説明

荷電粒子線装置

【課題】オペレータのスキルによらず、荷電粒子線装置で取得された画像の回転を自動的に補正する。
【解決手段】測長対象であるパターン形状の特徴やパターン配列上の特徴に着目して試料の回転量を検出し、当該検出量に基づいて作業画面上で表示される取得画像の回転角を画像処理により自動的に補正する。または、測長対象であるパターン形状の特徴やパターン配列上の特徴に着目して試料の回転量を検出し、当該検出量に基づいて試料回転機構の回転角を自動的に補正し、その後、測長対象のパターンを再取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば試料の測長に使用して好適な電子顕微鏡装置その他の荷電粒子線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体基板の断面などの微細な形状観察や測長に、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を使う頻度が増えている。これに伴い、ナノメートルレベルでの試料回動機構や試料移動機構の制御が必要となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−70155号公報
【特許文献2】特開平4−341740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば線対称のパターンや一方向に連続する同一パターンが形成された試料の断面を撮影し、その取得画像よりパターンの寸法を測長する場合、取得画像が水平方向や垂直方向に対して傾かないように補正する必要がある。しかし、現状において傾き補正は、オペレータのスキルに依存しており、測定結果に個人差が残る可能性がある。また、オペレータによる位置補正は手間がかかり、補正に要する時間も長くなる。
【0005】
そこで、本発明者らは、取得画像の作業画面上での位置補正や測長対象である試料の撮影領域での位置補正を自動化するための技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において提案する一つの発明は、測長対象であるパターン形状の特徴やパターン配列上の特徴に着目して試料の回転量を検出し、当該検出量に基づいて作業画面上で表示される取得画像の回転角を自動的に補正する。
【0007】
また、本明細書において提案する一つの発明は、測長対象であるパターン形状の特徴やパターン配列上の特徴に着目して試料の回転量を検出し、当該検出量に基づいて試料回転機構の回転角を自動的に補正し、その後、測長対象のパターンを再取得する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定のパターン形状や特定のパターン配列を有する試料について、測長する試料の取得画像の作業画面内における回転方向の位置ズレを自動的に補正することができる。なお、これ以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】形態例に係る電子顕微鏡の概略構成例を示す図。
【図2】実施の形態1で測長対象とする半導体断面の概略構造を説明する図。
【図3】実施の形態1による回転量の自動検出原理を説明する図。
【図4】実施の形態2で測長対象とする半導体断面の概略構造を説明する図。
【図5】実施の形態2による回転量の自動検出原理を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略するものとする。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一又は同様な部分の説明を原則として繰り返さないものとする。
【0011】
[電子顕微鏡の構成]
図1に、本形態例において使用する走査電子顕微鏡の概略構成例を示す。ここでは、走査電子顕微鏡の例として測長用走査電子顕微鏡を説明するが、本発明は測長用走査電子顕微鏡に限定されるものではない。また、本発明は測長用途の走査電子顕微鏡に限るものではなく、観察用途の走査電子顕微鏡や集束イオンビーム(FIB: Focused Ion Beam)を使用する顕微鏡等にも応用することができる。
【0012】
測長用走査電子顕微鏡は、電子源1、一次電子加速電極2(高圧電源3)、収束レンズ4、絞り5、走査コイル6、二次電子検出器7、対物レンズ8、試料ステージ9を有する。これらは、高真空が維持された筐体14の内部に配置されている。
【0013】
試料ステージ9は、試料台10、Xステージ11、Yステージ12、Zステージ13を有している。この形態例の場合、試料台10は、静電チャック方式の試料台である。静電チャック方式には、クーロン方式、ジョンソンラーベック方式など幾つかの形式があるが、本形態例ではクーロン方式のものを使用する。
【0014】
因みに、Xステージ11は、試料台10に載置された試料15をX軸方向に移動する移動機構であり、Yステージ12は、試料台10に載置された試料15をY軸方向に移動する移動機構である。また、Zステージ13は、Z軸方向に移動する移動機構(試料移動機構)である。この他、試料台10をZ軸方向に対して傾斜させる機構とZ軸を中心に回動させる機構(試料回動機構)が設けられている。
【0015】
本形態例の場合、試料15には、半導体メモリを想定する。勿論、試料15は、半導体集積回路、太陽電池、有機ELデバイス等その他でもよい。本形態例における観察対象は、半導体メモリの断面構造である。このため、試料15は、半導体メモリの断面がXY平面に対して平行になるように配置されている。
【0016】
因みに、電子源1から放出された電子ビーム16は、一次電子加速電極2に印加されている高電圧により加速され、収束レンズ4に入力される。電子ビーム16は収束レンズ4で収束された後、その一部だけが絞り5を通過する。収束レンズ4による絞り量の調整によりビーム電流量が調節される。
【0017】
絞り5を通過した電子ビーム16は、走査コイル6が発生する電磁界により2次元的(XY平面内)に偏向走査される。この電子ビーム16は、試料15の直上に配置された対物レンズ8により焦点合わせされ、試料15の所定領域を照射する。試料15を照射する電子ビーム16の照射点からは二次電子17が放出される。二次電子17は、二次電子検出器7により検出される。
【0018】
検出された二次電子17の量は、試料表面の形状を反映した情報を含んでいる。この電流量を表す検出信号は、画像処理装置を兼用する制御装置18に与えられる。コンピュータで構成される制御装置18は、装置全体を制御する機能に加え、電子ビームの走査位置と二次電子の検出信号を同期させてモニタ19に表示する機能も有している。制御装置18は、高圧電源3、収束レンズ4、走査コイル6、対物レンズ8及び試料ステージ9を制御する。ここで、制御装置18は、試料台10の回転や各ステージの移動等も制御する。
【0019】
モニタ19の作業画面には、試料15の微細パターンが画像化されて表示される。測長用走査電子顕微鏡は、画像内の明暗変化に基づいてパターンのエッジを判別し、パターンの寸法を導出する。本形態例の場合、例えばゲート電極の線幅を測定する。
【0020】
[形態例1]
ここでは、測長用走査電子顕微鏡により取得された画像が理想位置から回転している場合に、その回転量を自動的に検出するために用いて好適な検出方法の一例を説明する。
【0021】
図2に、本形態例が観察対象とする半導体断面像の概略を示す。図2は、半導体基板に形成された酸化膜101の断面構造を模式化して表している。本例の場合、X軸方向に繰り返し出現する酸化膜101のY軸方向のエッジ間の寸法102、102’、102”が測長対象である。もっとも、測長方向はY軸方向に限るものではない。
【0022】
本形態例で説明する自動検出方法は、測長対象とするサブパターンが、線対称構造を有することを前提とする。図2は、線対称構造を有する複数の同一パターンが、X軸方向に繰り返し連続的に出現する例を表している。もっとも、線対称構造を有するサブパターンであれば、本形態例で説明する回転量の自動検出方法は、同パターンが1つだけ出現する場合にも適用することができる。もっとも、本形態例で説明する方法は、複数の同一パターンが連続する場合の方がより高い精度で回転量を検出することができる。
【0023】
図2は、測長対象とするサブパターンが、XY軸に対して理想的な位置関係にある場合を表しているが、測長用走査電子顕微鏡により撮像され取得された画像が理想的な位置関係にあるとは限らない。一般には、図3に示すように、撮像画像が、XY平面内で回転量を有している。
【0024】
なお、図3は、本形態例による検出原理を説明するために、回転角θを強調して表している。図3では、測長対象とする酸化膜101のパターンが時計回りに回転した状態を表している。なお、図2及び図3は、半導体基板に形成されている複数のサブパターンの形状が完全に同じであるかのように表しているが、物理的には完全に同じ形状であることはなく、許容範囲内でパターン歪が存在する。図3では、このパターン歪を考慮し、検出対象とする回転角θを、各サブパターンに対応する回転角θ1、θ1’、θ1”で表している。図3に示す画像は、モニタ19の作業画面に表示されている。
【0025】
まず、画像処理装置による自動補正処理は、回転量を自動算出するエリア202を、オペレータが指定することから開始される。エリア202は、作業画面に表示された画像上に指定される。図中では、指定されたエリア202を破線で示している。エリア202は長方形であり、各辺は基準線を与えるX軸とY軸に対して平行に描画される。指定されたエリア202の位置情報は、画像処理装置としての制御装置18に取り込まれる。図3では、サブパターンを3つ含むようにエリア202が設定された例を表している。
【0026】
制御装置18は、エリア202が指定されると、Y軸方向にエリア202の辺長Lyを計算する。次に、制御装置18は、Y軸方向についてエリア202の上辺から下方に辺長LyのA%に相当する位置203を通るX軸に平行な直線205を引くと共に、エリア202の下辺から上方に辺長LyのB%に相当する位置204を通るX軸に平行な直線206を引く。ここでの数値AとBは任意であり、数値AとBは同じでもよい。数値AとBは予め定められた値を用いてもよいし、オペレータが補正の都度、手動で設定してもよい。また、ここでの「引く」とは、制御装置18が計算上必要とする処理であり、必ずしもモニタ19に表示される必要は無い。以下の説明でも同様である。
【0027】
次に、制御装置18は、各サブパターンについて、酸化膜101と直線205の交点を検出する。交点は、各サブパターンに付き2つ検出される。制御装置18は、サブパターン毎に2つの交点の中点を計算する。図3では、計算される中点を、エリア202の左から右方向に順番に207、207’、207”として表している。
【0028】
同様に、制御装置18は、酸化膜101のパターンと直線206の交点を検出する。交点は、各サブパターンに付き2つ検出される。制御装置18は、サブパターン毎に2つの交点の中点を計算する。図3では、計算される中点を、エリア202の左から順番に208、208’、208”として表している。
【0029】
この後、制御装置18は、各サブパターンにつき計算された2つの交点(上辺側の交点207、207’、207”と下辺側の交点208、208’、208”)を通る直線を引く。図3では、この直線を、エリア202の左から右方向に順番に209、209’、209”として表している。制御装置18は、各直線209、209’、209”を対応するサブパターンの画像軸(縦軸)として扱う。
【0030】
次に、制御装置18は、X軸に平行な直線205と直線206の中間位置を通る直線210を画面上に引く。
【0031】
続いて、制御装置18は、各サブパターンの画像軸を与える直線209、209’、209”とX軸に平行な直線210との交点を算出し、各交点から直線210に対して垂直な、すなわちY軸に平行な基準直線211、211’、211”を引く。
【0032】
この後、制御装置18は、各サブパターンの画像軸を与える直線209、209’、209”が基準直線211、211’、211”に対してなす角を回転角θ1、θ1’、θ1”として計算する。制御装置18は、計算されたこれら複数の回転角θ1、θ1’、θ1”の平均値Θを算出し、当該平均値Θをエリア202内にあるパターンに適用する補正量に決定する。
【0033】
この後、制御装置18は、計算された補正量に基づいて補正処理を実行する。補正処理の方法は2つある。
【0034】
一つは、画像処理による補正である。具体的には、制御装置18が画像処理により、モニタ19に表示されている画像を、各サブパターンの画像軸を与える直線209、209’、209”から基準直線211、211’、211”の方向に補正量だけ反時計周りに回転する。
【0035】
もう一つは、ハードウェア的な回転補正である。具体的には、制御装置18が不図示の試料回動機構を制御し、試料台10をZ軸周りの補正量だけ回転駆動する。この回転駆動の後、制御装置18は、試料像の再取得を実行する。これらの補正動作の結果、測長対象とする画像は図2に示すような理想的な位置関係に補正される。
【0036】
以上の通り、本形態例に係る回転量の自動検出方法を適用すれば、従来手法に比して試料の回転補正を正確、かつ、容易に実現することができる。この結果、寸法の測長精度も高めることができる。
【0037】
[形態例2]
続いて、測長用走査電子顕微鏡により取得された画像が理想位置から回転している場合に、その回転量を自動的に検出するために用いて好適な他の検出方法を説明する。
【0038】
図4に、本形態例が観察対象とする半導体断面像の概略を示す。低加速電圧の測長用走査電子顕微鏡では、わずかな密度の違いを組成コントラストに反映した画像を観察することができる。図4も、半導体基板に形成されたパターンの断面構造を模式化して表した図である。本例の場合、第1の組成の領域301で囲まれた空間に不連続かつ一列に出現する第2の組成の領域302、302’、302”の膜厚(層厚)が測長対象である。領域301は例えば酸化膜であり、領域302、302’、302”は例えば絶縁膜である。なお、領域302、302’、302”は、同一プロセスにより層として形成される。
【0039】
本形態例で説明する自動検出方法は、同一形状のサブパターンが一方向に繰り返し出現することを前提とする。すなわち、本形態例では、サブパターンが線対称であることは必ずしも要求されない。もっとも図4は、線対称構造を有する複数の同一パターンが、X軸方向に繰り返し連続的に出現する例を表している。
【0040】
図4は、測長対象とする第2の組成の領域302、302’、302”と第1の組成の領域301とで構成される繰り返しパターンが、XY軸に対して理想的な位置関係にある場合を表しているが、測長用走査電子顕微鏡により撮像され取得された画像が理想的な位置関係にあるとは限らない。一般には、図5に示すように、撮像画像が、XY平面内で回転量を有している。
【0041】
なお、図5は、本形態例による検出原理を説明するために、回転角θを強調して表している。図5では、測長対象とするパターンが時計回りに回転した状態を表している。なお、図4及び図5は、半導体基板に形成されている複数のパターンの形状が完全に同じであかのように表しているが、物理的には完全に同じ形状であることはなく、許容範囲内でパターン歪が存在する。
【0042】
まず、画像処理装置による自動補正処理は、回転量を自動算出するエリア402を、オペレータが指定することから開始される。エリア402は、作業画面に表示された画像上に指定される。図中では、指定されたエリア402を破線で示している。エリア402は長方形であり、各辺は基準線を与えるX軸とY軸に対して平行に描画される。指定されたエリア402の位置情報は、画像処理装置としての制御装置18に取り込まれる。図5では、同一形状を有する3つのサブパターンを含むようにエリア402が設定された例を表している。
【0043】
制御装置18は、エリア402が指定されると、Y軸方向のエリア402の辺長Lyを計算する。次に、制御装置18は、Y軸方向についてエリア402の下方から上方に辺長LyのC%に相当する位置403を通るX軸に平行な直線404を引く。ここでの数値Cは任意である。数値Cは予め定められた値を用いてもよいし、オペレータが補正の都度、手動で設定してもよい。また、ここでの「引く」とは、制御装置18が計算上必要とする処理であり、必ずしもモニタ19に表示される必要は無い。以下の説明でも同様である。
【0044】
次に、制御装置18は、各サブパターンについて、領域301と直線404の交点を検出する。交点は、各サブパターンに付き2つ検出される。制御装置18は、サブパターン毎に2つの交点の中点を計算する。図5では、計算される中点を、エリア402の左から右方向に順番に405、405’、405”として表している。
【0045】
この後、制御装置18は、各パターンにつき計算された中点405、405’、405”)を通る、直線404に対して垂直な、すなわちY軸に平行な直線406、406’、406”を引く。
【0046】
次に、制御装置18は、各パターン内で直線406、406’、406”と交差する画面上のエッジを検出する。具体的には、第2の領域302、302’、302”のエッジと直線406、406’、406”との交点を検出する。交点は、各サブパターンに付き2つ検出される。制御装置18は、各サブパターン内の上辺側の交点を407、407’、407”とし、下辺側の交点を408、408’、408”とする。
【0047】
この後、制御装置18は、サブパターン毎に2つの交点(上辺側の交点407、407’、407”と下辺側の交点408、408’、408”)の中点を求め、それら中点を直線近似する直線409を引く。直線近似の方法は既知であるので説明を省略する。一般には、各点との誤差が最小になる直線を演算により特定する手法が用いられる。
【0048】
次に、制御装置18は、直線409がX軸に平行な直線410に対してなす角を回転角θ2として計算する。制御装置18は、計算されたこれら回転角θ2をエリア402内にあるパターンに適用する補正量に決定する。
【0049】
この後、制御装置18は、計算された補正量に基づいて補正処理を実行する。補正処理の方法は2つある。
【0050】
一つは、画像処理による補正である。具体的には、制御装置18が画像処理により、モニタ19に表示されている画像を、各パターンの画像軸を与える直線409から直線410の方向に補正量だけ反時計周りに回転する。
【0051】
もう一つは、ハードウェア的な回転補正である。具体的には、制御装置18が不図示の試料回動機構を制御し、試料台10をZ軸周りの補正量だけ回転駆動する。この回転駆動の後、制御装置18は、試料像の再取得を実行する。これらの補正動作の結果、測長対象とする画像は図4に示すような理想的な位置関係に補正される。
【0052】
以上の通り、本形態例に係る回転量の自動検出方法を適用すれば、従来手法に比して試料の回転補正を正確、かつ、容易に実現することができる。この結果、寸法の測長精度も高めることができる。
【符号の説明】
【0053】
1…電子源
2…一次電子加速電極
3…高圧電源
4…収束レンズ
5…絞り
6…走査コイル
7…二次電子検出器
8…対物レンズ
9…試料ステージ
10…試料台
11…Xステージ
12…Yステージ
13…Zステージ
14…筐体
15…試料
16…電子ビーム
17…二次電子
18…制御装置(画像処理装置)
19…モニタ
101…酸化膜
102…エッジ間寸法
202…回転角を算出するエリア
θ1、θ1’、θ1”…回転角
301…第1の組成の領域
302、302’、302”…第2の組成の領域
402…回転角を算出するエリア
θ2…回転角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線を発生する電子源と、
前記電子線を試料に照射する照射系と、
前記電子線を偏向走査する走査系と、
前記電子線の照射により試料から発生される二次電子像を検出する検出部と、
前記試料を載置する試料台と、
前記二次電子像に含まれる少なくとも一つの線対称パターンに対し、それぞれが、前記線対称パターンの対称軸を挟んで対向する2辺と交差し、かつ、第1の基準軸に平行な第1及び第2の線を設定する処理と、前記2辺と前記第1の線の2つの交点の中点を第1の中点として算出する処理と、前記2辺と前記第2の線の2つの交点の中点を第2の中点として算出する処理と、前記第1及び第2の中点を通る第3の直線を求める処理と、前記第3の直線と前記第1の基準軸と直交する第2の基準軸とのなす角を前記線対称パターンの回転角として算出する処理と、算出された回転角を補正量とする画像処理により前記二次電子像を回転補正する処理とを実行する画像処理装置と
を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷電粒子線装置において、
前記画像処理装置は、前記第1の基準線方向に繰り返し配列された複数の線対称パターンのそれぞれについて前記回転角を算出し、算出された複数の前記回転角の平均値を前記複数の線対称パターンの補正量とする
ことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
電子線を発生する電子源と、
電子線を試料に照射する照射系と、
電子線を偏向走査する走査系と、
電子線の照射により試料から発生される二次電子像を検出する検出部と、
前記試料を載置する試料台と、
前記試料台を電子線の照射軸に対して直交する面内で回転させる試料回動機構と、
前記試料台を電子線の照射軸に対して直交する面内で移動させる試料移動機構と、
前記二次電子像に含まれる少なくとも一つの線対称パターンに対し、それぞれが、前記線対称パターンの対称軸を挟んで対向する2辺と交差し、かつ、第1の基準軸に平行な第1及び第2の線を設定する処理と、前記2辺と前記第1の線の2つの交点の中点を第1の中点として算出する処理と、前記2辺と前記第2の線の2つの交点の中点を第2の中点として算出する処理と、前記第1及び第2の中点を通る第3の直線を求める処理と、前記第3の直線と前記第1の基準軸と直交する第2の基準軸とのなす角を前記線対称パターンの回転角として算出する処理と、算出された回転角を補正量として前記試料回動機構に与え、前記試料台を回転駆動する処理と、前記試料台の回転駆動後に前記試料の二次電子像を再検出する処理とを実行する制御装置と
を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項3に記載の荷電粒子線装置において、
前記制御装置は、前記第1の基準線方向に繰り返し配列された複数の線対称パターンのそれぞれについて前記回転角を算出し、算出された複数の前記回転角の平均値を前記複数の線対称パターンの補正量とする
ことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項5】
電子線を発生する電子源と、
前記電子線を試料に照射する照射系と、
前記電子線を偏向走査する走査系と、
前記電子線の照射により試料から発生される二次電子像を検出する検出部と、
前記試料を載置する試料台と、
前記二次電子像に含まれる同一形状を有する複数のサブパターンが第3の基準軸の方向に繰り返し配列されたパターンに対し、前記サブパターンの2辺と交差する前記第3の基準軸に平行な第4の線を設定する処理と、前記2辺と前記第4の線の2つの交点の中点を第3の中点として算出する処理と、前記第3の中点を通り、かつ、前記第3の基準軸と直交する第4の基準軸に平行な第5の線をサブパターン毎に設定する処理と、前記第5の線と各サブパターン内の2つのエッジとの交点を検出する処理と、前記サブパターン毎に検出された2つのエッジとの交点の中点を検出する処理と、複数の前記サブパターンについて検出された複数の中点について近似直線を算出する処理と、算出された近似直線と前記第4の基準軸とのなす角を前記パターンの回転角として算出する処理と、算出された回転角を補正量とする画像処理により前記二次電子像を回転補正する処理とを実行する画像処理装置と
を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項5に記載の荷電粒子線装置において、
前記画像処理装置は、前記サブパターンは線対称図形である
ことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項7】
電子線を発生する電子源と、
電子線を試料に照射する照射系と、
電子線を偏向走査する走査系と、
電子線の照射により試料から発生される二次電子像を検出する検出部と、
前記試料を載置する試料台と、
前記試料台を電子線の照射軸に対して直交する面内で回転させる試料回動機構と、
前記試料台を電子線の照射軸に対して直交する面内で移動させる試料移動機構と、
前記二次電子像に含まれる同一形状を有する複数のサブパターンが第3の基準軸の方向に繰り返し配列されたパターンに対し、前記サブパターンの2辺と交差する前記第3の基準軸に平行な第4の線を設定する処理と、前記2辺と前記第4の線の2つの交点の中点を第3の中点として算出する処理と、前記第3の中点を通り、かつ、前記第3の基準軸と直交する第4の基準軸に平行な第5の線をサブパターン毎に設定する処理と、前記第5の線と各サブパターン内の2つのエッジとの交点を検出する処理と、前記サブパターン毎に検出された2つのエッジとの交点の中点を検出する処理と、複数の前記サブパターンについて検出された複数の中点について近似直線を算出する処理と、算出された近似直線と前記第4の基準軸とのなす角を前記パターンの回転角として算出する処理と、算出された回転角を補正量として前記試料回動機構に与え、前記試料台を回転駆動する処理と、前記試料台の回転駆動後に前記試料の二次電子像を再検出する処理とを実行する制御装置と
を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項7に記載の荷電粒子線装置において、
前記制御装置は、前記サブパターンは線対称図形である
ことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項9】
荷電粒子線装置により取得された二次電子像に含まれる少なくとも一つの線対称パターンに対し、それぞれが、前記線対称パターンの対称軸を挟んで対向する2辺と交差し、かつ、第1の基準軸に平行な第1及び第2の線を設定する処理部と、
前記2辺と前記第1の線の2つの交点の中点を第1の中点として算出する処理部と、
前記2辺と前記第2の線の2つの交点の中点を第2の中点として算出する処理部と、
前記第1及び第2の中点を通る第3の直線を求める処理部と、
前記第3の直線と前記第1の基準軸と直交する第2の基準軸とのなす角を前記線対称パターンの回転角として算出する処理部と、
算出された回転角を補正量とする画像処理により前記二次電子像を回転補正する処理部と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
荷電粒子線装置により取得された二次電子像に含まれる少なくとも一つの線対称パターンに対し、それぞれが、前記線対称パターンの対称軸を挟んで対向する2辺と交差し、かつ、第1の基準軸に平行な第1及び第2の線を設定する処理部と、
前記2辺と前記第1の線の2つの交点の中点を第1の中点として算出する処理部と、
前記2辺と前記第2の線の2つの交点の中点を第2の中点として算出する処理部と、
前記第1及び第2の中点を通る第3の直線を求める処理部と、
前記第3の直線と前記第1の基準軸と直交する第2の基準軸とのなす角を前記線対称パターンの回転角として算出する処理部と、
算出された回転角を補正量として、前記荷電粒子線装置の試料回動機構に与え、試料台を電子線の照射軸に対して直交する面内で回転駆動する処理部と、
前記試料台の回転駆動後に、前記荷電粒子線装置に対して前記試料の二次電子像を再検出させる処理部と
を有する制御装置。
【請求項11】
荷電粒子線装置により取得された二次電子像に含まれる同一形状を有する複数のサブパターンが第3の基準軸の方向に繰り返し配列されたパターンに対し、前記サブパターンの2辺と交差する前記第3の基準軸に平行な第4の線を設定する処理部と、
前記2辺と前記第4の線の2つの交点の中点を第3の中点として算出する処理部と、
前記第3の中点を通り、かつ、前記第3の基準軸と直交する第4の基準軸に平行な第5の線をサブパターン毎に設定する処理部と、
前記第5の線と各サブパターン内の2つのエッジとの交点を検出する処理部と、
前記サブパターン毎に検出された2つのエッジとの交点の中点を検出する処理部と、
複数の前記サブパターンについて検出された複数の中点について近似直線を算出する処理部と、
算出された近似直線と前記第4の基準軸とのなす角を前記パターンの回転角として算出する処理部と、
算出された回転角を補正量とする画像処理により前記二次電子像を回転補正する処理部と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
荷電粒子線装置により取得された二次電子像に含まれる同一形状を有する複数のサブパターンが第3の基準軸の方向に繰り返し配列されたパターンに対し、前記サブパターンの2辺と交差する前記第3の基準軸に平行な第4の線を設定する処理部と、
前記2辺と前記第4の線の2つの交点の中点を第3の中点として算出する処理部と、
前記第3の中点を通り、かつ、前記第3の基準軸と直交する第4の基準軸に平行な第5の線をサブパターン毎に設定する処理部と、
前記第5の線と各サブパターン内の2つのエッジとの交点を検出する処理部と、
前記サブパターン毎に検出された2つのエッジとの交点の中点を検出する処理部と、
複数の前記サブパターンについて検出された複数の中点について近似直線を算出する処理部と、
算出された近似直線と前記第4の基準軸とのなす角を前記パターンの回転角として算出する処理部と、
算出された回転角を補正量として前記荷電粒子線装置の試料回動機構に与えて前記試料台を回転駆動する処理部と、
前記試料台の回転駆動後に、前記荷電粒子線装置に対して前記試料の二次電子像を再検出させる処理部と
を有することを特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−105603(P2013−105603A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248012(P2011−248012)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】