説明

茶葉の作製方法

日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%のお茶植物を含む茶葉開始材料を使用し、次いで従来の茶葉加工において前記茶葉を加工して実装し、日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%の茶葉植物材料を含む市販の茶葉製品を提供することを含む、アミノ酸富化茶または茶抽出物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸富化茶または茶抽出物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
茶葉は一般的に、緑茶葉または紅茶葉として調製される。そのような茶葉の調製方法は、当業者に周知である。一般的に紅茶葉を調製するために、植物Camellia sinensisの新鮮な緑葉を乾燥し(穏やかな乾燥に供し)、細分化し、発酵させ(当該方法では、茶葉中の酵素が大気中の酸素を使用して各種の基質を酸化し、褐色の生成物を生ずる)、次いで火入れする(茶葉を乾かす)。緑茶葉は発酵工程には曝されない。部分的な発酵を使用して、「ウーロン茶」として既知の中間体タイプの茶葉を生産しても良い。従来では、お茶植物の上部の大部分の一部が収穫され、それは通常芽と共に多くの葉(通常2から7まで)を摘むことを含む。
【0003】
今日、茶葉に基づく飲料は、熱湯での葉の煎出以外の方法によって調製でき、茶葉のポットから注ぎだすこと以外の方法で給仕できる。例えばそれらは、自動販売機において熱湯と混合される、またはカンやビンにおいてお茶を飲む準備ができているように調製するために使用される濃縮物またはパウダーで調製できる。消費者は更に、より早い煎出、より濃い色、より芳しい香りといったお茶から多くのものを要求している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に近代の消費者は、現代の健康的なライフスタイルの一部を形成する天然の体に良い飲料に興味を有している。飲料として、フラボノイド、カテキン、及びアミノ酸から本質的になる天然の含有物に関して、お茶はこの傾向によく適合している。それ故、これらの天然に存在する健康な成分を濃縮する一方で、合成化合物を添加することなくお茶の健康な性質を維持するための方法を提供することが、当該技術分野で要求されている。
【0005】
本出願人は驚くべきことに、お茶植物Camellia sinensisの材料が、早朝の早い時間に収穫された場合、高濃度のアミノ酸を含むことを驚くべきことに発見した。アミノ酸は夜間を通じて生成され、日中に消費されると解される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かくして本発明は、日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%のお茶植物を含む茶葉開始材料を使用し、当該茶葉を従来の製茶方法で加工して実装し、日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%のお茶植物材料を含む市販の茶葉製品を提供すること含む、アミノ酸富化茶または茶抽出物の製造方法を提供する。
【0007】
第二の特徴点では、本発明は、日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%のお茶植物材料を含む、実装された茶葉製品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の方法は、日の出時またはその近傍でお茶供給材料を収穫し、次いで加工して茶葉を実装する工程を含む。前記開始材料及び生成した実装製品は、茶葉が収穫される際に、日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%のお茶植物材料を含む。
【0009】
茶葉は好ましくは、乾燥、浸漬、発酵、火入れの工程を含む、従来の紅茶製造方法で加工される。
【0010】
本発明の目的のための用語「茶葉」は、Camellia sinensis var. sinensis、またはCamellia sinensis var. assamicaから由来する茶葉材料を意味する。「茶葉」は、これらの茶葉の二つ以上をブレンドした製品を含むことをも企図される。
【0011】
早朝の茶葉
茶葉は従来日中に徐々に摘まれ、早朝、午後、夕方に茶葉を摘むことは特に好まれているわけではない。それ故従来の方法は、開始材料として日中に摘まれた茶葉のブレンドである茶葉を使用している。ある場合に朝摘みの茶葉は、加工されるバッチとして回収されている。この場合、開始材料は朝摘みの茶葉であるかもしれないが、加工された茶葉は一日のより後に収穫された茶葉とブレンドされ、朝摘みの茶葉に基づく実装された市販品は生産されていない。
【0012】
本発明の目的のため、少なくとも50重量%の開始材料及び/または実装製品は、日の出の前後3時間以内に収穫されたお茶植物材料である朝摘みの茶葉である。この態様では、お茶植物におけるアミノ酸の濃度は日の出近傍でより高いという我々の観察のため、アミノ酸の濃度は自然に増大している。
【0013】
好ましくは、開始材料及び/または実装製品の茶葉は、少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の朝摘みの茶葉を含む。前記開始材料及び/または実装製品は、80重量%程度の朝摘みの茶葉、90重量%程度の朝摘みの茶葉、更には100重量%程度の朝摘みの茶葉を含んでも良い。
【0014】
朝摘みの茶葉は、お茶植物の現場で日の出の3時間以内に収穫されたお茶植物材料である。好ましくは朝摘みの茶葉は、日の出の2時間以内、更には日の出の1時間半以内、更には日の出の1時間以内で収穫されたお茶植物材料である。
【0015】
茶葉材料の加工
本発明の加工では、早朝の茶葉材料は、通常の茶葉と同じように好ましくは加工される。この態様では、茶葉材料は、乾燥、浸漬、粉砕、蒸気処理、発酵、火入れ、及び煎出の紅茶加工単位操作の少なくとも一つの供する。かくしてお茶は、紅茶、緑茶、またはウーロン茶であって良い。
【0016】
好ましくは茶葉材料は、乾燥、浸漬、粉砕、蒸気処理、発酵、及び発酵を停止するための火入れに供される。これは従来の紅茶加工である。
【0017】
一度加工されると、茶葉は更に加工され、市販品として販売される茶葉が調製される。市販品は朝摘みのお茶を維持しているが、これは、市販品が日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%のお茶植物を維持することを条件として、加工の後または最中のいくつかの希釈の可能性を許容するものである。
【0018】
浸漬
茶葉は浸漬されて良い。多くの態様で茶葉を浸漬することが可能であるが、大まかに言うと、これを実施するための二つの主たる機械的方法が存在する。
【0019】
「オーソドックス製法」と称される第一の方法は、発酵と乾燥工程を含む標準的な方法の一部として乾燥した茶葉の回転を含む。「オーソドックスティー」と称されるものは、多くのものに美的に好まれるが、比較的安価な発酵のためより軽い醸造水を生ずる多くの葉の部分によって典型的に特徴づけされる。
【0020】
第二の方法は、数多くのオーソドックスではない方法のうち最もポピュラーなものであり、茶葉の切断、粉砕、及びカール処理を施すマングルを備えた機械の使用を含む。初期の機械は1930年代にW. McKercherによって発明され、「CTC(cut-tear-curl)マシーン」と一般的に称されている。細かい切断生成物は一般的に「CTCティー」として既知であり、迅速な煎出速度と濃い色によって特徴づけされる。
【0021】
オーソドックス機械とCTC機械の両者は、乾燥させた茶葉を切り刻むRotorvane機械と組み合わせてしばしば使用される。これらの方法、並びに茶葉の製造におけるその歴史と役割は、K. C. Willson及びM. N., Cliffordによって編集された"Tea cultivation to consumption", Chapman & Hall, 1992に記載されている。
【0022】
一般的に言うと、オーソドックスティーまたはCTCティーのいずれかの消費者の好みは、国際的または地域的な文化の問題である。ある国では、茶葉の視覚的な見た目ときめが重要な質の規準となり、より多くの茶葉の粒子がより高い質と関連することになる。西洋の市場では、茶葉は濾紙バッグに入れて買われるようになっており、煎出した生成物の色がより重要である。
【0023】
発酵
次の任意の工程は、一般的に発酵と称されるが、これは誤称である。「発酵」は、外因的な酵素の作用を記載するためにアルコールを醸造する文脈で一般的に使用される。しかしながらお茶の世界では、特定の外因的な酵素と基質を、茶葉を切り刻んで切断することによる細胞の機械的破壊に共に供する場合に茶葉が受ける酸化的工程を称するためにこの言葉が使用される。茶葉及び他の植物材料は、オキシダーゼ、ラッカーゼ、及びペルオキシダーゼのような外因的な酵素の作用によって酸化でき、この目的のためには、用語「発酵」は、関与する酵素の供給源に関わらず、酵素的な酸化を記載するであろう。必須の発酵工程は、所望される黒い紅茶の色と香りの特徴を提供すると解される。
【0024】
火入れ
発酵を終結するために、茶葉は短い時間高温に供されなければならない。この工程は「火入れ」と称され、当該技術分野で周知である。
【0025】
茶葉の煎出
好ましい加工では、茶葉材料は水中で煎出され、茶葉の固形分とアミノ酸が抽出される。好ましくは茶葉材料は、煎出を実施する前に少なくとも発酵される。
【0026】
茶葉材料の煎出は、単純な抽出工程または酵素的に補助された抽出工程のいずれかを使用して調製されて良い。
【0027】
茶葉材料は好ましくは、所望の温度で反応器中で水と組み合わされ、抽出された茶葉材料と固形分の茶葉材料を含む茶葉煎出スラリーが得られる。煎出の後、固形分の茶葉材料が、例えば濾過及び/または遠心分離によって茶葉煎出物から分離される。
【0028】
酵素的に補助された抽出は、もし必要であれば、酵素のカクテルの形態で反応器に酵素を添加することを必要とし、または酵素を個々に反応器に供給できる。例えば、セルラーゼ及びマセラーゼを含むカルボヒドラーゼのような選択された細胞壁溶解酵素を含む酵素カクテル、例えばNOVO Industri A/S Denmark社から得られるViscozyme L(登録商標)が使用されて良い。酵素を含む茶葉スラリーは次いで熱抽出されて煎出工程が完了し、固形分の茶葉材料が上記茶葉抽出物から分離される。茶葉抽出物は次いで好ましくは低温殺菌されて酵素が不活性化される。
【0029】
生成した茶葉煎出物は次いで任意に濃縮され、冷却され、遠心分離または濾過等のような他の清浄化方法によって精製される。精製の後、抽出物は次いで、例えば真空濃縮によって、またはフィルムタイプの蒸発に供されて濃縮され、例えばスプレー乾燥によって乾燥され、本発明における使用のための茶葉パウダーが得られる。
【0030】
精製した最終煎出物は、次いで濃縮及び/または乾燥されてよく、アミノ酸富化茶葉パウダーが生産される。
【0031】
実装
一度粉摘まれた茶葉が加工されてから、茶葉は次いで市販されて良い形態に実装される。これは例えば競売での市販のために大きなサックであってもよく、または消費者への市販に適切な後のより小さい実装品であっても良い。
【0032】
最終実装茶葉は恐らく、朝摘み茶葉開始材料に対して異なる供給源から添加された茶葉を含んでも良い。しかしながらこの場合、実装茶葉製品は、日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%のお茶植物材料を依然として含まなければならない。
【0033】
好ましくは実装品は、その茶葉製品が早朝に摘まれたものであることを示す指標と共に市販される。更に前記実装品は好ましくは、茶葉製品は高アミノ酸を含むこと、好ましくは天然のアミノ酸を高含量含むことを示す指標と共に市販される。好ましくは前記実装品は、茶葉製品が高テアニンを含むこと、好ましくは天然のテアニンを高含量含むことを示す指標と共に市販される。
【実施例】
【0034】
世界中の6の異なる茶葉プランテーションから「3枚の葉と1個の芽」として茶葉を摘み取った。茶葉は午前7時、正午、午後5時、及び午後10時に摘み取った。各位置で、日の出は午前7時から2時間以内であった。次いで摘み取った茶葉を、利用可能なアミノ酸の主たる成分であるテアニンの含量について分析した。以下の結果が得られた。
【0035】
【表1】

【0036】
テアニンのレベルは、一日の後の時間より早朝でずっと大きいことが明らかに観察できる。
【0037】
午前7時に摘み取られた茶葉を、引き続き乾燥、浸漬、粉砕、発酵、及び火入れの従来の紅茶加工で加工して、テアニンが天然で高含量の紅茶を生産した。茶葉を50kgのサックに実装し、早朝に摘み取られ、テアニンが天然で高含量の茶葉として市販した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%のお茶植物を含む茶葉開始材料を使用し、次いで従来の茶葉加工において前記茶葉を加工して実装し、日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%の茶葉植物材料を含む市販の茶葉製品を提供することを含む、アミノ酸富化茶または茶抽出物の製造方法。
【請求項2】
前記開始材料及び/または実装製品が、日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも60重量%のお茶植物材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開始材料及び/または実装製品が、日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも70重量%のお茶植物材料を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記加工が乾燥、浸漬、蒸気処理、粉砕、発酵、火入れ、選別、及び煎出から選択される少なくとも一つの工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記茶葉を水中で煎出し、茶葉固形分の水性煎出物が生産される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記煎出物を濃縮及び/または乾燥し、100から50重量%の茶葉固形分を含むアミノ酸富化茶濃縮物を生産する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記茶葉製品が早朝に摘まれたことを示す指標と共に実装品が市販される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記茶葉製品がアミノ酸で富化されていることを示す指標と共に実装品が市販される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記茶葉製品がテアニンで富化されていることを示す指標と共に実装品が市販される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
日の出の前後3時間以内に収穫された少なくとも50重量%の茶葉植物材料を含む、実装された茶葉製品。

【公表番号】特表2008−511293(P2008−511293A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528667(P2007−528667)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008498
【国際公開番号】WO2006/027063
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】