によって表土面の変化を緻密に的確に検出することができ、従来のような角速度センサに比べて安価に実施できるばかりでなく、シンプルな制御が可能となり、応答性も良く、苗植付部の姿勢制御を正確に行うことができる。また、かかる接地検出手段によれば、整地フロート無しでも植付部の安定した姿勢制御が可能となる。
【0013】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、接地検出センサによって圃場の硬軟度を検出し、土面の硬さ度合いに応じて整地ロータの回転速度を制御するので、整地性を高めることができ、整地フロートが無くても植付作業を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】整地ロータを駆動する伝動装置部の側面図
【図4】ロータ変速部の変速機構図
【図5】接地検出センサの側面図
【図6】同上平面図
【図7】同上背面図
【図8】苗植付部の要部の背面図
【図9】センサ電圧と制御量の関係を示す図表
【図10】センサ電圧とロータ回転数の関係を示す図表
【図11】油圧回路図
【図12】苗植付部の要部の側面図
【図13】苗植付部の要部の側面図
【図14】整地フロートの平面図
【図15】整地フロート(別例)の平面図
【図16】水田防波装置の背面図
【図17】防波用樹脂シートの平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、苗移植機の一例として4条植えの苗植付部を装備した乗用型田植機を示すものであり、この走行車体1の略中央に駆動源であるエンジン22を搭載し、このエンジン22の回転動力を油圧式無断変速装置41を介してミッションケ−ス42内の変速伝動装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪23及び後輪24とに伝えるようにしている。また、エンジン回転動力は、ミッションケース内の差動ギヤ機構を介して左右両側の後輪伝動ケース6にわたって連結する連動軸43、苗植付部への入力軸26、施肥装置38へのPTO軸44等を伝動するようになっている。
【0016】
エンジン22の上部はエンジンカバーで覆われており、その上方に運転席21が設置され、運転席21の前方には、前輪23,23を操舵するステアリングハンドル20が装備されている。また、運転席21の後方側には施肥装置38が設置され、肥料を施肥ホース39を介して植付条近傍に施肥するための施肥溝切器40位置に繰出し流下させるようにしている。37はフロア36前端の左右外側部に設置した予備苗載せ台である。
【0017】
更に、走行車体1の後部には苗植付部2が昇降リンク機構25を介して装着され、この苗植付部2と車体1との間には苗植付部2を上下に昇降する油圧昇降シリンダ32が装備されている。
【0018】
苗植付部2は、車体側のPTO軸から連動される入力軸26を有して、内部にはこの入力軸26によって連動されて苗タンク27、苗繰出ベルト28及び苗植付爪29等を連動する伝動機構を内装した苗植付伝動ケース30を構成し、この苗植付伝動ケース30を主体として、その上側にはマット状苗を載せて後側下部へ繰出す苗タンク27を左右方向へ往復移動可能に支持し、後側には楕円形状の植付軌跡線Dに沿って昇降回転し、苗タンクの苗取出口部31から分離保持する苗を圃場面に植え付ける苗植付爪29を設けた構成としている。また、苗植付部2は、昇降リンク機構25に対する装着の前後方向に沿うローリング軸の周りに左右傾斜回動可能に設けて、ローリング制御可能に設けている。
【0019】
苗植付部2の前側には、圃場面を代掻きしながら整地する整地ロータ4を配設している。整地ロータ4は、前側に位置するセンタロータ部と、後側両サイドに位置するサイドロータ部とからなるように各別に配置されている。整地ロータ4を回転可能にロータ軸33で軸装したロータフレーム34が、前記苗植付伝動ケース30に設けられた苗植付フレーム35に対して上下調節可能に設けられて、整地ロータ位置を上下調節、乃至上下制御可能に構成する。
【0020】
後輪伝動ケース6から変速部10を介して後側下方へ向けて出力軸7を突出させ、この出力軸からスプライン連動軸12を介してロータ伝動ケース8の入力軸9へ連動するように連結している。そして、サイドロータ軸33からチエンケース45内のチエン47を介してセンタロータ軸33を駆動するように連動構成している。また、整地ロータ4のロータカバー48を設け、ロータフレーム34、スプリング49等を介して吊持させている。
【0021】
前記整地ロータ4の変速部10は、前記出力軸7に連動する変速軸11と、変速軸に軸着された高速側ギヤGH及び低速側ギヤGLと、高速側と低速側とに切り替えシフトする切替シフト機構13と、この切替シフト機構を切替制御する変速モータ14等を備えた構成としている。
【0022】
接地検出センサ3は、圃場の地表面に対する接触により発生する歪、衝撃などが検出可能な圧電セラミックスプレート(圧電セラミックスセンサ)15と、これを保持するハウジング16と、圧電セラミックスプレートの両サイドを防護するガードプレート17とからなるように構成され、苗植付部2の適所に設置されると共に、圧電セラミックスプレート15の接地面が圃場の地表面に沿うよう平行状に対設されている。
【0023】
圧電セラミックスによるセンサ自体は、息を吹きかけただけでも反応する程、高感度の出力信号が得られる。勿論、地表面の凹凸変化や、硬軟度も検出することができ、土面が軟らかくても、センサ接地面で土が擦れることによって信号が得られ、出力信号は摩擦力が大きいほど、また、土面が硬いほど波形が大きく表れる。
【0024】
このように、接地検出センサを圃場面に接地させた状態で、機体の進行に伴い地表面に沿って追従移動させれば、接地検出センサは地表面の変化を的確に検出する。そして、その接地検出センサからの検出信号を制御部に入力し、その処理結果に基づき、苗植付部の姿勢を制御する、例えば、油圧昇降シリンダ32の油圧バルブに出力信号を出力するように構成することで、苗植付部を昇降制御し、地表面に対する苗植付深さを一定に維持するよう制御することができる。
【0025】
また、図8に示すように、圃場の地表面を検出する接地検出センサを少なくとも植付部の左右に配置して設け、左右センサ3,3の接地状態によって植付部の水平制御を行うことができる。従来の水平制御は、略水平に整地されている土面を検出していないために、機体の傾き等の情報に基づき、水平制御を行っており、制御が複雑で、制御の応答遅れ等の問題があった。本例による場合は、略水平な地表面に基づいて制御を行うため、シンプルな制御が可能となり、従来の角速度センサ等の高価なセンサを必要とせず、低コスト化が図れる。また、この水平制御において、図9の図表で示すように、接地力(歪)に応じて水平制御における制御量を変更する構成としておくことで、接地圧状態に応じて制御量を調整できるため、応答性の良い水平制御を行うことができる。
【0026】
圧電セラミックスセンサは、地表面の硬軟度が検出できるため、圃場面の硬軟度に応じて整地ロータ4の回転数制御を行うことができる。つまり、接地検出センサ3によって整地ロータ4直前の圃場面硬度を検出し、土面が硬い場合には、その検出結果を制御部に入力し、そして、その処理結果に基づき、ロータ変速部10の変速モータ14を駆動すべく出力信号を出力する。これにより、変速モータ14によって変速部が高速側に切り替えられ、整地ロータは高速回転する。また、逆に土面が軟らかい場合には、変速モータ14によってロータ多変速部が低速側に切り替えられ、整地ロータは低速回転に切替制御されることになる。なお、図10はセンサ電圧(硬度)とロータ回転数の関係を示すものであるが、硬度が硬い程、ロータ回転速度を漸次上げにし、硬度が軟らかい程、ロータ回転速度を漸次下げにする無段階変速手段を採用するものであってもよい。
【0027】
また、接地センサ信号を車速と連動させて、圃場硬度を補正するように構成することができる。車速が上がれば検出される圃場硬度は硬めとなるが、車速と連動させることで、検出誤差を無くすことができ、安定した均平性を維持することができる。
【0028】
次に、別実施例の田植機について説明する。
枕地旋回時にクラッチとブレーキを操作して旋回する田植機において、クラッチ・ブレーキシリンダ51への油圧源をHST(油圧式無段変速装置)41におけるHSTポンプ52とHSTモータ53を有するHST回路の前進側走行圧とすることで、他のアクチュエータが作動する度に変動していた油圧源の変動がなくなり、HSTの駆動力に準じた油圧源となり滑らかな制御が可能となる。また、減圧弁54のスプリング力を調整式とし、二次圧力を3段階(P1,P2,P2)に調整可能とし(図11参照)、ブレーキ力を調整することで、程よい旋回感度が得られ、制御がスムースに行える。
【0029】
図12〜図14に示す田植機において、枕地等荒れた圃場での整地手段として、整地ロータの代わりに1枚の幅の広い整地フロート56(図14)を備える。整地フロート56後端部の後方にはサイドフレーム57より下方にガード部材58を設け、且つ、ガード部材58の底面が植付深さ最深時のフロート56底面よりH1だけ高く(図12)なるように構成する。
【0030】
1枚のフロートでは感知フロートとしての機能を持たせるため、フロート後端が短く、この為、従来サイドフロートの後端が担っていた苗植付爪及びサイドフレームの保護ができない。本例による場合は、上記構成により枕地等の植付時において苗植付爪やサイドフレームを保護することができる。
【0031】
また、図13に示すように、整地フロート56後端部より後方にガードフロート59を突出させて設け、フロート56底面からガードフロート59底面までの高さH2をフロート感度最鈍感での感知時にガードフロート先端(後端)が地面に接する寸法以上に設ける。これにより、苗植付爪の保護はもとより、フロート感知性能に悪影響を及ぼさず、整地性向上を図ることができる。
【0032】
図15に示す実施例は、上記のように、1枚の幅の広い整地フロート56を備えた田植機において、3つに分割されたフロート56L,56C,56Rを連結部材60で連結すると共に、それぞれのフロート間には適宜幅の隙間Sを設けた構成としている。これにより、それぞれの隙間から泥や水が流れることによって泥押しや波たちが防止できる。
【0033】
また、上記隙間Sにレーキ61を設けることによってフロート間を流入する泥土を均すことができて整地性が向上する。
図16及び図17は、植付作業時に発生する水波を防止する防波装置を示すもので、後輪24ケースを支えるリヤフレーム角柱部62の下部に防波機能をもたらす樹脂シート63を設ける。この樹脂シート63の左右端には圃場の水を左右端に流す水路64を設けている。また、樹脂シート63は、長穴65を介して上下動可能に構成してあり、水車マーカに連動して該樹脂シートのマーカ側が上方に上り、圃場の水がマーカ側に流れるように連動構成している。
【符号の説明】
【0034】
2 苗植付部
3 接地検出センサ
4 整地ロータ
10 ロータ変速部
15 圧電セラミックスプレート
【技術分野】
【0001】
この発明は、地表面に対する接触によって地表面の変化を検出する接触検出センサを備えた苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、機体に対して昇降可能に装備された苗植付部の近くに、圃場面に接地して追従する植付深さセンサが設けられ、植付深さセンサからの検出値に基づき、苗植付部を自動的に昇降制御して、苗植付部の設定高さを自動調節する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−344019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の植付深さ検出センサは、接地追従センサとは云え、上下の回動角を検出する角速度センサを用いたものであるため、構造的に高価なものとなり、制御も複雑となって、制御の応答遅れ等が発生する問題がある。
【0005】
本発明の課題は、接地検出センサとして、地表面に接触することにより発生する歪、衝撃が検出できる圧電セラミックス素子を用いることによって、低コストで地表面の変化を的確に検出でき、シンプルな制御が可能な制御手段を具現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、苗植付部(2)の前側に地表面を整地する整地ロータ(4)を備えてある苗移植機において、圃場の地表面に対する接触により発生する歪、衝撃が検出できる圧電セラミックスプレート(15)からなる接触検出センサ(3)を苗植付部(2)の適所に配置して設け、該接地検出センサ(3)は、この接地面が地表面に沿うように対設すると共に、地表面の変化検出結果に基づき苗植付部の植付姿勢を自動制御すべく構成してあることを特徴とする。
【0007】
接地検出センサ(3)は、機体の進行に伴い接地した状態で地表面に沿って追従移動し、地表面の変化を逐次検出する。かかる圧電セラミックス(15)使用の接地検出センサによる場合は、地表面の凹凸変化や、硬軟度が検出され、土面が軟らかくても、センサ接地面で土が擦れることによって信号が得られ、出力信号は摩擦力が大きいほど、また、土面が硬いほど大きく表れる。
【0008】
そして、このような接地検出センサからの検出値に基づき、苗植付部の植付姿勢を自動制御することができる。例えば、センサ検出値に基づき、苗植付部を昇降制御し、植付部の対地高さを設定高さに維持するよう自動制御することができる。
【0009】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記接地検出センサ(3)によって圃場の硬軟度を検出し、この硬軟度合に応じて整地ロータ(4)の回転速度を制御すべく構成してあることを特長とする。
【0010】
接地検出センサ(3)によって検出される表土面の硬軟度が「硬い」と判断された場合には、整地ロータ(4)の回転速度を高速側に変速し、「軟らかい」と判断された場合には低速側に変速する。
【0011】
従って、圃場の硬軟度に関係なく整地作業が良好に行え、均平に仕上げることできる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、接地検出センサは、圧電セラミックスを利用することで、圃場面に対する接地抵抗によって表土面の変化を緻密に的確に検出することができ、従来のような角速度センサに比べて安価に実施できるばかりでなく、シンプルな制御が可能となり、応答性も良く、苗植付部の姿勢制御を正確に行うことができる。また、かかる接地検出手段によれば、整地フロート無しでも植付部の安定した姿勢制御が可能となる。
【0013】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、接地検出センサによって圃場の硬軟度を検出し、土面の硬さ度合いに応じて整地ロータの回転速度を制御するので、整地性を高めることができ、整地フロートが無くても植付作業を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】田植機の側面図
【図2】田植機の平面図
【図3】整地ロータを駆動する伝動装置部の側面図
【図4】ロータ変速部の変速機構図
【図5】接地検出センサの側面図
【図6】同上平面図
【図7】同上背面図
【図8】苗植付部の要部の背面図
【図9】センサ電圧と制御量の関係を示す図表
【図10】センサ電圧とロータ回転数の関係を示す図表
【図11】油圧回路図
【図12】苗植付部の要部の側面図
【図13】苗植付部の要部の側面図
【図14】整地フロートの平面図
【図15】整地フロート(別例)の平面図
【図16】水田防波装置の背面図
【図17】防波用樹脂シートの平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、苗移植機の一例として4条植えの苗植付部を装備した乗用型田植機を示すものであり、この走行車体1の略中央に駆動源であるエンジン22を搭載し、このエンジン22の回転動力を油圧式無断変速装置41を介してミッションケ−ス42内の変速伝動装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪23及び後輪24とに伝えるようにしている。また、エンジン回転動力は、ミッションケース内の差動ギヤ機構を介して左右両側の後輪伝動ケース6にわたって連結する連動軸43、苗植付部への入力軸26、施肥装置38へのPTO軸44等を伝動するようになっている。
【0016】
エンジン22の上部はエンジンカバーで覆われており、その上方に運転席21が設置され、運転席21の前方には、前輪23,23を操舵するステアリングハンドル20が装備されている。また、運転席21の後方側には施肥装置38が設置され、肥料を施肥ホース39を介して植付条近傍に施肥するための施肥溝切器40位置に繰出し流下させるようにしている。37はフロア36前端の左右外側部に設置した予備苗載せ台である。
【0017】
更に、走行車体1の後部には苗植付部2が昇降リンク機構25を介して装着され、この苗植付部2と車体1との間には苗植付部2を上下に昇降する油圧昇降シリンダ32が装備されている。
【0018】
苗植付部2は、車体側のPTO軸から連動される入力軸26を有して、内部にはこの入力軸26によって連動されて苗タンク27、苗繰出ベルト28及び苗植付爪29等を連動する伝動機構を内装した苗植付伝動ケース30を構成し、この苗植付伝動ケース30を主体として、その上側にはマット状苗を載せて後側下部へ繰出す苗タンク27を左右方向へ往復移動可能に支持し、後側には楕円形状の植付軌跡線Dに沿って昇降回転し、苗タンクの苗取出口部31から分離保持する苗を圃場面に植え付ける苗植付爪29を設けた構成としている。また、苗植付部2は、昇降リンク機構25に対する装着の前後方向に沿うローリング軸の周りに左右傾斜回動可能に設けて、ローリング制御可能に設けている。
【0019】
苗植付部2の前側には、圃場面を代掻きしながら整地する整地ロータ4を配設している。整地ロータ4は、前側に位置するセンタロータ部と、後側両サイドに位置するサイドロータ部とからなるように各別に配置されている。整地ロータ4を回転可能にロータ軸33で軸装したロータフレーム34が、前記苗植付伝動ケース30に設けられた苗植付フレーム35に対して上下調節可能に設けられて、整地ロータ位置を上下調節、乃至上下制御可能に構成する。
【0020】
後輪伝動ケース6から変速部10を介して後側下方へ向けて出力軸7を突出させ、この出力軸からスプライン連動軸12を介してロータ伝動ケース8の入力軸9へ連動するように連結している。そして、サイドロータ軸33からチエンケース45内のチエン47を介してセンタロータ軸33を駆動するように連動構成している。また、整地ロータ4のロータカバー48を設け、ロータフレーム34、スプリング49等を介して吊持させている。
【0021】
前記整地ロータ4の変速部10は、前記出力軸7に連動する変速軸11と、変速軸に軸着された高速側ギヤGH及び低速側ギヤGLと、高速側と低速側とに切り替えシフトする切替シフト機構13と、この切替シフト機構を切替制御する変速モータ14等を備えた構成としている。
【0022】
接地検出センサ3は、圃場の地表面に対する接触により発生する歪、衝撃などが検出可能な圧電セラミックスプレート(圧電セラミックスセンサ)15と、これを保持するハウジング16と、圧電セラミックスプレートの両サイドを防護するガードプレート17とからなるように構成され、苗植付部2の適所に設置されると共に、圧電セラミックスプレート15の接地面が圃場の地表面に沿うよう平行状に対設されている。
【0023】
圧電セラミックスによるセンサ自体は、息を吹きかけただけでも反応する程、高感度の出力信号が得られる。勿論、地表面の凹凸変化や、硬軟度も検出することができ、土面が軟らかくても、センサ接地面で土が擦れることによって信号が得られ、出力信号は摩擦力が大きいほど、また、土面が硬いほど波形が大きく表れる。
【0024】
このように、接地検出センサを圃場面に接地させた状態で、機体の進行に伴い地表面に沿って追従移動させれば、接地検出センサは地表面の変化を的確に検出する。そして、その接地検出センサからの検出信号を制御部に入力し、その処理結果に基づき、苗植付部の姿勢を制御する、例えば、油圧昇降シリンダ32の油圧バルブに出力信号を出力するように構成することで、苗植付部を昇降制御し、地表面に対する苗植付深さを一定に維持するよう制御することができる。
【0025】
また、図8に示すように、圃場の地表面を検出する接地検出センサを少なくとも植付部の左右に配置して設け、左右センサ3,3の接地状態によって植付部の水平制御を行うことができる。従来の水平制御は、略水平に整地されている土面を検出していないために、機体の傾き等の情報に基づき、水平制御を行っており、制御が複雑で、制御の応答遅れ等の問題があった。本例による場合は、略水平な地表面に基づいて制御を行うため、シンプルな制御が可能となり、従来の角速度センサ等の高価なセンサを必要とせず、低コスト化が図れる。また、この水平制御において、図9の図表で示すように、接地力(歪)に応じて水平制御における制御量を変更する構成としておくことで、接地圧状態に応じて制御量を調整できるため、応答性の良い水平制御を行うことができる。
【0026】
圧電セラミックスセンサは、地表面の硬軟度が検出できるため、圃場面の硬軟度に応じて整地ロータ4の回転数制御を行うことができる。つまり、接地検出センサ3によって整地ロータ4直前の圃場面硬度を検出し、土面が硬い場合には、その検出結果を制御部に入力し、そして、その処理結果に基づき、ロータ変速部10の変速モータ14を駆動すべく出力信号を出力する。これにより、変速モータ14によって変速部が高速側に切り替えられ、整地ロータは高速回転する。また、逆に土面が軟らかい場合には、変速モータ14によってロータ多変速部が低速側に切り替えられ、整地ロータは低速回転に切替制御されることになる。なお、図10はセンサ電圧(硬度)とロータ回転数の関係を示すものであるが、硬度が硬い程、ロータ回転速度を漸次上げにし、硬度が軟らかい程、ロータ回転速度を漸次下げにする無段階変速手段を採用するものであってもよい。
【0027】
また、接地センサ信号を車速と連動させて、圃場硬度を補正するように構成することができる。車速が上がれば検出される圃場硬度は硬めとなるが、車速と連動させることで、検出誤差を無くすことができ、安定した均平性を維持することができる。
【0028】
次に、別実施例の田植機について説明する。
枕地旋回時にクラッチとブレーキを操作して旋回する田植機において、クラッチ・ブレーキシリンダ51への油圧源をHST(油圧式無段変速装置)41におけるHSTポンプ52とHSTモータ53を有するHST回路の前進側走行圧とすることで、他のアクチュエータが作動する度に変動していた油圧源の変動がなくなり、HSTの駆動力に準じた油圧源となり滑らかな制御が可能となる。また、減圧弁54のスプリング力を調整式とし、二次圧力を3段階(P1,P2,P2)に調整可能とし(図11参照)、ブレーキ力を調整することで、程よい旋回感度が得られ、制御がスムースに行える。
【0029】
図12〜図14に示す田植機において、枕地等荒れた圃場での整地手段として、整地ロータの代わりに1枚の幅の広い整地フロート56(図14)を備える。整地フロート56後端部の後方にはサイドフレーム57より下方にガード部材58を設け、且つ、ガード部材58の底面が植付深さ最深時のフロート56底面よりH1だけ高く(図12)なるように構成する。
【0030】
1枚のフロートでは感知フロートとしての機能を持たせるため、フロート後端が短く、この為、従来サイドフロートの後端が担っていた苗植付爪及びサイドフレームの保護ができない。本例による場合は、上記構成により枕地等の植付時において苗植付爪やサイドフレームを保護することができる。
【0031】
また、図13に示すように、整地フロート56後端部より後方にガードフロート59を突出させて設け、フロート56底面からガードフロート59底面までの高さH2をフロート感度最鈍感での感知時にガードフロート先端(後端)が地面に接する寸法以上に設ける。これにより、苗植付爪の保護はもとより、フロート感知性能に悪影響を及ぼさず、整地性向上を図ることができる。
【0032】
図15に示す実施例は、上記のように、1枚の幅の広い整地フロート56を備えた田植機において、3つに分割されたフロート56L,56C,56Rを連結部材60で連結すると共に、それぞれのフロート間には適宜幅の隙間Sを設けた構成としている。これにより、それぞれの隙間から泥や水が流れることによって泥押しや波たちが防止できる。
【0033】
また、上記隙間Sにレーキ61を設けることによってフロート間を流入する泥土を均すことができて整地性が向上する。
図16及び図17は、植付作業時に発生する水波を防止する防波装置を示すもので、後輪24ケースを支えるリヤフレーム角柱部62の下部に防波機能をもたらす樹脂シート63を設ける。この樹脂シート63の左右端には圃場の水を左右端に流す水路64を設けている。また、樹脂シート63は、長穴65を介して上下動可能に構成してあり、水車マーカに連動して該樹脂シートのマーカ側が上方に上り、圃場の水がマーカ側に流れるように連動構成している。
【符号の説明】
【0034】
2 苗植付部
3 接地検出センサ
4 整地ロータ
10 ロータ変速部
15 圧電セラミックスプレート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗植付部(2)の前側に地表面を整地する整地ロータ(4)を備えてある苗移植機において、圃場の地表面に対する接触により発生する歪、衝撃が検出できる圧電セラミックスプレート(15)からなる接触検出センサ(3)を苗植付部(2)の適所に配置して設け、該接地検出センサ(3)は、この接地面が地表面に沿うように対設すると共に、地表面の変化検出結果に基づき苗植付部の植付姿勢を自動制御すべく構成してあることを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記接地検出センサ(3)によって圃場の硬軟度を検出し、この硬軟度合に応じて整地ロータ(4)の回転速度を制御すべく構成してあることを特長とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項1】
苗植付部(2)の前側に地表面を整地する整地ロータ(4)を備えてある苗移植機において、圃場の地表面に対する接触により発生する歪、衝撃が検出できる圧電セラミックスプレート(15)からなる接触検出センサ(3)を苗植付部(2)の適所に配置して設け、該接地検出センサ(3)は、この接地面が地表面に沿うように対設すると共に、地表面の変化検出結果に基づき苗植付部の植付姿勢を自動制御すべく構成してあることを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記接地検出センサ(3)によって圃場の硬軟度を検出し、この硬軟度合に応じて整地ロータ(4)の回転速度を制御すべく構成してあることを特長とする請求項1記載の苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−147418(P2011−147418A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13325(P2010−13325)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]