説明

荷重バランスとりシステムを備えたランドリー装置

【課題】ドラムに質量を付加することによって、回転中のアンバランスを補償することができるランドリー装置の提供。
【解決手段】本発明のランドリー装置は、洗濯物を保持するパーフォレーション付きドラム11と、スピン軸を中心にドラムを回転させ洗濯物を脱水するように構成された駆動手段39、40と、ドラムの回転中にアンバランスを補償するシステムとを備えているランドリー装置であって、洗濯物の回転アンバランスを検出し、アンバランスを表す出力信号を出力する一対の検出手段と、検出された回転アンバランスを補正するためにドラムに付加することが必要な1又は2以上の質量の大きさ及び位置を頻繁に計算するようにプログラミングされているデジタルプロセッサと、計算された前記1又は2以上の質量の大きさ及び位置にしたがって前記ドラムに1又は2以上の質量を付加する補正手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランドリー装置内の荷重ないし洗濯物ないし充填物をバランス取りするためのシステム、特に、これだけではないが、水平軸線型洗濯機内の荷重をバランス取りするためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な水平軸線型洗濯機は、乾燥時間を短縮するためにできるだけ多量の水分を洗濯物から抜き取るための最終脱水ないしスピンサイクルを含んでいる。しかしながら、高速スピンの必要性は、静かな運転とは相反するものである。脱水サイクル開始時には洗濯物は著しくアンバランスになる恐れがあるので、機械が加速しようとすると,ノイズと、大きな応力を有する振動とが結果として生じる。
【0003】
洗濯機設計者が荷重のアンバランスを考慮してこれまで採用してきた手段は、典型的には、内部組立体をバネ及び減衰器に懸架して振動を絶縁することにある。困難なのは、これらの懸架組立体が決して振動を完全に絶縁することはない点であり、機械の加齢に伴って懸架組立体が劣化し、問題は更に悪化する。しかも、これらの懸架組立体は大きな内部空隙を必要とし、従って機械を標準的な外寸に設計すると、貴重な洗濯物用容量が失われてしまう。更に、内部組立体はアンバランスによる力になおも耐えなければならないので、かなりの余分なコストが生じる。
【0004】
理想的なアプローチは、この問題を根源から排除することにある。このためには種々の解決策がある。一つ目の可能性は、洗濯物が脱水前に均一に分散されるのを保証することにある。これは効果的な手段であるが、これを現実に達成するのは極めて難しい。従って、考慮しなければならないアンバランスの度合いを減じるためにいくつかの行程をとることはできるものの、このアンバランスをその後に十分に無視できるほど排除することは不可能である。別のアプローチは、アンバランスの大きさ及び特性を決定し、正確にアンバランスに反作用を及ぼすアンバランスを付加することにある。
【0005】
水平軸線型洗濯機におけるアンバランスを補償する方法は、米国特許第5280660号明細書(Pellerin他)及び欧州特許第856604号明細書(Fagor,S.Coop)に開示されている。これらの開示内容は、ドラムの周面周りに均一にずらされながらドラムの長さ方向に延びている、軸線方向に方向付けされた三つの室を使用することに関する。これらの室は、適量の水で個別に充填されると、回転軸線におけるアンバランスを概ね補正するのに使用できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらのシステムの欠点は、アンバランスが回転軸線に沿って中心に存在しないかもしれず、回転軸線に沿った制御が利用できないのでこのような形態のバランス取り作用が部分的にしか成功しないことにある。このことは、懸架システムが、コストが嵩む振動絶縁をなお必要とし、装置の耐用寿命を短くする恐れもあるということを意味することもある。
【0007】
[静的アンバランス]
何かの形状を有する物体が特定の軸線を中心にしてスピンされると、静的アンバランス及び動的アンバランスで表されうる二つのタイプのアンバランスが生ずる。静的アンバランスは、回転軸線が物体の重心(CoG)を通過しないところにある。このことは、物体が加速し続けるように、物体に回転軸線に向かう(CoGを通って作用する)力Fを加えられなければならないことを意味する。この力は周囲の構造から作用するものでなければならず、もちろんその力の方向は図1に示すように、物体と一緒に回転する。静的アンバランス3を画定にするために必要とされる情報部分は二つある。これらの情報部分は、アンバランス1の大きさ(スピン軸線を中心としたCoGのモーメントであり、SI単位では大きさkgmを有する)と、CoGのオフセット方向と物体4内の或る基準方向との間の或る角度2とである。
【0008】
静的アンバランスを有する物体は、水平方向の回転軸線に取り付けられかつ重力の影響下にある場合、そのCoGが鉛直方向で回転軸線の下方に位置するまで回転する。このことは、懸架手段における共振よりも低速でかつ一定の給電で作動する水平軸線型機械が、CoGが一側に上昇し他側に下降したときに、僅かな回転速度変動を生ぜしめる結果ともなる。残念なことに、これは、低速以外の静的アンバランスを決定するのに実現可能な技術ではない。
【0009】
[動的アンバランス]
動的アンバランスはもう少し複雑である。図2において回転軸線5は物体の主軸線のうちの一つの軸線6と平行でない。物体の主軸線は、物体がそれ回りに自然にスピンする軸線である。
例えば、その押し出し軸線回りにスピンするように設定され、従って静的にも動的にもバランスが保たれている一様な筒体の短い長さ部分を想定する。このとき、筒体の内部に二つの重りが取り付けられ、一方の重り8は一端に、他方の重り9は一方の重り8と反対側の他端に取り付けられる。物体の重心10は移動されておらず、従って物体は未だ静的にバランスが取られている。しかし、ここで筒体をスピンさせると振動が生じる。筒体は動的アンバランスを有することになる。静的アンバランスは、どちらの方向に物体が転がって係止するかを見ることによって、静的に検出することができる。動的アンバランスは、筒体のスピンでもってのみ、即ち動的にのみ検出することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
洗濯物を保持するパーフォレーション付きドラムと、スピン軸を中心に前記ドラムを回転させ前記洗濯物を脱水するように構成された駆動手段と、前記ドラムの回転中にドラム内に保持された前記洗濯物の分布によって生じたアンバランスを補償するシステムとを備えているランドリー装置であって、
前記ドラムのスピン軸に沿って離れ、前記洗濯物の回転アンバランスを検出する一対の検出手段であって、各検出手段が検出したアンバランスを表す出力信号を出力する一対の検出手段と、
該一対の検出手段からの前記出力信号を受け、前記検出された回転アンバランスを補正するためにドラムに付加することが必要な1又は2以上の質量の大きさ及び位置を頻繁に計算するようにプログラミングされているデジタルプロセッサと、
計算された前記1又は2以上の質量の大きさ及び位置にしたがって前記ドラムに1又は2以上の質量を付加する補正手段とを備え、該補正手段による質量付加の開始と前記検出手段の一方または両方によって示される質量付加の効果との間に時間的遅れがあり、
前記プロセッサは、付加する前記1又は2以上の質量の大きさ及び位置を計算するときは、前記補正手段が以前に加えた質量の予期される効果を考慮して計算値を減少させ、この前記以前に加えられた質量の全ての効果は、まだ検出手段によって示されない、
ことを特徴とするランドリー装置が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、
洗濯物を保持するパーフォレーション付きドラムと、スピン軸を中心に前記ドラムを回転させ前記洗濯物を脱水するように構成された駆動手段と、前記ドラムの回転中にドラム内に保持された前記洗濯物の分布によって生じたアンバランスを補償するシステムとを備えているランドリー装置であって、
前記ドラムのスピン軸に沿って離れ、前記洗濯物の回転アンバランスを検出する一対の検出手段であって、各検出手段が検出したアンバランスを表す出力信号を出力する一対の検出手段と、
該一対の検出手段からの前記出力信号を受け、前記検出された回転アンバランスを補正するためにドラムに付加することが必要な1又は2以上の質量の大きさ及び位置を時おり計算するようにプログラミングされているデジタルプロセッサと、
前記ドラムに前記計算された大きさの1又は2以上の質量を付加する補正手段と、を備え、
前記プロセッサが、
i)前記ドラムを初期低速で回転させるように前記駆動手段を作動させるステップと、
ii)前記一対の検出手段の出力信号に基づいて回転アンバランスをモニタし初期検出アンバランスを決定するステップと、
iii)前記初期検出アンバランスが所定の初期しきい値以上のときには、前記ドラムを回転させて該ドラム内の前記洗濯物を分配するように前記駆動手段を作動させるステップと、
iv)前記初期検出アンバランスが所定の初期しきい値より小さいときには、
a)前記ドラムの回転速度を増加させるように前記駆動手段を作動させ、
b)前記一対の検出手段の出力信号に基づいて回転アンバランスをモニタし、
c)前記デジタルプロセッサを使用して、前記検出されたアンバランスを補正するために前記ドラムに付加することが必要な1または2以上の質量の大きさ及び位置を決定し、
d)前記補正手段に、前記計算された大きさの1または2以上の質量を付加させて前記アンバランスを補正し、
e)前記洗濯物を効率的に脱水するように、より高速回転で前記ドラムを回転させるように前記駆動手段を作動させるステップとを前記プロセッサに実行させるソフトウエアでプログラミングされている、
ことを特徴とするランドリー装置が提供される。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記ステップiv)のa)からe)を繰り返し、
検出回転アンバランスが所定の上側しきい値を越えたときには、検出された回転アンバランスが所定の下側しきい値より小さくなるときに前記ドラムの回転速度を前記e)だけで上昇させる。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記補正手段が、円周方向に離れた複数のチャンバの組を2組、備え、前記チャンバの各組が、前記ドラムの各端で前記スピン軸に直交する面内に設けられ、前記補正手段は、前記プロセッサの制御によって、選択されたチャンバに水を注入する手段を、更に備えている。
【0013】
本発明の他の好ましい態様によれば、1つのセンサ手段と一組のチャンバが、前記ドラムの軸の各端に設けられている。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記選択されたチャンバに水を注入する手段が、高流量弁および低流量弁を備え、前記検出されたアンバランスに応じて前記高流量弁または低流量弁の一方が選択される。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、各検出手段が、前記ドラムの各端に設けられた少なくとも1つの圧電式力トランスデューサを備え、該圧電式力トランスデューサが前記ドラムの回転によって該ドラムに作用する線形力を検出するように構成されている。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記検出手段が、前記ドラムの各端に設けられた少なくとも1つの加速度トランスデューサを備え、該加速度トランスデューサが前記ドラムの回転によって該ドラムに作用する線形加速度を検出するように構成されている。
【0015】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記プロセッサは、計算された質量の値から、以前に付加された多くの質量の重みづけられた値の合計の値を減算することによって、以前に付加された質量の予測される効果を考慮し、以前に付加された質量の値は、直近に付加された質量が合計に関してより大きな効果を有するように重みづけられる。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記ドラムの両端から突出するシャフト手段を支持するそれぞれのベアリングを備え、各ベアリングマウントに検出手段が設けられている。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記パーフォレーション付きドラムがキャビネット内で支持され、該キャビネットとパーフォレーション付きドラムとの間にサスペンションが設けられていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は前述のものからなっており、また、以下に例を挙げる構成を有している。
次に、本発明の好ましい一形態を図面を参照して説明する。
【0017】
本発明は特に洗濯機に適した、ランドリー装置内の荷重をバランス取りする新しい方法を提供する。このようなシステムは懸架を不要にし、これにより機械構造が著しく簡素化される。
以下の説明は水平軸線型洗濯機についてのものである。しかしながら、本発明を水平でない及び垂直型の機械、並びに、回転式ランドリー装置一般的に適用可能であることが理解されよう。
【0018】
[一般的な装置構造]
本発明を、主としてランドリー洗濯機に関連して説明する。ただし、その原理の多くはランドリー乾燥機にも同様に適用可能である。図3及び図4は孔ないしパーフォレーションを備えたドラム11を有する水平軸線型の洗濯機を示している。このドラム11はその軸線がキャビネット12内でほぼ水平方向に一側から他側に指向されつつ支持されている。キャビネット12は水密な閉じ込め空間内の、ドラムから出た洗浄液又はすすぎ液を閉じ込める閉じ込め面を有している。キャビネット構造12のいくつかの部分を例えば二重シート熱成形によって、液体を閉じ込め面と一緒に形成してもよい。特に洗濯機の後壁及び側壁はこのように形成されうる。
【0019】
ドラムと他の多くの構成部分とを含む洗濯物取り扱いシステムは、好ましくは頂部充填構造内に含まれている。図3において、水平軸線を有するスピンドラム11が概ね方形のキャビネット12内に含まれている。ドラムへのアクセスは、洗濯機頂部に設けられたヒンジ付き蓋14を介して可能となる。他の水平軸線構造を採用することもできる。
【0020】
ドラム11は軸受け15によってそれぞれの端部で回転可能に支持されている。これら軸受けはドラム支持部16によってそれぞれ支持されている。図示の実施例において、軸受けは軸線方向で外部に、ドラム端部21,22のハブ領域20から突出しているシャフト手段19上に配置される。他の軸線方向の構成、即ち例えばドラム支持部から突出するシャフト上に位置するよう軸受けを内部に、ドラムのハブ領域の外面に設けられた凹部内に配置することも同様に可能である。ドラム支持部16はそれぞれ、基部に支持されたユニットとして示されると共に、一体的に組み合わされた形状を有している。この形状も理想的には、二重シート熱成形、ブロー成形などによって製造するのに適している。各ドラム支持部は強化リブ領域23と、ドラム11の対応する端部21,22を受容する図示したような受容用凹部領域25とを有しているのが好ましい。ドラム支持部16は、側壁27,28に設けられた補完的な表面内に固定されることにより、下位構造に係合する。個別の部材又は機械的な懸架システムから形成される機枠のような、さほど好ましくない他の構造も可能である。
【0021】
各ドラム支持部16は凹部領域25の中心に軸受け支持用凹部を有している。軸受け支持用凹部内には軸受け台29が配置され、軸受け15は軸受け台29のボス内に取り付けられている。
図3及び図4に更に詳細に示すように、本発明の好ましい実施例において、ドラム11は、パーフォレーションを有する金属製フープ30と、概ね筒形ないし円筒形の室を形成するためにフープ30の端部を包囲する一対の端部21,22と、ドラム端部21,22の間に延びる一対のベーン31とを具備する。
【0022】
本発明の好ましい形態では、ドラムは一方の端部21からのみ駆動され、従ってベーン31の一つの目的は、駆動されないドラム端部22に回転トルクを伝達することにある。更に、ベーンはドラム組立体11に長手方向の剛性を提供する。この目的のために、ベーン30は、アンバランスな動的荷重による歪みに対して要求されるあらゆる抵抗を達成するのに十分な奥行きと内部補強作用を有しているものの、幅広で浅い。好ましくは、ベーン30は、洗濯物のタンブリングないし反転を助成するための先行縁及び後続縁を備えた明確な形状を有している。好ましい実施例において、これらベーン30は回転方向に関し対向するよう方向付けされているので、各方向での回転時に一方のベーンが前進し、他方のベーンが後退することになる。更に、以下に説明するように、このベーン形状によって、洗濯室の開放作用が使い勝手がよくなる。
【0023】
本発明を組み入れた洗濯機の好ましい実施例において、ドラム11は一対のドラム支持部16の間で、各ドラム支持部16の端部において支持されている。ドラム11内部へのアクセスは、ドラムの円筒形壁30のハッチ区分33を摺動させて開けることにより可能となる。このハッチ区分は、作動時に連続ループの形に結合されるようにラッチ機構34,35,36,37,38を介して結合される。従って、洗濯機のキャビネット12は、水平軸線型洗濯機ではより一般的な伝統的なフロントローディング形式とは異なり、実質的にトップローディング形式でもってドラム11にアクセスできるように形成されている。
【0024】
洗濯機は、全操作段階(洗浄、すすぎ、及び脱水)にわたってドラムを回転させるための電動モータ(図4においてロータ39及びステータ40が見える)を有している。本発明を組み込んだ洗濯機の好ましい形態において、モータは直接駆動インサイドアウト式の電子整流ブラシレス直流モータであり、このモータは、ドラム11の一方の端部21に結合された永久磁石ロータ39と、ドラム支持部16に結合されたステータ40とを有している。モータの適切な形態は欧州特許第0361775号明細書に記載されている。
使用者が洗濯機の機能及び操作を制御できるようにするために、ユーザインタフェイス24が設けられている。制御用電子部品は、インタフェイスモジュール内に一体的に含まれており、洗濯機の操作に関する電子制御を提供する。
【0025】
[バランス取りシステム]
本発明において、脱水を行うためにドラム11が高速回転される間に、バランスを崩した荷重により生ずる力が、動的に制御されるバランス取りシステムにより最小化される。バランス取りシステムは、シャフト19の各端部で軸受け台29に設けられたロードセルが変形することにより発生する電気信号を用い、それにより、ドラム11を動的に再びバランス取りするために必要とされる重量分散補正が評価される。各軸受け台29は、一対の曲げブリッジ40,41を有するように形成されており、各曲げブリッジには、図5に示すようなロードセル42が取り付けられている。ロードセル42の出力はランドリー機械の制御プロセッサに供給され、これによりバランス取り作用ないしタスクが実行される。このバランス取りタスクは、図6に示すようにドラム内に配置されている六つのバランス取り室43,46,47,80,81,82のうちの一つ又はそれ以上に水を付加することにより達成される。このような室の三つは、各端部で120°だけ離されて、ドラム端部21,22の末端に位置決めされている。
【0026】
このバランス取りシステムは図7に更に詳しく示されている。ロードセル42からの出力は先ずフィルタ50を通過し、次いでマイクロプロセッサ51の入力側に接続される。このマイクロプロセッサはランドリー機械用の特定のタスクのためのプロセッサ又は主制御プロセッサでありうる。マイクロプロセッサ51内にプログラミングされた種々のアルゴリズム(詳細は後で述べる)は、モータ制御器52にスピン指令(例えば加速/減速)を与え、弁駆動装置53にバランス取り補正(例えば弁54の開/閉)を命ずる。次いでモータ制御器52は、スピン指令を達成するためにモータ巻線への給電状態を変化させる。弁駆動装置53は適切なバランス取り弁ないしバランシング弁54を開くか又は閉じる。このバランス取り弁は、関連するスロットないし流路45内に注入器44を介し水が流入できるようにし、このスロットは適切な室に連通している。弁駆動装置53は更に、高流量弁55及び低流量弁56を通じて水流を切り換えることにより、粗調整モードと微調整モードとの間の切り換えを可能にする。
【0027】
アンバランスを補正するためには、等しく逆向きの静的及び動的アンバランスを人為的に加えることが必要である。静的アンバランスを加えるには、所定量の質量を或る半径及び回転角(又は「位相」角)で、スピン軸線に沿うCoGと同じ位置に加えるだけでよい。しかしながら、動的アンバランスを加えるためには、等しく逆向きの二つのアンバランスを、CoGの各側に同じ距離だけ離間した、スピン軸線に沿う二つの位置に加えなければならない。その結果、静的及び動的アンバランス双方は、スピン軸線に沿って離間した二つの位置に、二つの別個の質量(両方とも同じ半径でもよい)を別個の二つの位相角で加えることにより、補正できることになる。求められるべき四つの変数があり、従ってアンバランスの性質に関する有益な四つの情報部分を得なければならない。
【0028】
これらの情報部分は典型的には、振動系の二つの別個の位置における加速度、速度、力、又は変位を測定することにより得られる。二つのセンサ位置だけが必要とされ、四つのセンサ位置が必要とされないのは、関連する信号がちょうど正弦波形であり、従って二つの情報部分を含むからである。一方の情報部分は信号の大きさないし振幅であり、他方の情報部分はスピンシステムにおける或る基準点に対する「位相」角である。
【0029】
別個の二つの位置における信号振幅及び位相角がひとたび得られると、二つの質量及びそれらの位相角を計算してアンバランスを補正するための方法が必要となる。これは、信号データ及び質量データを二つの複素数ベクトルとして表し、これらの関係を四つの複素数の正方行列として表すことにより、行われる。この行列は、質量ベクトルを信号ベクトルに対してマップ化するのに用いられる場合、応答行列と呼ばれ、反対の場合には、アンバランスを表す質量ベクトルに戻る信号ベクトルをマップ化するのはその逆行列である。
【0030】
アンバランスのデータを獲得するための技術を実際に実行するのは困難である。というのは、或るタイプの信号を測定するのが他の信号よりも一層困難であり、もし良好な信号が得られるとしても、応答行列は、信号がどこで測定されるかによって、知る(習得する)のが予測不能な難しいものになってしまう恐れがあるからである。本発明の好ましい実施例において、アンバランスは力又は応力の測定値を用いて特徴付けられる。利用可能な代替例のうち、力は測定し易く、低速での信号レベルが全く十分なものである。
【0031】
機械が懸架装置を有していないので、キャビネットはドラムのスピン軸線に効果的に強固に結合されている。このことは、アンバランスを軸受け組立体での力に関連付ける応答行列がほぼ対角線関係にあり、装置が剛直な床上に支持されている場合には、速度が変化したときに複雑かつ/又は予測不能に変化しないことを意味する。従って、ドラムの各端部の軸受け組立体における(例えば鉛直方向の)力の半径方向成分は、剛直な床の場合に、バランス取り作用を目的として測定するための最も有効な信号である。装置を支持する床が可撓性を備えている場合には、後述する別の関係が適用される。
【0032】
[センサ]
静的及び動的な完全なバランス取り作用を行うために、アンバランスの性質について知るための有益な情報部分が必要となる。すでに示唆したように、バランス取り作用を目的とした所望の信号は、ドラムを支持する各軸受け組立体における力の半径方向成分であり、従って或る種類の二つのロードセルが必要となる。好ましい実施例において、一対のセンサ42が図4に示すように、シャフト19の各端部に配置される。
【0033】
この用途に適した歪みセンサは圧電ディスクである。このタイプのセンサは大きな信号出力を生ぜしめ、従ってRFI(無線周波数妨害)によって著しく影響を受けることはない。しかしながら圧電歪みセンサは、ディスクを横切る電荷漏れに基づく荷重の変動しか測定することができない。
圧電ディスクは、加えられた力に関する特定の応答を有する。力は周波数の2乗に比例し、かつ応答の大きさは力の周波数に比例するので、センサ出力とドラムの回転数rpmとの関係は3次的である。
【0034】
更に詳細には、軸受け台は図5に示すように、同心的な二つの筒状リング46,47のように見える。既に述べた荷重ブリッジ40,41は内側リング47のそれぞれ頂部と底部とに、また、外側リング46の上側の周囲部の対向する部分に結合されている。荷重ブリッジの、外側リングに面する側には、圧電ディスク42が付着されている。ドラムからの荷重は内側リング47に取り付けられた軸受け15と、荷重ブリッジ48と、ロードセル42とを介して外側リング46に伝えられ、更に外側で外部構造内に伝えられる。この形式において、荷重ブリッジがドラムのスピン作用からのいかなる鉛直方向の力にも従うよう撓み、従って圧電ディスクを変形させ、アンバランス力を表す信号を供給するようになっていることが理解されよう。
【0035】
[動的制御]
本発明の好ましい実施例において、動的な制御法が用いられる。これは、先に説明したような動的及び静的アンバランスと混同されるものでは決してなく、制御方法論の性質について言及するに過ぎない。代替的な制御方法論は「静的」なものである。静的制御法は、時間に応じたその目標システムの挙動に関するデータを使用又は保持するのではない。結果としてこの方法は、平衡状態を復帰しようとする「シングルショットないし単発」として実行され、システムが次の実行の前に定常状態に戻るように、実行する毎にその実行後に十分な時間が経過することが許されなければならない。これに対して、動的な制御法は、時間に応じたシステムの挙動を予測することができ、最新の過去の動作を記憶することにより、システムが過渡応答状態にあっても、システムを連続的に補正することができる。
【0036】
この好ましい動的制御の主な利点は、次の実行時間が来るのを待つことなしにずれが現れるとすぐに、制御ループがこれらのずれを調整することができることにある。時間応答が遅いシステムにとって、このことはかなりの利点である。効率的に作動させるために、制御器は目標システムの、時間依存応答の推定に従ってプログラミングされなければならない。しかしながら、この計算値が顕著な変動を有しない限り、概算にはこれで足り、このアプローチで十分に作動する。また、動的な制御器が迅速な決定ループで動作するので、入力パラメータに伴うあらゆるノイズが生ずると、多くのわずかな補正がなされるが、これは完全には必要でないものである。このような理由から、設定すべきしきい値補正レベルは最小でしかなく、補正を行うのにいかなるコストも困難も伴わない。
【0037】
時間依存挙動の主な源を列挙すると次のようになる。
・機械のバランス状態に瞬時の変化がもたらされると、振動の定常状態に達するために数回の回転が行われる。
・ロードセルデータ取得において忘却係数を平均化するということは、新しい振動状態に応答するために平均化データも多数回の回転を行わせるということを意味する。
・機械のバランス状態の変化は決して瞬時のものではなく、水の付加には約0.1〜60秒が必要である。
・洗濯物からの水の抜き取りは、機械のスピン速度が上昇するにつれて機械のバランス状態が著しく急速に変化しうることを意味する。
【0038】
もし、脱水サイクルにおいて、機械が約3分間で100rpmから1000rpmに上昇しなければならない場合には、機械は、この期間の継続中にほぼ確実に過渡応答の状態になる。その結果、制御器は、機械が定常状態になることなしに機械のバランス状態の変化に応答可能でなければならない。
前に述べたように動的な制御を実施するためには、この制御器は、機械の時間依存挙動の概算に従ってプログラミングされなければならない。更に正確には、もし実施されるべき補正があるならばいかなる補正が実施されるべきかを決定するときに、制御器は(機能がどのくらい以前に行われたかに応じて)その過去の動作にどのくらいの重み付けをするかを知らなければならない。このような用途において、各水室に対し、適切に重み付けされた水付加の過去の履歴の総和は、「待機効果」であると考えることができる。即ち、制御器は所定量の効果が信号になおも供給されると未だ予測しており、従って、現時点でどの弁をオンにしどの弁をオフにすべきであるかを決定するときに、現在計算されている必要水量からこの「待機効果」を減算しなければならない。
【0039】
これを正確に行うためには、思い出すのに必要なだけ多くの箇所ないしポイントについての制御器の過去の動作の完全な記録と、同数のポイントのための重み付け値テーブルとが必要となる。これらのポイントは、この用途において少なくとも10個である。もしポイント数をN個とすると、それぞれN個のポイントを有する六つの制御出力チャネルの履歴を記憶するには6N個のデータポイントが必要となる。更に、次いでこの履歴の効果を計算するには6N回の掛け算が必要となる。一つの単純化は、図9に示すような「テーブルトップ」曲線61で正確な重み付け曲線60に近づけることである。このようにすると、重み付け値の記憶されたテーブルが必要でなくなり、6N回の掛け算が6N回の足し算に減じられるが、しかしこれでもまだ複雑である。正確な重み付け曲線の極めて粗い近似は図9にも示されるような負の指数関数62である。このことは複雑に聞こえるが、実際には極めて容易に達成でき、単なる忘却係数タイプの平均値である。これをなすのに必要なことは、各水制御チャネル毎に待機変数の効果を作成し、制御ループの各実施時間毎にこれに所定の係数(ゼロから1まで)を掛け算し、これに、このチャネルのための水制御弁が最新のループ中にオンになっている場合には或る増分値を足し算することだけである。計算上必要なのは、制御ループの実施毎に、6回の掛け算及び6回の足し算だけである。これはコストの著しい節減になる。速度に応じた異なる忘却係数を有さなくてもよいように、制御ループは1回転を基礎にして実施されなければならない。このことは、データ取得変換コードの直後に、各回転センサにつき1回だけバランス制御コードを実施することにより、簡単に達成される。もちろん、全水量を、時間ではなく現在の速度における回転数でもって計算されなければならない。しかしこのことは、大きさ較正係数が回転数ないしrpmの2乗ではなくrpmと同じように変化するという簡単なことである。
【0040】
考慮すべき別の点は、一つの端部について一度に考えれば、荷重のバランス崩れが、室のうちの一つ(例えば室43)のちょうど対向側で生ずると、データ取得ルーチンはこの室を、水を必要とする一次的な室として識別するが、信号に基づくノイズにより、他の室のうちの一つも同様に少量の水を必要としていることがほぼ確実であると言える。この第2の必要水量は、他方の室よりも極めて少なく、ちょうど最新の数回転中におけるノイズがいかなるものかに応じて、室46に生ずる場合もあれば、室47に生ずる場合もある。バランス制御ルーチンがこれらの二次的な小さな必要水量をアドレスにより参照すると、室43をアドレス参照する比較的長い期間にわたって、ルーチンは水需要は室46及び47をも徐々に満たし、こうして室43内へ進入する水のいくらかを無効にし、次いで更にバランス取り補正を行うための僅かな空き高を残す。バランス制御器は、両室のいずれもがノイズによる影響を受けていないことが明らかでない限り、即ち両室が同様の水量を必要としていることが明らかでない限り、一つの端部で同時に二つの室をアドレスにより参照する必要がないことは明らかである。同様に、機械の両端部は真に独立したシステムではなく(後で説明するように)弱く結合されているので、一方の端部での大きなバランス崩れ力により、他方で「ゴーストイメージ」が生じる。従って、バランス制御器は二つの端部を、これらのいずれもがゴーストイメージでないことが明らかでない限り、即ち両端部が同様の水量を必要としているのではない限り、同時にアドレスにより参照する必要はない。これらの両問題を解決するための最も簡単な方法は、(図10に示すように)六つの室からの最大必要水量を識別して動的な「ノイズ」しきい値をこの水量値の半分に設定することである。次いで、現在の必要水量70のからその現在の待機効果71を差し引き、更にノイズ値を差し引いた結果72が上述した増分値より大きいときにのみ、水弁(例えば5)がオンにされる。ここで、この増分値を調整することにより、大きさ較正を行う。
【0041】
最後に、短い弁動作が繰り返されるのを阻止するために、少量のヒステリシスが必要である。これは、いつ弁をオンにするべきかを決定するための上記基準を用いることによって、しかし、いつ弁を再びオフにするべきかを決定するときには異なる基準を用いることによって、簡単に達成される。このオフ基準は更に簡単である。即ち水弁は、その現在の必要水量がひとたび現在の待機効果よりも少なくなったときにだけオフにされる。換言すれば、いったん弁がオンになると、その室の必要水量がアドレスにより参照されるまでオフにされない。
【0042】
[制御アルゴリズム]
能動的なバランス取り作用中のスピンタスクは更に、次の三つの副次的なタスク又はアルゴリズムに分けることができる。
アンバランス検出アルゴリズム(IDA)
バランス補正アルゴリズム(BCA)
スピンアルゴリズム(SA)
【0043】
(図11に示される)アンバランス検出アルゴリズム(IDA)は単に、アンバランスに関連するデータの取得に係わっているだけであり、モータ制御ルーチン内に組み込まれている。IDAはモータが回転しているときはいつでも作用しており、その結果をバランス補正アルゴリズム(BCA)が参照して利用できるようにしている。
【0044】
(図13に示される)スピンアルゴリズム(SA)は単に、要求されたスピンプロフィールを実行することに係わっているだけである。SAは、IDAによって必要とされるプロフィールとIDAによって決定される振動レベルとに従って機械の速度を変更する。
【0045】
(図12に示される)BCAは単に、IDAがアンバランスを検出するといつでも、それを補正することに係わっているだけである。BCAは、機械とIDA双方の時間依存挙動を考慮する、進歩した制御アルゴリズムである。BCAは、機械の回転速度が約150rpmよりも速いときにはいつでも作用する。
【0046】
[信号解析−IDA処理]
荷重のアンバランスを決定するためには、1回転につき一回現れる各信号の正弦波成分の大きさ及び位相角が必要となる。残念なことに、この信号は明確な正弦波のようには見えず、機械の構造的な非線形性及びRFI(無線周波妨害)により複雑である。1回転につき一回現れる成分ないし「基本成分」はこのような信号から何とかして獲得されなければならない。
【0047】
これは、信号をデジタル式にサンプリングし、離散フーリエ変換技術を用いることにより行われる。変換全体を算出する必要はない。この変換全体は、1回転中の信号サンプルの半数の周波数成分をもたらす(この変換全体は8ビットマイクロプロセッサで長い時間を要する)。必要なのはただ基本成分だけである。これをなすためには、獲得された各信号データポイントを、回転基準マークの後の等価の位相角遅れにおいて1回転につき一回現れる余弦波の値によって乗算し、これらのそれぞれの結果を1回転全体にわたって合計し、次いでこれを結果数によって割り算する。これによって、複素数結果の実数(又はx)成分が得られる。虚数(又はy)成分は同じ技術を用い、しかし余弦波の代わりに正弦波を用いて得られる。結果として生じる複素数を次いで極形式に変換して、信号の基礎成分の大きさと位相角とが与えられるようにすることができる。また、エイリアシングを防止するために、入力信号は、サンプリング周波数の半分よりも高い周波数成分を先ず除去するためのアナログフィルタを通過させられる。
【0048】
サンプリングを固定周波数ではなく、1回転当たりのサンプルの固定数を利用して行うと、離散フーリエ解析をかなり簡単にすることができる。これにはもちろん回転エンコーダが必要である。この回転エンコーダはこの用途において既に直流ブラシレスモータの形で設けられている。従って、1回転当たりに多数のポイントを使用することが必要となる。これらのポイントは、モータによる1回転当たりの転流の回数に正確に分かれる。このことによって、テーブル(「正弦テーブル」と呼ぶ)として予めプログラミングされることが必要となる正弦値も可能になる。この正弦テーブルから、1期間当たりのサンプル数の4分の1だけ前方にオフセットすることによって余弦値を得ることもできる。基本成分にエイリアシングされた調波のオーダがローパスフィルタの遮断周波数を良好に越えるように、1回転当たりの適切なサンプリングポイント数を有することが必要である。これは、200rpmを上回る速度で信頼性のあるサンプリングを得るためには、サンプリングポイントの数が少なくとも12個なくてはならないことを意味している。サンプリングのための1回転当たりのポイントは偶数個使用されるべきであり、これにより正弦テーブルは完全に対称的になる。即ち、正のシーケンスと負のシーケンスとがそれらの符号を別にすると同一になる。これにより、入力信号における直流オフセットが基本成分に影響を与えないことが確保される。図8はフィルタリング後の信号57と、抽出された基本成分58とを示す。
【0049】
代替的には、一層高性能なマイクロプロセッサが採用されると、そのデータ取得能力を最大化することにより、ノイズの問題が更に軽減される。このことは、1回転当たりを基礎とする固定サンプリングのかわりに、より高速での固定周波数を基礎とすることを意味する。更に、正弦値及び余弦値を、計算の多くを単純化するテーブルから計算し又は補間することができる。
【0050】
源信号の基本成分がひとたび得られると、この成分は必然的にいくらかのノイズ成分を含むことになる(即ち、連続的な測定値はいくらかの分散を有する)。これを排除する最もよい方法は、信号源が正確でかつ清潔でかつ線形応答を有するのを確保することである。いったん源端部がアドレスにより参照されると、ノイズの残余をアドレスにより参照するために平均技術を使用することができる。
【0051】
このような技術の一つは、「忘却係数」を実施することである。これによれば、新しい平均値は、新しい測定値が獲得される毎に、古い平均値の例えば70%にこの場合新しい測定値の30%(=100%−70%)を加えたものに等しくされる。ここで、使用される忘却係数は0.3である。というのは、古い平均値の0.3は忘却され、新しい測定値の0.3に置換されるからである。この平均の形式はマイクロプロセッサを基礎とする用途に適している。というのは、この形式はメモリ空間と処理時間とに関連して低廉であるからである。
【0052】
測定値を平均化することに伴う主な欠点は、アンバランス検出の応答時間が低下することである。このことは単に、ノイズを減じるために、平均結果が数個の測定値を組み込まなければならないという事実の結果にすぎない。平均結果はもちろん過去の測定値のみから得ることができ、未来の測定値からは得られない。忘却係数が低くなればなるほど、平均値は過去の測定値からより多くを記憶し、従って平均値は機械振動の変化に対してよりゆっくりと応答する。
【0053】
バランス取り作用は(洗濯物からの脱水作用による)多くの繰り返しにわたって実施できるにすぎないので、「一発」で完全なバランスを得ることを可能にする必要はない。この観点から、いくつかの「近似計算」を行うことを容認することができる。これらの近似計算のうち最も大きなものは、機械を、各信号源と関連する二つの別個の単一自由度(SDOF)システムとして扱うことができる。これを行う主な利点は、マイクロプロセッサが2×2応答行列を計算して換算する必要がなく、ただ各端部毎に二つのSDOF応答を推定すればよいことにある。
【0054】
測定データはデカルトフォーマット(x及びy)における複素数であるのに対して、応答は極フォーマット(大きさ及び位相)にあるので、水補正ベクトルを得るために、フォーマット変換と複素除算とが各端部で必要となる。これは従来通りに実施することも不可能ではないが、より簡単なアプローチがある。即ち、応答の位相を取り出し、正弦値テーブルを参照するときに整数個のポイントのそれぞれをオフセットするような離散フーリエ技術に、これらの位相を直接に組み込むことである。これらのオフセットは、位相角較正のために機械が速度を変えるにつれて調整されてもよい。これに代えて、正弦テーブルに対しいかなるオフセットをも適用せずに計算されるときに、ベクトルに作用する回転行列を使用して、位相較正を行ってもよい。しかしながら、大きさ較正は後で動的制御ルーチン内で行われる。
【0055】
ドラムの各端部でのアンバランスのx及びy成分をいったん得ると、それぞれの端部で各室がどれだけの水量を必要としているかを計算する必要がある。というのは、室同士が120°だけ離れているからである。室同士が90°だけ(即ち、x軸及びy軸のように直交して)離れているのであれば、問題は小さい。しかし、この場合には、各端部毎に四つの室が必要となり、従って更に二つの水制御弁と、関連する駆動装置が余計に必要となってしまう。更に簡単なアプローチは、室と同じように、120°だけ離れた軸線上への信号ベクトルの投影を計算することである。
【0056】
これを実施する方法は極めて簡単である。フーリエ技術は、直交するx及びyの投影を抽出するために正弦波及び余弦波の形状を使用する。このことは、余弦波が、正弦波を90°だけ左側にシフトしたものであるという事実から容易に判る。従って、120°だけ離れた投影に信号ベクトルを分割するためには、余弦波を、120°だけ左側にシフトされた、つまり3分の1だけ回転させられた正弦波に代えるだけでよい。
【0057】
位相較正された信号は今や、第1の二つの室へのアンバランスの投影を表している。第3の室へのアンバランスの投影を得るために、等しい大きさで全て120°だけ離された三つのベクトルの総和がゼロにならなければならないというベクトル特性を用いることができる。従って、全ての三つの投影の総和がゼロにならなければならない。即ち、第3の室への投影は、第1の二つの室への投影の総和の負値である。応答位相角度に半回転を加えることによって得られる三つの値は、必要とされる、復帰する水バランスの各バランス取り室への投影を表すことになる。
【0058】
最後に、これらの三つの投影のうち少なくとも一つの投影は負であり、室から除去されるべき水量を表す。これは実施できないので、単に全ての三つの数に定数を加えることにより、最小の負値がゼロになり、他の二つの数が正になることが保証される。
【0059】
[包括的な制御戦略−SA]
スピンプロセスの包括的な制御がスピンアルゴリズムSAに割り当てられる。このスピンアルゴリズムSAはボウル速度がゼロの状態で始まり、BCAが作動できないようにする。SAの最初のタスクはスピンが開始できるようにするために、洗濯物をよりよく分散させることである。極めて低いスピン速度において振動が最初のしきい値を下回るときには、BCAが作動可能化される最小のBCA速度にまでスピンすることが許可される。振動がしきい値を下回らなければ、停止してエラーメッセージを表示する前に、何度も再分散が再試行される。いったんBCAがスピン速度の目標レベルに達すると、スピンが所望の期間続くことが許され、この期間後ボウルが停止させられ、弁が閉じられ、BCAが作動不可能にされる。
【0060】
[動的なバランス取り作用−BCA]
更に詳しく述べると、図12に示すバランス補正アルゴリズムは、IDAからの位相情報の較正で始まる。ベクトル回転のステップは使用される方法に応じたオプションである(代替例は、オフセットにおいて正弦テーブルを適用する)。これに続いて、ベクトルが標準化され、振動レベルが計算される。可能化フラグが真であり、かつ振動レベルが予め規定された臨界リミットを下回ると、決定プロセスが始まる。先ず、振動レベルが多数のしきい値と比較され、ボウル速度の増大が可能であるかが評価される。次いで、振動レベルの精粗(弁への流量の高低)に応じて、補正が可能化される。次いで、過去の動作の待機効果が、現時点のベクトル情報と各弁の状態と一緒に更新され、各弁を開けるか又は閉めるかが決定される。ボウル速度を一定に維持できない、即ち加速が許可されて速度が現在、所望の目標レベルにはないときには、ボウル速度が、目標レベルにまで増大することが許可される。この時点でスタートに戻り、新たに繰り返しを開始し、目標速度に達するまで効果的に連続的に補正及び加速を行う。
【0061】
[更なる改善]
前述の実施例において、洗濯機はコンクリート床のような剛性を有する表面上に支持されていると仮定することが理解されるであろう。これが当てはまらない場所、例えば木製の床において、洗濯機全体が脱水サイクル中に実質的に変位する恐れがある場合、先に述べた技術は全体的には成功しない。従って、更なる改良形において、本発明は更に、洗濯機が剛性のない支持表面上に支持されている場合のスピンアンバランスを補正するための方法及び装置をも提供する。
【0062】
スピンドラム100と、機枠102と、基準表面とを備えた等価のばねシステムが図14に示されている。スピンドラム100と機枠102との間に位置する第1のばね106は、軸受け台をドラム支持部又は洗濯機の機枠に結合している荷重ブリッジの弾性を効果的に表している。このブリッジは更に、ドラムと洗濯機の機枠との間の力を測定するロードセルの基部を形成している。第2のばね部分108はこの場合、支持表面、例えば可撓性のある木製床ボードの弾性を表している。第2のばね108は複合的であり、減衰部材110を有している。基準表面104、即ち静止基準点に対する相対的な加速度又は変位を測定するために、軸受けそれ自体の非回転部分又はロードセルブリッジの近接部分に、加速度計112が結合されている。
【0063】
ここで、機械が特定の速度でスピンしており、完全にバランスの取れた状態にあると考える。(バランス室のうちの一つにいくらかの水を注入することによって)一方の端部に小さな「バランス崩れ」(FO/B)荷重を加えることを想定する。機械の両端部が全体的に個別の機械的なシステムとして挙動するならば、水を加えた方の端部における力ベクトルを測定し、他方の端部では何も変化が生じない、即ち他方の端部は完全にバランスの取れた状態のままであると予測される。しかしながら、機械の両端部は別個のシステムではなく、実際には、機械の両端部で力ベクトルを測定することになる。二つの端部は互いに「結合」されていると言うことができる。この結合作用の結果、機械の一方の端部において観察される力ベクトルは、同じ端部における「バランス崩れ」FO/Bベクトルに関連するだけでなく、機械の他方の端部におけるFO/Bベクトルにも関連する。従って、次のようになる。
1=R11*FO/B1+R12*FO/B2
ここで、F1は、機械の一方の端部1で測定される力ベクトル、FO/B1及びFO/B2はそれぞれ端部1及び端部2におけるFO/Bベクトル、R11及びR12は、FO/B1及びFO/B2が端部1に有している個々の応答係数である。
(なお、R11及びR12もベクトルであり、それぞれ大きさと応答の位相ずれとを有している。)
【0064】
同様に端部2においても次のように書くことができる。
2=R21*FO/B1+R22*FO/B2
ここで、F2は、端部2で測定される力ベクトル、R21及びR22は、FO/B1及びFO/B2が端部2に有している個々の応答係数である。
これらの二つの等式は行列等式として数学的に結びつけることができる。
F=R*FO/B
【0065】

【0066】
ここで、機械がスピン中にボウルを絶対的に強固に保持するとすると、力トランスデューサはFO/B荷重ベクトルの求心加速度に必要となる力ベクトルを正確に測定するものと予想される。しかし、このことは当てはまらない。機械の外部構造は無限に剛性を有しているわけではなく、これに関しては、床も、家屋も、家屋の下の地面についても同様のことが言える。その結果、力トランスデューサは、上記の全て(機械構造、床、家屋...)及びボウル回転速度の関数である機械の機械的な応答による成分をも測定する。なお、行列(R12及びR21)の結合項を有意にし、かつ一般に行列全体を予め較正するのを不可能にするのは機械応答のこの特別な成分である。
【0067】
ここに二つの可能な技術が生じる。
1)各端部で加速ベクトルを測定することによって、機械の機械的な応答を決定することができ、次いで各端部の力ベクトルと加速ベクトルとを適切に組み合わせることによって、新しいベクトル量を形成することができる。この新しいベクトル量において応答行列は結合解除される(即ちR11及びR22だけが有意項である)。更に、行列は未知のパラメータの関数でないので、工場で較正することができる。
2)又は、小さなしかし既知の変更をFO/Bに対して行い、力ベクトルに結果として生じた変化を測定することによって、脱水サイクル中の応答行列「R」を知ることができる。
【0068】
第1の技術は極めて確固なものであるが、しかし、ドラムの鉛直方向の絶対加速度を測定するための加速度センサの付加を必要とする。
第2の技術は極めて賢明なものであるが、しかし、後で略述するいくつかの困難を伴う。
【0069】
[第1の方法−加速度測定]
上記システムから、ロードセルによって測定される力が、アンバランスの正確な測定値とはならないことは明らかである。補正のためにアンバランスを決定するためには、制御器は洗濯機の効果に対する外部の複合システムの効果を考慮に入れなければならない。従って、スピンボウルに作用する絶対力Faを次のように表すことができる。
a=m1×aa
ここで、m1はスピンドラムの質量であり、aaは加速度メータによって測定されるような、ドラムの絶対加速度である。この力は次のように形成されている。
a=Fo/b+F1
ここで、Fo/bはバランス崩れ力であり、F1はロードセルによって測定される力である。整理すると、バランス崩れ力Fo/bを既知の変数の形
o/b=(m1×aa)‐F1
で表現でき、制御器によって計算できる。F1が前述のようにIDAから得られるのに対し、加速度メータの出力は、有益な信号を供給するために、IDAまでに同様のフィルタリング処理を通過する必要がある。ドラム質量m1はドラムの既知の重量と、荷重に付加された水量と、荷重の「タイプ」に基づく既知の荷重特性とに基づいて推定される。荷重の「タイプ」は、本願出願人の米国特許第4857814号明細書に開示されるような、周知の多数の布帛検知技術のうちのいずれか一つを使用して検出することができる。
【0070】
上に述べたことは、ドラムの各端部を別個に取り扱うことができることを仮定している。本願出願人は、この方法を用いることによって、この仮定が満足のいくものであることを確認している。しかしながらいくつかの場合には、この仮定は十分なものではなく、従って更に正確なシステムが必要となる。この場合、ドラムの各端部間の結合を考慮に入れる必要がある。この目的のために、システム上での継続的なテストによって、結合行列γを決定してもよい。ここで、ξはドラムの長さに対する重心の位置の割合であり、αは慣性係数である。
【0071】

【0072】
[第2の方法−システム応答の決定]
先程は、
F=R*FO/B
であったのに対し、
機械の応答が比較的線形であるならば、次式のようになる。
dF=R*dFO/B
ここで、dF及びdFO/Bはまだ2*1の列ベクトル、Rは2*2応答行列である。dFは、FO/BベクトルをdFO/Bに加えた結果として、力ベクトルの変化を表す。しかしながら、現実には、測定されるFベクトルを取り除くのに必要なFO/Bベクトルを見出すことが望まれる。これを行うには、各辺にRの逆行列を乗算することにより整理する必要がある。
inv(R)*dF=inv(R)*R*dFO/B
これにより、次のようになる。
dFO/B=inv(R)*dF
【0073】
というのは、どんな行列でもその逆行列を乗算すると、一致行列となるからである。Rの逆行列を「A」と呼ぶ。というのは、この行列は実際に、何をすべきか何を測定するかを教える「動作」行列であるからである。従って、
dFO/B=A*dF
この場合、A=inv(R)である。
【0074】
問題はAを見出すことが望まれることである。これを行う方法は、小さなしかし既知の付加的なアンバランスを一方の端部に加え、他方の端部には何も加えないことである。この付加をdFO/Bで表し、力ベクトルにおける対応する変化をdFaで表すことにする。dFO/B及びdFaは共に(ベクトルの)列ベクトルである。演習を繰り返し、しかも今回は、別の小さな付加を他方の端部に加える。今回は、この付加をdFO/Bbで表し、同様に力ベクトルにおける対応する変化をdFbで表す。ここで、これら二つの実験値を組み合わせて次のように記すことができる。
(dFO/BadFO/Bb)=A*(dFadFb
【0075】
又は
DFO/B=A*DF
ここで、DFO/B及びDFは、二つの2*1列ベクトルを並べて形成される2*2行列である。等式の各辺にDFの逆行列を乗算する。
DFO/B*inv(DF)=A*DF*inv(DF)
これにより、次式が与えられる。
A=DFO/B*inv(DF)
従って、今や動作行列がわかり、この動作行列は、測定されるFベクトルを排除するのに必要な補正値を計算するのに使用することができる。ここに示すものは一つの作業例にすぎない。機械が或る一定の速度で現在スピンしているとすると、各端部で測定される力ベクトルは次の通りである。




























【0076】

【0077】
今やAが計算され、荷重ブリッジによって測定されるFを知った状態で、アンバランスに反作用するのに必要な補正値を計算することができる。最初は動作行列は完全に未知であったので、初期のFO/Bベクトルをランダムに推測しなければならない。行列についていくらかわかった後では、初期のFO/Bベクトルをよりよく推測することができる。
【0078】
[システム全体の利点]
採用した洗濯機及び能動的なバランス取りシステムの利点は次の通りである。
・アンバランスによる力が軸受け組立体に達する前に除去される。従って、構造上の要求が軽減され、より少なくかつ/又はより低廉な材料を採用することができる。
・摩耗しかつ劣化する懸架装置が排除される。
・洗浄シリンダ間隙が低減されることにより、標準サイズの機械内で、十分な洗濯物容量が可能になる。
・もはや懸架装置の高さの変化に対処する必要がないので、ドア開放機構の複雑さが低減する。
・いつでも静かで滑らかなスピンが行われる。
・変動しうる外的条件に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、静的アンバランスの概念を示す図である。
【図2】図2は、動的アンバランスの概念を示す図である。
【図3】図3は、本発明による洗濯機を、洗濯機の概ね横断面を示すために破断した破断斜視図である。
【図4】図4は、互いに組み合わされて洗濯機を形成する種々の主要部分を示す、図3の洗濯機の組み立て斜視図である。
【図5】図5は、ドラムの軸受け台を示す図である。
【図6】図6は、バランス取り室及びセンサを示すドラムの図である。
【図7】図7は、図3の洗濯機の液体供給及び電気システムを示す線図である。
【図8】図8は、振動センサからの出力波形の例を示す波形線図である。
【図9】図9は、重み付け曲線を示すグラフである。
【図10】図10は、バランス取り室の充填に関連した決定を行うプロセスについて示す図である。
【図11】図11は、アンバランス検出アルゴリズムを示す流れ線図である。
【図12】図12は、バランス補正アルゴリズムを示す流れ線図である。
【図13】図13は、スピンアルゴリズムを示す流れ線図である。
【図14】図14は、ランドリー装置を可撓性のある床上に支持したときの、等価のばねシステムを示すブロック線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を保持するパーフォレーション付きドラムと、スピン軸を中心に前記ドラムを回転させ前記洗濯物を脱水するように構成された駆動手段と、前記ドラムの回転中にドラム内に保持された前記洗濯物の分布によって生じたアンバランスを補償するシステムとを備えているランドリー装置であって、
前記ドラムのスピン軸に沿って離れ、前記洗濯物の回転アンバランスを検出する一対の検出手段であって、各検出手段が検出したアンバランスを表す出力信号を出力する一対の検出手段と、
該一対の検出手段からの前記出力信号を受け、前記検出された回転アンバランスを補正するためにドラムに付加することが必要な1又は2以上の質量の大きさ及び位置を頻繁に計算するようにプログラミングされているデジタルプロセッサと、
計算された前記1又は2以上の質量の大きさ及び位置にしたがって前記ドラムに1又は2以上の質量を付加する補正手段とを備え、該補正手段による質量付加の開始と前記検出手段の一方または両方によって示される質量付加の効果との間に時間的遅れがあり、
前記プロセッサは、付加する前記1又は2以上の質量の大きさ及び位置を計算するときは、前記補正手段が以前に加えた質量の予期される効果を考慮して計算値を減少させ、この前記以前に加えられた質量の全ての効果は、まだ検出手段によって示されない、
ことを特徴とするランドリー装置。
【請求項2】
洗濯物を保持するパーフォレーション付きドラムと、スピン軸を中心に前記ドラムを回転させ前記洗濯物を脱水するように構成された駆動手段と、前記ドラムの回転中にドラム内に保持された前記洗濯物の分布によって生じたアンバランスを補償するシステムとを備えているランドリー装置であって、
前記ドラムのスピン軸に沿って離れ、前記洗濯物の回転アンバランスを検出する一対の検出手段であって、各検出手段が検出したアンバランスを表す出力信号を出力する一対の検出手段と、
該一対の検出手段からの前記出力信号を受け、前記検出された回転アンバランスを補正するためにドラムに付加することが必要な1又は2以上の質量の大きさ及び位置を時おり計算するようにプログラミングされているデジタルプロセッサと、
前記ドラムに前記計算された大きさの1又は2以上の質量を付加する補正手段と、を備え、
前記プロセッサが、
i)前記ドラムを初期低速で回転させるように前記駆動手段を作動させるステップと、
ii)前記一対の検出手段の出力信号に基づいて回転アンバランスをモニタし初期検出アンバランスを決定するステップと、
iii)前記初期検出アンバランスが所定の初期しきい値以上のときには、前記ドラムを回転させて該ドラム内の前記洗濯物を分配するように前記駆動手段を作動させるステップと、
iv)前記初期検出アンバランスが所定の初期しきい値より小さいときには、
a)前記ドラムの回転速度を増加させるように前記駆動手段を作動させ、
b)前記一対の検出手段の出力信号に基づいて回転アンバランスをモニタし、
c)前記デジタルプロセッサを使用して、前記検出されたアンバランスを補正するために前記ドラムに付加することが必要な1または2以上の質量の大きさ及び位置を決定し、
d)前記補正手段に、前記計算された大きさの1または2以上の質量を付加させて前記アンバランスを補正し、
e)前記洗濯物を効率的に脱水するように、より高速回転で前記ドラムを回転させるように前記駆動手段を作動させるステップとを前記プロセッサに実行させるソフトウエアでプログラミングされている、
ことを特徴とするランドリー装置。
【請求項3】
前記ステップiv)のa)からe)を繰り返し、
検出回転アンバランスが所定の上側しきい値を越えたときには、検出された回転アンバランスが所定の下側しきい値より小さくなるときに前記ドラムの回転速度を前記e)だけで上昇させる、
請求項2に記載のランドリー装置。
【請求項4】
前記補正手段が、円周方向に離れた複数のチャンバの組を2組、備え、
前記チャンバの各組が、前記ドラムの各端で前記スピン軸に直交する面内に設けられ、
前記補正手段は、前記プロセッサの制御によって、選択されたチャンバに水を注入する手段を、更に備えている、
請求項1ないし3の何れか1項に記載のランドリー装置。
【請求項5】
1つのセンサ手段と一組のチャンバが、前記ドラムの軸の各端に設けられている、
請求項4に記載のランドリー装置。
【請求項6】
前記選択されたチャンバに水を注入する手段が、高流量弁および低流量弁を備え、
前記検出されたアンバランスに応じて前記高流量弁または低流量弁の一方が選択される、
請求項4または5に記載のランドリー装置。
【請求項7】
各検出手段が、前記ドラムの各端に設けられた少なくとも1つの圧電式力トランスデューサを備え、該圧電式力トランスデューサが前記ドラムの回転によって該ドラムに作用する線形力を検出するように構成されている、
請求項1ないし6の何れか1項に記載のランドリー装置。
【請求項8】
前記検出手段が、前記ドラムの各端に設けられた少なくとも1つの加速度トランスデューサを備え、該加速度トランスデューサが前記ドラムの回転によって該ドラムに作用する線形加速度を検出するように構成されている、
請求項7に記載のランドリー装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、計算された質量の値から、以前に付加された多くの質量の重みづけられた値の合計の値を減算することによって、以前に付加された質量の予測される効果を考慮し、以前に付加された質量の値は、直近に付加された質量が合計に関してより大きな効果を有するように重みづけられる、
請求項1に記載のランドリー装置。
【請求項10】
前記ドラムの両端から突出するシャフト手段を支持するそれぞれのベアリングを備え、
各ベアリングマウントに検出手段が設けられている、
請求項1ないし9の何れか1項に記載のランドリー装置。
【請求項11】
前記パーフォレーション付きドラムがキャビネット内で支持され、該キャビネットとパーフォレーション付きドラムとの間にサスペンションが設けられていない、
請求項1ないし10の何れか1項に記載のランドリー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−320762(P2006−320762A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241556(P2006−241556)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【分割の表示】特願2000−591263(P2000−591263)の分割
【原出願日】平成11年12月21日(1999.12.21)
【出願人】(592060329)フィッシャー アンド ペイケル アプライアンシーズ リミテッド (16)
【Fターム(参考)】