説明

荷電粒子線装置

【課題】特殊な試料と特殊な作業時間を特別に用意することなく、高度に調整された荷電粒子線装置の性能を維持し続けることで、半導体製造プロセスの変動に起因した不良を直ちに発見できる荷電粒子線装置を提供する。
【解決手段】装置制御機能を用いて電子光学系を検査対象の正焦点位置に移動させ、画像を取得し、画像処理機能を用いて前記検査対象のパターン検索を行う荷電粒子線装置であって、前記装置制御機能を用いて移動した前記検査対象の座標と、前記画像処理機能を用いて特定した前記検査対象の座標との差分値を求める差分値算出部と、前記検査対象における前記差分値のばらつきから前記荷電粒子線装置の性能状態を読み取る差分値分析部と、前記差分分析部の結果に基づき、所定の場合には使用者に警告を行う警告発生部と、を備えることを特徴とする荷電粒子線装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線装置に関し、例えば、半導体製造プロセスの評価に用いる荷電粒子線装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子線装置は、半導体ウェーハ上の微細パターンの寸法検査や微細欠陥の検査に多用されている。半導体ウェーハサイズは、現在300[mm]であるが、近い将来450[mm]へと大口径化が検討されている。また、パターン寸法も、35[nm]以下が主流となり、半導体プロセスの微細化が進んでいる。従って、これらの寸法検査やパターンの欠陥検査を行う荷電粒子線装置も、より高精度計測、及び高分解能が望まれている。
【0003】
このような荷電粒子線装置の中でも特に高精度な検査、計測を行う荷電粒子線装置に対しては、装置の性能を高いレベルで維持すること、さらに半導体製造ライン内に複数台ある装置の装置間性能格差を出来る限り0に近づけることが重要となる。このように性能保証された荷電粒子線装置を用いるからこそ、半導体製造プロセスの変動に起因した不良を直ちに発見し、半導体製造装置にフィードバックもしくはフィードフォワードすることで、歩留まりが向上する。
【0004】
ところが、荷電粒子線装置の性能を向上させるにしたがって、それを実現するための機構や処理アルゴリズムが複雑化し、また、その性能を維持する為に必要な保守や調整工数も次第に増えている。従って、荷電粒子線装置調整の絶対的な達成度の評価や、その持続性の確認は困難を極める。
【0005】
装置調整の絶対的な達成度の評価に対する代表的な解決方法としては、たとえば特許文献1がある。ここで示されるとおり、標準となる試料を用意してこれを観察することで、荷電粒子線装置の絶対的な性能状態の把握と、調整による性能の合わせ込みを行う。どのような試料を用意するか、そこから何を指標として用いるのかについては、その他多くの提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−122995号公報
【特許文献2】特開平4−269613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1には、荷電粒子線装置調整後の持続性の確認方法として、標準試料を用いた絶対調整をいつ行うべきか(執行時期)についての具体的な尺度はない。
【0008】
従来技術では、多くの場合は定期的に行うか、もしくは使用に耐えないほど性能劣化するか、もしくは荷電粒子線装置の重大なエラーをきっかけにして行う。このとき装置は、停止して半導体製造工程から外す必要があり、多大な時間と費用が必要である。これにより、実際には性能劣化していない、もしくは実運用時間が少ない荷電粒子線装置に対しても、全て同様のコストが発生することになり無駄が多い。また使用に耐えないほどの性能劣化を引き起こした荷電粒子線装置は、不良ロットを後工程に流すおそれがあり、それによって歩留まりは大きく劣化する。
【0009】
さらに重大なエラーは、それが内部要因である装置に起因するものであるのか、外部要因である半導体製造プロセスの変動に起因するものであるのかの判断が非常に難しい。よって、使用者は、重大なエラーの解析を行うために多くの時間を要し、半導体製造プロセスの変動に起因した不良を直ちに発見することはできず、やはり歩留まりが劣化する。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、特殊な試料と特殊な作業時間を特別に用意することなく、高度に調整された荷電粒子線装置の性能を維持し続けることで、半導体製造プロセスの変動に起因した不良を直ちに発見できる荷電粒子線装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、継続的に装置の性能監視を行い、その劣化の傾向を時間連続的に評価することで、荷電粒子線装置の絶対調整の実施時期を予測する。また、半導体製造プロセスの変動に起因した不良と装置の性能劣化とを適正に見分け、荷電粒子線装置の性能劣化を防止すべく使用者に対して警告を行う。
【0012】
すなわち、本発明による荷電粒子線装置は、装置制御機能を用いて電子光学系を検査対象の正焦点位置に移動させ、画像を取得し、画像処理機能を用いて前記検査対象のパターン検索を行う荷電粒子線装置であって、前記装置制御機能を用いて移動した前記検査対象の座標と、前記画像処理機能を用いて特定した前記検査対象の座標との差分値を求める差分値算出部と、前記検査対象における前記差分値のばらつきから前記荷電粒子線装置の性能状態を読み取る差分値分析部と、前記差分分析部の結果に基づき、所定の場合には使用者に警告を行う警告発生部と、を備える。
【0013】
また、本発明による荷電粒子線装置は、装置制御機能を用いて電子光学系を検査対象の正焦点位置に移動させ、画像処理機能を用いて正焦点画像を取得する荷電粒子線装置であって、前記装置制御機能を用いて物理的な高さおよび電位的な高さから決定したレンズの制御量と、前記画像処理機能を用いて正焦点画像から決定したレンズの制御量との差分値を求める差分値算出部と、前記検査対象において前記差分値が所定値以上となる特徴箇所を決定する特徴箇所決定部と、該特徴箇所における前記物理的な高さおよび電位的な高さから決定したレンズの制御量を計測する高さ計測部と、前記物理的な高さ又は電位的な高さから決定したレンズの制御量が所定範囲外である場合は、エラー発生回数として計数するエラー発生カウント部と、前記エラー発生回数の出現累積回数又は出現比率を用いて、前記荷電粒子線装置の絶対調整が必要な時期を予測し、使用者に警告を行う警告発生部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の荷電粒子線装置によれば、特殊な試料と、特殊な作業時間を用意することなく、高度に調整された荷電粒子線装置の性能を維持し続けることで、半導体製造プロセスの変動に起因した不良を直ちに発見できる荷電粒子線装置を提供することができる。
【0015】
これによって、保守・点検に必要なコストの低減を実現し、装置の有用性を高いレベルで維持することができ、歩留まりおよび設備総合効率を引き上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】搭載荷電粒子線装置の概略構成
【図2】装置制御機能を用いて移動したウェーハ座標と、パターン検出機能を用いて特定したウェーハ座標との差分値を描画した図
【図3】装置制御機能を用いて移動したウェーハ座標と、パターン検出機能を用いて特定したウェーハ座標との差分値を描画した図(パラメータ不良事例)
【図4】装置制御機能を用いて移動したウェーハ座標と、パターン検出機能を用いて特定したウェーハ座標との差分値を描画した図(経時変化事例)
【図5】装置制御機能を用いて移動したウェーハ座標と、パターン検出機能を用いて特定したウェーハ座標との差分値を描画した図(装置不良事例)
【図6】装置制御機能を用いて移動したウェーハ座標と、パターン検出機能を用いて特定したウェーハ座標との差分値を描画した図(プロセス変動事例)
【図7】ウェーハ上の各検査点において、装置制御機能によって電位的な高さから決定したレンズの制御量および物理的な高さから決定したレンズの制御量、およびこれら制御量の和とオートフォーカス機能で決定したレンズの制御量との差分値を描画した図
【図8】ウェーハ上の各検査点において、装置制御機能によって電位的な高さから決定したレンズの制御量および物理的な高さから決定したレンズの制御量、およびこれら制御量の和とオートフォーカス機能で決定したレンズの制御量との差分値を描画した図(差分が大きい事例)
【図9】ウェーハ上の各検査点において、装置制御機能によって電位的な高さから決定したレンズの制御量および物理的な高さから決定したレンズの制御量、およびこれら制御量の和とオートフォーカス機能で決定したレンズの制御量との差分値を描画した図(差分値に特徴箇所がある事例)
【図10】ウェーハ上の各検査点において、装置制御機能によって電位的な高さから決定したレンズの制御量および物理的な高さから決定したレンズの制御量、およびこれら制御量の和とオートフォーカス機能で決定したレンズの制御量との差分値を描画した図(差分値に特徴箇所があるが非適用事例)
【図11】エラー出現比率による調整時期予測図
【図12】検査ラインにおける統合システム構成図
【図13】差分値のばらつきの要因を分析し、該要因を使用者へ警告する方法を表したフローチャート
【図14】荷電粒子線装置の性能状態の劣化を使用者へ警告する方法を表したフローチャート
【図15】制御コンピュータ112の内部構成図
【図16】ホストコンピュータ110の内部構成図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、半導体製造プロセスの評価に用いる荷電粒子線装置に関するものである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【0018】
<荷電粒子線装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る半導体用荷電粒子線装置の概略構成を表す図である。
荷電粒子線装置は、電子光学系101、低倍率での観察に用いる光学顕微鏡102、ウェーハ108の持ち込み帯電電位を計測するための帯電計測器104、帯電計測器104を取り除くための除電装置106、電子光学系101とウェーハ108までの高さ方向の距離を精密に計測するためのZセンサーなどを用いた試料高さ計測器105、を試料室107に備える。高真空に保たれた試料室107内部には、試料となるウェーハ108を目的の観察位置まで移載するためのステージ109が設置され、ステージの位置を計測するためのリニアスケールなどを用いたステージ位置計測器103が、ステージの動作軸に対して設置されている。
【0019】
制御コンピュータ112は、制御回路113を経由して装置に接続され、ステージ位置計測器103から得たステージ位置情報、試料高さ計測器105から得た試料高さ情報、帯電計測器104から得た試料の電位情報に基づいて、電子光学系を制御するよう設計されている。たとえば、ステージ位置情報に基づいて、本来観察したいウェーハ108の位置座標との相違分を算出し、その分量を電子光学系101のコイルに印加することで、電子線の照射位置を変更し、検査対象とする座標の観察を行う。また、試料高さ情報に基づいて、その試料表面で正焦点を結ぶように電磁レンズに印加すべき電流量を算出して印加することで、正焦点でのビーム照射を行う。さらに、試料の電位情報に基づいて、除電装置106で除電を行う時間を決定し、必要十分な除電処理を行うか、または除電は行わずに、電子光学系101の静電電極を用いて正焦点でのビーム照射を行う。このように、制御コンピュータ112は、各種計測装置を用いることで正しい位置を正しい焦点で観察できるよう、電子光学系の制御を行う。一般的に本機能のことを装置制御機能と呼ぶ。
【0020】
また、物理計測が難しい電子光学系の制御、たとえば電子線の光軸補正などについては、設計された補正アルゴリズムにしたがって、予め調整がなされ、その調整データパラメータ115はホストコンピュータ110の保持する記憶装置111に保存されている。制御コンピュータ112は適時これを読み出し、現在の電子光学系101の制御前提条件に合わせた後、設計された補正アルゴリズムにしたがって電子線の光軸補正制御を行う。現在の電子光学系101の制御前提条件は、観察、測定する半導体製造プロセスに応じて適切な電子ビームのエネルギーや分解能、焦点深度が得られるように採用される。制御前提条件は、半導体製造プロセスに依存するため、一般的にレシピと呼ばれるファイル、もしくはファイル群である処理手順パラメータ114の中で管理されている。
【0021】
図15は、制御コンピュータ112の内部構成図である。制御コンピュータ112は、電子光学系制御部1501、特徴箇所決定部1502、高さ計測部1503、エラー発生カウント部1504、線形回帰モデル作成部1505、警告発生部1506、差分値算出部1507、差分値分析部1508、を有する。
【0022】
使用者は、観察する目的、対象に応じてレシピを選択することで、処理手順パラメータ114に記載された制御前提条件が適用され、制御コンピュータ112によって解釈され、電子光学系101を制御する。
【0023】
一方、荷電粒子線装置は、検出器によって得た電子信号を画像データ116に変換する。
【0024】
ホストコンピュータ110は、変換された画像データ116に様々な処理を施すことで、画像データ116から電子光学系101の制御に必要な情報を読み取る機能を有している。一般的に本機能のことを画像処理機能と呼ぶ。
【0025】
図16は、ホストコンピュータ110の内部構成図である。ホストコンピュータ110は、画像補正部1601、レンズ制御量算出部1602、を有する。
【0026】
<荷電粒子線装置の諸機能>
本実施形態では、半導体製造プロセスで用いられる荷電粒子線装置が、標準的に搭載している装置制御機能と画像処理機能のそれぞれを用いて算出した、電子光学系への制御量の差分値を追跡することによって、荷電粒子線装置の性能状態を客観的に判断する。
【0027】
装置制御機能は、多くの場合、半導体製造プロセスに対応した電子光学系の制御条件を基に、各種パラメータを調整することで、正しい焦点で観察できるよう、電子光学系を制御する機能である。また、ハードウェアセンサーによる計測結果を入力にして、それに応じて適切な制御量をコンピュータによって算出し、電子光学系を制御することもある。多くの場合、制御量の算出に対して、多くの計算パラメータを用いる。
【0028】
それに対して画像処理機能は、装置制御機能によって制御された荷電粒子線装置の電子光学系が作成した画像情報を入力とし、それに様々な画像処理アルゴリズムを適用することで画像情報を解釈し、正しい焦点になるよう画像情報を補正する機能である。また、その画像情報に基づいて校正されたレンズ制御量を算出し、装置制御機能にフィードバックする機能でもある。装置制御機能は、画像処理機能からのフィードバックを受け、正しい焦点となるよう電子光学系を微調整する。
【0029】
一般的には、装置制御機能により電子光学系を焦点が合う位置におおまかに配置した状態で画像を取得し、その後、画像処理機能により画像の補正処理を行うか、または画像処理機能が装置制御機能へフィードバックすることで電子光学系の微調整を行う。このように、従来、装置制御機能と画像処理機能の関係は、疎制御と精制御の関係、または疎調整と精調整の関係にあり、両者に乖離があることは全く当然と考えられていた。
【0030】
しかし、装置の高スループット化に対する要求が次第に大きくなるにつれて、装置制御機能による精度が次第に向上し、画像処理機能による画像の補正量、または電子光学系を微調整するために装置制御機能へフィードバックする制御量が減少してきた。これにより、従来は大きすぎた補正量やフィードバック制御量に埋もれて判断できなかった電子光学系の微細な異常や傾向が判断できるようになってきた。
【0031】
言い換えると、装置制御機能が、画像処理機能と同等に高精度であれば、画像処理機能は、装置制御機能によって制御した電子光学系が取得した画像を客観的に判断できる機能であると言える。
【0032】
よって、両者の機能による電子光学系への制御量の差分値を、継続的に収集・管理し、半導体製造プロセスと関連付けて統計的に処理することで、外部要因的な障害、たとえば半導体製造プロセスの変動に起因する試料の不良等と、内部要因的な性能状態の劣化、たとえば電子光学系の経時劣化、試料位置や高さ、電位計測のためのセンサー劣化による荷電粒子線装置の性能状態の劣化等と、を切り分けることができる。そして、性能状態の回復のために必要な絶対調整の執行時期を予測し、それを使用者に知らせることができる。
【0033】
これにより、使用者は、半導体製造プロセスの変動に起因した試料の不良を直ちに発見し、半導体製造装置にフィードバックもしくはフィードフォワードすることで、歩留まりを向上させることができる。
【0034】
<ウェーハ座標の差分値に基づく性能検査処理>
荷電粒子線装置で頻繁に行われる画像処理機能の一つにパターン検出機能がある。この機能は予め与えられたパターン画像が、観察画像中のどこにあるかを検索して、その位置を特定する機能であり、検査対象となる半導体パターンなどの位置を検出するために用いるものである。
【0035】
一方、装置制御機能を動作させるにあたって、電子光学系制御部1501は、処理手順パラメータ114に設定されたウェーハ座標へ、ステージ位置計測器103からの信号に基づき、ウェーハが所定の位置に設置されるようにステージを制御し、また電子線をステージと連動させるようにシフトさせる。つまり、検査対象となるウェーハ座標は、処理手順パラメータ114に記載された通りに、電子線直下となるように、荷電粒子線装置上で正確に実現されるはずである。
【0036】
それを前提として、処理手順パラメータ114に基づいて電子光学系が移動したウェーハ座標が、パターン検出機能を用いて特定したウェーハ座標からどの程度乖離しているかを、継続的に、統計的に調査することで、半導体製造プロセスおよび荷電粒子線装置の性能状態に関する情報を読み取ることが可能となる。
【0037】
ここでは、差分値算出部1507が算出した、装置制御機能を用いて処理手順パラメータ114に設定されたウェーハ座標へ移動した検査対象の位置(ウェーハ上の座標)と、パターン検出機能を用いて特定した検査対象の位置(ウェーハ上の座標)との差分値を調査することで、半導体製造プロセスの変動に起因する試料の不良と、荷電粒子線装置の性能状態の劣化と、を切り分ける。そして、差分値分析部1508が差分値を分析し、荷電粒子線装置の性能状態の劣化を検出した場合は、警告発生部1506が使用者に対して警告を行う。警告を受けた使用者は、警告に従って荷電粒子線装置のメンテナンスを行うことで、荷電粒子線装置の性能状態を高度に調整された状態に維持し続けることができる。それにより、使用者は、荷電粒子線装置の性能状態の劣化に煩わされることなく、半導体製造プロセスの変動に起因した試料の不良を直ちに発見することができる。
【0038】
図2〜6は、装置制御機能を用いて移動したウェーハ座標と、パターン検出機能を用いて特定したウェーハ座標との差分値を描画した図である。
【0039】
座標の差分値は、半導体製造プロセスに依存して作成された処理手順パラメータ114(レシピ)ごとに分類し管理する。更に差分値は、パターン検出機能を用いて決定したウェーハ座標ごとに管理を行うこととする。
【0040】
たとえば図2のように、レシピ「Photo01001XX」アライメントポイントNo.1、ウェーハ座標(X,Y)=(21231230,15623)[nm]のような情報をキーとして、分類、管理する。差分値は、原点(0,0)から黒点までのベクトルとしてX,Y平面に描画している。
【0041】
以下、図2〜6の差分値のばらつきパターンについて、各パターンの場合にどのように荷電粒子線装置の性能状態の劣化を検出し、使用者に対して警告を行うかについて説明する。以下、差分値のばらつきを算出するのは差分値算出部1507であり、分析するのは差分値分析部1508であり、使用者に警告を発するのは警告発生部1506である。
【0042】
図13は、差分値のばらつきの要因を分析し、該要因を使用者へ警告する方法を表したフローチャートである。
【0043】
差分値算出部1507は、差分値を算出し、差分値のばらつきが一定範囲内にあるかを判定する(S1301)。差分値分析部1508は、差分値のばらつきが一定範囲内にあれば、ばらつきの重心を荷電粒子線装置の稼働時間方向に追従する。そして、重心を時間方向に分析し、短期的に見て重心が原点近傍にあるかを判定する(S1302)。重心が原点近傍にあれば、今度は長期的に見て重心が原点近傍にあるかを判定する(S1303)。ここでも重心が原点近傍にあれば、処理手順パラメータ114に設定されたアライメントポイントのウェーハ座標は、当該半導体製造プロセスの試料に対して適正であり、ステージ精度、ビームシフト精度共に良好に調整されているため、荷電粒子線装置の性能状態は正常であると決定する(S1304)。この場合は、警告発生部1506が、使用者に対して、正常であると通知してもよい。図2は、X,Y成分ともに、原点(0,0)近傍の一定範囲内に差分値のばらつきが収まっている例である。なお、原点(0,0)近傍に差分値のばらつきが分布するのは、ステージ停止誤差に起因する。
【0044】
S1301で、差分値のばらつきが一定範囲内にあると判定されたものの、S1302で、短期的に見て重心が原点近傍にないと判定された場合は、処理手順パラメータ114に設定されたアライメントポイントのウェーハ座標が、当該半導体製造プロセスの試料に対して適正でないと決定する(S1305)。これは、半導体製造プロセスも、荷電粒子線装置の性能状態も、健全であるにもかかわらず、検査対象となる位置決定に対して尤度を持っていないことになる。よって、警告発生部1506は、使用者に対して、処理手順パラメータ114の修正を求める警告を自動的に発行することで、検査処理のエラーによる停止を未然に防ぐよう働きかけることができる(S1310)。図3は、図2と比較すると、ばらつき自体は一定範囲内に収まっているが、差分値のばらつきの重心は原点(0,0)から大きく離れている例である。
【0045】
S1301で、差分値のばらつきが一定範囲内にあり、S1302で、短期的に見て重心が原点近傍にあるものの、S1303で、長期的に見て重心が原点近傍に無いと判定された場合は、装置の経時劣化に伴う兆候が現れていると決定する(S1306)。このような場合は、ステージ109の制御およびその位置計測器103、またはステージ位置の計測値に応じてビーム照射位置へのシフトを行う制御アルゴリズムおよびパラメータの不適合が原因である。差分値のばらつきの重心移動が比較的短期間で行われている傾向がある場合は、ビームシフト量を算出するための電子光学系101の調整パラメータが原因であり、かなり長期的で行われている傾向がある場合は、ステージ位置計測器103の取り付けのガタツキが原因である。このように、差分値のばらつきの重心移動について、時間的要素も考慮すれば、より詳細に原因箇所の推定が可能となる。さらに、その重心移動の推移速度と、短期的なばらつきの関係から、いつパターン検出限界501を超えるのかを、およそ予測することが可能である。このため、警告発生部1506は、使用者に対して、絶対調整の執行猶予があとどのくらい残されているのかを示す警告を自動的に発行することで、適切な時期に調整作業を計画するよう働きかけることができる(S1310)。図4は、短期的なばらつきは大きくは変動しないものの、長期的に見るとその重心が連続的に移動する例である。
【0046】
S1301で、差分値のばらつきが一定範囲内にないと判定された場合は、ばらつき集合が複数あるかを判定する(S1307)。ばらつき集合が単独であり、ばらつきの重心が何の傾向も示さないような場合は、既に内部要因である荷電粒子線装置の性能状態(たとえば、ステージ109、その位置計測器103、又はビームシフト精度)に既に障害が発生していると決定する(S1308)。つまり、装置制御機能が正常に機能しておらず、画像処理機能が画像を補正してかろうじて復旧し、検査が行われていたに過ぎない状態である。このため、警告発生部1506は、使用者に対して、早急に装置調整を促す警告を自動的に発行することで、装置不稼動時間を出来るだけ少なくするよう働きかけることができる(S1310)。図5は、差分値のばらつきが極めて大きく、ばらつき集合が単独の例である。
【0047】
S1301で、差分値のばらつきが一定範囲内にないと判定され、S1307で、ばらつき集合が複数あると判定された場合は、荷電粒子線装置に対して大きな環境変化をもたらしたか、もしくは半導体製造プロセスに何らかの変動が発生したと決定する(S1309)。このため、使用者に対して、環境変化、またはプロセス変動が適正なものであるのかの判断を促す警告を自動的に発行することで、致命的な被害を最小限にとどめるよう働きかけることができる(S1310)。ばらつき集合が複数あるかの検出にあたって、統計量の分類には様々な既知のアルゴリズムが用いられるが、たとえばマハラノビス汎距離を用いて、テコ比(leverage)が急激に高くなったことを検出することで、分類することが可能である。テコ比が急激に高くなったことを検出して以降、算出される差分値が新たに分類されたグループとして描画され続ける場合、かつその傾向が全てのパターン検出箇所で同時に見られる場合が該当する。図6は、あるタイミングをさかいに、今までの差分値のばらつきの集合とは全く異なる分類の集合が出現した例である。
【0048】
以上のように、試料に対してX,Y平面上の位置を特定するセンサーを用いた装置制御機能の結果と、半導体パターンの検出を行う画像処理機能の結果との差分値を利用して、半導体製造プロセスの変動に起因した試料の不良と荷電粒子線装置本体の性能状態の不備を明確に切り分け、その原因を特定することができる。
【0049】
<各機能から算出されたレンズ制御量の差分値>
上述(図5)のように、時間方向にウェーハ座標の差分値を収集することで、単純に試料高さ計測器105か帯電計測器104のどちらか、もしくは両方が性能劣化を始めたことを認識することができ、非常に有効である。
【0050】
しかし、試料高さ計測器105もしくは帯電計測器104のどちらの計測器に問題があるのか、または半導体製造プロセス変動にともなう試料ウェーハ108そのものの問題であるのかを切り分けることは困難である。試料高さ計測器105による物理的な高さも、帯電計測器104による電位的な高さも、どちらも焦点距離に影響を与えるため、ウェーハ座標の差分値を収集するだけでは焦点の合わない原因が物理的な高さにあるのか電位的な高さにあるのかを明確に切り分けることができないからである。
【0051】
そこで、物理的な高さ、電位的な高さから決定したレンズへの制御量と、画像処理機能が正焦点画像から決定したレンズへの制御量との差分値を、時間方向に加えて試料ウェーハ108の面上において評価し、特徴的な箇所を検出して、それを収集することで、半導体製造プロセスおよび荷電粒子線装置の性能状態に関する情報を読み取る。
【0052】
焦点距離に影響を与える要素は、大きく分けて2つある。1つは、試料から電子光学系までの物理的な高さであり、焦点距離として利用される。これは試料高さ計測器105で計測する。もう1つは、試料ウェーハ108が保持している電位的な高さである。試料ウェーハ108に帯電した電位は電子光学系101に対して電位的距離を生じさせる為、焦点距離に影響を及ぼす。これは帯電計測器104で計測する。
【0053】
まず、装置制御機能を動作させるにあたって、高さ計測部1503は、処理手順パラメータ114に設定されたウェーハ座標および定められた手順に従って、試料室107内部にて各検査対象の試料高さおよび電位をそれぞれ計測し、電子光学系制御部1501は、正しい焦点で観察できるよう、電子光学系を制御する。実際に電磁レンズに印加される制御量(電流量)は、試料高さおよび電位に基づいて算出した電流量の和である。
【0054】
次に、画像処理機能を動作させるにあたって、正しい焦点で観察できる機能としてオートフォーカス機能がある。オートフォーカス機能は、自動的に焦点合わせを行うために、フォーカス調整用の電磁もしくは静電レンズを動作しながら画像をサンプリングし、微分法などによるフォーカス評価値に従って正焦点となるレンズの制御量を決定する機能である。
【0055】
ここでは、装置制御機能によって物理的な高さおよび電位的な高さから決定したレンズの制御量と、オートフォーカス機能が正焦点画像から決定したレンズの制御量との差分値を求め、試料ウェーハ108の面上において特徴的な箇所を検出すれば、半導体製造プロセスおよび荷電粒子線装置の性能状態に関する情報を読み取ることができる。
【0056】
図7〜10は、ウェーハ上の各検査点において、装置制御機能によって電位的な高さから決定したレンズの制御量701(以下、電位的な高さによる制御量701)および物理的な高さから決定したレンズの制御量702(以下、物理的な高さによる制御量702)、およびこれら制御量の和とオートフォーカス機能で決定したレンズの制御量との差分値703(以下、差分値703)を描画した図である。図7〜10では、簡単化のために1次元(X方向)のデータのみを描画しているが、実際は試料ウェーハ108の平面上の各検査点で計測している為、2次元で描画するのが望ましい。このようなオートフォーカス機能でレンズの制御量を決定する技術として、たとえば特許文献2がある。
【0057】
図7のように、電位的な高さによる制御量701および物理的な高さによる制御量702が、各検査対象に対して、特徴を持たない場合は、差分値703が何を示しているのかが明確にはわからない。
【0058】
また、図8は差分値703が一様に大きな値をとるが、このグラフだけではその原因が、電位的な高さによる制御量701が大きすぎたのか、物理的な高さによる制御量702が大きすぎたのかは区別が付かない。ただし、物理的な高さ、電位的な高さの絶対値に、半導体製造プロセスに依存した均一性が見られる場合は、第1の実施形態と同様にウェーハ上の各検査対象で収集して、統計的に処理することで、半導体製造プロセスおよび荷電粒子線装置の性能状態に関する情報を読み取ることが可能となる。この場合、差分値703は異常値を知らせるトリガとして有効である。
【0059】
図9は、差分値703が、特徴箇所901において、特徴的な挙動を示している。試料高さ計測器105および帯電計測器104が理想的に調整された性能状態であれば、差分値703は平均値0を中心に、一定範囲のばらつきに収まる。ここではそれを逸脱するような特徴箇所901を解析する。
【0060】
図14は、荷電粒子線装置の性能状態の劣化を使用者へ警告する方法を表したフローチャートである。
まず、特徴箇所決定部1502が、差分値703上で特徴箇所901を決定する(S1401)。決定方法はいくつかの統計的処理を適用することが出来るが、単純には平均値に対して予め設定した閾値を超える差分値703を特徴箇所901とする(S1402)。もしくはもっと正確にスミルノフ・グラブス検定のような手法を用いて、外れ値を決定する方法を採用しても良い。特徴箇所決定部1502は、差分値703が閾値を超えない場合は、次の特徴箇所を決定する(S1404)。
【0061】
差分703上で特徴箇所901を決定したら、その原因が物理的な高さ、電位的な高さのどちらに原因があるのかを検証するため、高さ計測部1503は、電位的な高さによる制御量701および物理的な高さによる制御量702を計測する(S1403)。図9では、特徴箇所901における差分703と反対の挙動を電位的な高さによる制御量701が示している。つまり、電位的な高さによる制御量701からの影響を排除するために、差分703上の特徴箇所901に特徴的な結果として出現したと考えられる。このように、電位的な高さによる制御量701又は物理的な高さによる制御量702が近似線から外れている場合は、物理的な高さ、電位的な高さのどちらに原因があるか判断できるため、エラー発生カウント部1504は、電位計測エラー発生回数として計数する(S1405、S1406)。
【0062】
ただし、図9では、電位的な高さによるレンズの制御量701が近似線から同様に外れている箇所902が見られるが、ここでは差分値703が特徴的な値を示していない。したがって、物理的な高さ、電位的な高さのどちらに原因があるか判断できないため、計数の対象としない。
【0063】
また、図10は、差分値703上で特徴箇所1001を決定しても、その原因が明確に判別できない。したがって、この場合も計数の対象としない。図10では、多々発生する計測機器の雑音性能が原因として考えられる。
【0064】
このようにして、差分値703から特徴箇所901を抽出し、明らかな高さ計測エラー、電位計測エラーを継続的に計数する。計数したエラーから、線形回帰モデル作成部1505は、その出現累積回数、もしくは出現比率を用いて、線形回帰モデルとして成長線1102を作成する。警告発生部1506は、これに対して適切な閾値1103を設け、そこにいつ到達するかを予測し、それに応じた絶対調整必要時期1105を使用者に警告する(S1407、S1408)。これによって、高度に調整された荷電粒子線装置の性能状態を保持することができる。
【0065】
<統合システムへの応用>
半導体製造プロセスおよび荷電粒子線装置の性能状態の維持方法は、装置単体で行うのではなく、半導体製造プロセスごとに、検査ライン内の複数台の装置について統合的に行うことで、装置間の格差、もしくは半導体製造プロセスの変動を効率的に管理することができる。
【0066】
図12は、検査ラインにおける統合システム構成図を示したものである。検査ライン内に接続された全ての装置から、半導体製造プロセスに関連付けられた処理手順パラメータ114に基づいてレシピが実行されるたびに、その通常処理の中で得た装置制御機能と画像処理機能の差分データ1205がネットワーク接続1203を経由してデータサーバコンピュータ1201に自動的に伝送される。
【0067】
伝送された差分データ1205はデータサーバコンピュータ1201の持つデータベースシステムなどの記憶領域にプロセス名をキーに分類、保管し、上述の手法で求めた差分データを用いてデータ加工処理を行う。
【0068】
加工されたデータは、荷電粒子線装置の性能状態指標としてモニター上に画面表示1202される。また、必要に応じて警告が画面表示1202され、または必要な管理者やサービス会社などに遠隔転送されることで、継続的な監視が実現される。
【0069】
このようなシステムによる管理手法を導入することで、半導体製造プロセスの変動を監視し、かつ各荷電粒子線装置の性能状態と保守・調整予想時期の監視を継続的に行い、必要に際しては警告、警告の表示を行う。
【0070】
使用者はこの管理システムを導入することによって、特に特別な試料や、特別な工程を用意することなく、装置の実際の状態に従って適切な保守を行うことが可能であり、検査ライン全体を統合してそのスケジューリングを行うことで、検査ライン全体の設備効率を高く維持することが可能となる。
【0071】
<まとめ>
本発明による荷電粒子線装置は、装置制御機能を用いて移動した前記半導体ウェーハ上の座標と、画像処理機能を用いて特定した前記半導体ウェーハ上の座標との差分値を求め、半導体ウェーハ上における差分値のばらつきから荷電粒子線装置の性能状態を読み取り、所定の場合には使用者に警告を行う。この処理により、使用者は、荷電粒子線装置の性能状態を高度に調整された状態に維持し続けることができ、半導体製造プロセスの変動に起因した試料の不良を直ちに発見することができる。
【0072】
また、差分値のばらつきが、前記画像処理機能で画像補正処理を行うことができる限界領域内を超えた場合、使用者に対し早急に装置調整を促す警告を自動的に発行する。この処理により、使用者は、装置不稼動時間を抑制することができる。
【0073】
また、差分値のばらつきの重心移動の傾向および速度を時間方向に追跡することで、差分値のばらつきの重心が、画像処理機能で画像補正処理を行うことができる限界領域内を超える時期を予想し、使用者に対し荷電粒子線装置の絶対調整の執行猶予があとどのくらい残されているのかを示す警告を自動的に発行する。この処理により、使用者は、適切な時期に荷電粒子線装置の調整作業を計画することができる。
【0074】
また、差分値のばらつきの重心移動の傾向および速度を時間方向に追跡することで、所定のタイミングをさかいに、差分値のばらつきの集合とは異なる集合を示す場合、使用者に対して、環境変化または半導体製造プロセスが適正なものであるか否かの判断を促す警告を自動的に発行する。この処理により、使用者は、半導体製造プロセスの変動による試料の不良を直ちに発見し、試料の致命的な被害を最小限にとどめることができる。
【0075】
また、本発明による荷電粒子線装置は、装置制御機能を用いて物理的な高さおよび電位的な高さから決定したレンズの制御量と、画像処理機能を用いて正焦点画像から決定したレンズの制御量との差分値を求め、半導体ウェーハ上において差分値が所定値以上となる特徴箇所を決定し、特徴箇所における物理的な高さおよび電位的な高さから決定したレンズの制御量を計測し、物理的な高さ又は電位的な高さから決定したレンズの制御量が所定範囲外である場合は、エラー発生回数として計数し、エラー発生回数の出現累積回数又は出現比率を用いて、荷電粒子線装置の絶対調整が必要な時期を予測し、使用者に警告を行う。この処理により、使用者は、適切な時期に荷電粒子線装置の絶対調整の必要時期を知ることができ、高度に調整された荷電粒子線装置の性能状態を保持することができる。
【0076】
また、本発明による荷電粒子線装置システムは、装置制御機能と画像処理機能の差分値がネットワーク接続を経由してデータサーバコンピュータに自動的に伝送され、伝送された差分値は前記データサーバコンピュータの持つデータベースシステムに保管され、所定の処理が実行され、所定の場合に使用者に対し警告を行う。このシステムを導入することによって、使用者は、特別な試料や、特別な工程を用意することなく、荷電粒子線装置の実際の状態に従って適切な保守を行うことが可能であり、検査ライン全体を統合してそのスケジューリングを行うことで、検査ライン全体の設備効率を高く維持することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
101・・・電子光学系
102・・・光学顕微鏡
103・・・ステージ位置計測器
104・・・帯電計測機器
105・・・試料高さ計測器
106・・・除電装置
107・・・試料室
108・・・試料(ウェーハ)
109・・・ステージ
110・・・ホストコンピュータ
111・・・記憶装置
112・・・制御コンピュータ
113・・・制御回路
114・・・処理手順パラメータ(レシピ)
115・・・調整データパラメータ
116・・・画像データ
501・・・パターン検出限界
601・・・マハラノビス汎距離
701・・・電位的な高さによるレンズの制御量
702・・・物理的な高さによるレンズの制御量
703・・・画像処理機能で決定した正焦点に対応するレンズの制御量との差分値
901・・・特徴箇所
1101・・・出現比率描画
1102・・・成長線
1103・・・閾値
1104・・・現在
1105・・・絶対調整必要時期
1201・・・データサーバコンピュータ
1202・・・画面表示例
1203・・・ネットワーク接続
1204・・・荷電粒子線装置
1205・・・差分データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置制御機能を用いて電子光学系を検査対象の正焦点位置に移動させ、画像を取得し、画像処理機能を用いて前記検査対象のパターン検索を行う荷電粒子線装置であって、
前記装置制御機能を用いて移動した前記検査対象の座標と、前記画像処理機能を用いて特定した前記検査対象の座標との差分値を求める差分値算出部と、
前記検査対象における前記差分値のばらつきから前記荷電粒子線装置の性能状態を読み取る差分値分析部と、
前記差分分析部の結果に基づき、所定の場合には使用者に警告を行う警告発生部と、
を備えることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
前記警告発生部は、前記差分値のばらつきが、前記画像処理機能で画像補正処理を行うことができる限界領域内を超える場合、使用者に対し早急に装置調整を促す警告を自動的に発行することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子線装置。
【請求項3】
前記警告発生部は、前記差分値のばらつきの重心移動の傾向および速度を時間方向に追跡することで、前記差分値のばらつきの重心が、前記画像処理機能で画像補正処理を行うことができる限界領域内を超える時期を予想し、使用者に対し前記荷電粒子線装置の絶対調整の執行猶予があとどのくらい残されているのかを示す警告を自動的に発行することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子線装置。
【請求項4】
前記警告発生部は、前記差分値のばらつきの重心移動の傾向および速度を時間方向に追跡することで、所定のタイミングをさかいに、前記差分値のばらつきの集合とは異なる集合を示す場合、使用者に対して、環境変化または半導体製造プロセスが適正なものであるか否かの判断を促す警告を自動的に発行することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子線装置。
【請求項5】
装置制御機能を用いて電子光学系を検査対象の正焦点位置に移動させ、画像処理機能を用いて正焦点画像を取得する荷電粒子線装置であって、
前記装置制御機能を用いて物理的な高さおよび電位的な高さから決定したレンズの制御量と、前記画像処理機能を用いて正焦点画像から決定したレンズの制御量との差分値を求める差分値算出部と、
前記検査対象において前記差分値が所定値以上となる特徴箇所を決定する特徴箇所決定部と、
該特徴箇所における前記物理的な高さおよび電位的な高さから決定したレンズの制御量を計測する高さ計測部と、
前記物理的な高さ又は電位的な高さから決定したレンズの制御量が所定範囲外である場合は、エラー発生回数として計数するエラー発生カウント部と、
前記エラー発生回数の出現累積回数又は出現比率を用いて、前記荷電粒子線装置の絶対調整が必要な時期を予測し、使用者に警告を行う警告発生部と、
を備えることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
複数の荷電粒子線装置と、データサーバコンピュータと、該データサーバコンピュータが備えるデータベースシステムと、前記複数の荷電粒子線装置と前記データサーバコンピュータとを接続するネットワーク接続と、を備え、
前記複数の荷電粒子線装置の少なくとも1つは、請求項1又は5記載の荷電粒子線装置であり、
前記請求項1又は5記載の荷電粒子線装置が算出した前記装置制御機能と前記画像処理機能の差分値が前記ネットワーク接続を経由して前記データサーバコンピュータに自動的に伝送され、
該伝送された差分値は前記データベースシステムに保管されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1又は5に記載の荷電粒子線装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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