説明

荷崩れ防止バンド

【課題】荷の周囲に簡単に係止具を仮止めできるようにし、作業者一人で荷の周囲に巻き回して締めることができる荷崩れ防止バンドを提供する。
【解決手段】バンド本体2を係止具3の係止枠4の係止体5がある片面側とは反対側から通して係止体5に巻き回しし、巻き回したバンド本体2の折り返し部分13を係止枠4に通して、バンド本体2の係止具3に対する引っ張りにより係止体5と係止枠4との間で折り返し部分13を挟み込み、バンド本体2と係止枠4との間で折り返し部分13を挟み込みして、係止具3がバンド本体2を係止状態に維持する荷崩れ防止バンド1であり、この荷崩れ防止バンド1の係止具3における係止枠4の係止体5がある片面側とは反対側の片面に、芯部を合成樹脂材などからなる硬質の板材とした差し込み板6をバンド本体2の長手方向に回動可能にしてかつ着脱可能に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパレットなどに箱体を複数段にして積み上げた荷が崩れるのを防止する荷崩れ防止バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から各種物品を収めた多くの箱体を輸送する場合には、これらをパレット上に複数段にして積み上げた荷姿にし、積み上げた状態のままその周囲をストレッチフィルムで幾重にも巻いて輸送時に荷崩れを生じさせいないように図られている。
また、このような荷姿で搬入されてきた荷について必要に応じてストレッチフィルムを取り外している。そして、パレット上で荷をばらして箱体全てをパレットから持ち出す様な場合はよいが、パレット上に複数の箱体を残す形で一個ずつや複数個にして定期的に、あるいは不定期に持ち出す場合には、そのパレット上での積み重ね状態が不安定になり易く、再度ストレッチフィルムで巻き締めを行なっている。
しかしながら、ストレッチフィルムを用いる巻き締め装置が必要となるとともに、箱体を持ち出しする都度、荷に巻かれたストレッチフィルムを取り除く必要があり、ゴミの増大を招き、不経済な面も問題となっている。
【0003】
このようなことから、積み上げた箱体の間に差し入れる差し込み片を一端に有したバンドで荷を巻き、そのバンドの端部同士を面ファスナで分離可能に連結するようにした荷崩れ防止バンド(特許文献1)や、バンドの一端に二重のD環を用いたバンド止め付け部分を設け、バンドの他端をその止め付け部分に係止させて巻き締めが行なえる荷崩れ防止バンドが提案されている。二重のD環による止め付け部分は服飾で用いられているような小形のものでははく、大きな締め付け力が得られるとともに、バンドの係止が比較的に容易に解除できる必要があることから、大型のものとなっている場合が多い。
【0004】
例えば、バンドの一端に位置する係止具を、係止枠とこの係止枠の片面側で回動可能にして、前記係止枠のバンド側とは反対となる係止辺部側に配置できる棒状部を有した係止体とからなるものとしている。これらの係止枠及係止体自体は金属や合成樹脂材からなるものである。そして、バンドの他端を、係止枠の前記係止体がある片面側とは反対側からこの係止枠に通して前記係止体の棒状部に巻き回しし、さらに、巻き回したバンドの他端の折り返し部分を、棒状部と係止辺部との間を経て係止枠に通すようにしてこれを引き出し、バンドの他端の係止具に対する引っ張りによって棒状部と係止辺部との間で前記折り返し部分を挟み込みさせ、かつ、バンドの他端と係止辺部との間で折り返し部分を挟み込みして、係止具がバンドを係止状態に維持するものとしており、係止具のバンドに対する係止手法は従来から知られている二重のD環を用いた手法と同様のものとし、そして、係止具のバンドに対する係止を解除させ易くするために、係止体に解除ベルトを設けてその係止体を係止枠から引き起こしできるようにした工夫がある(特許文献2)。
【特許文献1】特許3167123公報
【特許文献2】実開昭62−115380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記差し込み片を有する荷崩れ防止バンドでは、バンド端部の連結を面ファスナを介して行なうものであるため、荷の周囲に巻き回すことのできる長さが限定されるものであるが、積み上げた箱体の間に差し込み片を位置させることで係止具自体を荷の側面に仮に止めておくことができ、作業者一人でバンドを荷の周囲に巻く作業を行なう場合に有用である。
しかしながら、差し込み片自体の剛性が極めて小さく、密に並べられた箱体の間にこの差し込み片を差し入れようとしても曲がり易いものである。そして、隙間を広げるために箱体をずらすと荷崩れを招く可能性があり、差し込み片の差し込み自体が簡単には行なえないという問題があった。
そこで本発明は、荷の周囲に簡単に係止具を仮止めできるようにすることを課題とし、作業者一人で荷の周囲に巻き回して締めることができる荷崩れ防止バンドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、バンド本体とこのバンド本体の一端に位置する係止具とを備え、前記係止具は、バンド本体の一端に形成したループに取り付けられた係止枠と、この係止枠の片面側で回動可能にして取り付けられて、前記係止枠のループ側とは反対となる係止辺部側に配置できる棒状部を有した係止体とからなり、バンド本体の他端を前記係止枠の前記係止体がある片面側とは反対側からこの係止枠に通して前記係止体の棒状部に巻き回しし、この巻き回したバンド本体の他端の折り返し部分を前記棒状部と前記係止辺部との間を経て係止枠に通して、バンド本体の他端の係止具に対する引っ張りにより前記棒状部と前記係止辺部との間で前記折り返し部分を挟み込みするとともにバンド本体と係止辺部との間で折り返し部分を挟み込みして、係止具がバンド本体を係止状態に維持できる構成とした荷崩れ防止バンドにおいて、前記係止枠の前記係止体がある片面側とは反対側の片面に、芯部を合成樹脂材などからなる硬質の板材とした差し込み板がバンド本体の長手方向に回動可能にしてかつ着脱可能に取り付けられていることを特徴とする荷崩れ防止バンドを提供して、上記課題を解消するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の箱体を並べてなる荷に対して荷崩れを生じさせないように巻き回す荷崩れ防止バンドであって、係止具に硬い指し込み板部を備えているので、前記差し込み板を箱体の間に差し入れる場合にその差し込み板が変形せずに確実に入り込むようになり、よって係止具を荷に対して簡単に仮固定させることができ、作業者一人で荷崩れ防止バンドを荷の周囲に巻き回すことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに本発明を図1から図4に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図中1は荷崩れ防止バンドで、該荷崩れ防止バンド1はバンド本体2とこのバンド本体2の一端に形成されたループが通るようにして取り付けられている係止具3とを備えている。バンド本体2は合成樹脂繊維を帯状に編んでなるもので、各種物品を収納した箱体をパレット上に並べ置き、さらに複数段にして積み重ねた堰重状態とした荷を巻き締めて荷崩れを防止する用途に応じた強度と柔軟性を有する。
係止具3は、図示のように合成樹脂製の略方形の係止枠4に、係止体5と差し込み板6とを取り付けたもので、係止枠4では、バンド本体2のループ部分が掛かっているループ側辺部7と後述するようにバンド本体2の他端側が掛かる係止辺部8とが相対し、前記ループ側辺部7に偏倚した位置にこのループ側辺部7と平行にして円柱状の枢軸部9が一体に設けられており、この枢軸部9に取り付けることで前記係止体5が係止枠4の片面に重なり、また係止枠4から起きるように回動可能とされている。
【0009】
上記係止体5は、この係止体5を係止枠4の係止辺部8側に倒し重ねるようにしたときにその係止辺部8に一部分が重なる棒状部10の端部側から支持部11を上記枢軸部9側に延設した略コ字型にして成形された合成樹脂製のものであり、支部部11の端部それぞれに枢軸部9に着脱可能にして係止する略C字状のフック部12を備えて、前記フック部12で係止した状態で係止体5が枢軸部9を中心として支持枠4の片面側で回動可能とされている。
係止枠4と係止体5とからなる係止具3は、従来の二重のD環によるベルトの止め付け手法と同様にしてバンド本体2の他端側を止め付けることができるようにしたものであり、荷の周囲にこの荷崩れ防止バンドを巻き回して、バンド本体の他端側を以下のように係止させ、係止状態が維持できるようにしている。
図3に示すように、バンド本体2の他端を係止枠4の係止体5がある片面側とは反対側からこの係止枠4に通すとともに、係止体5の内側(棒状部10の内縁側)に通す、。そして前記棒状部10に巻き回しし、この巻き回したバンド本体2の他端の折り返し部分13を棒状部10と係止辺部8との間を経て係止枠4に通してバンド本体自体に沿わせるようにする、さらに、折り返し部分13であるバンド本体2の他端を引き出して荷を巻き締める。このようにすれば、バンド本体2の係止具3に対する引っ張りにより棒状部10と係止辺部8との間で折り返し部分13が挟み込みされて保持される。さらに係止具3に差し入れる側であって荷への巻き締めで張力が生じているバンド本体2と係止辺部8との間で折り返し部分13を挟み込みして保持し、これよって係止具3がバンド本体2を係止状態に維持でき、荷の巻き締めが維持される。
【0010】
上記差し込み板6は合成樹脂製で硬質とした板状の芯部14の両面に発泡ゴムシートなどの表面滑性の低い薄形のクッションシート15を取り付けたもので、前記芯部14に略C字状のフック部16を一体に設けて、このフック部16を介して上記係止枠4の枢軸部9に回動可能にして、かつ着脱可能にして、係止枠4の上記係止体5が位置する側の片面とは反対側の片面に配置されている。
このように本荷崩れ防止バンド1においては、荷の箱体の間に差し入れるときに撓むことのない板状の差し込み板6を係止具3に設けているため、荷崩れ防止バンド1を荷の周囲に巻き回す際に前記差し込み板6を荷の箱体の間に差し入れることで係止具3が仮止めされるようになり、作業員一人でバンド本体2を荷に巻き回すことができるようになる。また、差し込み板6が着脱可能にして係止具3に取り付けられているので、この差し込み板6が不要であるときに単に取り外すだけでよく、係止具3の仮止めを行なわない巻き締めにも対応できる。勿論、この場合、差し込み板6をバンド本体2のループ側に倒し込んでも、係止具3の仮止めを行なわない巻き締めが行なえる。
【0011】
なお、本実施の例において、巻き締めした荷崩れ防止バンド1において、係止具3のバンドに対する係止を解除する作業を行ない易くするために、上記係止体5の棒状部10の両端それぞれに延設部17が一体に設けられていて、係止枠4への重ね合わせ状態でその係止枠4の上下端位置より延設部17が突出するようにしており、この延設部17に指先などを掛けて係止体5を係止枠4から引き起こすことで、係止していたバンド本体を引き出して係止具3のバンド本体に対する係止を解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る荷崩れ防止バンドの一例を示す説明図である。
【図2】一例における係止具を差し込み板を取り外した状態で示す説明図である。
【図3】バンド本体の係止具に対する係止を示す説明図である。
【図4】一例の使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0013】
1…荷崩れ防止バンド
2…バンド本体
3…係止具
4…係止枠
5…係止体
6…差し込み板
7…ループ側辺部
8…係止辺部
9…枢軸部
10…棒状部
11…支持部
13…折り返し部分
17…延設部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンド本体とこのバンド本体の一端に位置する係止具とを備え、前記係止具は、バンド本体の一端に形成したループに取り付けられた係止枠と、この係止枠の片面側で回動可能にして取り付けられて、前記係止枠のループ側とは反対となる係止辺部側に配置できる棒状部を有した係止体とからなり、
バンド本体の他端を前記係止枠の前記係止体がある片面側とは反対側からこの係止枠に通して前記係止体の棒状部に巻き回しし、この巻き回したバンド本体の他端の折り返し部分を前記棒状部と前記係止辺部との間を経て係止枠に通して、バンド本体の他端の係止具に対する引っ張りにより前記棒状部と前記係止辺部との間で前記折り返し部分を挟み込みするとともにバンド本体と係止辺部との間で折り返し部分を挟み込みして、係止具がバンド本体を係止状態に維持できる構成とした荷崩れ防止バンドにおいて、
前記係止枠の前記係止体がある片面側とは反対側の片面に、芯部を合成樹脂材などからなる硬質の板材とした差し込み板がバンド本体の長手方向に回動可能にしてかつ着脱可能に取り付けられていることを特徴とする荷崩れ防止バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−51551(P2009−51551A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221239(P2007−221239)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(505094733)プリンス・インターナショナル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】