説明

荷役装置付運搬車

【課題】荷役装置付運搬車において、キャブ上面よりも低い位置でもプラットフォームを延長して荷箱内から容易にアクセス可能とする。
【解決手段】荷役装置付運搬車前方のキャブの後方に荷役装置を設け、この荷役装置に荷箱10を車体に対して昇降可能に支持させる。荷箱10に左右の少なくとも一方へ延長可能な延長プラットフォーム20を設ける。この延長プラットフォーム20により、人や荷物が荷箱10内から荷箱10外へアクセスできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走可能な車体のキャブの後方に位置した荷箱と、この荷箱を車体に対して昇降可能に支持する荷役装置とを備えた荷役装置付運搬車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、前方にキャブを有する自走可能な車体と、このキャブの後方に位置した荷箱と、この荷箱を上記車体に対して昇降可能に支持する荷役装置とを備えた荷役装置付運搬車は知られている。
【0003】
例えば、特許文献1乃至3には、運転台(キャブ)を前方に有する自走可能な車台と、この車台に対して昇降可能に設けられた作業台(荷箱)と、この作業台の前面に取り付けられるプラットフォームとを備える高所作業車が開示されている。
【0004】
この高所作業車のプラットフォームは、作業台が降下した位置にあるときに運転台の上方に位置し、荷役装置によって作業台を昇降する途中で作業台と共に合体するように構成されている。作業台が最も降下した位置では、作業台の下部はキャブの上面よりも下側にある。上昇位置において、プラットフォームが伸張され、作業台から中型又は大型の旅客機内へアクセス可能となっている。
【特許文献1】特開2005−225569号公報
【特許文献2】特開2005−231874号公報
【特許文献3】特開2005−231894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、居住性を重視するため、荷役装置付運搬車のキャブの上面の高さが高くなる傾向にある。従来の荷役装置付運搬車では、プラットフォームがキャブの上方にあるため、作業台がその位置に来たときにプラットフォームと作業台とが合体し、プラットフォームが延長可能となる。このことから、プラットフォームをそのキャブの上面よりも低い位置で延長させることができない。このため、従来の荷役装置付運搬車は、高さの低い位置に連結口を有する小型の旅客機等に使用できず、特に車椅子やストレッチャーを利用する乗客が利用できないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャブ上面よりも低い位置でもプラットフォームを荷箱外方へ延長して荷箱内から容易にアクセス可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、プラットフォームをキャブの後方の荷箱に配置し、側方へ延長可能とした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、前方にキャブを有する自走可能な車体と、
上記キャブの後方に位置した荷箱と、
上記荷箱を上記車体に対して昇降可能に支持する荷役装置とを備えた荷役装置付運搬車を対象とする。
【0009】
そして、上記荷役装置付運搬車では、
上記荷箱には、上記キャブよりも後方に位置すると共に、該荷箱左右外方の少なくとも一方へ延長される延長プラットフォームが、人や荷物が該荷箱内から荷箱外へアクセス可能となるように、設けられている。
【0010】
上記の構成によると、延長プラットフォームは、キャブの後方の荷箱の側面から延長されるので、荷役装置によってキャブ上面よりも低い位置に上昇された状態でも側方へ延長可能となる。このため、乗客は車椅子やストレッチャーに乗ったまま延長プラットフォームを通って荷箱内から低い位置に連結口のある小型の旅客機にアクセス可能となる。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記荷箱は、左右側面の少なくとも一方に開閉可能なアクセス用扉を備え、
上記延長プラットフォームは、上記荷箱内に収納可能とされる一方、開状態の上記アクセス用扉を通じて該荷箱内から荷箱外へ水平にスライド移動することにより該荷箱外方へ延長可能に構成されている。
【0012】
上記の構成によると、荷役装置で荷箱を上昇させた後、アクセス用扉を開いて延長プラットフォームをスライド移動させることにより、延長プラットフォームが荷箱の外方へ延長される。このため、キャブ上面よりも低い位置に上昇された状態でも延長プラットフォームが延長されるので、車椅子やストレッチャーに乗った乗客が小型の旅客機等にアクセス可能となる。また、延長プラットフォームの不使用時には、アクセス用扉を閉じた状態で荷箱内に収納されるので、延長プラットフォームが雨ざらしにならず、延長プラットフォーム及びそれを移動させる機構の耐久性が向上すると共に、見映えがよい。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
上記延長プラットフォームは、油圧シリンダによって水平にスライド移動されることで延長状態又は収納状態に切換可能に構成され、
上記油圧シリンダは、上記延長プラットフォームが該油圧シリンダの伸長時に左右一方に延長されると共に、縮小時に他方に延長されるように配置されている。
【0014】
上記の構成によると、延長プラットフォームは、一本の油圧シリンダを伸張したときに左右一方へ延長され、縮小したときに他方に延長され、半分だけ伸張させて中立位置で収納状態となる。このため、延長プラットフォームの延長操作に左右方向で別々のシリンダを使用する場合と比較して構造が極めて簡単となり、軽量化及び省スペース化が可能であると共に、プラットフォームの延長及び収納作業が容易である。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、
上記延長プラットフォームの延長側端部には、水平位置と起立位置とに切換可能な追加プラットフォームが設けられている。
【0016】
上記の構成によると、延長プラットフォームを荷箱の側方に延長した状態で、さらに追加プラットフォームを倒すことにより、連結口が遠くにある小型旅客機等へのアクセスがさらに容易になる。また、油圧シリンダのストロークを小さくしても延長プラットフォームの荷箱左右側面からの延長量(張り出し量)を多くできるので、追加プラットフォームを設けない場合と比較して小さな油圧シリンダを採用でき、油圧機構をコンパクトにすることができる。
【0017】
第5の発明では、第1の発明において、
上記延長プラットフォームは、上記荷箱の左右側面の少なくとも一方に、水平位置と収納位置とに起伏可能に設けられ、
上記水平位置にある延長プラットフォームへ上記荷箱内から人や荷物がアクセス可能に構成されている。
【0018】
上記の構成によると、延長プラットフォームは、起立させた状態で収納されると共に、伏せた状態で、キャブ後方の荷箱の側方へ延長されて荷箱内から荷箱外へアクセス可能となる。このため、荷役装置によってキャブ上面よりも低い位置に上昇された状態でも延長され、小型の旅客機等にアクセス可能となる。このため、乗客は車椅子やストレッチャーに乗ったまま小型の旅客機に搭乗可能である。
【0019】
第6の発明では、第5の発明において、
上記荷箱の左右側面の少なくとも一方には、内側へ凹んだ収納凹部が形成され、
上記延長プラットフォームは、収納位置で上記収納凹部に収納されるように構成されている。
【0020】
上記の構成によると、延長プラットフォームは、収納位置で荷箱の側面の収納凹部に収納されるので、車幅制限による荷箱全体の容積の減少は最小限となる。
【0021】
第7の発明では、第1乃至第6のいずれか1つの発明において、
上記荷箱の床面と上記延長プラットフォームの通行面とは、略連続している。
【0022】
上記の構成によると、延長プラットフォームを延長した状態で延長プラットフォームの通行面と荷箱の床面とが略連続しているので、車椅子やストレッチャーに乗った乗客の搭乗が極めて容易に行われる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、自走可能な車体のキャブの後方に荷箱を設け、この荷箱を荷役装置により車体に対して上昇させた状態で延長プラットフォームを荷箱の左右の少なくとも一方へ延長させ、荷箱内から荷箱外へアクセス可能としたことにより、キャブ上面よりも低い位置でもプラットフォームを延長して荷箱内から容易にアクセスすることができるので、車椅子やストレッチャーに乗った乗客でも高さの低い連結口を有する小型旅客機等に極めて簡単かつ安全に搭乗することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施形態1)
図1及び図2に本発明の実施形態1にかかる荷役装置付運搬車1を示す。この荷役装置付運搬車1は、前方にドライバー等が収容されるキャブ2を有する自走可能な車体3を備えている。この車体3の後方には、シザーズ式の荷役装置4を備えている。この荷役装置4は、車体の前後に下端側がそれぞれ回転可能に支持され、側面視X字状に組み合わされる昇降部材5と、一端が車体3に連結され、他端が昇降部材5の中間に連結された昇降用油圧シリンダ6とを備えている。車体3の後端部には、起伏及び昇降可能なリフター7が設けられている。車体3の四角には、車体3の安定度を向上させるためのアウトリガー8が設けられている。
【0026】
上記昇降部材5の先端には、直方体状の荷箱10が連結されている。具体的には、昇降部材5の前側先端5aには、荷箱10の前側下面が回転自在に連結され、昇降部材5の後側先端5bは、荷箱10の後側下面に設けたレール部11にスライド自在に連結されている。このことで、荷箱10は、キャブ2の後方に位置し、荷役装置4により昇降可能に支持されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、荷箱10の後面には、後方扉12が設けられ、側面には、複数のガラス窓13や通気孔14が設けられている。荷箱10の前側左右側面には、外側へ開くように開閉可能なアクセス用扉15が設けられている。このことで、荷箱10内は風雨にさらされないように構成され、内部には、車椅子やストレッチャーに乗った乗客や、機内食等が収納可能となっている。
【0028】
図5〜図12に示すように、この荷箱10の前側内部には、荷箱10内から荷箱10外へアクセス可能とする延長プラットフォーム20が収納されている。延長プラットフォーム20は、車幅方向(以下、左右方向とする)左右のいずれにも延長可能となっている。
【0029】
具体的には、図9等に示すように、延長プラットフォーム20は、左右方向の長さが荷箱10の幅よりも若干短いプラットフォーム本体21を備えている。プラットフォーム本体21は、鋼板の裏面側に左右方向に所定の間隔をあけて前後に延びる複数の前後方向補強部材21aが溶接され、前後方向両端には左右方向に伸びる左右方向補強部材21bが溶接されている。各左右方向補強部材21bには、前後方向に所定の距離をあけて一対のローラ機構22が嵌め込まれている。図11に拡大して示すように、ローラ機構22は、ローラ22aとローラ22aを回転自在に支えるベアリング部22bとを備え、ベアリング部22bが長手方向補強部材21bに嵌め込まれている。また、荷箱10の床面と延長プラットフォーム20の通行面とは、略連続している。
【0030】
一方、図10に示すように、荷箱10の床面には、一対の主桁10aが互いに間隔をあけて前後方向に伸び、この一対の主桁10aには、前後に間隔をあけてレール部23が固定されている。図11に拡大して示すように、レール部23は、主桁10aに固定される取付部23aとレール部材23bとレール部材23bを補強する補強部材23cとからなる。このレール部材23bにローラ機構22のローラ部22aが挿入されることで、延長プラットフォーム20がレール部23に沿って左右方向にスライド移動可能となっている。
【0031】
図9及び図10に示すように、延長プラットフォーム20の長手方向(左右方向)両端部には、水平位置と起立位置とに切換可能な追加プラットフォーム30が設けられている。この追加プラットフォーム30は、追加プラットフォーム本体31を備えている。追加プラットフォーム本体31は、鋼板の裏面側にその左右方向に所定の間隔をあけて前後に延びる複数の前後方向補強部材31aが溶接され、前後方向両端裏面には左右方向に伸びる左右方向補強部材31bが溶接されている。この左右方向補強部材31bには、延長プラットフォーム20側に回転可能に支持されるための被支持用ブラケット31cが設けられている。この被支持用ブラケット31cに延長プラットフォーム20側に同様に設けた支持用ブラケット21cを合わせた状態で回転軸32が挿入されている。追加プラットフォーム30の延長側端部には、衝撃防止用部材30aが設けられている。
【0032】
一対のレール部23の左側下面には、前後方向に延びるチューブ取付用部材34が架け渡されている。図11に示すように、このチューブ取付用部材34の長手方向中央上面には、前後に延びるチューブ取付ブラケット35が設けられている。チューブ取付ブラケット35には、ピン挿通孔35aが形成されている。一方、図10に示すように、延長プラットフォーム20の右側下面には、ロッド取付用部材36が架け渡されている。図12に示すように、ロッド取付用部材36の長手方向中央には、ロッド取付ブラケット37が設けられている。ロッド取付ブラケット37には、ピン挿通孔37aが形成されている。そして、荷箱10側のチューブ取付ブラケット35にアクチュエータとしての油圧シリンダ40のチューブ40a側を挿入してピン挿通孔35aにチューブ側ピン38を挿入すると共に、延長プラットフォーム20側のロッド取付ブラケット37に油圧シリンダ40のロッド40bを挿入してピン挿通孔37aにロッド40b側ピン39を挿入することで、油圧シリンダ40の両端がそれぞれ延長プラットフォーム20又は荷箱10に連結されている。
【0033】
このように構成することで、延長プラットフォーム20は、油圧シリンダ40によって水平にスライド移動されることで延長状態又は収納状態に切換可能に構成されている。つまり、延長プラットフォーム20は、一本の油圧シリンダ40を伸張したときに左方へ延長され、縮小したときに右方に延長され、半分だけ伸張させて中立位置で収納状態となるように構成されている。このため、構造が極めて簡単となり、軽量化及び省スペース化が可能となっている。
【0034】
−作動−
次に、本実施形態にかかる荷役装置付運搬車1の作動について説明する。
【0035】
まず、図1に二点鎖線で示すように、リフター7を下降させて車椅子やストレッチャーの乗客を載せ、リフター7を上昇させる。
【0036】
次いで、車椅子やストレッチャーを進めて荷箱10内の定位置に移動した後、荷役装置付運搬車1を小型旅客機に横付けし、例えば、左舷側からアクセスする。
【0037】
次いで、図2に示すように、アウトリガー8を降ろして荷役装置付運搬車1を安定させた状態で、昇降用油圧シリンダ6を伸長させて昇降部材5を押し上げて荷箱10を上昇させ、荷箱10の底面の高さを小型旅客機の連結口の床面に合わせる。
【0038】
次いで、図5に示すように延長プラットフォーム20が収納位置にある状態から、図6に示すように、荷箱10の左舷側のアクセス用扉15を開き、油圧シリンダ40を縮めて延長プラットフォーム20を左方へスライド移動させて連結口に近づける。このように、延長プラットフォーム20は、油圧シリンダ40により自動でスライド移動されるので、その延長及び収納作業が容易である。また、油圧シリンダ40を設けるという、簡単かつ省スペースな構成で延長プラットフォーム20のスライド操作が容易である。
【0039】
次いで、追加プラットフォーム30を手で倒して連結口の床面に載せる。このように、延長プラットフォーム20を荷箱10の側方に延長した状態で、さらに追加プラットフォーム30を倒すことにより、連結口が遠くにある小型旅客機等へのアクセスがさらに容易になる。また、油圧シリンダ40のストロークを小さくしても延長プラットフォーム20の荷箱左右側面からの延長量(張り出し量)を多くできるので、追加プラットフォーム30を設けない場合と比較して小さな油圧シリンダ40を採用でき、油圧機構をコンパクトにすることができる。
【0040】
次いで、荷箱10内の車椅子やストレッチャーを移動させて連結口から旅客機内に移動する。このとき、延長プラットフォーム20を延長した状態で延長プラットフォーム20の通行面と荷箱10の床面とが略連続しているので、車椅子やストレッチャーに乗った乗客の搭乗が極めて容易に行われる。
【0041】
このように、延長プラットフォーム20は、キャブ2の後方の荷箱10の側面から延長されるので、荷役装置4によってキャブ2上面よりも低い位置に上昇された状態でも延長可能となる。このため、乗客は車椅子やストレッチャーに乗ったまま低い位置に連結口のある小型の旅客機でも搭乗可能である。
【0042】
逆に、荷箱10の右舷側から連結口にアクセするときには、図7に示すように、右舷側のアクセス用扉15を開いて油圧シリンダ40を伸長させればよい。このように、延長プラットフォーム20は、一本の油圧シリンダ40を伸張したときに左方へ延長され、縮小したときに右方に延長され、半分だけ伸張させて中立位置で収納状態となる。このため、延長プラットフォーム30の延長操作に左右方向で別々のシリンダを使用する場合と比較して構造が極めて簡単となり、軽量化及び省スペース化が可能であると共に、延長プラットフォーム20の延長及び収納作業が容易である。
【0043】
また、延長プラットフォーム20の不使用時には、アクセス用扉15を閉じた状態で荷箱10内に収納されるので、延長プラットフォーム20が雨ざらしにならず、延長プラットフォーム20及びその移動機構の耐久性が向上すると共に、見映えがよい。
【0044】
−実施形態1の効果−
したがって、本実施形態にかかる荷役装置付運搬車1によると、自走可能な車体3のキャブ2の後方に荷箱10を設け、この荷箱10を荷役装置4により車体3に対して上昇させた状態で延長プラットフォーム20を荷箱10の左右の少なくとも一方へ延長させ、荷箱10内から荷箱10外へアクセス可能としたことにより、キャブ2上面よりも低い位置でも延長プラットフォーム20を延長して荷箱10内から容易にアクセスすることができるので、車椅子やストレッチャーに乗った乗客が高さの低い連結口を有する小型旅客機等に極めて簡単かつ安全に搭乗することができる。
【0045】
−実施形態1の変形例−
上記実施形態1では、延長プラットフォーム20を荷箱10の左右いずれの方向にも延長可能としたが、一方のみに延長可能としてもよい。この場合、油圧シリンダ40を最も伸張させたときに延長プラットフォーム20が延長され、最も縮めたときに収納位置になる。また、追加プラットフォーム30は、少なくとも延長側端部に設ければよい。
【0046】
上記実施形態1では、油圧シリンダ40で延長プラットフォーム20の延長及び収納動作を行うようにしたが、チェーンとスプロケットによって行うようにしてもよい。
【0047】
上記実施形態1では、延長プラットフォーム20は、荷箱10の前側内部に収納されているが、延長プラットフォーム20を荷箱10の前側かつキャブ2後方に露出して設けてもよい。
【0048】
(実施形態2)
図13は本発明の実施形態2を示し、延長プラットフォームの構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1〜図12と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0049】
本実施形態の荷箱110の前側左右側面には、内側へ凹んだ収納凹部119が形成されている。この収納凹部119の奥側にアクセス用扉115が設けられている。この収納凹部119には、収納位置にある延長プラットフォーム120が収納されている。
【0050】
詳しくは図示しないが、実施形態2の延長プラットフォーム120は、その下端部で起伏自在に支持されている。延長プラットフォーム120は、図示しないアクチュエータとしての油圧シリンダで荷箱110の左右側面に、水平位置と収納位置とに起伏可能に配置されている。水平位置としたときの延長プラットフォーム120へ荷箱110内からアクセス可能に構成されている。
【0051】
このように、延長プラットフォーム120は、起立させた状態で収納されると共に、伏せた状態で、キャブ2後方の荷箱110の側方へ延長されて荷箱110内から荷箱110外へアクセス可能となる。このため、荷役装置4によってキャブ2上面よりも低い位置に上昇された状態でも延長され、小型の旅客機等にアクセス可能となる。このため、乗客は車椅子やストレッチャーに乗ったまま小型の旅客機に搭乗することができる。
【0052】
また、延長プラットフォーム120は、収納位置で荷箱110の側面の収納凹部119に収納されるので、荷箱110全体の容積の減少は最小限となる。
【0053】
−実施形態2の変形例−
上記実施形態2では、左右両側面に延長プラットフォーム120を設けたが、片方のみ設けてもよい。
【0054】
また、上記実施形態2では、収納凹部119を設けたが、必ずしも設けなくてもよい。すなわち、図14に示すように、荷箱210の前側左右側面にアクセス用扉215を設け、その外側に延長プラットフォーム220を水平位置と収納位置とに起伏可能に構成してもよい。
【0055】
(その他の実施形態)
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0056】
すなわち、上記実施形態では、車椅子やストレッチャーに乗った乗客を小型旅客機等に搭乗させる例について示したが、機内食や機材を機内に運ぶ場合も同様に適用できる。
【0057】
また、小型旅客機に限定されず、比較的高さの低い連結口を有するものにアクセスするのに適している。
【0058】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明は、車椅子やストレッチャーに乗った乗客や機内食などを小型旅客機等の連結口に運ぶ荷役装置付運搬車について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】荷役装置付運搬車の側面図である。
【図2】荷役装置を上昇させた様子を示す図1相当図である。
【図3】荷箱を左舷側から見た側面図である。
【図4】延長プラットフォームが見えるように一部破断した荷箱の平面図である。
【図5】延長プラットフォームが収納位置にある荷箱の内部を見た正面図である。
【図6】左舷側へ延長プラットフォームを延長させた図5相当図である。
【図7】右舷側へ延長プラットフォームを延長させた図5相当図である。
【図8】左舷側へ延長プラットフォームを延長させ、追加プラットフォームを倒した様子を一部破断して示す平面図である。
【図9】収納位置にある延長プラットフォームの追加プラットフォームを倒した様子を一部破断して示す平面図である。
【図10】図9のX方向から見た矢視図である。
【図11】図10のXI−XI線拡大断面図である。
【図12】図10のXII−XII線拡大断面図である。
【図13】実施形態2にかかる延長プラットフォーム及びその周辺を示す斜視図である。
【図14】実施形態2の変形例にかかる図13相当図である。
【符号の説明】
【0061】
1 荷役装置付運搬車
2 キャブ
3 車体
4 荷役装置
10 荷箱
15 アクセス用扉
20 延長プラットフォーム
30 追加プラットフォーム
40 油圧シリンダ
110 荷箱
119 収納凹部
120 延長プラットフォーム
210 荷箱
220 延長プラットフォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方にキャブを有する自走可能な車体と、
上記キャブの後方に位置した荷箱と、
上記荷箱を上記車体に対して昇降可能に支持する荷役装置とを備えた荷役装置付運搬車であって、
上記荷箱には、上記キャブよりも後方に位置すると共に、該荷箱左右外方の少なくとも一方へ延長される延長プラットフォームが、人や荷物が該荷箱内から荷箱外へアクセス可能となるように、設けられている
ことを特徴とする荷役装置付運搬車。
【請求項2】
請求項1に記載の荷役装置付運搬車において、
上記荷箱は、左右側面の少なくとも一方に開閉可能なアクセス用扉を備え、
上記延長プラットフォームは、上記荷箱内に収納可能とされる一方、開状態の上記アクセス用扉を通じて該荷箱内から荷箱外へ水平にスライド移動することにより該荷箱外方へ延長可能に構成されている
ことを特徴とする荷役装置付運搬車。
【請求項3】
請求項2に記載の荷役装置付運搬車において、
上記延長プラットフォームは、油圧シリンダによって水平にスライド移動されることで延長状態又は収納状態に切換可能に構成され、
上記油圧シリンダは、上記延長プラットフォームが該油圧シリンダの伸長時に左右一方に延長されると共に、縮小時に他方に延長されるように配置されている
ことを特徴とする荷役装置付運搬車。
【請求項4】
請求項3に記載の荷役装置付運搬車において、
上記延長プラットフォームの延長側端部には、水平位置と起立位置とに切換可能な追加プラットフォームが設けられている
ことを特徴とする荷役装置付運搬車。
【請求項5】
請求項1に記載の荷役装置付運搬車において、
上記延長プラットフォームは、上記荷箱の左右側面の少なくとも一方に、水平位置と収納位置とに起伏可能に設けられ、
上記水平位置にある延長プラットフォームへ上記荷箱内から人や荷物がアクセス可能に構成されている
ことを特徴とする荷役装置付運搬車。
【請求項6】
請求項5に記載の荷役装置付運搬車において、
上記荷箱の左右側面の少なくとも一方には、内側へ凹んだ収納凹部が形成され、
上記延長プラットフォームは、収納位置で上記収納凹部に収納される
ことを特徴とする荷役装置付運搬車。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の荷役装置付運搬車において、
上記荷箱の床面と上記延長プラットフォームの通行面とは、略連続している
ことを特徴とする荷役装置付運搬車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−78889(P2009−78889A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248524(P2007−248524)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】