説明

茶葉成分入り野菜漬物、茶葉成分入りニンニク味噌及び茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法

【課題】 茶葉を入れて野菜を漬ける場合に好都合に適用することができる茶葉成分入り野菜漬物の製造方法を提供すること。
【解決手段】 容器10にニンニク2を入れて塩で漬ける塩漬け工程と、塩漬け工程の後にニンニクに付いたアクを入るアク抜き工程と、アク抜き工程の後に漬け容器に茶葉を入れる茶葉添加工程と、茶葉添加工程の後に所定時間漬ける茶葉漬け工程と、を含む茶葉成分入り野菜漬物の製造方法。塩漬け工程においては、ニンニク2を4〜8時間塩漬けし、茶葉添加工程においては、茶葉と蜂蜜を入れて密封し、茶葉漬け工程においては、ニンニクを8日以上茶葉で漬ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉成分を入れた野菜漬物、茶葉成分を入れたニンニク味噌及び茶葉成分を入れたピーマン味噌の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの栄養成分、例えばカテキン類(例えば、タンニン)、アミノ酸類、フラボノイド、ビタミン類が含まれるとして茶葉(煎茶)が注目され、茶葉を用いて梅干を漬けた茶葉成分入り梅干の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この梅干の製造方法では、梅の実と茶葉と塩とを容器に入れて塩漬けした状態で3〜4日静置し(塩漬け工程)、次いで、食塩水を沸騰させた後冷やしたものを容器内に追加して静置する(追加塩漬け工程)。その後、容器から梅の実を取り出して土用干しする(土用干し工程)。この土用干し工程の後、浸出成分溶液については沸騰させ(溶液沸騰工程)、沸騰後に約70℃まで冷えた時点で茶葉を添加し(茶葉添加工程)、充分に冷えた時点でこの茶葉入り溶液を容器に戻すとともに、この容器に土用干しした梅の実を戻し、このように容器に入れて漬け置く(茶葉漬け工程)。このように漬け込むことによって、茶葉の成分が梅に吸収され、茶葉成分入りの梅干をつくることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2008−5829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した梅干の製造方法では、梅の実を漬ける場合に好都合に適用することができ、茶葉成分入りの梅干をつくることができる。上述した製造方法を野菜、例えばニンニク、ミョウガなどの野菜にそのまま適用することができず、茶葉成分入りの野菜漬物をつくるための製造方法の実現が望まれている。また、茶葉に着目した場合、茶葉成分入り野菜漬物のみならず、日本人の食生活において多く食されている味噌についても、茶葉成分入りの新しい味噌の実現が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、茶葉を入れて野菜を漬ける場合に好都合に適用することができる茶葉成分入り野菜漬物の製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、茶葉を入れて味噌をつくる場合に好都合に適用することができる茶葉成分入り味噌の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法は、容器に野菜を入れて塩で漬ける塩漬け工程と、前記塩漬け工程の後に野菜から出たアクを落とすアク抜き工程と、前記アク抜き工程の後に前記アク抜き工程にてアクを取った野菜を漬け容器に入れて茶葉を添加する茶葉添加工程と、前記茶葉添加工程の後に所定時間漬ける茶葉漬け工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法では、野菜はニンニクであり、前記塩漬け工程においては、ニンニクを4〜8時間塩漬けし、前記茶葉添加工程においては、茶葉と蜂蜜を入れて密封し、前記茶葉漬け工程においては、ニンニクを8日以上茶葉で漬けることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法は、容器に野菜を入れて塩で漬ける塩漬け工程と、前記塩漬け工程の後に前記容器から野菜を取り出して搾る野菜搾り工程と、砂糖、酢及び塩を入れて沸騰させて漬け溶液をつくる漬け溶液生成工程と、前記漬け溶液生成工程にて生成した前記漬け溶液を冷却した後に茶葉を入れる茶葉添加工程と、前記野菜搾り工程で搾った野菜と前記茶葉添加工程の茶葉入り漬け溶液を漬け容器に入れて所定時間漬ける茶葉漬け工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法では、野菜はミョウガであり、前記塩漬け工程においては、ミョウガの上に蓋を載せて重石を置いて10〜13時間塩漬けし、前記茶葉漬け工程においては、ミョウガを5日以上茶葉で漬けることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法は、容器に野菜を入れて塩を振りかけて混ぜ、野菜から出るアクを落とす塩振り・アク抜き工程と、砂糖、酢及び塩を入れて沸騰させて漬け溶液をつくる漬け溶液生成工程と、前記漬け溶液生成工程にて生成した前記漬け溶液を冷却した後に茶葉を入れる茶葉添加工程と、前記塩振り・アク抜き工程でアクを除去した野菜と前記茶葉添加工程の茶葉入り漬け溶液を漬け容器に入れて所定時間漬ける茶葉漬け工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法は、野菜はラッキョウであり、前記塩振り・アク抜き工程においては、ラッキョウに塩を振りかけ、ラッキョウから出るアクが落ちる状態にて6〜10時間置き、前記茶葉漬け工程においては、ラッキョウを25日以上茶葉で漬けることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項7に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法は、漬け容器又は漬け袋に野菜を入れ、砂糖、塩及び茶葉を入れて密封する茶葉添加工程と、前記茶葉添加工程の後に所定時間漬ける茶葉漬け工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項8に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法では、野菜は、ハクサイ、ミズナ、キュウリ、ナス、キャベツ、ダイコン又はニンジンであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項9に記載の茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法は、ニンニクを油で炒める油炒め工程と、前記油炒め工程にて炒めたニンニクを冷やし、味噌、砂糖及び茶葉とともに熟成容器内に入れて混ぜる混合工程と、前記混合工程の後に第1所定期間保存する保存工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項10に記載の茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法では、ニンニクは味噌に対して重量比で1〜3倍の割合で混合され、前記保存工程の後に第2所定期間熟成されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項11に記載の茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法は、ピーマン、麹、砂糖及び醤油をミキサーに入れて小さく切断混合する切断混合工程と、切断混合した混合物を鍋に入れて所定時間間隔で沸騰させる混合物沸騰工程と、前記混合物沸騰工程の後に混合物を冷却した後に茶葉とともに発酵容器に入れる茶葉添加工程と、前記茶葉添加工程の後に所定時間発酵させる発酵工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
更に、本発明の請求項12に記載の茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法では、前記混合物沸騰工程においては、20〜28時間間隔で混合物の沸騰を2〜5回行い、それらの沸騰時間は0.5〜2分間であり、前記発酵工程においては、前記混合物を50日以上発酵させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法によれば、野菜を容器に入れて塩で漬け(塩漬け工程)、野菜から出たアクを落とし(アク抜き工程)後に、この容器に茶葉を入れて漬ける(茶葉添加工程、茶葉漬け工程)ので、添加した茶葉成分が野菜に溶け込んで吸収され、茶葉の成分、例えばカテキン類(例えば、タンニン)、アミノ酸類、フラボノイド、ビタミン類などが入った野菜漬物をつくることができる。また、塩漬けしてアクを出した後に茶葉を入れて漬けるので、茶葉成分を野菜漬物に充分に含ませることができ、また茶葉によってまろやかな味に漬かり、添加物を入れなくてもおいしく食することができる。また、添加した茶葉も野菜漬物とともに一緒に食することができる。尚、この明細書を通して、文言「茶葉」とは、摘んだ茶葉を加工したもの(例えば、煎茶)及びこれを粉末状に加工したものを含む概念である。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法によれば、茶葉添加工程においては、茶葉と蜂蜜を入れて密封し、茶葉漬け工程においては、ニンニクを8日以上茶葉で漬けるので、茶葉成分をニンニクに充分に含ませることができ、また茶葉によりニンニクの臭みが抑えられるとともに、茶葉、蜂蜜及びニンニクの味がミックスしたものとなり、従来にないニンニク漬物となり、おいしく食することができる。
【0020】
また、本発明の請求項3に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法によれば、野菜を塩で漬けし(塩漬け工程)、塩漬けした野菜を取り出して搾り(野菜搾り工程)、また砂糖、酢及び塩を入れて沸騰させた漬け溶液を冷却した後に茶葉を入れ(漬け溶液生成工程、茶葉添加工程)、搾った野菜と茶葉入り漬け溶液を漬け容器に入れて漬ける(茶葉漬け工程)ので、このようにしても茶葉成分入りの野菜漬物をつくることができる。また、塩漬けしてアクを出した野菜を搾って茶葉入り漬け溶液に漬けるので、茶葉成分を野菜漬物に充分に含ませることができる。
【0021】
また、本発明の請求項4に記載の記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法によれば、塩漬け工程においては、ミョウガの上に蓋を載せて重石を置いて10〜13時間塩漬けするので、ミョウガを充分に塩漬けしてアクを出し、後の茶葉漬け工程における茶葉成分の吸収を高めることができ、また茶葉漬け工程においては、ミョウガを5日以上茶葉で漬けるので、ミョウガ独特の味を残しながらその味がまろやかになり、ミョウガをおいしく食することができる。
【0022】
また、本発明の請求項5に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法によれば、野菜に塩を振りかけて混ぜ、野菜から出たアクを落とし(塩振り・アク抜き工程)、また砂糖、酢及び塩を入れて沸騰させた漬け溶液を冷却した後に茶葉を入れ(漬け溶液生成工程、茶葉添加工程)、アクを除去した野菜と茶葉入り漬け溶液を漬け容器に入れて漬ける(茶葉漬け工程)ので、このようにしても茶葉成分入りの野菜漬物をつくることができる。また、塩を振りかけて野菜から出るアクを落とすので、塩による漬かりを抑えてアク抜きを行うことができ、また塩を振りかけて野菜から出るアクを落とした後に茶葉入り漬け溶液に漬けるので、茶葉成分を野菜漬物に充分に含ませることができる。
【0023】
また、本発明の請求項6に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法では、塩振り・アク抜き工程においては、ラッキョウに塩を振りかけ、ラッキョウから出るアクを落ちる状態にて6〜10時間置くので、ラッキョウのかりかりとした食感を残すことができ、また茶葉漬け工程においては、ラッキョウを25日以上茶葉で漬けるので、ラッキョウの味がまろやかになるとともに、その臭いが抑えられ、ラッキョウ漬物をおいしく食することができる。
【0024】
また、本発明の請求項7に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法によれば、漬け容器又は漬け袋に野菜を入れ、砂糖、塩及び茶葉を入れて密封して茶葉で漬ける(茶葉添加工程、茶葉漬け工程)ので、簡単に且つ容易に茶葉成分入り野菜漬物をつくることができ、また添加した茶葉によってまろやかな味となり、おいしく食することができる。
【0025】
また、本発明の請求項8に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法では、ハクサイ、ミズナ、キュウリ、ナス、キャベツ、ダイコン又はニンジンの漬物に好都合に適用することができ、また漬物に充分な茶葉成分を含ませることができる。
【0026】
また、本発明の請求項9に記載の茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法によれば、ニンニクを油で炒め(油炒め工程)、炒めたニンニクを冷やし、味噌、砂糖及び茶葉とともに熟成容器内に入れて混ぜ(混合工程)、この混ぜた混合物を第1所定期間保存する(保存工程)ので、茶葉成分の入ったニンニク味噌をつくることができ、また茶葉によってニンニクの臭いが抑えられた味噌となり、ご飯に載せたり、おにぎりに混ぜたりしておいしく食することができる。尚、味噌の場合、茶葉としては粉末状のもの(例えば、粉茶)を用いるのが好ましい。
【0027】
また、本発明の請求項10に記載の茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法によれば、ニンニクは味噌に対して重量比で1〜3倍の割合で混合され、保存工程の後に第2所定期間熟成するので、ニンニク、茶葉及び砂糖が味噌に溶け込むようになり、多くのニンニクを含む味噌でありながらニンニクの臭いが抑えられたものとなり、より一層おいしく食することができる。
【0028】
また、本発明の請求項11に記載の茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法によれば、ピーマン、麹、砂糖及び醤油をミキサーに入れて小さく切断混合し(切断工程)、切断混合した混合物を鍋に入れて沸騰させ(混合物沸騰工程)、その後に混合物を冷却した後に茶葉とともに発酵容器に入れ(茶葉添加工程)、この密封状態にて混合物を発酵させる(発酵工程)ので、茶葉成分の入ったピーマン味噌をつくることができ、茶葉によってピーマンの臭いも抑えられ、おいしく食することができる。また、ピーマン、麹などを含む混合物を沸騰させて発酵させているので、ピーマン、茶葉などが溶け込みやすくなり、発酵が促進される。
【0029】
更に、本発明の請求項12に記載の茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法によれば、混合物沸騰工程においては、20〜28時間間隔で混合物の沸騰を2〜5回行うので、後の発酵工程における発酵が早くなる。また、発酵工程においては、混合物を50日以上発酵させるので、ピーマンなどが充分に溶けてやわらくなり、おいしいピーマン味噌をつくることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
茶葉成分入り野菜漬物の製造方法(1)
図1及び図2を参照して、茶葉成分入り野菜漬物の製造方法について説明する。図1は茶葉成分入り野菜漬物の製造方法の工程を説明するための簡略図であり、図2は,図1の野菜漬物の製造方法を示す工程図である。
【0031】
図1及び図2において、この野菜漬物の製造方法では、野菜としてニンニクを用いている。茶葉成分入り野菜(ニンニク)漬物を漬ける場合、まず、図1(a)に示すように、ニンニク漬物を付ける準備として、ニンニク2の皮を剥いて皮や根を取り除く。このとき、素手で行うと指先が痛く腫れ、水ぶくれができるおそれがあるので、ゴム手袋4をして行うのが望ましい(皮剥き工程S1)。そして、図1(b)で示すように、皮を剥いたニンニク2を水洗いし(水洗い工程S2)、その後、図1(c)で示すように、ニンニク2に付着した水分を切る。水洗い工程S2においては、ボールなどの容器6にニンニク2とともに水を入れて水洗いを行う。また、水洗い後の水切りにおいては、ザル8に水洗いしたニンニク2を入れて0.5〜2時間程度、例えば1時間前後置けばよく、このように放置することによって、ニンニク2に付着した水分の水切りを行うことができる。
【0032】
次いで、図1(d)で示すように、水切りしたニンニク2を容器10に入れ、塩12を加えてニンニク2を塩漬けする(塩漬け工程S3)。この塩漬け工程S3では、例えば、ニンニク500gに対して塩12〜18g、例えば15gを入れて約4〜8時間、例えば5時間程度塩漬けし、このように塩漬けすることによって、ニンニク2の汁、所謂アクが出でてくるようになる。
【0033】
その後、塩漬け工程S3において出てきたアクを除くために、水切りと同様に、塩漬けしたニンニク2をザルに入れて1〜2時間程度、例えば1時間前後置けばよく、このように放置することによって、ニンニク2から出たアクを除去することができる(アク抜き工程S4)。
【0034】
次に、漬け容器11内に蜂蜜14及び茶葉16を入れ(茶葉添加工程S5)、この状態で茶葉でもって所定時間茶葉漬けを行う(茶葉漬け工程S5)。蜂蜜14及び茶葉16を入れた後は、漬け容器11の開口部に蓋18を装着して漬け容器11内を密封し、この密封状態でもって茶葉漬け工程S6が行われる。この茶葉漬け工程S6においては、例えば、ニンニク500gに対して蜂蜜150〜210ml、例えば180ml前後、また茶葉(例えば、粉末状のもの)6〜15g、例えば10g前後入れるようになる。尚、茶葉漬けを行う漬け容器は、塩漬け工程S3で使用したものを用いてもよいが、茶葉漬け専用の漬け容器を用いるようにしてもよい。尚、漬け容器11としてプラスチック製のものを用いた場合、出来上がった漬物の色が変色し、また味も悪くなるので、プラスチック製のものは漬け容器11としては不向きである。
【0035】
このようにして茶葉漬け工程S5を8日以上、好ましくは10日以上行うと、蜂蜜14にニンニク2からでた溶液及び茶葉16が混ざり、漬け容器11内のニンニク2はこの混合溶液20中に浸かり、蜂蜜14の成分及び茶葉16の成分がニンニク2に入り、茶葉成分入りのニンニク漬物をつくることができる。
【0036】
このようにし製造されたニンニク漬物は、茶葉16の成分が入っているので、カテキン類(例えば、タンニン)、アミノ酸類、フラボノイド、ビタミン類などが入った栄養価の高い漬物となり、また茶葉16によってニンニク2の臭いが抑えられ、ニンニク特有の臭いの少ないニンニク漬物を提供することができ、おいしく食することができる。
【0037】
茶葉成分入り野菜漬物の製造方法(2)
図3及び図4を参照して、茶葉成分入り野菜漬物の他の製造方法について説明する。図3は、茶葉成分入り野菜漬物の他の製造方法の工程を説明するための簡略図であり、図4は、図3の野菜漬物の製造方法を示す工程図である。
【0038】
図3及び図4において、この野菜漬物の製造方法では、野菜としてミョウガを用いている。茶葉成分入り野菜(ミョウガ)漬物を漬ける場合、まず、ミョウガ22の形を壊さないようにして水洗いをし(水洗い行程S11)、ミョウガ22に付着した水分を切る。水洗いについては、水を入れたボールなどの容器にミョウガ22を入れて行い、また水切りについては、ザルに水洗いしたミョウガ22を入れて放置するようにして行うことができる。
【0039】
次いで、図3(a)で示すように、水切りしたミョウガ22を容器24に入れ、塩26をふりかけて塩漬けを行う(塩漬け行程S12)。この塩漬け工程S12では、図3(b)で示すように、容器24内に押え蓋28を入れてミョウガ22の上に載せ、この押え蓋28に重石30を載せて行う。例えば、ミョウガ2kgに対して塩8〜15g、例えば10gを入れ、重石30として0.8〜2kgのものを用いて約10〜15時間、例えば12時間程度塩漬けし、このように塩漬けすることによって、ミョウガ22のアクが出でてくるようになり、このようにアクを出すことによって、茶葉成分の吸収が容易となる。
【0040】
塩漬け工程S12の後に、図3(c)で示すように、容器24から塩漬けしたミョウガ22を取り出して搾り(野菜搾り工程S13)、ミョウガ22に付いたアクを取り除き、このようにアクを取り除くことによって、おいしく漬けることができる。
【0041】
一方、搾り工程S13と並行して茶葉漬けするための漬け溶液を生成する(溶液生成工程S14)。この溶液生成工程S14においては、図3(d)に示すように、鍋32に砂糖、酢及び塩を入れて煮立てて生成する。そして、この溶液が50〜70℃、例えば60℃前後まで冷えた時点で茶葉33(煎茶)を入れる(茶葉添加工程S15)。溶液生成工程S14においては、酢180から200ml、砂糖〜150〜230g、塩8〜15g入れて溶液を生成する。また、茶葉添加工程S15においては、上述した溶液に茶葉8〜13g、例えば10g入れ、このように冷えた状態で茶葉を入れることによって、ミョウガ22に茶葉成分を充分に吸収させることができる。
【0042】
その後、図3(e)で示すように、搾り工程S13で搾ったミョウガ22と茶葉添加工程S15で茶葉を添加した漬け溶液をカメ、ビンなどの漬け容器34に入れて茶葉漬けを行う(茶葉漬け工程S16)。茶葉漬け工程S16では、漬け容器34の開口部に蓋36を装着し、冷蔵庫内などの涼しいところに置いて行う。このようにして茶葉漬け工程を5日以上、好ましくは7日以上行うと、漬け溶液にミョウガ22から出た溶液及び茶葉16が混ざり、漬け容器34内のミョウガ22はこの混合溶液38中に充分に浸かり、砂糖、酢及び塩と茶葉33の成分がミョウガ22に吸収され、茶葉成分入りのミョウガ漬物をつくることができる。
【0043】
このように漬けると、ミョウガ22の先端部があざやかな赤色を呈するようになり、色もきれいな漬物となる。また、このミョウガ漬物は、茶葉33の成分が入っているので、カテキン類(例えば、タンニン)などを含む栄養価の高い漬物となり、また茶葉33によってミョウガの味がまろやかとなり、おかずなどとしておいしく食することができ、また酒、ビールのつまみなに適したものとなる。
【0044】
茶葉成分入り野菜漬物の製造方法(3)
図5を参照して、茶葉成分入り野菜漬物の更に他の製造方法について説明する。図5は、野菜漬物の製造方法の更に他の製造方法を示す工程図である。
【0045】
図5において、この野菜漬物の製造方法では、野菜としてラッキョウを用いている。茶葉成分入り野菜(ラッキョウ)漬物を漬ける場合、まず、包丁などを用いてラッキョウの根を切り落とし(根除去工程S51)、根を除去したラッキョウをボールなどに入れて水洗いをする(水洗い行程S52)。そして、水洗いしたラッキョウをすぐにザルなどに入れて塩を振りかけて混ぜ、6〜10時間程度、例えば8時間放置する(塩振り・アク抜き工程)。このとき、水洗いした水分、ラッキョウから出たアク(汁)が落ちるように、ザルを浮かして放置する。
【0046】
一方、塩振り・アク抜き工程S53と並行して茶葉漬けするための漬け溶液を生成する(溶液生成工程S54)。この溶液生成工程S54においては、鍋に砂糖、酢及び塩を入れて沸騰させる。そして、この漬け溶液が50〜70℃、例えば60℃前後まで冷えた時点で茶葉(煎茶)を入れる(茶葉添加工程S55)。溶液生成工程S54におては、ラッキョウ3kgに対して、酢600〜800ml、砂糖600〜800g、塩30〜50g入れて漬け溶液を生成する。また、茶葉添加工程S55においては、上述した漬け溶液に茶葉25〜40g、例えば30g入れ、このように茶葉を入れることによって、ラッキョウに茶葉成分を充分に吸収させることができる。
【0047】
その後、塩振り・アク抜き工程S53でアクを除去したラッキョウと茶葉添加工程S55で茶葉を添加した漬け溶液をカメ、ビンなどの漬け容器に入れて茶葉漬けを行う(茶葉漬け工程S56)。このとき、好みに応じて、赤唐辛子を小さく切って入れるようにしてもよい。この茶葉漬け工程S56においては、漬け容器の開口部に蓋を装着し、冷蔵庫内などの涼しいところに置いて行い、このように茶葉漬けした状態を25日以上、好ましくは30日以上行うと、漬け溶液にラッキョウから出た溶液及び茶葉が混ざり、漬け容器内のラッキョウはこの混合溶液中に浸かり、砂糖、酢、塩及び茶葉の成分がラッキョウに吸収され、茶葉成分入りのラッキョウ漬物をつくることができる。
【0048】
このようにし製造されたラッキョウ漬物は、茶葉の成分が入っているので、カテキン類(例えば、タンニン)などを含む栄養価の高い漬物となり、また茶葉によってラッキョウの味がまろやかになるとともに、ラッキョウ特有の臭いが抑えられ、漬物としておいしく食することができる。
【0049】
茶葉成分入り野菜漬物の製造方法(4)
茶葉成分入り野菜漬物は、ダイコン、ミズナなどでは、上述した製造方法よりももっと簡単につくることができる。野菜としてダイコンを用いてダイコン漬物を漬ける場合、次のようにして漬けることができる。ダイコンを水洗い(水洗い工程)、皮を剥を剥き(皮剥き工程)、漬け容器又は漬け袋の大きさに合わせ、また漬けやすくするために、適当な大きさに切る。
【0050】
このように準備した後、漬け容器又は漬け袋に切ったダイコンを入れ、砂糖、塩及び茶葉を入れて密封し(茶葉添加工程)、このように密封した状態で所定時間茶葉漬けする(茶葉漬け工程)。この茶葉添加工程では、ダイコン2kgに対して砂糖150〜250g、塩70〜100g、茶葉(煎茶)7〜15gを入れて行い、ダイコンをある程度小さく切った場合、20時間以上、好ましくは24時間以上漬けることによって、ダイコンから出た水分に茶葉の成分が溶け出し、溶け出した茶葉成分がダイコンに吸収され、茶葉成分の入ったダイコン漬物ができあがり、また大きいものでも2日、好ましくは3日以上漬けることによってできあがり、おいしく食することができる。尚、好みに応じて、日本酒を入れて漬けるようにしてもよく、ダイコン2kgに対して例えば70〜100ml入れるとおいしく漬けることができる。
【0051】
このようにつくったダイコン漬物でも漬けたダイコンに茶葉成分が吸収され、茶葉によってまろやかな深みのある漬物となる。また、漬け方も非常に簡単で、また1〜3日程度と短い期間でもって漬けることができる。
【0052】
また、野菜としてミズナを用いてミズナ漬物を漬ける場合、次のようにして漬けることができる。ミズナをきれいに水洗い(水洗い工程)、根の部分に塩を振りかけて揉み、漬け容器に入れて塩漬けする(塩漬け工程)。この塩漬けは、漬け容器に入れたミズナの上に押え蓋を載せ、その上に重石を載せて例えば2〜3時間行う。尚、1時間程経過した時点で上下を入れ替えることによって、この塩漬けを早めることができる。
【0053】
この塩漬けの後に、漬け容器からミズナを取り出してアクを搾る(アク抜き工程)。このようにアク抜きすることによって、おいしい漬物をつくることができる。このアク抜きの後、塩漬けしたミズナを再び漬け容器に戻し、茶葉(煎茶)を入れて茶葉漬けを行う(茶葉添加工程、茶葉漬け工程)。この茶葉漬けは、ミズナ850gに対して茶葉8〜15gを入れて行い、塩漬けと同様に、ミズナの上に押え蓋を載せ、その上に重石を載せて行い、例えば3〜5時間漬けるとできあがり、食することができるようになる。
【0054】
このようにつくったミズナ漬物でも漬けたミズナに茶葉成分が吸収され、茶葉によってまろやかな深みのあるものとなる。また、漬け方も非常に簡単で、また3〜5時間程度と非常に短い期間でもって漬けることができ、つくり始めからでも5時間前後でできあがり、家庭でも簡単につけることができる。
【0055】
このような簡単な漬け方は、ハクサイ、キュウリ、ナス、キャベツ、ニンジンなどの漬物に好都合に適用することができる。
茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法
図6及び図7を参照して、茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法について説明する。図6は、茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法の工程の一部を説明するための簡略図であり、図7は,図6のニンニク味噌の製造方法を示す工程図である。
【0056】
図6及び図7において、このニンニク味噌の製造方法では、野菜としてニンニクを用いている。茶葉成分入りニンニク味噌をつくる場合、ニンニク漬物をつくるときと同様に、ニンニク42の皮を剥いて皮や根を取り除き(皮剥き行程S31)、皮を剥いたニンニク42を水洗いし(水洗い工程S32)、ニンニク42に付着した水分を切る。
【0057】
次いで、図6(a)で示すように、フライパン44に油を入れ、こげ色が少しつくまでニンニク42を炒める(油炒め工程S33)。この油炒め工程S33においては、ニンニク400gに対してスプーン一杯程度の油を入れて炒め、その後自然に冷やす。このように炒めることによって、ニンニク42の臭いを消し、殺菌効果を高めることができる。
【0058】
その後、図6(b)で示すように、味噌46、砂糖、茶葉(煎茶)及び冷やしたニンニク42を熟成容器入れて混合する(混合工程S34)。この混合工程S34においては、ニンニク42は、味噌46に対して重量比で1〜3倍、例えば1.6倍の割合で混合され、この混合は、味噌46、砂糖、茶葉及びニンニク42が均一となるように行われる。そして、混合した後、熟成容器46に蓋48を装着して冷蔵庫内などの涼しいところに置いて保存する(保存工程S35)。
【0059】
このようにして保存工程S35を第1所定期間として5日以上、好ましくは7日以上行うと、味噌46に砂糖及び茶葉が溶け込むようになるとともに、ニンニク42も味噌46に幾分溶け込むようになり、そして、茶葉の成分がニンニク2に吸収されるようになる。この段階においては、ニンニク42の味噌46への溶け込みが少なく、茶葉成分入りのニンニク42、また茶葉成分入りの味噌46として食することができる。この段階でも、茶葉成分がニンニク42及び味噌に吸収されるので、ニンニク42特有の臭いが抑えられ、茶葉成分入りニンニク42及び味噌46としておいしく食することができる。
【0060】
また、保存工程S35の開始から15日ほどを経過する(この時期までが第1所定期間となる)と熟成工程S36に移り、この熟成工程S36では、ニンニク42及び茶葉の味噌46への溶け込みが一層進み、熟成工程S36の開始から第2所定期間、例えば1週間程度経過する(例えば、保存工程S35の開始から20日、好ましくは25日以上経過する)と、これらの溶け込みが更に進んで味噌になり、茶葉成分入りニンニク味噌をつくることができる。
【0061】
このようにつくった茶葉成分入りニンニク味噌は、ニンニク42の臭みがほとんど消え、ニンニク成分及び茶葉成分を含んだものとなり、今までにない非常に栄養価の高い味噌ができあがる。この茶葉成分入りニンニク味噌は、図6(C)に示すように、ご飯50にのせたり、おにぎり52にまぶしたり、キュウリなどの漬物54に付けたりして食することができる。
【0062】
茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法
図8及び図9を参照して、茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法について説明する。図8は、茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法の工程の一部を説明するための簡略図であり、図9は、図8のピーマン味噌の製造方法を示す工程図である。
【0063】
図8及び図9において、このピーマン味噌の製造方法では、野菜としてピーマンを用いている。茶葉成分入りピーマン味噌をつくる場合、味噌の味付けのために辛唐辛子も用いられる。ピーマンと辛唐辛子の種を抜き(種抜き工程S41)、種を抜いたピーマン及び辛唐辛子を水洗いする(水洗い工程S42)。そして、ピーマン及び辛唐辛子を小さく切り、図8(a)で示すように、麹、砂糖、醤油(薄口及び濃口)とともに、切ったピーマン及び辛唐辛子をミキサー62のミキサー部64に入れ、どろどろとなるように切断する(切断工程S43)。尚、醤油については、薄口醤油のみを用いてもよく、濃口醤油のみを用いるようにしてもよい。
【0064】
このようにピーマン及び辛唐辛子をどろどろ状態にした後、図8(b)に示すように、この切断混合物66を鍋68に入れ、加熱して0.5〜2分、例えば1分前後沸騰させ、その後、図8(c)に示すように、鍋68に蓋70をしてそのまま放置して冷やす(混合物沸騰工程S44)。混合物沸騰工程S44における沸騰は、所定時間間隔、例えば20〜28時間、例えば24時間前後の間隔をおいて2〜5回行う(即ち、約1日に1回の沸騰を2〜5回行う)のが好ましく、このように沸騰、冷却を繰り返すことによって、後述する麹による発酵を促進させることができる。
【0065】
その後、図8(d)に示すように、この混合物66をビン、カメなどの発酵容器72に入れ、更に茶葉74を加えて均一となるように混合し、保存容器72の開口部に蓋76を装着して密封する(茶葉添加工程S45)。茶葉74は、生成された味噌に溶け込むように均一に混合されるように粉末状のものを用いるのが望ましい。そして、このように密封した状態で涼しいところに置いて発酵させる(発酵工程S46)。
【0066】
発酵工程S46の開始から25日以上、好ましくは30日以上経過すると、麹による発酵が進み、ピーマン及び辛唐辛子が溶け込んで味噌となり、茶葉成分入りピーマン味噌をつくることができる。
【0067】
このようにつくった茶葉成分入りピーマン味噌は、ピーマンの臭いもほとんど消え、ピーマン成分、辛唐辛子成分及び茶葉成分を含んだ非常に栄養価の高い味噌ができあがる。この茶葉成分入りピーマン味噌は、ご飯にのせたり、おにぎりにまぶしたり、キュウリなどの漬物に付けたりして食することができる。
【0068】
実施例
〔実施例1〕
実施例1として、次の通りにして茶葉成分入りニンニク漬物をつくった。使用材料としてニンニク500g、蜂蜜180ml、茶葉(粉末状のもの)10g、塩大さじ1杯(15g)を用意した。まず、ニンニクの皮を剥いて皮や根を取り除き、皮を剥いたニンニクをボールに入れて水洗いし、ザルに水洗いしたニンニク2を入れて1時間程置いて水切りをした。
【0069】
次に、水切りしたニンニクを容器に入れ、塩を加えて5時間程塩漬けをした。その後、容器からニンニクを取り出し、ザルに入れてアク取りをした。その後、漬け容器内に蜂蜜及び茶葉を入れ、蓋を装着して容器を密封した。そして、この密封状態でもって茶葉漬けを10日程度行い、ニンニク漬物をつくった。
【0070】
このニンニク漬物は、ニンニク特有の臭いの少ないものに漬け上がっていた。また、これを食すると、まろやかな味になっており、おいしく食することができた。
また、このようにしてつくったニンニク漬物及びその溶液(ニンニク漬物の溶液)の成分を測定したところ、表1に示す結果が得られた。この測定結果に示すように、漬物溶液には、茶葉の成分であるタンニン(カテキン類)が73mg/100g含まれ、またニンニク漬物(ニンニク果実)には24.7mg/100gのタンニンが含まれていた。このことは、茶葉から溶液中に茶葉成分(タンニン)が溶け出し、溶液中に含まれた茶葉成分がニンニクに溶け込んだことを示しており、茶葉を用いてニンニクを漬け込むことにより、茶葉の成分がニンニクに溶け込むことが確認できた。
【0071】
【表1】

〔実施例2〕
実施例2として、次の通りにして茶葉成分入りミョウガ漬物をつくった。使用材料としてミョウガ2kg、砂糖200g、塩10g、茶葉(煎茶)10g、酢200ml、重石約1kgを用意した。まず、ミョウガをきれいに水洗い、ザルに水洗いしたミョウガを入れて1時間程置いて水切りをした。そして、水切りしたミョウガを容器に入れ、塩をふりかけて12時間程塩漬けを行った。この塩漬けでは、容器内に押え蓋を入れてミョウガの上に載せ、重石を載せて行った。
【0072】
その後、塩漬けしたミョウガを取り出して搾り、付いたアクを取り除いた。一方、砂糖、酢及び塩を鍋に入れて煮立てて漬け溶液を生成し、この漬け溶液が60℃前後まで冷えた時点で茶葉(煎茶)を入れた。そして、搾ったミョウガと茶葉を添加した溶液を漬け容器に入れ、蓋を装着した状態にて冷蔵庫内に置き、このような状態に7日間程置いてミョウガ漬物をつくった。
【0073】
このようにし製造されたミョウガ漬物は、ミョウガの味がまろやかとなり、おかずなどとしておいしく食することができた。また、ミョウガの先端部が赤くなり、見た目もきれいな漬物として漬けあがった。
【0074】
〔実施例3及び比較例〕
実施例3として、次の通りにして茶葉成分入りラッキョウ漬物をつくった。使用材料としてラッキョウ3kg、砂糖700g、塩40g、茶葉(煎茶)30g、酢700ml、赤唐辛子少々を用意した。まず、ラッキョウの根を切り落とし、根を除去したラッキョウをボールに入れて水洗いをし、水洗いしたラッキョウをすぐにザルに入れて塩を振りかけて混ぜ、8時間前後放置してアクを切った。
【0075】
一方、これと並行して茶葉漬けするための漬け溶液を生成した。漬け溶液の生成は、砂糖、酢及び塩を鍋に入れて沸騰させ、この漬け溶液が60℃前後まで冷えた時点で茶葉(煎茶)を入れた。そして、アク抜きしたラッキョウと茶葉を添加した漬け溶液を漬け容器に入れ、更に赤唐辛子を小さく切ってこの漬け容器に入れた。その後、蓋を装着した状態にて冷蔵庫内に置き、このような状態に30日間程置いてラッキョウ漬物をつくった。
【0076】
このようにしつくったラッキョウ漬物は、ラッキョウの味がまろやかとなり、またラッキョウ特有の臭いが抑えられ、おいしく食することができた。
また、このようにしてつくったラッキョウ漬物及びその溶液(ラッキョウ漬物の溶液)の成分を測定したところ、表2に示す結果が得られた。この測定結果に示すように、漬物溶液には、茶葉の成分であるタンニン(カテキン類)が48.0mg/100g含まれ、またラッキョウ漬物(ラッキョウ果実)には59.1mg/100gのタンニンが含まれていた。このことは、茶葉から溶液中に茶葉成分(タンニン)が溶け出し、溶液中に含まれた茶葉成分がラッキョウに溶け込んだことを示しており、茶葉を用いてラッキョウを漬け込むことにより、茶葉の成分がラッキョウに溶け込むことが確認できた。
【0077】
【表2】

比較例として、茶葉を添加することなく、実施例3と同様にしてラッキョウを漬けた。そして、この比較例におけるラッキョウ漬物及びその溶液の成分を測定したところ、表2の比較例に示す通りであった。この漬物溶液のタンニン(カテキン類)の含有量は、1.0mg/100gであり、またラッキョウ漬物のタンニンの含有量は1.0mg/100gであり、ラッキョウ漬物及び漬け溶液にはタンニンがほとんど含まれていなかった。
【0078】
〔実施例4〕
実施例4として、次の通りにして茶葉成分入りニンニク味噌をつくった。使用材料としてニンニク400g、味噌250g、砂糖80g、茶葉10g、油スプーン1杯を用意した。ニンニクの皮を剥いて皮や根を取り除き、皮を剥いたニンニクを水洗いし、ニンニクに付着した水分を切り、このように処理したニンニクをフライパンに入れ、油を加えてこげ色が少しつくまでを炒め、その後自然に冷やした。
【0079】
その後、味噌、砂糖、茶葉(煎茶)及び冷やしたニンニクを熟成容器入れて均一となるように混合し、混合した後、熟成容器に蓋を装着して冷蔵庫内において保存した。そして、この保存の後7日経過段階で冷蔵庫から取り出して蓋を開けたところ、味噌に砂糖及び茶葉が溶け込むとともに、ニンニクも味噌に幾分溶け込んでおり、ニンニク及び味噌としておいしく食することができた。また、この段階では、ニンニク特有の臭いが抑えられていた。
【0080】
その後、再び熟成容器に蓋をして冷蔵庫に入れて更に14日間保存した後に取り出して蓋を開けたところ、ニンニク及び茶葉の味噌への溶け込みが更に進み、ニンニク及び茶葉とはわからない程に味噌に溶け込んでおり、ニンニク味噌としておいしく食することができた。この段階では、ニンニクの臭みがほとんど消え、茶葉及びニンニクとしてほとんどわからず、味噌としておいしく食することができた。
【0081】
〔実施例5〕
実施例5として、次の通りにして茶葉成分入りピーマン味噌をつくった。使用材料としてピーマン500g、辛唐辛子500g、麹1kg、砂糖1kg、醤油(濃口)900ml、醤油(薄口)900ml、茶葉(粉末状のもの)10gを用意した。ピーマンと辛唐辛子の種を抜き、種を抜いたピーマン及び辛唐辛子を水洗いし、水洗いしたピーマン及び辛唐辛子を小さく切り、麹、砂糖、醤油(薄口及び濃口)とともに、切ったピーマン及び辛唐辛子をミキサーに入れてどろどろになるまで切断した。
【0082】
次いで、どろどろ状態の切断混合物を鍋に入れ、加熱して1分前後沸騰させ、鍋に蓋をしてそのまま放置して冷し、この沸騰、冷却を一日に一回行い、合計3日行った。
その後、この混合物を発酵容器に入れ、更に茶葉を加えて均一となるように混合し、発酵容器に蓋を装着して密封した。そして、この密封状態の発酵容器を涼しいところにおいて30日経過したときに蓋を開けたところ、ピーマン、辛唐辛子及び茶葉が溶け込み、ピーマン味噌としておいしく食することができた。このピーマン味噌は、ピーマンの臭いがほとんど消え、味噌としておいしく食することができた。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】茶葉成分入り野菜漬物の製造方法の工程を説明するための簡略図。
【図2】図1の野菜漬物の製造方法を示す工程図。
【図3】茶葉成分入り野菜漬物の他の製造方法の工程を説明するための簡略図。
【図4】図3の野菜漬物の製造方法を示す工程図。
【図5】茶葉入り野菜漬物の更に他の製造方法を示す工程図。
【図6】茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法の工程を説明するための簡略図。
【図7】図5のニンニク味噌の製造方法を示す工程図。
【図8】茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法の工程を説明するための簡略図。
【図9】図7のピーマン味噌の製造方法を示す工程図。
【符号の説明】
【0084】
2,42 ニンニク
16,33,74 茶葉
22 ミョウガ
44 味噌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に野菜を入れて塩で漬ける塩漬け工程と、前記塩漬け工程の後に野菜から出たアクを落とすアク抜き工程と、前記アク抜き工程の後に前記アク抜き工程にてアクを取った野菜を漬け容器に入れて茶葉を添加する茶葉添加工程と、前記茶葉添加工程の後に所定時間漬ける茶葉漬け工程と、を含むことを特徴とする茶葉成分入り野菜漬物の製造方法。
【請求項2】
野菜はニンニクであり、前記塩漬け工程においては、ニンニクを4〜8時間塩漬けし、前記茶葉添加工程においては、茶葉と蜂蜜を入れて密封し、前記茶葉漬け工程においては、ニンニクを8日以上茶葉で漬けることを特徴とする請求項1に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法。
【請求項3】
容器に野菜を入れて塩で漬ける塩漬け工程と、前記塩漬け工程の後に前記容器から野菜を取り出して搾る野菜搾り工程と、砂糖、酢及び塩を入れて沸騰させて漬け溶液をつくる漬け溶液生成工程と、前記漬け溶液生成工程にて生成した前記漬け溶液を冷却した後に茶葉を入れる茶葉添加工程と、前記野菜搾り工程で搾った野菜と前記茶葉添加工程の茶葉入り漬け溶液を漬け容器に入れて所定時間漬ける茶葉漬け工程と、を含むことを特徴とする茶葉成分入り野菜漬物の製造方法。
【請求項4】
野菜はミョウガであり、前記塩漬け工程においては、ミョウガの上に蓋を載せて重石を置いて10〜13時間塩漬けし、前記茶葉漬け工程においては、ミョウガを5日以上茶葉で漬けることを特徴とする請求項3に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法。
【請求項5】
容器に野菜を入れて塩を振りかけて混ぜ、野菜から出るアクを落とす塩振り・アク抜き工程と、砂糖、酢及び塩を入れて沸騰させて漬け溶液をつくる漬け溶液生成工程と、前記漬け溶液生成工程にて生成した前記漬け溶液を冷却した後に茶葉を入れる茶葉添加工程と、前記塩振り・アク抜き工程でアクを除去した野菜と前記茶葉添加工程の茶葉入り漬け溶液を漬け容器に入れて所定時間漬ける茶葉漬け工程と、を含むことを特徴とする茶葉成分入り野菜漬物の製造方法。
【請求項6】
野菜はラッキョウであり、前記塩振り・アク抜き工程においては、ラッキョウに塩を振りかけ、ラッキョウから出るアクが落ちる状態にて6〜10時間置き、前記茶葉漬け工程においては、ラッキョウを25日以上茶葉で漬けることを特徴とする請求項5に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法。
【請求項7】
漬け容器又は漬け袋に野菜を入れ、砂糖、塩及び茶葉を入れて密封する茶葉添加工程と、前記茶葉添加工程の後に所定時間漬ける茶葉漬け工程と、を含むことを特徴とする茶葉成分入り野菜漬物の製造方法。
【請求項8】
野菜は、ハクサイ、ミズナ、キュウリ、ナス、キャベツ、ダイコン又はニンジンであることを特徴とする請求項7に記載の茶葉成分入り野菜漬物の製造方法。
【請求項9】
ニンニクを油で炒める油炒め工程と、前記油炒め工程にて炒めたニンニクを冷やし、味噌、砂糖及び茶葉とともに熟成容器内に入れて混ぜる混合工程と、前記混合工程の後に第1所定期間保存する保存工程と、を含むことを特徴とする茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法。
【請求項10】
ニンニクは味噌に対して重量比で1〜3倍の割合で混合され、前記保存工程の後に第2所定期間熟成されることを特徴とする請求項9に記載の茶葉成分入りニンニク味噌の製造方法。
【請求項11】
ピーマン、麹、砂糖及び醤油をミキサーに入れて小さく切断混合する切断混合工程と、切断混合した混合物を鍋に入れて所定時間間隔で沸騰させる混合物沸騰工程と、前記混合物沸騰工程の後に混合物を冷却した後に茶葉とともに発酵容器に入れる茶葉添加工程と、前記茶葉添加工程の後に所定時間発酵させる発酵工程と、を含むことを特徴とする茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法。
【請求項12】
前記混合物沸騰工程においては、20〜28時間間隔で混合物の沸騰を2〜5回行い、それらの沸騰時間は0.5〜2分間であり、前記発酵工程においては、前記混合物を50日以上発酵させることを特徴とする請求項11に記載の茶葉成分入りピーマン味噌の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−225723(P2009−225723A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75353(P2008−75353)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(596041881)
【出願人】(591226852)
【Fターム(参考)】