説明

茶室の有効活用手段

【課題】茶室で正座をせずに客が足を下ろしていることができる客座を構成すると共に、
また、客室にテーブルを構成することもできる茶室の有効活用手段。
【解決手段】茶室の客座に相当する部位の特殊畳2の一部分を、長さ方向に所定幅に亙って可動畳3として構成し、この可動畳3を下方へ変位させた後、側方へ移動させるか、又は前記可動畳3を情報へ変位させることによってテーブルとして利用できるようにすると共に、上記可動畳3が下方及び側方又は上方へ変位させたことによって、客が足を下ろすための空間10が形成されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶室で正座をせずに足を下ろしていることができる客座を構成すると共に、客座にテーブルを構成することができる茶室の有効活用手段に関する。
【背景技術】
【0002】
茶道では茶室においてほぼ4〜5時間に亙って客が正座を組んでいなければならず、これが痺れ等の身体的苦痛を引き起こすことで、若年者のみならず高年齢者また特に男性の茶離れの原因となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術に記載したように、座敷で正座して生活する習慣が一般的ではなくなった現在では、茶室で長時間に亙って正座をすることが求められている茶道では、特に男性の場合、若年者のみならず高年齢者にとっても、苦痛に感ずることが多く、その結果として茶離れの傾向が見られる。そこで本発明においては、茶席において客が正座から解放されるようにして、身体的苦痛を感じることをなくそうとすることで、そのことがむしろ茶道を身近に感じさせるのに有効であると考えられたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の請求項1に記載の茶室の有効活用手段では、茶室の客座に対応する部位に構成した特殊畳の一部分を、長さ方向に所定幅に亙って可動畳として構成し、この可動畳を適宜下方へ変位させた後、側方へ移動させ、これによって客が足を下ろすための空間が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0005】
この発明の請求項2に記載の茶室の有効活用手段では、茶室の客座に対応する部位に構成した特殊畳の一部分を、長さ方向に所定幅に亙って可動畳とし、この可動畳を下方又は
上方へ移動させることによって客が足を下ろすことができる空間を形成すると共に、前記
可動畳を下方へ移動させた場合においてはこの可動畳に客が足を置くことができるようにし、前記可動畳を上方へ移動させた場合においてはこの可動畳をテーブルとして利用できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、座敷で正座して生活する習慣が一般的でなくなった現在において、客室で長時間に亙って正座をしなければならない茶道で、若年者のみならず高年齢者にとっても茶離れの原因となっていることに鑑み、茶室で足を下ろしていることができるようにすることで、身体的、心理的に開放された感じを持たせることができて極めて有効な活用手段となるものと考えられるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明を利用した茶室の状態の一例を示す斜視図である。この図において、1は一般的な様式の畳を示しているが、2はこの発明の可動畳3を一部に含む特殊畳であって、この可動畳3は特殊畳2の長さ方向に所定幅に亙って形成してなる。これら分解された特殊畳3、3及び可動畳2をまとめて要に応じて一般の本畳の形態とすることも可能である。
【0008】
図2から図4に示すのは、本発明の一実施例を示すもので、図2は特殊畳2とその一部分を構成する可動畳3の態様を示す断面図で、図3は前記可動畳3が適宜下方へ移動した状態を示すものである。なおこの図3において、複数の支柱4上に構成される台枠5に移動体6が搭載されており、これには前記可動畳3を下方へ移動可能に支承する駆動部分7と、上記移動体6に形成した車輪8を側方へ移動させる駆動部分9が付設されている。
【0009】
図4はこの駆動部分9により車輪8を介して可動畳3が側方へ移動した状態を示すものである。その結果として図4では客が足を下ろすことができる空間10が構成されるのである。この場合、前記台枠5上には畳又はその類似物を付設して置くことが求められる。
【0010】
なお、この図4において前記空間10の両側の状態を良好に維持するためには、固定した状態の固定壁11と、前記移動体6に取り付けた可動壁12とが有効に作用する。
【0011】
上記構成によって、適宜タイマー、センサーなどでセットした態様で、可動畳3を下方又は側方へ移動させた後、客は前記空間10内に足を下ろした状態で、正座による足の痺れなどを気に掛けることなく、安心して茶道に励むことができるものである。
【0012】
図5ないし図7図は本発明の他の実施例を示すものであって、図2ないし図4に示す第一の実施例において可動畳3を下方へ移動させた後、この可動畳3を側方へ移動させていたのとは異なり、必要に応じて可動畳3を下方又は上方へ移動させることにより、それぞれの用途に対応させるようにしたものである。
【0013】
まず、図5は特殊畳2に対して可動畳3が通常の状態で置かれている状態を示すものであって、駆動部分13によって回転駆動される回転軸14に支承した上下移動駒15に支持部材16を介して可動畳3が取り付けられている。
【0014】
図5の状態から可動畳3を下方へ移動させる場合を示すものであって、駆動部分13によって回転駆動される回転軸14の回動に連れて支持部材16が下方へ移動すると、可動畳3が占めていた位置に空間10ができると共に、下方に移動した可動畳3は上記空間10を利用して下方へ足を下ろしている客が足を置くのに適した状態となる。
【0015】
図6は可動畳3を上方へ移動させる場合を示すものであって、駆動部分13によって回転駆動される回転軸14の回動に連れて支持部材16が上方へ移動すると、可動畳3が占めていた位置に空間10ができるので、この空間10によって客が足を下ろすことができると共に、上方に移動した可動畳3がテーブルとして利用できるものである。実際上、作動の場合、畳の上に菓子等を懐紙を敷いて置くものであるから、畳をテーブルとして利用するのに問題はない。
【0016】
この場合においても、茶席の客は正座から解放されるとともに、前記可動畳3をテーブルとして利用できることにより、茶席の態様を大幅に変えることが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の構成態様の要部を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例を示すものであって、可動畳が移動する前の段階を示すものである。
【図3】図2から次の態様に移行する一段階の断面図である。
【図4】本発明を実行する段階の断面図であって、この図は図2、図3とは反対方向から見た断面図である。
【図5】本発明の他の実施例の可動畳が移動する前の段階を示す断面図である。
【図6】可動畳が下方へ移動した状態を示す断面図である。
【図7】可動畳が上方へ移動した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 通常の畳
2 特殊畳
3 可動畳
4 支柱
5 台枠
6 移動体
7 駆動部分
8 車輪
9 駆動部分
10 空間
11 固定壁
12 可動壁
13 駆動部分
14 回動軸
15 上下移動駒
16 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶室の客座に対応する部位に構成した特殊畳の一部分を、長さ方向に所定幅に亙って可動畳として構成し、この可動畳を適宜に下方へ変位させた後、側方へ移動させ、これによって客が足を下ろすための空間が形成されるようにしたことを特徴とする、茶室の有効活用手段。
【請求項2】
茶室の客座に対応する部位に構成した特殊畳の一部分を、長さ方向に所定幅に亙って可動畳とし、この可動畳を下方又は下方へ移動させることによって客が足を下ろすことができる空間を形成すると共に、前記可動畳を下方へ移動させた場合においてはこの可動畳に客が足を置くことができるようにし、前記可動畳を上方へ移動させた場合においてはこの可動畳をテーブルとして利用できるようにしたことを特徴とする、茶室の有効活用手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−37852(P2010−37852A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203354(P2008−203354)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(594108812)宮坂機械株式会社 (1)
【Fターム(参考)】