説明

荷電粒子ビームの位置合わせ

荷電粒子源(2010)及び荷電粒子光学コラム(2040)を含む荷電粒子光学系において荷電粒子ビーム(2100)を位置合わせするシステム(2000)及び方法であって、コラムの少なくとも1つの電極(2050、2060)が、複数のセグメントを含み、セグメントの少なくとも若干に異なる電位を印加して、荷電粒子源(2010)の傾斜誤差及び/又は変位誤差を補正し、またコラム(2040)の軸線(2045)に沿って粒子ビーム(2100)を位置合わせする、システム(2000)及び方法を開示する。代替的に、磁界発生素子が位置合わせに用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示による発明は、イオンコラム等の荷電粒子光学系における荷電粒子ビームの位置合わせ、並びに関連の構成コンポーネント及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビームを、荷電粒子光学系、例えばイオンコラム及び/又は電子コラムに位置合わせする(整列させる)ことは、光学系の中心軸線に沿ってビームを確実に進行させるのに役立ち得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概して、第1の態様では、本開示による発明は、荷電粒子源と複数の電極を含む荷電粒子光学コラムとを備えるシステムであって、コラムの第1電極は、円筒形であり荷電粒子源に最も近接して位置決し、且つ複数のセグメントを含み、セグメントの少なくともいくつかに異なる電位を印加される、システムを特徴とする。
【0004】
別の態様では、本開示による発明は、荷電粒子源と複数の電粒子光学素子を含む荷電粒子光学コラムとを備えるシステムであって、コラムの第1素子が、第1荷電粒子ディフレクタを含み、第1素子は、荷電粒子源に最も近接して位置決し、且つ複数の場発生(field-generating:電磁界発生)セグメントを含み、第2荷電粒子ディフレクタは、第1荷電粒子ディフレクタに隣接して位置決めし、且つ複数の場発生セグメントを含む、システムを特徴とする。
【0005】
さらなる態様では、本開示による発明は、ビーム経路を有する荷電粒子ビームを発生させるように構成した荷電粒子源と、第1可変場を発生させるよう構成した第1分割素子と、荷電粒子光学系とを備えるシステムであって、第1分割素子は、ビーム経路に沿って荷電粒子源と荷電粒子光学系との間に配置した、システムを特徴とする。
【0006】
別の態様では、本開示による発明は、ビーム経路を有する荷電粒子ビームを発生させるよう構成した荷電粒子源と、ビーム偏向手段と、荷電粒子光学系とを備えるシステムであって、ビーム偏向手段は、ビーム経路に沿って荷電粒子源と荷電粒子光学系との間に配置した、システムを特徴とする。
【0007】
さらなる態様では、本開示による発明は、イオンビームを発生させるよう構成したガス電界イオン源と、軸線を有し、且つイオンビームを試料に指向させるよう構成したイオン光学系とを含むシステムであって、使用中、ガス電界イオン源がイオン光学系の軸線に対して直線移動できないように構成した、システムを特徴とする。
【0008】
別の態様では、本開示による発明は、イオンビームを発生させるよう構成したガス電界イオン源と、軸線を有し、且つイオンビームを試料に指向させるよう構成したイオン光学系とを備えるシステムであって、使用中、ガス電界イオン源がイオン光学系の軸線に対して傾斜できないように構成した、システムを特徴とする。
【0009】
さらなる態様では、本開示による発明は、荷電粒子源を用いて荷電粒子ビームを発生させるステップと、及び荷電粒子源を移動させずに荷電粒子ビームを荷電粒子光学系の軸線に位置合わせするステップとを含む方法を特徴とする。
【0010】
別の態様では、本開示による発明は、ビーム経路を有する荷電粒子ビームを発生させるよう構成した荷電粒子源と、部材と、軸線を有する荷電粒子光学系とを備えるシステムであって、部材は、荷電粒子光学系の軸線に沿って荷電粒子ビームを位置合わせするよう構成した、システムを特徴とする。
【0011】
実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。
【0012】
システムは、荷電粒子源とコラムとの間に位置決めした、円筒形であり複数のセグメントを含む第2電極を有することができる。コラムの第2電極は、第1電極に隣接して位置決めし、且つ複数のセグメントを有することができる。
【0013】
システムは、コラムの第1電極に隣接して位置決めし、円筒形であり複数のセグメントを含む第3電極を有することができる。セグメントの全てに異なる電位を印加することができる。第1電極及び第2電極における各セグメントに異なる電位を印加することができる。
【0014】
動作中、荷電粒子源は、第1方向に沿って伝播する荷電粒子を生成するよう構成することができ、第1電極及び第2の電極は、第1方向とは異なる第2方向に沿って伝播するよう荷電粒子を指向させるよう構成することができる。
【0015】
システムは、荷電粒子検出器及び電子プロセッサを含み得る。動作中、電子プロセッサは、荷電粒子検出器を、荷電粒子源により生成される荷電粒子を測定するよう指向させ、また測定された粒子に基づいて第1電極及び第2電極におけるセグメントの少なくとも若干に印加される電位を調整するよう構成する。電子プロセッサは、荷電粒子検出器により測定される荷電粒子電流を増大させるよう電位を調整するよう構成することができる。
【0016】
複数のセグメントのそれぞれが放射状セグメントとすることができる。複数のセグメントのそれぞれが共通の形状を有することができる。第1電極は、それぞれ共通の形状を有する放射状セグメントを含むことができ、第2電極は、それぞれ共通の形状を有する放射状セグメントを含むことができる。第1電極の放射状セグメントは、第2電極の放射状セグメントとは異なる形状を有していてもよい。
【0017】
第1電極は4個のセグメントを含み得る。第1電極は少なくとも8個のセグメントを含み得る。第2電極は4個のセグメントを含み得る。第2電極は少なくとも8個のセグメントを含み得る。
【0018】
動作中、荷電粒子源は、希ガスイオンを含む粒子を生成するように構成することができる。希ガスイオンはヘリウムイオンを含み得る。動作中、第1荷電粒子ディフレクタのセグメントの少なくとも若干は、電場を生成するように構成することができる。動作中、第1荷電粒子ディフレクタのセグメントの少なくともいくつかは、磁場を生成するように構成することができる。動作中、第2荷電粒子ディフレクタのセグメントの少なくとも若干は、電場を生成するよう構成することができる。動作中、第2荷電粒子ディフレクタのセグメントの少なくとも若干は、磁場を生成するよう構成することができる。動作中、第1荷電粒子ディフレクタ又は第2荷電粒子ディフレクタにおけるセグメントのそれぞれが、電場を生成するように構成してもよく、第1荷電粒子ディフレクタ又は第2荷電粒子ディフレクタにおけるセグメントのそれぞれが、磁場を生成するように構成してもよい。
【0019】
磁場によりもたらされる粒子偏向の大きさは、電場によりもたらされる粒子偏向の大きさと同じであり得る。第1荷電粒子ディフレクタ及び第2荷電粒子ディフレクタのセグメントは、分散が逆の電場及び磁場を生成するように構成することができる。第1荷電粒子ディフレクタ及び第2荷電粒子ディフレクタは、非分散(dispersionless)荷電粒子偏向システムを形成し得る。
【0020】
システムは、第1素子に隣接してコラムの第2素子を備えることができ、第2素子は、複数の場発生セグメントを含む第3荷電粒子ディフレクタを含む。動作中、第3荷電粒子ディフレクタのセグメントの少なくとも若干は、電場を生成するように構成することができる。動作中、第3荷電粒子ディフレクタのセグメントの少なくとも若干は、磁場を生成するように構成することができる。第1粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干は、第1電場を生成するように構成することができ、第1荷電粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干は、第1電場とは異なる第2電場を生成するよう構成することができる。第1荷電粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干は、第1磁場を生成するように構成することができ、第1荷電粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干は、第1磁場とは異なる第2磁場を生成するよう構成することができる。第2荷電粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干は、第1電場を生成するよう構成することができ、第2荷電粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干は、第1電場とは異なる第2電場を生成するように構成することができる。第2荷電粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干は、第1磁場を生成するよう構成することができ、第2荷電粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干は、第1磁場とは異なる第2磁場を生成するよう構成することができる。
【0021】
動作中、荷電粒子源は、第1方向に沿って伝播する荷電粒子を生成するよう構成することができ、第1荷電粒子ディフレクタ及び第2荷電粒子ディフレクタは、第1方向とは異なる第2方向に沿って伝播するよう荷電粒子を指向させるよう構成することができる。
【0022】
システムは、荷電粒子ディフレクタ及び電子プロセッサを備えることができ、動作中、電子プロセッサは、荷電粒子源により生成される荷電粒子を測定するよう検出器を指向させ、また測定された粒子に基づいて第1粒子ディフレクタ及び第2粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干が発生する場を調整するよう構成する。電子プロセッサは、検出器により測定される荷電粒子電流を増大させるよう場を調整するように構成することができる。
【0023】
第1粒子ディフレクタにおけるセグメントのそれぞれは、第1粒子ディフレクタの周りに対称的に位置決めすることができ、第2粒子ディフレクタにおけるセグメントのそれぞれは、第2粒子ディフレクタの周りに対称的に位置決めすることができる。第1粒子ディフレクタにおけるセグメントのそれぞれは共通の形状を有することができ、第2粒子ディフレクタにおけるセグメントのそれぞれは共通の形状を有することができる。
【0024】
第1粒子ディフレクタ及び第2粒子ディフレクタにおけるセグメントの少なくとも若干は、電極を含む。第1粒子ディフレクタ及び第2粒子ディフレクタの少なくとも若干は、コイルを含む。
【0025】
第1粒子ディフレクタは4個のセグメントを含み得る。第1粒子ディフレクタは少なくとも8個のセグメントを含み得る。第2粒子ディフレクタは4個のセグメントを含み得る。第2粒子ディフレクタは少なくとも8個のセグメントを含み得る。
【0026】
システムは、第2可変場を発生させるよう構成した第2分割素子を備えることができ、第2分割素子は、ビーム経路に沿って荷電粒子源と荷電粒子光学系との間に配置する。第1分割素子は電極であり得る。第1分割素子は少なくとも3個のセグメントを有し得る。システムは、荷電粒子源と第1の分割素子との間に抽出器を配置することができる。
【0027】
荷電粒子源は、イオン源であり得る。荷電粒子源は、ガス電界イオン源であり得る。荷電粒子源は、電子源であり得る。
【0028】
使用中、第1分割素子は、荷電粒子源が発生する荷電粒子の方向を変えることができる。使用中、第1分割素子は、荷電粒子源が発生する荷電粒子を荷電粒子光学系の軸線に沿って指向させることができる。
【0029】
荷電粒子光学系は、第1レンズ及び位置合わせディフレクタを含み得る。荷電粒子光学系は、アパーチャを含み得る。荷電粒子光学系は、非点収差補正器を含み得る。荷電粒子光学系は、走査ディフレクタを含み得る。荷電粒子光学系は、第2レンズを含み得る。
【0030】
ビーム偏向手段は、電極を含み得る。ビーム偏向手段は、少なくとも3個のセグメントを有し得る。システムは、荷電粒子源とビーム偏向手段との間に抽出器を配置することができる。
【0031】
システムは、使用中、ガス電界イオン源がイオン光学系の軸線に対して傾斜できないように構成することができる。
【0032】
荷電粒子ビームは、荷電粒子源を傾斜させずに荷電粒子光学系の軸線と位置合わせする(整列させる)ことができる。荷電粒子ビームは、荷電粒子源を直線移動させずに荷電粒子光学系の軸線と位置合わせすることができる。
【0033】
部材は分割素子であり得る。
【0034】
様々な実施形態が本明細書に記載される。これらの実施形態の特徴が、個別に又は様々な組み合わせで互いに組み合わせられてもよいことを理解されたい。
【0035】
実施形態は、以下の利点の1つ又は複数を含み得る。
【0036】
電場発生素子及び/又は磁場発生素子を用いて荷電粒子ビームの位置及び軌道を制御することで、そうでなければ荷電粒子源に結合されてビームの位置及び軌道の制御に用いられるであろう機械的平行移動及び/又は傾斜機構を排除することができる。このような機械的機構は、荷電粒子システムの減圧を維持すると同時に、重く、嵩張り、且つ/又は動作が複雑であり得る。このような機械的機構を排除することにより、減圧下での荷電粒子システムの動作を大幅に簡略化することができる。
【0037】
複数の位置合わせ(整列)素子を用いることにより、荷電粒子ビームを、荷電粒子光学系(例えば、荷電粒子コラム)に入る前に光学系の中心軸線に沿って位置合わせすることができる。結果として、荷電粒子光学素子は、(例えば、新たな荷電粒子源が荷電粒子システムに設置されるときの)荷電粒子ビームの位置及び/又は軌道の変化に対応するように再構成する必要がない。その代わりに、荷電粒子光学系の構成を維持して、粒子ビームが適当な軌道に沿って荷電粒子光学系を通過するように複数の位置合わせ素子の操作により粒子ビームの位置合わせを調整することができる。
【0038】
荷電粒子源と荷電粒子光学系との位置合わせ及び/又は再位置合わせは、機械的位置合わせ機構を用いるよりも電場発生素子及び/又は磁場発生素子を用いた方が大幅に高速化できる。例えば、場合によっては、(例えば、長期ドリフトに起因して)荷電粒子源を荷電粒子光学系と再位置合わせする必要があり得る。代替的に、又は付加的に、新たに設置された荷電粒子源を荷電粒子光学系と位置合わせする必要があり得る。様々な振幅の電場及び/又は磁場のみを用いて荷電粒子源と光学系とを位置合わせする実施形態では、荷電粒子源を平行移動及び/又は傾斜させる機械的位置合わせ機構が用いられる状況よりも位置合わせを大幅に高速化することができる。
【0039】
本明細書に開示する位置合わせ機構は、荷電粒子ビームの位置合わせの際に移動する機械部品を用いずに実施することができる。結果として、荷電粒子システム内の振動を大幅に減らして、荷電粒子源の長期安定性を向上(及び長期ドリフトを低減)することができる。
【0040】
1つ又は複数の実施形態の詳細を、添付図面及び説明に記載する。他の特徴及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】場発生粒子ビーム位置合わせ(アラインメント)素子を有する荷電粒子システムの一部の断面図を示す概略図である。
【図2A】一体ピースの電極を示す概略図である。
【図2B】分割(セグメント化)電極を示す概略図である。
【図3A】荷電粒子光学系から変位した荷電粒子源を示す概略図である。
【図3B】荷電粒子光学系に対して傾斜した荷電粒子源を示す概略図である。
【図4A】変位した荷電粒子源からの粒子ビームを位置合わせする状況を示す概略図である。
【図4B】傾斜した荷電粒子源からの粒子ビームを位置合わせする状況を示す概略図である。
【図5】場発生素子のセグメントに印加される電位を示す概略図である。
【図6】分割(セグメント化)抽出器を有する荷電粒子システムの一部を断面で示す概略図である。
【図7】磁場発生粒子ビーム位置合わせ素子を示す概略図である。
【図8】イオン顕微鏡システムの概略図である。
【図9】ガス電界イオン源の概略図である。
【図10】ヘリウムイオン顕微鏡システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
種々の図面における同一参照符号は同一要素を示す。
【0043】
荷電粒子システムにおける粒子光学系に対する荷電粒子ビームの位置合わせ(アラインメント)は、粒子光学系が試料上の目的位置にビームを指向させることを確実にするために、粒子光学系が小さな対称形状のスポットとして適正にビームを合焦できることを確実にするために、及び/又は様々な収差(例えば、デフォーカス、非点収差、及び他の合焦誤差及び/又は位置合わせ誤差)が生じないことを確実にするために重要である。位置合わせは、例えば、新たな荷電粒子源を荷電粒子システムに設置するときに必要となる。代替的に、又は付加的に、荷電粒子システムの動作中、動作している荷電粒子源の定期的な再位置合わせを行い、例えば、システムの機械的疲労、熱ドリフト、及び/又は機械的振動により生じる荷電粒子源の長期ドリフトを補償することができる。
【0044】
機械的機構を用いて、粒子光学系に対して荷電粒子ビームを位置合わせすることができる。通常、このような機構は、荷電粒子光学系に対する粒子源の平行移動(例えば、荷電粒子ビームの伝播方向を横切る平面内の平行移動又は位置ずれ)と、荷電粒子光学系の中心軸線に対する荷電粒子源の傾斜との両方を行う。荷電粒子源の平行移動(例えば、位置)及び/又は傾斜を制御することにより、荷電粒子ビームの位置及び軌道を制御することができる。荷電粒子源の位置合わせは、例えば、新たな荷電粒子源を荷電粒子システムに導入するとき、及び/又は荷電粒子源を荷電粒子システムに設置した後のなんらかの時点で(例えば、荷電粒子源を再位置合わせするために)行い、荷電粒子源の位置ずれ(シフト)及び荷電粒子源の傾斜のどちらか一方又は両方の調整を行うことがあり得る。
【0045】
機械的な傾斜及び平行移動機構は、一般的に荷電粒子源の支持及び安定性を得るには重量が重い。この機構は、通常、機構におけるコンポーネントの機械的移動を可能にする電動モータに結合する。コンポーネントの移動及びモータの動作は、いくつかの実施形態では、荷電粒子システムに機械的振動をもたらすことになる。このような振動は、システムの長期及び短期双方の安定性に悪影響を与えるおそれがある。さらに、荷電粒子システムは、一般的に著しい減圧下(例えば、10−6Torr以下)で動作する。減圧チャンバ内で機械的コンポーネントを移動させることは、これらコンポーネントがチャンバ外の他のコンポーネント(例えば、モータ)に結合されている場合、チャンバ内の減圧環境の無欠性を維持しつつ行うのは困難な作業である。コンポーネントの移動は、一般的に荷電粒子システムにおける他のコンポーネントの大きな摂動を防止するよう、比較的緩慢である。したがって、荷電粒子源の位置合わせは低速プロセスである。
【0046】
本明細書に開示する荷電粒子システムは、電場発生素子及び/又は磁場発生素子を用いて、荷電粒子ビームが荷電粒子光学系(例えば、粒子コラム)に入る前、又は入る時点で荷電粒子ビームを光学系に位置合わせする。位置合わせ中、荷電粒子源の機械的移動は行わないようにする。この結果、荷電粒子システムに付加的な振動をもたらすことがなくなる。さらに、場発生素子を使用することにより、粒子光学系に対する荷電粒子ビームの位置及び/又は軌道を選択することができるようになり、これにより、異なる荷電粒子源及び/又は荷電粒子源ドリフトを補償するための粒子光学素子の再構成が不要になる。すなわち、粒子光学素子の構成は動作中に比較的静止した状態を維持し、荷電粒子システムの再現可能な動作と、システムにより生成される荷電粒子ビームを用いる様々な用途からの再現可能な結果との両方を確保することができる。
【0047】
本開示は2部構成である。第1部は、粒子光学系に対して荷電粒子ビームを位置合わせするシステム及び方法について説明する。第2部は、イオンビーム源及びイオンビームシステムについて説明する。
【0048】
荷電粒子ビーム位置合わせ
図1は、荷電粒子システム2000の一部の断面図を示す概略図であり、荷電粒子システム2000は、システム2000により生成される荷電粒子ビームをシステム2000の荷電粒子光学素子に対して位置合わせするように構成した場発生素子を含む。荷電粒子システム2000は、荷電粒子(例えば、希ガスイオン等のイオン、電子)のビーム2100を発生する先端部2010を含む。荷電粒子ビーム2100は、抽出器2020及び随意の抑制器又は電界分路(field-shunt)2030を通過する。荷電粒子光学系2040(例えば、荷電粒子コラム)に入る前に、粒子ビーム2100は、場発生素子2050及び2060を通過する。図1に示す実施形態では、場発生素子2050及び2060は、ビーム2100における荷電粒子を粒子光学系2040の中心軸線2045に対して位置合わせする(整列させる)ための電場(電界)を発生させる電極として実施する。さらに、図1に示す実施形態及び以下の説明では、抑制器2030は、先端部2010と荷電粒子光学系2040との間に位置決めする。しかしながら、概して、抑制器2030は、図1に示すように先端部2010の後または先端2010の前に位置決めすることができる。以下の説明は、抑制器2030の位置に関係なく抑制器2030に適用される。すなわち抑制器2030が先端部2010の前に位置決めされていようと後に位置決めされていようと、抑制器230は、複数の場発生セグメントで形成した場発生素子を含むことができる。
【0049】
場発生素子2050及び2060のそれぞれは、分割電極として実装する。図2Aは、従来の一体ピースの円筒電極2200の概略図を示す。通常、粒子光学系2040には、多種多様な電極、例えば異なる電位の電極2200を集合的に設けることができ、これにより、ビーム2100が粒子光学系2040を通過するときにビームを操作する。
【0050】
図2Bは、分割(セグメント化)電極2300の概略図を示す。分割電極2300は、4個のセグメント2310a〜2310dを含む。各セグメントは1/4円筒形に概ね対応し、したがって、セグメントを図2Bのように配置するとき、空間2320a〜2320dがセグメントを分離することを除いて、組み立てたセグメントの全体形状は電極2200の形状に近似する。
【0051】
図1の場発生素子2050及び2060のそれぞれは、図2Bの電極2300に類似の分割電極として実装する。動作中、セグメント2320a〜2320dの若干(又は全部)に異なる電位を印加し、粒子ビーム2045を選択方向に導く全体的電場を発生させる。
【0052】
通常、先端部2010(例えば、単独で又は先端部2010を含むより大きな装置の一部として)をシステム2000に導入するときは、先端部2010は、粒子光学系2040の軸線2045に完全に整列しない。この誤整列は、軸線2045に対する先端部2010の変位(すなわち、軸線2045に対して直交する平面にとける変位)、及び/又は軸線2045に対する先端部2010の傾斜(例えば、先端部2010の中心軸線と軸線2045との間でゼロでない角度をなすような傾斜)の形態をとり得る。
【0053】
図3Aは、先端部2010と軸線2045との間における変位の一例を示す。システム2000のうち図3Aに示す部分では、先端部2010が、軸線2045に対して直交する平面内で軸線2045に対して量dだけ変位している。この結果、先端部2010により生成される粒子ビーム2100も、量dだけ軸線2045に対して変位する。
【0054】
図3Bは、軸線2045に対して傾斜する先端部2010の一例を示す。図3Bでは、先端部2010の中心軸線2110が、軸線2045に対してゼロではない角度θをなす。先端部2010の傾斜の結果として、粒子ビーム2100が、軸線2045に対して角度θをなして伝播する。
【0055】
上述のように、図3A及び図3Bに示す各誤整列状態は、試料に対する粒子ビーム2100の望ましくない変位等の誤差、デフォーカス及び非点収差等の様々な粒子ビーム収差、並びに粒子光学系2040におけるビームクリッピング及び他のアパーチャ関連作用さえも生ずることになりかねない。通常、荷電粒子源の平行移動及び傾斜の両方がシステム2000において同時に存在し、これにより、位置合わせ(アラインメント)手順を一層複雑にし得る。
【0056】
場発生素子2050及び2060を適正に構成することにより、粒子ビーム2100が粒子光学系2040に入る前にシステム2000において変位誤差及び傾斜誤差の両方を補償することができる。ビーム2100が光学系2040に入る前にこれら誤差を補正することは重要である。例えば、ビーム2100が様々な位置及び/又は様々な角度で光学系2040に進入する場合、光学系2040における種々の素子を再構成し、様々に異なる粒子位置及び軌道を補償するようにしなければならないことがあり得る。しかしながら、ビーム2100が粒子光学系2040に入る前にビーム位置及び傾斜誤差を補償することができれば、光学系2040の種々の素子(これら素子はビーム2100を操作するために協働するよう複雑に構成する場合がある)を静的構成のままにすることができる。
【0057】
図4Aは、変位誤差を補正するように構成した場発生素子2050及び2060を含む荷電粒子システム2000の一部を示す概略図である。図4Aに示すように、先端部2010は、粒子光学系2040の軸線2045に対して直交する平面内で軸線2045から変位している。粒子ビーム2100は、同じ直交平面内で軸線2045から同じく変位している先端部2010から出射する。しかしながら、ビーム2100は場発生素子2050を通過し、この場発生素子2050はビーム2100を軸線2045に向けて偏向させる。続いて、ビーム2100は場発生素子2060を通過し、この場発生素子2060は、ビーム2100の伝播方向を軸線2045と一致するようビーム2100をさらに偏向させる。したがって、素子2050及び2060により加えられる補正の結果として、ビーム2100が軸線2045の方向に沿って粒子光学系2040に進入し、これを通過して伝播する。
【0058】
図4Bは、場発生素子2050及び2060が傾斜誤差を補正するように構成する、図4Aの荷電粒子システム2000と同一部分を示す概略図である。図4Bに示すように、先端部2010は、粒子光学系2040の軸線2045に対して傾斜している。粒子ビーム2100は、軸線2045に対してやはり傾斜している先端部2010から出射する。しかしながら、ビーム2100は場発生素子2050を通過し、この場発生素子2050は、ビーム2100を軸線2045に向けて偏向させる。続いて、ビーム2100は場発生素子2060を通過し、この場発生素子2060は、ビーム2100の伝播方向が軸線2045と一致するようにビーム2100をさらに偏向させる。素子2050及び2060により加えられる補正の結果として、ビーム2100が軸線2045の方向に沿って粒子光学系2040に進入し、これを通過して伝播する。
【0059】
素子2050及び2060は、変位及び傾斜の複合誤差を補正することにより、粒子ビームを位置合わせすることもできる。概して、変位及び傾斜の両方が、軸線2045に対するビーム2100の位置ずれとして現れる誤差を生ずる。位置ずれは、軸線2045を横切る平面内(例えば、2次元平面内)で生じる。結果として、システム2000における粒子ビーム2100は、最大4つの自由度誤差を含み得る。場発生素子2050及び2060のそれぞれが、ビーム2100を最大2方向(例えば、軸線2045を横切る平面内で)に変位させるよう構成することができる。したがって、システム2000において2個のこのような場発生素子を用いることにより、傾斜誤差及び変位誤差の両方を完全に補償することができる。いくつかの実施形態では、粒子ビーム2100が1つ又は2つの自由度誤差のみ(例えば、変位誤差のみ又は傾斜誤差のみ)を有する場合、単独の場発生素子により誤差を補償することができる。したがって、特定の実施形態では、システム2000は1個の場発生素子(例えば、図1の素子2050又は2060のいずれか一方)しか含まない。
【0060】
素子2050及び2060は、これら素子の種々のセグメントに選択した電位を印加することにより粒子ビーム2100を偏向させるように構成することができる。適当な電位を選択することにより、特定の電場(電界)分布を電極の中心アパーチャに形成することができる。いくつかの実施形態では、例えば、比較的大きな静電位V(例えば、1kV〜50kV)を場発生素子(例えば、素子2050若しくは2060のいずれか、又は素子2050及び2060の両方)のセグメント(例えば、2310a〜2310d)のそれぞれに印加することができる。この比較的大きな静電位は、例えば、素子2050及び/又は2060が抽出器、抑制器、又は先端部2010と粒子光学系2040(例えば、荷電粒子コラム)との間に位置決めする別タイプの素子として機能する場合に、印加することができる。若干の実施形態では、素子2050及び/又は2060は、粒子光学系2040における第1のレンズの一部を形成することができ、また素子2050及び/又は2060のセグメントに大きな静電位Vを印加することができる。
【0061】
さらに、より小さな電位をセグメントのそれぞれに個別に印加し、素子の中心アパーチャに特定の電場分布を生ずるようにすることができる。例えば、セグメント2310a〜2310dのそれぞれに印加する総電位は、それぞれV+V、V+V、V+V、及びV+Vとすることができる。若干の実施形態では、例えば、V、V、V、及びVのそれぞれの符号を正又は負とすることができ、V、V、V、及びVのそれぞれの大きさを1V〜500V(例えば、1V〜400V、1V〜300V、1V〜200V、1V〜100V、5V〜75V、10V〜50V)とすることができる。特定の実施形態では、V、V、V、及びVの若干(又は全部)は互いに異なるものとすることができる。一例として、図5は、4個のセグメント2310a〜2310dを含む分割電極2300を示す。電極2300の4個のセグメントに、電位V+V、V+V、V+V、及びV+Vをそれぞれ印加する。V=−V及びV=−Vとなるように電圧V、V、V、及びVを選択する場合、中心アパーチャ2330において、セグメントのそれぞれに印加する共通の電位Vにより生ずる静電場に偏向場が重畳する。
【0062】
概して、システム2000における種々の場発生素子は、粒子ビーム2100を位置合わせするために各素子から必要とされる偏向量に応じて、異なる振幅又は同じ振幅を有する偏向場を生ずるよう構成することができる。さらに、種々の場発生素子は、粒子ビーム2100を位置合わせするために各素子から必要とされる偏向の方向に応じて、同一方向又は異なる方向の偏向場を生ずるよう構成することができる。
【0063】
通常、場発生素子2050及び2060の両方は、システム2000における先端部2010と粒子光学素子2040との間に(例えば、図1の位置AB間に)位置決めする。図1では、素子2050及び2060は、抑制器2030と粒子光学系2040との間にそれぞれ位置決めしている。しかしながら、より一般的には、素子2050及び2060は、システム2000の先端部2010と粒子光学系2040との間のどこに位置決めしてもよい。例えば、若干の実施形態では、素子2050は、抽出器2020と、抽出器2020の後に位置決めできる素子2060との間に(例えば、抽出器2020と抑制器2030との間、又は抑制器2030と粒子光学素子2040との間のいずれかに)位置決めすることができる。素子2050及び2060の位置の多くの異なる組み合わせは、システム2000の内部的構成配置(ジオメトリ)による制約、ビーム2100における粒子特性(例えば、粒子速度の分布及び粒子の性質)、及びシステム2000における他のコンポーネント(例えば、抽出器2020、抑制器2030)の機能に応じて、可能である。
【0064】
特定の実施形態では、1つ又は複数の粒子光学系を場発生素子として実装することができる。例えば、図1では、抽出器2020は分割電極として実装することができる。すなわち、抽出器2020は、複数の機能をこなすよう構成することができる。まず、抽出器2020は、(例えば、抽出器2020の各セグメントに大きな正電圧Vを印加することにより)抽出器として機能するよう構成することができる。その4個のセグメントのそれぞれにより小さな電圧V−Vを印加することによる、抽出器2020の他の構成によれば、抽出器2020を図4A〜図4Bに示すようにディフレクタ(偏向器)として機能ささることができる。この結果、傾斜誤差及び変位誤差の両方を完全に補正するために、システム2000他に分割電極をもう1つだけ存在させればよい。上述のように、この付加的な分割電極は、システム2000内で多くの異なる場所に位置決めすることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、場発生素子2050及び/又は2060は、4個より少ないセグメント又は4個より多いセグメントを含むことができる。概して、システム2000の場発生素子のいずれもが、2個以上のセグメント(例えば、3個以上のセグメント、4個以上のセグメント、5個以上のセグメント、6個以上のセグメント、7個以上のセグメント、8個以上のセグメント、9個以上のセグメント、10個以上のセグメント、又はさらにより多くのセグメント)を含むことができる。概して、付加的なセグメントを設け、セグメントによる粒子ビーム2100の偏向のより精細な制御が得られるようにする。さらに、付加的なセグメントを用いることにより、素子が発生する偏向場全体の均一性を高めることができる。例えば、8個のセグメントを含む場発生素子は、4セグメント素子により生ずる同様の場よりも単一指向性を有する場により近似する偏向場を生成するために通常は用いることができる。さらに、4個より多い個数のセグメントを有する場発生素子を使用して、4セグメント素子で生成する場よりも複雑な偏向場を生成することができる。結果として、4個より大きい個数のセグメントを有する素子を用いて、複雑なビーム整列誤差を補正することができる。
【0066】
セグメントは、それぞれ、同一(又はほぼ同一)の形状(例えば、図5に示すような放射状セグメント)を有する、又はセグメントのうち若干が他のセグメントの形状とは異なる形状を有ようにすることができる。通常、図5に示すように、セグメントは中心アパーチャ2330の周りに対称的に配置する。しかしながら、より一般的には、セグメントは、システム2000の粒子光学系の全体的設計及び/又は場発生素子が発揮するように設計する整列アラインメントのタイプ及びジオメトリに応じて、中心アパーチャ2330の周りに対称又は非対称に配置することができる。さらに、セグメントの配置を含む場発生素子の全体的断面形状は、図5に示すように円形にする、又は別の形状(例えば、正方形、長方形、楕円形、三角形、六角形、八角形、又は別の正多角形若しくは不規則形状)にすることができる。
【0067】
特定の実施形態では、システム2000は、2個より大きい個数の場発生素子を含み得る。付加的な場発生素子を用いて、例えばビーム2100の位置及び軌道に対する付加的制御を行うことができる。概して、システム2000は、1つ又は複数の場発生素子(例えば、2個またはそれ以上の場発生素子、3個またはそれ以上の場発生素子、4個またはそれ以上の場発生素子、5個またはそれ以上の場発生素子、6個またはそれ以上の場発生素子、8個またはそれ以上の場発生素子)を含み得る。
【0068】
若干の実施形態では、1個またはそれ以上の場発生素子が、粒子光学系2040における第1レンズの一部を形成できるようにする。図6は、抽出器2020を場発生素子として実装する荷電粒子システム2000の実施形態を示す。さらに、第2の場発生素子2060が、粒子光学系204におけるの第1レンズの一部を形成する。図6に示すシステム2000の他のコンポーネントは、通常、例えば図1に示すコンポーネントと同様に機能する。2個の場発生素子、すなわち抽出器2020及び素子2060は、先端部2010の変位誤差及び傾斜誤差を補正するよう構成し、これにより粒子ビーム2100を粒子光学系2040の軸線2045に位置合わせすることができる。
【0069】
概して、1個又はそれ以上の場発生素子が粒子光学系2040のレンズの一部を形成する場合、多種多様な異なる構成が可能である。いくつかの実施形態では、例えば、粒子光学系2040における第1レンズの第1電極及び第2電極の両方が場発生素子として形成する。これら素子を適当に構成することにより(例えば、これら素子のセグメントに適正な電位を印加することにより)、先端部2010の変位誤差及び傾斜誤差を補正することができ、粒子ビーム2100が軸線2045に沿って粒子光学系2040の残りの部分を経て伝播するよう粒子ビーム2100を位置合わせする(整列させる)ことができる。
【0070】
ある実施形態では、抽出器と、粒子光学系2040における第1レンズの第1電極及び第2電極のそれぞれとが、場発生素子として形成することができる。上記のように、これら素子を適正に構成することにより、先端部2010の変位誤差及び傾斜誤差を補正することができ、粒子ビーム2100が粒子光学系2040の軸線2045に沿って粒子光学系2040の残りの部分を経て伝播するよう粒子ビーム2100を位置合わせする(整列させる)ことができる。追加の場発生素子により、粒子ビームの位置合わせにおけるさらなる融通性が得られる。
【0071】
いくつかの実施形態では、場発生素子は、荷電粒子を偏向させるのに電場(電界)ではなく磁場(磁界)を生成するよう構成することができる。図7は、4個のセグメント2410a〜2410dを含む場発生素子2400の実施形態を示す。4個のセグメントのそれぞれが、ニッケル鉄合金等の高透磁率の磁性材料で形成する。各セグメントは、通常は螺旋コイル巻線で包囲し(図7では、分かり易くするためにセグメント2410b及び2410dのみを包囲する巻線2440a及び2440bを示す)。動作中、電流をコイル巻線(例えば、ワイヤ2420a及び2420bの1つ又は複数を介して)に供給し、巻線に磁場を発生させ、これがセグメントを透過する。磁場は1つのセグメントから他のセグメントに貫通するため、適当に構成されたセグメントでは、比較的均一な偏向磁場2430を素子の中心アパーチャ2450に形成することができる。図7には示していないが、セグメント2410aと2410cとの間で中心アパーチャ2450に同様の偏向場を発生し、磁場2430の偏向方向に直交する方向に粒子ビーム2100を偏向させるようにすることができる。通常、セグメント2410a〜2410dが発生する磁場の強度は、各セグメントを包囲する巻線を通過する電流を変化させることにより変えることができる。
【0072】
概して、粒子ビーム偏向のための磁場を発生させる場発生素子を、上述の電場発生素子のいずれかの代わりに用いることができる。磁場発生素子は、一般的に電場発生素子に関連して上述した特性のいずれかを有することができる。例えば、磁場発生素子は、2個またはそれ以上のセグメントを含むことができ、2個またはそれ以上のセグメントの形状は、全て同じであっても異なっていてもよい。セグメントの形状は、規則的であっても不規則であってもよく、セグメントは、中心アパーチャ2450の周りに対称又は非対称に配置することができる。任意の個数の磁場発生素子を用いて、荷電粒子源の傾斜誤差及び/又は変位誤差を適宜補正し、また粒子光学系2040の軸線2045に沿って粒子ビーム2100を位置合わせする(整列させる)ことができる。さらに、磁場発生素子は、通常は先端部2010と粒子光学系2040との間で任意の位置に位置決めすることができる。電場発生素子に関連して上述したように、いくつかの実施形態では、粒子光学系2040における第1レンズは1つ又は複数の磁場発生素子を設けることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、電場発生素子及び磁場発生素子の組み合わせを用いて、荷電粒子源の傾斜誤差及び変位誤差を補正し、また粒子ビーム2100を粒子光学系2040の軸2045と位置合わせすることができる。特に、電場発生素子及び磁場発生素子の組み合わせを用いて、非分散システムを得ることができる。荷電粒子に関する磁場の分散性は、概して電場の半分である。さらに、磁場は、電場が荷電粒子を分散させる状況とは逆の状況に荷電粒子を分散させる。すなわち、磁場がもたらす分散は、電場がもたらす分散とは逆の符号である。したがって、システム2000において電場発生素子及び磁場発生素子の両方を用いると共に、これらの素子のそれぞれが発生する場の振幅を適当に選択することにより、粒子ビーム2100と粒子光学系2040の軸線2045との非分散位置合わせを達成することができる。例えば、適当な構成により、電場発生素子及び磁場発生素子は、大きさ及び方向の両方が互いに逆の粒子偏向を発生させるように構成することができる。
【0074】
特定の実施形態では、電場発生素子及び/又は磁場発生素子は、システム2000により自動的に構成することができる。例えば、システム2000は、場発生素子に電圧及び/又は電流を供給する1つ又は複数の電圧源及び/又は電流源に結合する電子プロセッサを含み得る。電子プロセッサは、例えば、粒子ビーム2100が粒子光学系2040から出射した後にこれを測定して、測定したビームに基づいて場発生素子の1つ又は複数を調整する検出器に結合することができる。一例として、検出器は、ビーム中の粒子電流を測定するよう構成することができ、電子プロセッサは、粒子ビームの測定電流を増大させるよう場発生素子の1つ又は複数を調整するように構成することができる。
【0075】
本明細書に開示する場発生素子を用いて、多種多様な異なるタイプの粒子ビームを位置合わせすることができる。粒子ビームは、例えば、電子及び/又はイオンを含み得る。特に、いくつかの実施形態では、粒子ビームは、ヘリウムイオン、ネオンイオン、アルゴンイオン、及び/又はクリプトンイオン等の希ガスイオンを含み得る。これらタイプのイオンの1つ又は複数を、本開示の第2部で説明するガス電界イオンシステム等のイオンビームシステムで発生させることができる。本明細書に開示するシステムを用いて、例えば水素イオン等、他のタイプのイオンを含む荷電粒子ビームを位置合わせすることもできる。
【0076】
場発生素子がビーム位置合わせ用の機械的機構を含まないシステムで用いられる実施形態について説明してきたが、随意に、システムが場発生素子及びビーム位置合わせ用の機械的機構を含み得る。このような機械的機構の例は、例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号に開示されており、その全内容が参照により本明細書に援用される。
【0077】
イオンビームシステム
本開示による発明のこの部分は、イオンビームを生成し、関心対象の試料(例えば、様々な回路素子を含む半導体デバイス)をイオンビームに被曝させることにより試料から離脱する二次電子及び散乱イオンを含む粒子を検出するシステム及び方法に関する。このシステム及び方法を用いて、例えば、試料の1つ又は複数の画像を得ることができる。
【0078】
通常、試料の検査に用いられるガスイオンビームは、多目的顕微鏡システムで生成される。試料解析(例えば画像形成)で使用できるイオンを発生させるガス電界イオン源を用いる顕微鏡システムは、ガス電界イオン顕微鏡と称される。ガス電界イオン源は、先端部(通常は10個またはそれ以下の原子を備える頂部を有する)を含む装置であり、この先端部を用いて、先端部の頂点に高い正電位(例えば、抽出器(後述を参照)に対して1kV以上)を印加しながら、中性ガス種を先端部に近付ける(例えば、約4Å〜5Åの距離内)ことにより、中性ガス種をイオン化して(例えば、イオンビームの形態の)イオンを発生させることができる。
【0079】
図8は、ガス電界イオン顕微鏡システム100の概略図を示し、ガス電界イオン顕微鏡システム100は、ガス源110、ガス電界イオン源120、イオン光学系130、試料マニピュレータ140、前側検出器150、後側検出器160、及び電子制御システム170(例えば、コンピュータ等の電子プロセッサ)を含み、電子制御システム170は、通信ライン172a〜172fを介してシステム100の種々のコンポーネントに電気的に接続する。試料180が、イオン光学系130と検出器150、160との間で試料マニピュレータ140内/上に位置決めする。使用中、イオンビーム192はイオン光学系130を経て試料180の表面181に向けられ、イオンビーム192と試料180との相互作用から得られる粒子194が、検出器150及び/又は160により測定される。
【0080】
図9に示すように、ガス源110は、1つ又は複数のガス182をガス電界イオン源120に供給するよう構成する。ガス源110は、様々な純度、流量、圧力、及び温度でガス(複数可)を供給するよう構成することができる。概して、ガス源110により供給されるガスの少なくとも1つは、希ガス(ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr),キセノン(Xe))であり、希ガスのイオンがイオンビーム192の主成分であることが望ましい。
【0081】
随意に、ガス源110は、希ガス(複数可)に加えて1つ又は複数のガスを供給することができ、そのようなガスの一例は窒素である。通常、付加的なガス(複数可)は、希ガス(複数可)の純度レベルよりも高いレベルで存在し得るが、付加的なガス(複数可)は、依然としてガス源110により導入されるガス混合物全体における微量成分でしかない。
【0082】
ガス電界イオン源120は、ガス源110から1つ又は複数のガス182を受け取ってガス(複数可)182からガス電界イオンを生成するように構成する。ガス電界イオン源120は、先端部頂点187を有する先端部186、抽出器190、及び随意に抑制器188を含む。
【0083】
先端部186は、様々な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、先端部186は、金属(例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、レニウム(Rh)、ニオブ(Nb)、白金(Pt)、モリブデン(Mo))で形成する。特定の実施形態では、先端部186は、合金で形成することができる。いくつかの実施形態では、先端部186は、異なる材料(例えば、炭素(C))で形成することができる。
【0084】
使用中、先端部186は、抽出器190に対して正にバイアスをかけられ(例えば、約20kV)、抽出器190は、外部接地に対して負又は正にバイアスをかけられ(例えば、−20kV〜+50kV)、随意の抑制器188は、先端部186に対して正又は負にバイアスをかけられる(例えば、−5kV〜+5kV)。先端部186は、通常は導電性材料で形成するため、先端部頂点187における先端部186の電場は、先端部頂点187の表面から外方に向いている。先端部186の形状により、電場は、先端部頂点187の近傍で最も強い。先端部186の電場の強度は、例えば、先端部186に印加される正電圧を変えることにより調整することができる。この構成により、ガス源110に供給されるイオン化されていないガス原子182がイオン化され、先端部頂点187の近傍で正電荷イオンになる。正電荷イオンは、正に帯電した先端部186に反発されると同時に負に帯電した抽出器190に引き付けられることにより、イオンビーム192として先端部186からイオン光学系130に向けられる。抑制器188は、先端部186と抽出器190との間の電場全体、ひいては先端部186からイオン光学系130への正電荷イオンの軌道を制御するのに役立つ。概して、先端部186と抽出器190との間の電場全体を調整して、正電荷イオンが先端部頂点187で生成される速度と、正電荷イオンが先端部186からイオン光学系130に搬送される効率とを制御することができる。
【0085】
概して、イオン光学系130は、イオンビーム192を試料180の表面181に向けるように構成する。イオン光学系130は、例えば、ビーム192のイオンの集束、コリメート、偏向、加速、及び/又は減速を行うことができる。イオン光学系130は、イオンビーム192のイオンの一部のみをイオン光学系130に通過させることもできる。概して、イオン光学系130は、所望に応じて構成される様々な静電素子又は他のイオン光学素子を含む。イオン光学系130の1つ又は複数のコンポーネント(例えば、静電ディフレクタ)の電場強度を操作することにより、試料180の表面181にわたってイオンビーム192を走査させることができる。例えば、イオン光学系130は、イオンビーム192を互いに直交する2つの方向に偏向させる2個のディフレクタを設けることができる。ディフレクタは、イオンビーム192が表面181の一領域にわたってラスタ走査される(rastered)ように様々な電場強度を有し得る。
【0086】
イオンビーム192が試料180に入射すると、様々な異なるタイプの粒子194が発生し得る。これら粒子としては、例えば、二次電子、オージェ電子、二次イオン、二次中性粒子、一次中性粒子、散乱イオン及び光子(例えば、X線光子、IR光子、可視光子、UV光子)が挙げられる。検出器150及び160は、イオンビーム192と試料180との相互作用から得られる1つ又は複数の異なるタイプの粒子をそれぞれが測定するように位置決め及び構成する。図9に示すように、検出器150は、試料180の表面181から主に生じる粒子194を検出するように位置決めし、検出器160は、試料180の裏表面183から主に現れる粒子194(例えば、透過粒子)を検出するように構成される。概して、任意の数及び構成の検出器を本明細書に開示される顕微鏡システムで用いることができる。いくつかの実施形態では、複数の検出器を用い、複数の検出器のいくつかが、異なるタイプの粒子を測定するように構成される。特定の実施形態では、検出器は、同じタイプの粒子に関する異なる情報(例えば、粒子のエネルギー、所与の粒子の角度分布、所与の粒子の全存在量)を提供するように構成する。随意に、このような検出器構成の組み合わせを用いることができる。
【0087】
概して、検出器により測定された情報を用いて、試料180に関する情報を決定する。通常、この情報は、試料180の1つ又は複数の画像を得ることにより求められる。表面181にわたってイオンビーム192をラスタ走査することにより、個別のステップで試料180に関する画素毎の情報を得ることができる。検出器150及び/又は160は、各画素で1つ又は複数の異なるタイプの粒子194を検出するように構成することができる。
【0088】
顕微鏡システム100の動作は、一般的に電子制御システム170を介して制御する。例えば、電子制御システム170は、ガス源110により供給されるガス(複数可)、先端部186の温度、先端部186の電位、抽出器190の電位、抑制器188の電位、イオン光学系130のコンポーネントの設定、試料マニピュレータ140の位置、及び/又は検出器150及び160の配置位置及び設定を制御するように構成することができる。随意に、これらパラメータの1つ又は複数を手動で(例えば、電子制御システム170と一体的なユーザインタフェースを介して)制御することができる。付加的に又は代替的に、電子制御システム170を用いて(例えば、コンピュータ等の電子プロセッサを介して)、検出器150及び160により収集した情報を解析して試料180に関する情報(例えば、トポグラフィ情報、材料成分情報、結晶情報、電圧コントラスト情報、光学的特性情報、磁気情報)を提供することができ、この情報は、随意に画像、グラフ、表、スプレッドシート等の形態とすることができる。通常、電子制御システム170は、ディスプレイ又は他の種類の出力装置、入力装置、及び記憶媒体を特徴とするユーザインタフェースを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、電子制御システム170は、さらなる装置を制御するように構成することができる。例えば、電子制御システム170は、場発生粒子位置合わせ素子(例えば、図1に示す)のセグメントに供給される電位及び/又は電流を調整するように構成することができる。電子制御システム170は、検出器(例えば、検出器150及び/又は160及び/又は別の検出器)に結合し、またイオンビーム電流等のイオンビーム192の1つ又は複数の特性を測定するように構成することができる。測定したイオンビーム電流に基づいて、電子制御システム170は、場発生素子のセグメントに印加する電位及び/又は電流を調整する(例えば、測定したイオンビーム電流を増大させる)ように構成することができる。
【0090】
検出器150及び160は、検出器150が試料180の表面181(イオンビームが入射する表面)からの粒子を検出するよう位置決めし、検出器160は試料180の表面183からの粒子を検出するよう位置決めした状態で、図9に概略的に示す。概して、多種多様な異なる検出器を顕微鏡システム200で用いて異なる粒子を検出することができ、顕微鏡システム200は、通常は任意な所望数の検出器を含むことができる。種々の検出器(複数可)の構成は、測定する粒子及び測定条件に従って選択することができる。いくつかの実施形態では、スペクトル分解検出器(spectrally resolved detector)を用いることができる。このような検出器は、異なるエネルギー及び/又は波長の粒子を検出し、検出した各粒子のエネルギー及び/又は波長に基づいて粒子を分解することが可能である。
【0091】
図10は、ヘリウムイオン顕微鏡システム200の概略図である。図10に示すように、いくつかの実施形態では、イオン光学系130が、第1レンズ216、位置合わせディフレクタ220及び222、アパーチャ224、非点収差補正器218、走査ディフレクタ219及び221、並びに第2レンズ226を含む。アパーチャ224は、アパーチャ取り付け部234に位置決めする。試料180は、第2の真空ハウジング204内の試料マニピュレータ140内/上に取り付ける。同じく第2の真空ハウジング204内に位置決めされる検出器150及び160は、試料180からの粒子194を検出するように構成する。ガス源110、先端部マニピュレータ208、抽出器190、抑制器188、第1レンズ216、位置合わせディフレクタ220及び222、アパーチャ取り付け部234、非点収差補正器218、走査ディフレクタ219及び221、試料マニピュレータ140、並びに/又は検出器150及び/又は160は、通常は電子制御システム170により制御する。随意に、電子制御システム170は、真空ハウジング202及び204内及びイオン光学系130内に減圧環境を提供するように構成する真空ポンプ236及び237も制御する。
【0092】
いくつかの実施形態では、アパーチャ224は、実質的に先端部186の1個の原子からのイオンのみがアパーチャに通過できるように位置決めすることができる。例えば、先端部186は、終端棚層(terminal shelf)を形成する比較的少数の原子(例えば、3個の原子)を含み得る。アパーチャ224は、終端棚層部における原子のうち1つの原子近傍で発生したイオンのみがアパーチャを通過できるように位置決めすることができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、荷電粒子光学系を通過する荷電粒子ビームの位置合わせは、2段階で行うようにすることができる。アパーチャ224をビームの経路から後退させて行う第1の手順では、上述のように、ビームを荷電粒子光学系の中心軸線に位置合わせする(整列させる)。続いて、Heガス原子と先端部186の頂点187における3原子層との相互作用により発生するHeイオンがアパーチャ224を通過することを確実にするために、第2の位置合わせ手順を行う。ディフレクタ220及び222に印加される電位は、アパーチャ224を通過するイオンビーム192のHeイオンの70%以上(例えば、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上)が、Haガス原子と先端部186の頂点における3個の三量体原子のうち1個のみとの相互作用により発生するように調整する。同時に、ディフレクタ220及び222に印加される電位の調整は、アパーチャ224がHeガス原子と他の2個の三量体原子との相互作用により発生するイオンビーム192のHeイオンの50%以上(例えば、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上)が試料180の表面181に達するのを阻止することを確実にする。この第2の位置合わせ手順の結果として、アパーチャ224を通過してイオン光学系130から出るHeイオンビームは、先端部186の頂点における3個の三量体原子のうち、1個のみの近傍で主にイオン化されたHe原子を含むようになる。
【0094】
イオンビームシステム及び方法は、例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号に概して開示されている。
【0095】
コンピュータのハードウェア及びソフトウェア
概して、上述の方法のいずれも、コンピュータのハードウェア若しくはソフトウェア又は両方の組み合わせで実施及び/又は制御することができる。これら方法は、本明細書に記載の方法及び図に従って標準的なプログラミング技法を用いてコンピュータプログラムで実施することができる。プログラムコードを入力データに適用して、本明細書に記載の機能を実施すると共に出力情報を生成する。出力情報は、ディスプレイモニタ等の1つ又は複数の出力装置に適用される。各プログラムを高レベルの手続き言語又はオブジェクト指向プログラミング言語で実施して、コンピュータシステムと通信することができる。しかしながら、プログラムは、所望であればアセンブリ言語又は機械語で実施することもできる。いずれの場合も、言語はコンパイル言語又はインタープリタ言語であり得る。さらに、プログラムは、その目的でプログラムされた専用集積回路で実行することができる。
【0096】
このようなコンピュータプログラムはそれぞれ、汎用又は専用のプログラマブルコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体又は記憶装置(例えば、ROM又は磁気ディスク)がコンピュータにより読み取られて本明細書に記載の手順を実施するときに、コンピュータを構成及び作動させるために、こうした記憶媒体又は記憶装置に記憶されることが好ましい。コンピュータプログラムは、プログラム実行中にキャッシュ又はメインメモリに常駐することもできる。これらの方法及びその一部は、コンピュータプログラムを用いて構成されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として実施することもでき、その場合、そのように構成された記憶媒体がコンピュータを特定の予め定義した方法で作動させて本明細書に記載の機能を実施する。
【0097】
他の実施形態は特許請求の範囲内に記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源と、
複数の電極を含む荷電粒子光学コラムであって、該荷電粒子光学コラムの第1電極は、円筒形でありかつ前記荷電粒子源に最も近接して位置決めし、また複数のセグメントを有する構成とした、該荷電粒子光学コラムと、及び
前記荷電粒子源と前記荷電粒子光学コラムとの間に位置決めした第2電極であって、円筒形であり複数のセグメントを有する構成とした、該第2電極と
を備え、
異なる電位を前記セグメントの少なくとも若干に印加する、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、前記荷電粒子光学コラムにおける前記第1電極に隣接して位置決めした第3電極であって、円筒形でありかつ複数のセグメント有する構成とした、該第3電極を備えた、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第1電極及び第2電極のそれぞれにおける前記セグメントの全部に異なる電位を印加する、システム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムにおいて、前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれにおける前記セグメントに異なる電位を印加する、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、動作中、前記荷電粒子源は、第1の方向に沿って伝播する荷電粒子を生成するよう構成し、前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って伝播するよう前記荷電粒子を指向させるように構成する、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、荷電粒子検出器及び電子プロセッサを備え、動作中、該電子プロセッサは、前記荷電粒子検出器を前記荷電粒子源により生成される荷電粒子を測定するよう指向させ、また測定した粒子に基づいて前記第1電極及び前記第2電極における前記セグメントの少なくとも若干に印加する電位を調整するよう構成した、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記電子プロセッサは、前記検出器により測定した荷電粒子電流を増大させるよう前記電位を調整するよう構成した、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第1電極における前記複数のセグメントのそれぞれは、放射状セグメントとした、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第1電極における前記複数のセグメントのそれぞれは、共通の形状を有する、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第1電極は、それぞれが共通の形状を有する放射状セグメントを含み、前記第2電極は、それぞれが共通の形状を有する放射状セグメントを含む、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記第1電極の前記放射状セグメントは、前記第2電極の前記放射状セグメントの形状とは異なる形状にした、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第1電極は4個のセグメントを含む、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第1電極は少なくとも8個のセグメントを含む、システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第2電極は4個のセグメントを含む、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第2電極は少なくとも8個のセグメントを含む、システム。
【請求項16】
荷電粒子源と、
複数の荷電粒子光学素子を含む荷電粒子光学コラムであって、該荷電粒子光学コラムの第1素子は第1荷電粒子検出器を有し、前記第1素子は、前記荷電粒子源に最も近接して位置決めし、かつ複数の場発生セグメントを有する構成とした、該荷電粒子光学コラムと、
を備え、及び
前記荷電粒子源と前記荷電粒子光学コラムとの間に位置決めした第2荷電粒子ディフレクタであって、複数の場発生セグメントを含む、該第2荷電粒子ディフレクタと
を備えた、システム。
【請求項17】
ビーム経路を有する荷電粒子ビームを発生させるように構成した荷電粒子源と、
第1可変場を発生するよう構成した第1分割素子と、
第2可変場を発生するよう構成した第2分割素子を有する荷電粒子光学系と、
を備え、
前記第1分割素子を、前記ビーム経路に沿って前記荷電粒子源と前記荷電粒子光学系との間に配置した、システム。
【請求項18】
ビーム経路を有する荷電粒子ビームを発生させるよう構成した荷電粒子源と、
第1ビーム偏向手段と、及び
第2ビーム偏向手段を有する荷電粒子光学系と、
を備え、
前記第1ビーム偏向手段は、前記ビーム経路に沿って前記荷電粒子源と前記荷電粒子光学系との間に配置した、システム。
【請求項19】
イオンビームを発生させるよう構成したガス電界イオン源と、及び
軸線を有し、前記イオンビームを試料に指向させるよう構成したイオン光学系と、
を備え、
使用中に、前記ガス電界イオン源が前記イオン光学系の前記軸線に対して直線移動できないよう構成した、システム。
【請求項20】
イオンビームを発生させるよう構成したガス電界イオン源と、
軸線を有し、前記イオンビームを試料に指向させるよう構成したイオン光学系と、
を備え、
使用中、前記ガス電界イオン源が前記イオン光学系の前記軸線に対して直線移動できないよう構成した、システム。
【請求項21】
荷電粒子源と、
複数の電極を含む荷電粒子光学コラムであって、第1電極は、前記荷電粒子源に最も近接して位置決めし、かつ複数のセグメントを有する構成とした、該荷電粒子光学コラムと、
荷電粒子検出器と、及び
電子プロセッサと
を備え、
動作中、前記電子プロセッサは、前記荷電粒子検出器を前記荷電粒子源により生成される荷電粒子を測定するよう指向させ、また測定した粒子に基づいて前記第1電極における前記セグメントのそれぞれに印加する電位を調整し、これにより、前記第1電極における前記セグメントのそれぞれに印加する電位が、前記第1電極における他の前記セグメントそれぞれに印加する電位とは独立して印加されるよう構成した、システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−504309(P2012−504309A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529047(P2011−529047)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/053523
【国際公開番号】WO2010/039339
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(510237435)カール ツァイス エヌティーエス エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】