茶の製造方法
【課題】 茶本来の風味を保持し、且つ、カビ臭さをなくして飲みやすい茶を製造することが可能な茶の製造方法を提供することにある。
【解決手段】 麹菌と水を茶に混ぜ茶混合物を得る加水菌付け工程と、上記茶混合物を発酵させて発酵茶葉を得る発酵工程と、上記発酵茶葉を攪拌し再度水を混ぜ加水調整発酵茶葉を得る加水調整工程と、上記加水調整発酵茶葉を発酵させて追加発酵茶葉を得る追加発酵工程と、上記追加発酵茶葉を攪拌し乾燥を行う最終乾燥工程と、からなり、上記発酵工程及び追加発酵工程においては、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を設置した室内の温度を20℃以上とし、且つ、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることを特徴とする茶の製造方法。
【解決手段】 麹菌と水を茶に混ぜ茶混合物を得る加水菌付け工程と、上記茶混合物を発酵させて発酵茶葉を得る発酵工程と、上記発酵茶葉を攪拌し再度水を混ぜ加水調整発酵茶葉を得る加水調整工程と、上記加水調整発酵茶葉を発酵させて追加発酵茶葉を得る追加発酵工程と、上記追加発酵茶葉を攪拌し乾燥を行う最終乾燥工程と、からなり、上記発酵工程及び追加発酵工程においては、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を設置した室内の温度を20℃以上とし、且つ、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることを特徴とする茶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば、プーアール茶等の発酵茶を製造するための茶の製造方法に係り、特に、カビ臭さや渋みが少なく、癖のない、すっきりとして飲み易い発酵茶を製造することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プーアール茶等の発酵茶の製造は、例えば、特許文献1に開示されているような方法によって行われていた。以下、その製造方法を説明する。
【0003】
収穫した茶葉に対して、標準的な製茶法に従って、蒸熱、粗揉、揉捻、中揉の処理を行う。その後、上記処理を行った茶葉に、Aspergillus(以下、Aと省略).niger、A.crbonarius、A.phoenicis、A.heteromorphus、A.bombycis等の菌を混ぜ、約15〜40℃の温度で、通常1〜60日間、好適には3〜15日の間、発酵させる。
【0004】
又、この種の発酵茶の製造方法を開示するものとして、上記特許文献1以外に、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−263831号公報
【特許文献2】特開2008−11795号公報
【特許文献3】特開2003−265108号公報
【特許文献4】特開2002−95413号公報
【特許文献5】特開2009−28010号公報
【特許文献6】特開2005−333929号公報
【特許文献7】特開2008−212136号公報
【特許文献8】特開2007−43907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来の構成によると次のような問題があった。
まず、上記特許文献1〜特許文献8に記載された発明によるプーアール茶の製造方法の場合には、何れもカビ臭さを抑制するとともに渋みを軽減させて飲み易いプーアール茶を製造することを目的としているが、そこに開示されている製造方法によっても、カビ臭さ及び渋みの除去は不十分であった。
又、別の問題として、カビ臭さを除去することはできても茶本来の風味が損なわれてしまうという問題もあった。例えば、特許文献2に記載された発明によるプーアール茶の製造方法の場合には、その発酵過程において酸化還元酵素を使用するように構成されており、又、特許文献3、特許文献4に記載された発明によるプーアール茶の製造方法の場合には、殺菌した茶葉に柚子を加えており、それらが原因して茶本来の風味が損なわれてしまうことになる。
【0007】
本願発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、茶本来の風味を保持し、且つ、カビ臭さ及び渋みを軽減させて飲みやすい茶を製造することが可能な茶の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1記載の発明による茶の製造方法は、麹菌と水を茶に混ぜ茶混合物を得る加水菌付け工程と、上記茶混合物を発酵させて発酵茶葉を得る発酵工程と、上記発酵茶葉を攪拌し再度水を混ぜ加水調整発酵茶葉を得る加水調整工程と、上記加水調整発酵茶葉を発酵させて追加発酵茶葉を得る追加発酵工程と、上記追加発酵茶葉を攪拌し乾燥を行う最終乾燥工程と、からなり、上記発酵工程及び追加発酵工程においては、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を設置した室内の温度を20℃以上とし、且つ、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることを特徴とするものである。
又、請求項2による茶の製造方法は、請求項1記載の茶の製造方法において、上記加水菌付け工程において、上記茶混合物における含水率を30〜40重量%とすることを特徴とするものである。
又、請求項3による茶の製造方法は、請求項1又は請求項2記載の茶の製造方法において、上記茶は緑茶であることを特徴とするものである。
又、請求項4による茶の製造方法は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、上記麹菌は黒麹菌であることを特徴とするものである。
又、請求項5による茶の製造方法は、請求項4記載の茶の製造方法において、上記黒麹菌はAspergillus.awamoriであることを特徴とするものである。
又、請求項6による茶の製造方法は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、上記麹菌は黄麹菌であることを特徴とするものである。
又、請求項7による茶の製造方法は、請求項6記載の茶の製造方法において、上記黄麹菌はAspergillus.sojaeであることを特徴とするものである。
又、請求項8による茶の製造方法は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は通気性の高い袋に袋詰めした上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を複数袋積み上げて発酵を行なわせることを特徴とするものである。
又、請求項9による茶の製造方法は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は、一日以上経っても上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉の温度が発酵によって上昇しない場合はビニールシートで上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を覆うことを特徴とするものである。
又、請求項10による茶の製造方法は、請求項1〜請求項9の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は期間が略一週間であることを特徴とするものである。
又、請求項11による茶の製造方法は、請求項1〜請求項10の何れかに記載の茶の製造方法において、上記加水調整工程と上記追加発酵工程を複数回繰り返すことを特徴とするものである。
又、請求項12による茶の製造方法は、請求項1〜請求項11の何れかに記載の茶の製造方法において、上記加水調整工程と上記追加発酵工程を2回繰り返し、一回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を25〜35重量%とし、二回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を20〜30重量%としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本願発明の請求項1記載の発明による茶の製造方法によると、麹菌と水を茶に混ぜ茶混合物を得る加水菌付け工程と、上記茶混合物を発酵させて発酵茶葉を得る発酵工程と、上記発酵茶葉を攪拌し再度水を混ぜ加水調整発酵茶葉を得る加水調整工程と、上記加水調整発酵茶葉を発酵させて追加発酵茶葉を得る追加発酵工程と、上記追加発酵茶葉を攪拌し乾燥を行う最終乾燥工程と、からなり、上記発酵工程及び追加発酵工程においては、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を設置した室内の温度を20℃以上とし、且つ、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させるため、麹菌による発酵を盛んにし、且つ、雑菌の活動を抑えるとともに、雑菌の数を減少させることができるため、カビ臭さ等がない飲みやすい茶を製造することができる。また、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることによって、発酵茶葉や追加発酵茶葉に含まれるポリフェノールが重合して重合ポリフェノールとなり、渋みが抑えられた飲み易い茶を得ることができる。
又、請求項2による茶の製造方法は、請求項1記載の茶の製造方法において、上記加水菌付け工程において、上記茶混合物における含水率を30〜40重量%とするため、上記麹菌による発酵を盛んに行わせることで、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることができ、上記効果をより確実なものをすることができる。
又、請求項3による茶の製造方法は、請求項1又は請求項2記載の茶の製造方法において、上記茶は緑茶であるので、プーアール茶の製造に有効であり、渋みが適度で飲みやすいプーアール茶を製造することができる。
又、請求項4記載の発明による茶の製造方法は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、上記麹菌は黒麹菌であるので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項5による茶の製造方法は、請求項4記載の茶の製造方法において、上記黒麹菌はAspergillus.awamoriであるので、麹菌としてクエン酸生成能力が高く、製造工程において雑菌の繁殖を抑えることができ、飲みやすい茶を製造することができる。
又、請求項6による茶の製造方法は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、上記麹菌は黄麹菌であるので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項7による茶の製造方法は、請求項6記載の茶の製造方法において、上記黄麹菌はAspergillus.sojaeであるので、麹菌としてクエン酸生成能力が高く、製造工程において雑菌の繁殖を抑えることができ、飲みやすい茶を製造することができる。
又、請求項8による茶の製造方法は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は通気性の高い袋に袋詰めした上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を複数袋積み上げて発酵を行うので、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉内部の温度が上昇しやすく、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項9による茶の製造方法は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は、一日以上経っても上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉の温度が発酵によって上昇しない場合はビニールシートで上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を覆うので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項10による茶の製造方法は、請求項1〜請求項9の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は期間が略一週間であるので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項11による茶の製造方法は、請求項1〜請求項10の何れかに記載の茶の製造方法において、上記加水調整工程と上記追加発酵工程を複数回繰り返すので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項12による茶の製造方法は、請求項1〜請求項11の何れかに記載の茶の製造方法において、上記加水調整工程と上記追加発酵工程を2回繰り返し、一回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を25〜35重量%とし、二回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を20〜30重量%としたので、上記効果をより確実なものとすることができる。特に、このような含水量とすることで、発酵に関与する麹菌の活動が活発になり、発酵により上記加水調整発酵茶葉内部の温度を50℃〜70℃に上昇させることができ、前述のカビ臭さや渋みの少ない茶を製造することができるという効果を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明の一実施の形態を示す図で、乾燥させた緑茶に麹菌を混合する加水菌付け工程を示す図である。
【図2】本願発明の一実施の形態を示す図で、袋詰めした緑茶混合物又は加水調整発酵茶葉を積み上げて発酵させる発酵工程を示す図である。
【図3】本願発明の一実施の形態を示す図で、発酵茶葉又は追加発酵茶葉に水を加えて攪拌する一次加水調整工程を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す図で、一次追加発酵工程を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示す図で、二次加水調整工程を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す図で、二次追加発酵工程を示す図である。
【図7】本願発明の一実施の形態を示す図で、茶葉の最終乾燥工程を示した図である。
【図8】本願発明の一実施の形態における第1の実施例における原料である「マラウィ緑茶S」100gのあたりのカテキン、総カテキン及び重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わした図である。
【図9】本願発明の一実施の形態における第1の実施例によって製造されたプーアール茶100gのあたりのカテキン、総カテキン及び重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わした図である。
【図10】本願発明の一実施の形態における第2の実施例における原料である「マラウィ緑茶M」100gのあたりのカテキン、総カテキン及び重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わした図である。
【図11】本願発明の一実施の形態における第2の実施例によって製造されたプーアール茶100gのあたりのカテキン、総カテキン、及び、重合カテキンの量を表わした図である。
【図12】本願発明の一実施の形態における第3の実施例における原料である「マラウィ緑茶M」100gのあたりの総ポリフェノール及び没食子酸の量を表わした表である。
【図13】本願発明の一実施の形態における第3の実施例によって製造されたプーアール茶100gのあたりの総ポリフェノール及び没食子酸の量を表わした図である。
【図14】本願発明の一実施の形態における第4の実施例における原料である「マラウィ緑茶M2」における没食子酸、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートの重量%を表わした図である。
【図15】本願発明の一実施の形態における第4の実施例によって製造されたプーアール茶における没食子酸、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートの重量%を表わした図である。
【図16】本願発明の一実施の形態における第5の実施例において、「マラウイ緑茶」を原料として、本願発明による茶の製造方法で製造されたプーアール茶の抽出液を示す写真であり、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【図17】本願発明の一実施の形態における第5の実施例によるプーアール茶について行った官能試験の結果を表す図である。
【図18】本願発明の一実施の形態における第6の実施例において、「静岡産緑茶」を原料として、本願発明による茶の製造方法で製造されたプーアール茶の抽出液を示す写真であり、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【図19】本願発明の一実施の形態における第6の実施例における発酵工程、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程での、緑茶混合物、一次加水調整発酵茶葉、及び、二次加水調整発酵茶葉内部の温度変化を示すグラフであり、横軸を発酵開始からの日数、縦軸を緑茶混合物、一次加水調整発酵茶葉、及び、二次加水調整発酵茶葉内部の温度とし、温度の時間変化を示しているものである。
【図20】本願発明の一実施の形態における第5の実施例及び第6の実施例において、本願発明による茶の製造方法によって製造されたプーアール茶の抽出液との比較対象として、従来技術による方法により製造したプーアール茶の抽出液を示す写真であり、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1から図19を参照して、本願発明の一実施の形態を説明する。この実施の形態は、本願発明をプーアール茶の製造方法に適用した例を示すものである。
【0012】
まず、プーアール茶の原材料である緑茶を得る工程から説明する。これは通常の緑茶を得る工程と同様の製造工程を経るように構成されている。はじめに、摘み取られた茶葉(生葉)を蒸気又は釜炒りにより処理し、茶葉の酸化酵素を失活させる殺青工程を行う。その後、処理された茶葉を揉捻し、適宜カットした後、含水率が5%程度となるように乾燥させ、乾燥茶葉1(図1に示す)を得る。
【0013】
次に、本実施の形態特有のプーアール茶の製造工程について説明する。
【0014】
図1に示すように、上記乾燥茶葉1に適量の水と麹菌を加えて攪拌する「加水菌付け工程」を行う。
まず、例えば、水5リットル〜10リットルに対して菌0.5g〜1.0gを混ぜて調整することにより菌液3を得る。次に、ビニールシート5の上に上記乾燥茶葉1を並べ、じょうろ7を使って上記菌液3を上記乾燥茶葉1に撒く。そして、上記乾燥茶葉1と上記菌液3を上記ビニールシート5の上で手作業によって攪拌する。このようにして、上記乾燥茶葉1に水と麹菌を加えた緑茶混合物9(図2に示す)を得る。
【0015】
上記緑茶混合物9の含水率は、30〜40重量%、好ましくは略35重量%程度となるようにする。そのためには、例えば、約5リットルの上記菌液3を約10kgの上記乾燥茶葉1に混ぜるとよい。
本実施の形態においては、使用する麹菌は黒麹菌のA.awamoriであるが、これに限らず、同じく黒麹菌であるA.tubingensis、A.luchuensis、A.saitoi等や、黄麹菌であるA.oryzaeやA.sojae、A.oryzaeの白色変異株である白麹菌等、様々な種類の麹菌を使用することが考えられる。特に、黒麹菌(A.awamori)と黄麹菌(A.sojae)については、株式会社 樋口松之助商店製のものが有効である。
又、複数種の麹菌を混合して使用することも考えられる。
【0016】
次に、図2に示すように、上記緑茶混合物9を、例えば、略30kg毎に袋11に詰める。本実施の形態においては、該袋11として通気性がよいPP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)クロス袋を使用する。
次に、図2に示すように、上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11を3袋以上積み上げて、室内で上記緑茶混合物9を発酵させる「発酵工程」を行う。この「発酵工程」は温度が20℃以上の室内にて行われる。また、この「発酵工程」において、上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11は、直射日光や風があたらないように室内に設置されるが、その際、上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11は、室内であってできるだけ空気の流れのない場所に置かれることが好ましい。具体的には、主に室内の隅に設置される。また、上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11はできるだけ互いに接するように、且つ、壁からは若干隙間をあけた状態で設置される。また、前述のように3袋以上積み上げられた上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11のうち一番下のものは、床や地面に直接接しないように、すのこ等の上に設置される。
また、発酵期間を通して袋詰めされた上記緑茶混合物9内部の温度が約20〜約70℃の間で変化するようにする。
また、発酵工程は、例えば、一週間程度継続して行なわれる。その際、発酵開始から略3日目には、上記緑茶混合物9内部の温度は50℃〜70℃に達する。その後50℃〜70℃の状態が略3日程度継続されることになる。上記緑茶混合物9内部の温度変化を詳細に説明すると、まず、発酵開始直後は略20℃であった温度が、略3日目に50℃を越える程度に上昇する。そして、この温度は、略4日目には65℃前後にまで上昇するが、その後徐々に低下していき、略6日目には50℃を下回る温度にまで下降していく。そして、略7日目には略30℃まで低下する。
このようにして、発酵茶葉13(図3に示す)を得る。
【0017】
尚、発酵工程の開始から一日以上経過しても、発酵が進まず上記袋11内部の緑茶混合物9の温度が上昇しないときは、上記緑茶混合物9が袋詰めされた上記袋11を図示しないビニールシートで覆い保温する。そして、袋詰めされた上記緑茶混合物9内部の温度が35℃程度になったら、上記ビニールシートを除去する。
また、上記緑茶混合物9内部の温度が70℃を超えた場合は、積み上げた上記袋11を平積みにしたり、通気のよい場所に袋11を設置したり、上記緑茶混合物9の攪拌を行ったりして、上記緑茶混合物9内部の温度を下げるようにする。これは、上記緑茶混合物9内部の温度が70℃を超える状態が長時間継続されると、麹菌の多くが死滅してしまい、その後の発酵が効率良く行われなくなるからである。
【0018】
次に、上記発酵茶葉13を上記袋11から取り出し、図3に示すように上記発酵茶葉13に水を加える「一次加水調整工程」を行う。この一次加水調整工程も上記加水菌付け工程と同様に、ビニールシート15の上に上記発酵茶葉13を並べ、じょうろ17によって水19を上記発酵茶葉13に加えながら、作業者21及び作業者23の手作業により上記発酵茶葉13と上記水19を攪拌することで行う。これにより一次加水調整発酵茶葉25(図4に示す)を得る。該一次加水調整発酵茶葉25の含水率が、25〜35重量%、好ましくは略30重量%程度となるように、上記発酵茶葉13に上記水19を加える。
なお、上記発酵茶葉13は、発酵による化学反応により発酵前の上記緑茶混合物9よりも重量が減少することとなる。例えば、30kgであった上記緑茶混合物9が発酵により20kg前後の上記発酵茶葉13となる。前述の一次加水調整工程は、例えば、この20kg前後の上記発酵茶葉13に水を加えることで約28kgの上記一次加水調整発酵茶葉25を得るようにするものである。
【0019】
次に、上記一次加水調整発酵茶葉25を再び発酵させるための「一次追加発酵工程」を行う。発酵を行う方法及び条件は、図4に示すように、既に説明した発酵工程と同様である。この一次追加発酵工程により、一次追加発酵茶葉27(図5に示す)を得る。
【0020】
次に、図5に示すように、上記一次追加発酵茶葉27に水を加えて、「二次加水調整工程」を行う。これにより二次加水調整発酵茶葉29(図6に示す)を得る。上記二次加水調整工程も前記一次加水調整工程と同様の方法で行うが、上記二次加水調整発酵茶葉の含水率が、20〜30重量%、好ましくは略25重量%程度となるように、上記一次追加発酵茶葉27に水を加える。
なお、上記一次追加発酵工程によっても、上記一次追加発酵茶葉27の重量が上記発酵茶葉13の重量よりも減少する。例えば、約28kgの上記発酵茶葉13が約20kg前後の上記一次追加発酵茶葉27となる。前述の二次加水調整工程は、例えば、約20kg前後の上記一次追加発酵茶葉27に水を加えて約26kgの上記二次加水調整発酵茶葉29を得るようにするものである。
【0021】
次に、上記二次加水調整発酵茶葉29を、図6に示すように、再び発酵させる「二次追加発酵工程」を行う。発酵を行う方法及び条件は、前記発酵工程と同様である。この二次追加発酵工程により、二次追加発酵茶葉31(図7に示す)を得る。
【0022】
次に、図7に示すように、上記二次追加発酵茶葉31を乾燥させる「最終乾燥工程」を行う。上記最終乾燥工程は、60〜70℃に加熱したアルミ製の乾燥台33上に上記二次追加発酵茶葉31を並べ、人35が手作業で上記二次追加発酵茶葉31を攪拌しながら、上記二次追加発酵茶葉31の含水率が5%以下になるまで行う。
【0023】
このような工程を経て、上記乾燥緑茶1からプーアール茶37を得る。
【0024】
本実施の形態では以下のような効果を奏する。
すなわち、プーアール茶本来の風味を失うことなく、カビ臭さや渋みが少なく、飲みやすいプーアール茶37を製造することができる。
又、優れた成分を含むプーアール茶37を製造することができる。
【0025】
本実施の形態の発酵工程、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程において、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度は、50℃〜70℃まで上昇する。そのため、雑菌(前述した菌液3に含まれる菌以外の菌)の活動が抑えられたり数が減少したりすることで、カビ臭さ等不快な臭いの基となる物質の発生が抑えられることとなる。
また、発酵工程前、一次追加発酵工程前、及び、二次追加発酵工程前に、緑茶混合物9、発酵茶葉13、及び、一次追加発酵茶葉27を攪拌するため、上記緑茶混合物9、上記発酵茶葉13、及び、上記一次追加発酵茶葉27の内部が、再び麹菌による発酵を行い易い環境となる。
【0026】
また、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度が50℃〜70℃まで上昇するため、ポリフェノールが重合して上記プーアール茶37中に重合ポリフェノールが増加し、渋みが抑えられる。
なお、上記発酵茶葉13や上記一次追加発酵茶葉27内の温度を50℃〜70℃に上昇させるうえで、発酵工程に使用する緑茶混合物9の含水率を30〜40重量%、好ましくは略35重量%程度とすること、一次追加発酵工程に使用する一次加水調整発酵茶葉25の含水率を25〜35重量%、好ましくは略30重量%程度とすること、二次追加発酵工程に使用する二次加水調整発酵茶葉の含水率を20〜30重量%、好ましくは略25重量%程度とすることが大きく寄与している。すなわち、含水率をこのように調整することにより、菌液3に含まれる菌による発酵が盛んに行われるようになり、発酵工程、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程において、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度が50℃〜70℃にまで上昇するようになるものである。
【0027】
以下、第1の実施例について、図8及び図9を参照して説明する。
上記乾燥茶葉1として「マラウィ緑茶S」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造方法を実施する。上記「マラウィ緑茶S」の成分およびスーパーオキシド消去能は、図8に示すような値となる。図8は「マラウィ緑茶S」100gのあたりのカテキン、総カテキン、重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わしたものである。
【0028】
本実施例によると、図9の表に示すような成分及びスーパーオキシド消去能を有するプーアール茶37が得られる。図9は本実施例によるプーアール茶100gのあたりのカテキン、総カテキン、重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わしたものである。このプーアール茶37と原料の「マラウィ緑茶S」を比較すると、カテキン、総カテキン、重合カテキンの量が大幅に減っている。すなわち、原料となる「マラウィ緑茶S」の味が有する「渋み」や「えぐみ」の原因であるカテキン類が大幅に減少しており、上記プーアール茶37は「マラウィ緑茶S」に比べ飲み易いものとなっている。
【0029】
以下、本実施の形態の第2の実施例について、図10及び図11を参照して説明する。
上記乾燥茶葉1として「マラウィ緑茶M」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造を行う。上記「マラウィ緑茶M」の成分およびスーパーオキシド消去能は、図10に示すような値となる。図10は、「マラウィ緑茶M」100gのあたりのカテキン、総カテキン、重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わしたものである。
【0030】
本実施例によると、図11の表に示すような成分を有するプーアール茶が得られる。図11の表は、「マラウィ緑茶M」100gのあたりのカテキン、総カテキン、及び、重合カテキンの量を表わした表である。このプーアール茶と原料の「マラウィ緑茶M」を比較すると、カテキン、総カテキン、重合カテキンの量が大幅に減っている。すなわち、原料となる「マラウィ緑茶M」の味が有する「渋み」や「えぐみ」の原因であるカテキン類が大幅に減少しており、上記プーアール茶は「マラウィ緑茶M」に比べ飲み易いものとなっている。
【0031】
以下、本実施の形態の第3の実施例について、図12及び図13を参照して説明する。
上記乾燥茶葉1として「マラウィ緑茶M」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造を行う。上記「マラウィ緑茶M」の成分は図12に示すような値となる。図12は、「マラウィ緑茶M」100gのあたりの総ポリフェノール及び没食子酸の量を表わした表である。
【0032】
本実施例によると、図13の表に示すような成分を有するプーアール茶37が得られる。図13は、本実施例によるプーアール茶100gのあたりの総ポリフェノール及び没食子酸の量を表わしたものである。このプーアール茶と原料の「マラウィ緑茶M」を比較すると、総ポリフェノールの量が減少すると共に没食子酸の量が増加している。すなわち、原料となる「マラウィ緑茶M」の味が有する「渋み」や「えぐみ」の原因であるポリフェノールが大幅に減少しており、抗酸化作用を有する没食子酸は大幅に増加している。よって、上記プーアール茶は「マラウィ緑茶M」に比べ飲み易く健康に良いものとなっている。
【0033】
以下、本実施の形態の第4の実施例について、図14及び図15を参照して説明する。
上記乾燥茶葉1として「マラウィ緑茶M2」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造を行う。上記「マラウィ緑茶M2」の成分は図14に示すような値となる。図14は、「マラウィ緑茶M2」における没食子酸、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートの重量%を表わした表である。
【0034】
本実施例によると、図15に示すような成分を有するプーアール茶が得られる。図15は、本実施例によるプーアール茶における没食子酸、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートの重量%を表わした表である。このプーアール茶と原料の「マラウィ緑茶M2」を比較すると、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートが大幅に減っている。特にお茶の味の「渋み」や「えぐみ」の成分として最も多く存在しているエピガロカテキンガレートは8.29%から0.05%へと大きく減少している。すなわち、原料となる「マラウィ緑茶M2」の味が有する「渋み」や「えぐみ」の原因であるカテキン類が大幅に減少している。よって、上記プーアール茶は「マラウィ緑茶M2」に比べ飲み易いものとなっている。
【0035】
以下、第5の実施例について、図16、図17、及び、図20を参照して説明する。
本実施例においては、上記乾燥茶葉1として「マラウイ緑茶」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造方法を実施する。
【0036】
本実施例により得られたプーアール茶37を2g用いて、約100℃の熱湯約200ccを用いて3分間抽出を行うと、図16の写真に示すような抽出液39が得られる。
図16の写真に示されるように、上記プーアール茶37及び上記抽出液39は、図20に示す「静岡産緑茶」を原料とし従来技術による方法で発酵を行ったプーアール茶100を約100℃の熱湯約200ccを用いて3分間抽出した抽出液101と比較すると、色が濃く、黒色化している。この黒色化は、上記プーアール茶37中のポリフェノールが重合して重合ポリフェノールが増加したことによるものである。
そのため、本実施例によるプーアール茶37の抽出液39は、渋みなどが押えられ、飲みやすいものとなる。
なお、図16に示される写真、及び、図20に示される写真は、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【0037】
本実施例によるプーアール茶37の抽出液39による官能試験の結果を、図17の表に示す。この官能試験は、イベント会場において、不特定多数の被験者に、本実施例によるプーアール茶37の抽出液39を試飲してもらい、その飲みやすさについての解答を得たものである。
この官能試験の結果では、被験者の約8割が、本実施例によるプーアール茶37の抽出液39は一般的なプーアール茶と比較してカビ臭さなどの不快な臭いがなく、飲みやすいと回答している。
【0038】
以下、第6の実施例について、図18〜図20を参照して説明する。
本実施例においては、上記乾燥茶葉1として「静岡産緑茶」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造方法を実施する。
なお、本実施例の発酵工程においては、緑茶混合物9を詰めた3個の袋11を積み重ねた7つの山を用意し、合計21個(3×7)の袋11を使用した。その際、上記7つの山が相互にできるだけ接する状態であって、且つ、できるだけ室の隅の壁側に位置するように設置した。
また、発酵工程は、発酵工程の初日の朝から開始させている。また、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程についても、同様に発酵を行っている。
【0039】
本実施例により得られたプーアール茶37を2g用いて、約100℃の熱湯約200ccを用いて3分間抽出を行うと、図18の写真に示すような抽出液41が得られる。
図18の写真に示されるように、上記プーアール茶37及び上記抽出液41は、図20に示す「静岡産緑茶」を原料とし従来技術による方法で発酵を行ったプーアール茶100を約100℃の熱湯約200ccを用いて3分間抽出した抽出液101と比較すると、前述した上記抽出液39程ではないものの、色が濃く、黒色化している。この黒色化も、前述の第5の実施例の場合と同様、上記プーアール茶37中のポリフェノールが重合して重合ポリフェノールが増加したことによるものである。
そのため、本実施例によるプーアール茶37の抽出液41も、渋みなどが押えられ、飲みやすいものとなる。
なお、図18に示される写真も、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【0040】
また、本実施例における、発酵工程、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程においては、図19のグラフに示すように、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度が変化する。
この図19のグラフに示された上記緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度変化を詳細に説明する。まず、発酵開始直後は略20℃であった温度が、略3日目に50℃を越える程度に上昇する。そして、この温度は、略4日目には65℃前後にまで上昇するが、略6日目には50℃を下回る温度にまで下降していく。その後徐々に低下していき、略7日目には略30℃程度まで低下する。
特に、発酵開始から略3日目〜略5日目にかけて上記緑茶混合物9、上記一次加水調整発酵茶葉25、及び、上記二次加水調整発酵茶葉29内部の温度が50℃〜70℃まで上昇する。そのため、雑菌(前述した菌液3に含まれる菌以外の菌)の活動が抑えられたり数が減少したりすることで、カビ臭さなど不快な臭いの基となる物質の発生が抑えられることとなる。
【0041】
なお、図19のグラフに示す温度の測定であるが、まず、測定時刻は各発酵工程における発酵期間のそれぞれの日の正午である。測定に用いた温度センサはデジタル温度計(カスタム株式会社製 TX−120)である。又、測定個所は任意の山の3個の袋11の内の二段目の袋の中心付近である。
【0042】
また、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度は50℃〜70℃まで上昇するため、ポリフェノールが重合して上記プーアール茶37中に重合ポリフェノールが増加し、それによって、渋みが抑えられる。
【0043】
尚、本願発明は前記一実施の形態に限定されない。
例えば、必要に応じて、加水調整工程と追加発酵工程を更に繰り返す場合も考えられる。
又、発酵工程の期間や温度等の諸条件も上記実施の形態に示されたものに限られない。
又、発酵時に使用する袋の素材も、通気性がよければ様々なものが考えられる。
又、使用する菌も前記のものに限られない。
又、前記一実施の形態の場合には、発酵茶として、プーアール茶を例に挙げて説明したが、その他の発酵茶、例えば、マテ茶、各種健康茶にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本願発明は、例えば、各種の発酵茶を製造するための茶の製造方法に係り、特に、カビ臭や渋みが少なく癖のない、すっきりとして飲み易い発酵茶を製造することができるように工夫したものに関し、例えば、プーアール茶の製造に好適である。
【符号の説明】
【0045】
1 乾燥茶葉
3 菌液
9 緑茶混合物
11 袋
13 発酵茶葉
19 水
25 一次加水調整発酵茶葉
27 一次追加発酵茶葉
29 二次加水調整発酵茶葉
31 二次追加発酵茶葉
33 乾燥台
37 プーアール茶
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば、プーアール茶等の発酵茶を製造するための茶の製造方法に係り、特に、カビ臭さや渋みが少なく、癖のない、すっきりとして飲み易い発酵茶を製造することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プーアール茶等の発酵茶の製造は、例えば、特許文献1に開示されているような方法によって行われていた。以下、その製造方法を説明する。
【0003】
収穫した茶葉に対して、標準的な製茶法に従って、蒸熱、粗揉、揉捻、中揉の処理を行う。その後、上記処理を行った茶葉に、Aspergillus(以下、Aと省略).niger、A.crbonarius、A.phoenicis、A.heteromorphus、A.bombycis等の菌を混ぜ、約15〜40℃の温度で、通常1〜60日間、好適には3〜15日の間、発酵させる。
【0004】
又、この種の発酵茶の製造方法を開示するものとして、上記特許文献1以外に、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−263831号公報
【特許文献2】特開2008−11795号公報
【特許文献3】特開2003−265108号公報
【特許文献4】特開2002−95413号公報
【特許文献5】特開2009−28010号公報
【特許文献6】特開2005−333929号公報
【特許文献7】特開2008−212136号公報
【特許文献8】特開2007−43907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来の構成によると次のような問題があった。
まず、上記特許文献1〜特許文献8に記載された発明によるプーアール茶の製造方法の場合には、何れもカビ臭さを抑制するとともに渋みを軽減させて飲み易いプーアール茶を製造することを目的としているが、そこに開示されている製造方法によっても、カビ臭さ及び渋みの除去は不十分であった。
又、別の問題として、カビ臭さを除去することはできても茶本来の風味が損なわれてしまうという問題もあった。例えば、特許文献2に記載された発明によるプーアール茶の製造方法の場合には、その発酵過程において酸化還元酵素を使用するように構成されており、又、特許文献3、特許文献4に記載された発明によるプーアール茶の製造方法の場合には、殺菌した茶葉に柚子を加えており、それらが原因して茶本来の風味が損なわれてしまうことになる。
【0007】
本願発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、茶本来の風味を保持し、且つ、カビ臭さ及び渋みを軽減させて飲みやすい茶を製造することが可能な茶の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1記載の発明による茶の製造方法は、麹菌と水を茶に混ぜ茶混合物を得る加水菌付け工程と、上記茶混合物を発酵させて発酵茶葉を得る発酵工程と、上記発酵茶葉を攪拌し再度水を混ぜ加水調整発酵茶葉を得る加水調整工程と、上記加水調整発酵茶葉を発酵させて追加発酵茶葉を得る追加発酵工程と、上記追加発酵茶葉を攪拌し乾燥を行う最終乾燥工程と、からなり、上記発酵工程及び追加発酵工程においては、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を設置した室内の温度を20℃以上とし、且つ、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることを特徴とするものである。
又、請求項2による茶の製造方法は、請求項1記載の茶の製造方法において、上記加水菌付け工程において、上記茶混合物における含水率を30〜40重量%とすることを特徴とするものである。
又、請求項3による茶の製造方法は、請求項1又は請求項2記載の茶の製造方法において、上記茶は緑茶であることを特徴とするものである。
又、請求項4による茶の製造方法は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、上記麹菌は黒麹菌であることを特徴とするものである。
又、請求項5による茶の製造方法は、請求項4記載の茶の製造方法において、上記黒麹菌はAspergillus.awamoriであることを特徴とするものである。
又、請求項6による茶の製造方法は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、上記麹菌は黄麹菌であることを特徴とするものである。
又、請求項7による茶の製造方法は、請求項6記載の茶の製造方法において、上記黄麹菌はAspergillus.sojaeであることを特徴とするものである。
又、請求項8による茶の製造方法は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は通気性の高い袋に袋詰めした上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を複数袋積み上げて発酵を行なわせることを特徴とするものである。
又、請求項9による茶の製造方法は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は、一日以上経っても上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉の温度が発酵によって上昇しない場合はビニールシートで上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を覆うことを特徴とするものである。
又、請求項10による茶の製造方法は、請求項1〜請求項9の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は期間が略一週間であることを特徴とするものである。
又、請求項11による茶の製造方法は、請求項1〜請求項10の何れかに記載の茶の製造方法において、上記加水調整工程と上記追加発酵工程を複数回繰り返すことを特徴とするものである。
又、請求項12による茶の製造方法は、請求項1〜請求項11の何れかに記載の茶の製造方法において、上記加水調整工程と上記追加発酵工程を2回繰り返し、一回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を25〜35重量%とし、二回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を20〜30重量%としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本願発明の請求項1記載の発明による茶の製造方法によると、麹菌と水を茶に混ぜ茶混合物を得る加水菌付け工程と、上記茶混合物を発酵させて発酵茶葉を得る発酵工程と、上記発酵茶葉を攪拌し再度水を混ぜ加水調整発酵茶葉を得る加水調整工程と、上記加水調整発酵茶葉を発酵させて追加発酵茶葉を得る追加発酵工程と、上記追加発酵茶葉を攪拌し乾燥を行う最終乾燥工程と、からなり、上記発酵工程及び追加発酵工程においては、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を設置した室内の温度を20℃以上とし、且つ、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させるため、麹菌による発酵を盛んにし、且つ、雑菌の活動を抑えるとともに、雑菌の数を減少させることができるため、カビ臭さ等がない飲みやすい茶を製造することができる。また、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることによって、発酵茶葉や追加発酵茶葉に含まれるポリフェノールが重合して重合ポリフェノールとなり、渋みが抑えられた飲み易い茶を得ることができる。
又、請求項2による茶の製造方法は、請求項1記載の茶の製造方法において、上記加水菌付け工程において、上記茶混合物における含水率を30〜40重量%とするため、上記麹菌による発酵を盛んに行わせることで、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることができ、上記効果をより確実なものをすることができる。
又、請求項3による茶の製造方法は、請求項1又は請求項2記載の茶の製造方法において、上記茶は緑茶であるので、プーアール茶の製造に有効であり、渋みが適度で飲みやすいプーアール茶を製造することができる。
又、請求項4記載の発明による茶の製造方法は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、上記麹菌は黒麹菌であるので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項5による茶の製造方法は、請求項4記載の茶の製造方法において、上記黒麹菌はAspergillus.awamoriであるので、麹菌としてクエン酸生成能力が高く、製造工程において雑菌の繁殖を抑えることができ、飲みやすい茶を製造することができる。
又、請求項6による茶の製造方法は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、上記麹菌は黄麹菌であるので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項7による茶の製造方法は、請求項6記載の茶の製造方法において、上記黄麹菌はAspergillus.sojaeであるので、麹菌としてクエン酸生成能力が高く、製造工程において雑菌の繁殖を抑えることができ、飲みやすい茶を製造することができる。
又、請求項8による茶の製造方法は、請求項1〜請求項7の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は通気性の高い袋に袋詰めした上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を複数袋積み上げて発酵を行うので、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉内部の温度が上昇しやすく、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項9による茶の製造方法は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は、一日以上経っても上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉の温度が発酵によって上昇しない場合はビニールシートで上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を覆うので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項10による茶の製造方法は、請求項1〜請求項9の何れかに記載の茶の製造方法において、上記発酵工程及び追加発酵工程は期間が略一週間であるので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項11による茶の製造方法は、請求項1〜請求項10の何れかに記載の茶の製造方法において、上記加水調整工程と上記追加発酵工程を複数回繰り返すので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項12による茶の製造方法は、請求項1〜請求項11の何れかに記載の茶の製造方法において、上記加水調整工程と上記追加発酵工程を2回繰り返し、一回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を25〜35重量%とし、二回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を20〜30重量%としたので、上記効果をより確実なものとすることができる。特に、このような含水量とすることで、発酵に関与する麹菌の活動が活発になり、発酵により上記加水調整発酵茶葉内部の温度を50℃〜70℃に上昇させることができ、前述のカビ臭さや渋みの少ない茶を製造することができるという効果を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明の一実施の形態を示す図で、乾燥させた緑茶に麹菌を混合する加水菌付け工程を示す図である。
【図2】本願発明の一実施の形態を示す図で、袋詰めした緑茶混合物又は加水調整発酵茶葉を積み上げて発酵させる発酵工程を示す図である。
【図3】本願発明の一実施の形態を示す図で、発酵茶葉又は追加発酵茶葉に水を加えて攪拌する一次加水調整工程を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す図で、一次追加発酵工程を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示す図で、二次加水調整工程を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す図で、二次追加発酵工程を示す図である。
【図7】本願発明の一実施の形態を示す図で、茶葉の最終乾燥工程を示した図である。
【図8】本願発明の一実施の形態における第1の実施例における原料である「マラウィ緑茶S」100gのあたりのカテキン、総カテキン及び重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わした図である。
【図9】本願発明の一実施の形態における第1の実施例によって製造されたプーアール茶100gのあたりのカテキン、総カテキン及び重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わした図である。
【図10】本願発明の一実施の形態における第2の実施例における原料である「マラウィ緑茶M」100gのあたりのカテキン、総カテキン及び重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わした図である。
【図11】本願発明の一実施の形態における第2の実施例によって製造されたプーアール茶100gのあたりのカテキン、総カテキン、及び、重合カテキンの量を表わした図である。
【図12】本願発明の一実施の形態における第3の実施例における原料である「マラウィ緑茶M」100gのあたりの総ポリフェノール及び没食子酸の量を表わした表である。
【図13】本願発明の一実施の形態における第3の実施例によって製造されたプーアール茶100gのあたりの総ポリフェノール及び没食子酸の量を表わした図である。
【図14】本願発明の一実施の形態における第4の実施例における原料である「マラウィ緑茶M2」における没食子酸、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートの重量%を表わした図である。
【図15】本願発明の一実施の形態における第4の実施例によって製造されたプーアール茶における没食子酸、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートの重量%を表わした図である。
【図16】本願発明の一実施の形態における第5の実施例において、「マラウイ緑茶」を原料として、本願発明による茶の製造方法で製造されたプーアール茶の抽出液を示す写真であり、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【図17】本願発明の一実施の形態における第5の実施例によるプーアール茶について行った官能試験の結果を表す図である。
【図18】本願発明の一実施の形態における第6の実施例において、「静岡産緑茶」を原料として、本願発明による茶の製造方法で製造されたプーアール茶の抽出液を示す写真であり、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【図19】本願発明の一実施の形態における第6の実施例における発酵工程、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程での、緑茶混合物、一次加水調整発酵茶葉、及び、二次加水調整発酵茶葉内部の温度変化を示すグラフであり、横軸を発酵開始からの日数、縦軸を緑茶混合物、一次加水調整発酵茶葉、及び、二次加水調整発酵茶葉内部の温度とし、温度の時間変化を示しているものである。
【図20】本願発明の一実施の形態における第5の実施例及び第6の実施例において、本願発明による茶の製造方法によって製造されたプーアール茶の抽出液との比較対象として、従来技術による方法により製造したプーアール茶の抽出液を示す写真であり、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1から図19を参照して、本願発明の一実施の形態を説明する。この実施の形態は、本願発明をプーアール茶の製造方法に適用した例を示すものである。
【0012】
まず、プーアール茶の原材料である緑茶を得る工程から説明する。これは通常の緑茶を得る工程と同様の製造工程を経るように構成されている。はじめに、摘み取られた茶葉(生葉)を蒸気又は釜炒りにより処理し、茶葉の酸化酵素を失活させる殺青工程を行う。その後、処理された茶葉を揉捻し、適宜カットした後、含水率が5%程度となるように乾燥させ、乾燥茶葉1(図1に示す)を得る。
【0013】
次に、本実施の形態特有のプーアール茶の製造工程について説明する。
【0014】
図1に示すように、上記乾燥茶葉1に適量の水と麹菌を加えて攪拌する「加水菌付け工程」を行う。
まず、例えば、水5リットル〜10リットルに対して菌0.5g〜1.0gを混ぜて調整することにより菌液3を得る。次に、ビニールシート5の上に上記乾燥茶葉1を並べ、じょうろ7を使って上記菌液3を上記乾燥茶葉1に撒く。そして、上記乾燥茶葉1と上記菌液3を上記ビニールシート5の上で手作業によって攪拌する。このようにして、上記乾燥茶葉1に水と麹菌を加えた緑茶混合物9(図2に示す)を得る。
【0015】
上記緑茶混合物9の含水率は、30〜40重量%、好ましくは略35重量%程度となるようにする。そのためには、例えば、約5リットルの上記菌液3を約10kgの上記乾燥茶葉1に混ぜるとよい。
本実施の形態においては、使用する麹菌は黒麹菌のA.awamoriであるが、これに限らず、同じく黒麹菌であるA.tubingensis、A.luchuensis、A.saitoi等や、黄麹菌であるA.oryzaeやA.sojae、A.oryzaeの白色変異株である白麹菌等、様々な種類の麹菌を使用することが考えられる。特に、黒麹菌(A.awamori)と黄麹菌(A.sojae)については、株式会社 樋口松之助商店製のものが有効である。
又、複数種の麹菌を混合して使用することも考えられる。
【0016】
次に、図2に示すように、上記緑茶混合物9を、例えば、略30kg毎に袋11に詰める。本実施の形態においては、該袋11として通気性がよいPP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)クロス袋を使用する。
次に、図2に示すように、上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11を3袋以上積み上げて、室内で上記緑茶混合物9を発酵させる「発酵工程」を行う。この「発酵工程」は温度が20℃以上の室内にて行われる。また、この「発酵工程」において、上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11は、直射日光や風があたらないように室内に設置されるが、その際、上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11は、室内であってできるだけ空気の流れのない場所に置かれることが好ましい。具体的には、主に室内の隅に設置される。また、上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11はできるだけ互いに接するように、且つ、壁からは若干隙間をあけた状態で設置される。また、前述のように3袋以上積み上げられた上記緑茶混合物9を詰めた上記袋11のうち一番下のものは、床や地面に直接接しないように、すのこ等の上に設置される。
また、発酵期間を通して袋詰めされた上記緑茶混合物9内部の温度が約20〜約70℃の間で変化するようにする。
また、発酵工程は、例えば、一週間程度継続して行なわれる。その際、発酵開始から略3日目には、上記緑茶混合物9内部の温度は50℃〜70℃に達する。その後50℃〜70℃の状態が略3日程度継続されることになる。上記緑茶混合物9内部の温度変化を詳細に説明すると、まず、発酵開始直後は略20℃であった温度が、略3日目に50℃を越える程度に上昇する。そして、この温度は、略4日目には65℃前後にまで上昇するが、その後徐々に低下していき、略6日目には50℃を下回る温度にまで下降していく。そして、略7日目には略30℃まで低下する。
このようにして、発酵茶葉13(図3に示す)を得る。
【0017】
尚、発酵工程の開始から一日以上経過しても、発酵が進まず上記袋11内部の緑茶混合物9の温度が上昇しないときは、上記緑茶混合物9が袋詰めされた上記袋11を図示しないビニールシートで覆い保温する。そして、袋詰めされた上記緑茶混合物9内部の温度が35℃程度になったら、上記ビニールシートを除去する。
また、上記緑茶混合物9内部の温度が70℃を超えた場合は、積み上げた上記袋11を平積みにしたり、通気のよい場所に袋11を設置したり、上記緑茶混合物9の攪拌を行ったりして、上記緑茶混合物9内部の温度を下げるようにする。これは、上記緑茶混合物9内部の温度が70℃を超える状態が長時間継続されると、麹菌の多くが死滅してしまい、その後の発酵が効率良く行われなくなるからである。
【0018】
次に、上記発酵茶葉13を上記袋11から取り出し、図3に示すように上記発酵茶葉13に水を加える「一次加水調整工程」を行う。この一次加水調整工程も上記加水菌付け工程と同様に、ビニールシート15の上に上記発酵茶葉13を並べ、じょうろ17によって水19を上記発酵茶葉13に加えながら、作業者21及び作業者23の手作業により上記発酵茶葉13と上記水19を攪拌することで行う。これにより一次加水調整発酵茶葉25(図4に示す)を得る。該一次加水調整発酵茶葉25の含水率が、25〜35重量%、好ましくは略30重量%程度となるように、上記発酵茶葉13に上記水19を加える。
なお、上記発酵茶葉13は、発酵による化学反応により発酵前の上記緑茶混合物9よりも重量が減少することとなる。例えば、30kgであった上記緑茶混合物9が発酵により20kg前後の上記発酵茶葉13となる。前述の一次加水調整工程は、例えば、この20kg前後の上記発酵茶葉13に水を加えることで約28kgの上記一次加水調整発酵茶葉25を得るようにするものである。
【0019】
次に、上記一次加水調整発酵茶葉25を再び発酵させるための「一次追加発酵工程」を行う。発酵を行う方法及び条件は、図4に示すように、既に説明した発酵工程と同様である。この一次追加発酵工程により、一次追加発酵茶葉27(図5に示す)を得る。
【0020】
次に、図5に示すように、上記一次追加発酵茶葉27に水を加えて、「二次加水調整工程」を行う。これにより二次加水調整発酵茶葉29(図6に示す)を得る。上記二次加水調整工程も前記一次加水調整工程と同様の方法で行うが、上記二次加水調整発酵茶葉の含水率が、20〜30重量%、好ましくは略25重量%程度となるように、上記一次追加発酵茶葉27に水を加える。
なお、上記一次追加発酵工程によっても、上記一次追加発酵茶葉27の重量が上記発酵茶葉13の重量よりも減少する。例えば、約28kgの上記発酵茶葉13が約20kg前後の上記一次追加発酵茶葉27となる。前述の二次加水調整工程は、例えば、約20kg前後の上記一次追加発酵茶葉27に水を加えて約26kgの上記二次加水調整発酵茶葉29を得るようにするものである。
【0021】
次に、上記二次加水調整発酵茶葉29を、図6に示すように、再び発酵させる「二次追加発酵工程」を行う。発酵を行う方法及び条件は、前記発酵工程と同様である。この二次追加発酵工程により、二次追加発酵茶葉31(図7に示す)を得る。
【0022】
次に、図7に示すように、上記二次追加発酵茶葉31を乾燥させる「最終乾燥工程」を行う。上記最終乾燥工程は、60〜70℃に加熱したアルミ製の乾燥台33上に上記二次追加発酵茶葉31を並べ、人35が手作業で上記二次追加発酵茶葉31を攪拌しながら、上記二次追加発酵茶葉31の含水率が5%以下になるまで行う。
【0023】
このような工程を経て、上記乾燥緑茶1からプーアール茶37を得る。
【0024】
本実施の形態では以下のような効果を奏する。
すなわち、プーアール茶本来の風味を失うことなく、カビ臭さや渋みが少なく、飲みやすいプーアール茶37を製造することができる。
又、優れた成分を含むプーアール茶37を製造することができる。
【0025】
本実施の形態の発酵工程、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程において、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度は、50℃〜70℃まで上昇する。そのため、雑菌(前述した菌液3に含まれる菌以外の菌)の活動が抑えられたり数が減少したりすることで、カビ臭さ等不快な臭いの基となる物質の発生が抑えられることとなる。
また、発酵工程前、一次追加発酵工程前、及び、二次追加発酵工程前に、緑茶混合物9、発酵茶葉13、及び、一次追加発酵茶葉27を攪拌するため、上記緑茶混合物9、上記発酵茶葉13、及び、上記一次追加発酵茶葉27の内部が、再び麹菌による発酵を行い易い環境となる。
【0026】
また、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度が50℃〜70℃まで上昇するため、ポリフェノールが重合して上記プーアール茶37中に重合ポリフェノールが増加し、渋みが抑えられる。
なお、上記発酵茶葉13や上記一次追加発酵茶葉27内の温度を50℃〜70℃に上昇させるうえで、発酵工程に使用する緑茶混合物9の含水率を30〜40重量%、好ましくは略35重量%程度とすること、一次追加発酵工程に使用する一次加水調整発酵茶葉25の含水率を25〜35重量%、好ましくは略30重量%程度とすること、二次追加発酵工程に使用する二次加水調整発酵茶葉の含水率を20〜30重量%、好ましくは略25重量%程度とすることが大きく寄与している。すなわち、含水率をこのように調整することにより、菌液3に含まれる菌による発酵が盛んに行われるようになり、発酵工程、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程において、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度が50℃〜70℃にまで上昇するようになるものである。
【0027】
以下、第1の実施例について、図8及び図9を参照して説明する。
上記乾燥茶葉1として「マラウィ緑茶S」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造方法を実施する。上記「マラウィ緑茶S」の成分およびスーパーオキシド消去能は、図8に示すような値となる。図8は「マラウィ緑茶S」100gのあたりのカテキン、総カテキン、重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わしたものである。
【0028】
本実施例によると、図9の表に示すような成分及びスーパーオキシド消去能を有するプーアール茶37が得られる。図9は本実施例によるプーアール茶100gのあたりのカテキン、総カテキン、重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わしたものである。このプーアール茶37と原料の「マラウィ緑茶S」を比較すると、カテキン、総カテキン、重合カテキンの量が大幅に減っている。すなわち、原料となる「マラウィ緑茶S」の味が有する「渋み」や「えぐみ」の原因であるカテキン類が大幅に減少しており、上記プーアール茶37は「マラウィ緑茶S」に比べ飲み易いものとなっている。
【0029】
以下、本実施の形態の第2の実施例について、図10及び図11を参照して説明する。
上記乾燥茶葉1として「マラウィ緑茶M」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造を行う。上記「マラウィ緑茶M」の成分およびスーパーオキシド消去能は、図10に示すような値となる。図10は、「マラウィ緑茶M」100gのあたりのカテキン、総カテキン、重合カテキンの量、及びスーパーオキシド消去能を表わしたものである。
【0030】
本実施例によると、図11の表に示すような成分を有するプーアール茶が得られる。図11の表は、「マラウィ緑茶M」100gのあたりのカテキン、総カテキン、及び、重合カテキンの量を表わした表である。このプーアール茶と原料の「マラウィ緑茶M」を比較すると、カテキン、総カテキン、重合カテキンの量が大幅に減っている。すなわち、原料となる「マラウィ緑茶M」の味が有する「渋み」や「えぐみ」の原因であるカテキン類が大幅に減少しており、上記プーアール茶は「マラウィ緑茶M」に比べ飲み易いものとなっている。
【0031】
以下、本実施の形態の第3の実施例について、図12及び図13を参照して説明する。
上記乾燥茶葉1として「マラウィ緑茶M」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造を行う。上記「マラウィ緑茶M」の成分は図12に示すような値となる。図12は、「マラウィ緑茶M」100gのあたりの総ポリフェノール及び没食子酸の量を表わした表である。
【0032】
本実施例によると、図13の表に示すような成分を有するプーアール茶37が得られる。図13は、本実施例によるプーアール茶100gのあたりの総ポリフェノール及び没食子酸の量を表わしたものである。このプーアール茶と原料の「マラウィ緑茶M」を比較すると、総ポリフェノールの量が減少すると共に没食子酸の量が増加している。すなわち、原料となる「マラウィ緑茶M」の味が有する「渋み」や「えぐみ」の原因であるポリフェノールが大幅に減少しており、抗酸化作用を有する没食子酸は大幅に増加している。よって、上記プーアール茶は「マラウィ緑茶M」に比べ飲み易く健康に良いものとなっている。
【0033】
以下、本実施の形態の第4の実施例について、図14及び図15を参照して説明する。
上記乾燥茶葉1として「マラウィ緑茶M2」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造を行う。上記「マラウィ緑茶M2」の成分は図14に示すような値となる。図14は、「マラウィ緑茶M2」における没食子酸、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートの重量%を表わした表である。
【0034】
本実施例によると、図15に示すような成分を有するプーアール茶が得られる。図15は、本実施例によるプーアール茶における没食子酸、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートの重量%を表わした表である。このプーアール茶と原料の「マラウィ緑茶M2」を比較すると、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、カテキン及びカテキンガレートが大幅に減っている。特にお茶の味の「渋み」や「えぐみ」の成分として最も多く存在しているエピガロカテキンガレートは8.29%から0.05%へと大きく減少している。すなわち、原料となる「マラウィ緑茶M2」の味が有する「渋み」や「えぐみ」の原因であるカテキン類が大幅に減少している。よって、上記プーアール茶は「マラウィ緑茶M2」に比べ飲み易いものとなっている。
【0035】
以下、第5の実施例について、図16、図17、及び、図20を参照して説明する。
本実施例においては、上記乾燥茶葉1として「マラウイ緑茶」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造方法を実施する。
【0036】
本実施例により得られたプーアール茶37を2g用いて、約100℃の熱湯約200ccを用いて3分間抽出を行うと、図16の写真に示すような抽出液39が得られる。
図16の写真に示されるように、上記プーアール茶37及び上記抽出液39は、図20に示す「静岡産緑茶」を原料とし従来技術による方法で発酵を行ったプーアール茶100を約100℃の熱湯約200ccを用いて3分間抽出した抽出液101と比較すると、色が濃く、黒色化している。この黒色化は、上記プーアール茶37中のポリフェノールが重合して重合ポリフェノールが増加したことによるものである。
そのため、本実施例によるプーアール茶37の抽出液39は、渋みなどが押えられ、飲みやすいものとなる。
なお、図16に示される写真、及び、図20に示される写真は、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【0037】
本実施例によるプーアール茶37の抽出液39による官能試験の結果を、図17の表に示す。この官能試験は、イベント会場において、不特定多数の被験者に、本実施例によるプーアール茶37の抽出液39を試飲してもらい、その飲みやすさについての解答を得たものである。
この官能試験の結果では、被験者の約8割が、本実施例によるプーアール茶37の抽出液39は一般的なプーアール茶と比較してカビ臭さなどの不快な臭いがなく、飲みやすいと回答している。
【0038】
以下、第6の実施例について、図18〜図20を参照して説明する。
本実施例においては、上記乾燥茶葉1として「静岡産緑茶」を使用し、前述したような本実施の形態におけるプーアール茶の製造方法を実施する。
なお、本実施例の発酵工程においては、緑茶混合物9を詰めた3個の袋11を積み重ねた7つの山を用意し、合計21個(3×7)の袋11を使用した。その際、上記7つの山が相互にできるだけ接する状態であって、且つ、できるだけ室の隅の壁側に位置するように設置した。
また、発酵工程は、発酵工程の初日の朝から開始させている。また、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程についても、同様に発酵を行っている。
【0039】
本実施例により得られたプーアール茶37を2g用いて、約100℃の熱湯約200ccを用いて3分間抽出を行うと、図18の写真に示すような抽出液41が得られる。
図18の写真に示されるように、上記プーアール茶37及び上記抽出液41は、図20に示す「静岡産緑茶」を原料とし従来技術による方法で発酵を行ったプーアール茶100を約100℃の熱湯約200ccを用いて3分間抽出した抽出液101と比較すると、前述した上記抽出液39程ではないものの、色が濃く、黒色化している。この黒色化も、前述の第5の実施例の場合と同様、上記プーアール茶37中のポリフェノールが重合して重合ポリフェノールが増加したことによるものである。
そのため、本実施例によるプーアール茶37の抽出液41も、渋みなどが押えられ、飲みやすいものとなる。
なお、図18に示される写真も、2011年3月17日に、出願人の事務所内において撮影されたものである。
【0040】
また、本実施例における、発酵工程、一次追加発酵工程、及び、二次追加発酵工程においては、図19のグラフに示すように、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度が変化する。
この図19のグラフに示された上記緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度変化を詳細に説明する。まず、発酵開始直後は略20℃であった温度が、略3日目に50℃を越える程度に上昇する。そして、この温度は、略4日目には65℃前後にまで上昇するが、略6日目には50℃を下回る温度にまで下降していく。その後徐々に低下していき、略7日目には略30℃程度まで低下する。
特に、発酵開始から略3日目〜略5日目にかけて上記緑茶混合物9、上記一次加水調整発酵茶葉25、及び、上記二次加水調整発酵茶葉29内部の温度が50℃〜70℃まで上昇する。そのため、雑菌(前述した菌液3に含まれる菌以外の菌)の活動が抑えられたり数が減少したりすることで、カビ臭さなど不快な臭いの基となる物質の発生が抑えられることとなる。
【0041】
なお、図19のグラフに示す温度の測定であるが、まず、測定時刻は各発酵工程における発酵期間のそれぞれの日の正午である。測定に用いた温度センサはデジタル温度計(カスタム株式会社製 TX−120)である。又、測定個所は任意の山の3個の袋11の内の二段目の袋の中心付近である。
【0042】
また、緑茶混合物9、一次加水調整発酵茶葉25、及び、二次加水調整発酵茶葉29内部の温度は50℃〜70℃まで上昇するため、ポリフェノールが重合して上記プーアール茶37中に重合ポリフェノールが増加し、それによって、渋みが抑えられる。
【0043】
尚、本願発明は前記一実施の形態に限定されない。
例えば、必要に応じて、加水調整工程と追加発酵工程を更に繰り返す場合も考えられる。
又、発酵工程の期間や温度等の諸条件も上記実施の形態に示されたものに限られない。
又、発酵時に使用する袋の素材も、通気性がよければ様々なものが考えられる。
又、使用する菌も前記のものに限られない。
又、前記一実施の形態の場合には、発酵茶として、プーアール茶を例に挙げて説明したが、その他の発酵茶、例えば、マテ茶、各種健康茶にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本願発明は、例えば、各種の発酵茶を製造するための茶の製造方法に係り、特に、カビ臭や渋みが少なく癖のない、すっきりとして飲み易い発酵茶を製造することができるように工夫したものに関し、例えば、プーアール茶の製造に好適である。
【符号の説明】
【0045】
1 乾燥茶葉
3 菌液
9 緑茶混合物
11 袋
13 発酵茶葉
19 水
25 一次加水調整発酵茶葉
27 一次追加発酵茶葉
29 二次加水調整発酵茶葉
31 二次追加発酵茶葉
33 乾燥台
37 プーアール茶
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麹菌と水を茶に混ぜ茶混合物を得る加水菌付け工程と、上記茶混合物を発酵させて発酵茶葉を得る発酵工程と、上記発酵茶葉を攪拌し再度水を混ぜ加水調整発酵茶葉を得る加水調整工程と、上記加水調整発酵茶葉を発酵させて追加発酵茶葉を得る追加発酵工程と、上記追加発酵茶葉を攪拌し乾燥を行う最終乾燥工程と、からなり、
上記発酵工程及び追加発酵工程においては、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を設置した室内の温度を20℃以上とし、且つ、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の茶の製造方法において、
上記加水菌付け工程において、上記茶混合物における含水率を30〜40重量%とすることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の茶の製造方法において、
上記茶は緑茶であることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記麹菌は黒麹菌であることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の茶の製造方法において、
上記黒麹菌はAspergillus.awamoriであることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記麹菌は黄麹菌であることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の茶の製造方法において、
上記黄麹菌はAspergillus.sojaeであることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記発酵工程及び追加発酵工程は通気性の高い袋に袋詰めした上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を複数袋積み上げて発酵を行なわせることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記発酵工程及び追加発酵工程は、一日以上経っても上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉の温度が発酵によって上昇しない場合はビニールシートで上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を覆うことを特徴とする茶の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項9の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記発酵工程及び追加発酵工程は期間が略一週間であることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜請求項10の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記加水調整工程と上記追加発酵工程を複数回繰り返すことを特徴とする茶の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記加水調整工程と上記追加発酵工程を2回繰り返し、一回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を25〜35重量%とし、二回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を20〜30重量%としたことを特徴とする茶の製造方法。
【請求項1】
麹菌と水を茶に混ぜ茶混合物を得る加水菌付け工程と、上記茶混合物を発酵させて発酵茶葉を得る発酵工程と、上記発酵茶葉を攪拌し再度水を混ぜ加水調整発酵茶葉を得る加水調整工程と、上記加水調整発酵茶葉を発酵させて追加発酵茶葉を得る追加発酵工程と、上記追加発酵茶葉を攪拌し乾燥を行う最終乾燥工程と、からなり、
上記発酵工程及び追加発酵工程においては、上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を設置した室内の温度を20℃以上とし、且つ、上記茶混合物又は上記加水調整発酵茶葉の内部の温度を50℃〜70℃まで上昇させることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の茶の製造方法において、
上記加水菌付け工程において、上記茶混合物における含水率を30〜40重量%とすることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の茶の製造方法において、
上記茶は緑茶であることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記麹菌は黒麹菌であることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の茶の製造方法において、
上記黒麹菌はAspergillus.awamoriであることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記麹菌は黄麹菌であることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の茶の製造方法において、
上記黄麹菌はAspergillus.sojaeであることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記発酵工程及び追加発酵工程は通気性の高い袋に袋詰めした上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を複数袋積み上げて発酵を行なわせることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記発酵工程及び追加発酵工程は、一日以上経っても上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉の温度が発酵によって上昇しない場合はビニールシートで上記茶混合物又は加水調整発酵茶葉を覆うことを特徴とする茶の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項9の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記発酵工程及び追加発酵工程は期間が略一週間であることを特徴とする茶の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜請求項10の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記加水調整工程と上記追加発酵工程を複数回繰り返すことを特徴とする茶の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れかに記載の茶の製造方法において、
上記加水調整工程と上記追加発酵工程を2回繰り返し、一回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を25〜35重量%とし、二回目の加水調整工程では上記加水調整発酵茶葉の含水率を20〜30重量%としたことを特徴とする茶の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−223999(P2011−223999A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76871(P2011−76871)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(510089904)合同会社アースティー (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(510089904)合同会社アースティー (1)
【Fターム(参考)】
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