説明

菓子およびそのような菓子を製造する方法

本発明は、第1の押出部分および第2の押出部分を含む菓子製品に関し、各々の部分は、その中に配置される複数の細管を有し、第1の部分および第2の部分の細管は、a)不連続であり、および/またはb)連続し、かつ、1つより多い方向に向きを定められる。本発明はまた、そのような菓子製品を製造するためのプロセスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は菓子およびそのような菓子を製造する方法に関する。特に、本発明は流体を含有し得る複数の細管を含む菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
感覚による満足を高めるように、異なる成分から生成される菓子を製造することが望まれる。噛むときに放出される風味のある液体またはシロップ充填物を有する、多くの菓子製品が存在する。例えば、特許文献1は、複数の中心に充填された菓子ロープを有する連続押出成形の形態において中心に充填された菓子製品を連続生産するための装置および方法を開示している。そのような装置から形成された製品は感覚による満足を高めるが、その満足を味わう時間は多くの場合、充填物が急速に放出され、および/または分解されるので、短い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007056685号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、長い時間にわたって流体充填物を放出できる菓子製品を提供することである。
【0005】
また、低い脂肪または糖含有物を有する菓子を提供することも要求されている。従って、本発明のさらなる目的は、優れた感覚による満足を維持しながら、より低い脂肪または糖含有物を有して製造できる菓子製品を提供することである。
【0006】
本発明の実施形態(複数の実施形態も含む)の目的は、従来技術の1つ以上の問題を克服することである。流体充填物の長い放出特性を有する菓子およびそれらの製造方法を提供することも本発明の実施形態の1つの目的である。また、本発明のさらなる目的は、低い脂肪および/または糖特性を有する菓子およびそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、第1の押出部分および第2の押出部分を含む菓子製品が提供され、各々の押出部分は、その中に配置される複数の細管を有し、第1の部分および第2の部分の細管は、
a)不連続であり、および/または
b)連続し、かつ、1つより多い方向に向きを定められる。
【0008】
各々の部分の細管は実質的に互いに平行して形成されてもよい。一実施形態において、第1の部分および第2の部分は積み重ねられた構造であり、それによって、第1の部分および第2の部分の細管は、互いに実質的に平行である。代替の実施形態において、第1の部分および第2の部分は、折り畳まれた構造である。さらに別の代替の実施形態において、第1の部分および第2の部分は、不連続であり、細管は互いに対してランダムな配置で向きを定められる。一部の実施形態において、第1の部分および/または第2の部分の細管は、3mm、2mm、1mm、0.5mm、0.25mmまたはそれ以下の直径または幅を有する。100μm、50μmまたは10μm程度の小さい直径または幅を有する細管を有することも可能である。第1の部分および/または第2の部分の細管は、異なる幅または直径を有してもよい。
【0009】
第1の部分および第2の部分に加えて、さらなる部分を含んでもよく、それらは細管を含んでも、含まなくてもよい。一実施形態において、菓子製品は、細管を含んでもよいか、または含まなくてもよい1つ以上のさらなる部分により第2の部分から分離した第1の部分を含む。
【0010】
第1の部分および第2の部分は、同じ材料または異なる材料を含んでもよい。例えば、第1の部分はチョコレートであってもよく、第2の部分はキャンディであってもよい。第1の部分および第2の部分の各々の細管は、同じまたは異なる材料で充填されてもよい。第1の部分および/または第2の部分の1つ以上の細管は、第1の部分および/または第2の部分における他方の細管と異なる材料で充填されてもよい。
【0011】
従って、本発明は、細管に挿入される材料の長い放出を有する菓子に使用され得る菓子製品を提供する。
【0012】
押出部分を製造するために使用される材料は、例えば、キャンディ、ガムおよびチョコレートなどの菓子の製造に通常使用される多くの材料を含んでもよい。
【0013】
一部の実施形態において、押出部分はチョコレートである。適したチョコレートとしては、ダーク、ミルク、ホワイトおよびコンパウンドチョコレートが挙げられる。一部の実施形態において、押出部分は、チューイングガム、バブルガムまたはガム基礎剤である。他の実施形態において、押出部分はキャンディである。適したキャンディとしては、ハードキャンディ、チューイキャンディ、グミキャンディ、ゼリーキャンディ、タフィー、ファッジ、ヌガーなどが挙げられる。
【0014】
細管は、実質的に押出部分の長さ全体に沿って延びてもよいが、一部の実施形態において(例えば、押出部分の末端をシールすることが望まれる場合)、押出部分の長さに沿って、75%、80%、90%、95%または99%未満で延びてもよい。押出部分の長さ全体に沿って細管が延びる場合、適切には、細管の端部は押出部分の1つ以上の端部で見える。
【0015】
細管の1つ以上は、押出部分を生成するために使用される材料と異なる材料で充填されてもよい。所望の場合、異なる細管は異なる材料を組み込んでもよい。細管は流体材料で充填されてもよい。そのような流体は液体を含んでもよい。細管は、室温で固体であり、室温より高い温度で流体である材料で充填されてもよい。例えば、溶解したチョコレートが細管に組み込まれてもよく、室温まで冷却されると凝固してもよい。室温は一般に約20℃とみなすことは当業者には明らかであろう。あるいは、細管は、液体として沈殿し、続いて凝固する材料で充填されてもよい。そのような実施形態において、凝固は熱に依存しても、依存しなくてもよい。
【0016】
液体が充填された細管の凝固は、多くの方法によって達成され得ることは明らかであろう。例えば、凝固は以下の1つ以上によって行われ得る。
冷却−堆積されるときに充填物は溶解され得、次いで冷却して室温で固体になる。
加熱−堆積されるときに充填物は液体であり得、押出本体部分の加熱により充填物が固まる(例えば卵白を加熱したハードキャンディ押出本体部分に入れると、接触時に卵が固まる)。
乾燥−充填物は溶液であり得、それを固体に乾燥させる(例えば溶液からの水分が押出本体部分に吸収される)。
溶剤損失−充填物は溶剤であり得、それにより、溶剤が押出本体部分に吸収され、固体が残る。
化学反応−充填物は液体として堆積され得るが、固体中で反応するか、または「反応が停止する(go off)」。
架橋−充填物は、混合および/または加熱することにより架橋した材料になるための構成物質を形成し得る。
時間−充填物は、一定の時間で簡単に固体になる(例えば糖およびゼラチンの溶液は時間が経過すると最終的に固体になる)。
【0017】
細管のための適切な充填材料としては、限定されないが、水媒体、脂肪、チョコレート、カラメル、ココアバター、フォンダン、シロップ、ピーナッツバター、ジャム、ゼリー、ゲル、トリュフ、プラリーヌ、チューイキャンディ、ハードキャンディまたはそれらの任意の組み合わせもしくは混合物が挙げられる。
【0018】
所望の場合は、製品は、押出部分を覆うためのコーティング部分をさらに含んでもよい。当業者は、例えばチョコレート、ガム、キャンディおよび糖などの多くのコーティングが使用され得ることを理解するだろう。
【0019】
押出部分は、1つ以上のさらなる菓子部分に接続されてもよい。一部の実施形態において、押出部分は菓子材料の間に挟まれるか、または1つ以上の菓子層に接続もしくは積み重ねられてもよい。さらなる菓子部分(複数も含む)は、含有物、液体が充填されたビーズなどを含んでも、含まなくてもよい。
【0020】
一部の実施形態において、細管は押出部分全体にわたって実質的に均一に分配され、隣接する細管から均等に離間していてもよい。他の実施形態において、細管は、例えば押出部分の周辺付近などの押出部分内に予め規定された構造で分配されてもよいか、または押出部分内の1つ以上の位置に集めて分配されてもよい。一部の実施形態において、押出部分は、円形、楕円形、正多角形、または半円断面を有する。押出部分は、円筒形、ロープ状、線維状、細長い一片、リボンなどの形状であってもよいか、または例えば、チョコレートバー、チューイングガムスラブ、ペレット、ボール、スティックもしくはリボンなどの標準的な菓子製品の形状であってもよい。押出部分は、不規則または規則的な形状であってもよい。さらに、押出部分は、潜在的に任意の形状、例えば対象物、例を挙げると、漫画のキャラクター、または動物の形状で形成されてもよい。
【0021】
一実施形態において、押出部分内に細管は、押出成形物の1〜99%または押出成形物の5〜99%の範囲の空隙率を生じる。空隙率は、10〜60%、20〜50%、30〜45%、または35〜40%の範囲であってもよい。空隙率はまた、それらの範囲の中間点、例えば、5〜40%、5〜45%、5〜50%、5〜60%、10〜40%、10〜45%、10〜50%、10〜99%、20〜60%、20〜45%、20〜40%、20〜60%、20〜99%、30〜40%、30〜50%、30〜60%または30〜99%であってもよい。空隙率は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%以上であってもよい。
【0022】
小さい断面の幅または直径の細管の導入により、押出部分内に対照的または補足的な菓子材料を混入することが可能となり、菓子製品全体に、または菓子製品から外に漏れ出す可能性のある大きな中心充填領域を導入する必要性は回避される。複数の細管の使用はまた、2つ以上の材料を菓子製品内に導入して、菓子製品全体にわたって複数の触感、味、色および/または食感を与えることができる。
【0023】
一部の実施形態において、細管は、2mm、1mm、0.5mm、0.25mmまたはそれ以下の直径または幅を有する。100μm、50μmまたは10μm以下の直径または幅を有する細管を有することも可能である。
【0024】
本体部分の材料は、好ましくは、押出の間、液体である。用語「液体」は、材料が、ゲル、ペーストおよび流動化チョコレートを含む、流動できるか、または流動する状態を有する意味であることが理解されるべきである。さらに、この用語は、(限定されないが)押出の間、「溶解」され得る材料を含むことが意図され、当業者は、用語「溶解」は、材料が液体形態または液体の特性を示す形態になることを意味するものと理解するだろう。本体部分は、少なくとも部分的に、または実質的に固体であり得るので、それはもはや、液体形態で流動するとはみなされない。
【0025】
本発明のさらなる実施形態によれば、押出部分に配置される複数の細管を有する、押出部分を含む菓子製品が提供され、各々の細管は、押出部分から形成される壁によって各々の隣接する細管から離間し、各々の細管の間の壁は細管の幅または直径以下の厚さを有する。
【0026】
さらなる実施形態によれば、本体部分に配置される複数の細管を有する、本体部分を含む、菓子製品を製造するためのプロセスが提供され、そのプロセスは、以下の工程、
a)押出可能な菓子材料内に配置される複数の細管を有する、押出可能な菓子材料を押出す工程と、
b)押出成形物内に配置される複数の細管を有する2つ以上の部分に押出成形物を切断し、その部分を組み込んでいる菓子製品を生成する工程、またが
c)押出生成物を折り畳み、折り畳まれた押出成形物を組み込んでいる菓子製品を生成する工程のいずれかと、を含む。
【0027】
なおさらなる実施形態によれば、本体部分に配置される複数の細管を有する、本体部分を含む、菓子製品を製造するためのプロセスが提供され、そのプロセスは、以下の工程、
a)押出可能な菓子材料に配置される複数の細管を有する、押出可能な菓子材料を押出す工程であって、細管は連続し、かつ1つより多い方向に向きを定められる、工程を含む。
【0028】
上記プロセスのいずれかは、さらに、1つ以上の細管の少なくとも一部に充填物を堆積させる工程を含んでもよい。充填物の堆積は押出す工程の間に行われてもよいが、押出す工程の後に行われてもよい。一実施形態において、充填物は流体を含む。流体は、液体または室温より高い温度で液体になる材料を含んでもよい。所望の場合、流体は、堆積後に凝固されてもよい。
【0029】
プロセスのいずれかは、さらに、押出す工程の後に押出成形物を急冷する工程を含んでもよい。急冷は、空気、油または液体窒素などの流体を利用してもよいが、急冷する他の方法もまた、当業者に明白であろう。
【0030】
プロセスのいずれかは、さらに、押出す工程の後に押出成形物を伸張する工程を含んでもよい。押出成形物を伸張する工程は、例えば、押出成形物を伸張させるように、異なる速度で作動するベルトコンベヤまたはローラー上を通過させる、もしくはそれらの中を通過させるなどの多くの方法によって行われてもよい。この追加の工程を利用することによって、より大きな直径の細管を有する押出成形が行われ得るので、製造することが困難である、より小さい細管を有する押出成形物を製造するように、徐々に直径を減少させていってもよい。通常、2mm以上の孔径を有する細管が押出す工程の間に製造され、それらの細管は押出成形物を伸張することによって顕著に減少される。一部の場合において、細管は、1mm、0.5mm、0.25mm、100μm、50μm、25μmまたは10μm以下に減少される。
【0031】
プロセスのいずれかは、さらに、コーティングで菓子製品を覆う工程を含んでもよい。そのようなコーティングは当業者に明白であり、以前に論じられている。
【0032】
プロセスは、本明細書の上記の菓子材料を製造するために使用されてもよい。
【0033】
本発明のさらなる実施形態は、本明細書の上記のプロセスに従って菓子製品を製造するように適合される装置を提供する。国際公開第2005056272号は、複数の細管溝を含む押出製品を製造するための装置を開示している。国際公開第2008044122号は、押出成形物が金型から出ると、その押出成形物を急冷する手段を追加的に含む、関連装置を開示している。これらの装置の両方は、本発明による菓子を製造する際の使用に利用/適合されてもよい。
【0034】
ここで、本発明の特定の実施形態が、添付の図面を参照して例示のみのために記載される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明に従って、実施例1および2に記載される実験に使用される装置全体を示す概略図である。
【図2】図2は、液体が充填された細管を提供するように、図1に示される装置と併せて使用され得る装置を示す概略図である。
【図3】図3は、実施例1および2の押出材料に細管を形成するために使用される押出金型の写真である。
【図4】図4は、図1および2に示される装置に、図3に示される押出金型を組み込んだ押出金型の平面図である。
【図5】図5は、実施例1における材料1から形成される4つの細管押出物の写真を示す。写真は、(A)低い空隙率、(B)および(C)高い空隙率ならびに(D)非常に高い空隙率を示す。
【図6】図6は、(A)完全に充填されたココアバター細管を含有する材料2、および(B)空気が充填された細管で形成される材料1から形成される細管押出成形物を含む写真を示す。
【図7】図7は、図1および2に示される押出装置の外部の写真を示し、押出成形物が金型から出る場合に、その押出成形物を冷却するために使用されるエアナイフを示す。
【図8】図8は、本発明に従って、実施例2において製造された空気が充填されているハードキャンディを示す。
【図9】図9は、本発明に従って、実施例2において製造された液体が充填されているハードキャンディを示す。
【図10】図10は、本発明に従って、実施例2において製造された空気が充填されているガムを示す。
【図11】図11は、本発明に従って、実施例2において製造された液体が充填されているガムを示す。
【図12】図12は、本発明に従って、実施例2において製造された固体が充填されているガムを示す。
【図13】図13は、本発明に従って、実施例2において製造された空気が充填されているチョコレートを示す。
【図14】図14は、長手方向断面ではなく、図13に示される空気が充填されているチョコレートを示す。
【図15A】図15Aは、本発明に従って生成される押出成形物の斜視図を示し、その押出成形物は折り畳まれている。
【図15B】図15Bは、「X」で示した線から見た、図15Aに示される押出成形物の断面図を示す。
【図16】図16は、本発明に従って生成される押出成形物の斜視図を示し、複数の押出層が互いに積み重なっている。
【図17A】図17Aは、本発明による菓子製品の実施形態の概略的な断面図を示し、細管が折り畳まれた構造である。
【図17B】図17Bは、本発明による菓子製品の実施形態の概略的な断面図を示し、押出材料の多数の小さな片が異なる方向で製品に組み込まれている。
【図18】図18Aおよび18Bは、本発明による菓子製品の実施形態を示し、細管が二重螺旋で配置されている。より具体的には、図18Aは製品の断面図であり、図18Bは切り取った側面図である。
【図19】図19Aおよび19Bは、本発明による菓子製品の実施形態を示し、細管が互いに近接して通っている2本の螺旋状の鎖として配置されている。より具体的には、図19Aは製品の断面図であり、図19Bは切り取った側面図である。
【図20】図20Aおよび20Bは、本発明による菓子製品の実施形態を示し、細管が波形で配置されている。より具体的には、図20Aは製品の断面図であり、図20Bは切り取った側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
細管を組み込んだ種々の菓子製品を製造するために実験を行った。3つの段階の押出作業を種々の材料を用いて行った。第1段階は、低い空隙率および高い空隙率の両方の形態の細管キャンディ押出物を作製するために、非食品の品質等級の環境において小型の押出機に取り付けられた細管金型を用いるハードキャンディの押出に関する。実験作業の第2段階は、ココアバターが充填された細管の配列を含有する低い空隙率および高い空隙率のキャンディの細管押出成形物を製造するために、第1段階に基づく。第1段階および第2段階を以下の実施例1に記載する。第3段階は第2段階に基づき、食品等級環境における食品等級機器を備える作業環境を再現し、以下の実施例2に記載する。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
低い空隙率および高い空隙率の両方の値を有する細管を有するキャンディが本発明に従って生成できることを確認するための、小型の押出機に取り付けられた細管金型を用いるキャンディの押出成形に関する第1段階。
【0038】
この研究の間に試験した材料を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
材料1および2は大きな固体のブロックとして供給した。押出す前に全ての材料を押しつぶして、1mm〜5mmの範囲の粒径を有する、微細な顆粒状の粉末を得た。材料3は固化したココアバターのタブとして供給し、必要な量を小さな塊のみを含有する微細な粉末に細かく砕き、その後、加熱したココアバターのリザーバに供給した。
【0041】
押出装置は、約12mmのスクリュー直径、および約22.5:1のスクリューL/D比を備える、Betol1軸スクリュー押出機から構成される。この押出機は4つの異なる温度領域を有し(後述するように図1に示したT1〜T4)、その各々は、バンドヒーターに接続されたPID制御器を用いて独立して制御され得る。17個の注入ニードルから構成されるエントレインメントアレイを含む、Mk 3 MCF押出金型を、押出機のエンドプレートに接続した。押出金型から現れる押出成形物を迅速に急冷するために使用される、2つの対向する空気ジェットを、金型出口の上下に配置した。これらのジェットを、6Bargで圧縮空気管にバルブを介して接続した。押出ラインの全体のレイアウトを示す概略図を図1に示し、細管金型の概略図を図2に示す。
【0042】
図1を参照すると、実験に使用される押出装置10の概略図が示される。手短に述べると、この装置は、押出スクリュー14に回転可能に結合された電動機12を備える。このスクリュー14はホッパー16によって一端で供給され、他端は、押出成形物出口20を有する押出金型18に接続される。急冷ジェット22は、生成される押出材料23を冷却するように、金型出口20の方を向いており、それらのジェットは圧縮空気24を用いて供給される。所望の場合、ホッパー16がスクリュー14に結合される装置の領域は、冷却供給26によって冷却され得る。T1〜T3と示された3つのバレル温度領域を有して形成されるバレル28がスクリュー14を取り囲む。その温度領域の各々は制御可能である。バレル28は、制御され得る温度領域T4も有する、供給管29によって金型18に接続される。
【0043】
使用中、ホッパー16は、液体(固体または粒子状固体以外のもの)になる(または液体のまま維持する)ように加熱され得る材料30(溶液中のキャンディなど)で充填される。スクリュー14に材料を通す前に、材料がスクリュー押出機に侵入する正確な温度であることを確保するように、その材料は冷却供給26によって冷却されてもよい。スクリューが回転すると、液体材料は、バレル28の内側でスクリュー14に沿って引き出され、それに応じて、温度領域T1〜T3に隣接する。次いで、材料は供給管29を通り、金型18に侵入する前に、(必要な場合)制御された温度T4によって再度温度領域に隣接する。金型18(図3に示す)は、エントレインメント本体内に位置する多くのニードル(図示せず)を有するので、材料はそのニードル上およびそのニードルの周囲を通過する。材料が押出されているのと同時に、圧縮空気24がニードルを通って進むので、押出成形物は多くの細管を含む。押出成形物23は、金型18から放出されると、急冷ジェット22によって冷却される。バルブ32が圧縮空気の流れを制御し、装置および圧力装置P1およびP2が、そのバルブの前後で圧縮空気24の圧力を制御する。圧縮空気管はまた、金型に侵入する前に空気の温度を制御するように、制御された温度T6を有する。
【0044】
図2を参照すると、図1に示す装置の適応が示される。圧縮空気24がニードルを通って進むのではなく、ニードルが、ココアバターを含有するリザーバ50に接続される。ココアバターが、液体状態を維持するような正確な温度に維持されるように、リザーバ50は加熱される。リザーバ50は、液体の流れを制御するための遮断バルブ54を有する導管52に接続される。導管52は、その導管の温度を維持するトレース熱チューブ56に覆われるので、導管内を移動する間、液体は液体状態のままを維持する。導管52は、多くのニードルを有する金型18の入口に接続されるので、材料が押出されると、細管が周囲に形成され、同時にニードルはココアバターで充填され得る。もちろん、細管は、所望の場合、他の種類の液体材料で充填されてもよい。
【0045】
図3は金型18をより詳細に示す。特に、この図は、金属製の金型18が、一端で、流体材料を押出成形物の細管に注入するための入口チャネル64と流体流通するキャビティ62に結合される複数のニードル60を有することを示す。
【0046】
図4を参照すると、エントレインメント本体70の所定の位置における金型18が示される。溶解された材料72はエントレインメント本体70の開口部74に侵入し、その材料は、金型18のニードル60上およびニードル60の周囲を進む。同時に、空気または液体ココアバターのいずれかが、流体供給管56によって金型入口に侵入する。作動中、溶解された材料は、金型18のニードル60上で、エントレインメント本体70を通して押出される。次いで、充填物のない細管またはココアバターで充填された細管のいずれかを有する押出成形物23(方向78において)を生成するように、空気またはココアバターのいずれかが、同時にニードルを通して注入される。
【0047】
図7は、開口部80を有するエントレインメント本体70を示し、その開口部80を通して押出成形物が生成される。この図はまた、後で押出成形物の冷却を生じるように、装置の上下に配置される2つの急冷ジェット22を示す。
【0048】
使用中、エントレインメントノズルのチップ(注入ニードル)上の溶解された材料の流れにより、各ニードルのチップで生成される少しの低圧の領域が生じた。各ノズルを、エントレインメント本体内の内部チャネルを介して一緒に接続した。次いで、外側の押出金型を室温および大気圧の空気または図2のhの水頭を有する、溶解されたココアバターのリザーバに接続した。金型をココアバターのリザーバに接続する配管およびそのココアバターのリザーバを、液相のココアバターを維持するために外部から加熱した。エントレインメント本体に供給される空気または供給される溶解されたココアバターのいずれを使用するかを切替えるために、遮断バルブのセットを使用した。これを図2に概略的に示す。
【0049】
高い空隙率の材料を生成するために急冷ジェットを使用した。材料の熱挙動を試験するために示差走査熱量測定(DSC)を使用し、それにより、相転移温度に関する情報を得ることができた。
【0050】
材料1は大きな固形ブロックで形成された。そのブロックを機械的に粉砕したので、それは、1mm〜5mmの粒径を有する粒状材料になった。
【0051】
押出成形物の温度プロフィイルは、以下の表2に示すように設定した。
【0052】
【表2】

【0053】
材料1の粒状部分は、押出機のスクリュー速度を40rpmに設定した押出機内に欠乏供給(starve−fed)された。材料2の顆粒は、最初、固相で押出機内に十分に運ばれたが、材料の粘着性のために、一部の軽度の供給の詰まりおよび遮断が観察された。これは、押出機のスクリュー上の粉砕材料をポリエチレンロッドで穏やかに押し込むことによって克服された。
【0054】
首尾よい細管押出成形物はこのプロトコルを用いて容易に達成可能であった。材料は十分な溶解強度を有し、もろく、ガラス状の材料になる前に、溶解状態で金型から容易に引き離すことができた。材料のガラス状の状態とは、一対のひとかみのロールでの使用に適切でないことを意味する。なぜなら、このアプローチにおいて材料が受ける圧縮により破砕が生じるからである。従って、材料1由来の細管押出成形物は手で引き出され、細管は4mm未満の平均直径(幅)を有する。
【0055】
材料1由来の低い空隙率のMCFは、急冷ジェットを用いて押出成形物を急冷せずに容易に得られた。これは、図5(A)の写真に示す。使用される急冷ジェットに結合された金型出口からの押出成形物の力のいる手動の引き出しにより、押出された高い空隙率の細管が得られた。最終的な空隙率は、材料が金型から引っ張り出される速度に依存した。材料1から押出成形された高い空隙率の細管の種々の異なる形態を、図5(B)、(C)および(D)に示す。図10(B)および(C)に示したものと同様のそのままの材料の断面の光学分析により、35%〜40%の空隙率が生成したことが明らかになった。図10(D)に示す高い空隙率の材料は、35%〜40%の値を超えた可能性がある。
【0056】
押出実験の第2段階を、35℃〜40℃に加熱したココアバターを用いて材料1で実施した。ココアバターのリザーバのヘッド、hは、最初、8cmに設定し、上記のように押出機内に2つの材料を供給した。最初の概念の証明は成功し、溶解されたココアバターでの細管の部分的な充填を生じた。しかしながら、空気と比べてココアバターの高い空隙率のために、ココアバターが押出成形物内に混入され得る速度は遅かったことが観察された。この問題は、リザーバのヘッドを21.5cmに高くすることによって解決されるようである。
【0057】
また、低い空隙率の形態において、ココアバターで充填された細管は、それらの空気で充填された同等物よりいくらか小さい(4mm未満に比べて3mm未満)ようであることもまた、定性的に観察された。溶解されたココアバターを速い速度で供給するのに十分高いココアバターのヘッドにして、高い空隙率のココアバターが充填された細管押出成形物を作製することも可能であった。
【0058】
材料1は、空気が充填された細管またはココアバターが充填された細管のいずれかの高い空隙率および低い空隙率の両方の細管押出成形物に首尾よく形成した。様々な異なる空隙率の薄層を作製すると、高レベルの空隙率が壊れやすいことが観察された。空気が中心にある薄層の高い空隙率の1つの代表的な数字は35%から40%であり、これを超える非常に高い空隙率は、非常に壊れやすい薄層であることが推定される。
【0059】
材料2は、96%のマルチトールシロップ、2%のアラビアガム、2%の水の混合物から生成した。材料2は、押出ラインに供給され得る前に、より小さい顆粒に機械的に破砕することを必要とされる大きなブロックで供給した材料1と同様の方法で作用することを示した。押出実験を始める前に、押出金型を分解し、洗浄し、押出機に温水を供給し、押出機のバレルまたはスクリュー内に残っている全ての材料1を溶解するために洗浄した。押出機から水を除去した後、押出機を、5〜10分間、130℃に加熱して、残っているあらゆる水を蒸発させた。初期のスコーピング実験により、材料2が材料1より高い押出温度を必要とすることが明らかになった。最終的な押出ライン温度プロファイルを以下の表3に示す。
【0060】
【表3】

【0061】
材料1と同様に、材料2は押出機内に欠乏供給された。材料1と同様に、スクリュー速度は40rpmに設定した。材料2は押出すことが容易であり、空気が充填された細管を有する細管押出成形物が、低い空隙率および高い空隙率の形態の両方で生成したことが判明した。材料2は十分な溶解強度、凝固し、凝固の際にもろく、ガラス状になる前に十分な引っ張り特性を示した。再び、ひとかみのロールの使用では、金型から材料を引っ張り、達成される引っ張られる量をコントロールすることができなかった。したがって、手動の引っ張りを材料1と同様の方法で使用した。空運転後に押出ラインを再開することに関して、材料2は材料1と著しく異ならなかったことが判明し、ラインを比較的容易に再開した。細管押出成形物を容易に達成したために、第1段階は比較的すぐに終えて第2段階に進むことが可能であった。
【0062】
第2段階の実験を、35℃〜40℃に加熱したココアバターを用いて材料2で行った。ココアバターのリザーバのヘッド、hは21.5cmに維持した。材料2は、以前の段落で記載したように押出機内に欠乏供給された。完全に充填されたココアバター細管を有する、材料2由来の低い空隙率および高い空隙率の両方の微細管押出成形物の首尾良い押出成形を達成した。材料2のココアバターが充填された細管と材料1の空気が充填された細管とを比較する写真を図6に示す。そのままの高い空隙率の材料2の部分の断面の光学分析により、空隙率が最小で約35%であったことが明らかにされた。この数字は、プロトコルの最適化により容易に高くなり得る可能性がある。
【0063】
材料2についての観測は材料1由来のものと同様である。ココアバター細管または空気が充填された細管のいずれかを有する、低い空隙率および高い空隙率の細管押出成形物を形成した。適度に高い空隙率の押出成形物のそのままの光学分析により、空隙比が約35%であるこが明らかにされたが、実際の数字はより高くなる可能性があると考えられる。製品の空隙率の増加は再び、非常に薄くなる細管壁に起因して製品の脆さの増加を生じるからである。
【0064】
これらの第1段階および第2段階の実験の目的は、種々のキャンディ材料からの細管押出成形物の押出成形に関する概念の証明を提供することであった。これは両方の材料(材料1=40%の糖、および60%のグルコース、ならびに材料2=96%のマルチトールシロップ、2%のアラビアガムおよび2%の水)で成功した。低い空隙率および高い空隙率の細管押出成形物は、空気が充填された細管およびココアバターが充填された細管の両方を有して形成した。空気が充填されたか、またはココアバターが充填されたかに関わらず、典型的に高い空隙率の押出成形物は、約35%〜40%の空隙率を有することが測定された。
【0065】
(実施例2)
第3段階は、実施例1に記載した第1段階、第2段階に基づき、食品等級環境における食品等級機器を備える作業環境を再現した。この食品等級の設定により、空気、液体および固体充填物を有するハードキャンディ、チョコレートおよびチューイングガムを押出成形した。この種々の充填された押出成形物を食品等級環境において製造し、それらの食用特性を調べるために消費した。
【0066】
以下の食用材料をこれらの実験で使用した:チューイングガム(コーティングされていないペパーミント−スペアミントのより高い風味のチューイングガムペレット);ハードキャンディ、ミントキャンディ(Extra Strong Mints(登録商標)、Jakemans(登録商標)Old Favourites)、フルーツキャンディ(Summer Fruits、Jakemans(登録商標)Old Favourites)、チョコレート(ミルクチョコレート(0、1/2、1、2%の水を加えた)、Cadbury(登録商標)Dairy Milk(登録商標)Buttons−溶解されたものを使用した場合、使用しやすくするために2%のPGPRを低い溶解粘度に加えた(1/2%の法的限界を参照))、コンパウンドチョコレート(プレーンベルギーチョコレート、SuperCook(登録商標))、72%の料理用チョコレート、Green & Black’s(登録商標)。これらの実験に使用した液体充填物は以下のものが挙げられる:モノプロピレングリコール(プロパン−1,2−ジオール、BP、EP、USP、Fisher scientific(登録商標)−低粘度、水分ゼロ、低い風味、ならびに経口用にBP、EPおよびUSP等級を選択した)、Golden Syrup(部分的に反転した精製シロップ−Tate&Lyle(登録商標)−高い粘度、食品等級、貯蔵安定性、および甘い風味を選択した)、赤色食品着色料(SuperCook(登録商標)、UK)、青色食品着色料(SuperCook(登録商標)、UK)。最後に、Cadbury Plc.の内部から得たココアバターの固形充填物もまた、これらの実験に使用し、それは室温で固体であり、高温で低粘度を有するために、選択した。
【0067】
Davis−Standard HPE−075 3/4’’24:1の1軸スクリュー押出機をこれらの実験に使用した。この押出機はまた、エアナイフおよびヘッダータンクを備えた。スクリューは、混合または反転部分を有さない、単純な全て前進の構成要素の設計である運搬−圧縮−ポンプであった。モーターは、0〜100rpmのスクリュー回転を生じる3KWのギア付きであった。供給口はカバーを覆い、流れる周囲水を供給して、粘性飼料に関する食品問題を生じるバレルからの熱移動を防止した。バレルは3つの加熱領域を有し、各々に、1KWのヒーターおよび強制的周囲空気冷却器を備えた。標準的な押出機は、バレルゾーンにつきEurotherm 3216コントローラーおよび金型のための1つのスペア(金型コントローラーは、1KWまでのヒーター出力に関してサーモカップル入力装置および標準的な16A 240vソケットに接続した)を有する。
【0068】
購入時に、2つのさらなる金型コントローラー、サーモカップル入力装置およびヒーター出力装置を、充填材料を含有するヘッダータンクおよびそのヘッダータンクを金型に接続する配管の統合制御が可能なように設定した。金型は、長い薄い長方形の主要な金型オリフィスを備える本体を含む部分のアセンブリであり、その金型オリフィスを通る19個の相互接続したノズル(注入ニードルのサイズと同様)も存在する。主要本体を加熱し、ノズルを、周囲空気に開放可能であるか、または加熱され、加圧されたヘッダータンクに接続可能である外側の固定具に取り付けた。ボビン形状のフランジを、押出機の端部フランジに金型アセンブリを取り付けるように構築した。
【0069】
ダイを、4×100W 1/4’’カートリッジヒーターで加熱し、Kタイプサーモカップルプローブによりモニターした。最初に、制御および動力配線を押出機に統合されたEurothermに移すまで、特注のエンクロージャ内でEurotherm 3216によりそれらのヒーターを制御した。金型アセンブリを押出機から電源出力に接地した。
【0070】
ヘッダータンクおよびそのヘッダータンクを金型に接続する配管を、特注のエンクロージャ内の単一のアナログコントローラから最初に制御される2つの100Wのリボンヒーターで加熱し、単一の覆いのないKタイプサーモカップルによりモニターした。後で、それらを2つのサーモカップルおよび2つの動力供給源を備える押出機に統合された2つのEurotherm 3216に分離した。ヘッダータンクを電源出力に接地し、一方、配管はプラスチックであり、接地する必要はなかった。
【0071】
圧縮空気、BOC(登録商標)、UKを、8000ガス調節器シリーズで調節し、使用した圧力は0〜10barであった。圧縮空気についての主な使用はエアナイフを供給するためであった。
【0072】
Solent Lubricants、Leicester、UK製のFood Safe High−Tech Grease、およびFood Safe Penetrating Oilを使用した。
【0073】
細管金型を押出機のエンドプレートに接続した。2つの対向するエアナイフを、押出金型から現れる押出成形物を迅速に急冷するために使用し、金型出口の上下に配置した。それらのジェットは、バルブにより、10barの圧力で圧縮空気管に接続した。押出ラインの全体的なレイアウトを示す概略図を図1に示す。
【0074】
使用中、エントレインメントノズル(注入ニードル)のチップ上の溶解した材料の流れにより、低圧の小さな領域が各ニードルチップに形成された。各ノズルを、内部チャネリングにより、エントレインメント本体内で一緒に接続した。次いで、そのノズルを、室温および大気圧で外側の押出金型に、または周囲温度もしくは高い温度および大気圧で液体を含有する、水頭、hのヘッダータンクに接続した。ヘッダータンクおよび金型に接続した配管を非常に高く加熱した。遮断バルブのセットを、エントレインメント本体に供給される空気または供給される溶解したココアバターのいずれかを切替えるために使用した。これを図2に概略的に示す。
【0075】
急冷ジェットを、高い空隙率の材料を生成するために使用した。現れた押出成形物を非常に迅速に急冷し、高い引っ張り力に供される場合、高い空隙率の断面が得られ得ることを以前の研究の間に見出した。ポリマーおよびプロセス条件の調節により、60%まで、場合によっては60%を超える空隙率が生じた。
【0076】
ハードキャンディを押出機に導入する前に予め破砕した。粒径は重要ではなかった。押出機は完全なキャンディまたは粉末を取り込むことを見出した。破砕したキャンディは完全な部分より均一に供給されることを見出した。全てのバレルおよび金型をフルーツキャンディに関して95℃に設定した。ミントキャンディは広範囲の温度を許容し、95℃〜110℃のバレルおよび金型を用いて実施できた。
【0077】
15〜100rpmのスクリュー速度を実験に使用した。製品の差は最小であった(製造速度を除く)。十分に形成した細管を有する連続した完全な透明の薄層は、プロトコルの最適化により製造できた。その薄層は充填され、漏れずに引っ張り出された。製品の形態は、引っ張り速度および冷却インラインの速度で変化することを見出した。冷却せずに急速に引っ張ると、微細な幅および細管を有して、1mm幅に薄層を薄くすることができた。強く冷却して引っ張ると、薄層の空隙率は高くなった。
【0078】
別の試験において、コーティングされていないガムペレットを、押出機内に供給しやすくするために約3mmのサイズに減少させた。これは、フリージングおよびドメスティックフードプロセッサを用いて実施した。58℃の温度のバレルおよび金型により、最も切れ目のない(連続した)製品が得られた。この製品は、ほとんど漏れずに充填されるのに完全な状態であった。完全なガムよりむしろ、ガム基礎剤、特に溶解されたガム基礎剤を用いると、非常に均一な完全な状態を有する薄層が生成されるようである。
【0079】
さらなる試験において、チョコレートを、押出成形物のための材料として使用した。安定な作動条件を得るために、押出機のヒーターおよび冷却ファンを電気的に無効にした。実験室の空調を頼りにして直接的な温度制御は中止した。これらの変更により、押出機のバレルは均一に22℃を示し、穏やかに加熱された溶解したCadbury’s Dairy Milk(登録商標)チョコレートを用いて安定した状態で細管のチョコレートを押出すことは容易であった。
【0080】
ハードキャンディの押出成形物に関して、断面形状を変化させるようにチョコレート押出成形物を引っ張り、0.5mm〜4mmの直径または幅を有する細管を生成することは可能であった。
【0081】
空気充填を、金型におけるノズルに対する簡単な周囲空気ブリードにより達成し、その押出成形物の断面を図8に示す。
【0082】
モノプロピレングリコール充填を、ヘッダータンクに約5cmの深さの液体で、次いで金型より約10cm高くして、室温および大気圧で達成した。必要な場合、着色料をヘッダータンクに直接添加した。
【0083】
Golden Syrup充填を、ハードキャンディに充填するためには78℃に、そしてガムに充填するためには58℃にヘッダータンクおよび配管を加熱することにより達成した。ヘッダータンクの加圧は、シロップの流れを生じさせるために低い温度で必要とされた。再び、必要な場合、着色料をヘッダータンクに直接添加した。
【0084】
図8〜14は実験の第3段階で生成された押出成形物の写真を示す。図8は空気が充填されたハードキャンディを示す。図9は液体が充填されたハードキャンディを示す。図9は空気が充填されたガムを示す。図10は液体が充填されたガムを示す。図11は空気が充填されたチョコレートを示す。図12は図11に示す空気が充填されたチョコレートを示すが、長手方向断面ではない。
【0085】
本発明の菓子製品および方法は、チョコレート、ハードキャンディおよびガムについて示す。第3段階の実験は、同様に使用され得る食品材料の範囲を示す。従って、例えばチューイ、グミまたはゼリーキャンディなどの高温および高圧でも押出可能な、室温で通常、固体であるあらゆる製品が、細管製品に生成され得ることが推定され得る。加温されると、高い伸長粘度を示す製品は、それらの形状およびそれらの外側と内側との比を変えるために引っ張られてもよい。
【0086】
空気、液体および固体充填物が細管押出成形物に導入され、固体充填物が液化され、流動性になり得ることもまた、示される。
【0087】
実施例で製造される細管押出成形物は、多くの方法で菓子に利用されてもよいことは当業者に明らかであろう。例えば、空気が充填された細管を有するチョコレート押出物は、通常のバーと同様のサイズを有するチョコレートバーを製造するために使用され得るが、その中に含有される脂肪および糖分はあまり含まれなくなるので低くなる。あるいは、チョコレート押出成形物は、感覚の満足を高めるように液体チョコレート充填物が充填された細管を有してもよい。さらなる例は、異なる風味の特性を生じるようにダークチョコレート充填物が充填された細管を有するミルクチョコレート押出成形物であり得る。
【0088】
本発明の押出成形物は多くの方法で構成されてもよい。例えば、図15Aおよび15Bは細管102に充填された充填物を有する押出成形物100を示し、その押出成形物は、それ自体が数回折り畳まれている。このような構成は、噛んでいる間の中心充填物の長い放出を可能にする。チョコレートエクレアが、液体が充填された細管を有する噛みくだく充填物を有して生成されてもよく、その噛みくだく充填物は、液体充填物が長い時間にわたって放出されるように数回折り畳まれる。
【0089】
図16は互いの上に積み重ねられた複数の層の押出成形物120を示し、各々の層は、中心充填物を有する複数の細管122を有する。このような構成はまた、噛む菓子に使用されてもよい。
【0090】
図17Aは菓子製品130の実施形態の断面を示し、細管は折り畳まれた構造で存在する。この菓子製品は、押出された部分132の長さに延びる多くの細管134を有する、折り畳まれて押出された部分132から生成される。細管134は、押出の間に液体充填材料が充填される。押出された部分は、チョコレートから製造されるコーティング136により覆われる。製品が消費される場合、細管134に穴が開き、ならびに/または菓子およびコーティングに使用される材料が分解されるため、液体充填材料は細管134から徐々に放出される。
【0091】
図17Bは、菓子製品140の実施形態の断面を示し、押出された材料の多くの小さな部分が異なる方向で製品に導入されている。この菓子製品は、その製品の中でランダムに方向を定められている押出された部分の多くの個々の部分を有して生成される。菓子製品140は、3つの異なって方向を定められた押出された部分を有して示される:第1の押出された部分142は、細管144が見られ得る「正面」で示され、第2の押出された部分146は、細管が示されていない「側面」で示され;最後に第3の押出された部分148は、細管が見られ得ない対角線上に方向を定められて示される。細管144は液体充填物が充填され、その部分はハードキャンディマトリクス150内に位置する。再び、製品が消費される場合、細管144に穴が開き、ならびに/または菓子およびキャンディマトリクスに使用される材料が分解されるため、液体充填材料は細管144から徐々に放出される。
【0092】
図18Aおよび18Bを参照すると、概して円筒形の構造を有する押出されたハードキャンディ本体162から生成される菓子製品160が示される。2つの細管164および166は本体162内に提供され、それらは、らせん形の経路で続いて本体を通って長手方向に延びる。細管164、166の両方は2つの別のらせん形の経路に沿って延びるが、それらは、らせん形が回転する間、互いから等距離を維持し、正確に半分の回転が互いからオフセットする。細管のらせん形の経路は、押出成形金型ヘッドに対して押出成形物を回転させること、または押出の間、軸168の周りで細管金型を回転させることのいずれかによって生成される。細管164、166は、軸168から離れて広がる対向面で互いに対向して位置する。所望の場合、異なる液体のフォンダンが、押出の間、各々の細管164、166に挿入されてもよい。
【0093】
図19Aおよび19Bを参照すると、概して円筒形の構造を有する押出されたハードキャンディ本体182から生成される菓子製品180が示される。2つの細管184および186は、らせん形の経路で続いて本体を通して長手方向軸に延びる。両方のらせん形は中心軸188の周りを同様の経路で続き、細管は、軸188から離れて広がる同じ平面に位置する。再び、液体のフォンダンが、押出の間、細管に挿入されてもよい。
【0094】
最後に、図20Aおよび20Bを参照すると、概して円筒形の構造を有する押出されたハードキャンディ202から生成される菓子製品200が示される。2つの細管204および206は本体202内に提供され、それらの間に横方向の平面部分(Bで示す)が位置し、らせん回転(AおよびCで示す)から生成される波型のパターンが続いて本体を通して長手方向軸に延びる。両方の細管は2つの別の経路に沿って延びるが、それらはらせん形が回転する間、互いから等距離を維持し、それらおよび平面部分は正確に半分の回転が互いからオフセットする。細管は互いに対向して位置し、対向方向に中心軸208から離れて広がる。らせん形部分(AおよびC)は、金型ヘッドに対して押出成形物を回転させること、または押出の間に金型ヘッドを回転させることのいずれかによって生成されるが、平面部分(B)は回転を停止することによって生成される。さらに再び、液体のフォンダンが、押出の間、細管に挿入されてもよい。
【0095】
所望の場合、細管空間、ピッチおよび位置を動的に調節することができる調節可能な金型ヘッドにより、多くの他の細管の構成が菓子製品に形成され得ることはもちろん、当業者に理解されるだろう。従って、一点に集まり、分岐する細管がジグザグパターンなどに沿って生成され得る細管を菓子製品は含む。
【0096】
上述の実施形態は、特許請求の範囲によって保護される範囲を限定することを意図していない。むしろ、本発明を実施することができる方法としての例を記載しているだけである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の押出部分と第2の押出部分を含み、各々の部分は、その中に配置される複数の細管を有し、前記第1の部分および前記第2の部分の前記細管は、
a)不連続であり、および/または
b)連続し、かつ、1つより多い方向に向きを定められる、
菓子製品。
【請求項2】
前記各々の部分の細管は実質的に互いに平行して形成される、請求項1に記載の菓子製品。
【請求項3】
前記第1の部分および前記第2の部分は積み重ねられた構造であり、それによって、前記第1の部分および前記第2の部分の細管は、互いに実質的に平行である、請求項1または2に記載の菓子製品。
【請求項4】
前記第1の部分および前記第2の部分は折り畳まれた構造である、請求項1〜3のいずれかに記載の菓子製品。
【請求項5】
前記第1の部分および前記第2の部分は不連続であり、前記細管は互いに対してランダムな配置で向きを定められる、請求項1または2に記載の菓子製品。
【請求項6】
前記細管の1つ以上は、前記第1の押出部分および/または前記第2の押出部分を生成するために使用される材料とは異なる材料で少なくとも部分的に充填される、請求項1〜5のいずれかに記載の菓子製品。
【請求項7】
前記細管は流体材料で充填される、請求項1〜6のいずれかに記載の菓子製品。
【請求項8】
前記流体は液体を含む、請求項7に記載の菓子製品。
【請求項9】
前記細管は凝固する液体材料を充填される、請求項1〜6のいずれかに記載の菓子製品。
【請求項10】
前記製品はさらに、前記押出部分を覆うためのコーティング部分を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の菓子製品。
【請求項11】
前記押出部分における前記細管は、5〜99%の範囲の空隙率を生じる、請求項1〜10のいずれかに記載の菓子製品。
【請求項12】
前記細管は2mm以下の平均直径または幅を有する、請求項1〜11のいずれかに記載の菓子製品。
【請求項13】
前記細管は3mm以下の平均幅または直径を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の菓子製品。
【請求項14】
前記細管の幅または直径は本体部分において実質的に均一である、請求項1〜13のいずれかに記載のチューイングガム製品。
【請求項15】
隣接する前記細管の間の距離が本体部分において実質的に同じままである、請求項1〜14のいずれかに記載のチューイングガム製品。
【請求項16】
2つ以上の前記細管が本体部分において互いに平行して実質的に延びる、請求項1〜15のいずれかに記載のチューイングガム製品。
【請求項17】
押出本体部分の中に配置される複数の細管を有する、前記押出本体部分を含む菓子製品を製造するためのプロセスであって、前記プロセスは、
a)押出可能な菓子材料の中に配置される複数の細管を有する、前記押出可能な菓子材料を押出す工程と、
b)押出成形物内に配置される複数の細管を有する2つ以上の部分に前記押出成形物を切断し、前記部分を組み込んでいる菓子製品を生成する工程または、
c)前記押出成形物を折り畳み、前記折り畳まれた押出成形物を組み込んでいる菓子製品を生成する工程のいずれかと、
を含む、菓子製品を製造するためのプロセス。
【請求項18】
本体部分の中に配置される複数の細管を有する、前記本体部分を含む菓子製品を製造するためのプロセスであって、前記プロセスは、
a)押出可能な菓子材料の中に配置される複数の細管を有する、押出可能な菓子材料を押出す工程であって、前記細管は連続し、かつ1つより多い方向に向きを定められる、工程を含む、菓子製品を製造するためのプロセス。
【請求項19】
前記プロセスは、1つ以上の前記細管の少なくとも一部に充填物を堆積させる工程をさらに含む、請求項17または18に記載のプロセス。
【請求項20】
充填物は前記押出す工程の間に堆積される、請求項17または19に記載のプロセス。
【請求項21】
充填物は流体を含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記流体は凝固する液体材料を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記プロセスは、押出後に押出成形物を急冷する工程をさらに含む、請求項17〜22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記急冷は空気を使用する、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記プロセスは、押出後に押出成形物を伸張する工程をさらに含む、請求項17〜24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記プロセスは、コーティングで前記菓子製品を覆う工程をさらに含む、請求項17〜25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記プロセスは、請求項1〜16のいずれか一項に記載の菓子材料を製造するためである、請求項17〜26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
請求項17〜27のいずれか一項に記載のプロセスに従って菓子製品を製造するように適合された装置。
【請求項29】
本明細書に実質的に開示され、添付の図面に参照される菓子製品。
【請求項30】
本明細書に実質的に開示され、添付の図面に参照される菓子製品を製造するためのプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(A)】
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【図5(B)】
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【図5(C)】
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【図5(D)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【公表番号】特表2012−502648(P2012−502648A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527402(P2011−527402)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002259
【国際公開番号】WO2010/034981
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(500215610)キャドバリー ユーケー リミテッド (6)
【Fターム(参考)】