説明

草刈機

【課題】草の巻き込みを確実に防止する草刈機を提供する。
【解決手段】草刈機10は、中空のシャフト1、エンジン2、筒状のホルダ3、及び回転鋸4を備える。シャフト1は、操作ハンドル11を中間部に有し、駆動軸12を回転自在に保持する。エンジン2は、シャフト1の基端部に固定され、駆動軸12に回転力を伝動する出力軸21を有する。ホルダ3は、シャフト1の先端部に固定され、駆動軸12から回転力が伝動される回転軸31を保持する。回転鋸4は、ホルダ3から突出した回転軸31の先端部に固定される。又、回転鋸4は、ホルダ3を囲うように上部が開口した円筒状の包囲部材41を有する。エンジン2の内部に配置した回転ファン22からの放熱空気がシャフト1を介して、ホルダ3に開口した複数の噴出孔3hから包囲部材41の上方に向けて放射状に噴出される。これにより、草の巻き込みを確実に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機に関する。特に、原動機、シャフト、及び回転鋸で構成され、シャフトに固定されたハンドルを操作して、草や小径木を刈払う草刈機であって、回転鋸の中心軸に草などが巻きつくことを防止する草刈機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、送電線の巡視路に草木が繁茂してくると、小型エンジンを動力とする両手ハンドル式の草刈機を用いて、これらの草木を刈払うことがある。この刈払い作業では、刈り取られた草や蔓が回転鋸に巻きつき、更に、回転鋸と回転鋸の中心軸を保持するホルダの隙間に入り込んで、回転鋸を停止させることがあった。
【0003】
草や蔓の巻きつきに起因して回転鋸が停止した状態で、エンジンを出力したままであると、回転鋸に回転力を伝動するクラッチが過熱するので、スロットルを操作して、エンジンを停止する必要がある。刈払い作業を再開するためには、回転鋸の中心軸に巻きついた草を除去する必要がある。しかし、刈り取られた草が狭い隙間にきつく巻きついているため、草刈鎌などを用いて草を細断しながら除去する必要があった。このように、従来の草刈機は、回転鋸の中心軸に草などが巻きつく度に、刈払い作業を中断し、作業効率を低下させるという不具合があった。
【0004】
このような不具合を解消するため、回転鋸の中央部をハット(鍔付き帽子)状に膨出させ、刈り取られた草が回転鋸の回転中心に寄せられるときに、膨出部の段部に当たることにより、回転鋸の中心軸に草などが巻きつくことを防止する草刈機用の回転鋸が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
又、このような不具合を解消するため、先端縁が回転鋸の上面から僅かに離間すると共にし、先端部が回転鋸の中心部から外周方向に向けて配置された固定鋏と、この回転鋏と回動自在に軸止された可動鋏と、を備え、ワイヤケーブルを介して可動鋏を手許操作することにより、回転鋸の中心軸に進入する草を切断する草刈機が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
更に、このような不具合を解消するため、先端部が回転鋸の上面に近接するように傾斜配置され、刈払われた草を揚上させる棒状の揚上ガイドと、先端部が回転鋸の上面に近接するように傾斜配置され、刈払われた草を浮離させる棒状の揚上浮離ガイドと、回転鋸と一体に回転し、回転鋸の中心軸を保持するホルダを囲う円筒状のセンターカップと、を備えた草刈機の巻き込み防止装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−139159号公報
【特許文献2】特開2006−204278号公報
【特許文献3】特開2009−22200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1による草刈機用の回転鋸は、細くて長い蔓性の草の巻きつけを防止することは困難であり、細くて長い蔓性の草が巻きついた後に、この細くて長い蔓性の草が太い径の草を巻き込み、回転鋸を停止させるという事態が想定される。
【0009】
又、特許文献2による草刈機は、回転鋸の中心軸に進入する草の一部しか切断できず、切断を見過ごした草が回転鋸と回転鋸の中心軸を保持するホルダの隙間に入り込んで、回転鋸を停止させるという事態が想定される。
【0010】
更に、特許文献3による草刈機の巻き込み防止装置は、回転鋸の中心軸を保持するホルダが埋没する程度に植生した草がホルダに連結したシャフトに巻きつき、これに起因して、これらの草が回転鋸と回転鋸の中心軸を保持するホルダの隙間に入り込んで、回転鋸を停止させる事態が想定される。このように、従来の草刈機は、草の巻き込みを防止することが困難であり、草の巻き込みを確実に防止する草刈機が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、草の刈払い作業を中断しないように、回転鋸の中心軸への草の巻き込みを確実に防止する草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、回転鋸と一体に回転し、回転鋸の中心軸を保持するホルダを囲う円筒状の包囲部材を備えると共に、エンジンの排熱風をシャフトに導入し、排熱風を包囲部材の上方に放射状に噴出させることにより、これらの課題が解決できると考え、これに基づいて、以下のような新たな草刈機を発明するに至った。
【0013】
(1)本発明による草刈機は、駆動軸を回転自在に内部に保持する長尺の中空のシャフトと、このシャフトの基端部に固定され、前記駆動軸に連結して回転力を伝動する出力軸を有するエンジンと、前記シャフトの先端部に固定され、前記シャフトが延びる方向と所定の角度で交差するように、傘歯車装置を介して、前記駆動軸から回転力が伝動される回転軸を回転自在に保持する筒状のホルダと、このホルダから突出した前記回転軸の先端部に着脱自在に固定される円板状の回転鋸と、を備え、前記エンジンは、前記出力軸に連結して回転し、当該エンジンを空冷するための排熱空気を前記シャフトの内部に送風する回転ファンを有し、前記回転鋸は、当該回転鋸と一体に回転し、前記ホルダを囲うように上部が開口した円筒状の包囲部材を有し、前記シャフトを通過した前記排熱空気を内部から前記包囲部材の上方に向けて放射状に噴出している。
【0014】
(2)前記包囲部材は、その外周の端縁が前記シャフトに近接するように延在していることが好ましい。
【0015】
(3)エンジンは、排気用マフラの排気口と前記シャフトを接続し、当該エンジンの排気ガスを前記シャフトの内部に導入する接続管を更に有することが好ましい。
【0016】
(4)前記排熱空気を噴出する複数の噴出孔を覆うメッシュ部材を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明による草刈機は、回転鋸と一体に回転し、ホルダを囲うように上部が開口した円筒状の包囲部材を備え、エンジンの排熱風をシャフトに導入し、排熱風を包囲部材の上方に放射状に噴出させるので、草の巻き込みを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による草刈機の構成を示す正面図である。
【図2】前記実施形態による草刈機の使用状態を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態による草刈機に備わるエンジンを拡大した平面図であり、要部を断面図で示している。
【図4】前記実施形態による草刈機に備わるエンジンを拡大した正面図であり、要部を断面図で示している。
【図5】前記実施形態による草刈機に備わるエンジンの図であり、図5(A)は、図3の要部を拡大した断面図、図5(B)は、図4の要部を拡大した断面図である。
【図6】図4のA−A矢視断面図である。
【図7】前記実施形態による草刈機の先端部を拡大した縦断面図である。
【図8】前記実施形態による草刈機の先端部の図であり、図8(A)は、草刈機の先端部を拡大した正面図、図8(B)は、図8(A)のB−B矢視断面図である。
【図9】前記実施形態による草刈機の概略の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[草刈機の構成]
最初に、本発明の一実施形態による草刈機の構成を説明する。図1は、本発明の一実施形態による草刈機の構成を示す正面図である。図2は、前記実施形態による草刈機の使用状態を示す斜視図である。
【0020】
(全体構成)
図1又は図2を参照すると、本発明の一実施形態による草刈機10は、長尺の中空のシャフト1、エンジン2、筒状のホルダ3、及び円板状の回転鋸4を備えている。シャフト1は、U字状に屈曲された操作ハンドル11を中間部に有している。又、シャフト1は、駆動軸12を回転自在に内部に保持している。
【0021】
図1又は図2を参照すると、エンジン2は、シャフト1の基端部に固定されている。又、エンジン2は、駆動軸12に連結して回転力を伝動する出力軸(クランク軸)21を内部に有している(図3参照)。
【0022】
図1又は図2を参照すると、ホルダ3は、シャフト1の先端部に固定されている。ホルダ3は、傘歯車装置30を介して、駆動軸12から回転力が伝動される回転軸31を回転自在に保持している(図7参照)。回転軸31は、シャフト1が延びる方向と所定の角度で交差している(図7参照)。
【0023】
図1又は図2を参照すると、回転鋸4は、ホルダ3から突出した回転軸31の先端部に着脱自在に固定されている(図7参照)。又、回転鋸4は、ホルダ3を囲うように上部が開口した円筒状の包囲部材41を有している。包囲部材41は、回転鋸4と一体に回転するように、基端部に設けた鍔部(フランジ部)41fが回転鋸4に溶接されている。
【0024】
図1又は図2を参照すると、エンジン2は、出力軸21に連結して回転する回転ファン22を内部に有している(図3参照)。回転ファン22は、エンジン2を空冷するための排熱空気をシャフト1の内部に送風している。一方、ホルダ3は、この排熱空気が内部から包囲部材41の上方に向けて放射状に噴出される複数の噴出孔3hを有している。つまり、草刈機10は、シャフト1を通過した排熱空気を内部から包囲部材41の上方に向けて放射状に噴出している。
【0025】
図1又は図2を参照すると、操作ハンドル11は、一組のグリップ11a・11aを両端部に備えている。操作ハンドル11の中央部は、シャフト1に固定されている。一方のグリップ11aには、エンジン2の回転を制御するためのスロットルレバーなどを備えている。シャフト1は、肩掛け用の吊りベルト11bを備えている。
【0026】
図2を参照して、吊りベルト11bを作業者Mの肩に掛けて、作業者Mが草刈機10を支持すると共に、作業者Mが一組のグリップ11a・11aを把持して、シャフト1の先端部を前後左右に移動しながら、エンジン2によって回転鋸4を回転させることで、草や小径木を刈払うことができる。つまり、実施形態による草刈機10は、両手ハンドル式の草刈機である。又、回転鋸4の回転に伴って、小石などが作業者Mに向けて飛散することを防止する保護カバー13をシャフト1の先端部側に取り付けている。
【0027】
(エンジンの構成)
次に、草刈機10に備わるエンジン2の構成を説明する。図3は、前記実施形態による草刈機に備わるエンジンを拡大した平面図であり、要部を断面図で示している。図4は、前記実施形態による草刈機に備わるエンジンを拡大した正面図であり、要部を断面図で示している。
【0028】
図5は、前記実施形態による草刈機に備わるエンジンの図であり、図5(A)は、図3の要部を拡大した断面図、図5(B)は、図4の要部を拡大した断面図である。図6は、図4のA−A矢視断面図である。
【0029】
図3又は図4を参照すると、実施形態によるエンジン2は、エンジン本体20、燃料タンク20a、エアクリーナ20b、排気用マフラ20cを備えている。エンジン本体20は、ピストンを収容するシリンダブロック(図示せず)と、出力軸(クランク軸)21を両軸支持するクランクケース21cが結合されたエンジンケースを備えている。図示されたエンジン本体20は、一個のピストンの往復運動が出力軸(クランク軸)21の回転運動に変換される単気筒形エンジンを示している。
【0030】
図3又は図4を参照すると、エアクリーナ20bは、燃料タンク20aから供給された燃料を気化する気化器(図示せず)、及びシリンダブロックの内部に清浄な空気を供給できる。排気用マフラ20cは、エンジン本体20で燃焼後の排気ガスが外部へ排出されるときの排気音を低減できる。
【0031】
図3又は図4を参照すると、出力軸21は、その一端部に回転ファン22を同軸上に連結している。回転ファン22は、出力軸21に連動して回転すると、シャフト1に向かって送風できる。つまり、回転ファン22は、エンジン本体20を空冷するための排熱空気をシャフト1の内部に送風できる。
【0032】
図3又は図4を参照すると、エンジン2は、回転ファン22と同軸上にクラッチ23を配置している。回転ファン22の一部は、クラッチ23の内部に延びるクラッチシュー23aを構成している。クラッチ23は、出力軸21の回転数が一定以上になると、遠心力によって、クラッチシュー23aが外周方向に開いて、その回転力をクラッチ本体に摩擦伝動する遠心クラッチとなっている。
【0033】
図3又は図4を参照すると、クラッチ23は、駆動軸12を同軸上に連結している。そして、エンジン本体20を駆動すると、クラッチ23を介して、回転鋸4に所定のトルクを伝動できる(図1又は図2参照)。一方のグリップ11aに備えたスロットルレバーを操作して(図2参照)、エンジン本体20の出力を低減すると、出力軸21と駆動軸12の連結がクラッチ23の部分で遮断される。
【0034】
図3又は図4を参照すると、エンジン2は、箱状の第1シェル2aと、内部に空洞を有する円錐台状の第2シェル2bを備えている。第1シェル2a及び第2シェル2bは、それらの開口部が重なりあって、エンジン2の外殻を構成している。
【0035】
図3又は図4を参照すると、第1シェル2aは、エンジン本体20及び排気用マフラ20cを覆うと共に、燃料タンク20a及びエアクリーナ20bを外付けしている。第1シェル2aは、例えば、硬質の合成樹脂で成形されている。なお、図示はしないが、エンジン本体20及び排気用マフラ20cを覆う部分には、適宜な放熱孔を開口している。
【0036】
図3又は図4を参照すると、第2シェル2bは、回転ファン22及びクラッチ23の覆うと共に、シャフト1の一方の端部を頂部20tに固定している。第2シェル2bは、例えば、強靭性の繊維を頂部20tに含む合成樹脂で成形されている。
【0037】
図5又は図6を参照すると、第2シェル2bは、頂部20tから内部に向けて突出するボス24bを中心部に有している。又、第2シェル2bの頂部20tは、ボス24bと外壁とを結合すると共に、その内部空間を円周方向に放射状に仕切る複数のリブ24cを有している(図6参照)。
【0038】
図6を参照すると、第2シェル2bの頂部20tは、複数のリブ24によって、三つの仕切り空間S1・S2・S3に区画している。仕切り空間S1には、後述するように、排気用マフラ20cから排気ガスが導入され(図4参照)、仕切り空間S1を排気ガスの導入通路とすることができる。なお、仕切り空間S1には、排気用マフラ20cの排気ガスが第2シェル2bの内部に流出しないように、遮蔽壁24dを設けている(図4又は図5(B)参照)。
【0039】
図3又は図4を参照すると、エンジン2は、排気用マフラ20cの排気口に一端部が接続された接続管25を更に備えている。接続管25の他端部は、排気用マフラ20cからの排気ガスが仕切り空間S1に導入されるように、遮蔽壁24dに接続している(図5(B)参照)。そして、仕切り空間S1を介して、排気用マフラ20cからの排気ガスがシャフト1の内部に導入されている(図5(B)及び図6参照)。
【0040】
図6を参照すると、仕切り空間S2・S3には、回転ファン22から排熱空気が導入される(図3又は図5(A)参照)。そして、仕切り空間S2・S3を排熱空気の導入通路とすることができる。
【0041】
図4又は図5(B)を参照すると、第2シェル2bの頂部20tには、仕切り空間S1・S2・S3に到達するまで、シャフト1が挿入されている。そして、シャフト1がねじ241で第2シェル2bの頂部20tに固定されている。つまり、シャフト1を第2シェル2bの頂部20tに挿入することで、駆動軸12の端部をクラッチ23に連結できる。なお、クラッチ23の突出した端部は、一組のベアリング242・242でボス24bに回転可能に支持されている(図3又は図5参照)。
【0042】
(シャフトの構成)
次に、実施形態によるシャフト1の構成を説明する。図3から図5を参照すると、シャフト1は、外管1aと内管1bの二重管で構成している。そして、内管1bに駆動軸12を回転自在に保持すると共に、外管1aと内管1bの間の空間に、回転ファン22の排熱空気、及び排気用マフラ20cの排気ガスを導入して、外管1aと内管1bの間の空間をホルダ3に向けて排出する排出通路としている(図7参照)。例えば、シャフト1は、アルミニウム合金で成形されている。
【0043】
図6を参照すると、シャフト1は、外管1aと内管1bの内部空間を円周方向に放射状に仕切る複数のステイ1cを有している。これらのステイ1cは、外管1a及び内管1bの長手方向に延在している。
【0044】
図6を参照すると、例えば、複数のステイ1cは、外管1aと内管1bの内部空間を三つの仕切り空間S4・S5・S6に区画している。仕切り空間S4には、仕切り空間S1から排気用マフラ20cの排気ガスが導入されると共に(図5(B)参照)、仕切り空間S2から回転ファン22の排熱空気が導入されている(図3又は図5(A)参照)。
【0045】
図6を参照すると、仕切り空間S5には、仕切り空間S2から回転ファン22の排熱空気が導入されている(図3又は図5(A)参照)。仕切り空間S6には、仕切り空間S3から回転ファン22の排熱空気が導入されている(図3又は図5(A)参照)。
【0046】
図5を参照すると、シャフト1の一方の端部(エンジン2側)は、キャップ部材1dで封鎖されている。一方、図7を参照すると、シャフト1の他方の端部(ホルダ3側)は、リング部材1eを取り付けているが、リング部材1eには、複数の排出口11eを開口している。これにより、回転ファン22の排熱空気、及び排気用マフラ20cの排気ガスをホルダ3に向けて排出できる。
【0047】
(ホルダの構成)
次に、実施形態によるホルダ3の構成を説明する。図7は、前記実施形態による草刈機の先端部を拡大した縦断面図である。図8は、前記実施形態による草刈機の先端部の図であり、図8(A)は、草刈機の先端部を拡大した正面図、図8(B)は、図8(A)のB−B矢視断面図である。
【0048】
図7を参照すると、ホルダ3は、二つの筒体が所定の交差角度で合体した形状になっており、傘歯車装置30を内部に収容している。傘歯車装置30は、二軸が所定の角度で交差し、互い噛み合う第1傘歯車(ベベルギヤ)3aと第2傘歯車(ベベルギヤ)3bで構成している。
【0049】
図7を参照すると、第1傘歯車3aには、駆動軸12の端部が連結されている。又、第1傘歯車3aの軸部は、ホルダ3に内装された一組のベアリング31a・31aによって、回転自在に片軸支持されている。一方、第2傘歯車3bには、回転軸31が連結されている。回転軸31は、一対のベアリング32b・33bによって、回転自在に両軸支持されている。これにより、駆動軸12の回転を回転軸31に伝動できる。なお、ホルダ3には、回転軸31の軸方向への移動を阻止するスラストベアリングを設けている。
【0050】
図8(B)を参照すると、一組のベアリング31a・31aを支持する内壁には、複数の排気溝31mを外周方向に穿設している。図7を参照すると、これらの排気溝31mは、外管1aと内管1bの間の空間とホルダ3の内部空間を連通している。これにより、回転ファン22の排熱空気、及び排気用マフラ20cの排気ガスをホルダ3の内部空間に導入できる(図3又は図4参照)。そして、回転ファン22の排熱空気、及び排気用マフラ20cの排気ガスを複数の噴出孔3hから噴出(排出)できる。
【0051】
図7又は図8を参照すると、複数の噴出孔3hは、メッシュ部材3mで覆われている。メッシュ部材3mは、網目が細かく形成されており、回転ファン22の排熱空気、及び排気用マフラ20cの排気ガスが噴出孔3hから噴出することを阻害しないが、塵芥などの進入を阻止できる。
【0052】
(回転鋸の構成)
次に、実施形態による回転鋸4の構成を説明する。図7を参照すると、回転鋸4は、一組のリング状のチャック部材35・36で挟持されるように取り付けられている。チャック部材35は、回転軸31の先端部に固定されている。そして、チャック部材36を介して、回転軸31の先端部にナット3nが締結されることで、回転鋸4を回転軸31の先端部に固定できる。
【0053】
図7又は図8を参照すると、回転鋸4は、ホルダ3を囲うように上部が開口した円筒状の包囲部材41を有している。包囲部材41は、その外周の端縁がシャフト1に近接するように延在している。これにより、刈り取られた草がホルダ3に連結した回転軸31に巻きつくことを防止できる。
【0054】
[草刈機の作用]
次に、実施形態による草刈機10の作用及び効果を説明する。図9は、前記実施形態による草刈機の概略の構成を示す縦断面図である。
【0055】
図9を参照すると、草刈機10は、回転鋸4と一体に回転し、ホルダ3を囲うように上部が開口した円筒状の包囲部材41を備え、回転鋸4と包囲部材41の基端部を溶接で隙間を無くすことで、刈り取られた草がホルダ3に連結した回転軸31に巻きつくことを防止できる。又、刈り取られた草が包囲部材41に巻きついても、回転鋸4と一体に回転するので、回転鋸を容易に停止させないという効果がある。
【0056】
又、図9を参照すると、エンジン2の内部に配置した回転ファン22からの放熱空気がシャフト1を介して、ホルダ3に開口した複数の噴出孔3hから包囲部材41の上方に向けて放射状に噴出されるので、包囲部材41の内部に進入しないように刈り取られた草を飛散できる。
【0057】
更に、図9を参照すると、複数の噴出孔3hからは、排気用マフラ20cからの排気ガスが噴出されるので、刈り取られた草を飛散する相乗効果がある。又、実施形態による草刈機10は、排気用マフラ20cからの排気ガスが、作業者M(図2参照)から離れた箇所から排出されるので、排気ガスの吸引を緩和できるという効果もある。
【0058】
又、図8を参照すると、複数の噴出孔3hは、網目の細かいメッシュ部材3mで覆われているで、草の刈り込みに伴う塵芥などの進入を阻止できる。
【0059】
このように、本発明による草刈機は、以下の効果がある。
(1)草が容易に巻きつかないので、作業効率を向上できる。
(2)巻きついた草を除去するための草刈鎌など常備する必要がなくなる。
(3)両手ハンドル式の草刈機は、草が巻きつき易いというイメージを払拭できる。
(4)エンジンの排気ガスが作業者から離れた箇所から排出されるので、作業環境を改善できる。
【0060】
本発明による草刈機は、排気用マフラの排気ガスは、エンジンの内部から接続管を介してシャフトに導入される実施形態を開示したが、この接続管がエンジンの外部に出た後に、シャフトに接続される構成としてもよい。
【0061】
又、回転ファンの排熱空気、及び排気用マフラの排気ガスは、包囲部材の上方に向けて、ホルダから噴出する実施形態を開示したが、包囲部材の上方に向けて、シャフトの末端部から排熱空気及び排気ガスを噴出させることもでき、包囲部材の上方に向けて、シャフトとホルダの接続部から排熱空気及び排気ガスを噴出させることもでき、実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0062】
1 シャフト
2 エンジン
3 ホルダ
3h 噴出孔
4 回転鋸
10 草刈機
11 操作ハンドル
12 駆動軸
21 出力軸
22 回転ファン
30 傘歯車装置
31 回転軸
41 包囲部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を回転自在に内部に保持する長尺の中空のシャフトと、
このシャフトの基端部に固定され、前記駆動軸に連結して回転力を伝動する出力軸を有するエンジンと、
前記シャフトの先端部に固定され、前記シャフトが延びる方向と所定の角度で交差するように、傘歯車装置を介して、前記駆動軸から回転力が伝動される回転軸を回転自在に保持する筒状のホルダと、
このホルダから突出した前記回転軸の先端部に着脱自在に固定される円板状の回転鋸と、を備え、
前記エンジンは、前記出力軸に連結して回転し、当該エンジンを空冷するための排熱空気を前記シャフトの内部に送風する回転ファンを有し、
前記回転鋸は、当該回転鋸と一体に回転し、前記ホルダを囲うように上部が開口した円筒状の包囲部材を有し、
前記シャフトを通過した前記排熱空気を内部から前記包囲部材の上方に向けて放射状に噴出している草刈機。
【請求項2】
前記包囲部材は、その外周の端縁が前記シャフトに近接するように延在している請求項1記載の草刈機。
【請求項3】
前記エンジンは、排気用マフラの排気口と前記シャフトを接続し、当該エンジンの排気ガスを前記シャフトの内部に導入する接続管を更に有する請求項1又は2記載の草刈機。
【請求項4】
前記排熱空気を噴出する複数の噴出孔を覆うメッシュ部材を更に備える請求項1から3のいずれかに記載の草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−66413(P2013−66413A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206572(P2011−206572)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】