落雷リスク回避システム、方法および通信ネットワークシステム
【課題】任意の地域における通信設備の近隣において落雷が発生した際に、この落雷による通信設備への雷害を回避して通信サービスの中断を防ぐ。
【解決手段】外部より取得した最新の落雷情報に基づいて通信ネットワークシステム上の通信設備の各々に対応付けられた落雷リスク領域内での落雷活動の有無を判定して、落雷によるリスクを有する通信設備の機能を落雷によるリスクが無い通信設備へ代替させ、落雷による通信障害を回避する。
【解決手段】外部より取得した最新の落雷情報に基づいて通信ネットワークシステム上の通信設備の各々に対応付けられた落雷リスク領域内での落雷活動の有無を判定して、落雷によるリスクを有する通信設備の機能を落雷によるリスクが無い通信設備へ代替させ、落雷による通信障害を回避する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷リスク回避システム、方法および通信ネットワークシステムに関し、特に、複数の通信設備がネットワークを介してデータを伝送する通信ネットワークにおいて落雷による通信設備への被害を回避する落雷リスク回避システム、方法および通信ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体技術や回路技術などの進歩により電子回路の高密度化・高機能化が進んでいるが、一方で、電子回路の高密度化・高機能化の代償として電気・電子機器の過電圧耐性が低下し、さまざまな電磁環境問題とともに落雷による問題が顕在化している。落雷による問題として、例えば、建物内にある電気・電子機器は、架空線によって伝搬される雷サージや雷電磁インパルス(LEMP:Lightning Electro Magnetic Pulse)によって生じる電磁界にさらされることにより、過電圧耐性の低い電気・電子機器が破壊されてしまうといった問題(以下、このような問題をまとめて「雷害」という。)があった。
【0003】
また、通信設備の分野では、伝送系のブロードバンド化により、大容量で且つ高速な情報通信ネットワークの形成が急速に進み、中継ネットワークはもとよりユーザ設備の雷害対策がいっそう重要になっている。
【0004】
従来の雷害対策の技術として、通信会社における設備の雷害故障件数と落雷件数、設備数との関係を分析することにより雷害危険度マップを検討する技術が知られている(非特許文献1)。また、現在使用されている伝送設備(光ファイバーやメタルケーブル)に代わる予備線路を保有し、通信ネットワークの故障時に伝送経路を切り替える技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3801999号(特開2004−28140号公報)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】電子情報通信学会, 進学技報, Vol.105, No.454(EMCJ2005-122), pp.45-49, 2005.12.02
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に記載された技術は、落雷の発生場所や雷害故障に関する過去の情報に基づいて雷害の危険度を地理的に設定して雷害対策の重点化や効率化を図るものであって、実際に落雷が発生した場合に引き起こされる雷害を回避する技術ではない。また、特許文献1に記載された技術は、一般的な伝送設備が故障した際に適切な伝送経路に切り替える方法に関するものであって、落雷の発生時に、落雷の発生場所に応じた雷害回避を実現する技術ではない。すなわち、従来の技術では、実際に落雷が発生した際に、その落雷によって引き起こされる雷害を回避することができない場合があり、通信ネットワークにおける通信サービスが中断されてしまうといった問題があった。
そこで本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、任意の地域における通信設備の近隣において落雷が発生した際に、この落雷による通信設備への雷害を回避して通信サービスの中断を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、外部から落雷の発生状況を示す落雷情報を取得する取得部と、この取得部によって取得された前記落雷情報から通信設備の各々に対して予め設定された領域である落雷リスク領域のうち、落雷活動が有った前記落雷リスク領域を識別する識別部と、この識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備のデータ伝送機能を、落雷活動が有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備以外の通信設備に代替させる落雷リスク回避動作を実行する実行部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明において、前記識別部は、前記取得部によって取得された落雷情報に基づいて落雷が発生した前記落雷リスク領域を抽出する抽出部と、この抽出部によって抽出された落雷リスク領域内で継続的に落雷が発生している場合に落雷活動有りと判定する判定部とを備えても良い。
【0010】
また、本発明において、前記実行部は、前記識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータに求められる通信品質に基づいて、前記落雷リスク回避動作のうち、当該通信設備を回避して当該データを伝送するための回避ルートを決定する回避ルート決定動作、または、当該通信設備によるデータ伝送容量の制限値を決定する伝送容量制限値決定動作のいずれかを選択する動作選択部と、この動作選択部によって選択された前記落雷リスク回避動作に応じて前記データの伝送制御を実行する動作実行部とを備えても良い。
【0011】
また、本発明において、前記動作選択部は、前記識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータに規定される通信品質レベルを識別して予め定められた通信品質レベルの条件に合致する場合には前記回避ルート決定動作を選択し、それ以外の場合では前記伝送容量制限値決定動作を選択しても良い。
【0012】
また、本発明において、前記識別部によって前記落雷リスク領域における落雷活動の終了が識別された場合、前記実行部は、当該通信設備に対して実行している前記落雷リスク回避動作を終了しても良い。
また、本発明において、前記識別部は、落雷活動有りと識別した前記落雷リスク領域内で最後に落雷を認識してから所定の時間経過後においても落雷を認識できなければ落雷活動が終了したと識別しても良い。
【0013】
また、本発明において、通信ネットワークを介してデータの伝送を行う前記通信設備と、前記通信ネットワークに接続され前記通信設備の運用管理を行う管理装置とから構成される通信ネットワークシステムにおいて、前記通信設備と前記管理装置とのいずれか一方に上述した本発明にかかる落雷リスク回避システムの機能を備えても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各通信設備に対応付けられた落雷リスク領域において落雷が発生していることを認識し、当該通信設備のデータ伝送機能を落雷が発生していない落雷リスク領域に対応した通信設備に代替させることにより、落雷による通信設備への雷害を回避することができるため、落雷による通信サービスの中断を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムを含む通信ネットワークシステムの全体構成の一例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成を示す図である。
【図3】通信設備間のネットワークと落雷の影響範囲を概念的に説明する図である。
【図4】通信設備に対応付けられた落雷リスク領域と一定時間内の落雷地点との関係を概念的に説明する図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの落雷リスク対象設備の特定動作を示すフローチャートである。
【図7】落雷活動の有無を判別する方法の一例を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成を示す図である。
【図9】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの動作を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの回避ルートの設定方法を説明する図である。
【図11】第2の実施の形態における通信ネットワークシステムの通信設備のルートマトリクスの一例を示す図である。
【図12】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムによるルートマトリクスの作成動作を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの伝送容量の制限値決定方法を説明する図である。
【図14】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの伝送容量の制限値決定動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムは、取得した最新の落雷情報に基づいて通信ネットワークシステム上の通信設備の各々に対応付けられた落雷リスク領域内での落雷活動の有無を判定して、落雷によるリスクを有する通信設備の機能を落雷によるリスクが無い通信設備へ代替させ、落雷による通信障害を回避するものである。
【0017】
図1は、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムを含んだ通信ネットワークシステムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、複数の通信設備30−1〜30−nとこれら通信設備30−1〜30−nを管理する通信制御管理センタ20とがそれぞれ通信ネットワーク10を介してデータ伝送を行うことにより通信を行うものである。
本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムは、図1に示す通信ネットワークシステムを一元管理する通信制御管理センタ20に備えられ、落雷発生時に落雷によるリスクを有する通信設備(以下、「落雷リスク対象設備」という。)のデータ伝送機能を落雷によるリスクが存在しない通信設備へ代替させるものである。
【0018】
図2は、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる落雷リスク100は、図2に示すように、取得部110と、識別部120と、実行部130と、記憶部140とから構成されている。
取得部110は、最新の落雷の発生状況を示す落雷情報を外部から取得する。例えば、気象情報会社などから提供される最新の気象情報を通信ネットワーク10を介して取得し、取得した気象情報から最新の落雷の発生状況(例えば発生位置や時刻)を示す落雷情報を取得することができる。
【0019】
識別部120は、取得部110によって取得された落雷情報に基づいて落雷の有無を識別し、通信設備30−1〜30−nの各々に対して予め設定された領域である落雷リスク領域内での落雷活動の有無を識別する。
具体的には、識別部120の抽出部121が、取得した落雷情報に基づいて落雷が発生した落雷リスク領域を抽出し、判定部122が抽出部121によって抽出された落雷リスク領域内で継続的に落雷が発生しているか否かを検知して落雷活動の有無を判定する。
【0020】
実行部130は、識別部120によって落雷活動が有りと判定された落雷リスク領域に対応する通信設備30−nのデータ伝送機能を、落雷活動が有りと判定された落雷リスク領域に対応する通信設備30−nとは異なる通信設備30−mに代替させる落雷リスク回避動作を実行する。
【0021】
記憶部140は、通信制御管理センタ20が管理する通信設備30−1〜30−nの設置地点および接続状況に関する情報や各通信設備に対応付けられた落雷リスク領域に関する情報、取得部110によって取得される気象情報といった情報を記憶する。
ここで、記憶部140に記憶される落雷リスク領域に関する情報は、例えば、通信設備30−1〜30−nの設置地点に応じて落雷による雷害が発生する可能性を有する範囲を表す情報としても良く、また、通信設備30−1〜30−nの設置地点を中心に予め設定された一定の距離の範囲を表す情報としても良い。
【0022】
なお、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム100の各構成要素は、通信ネットワークシステムの通信制御管理センタ20に搭載された、CPU(中央演算装置)やメモリ、インターフェースからなるコンピュータにコンピュータプログラム(ソフトウェア)をインストールすることによって実現され、上述した落雷リスク回避システム100の各種機能は、上記コンピュータの各種ハードウェア資源と上記コンピュータプログラムとが協働することによって実現される。
【0023】
<落雷リスク領域と落雷活動の判定について>
落雷リスク領域と識別部120による落雷活動の判定機能について、図3〜4を参照して詳細に説明する。
落雷が発生すると、落雷発生地点の近隣に設置されている通信設備の電気機器や電子装置が雷サージなどで破壊される雷害が発生する恐れがある。この雷害の発生確率は、落雷発生地点に近いほど高くなり、落雷発生地点から一定の距離範囲で何らかの雷害が生じる可能性がある。ここで、図3に、通信設備30−nと落雷の影響範囲を概念的に示す。複数の通信設備30−1〜30−n(ノード)は、図3に示すように、伝送路(リンク)によって相互に接続され通信ネットワークを形成している。落雷が発生すると、雷害の落雷発生地点を中心に一定の距離範囲(rキロメートル)の領域である落雷リスク領域内に存在する通信設備30−nには雷害が生じる可能性があり、落雷リスク領域の中心すなわち落雷発生地点に近づくほど雷害の発生確率が高くなる。
【0024】
例えば、通信設備に対して雷害が生じる可能性が落雷の発生地点から約2kmの範囲である場合、図3に示す落雷リスク領域の半径は2kmとなり、落雷の発生位置から2kmの範囲内に設置されている通信設備は雷害が生じる可能性を有することになる。
したがって、通信ネットワークを形成している通信設備の各々に対して通信設備の設置位置を中心に雷害が生じる可能性がある領域(落雷リスク領域)を設定することにより、落雷発生地点の情報と通信設備の地点情報とから落雷が発生している落雷リスク領域に対応付けられた通信設備を特定することができる。
【0025】
図4は、通信設備に対応付けられた落雷リスク領域と一定時間内の落雷地点との関係を概念的に示す図である。図4に示すように、通信設備30−1と通信設備30−2に対応付けられた落雷リスク領域内に落雷が発生していることから、通信設備30−1と通信設備30−2は、雷害が発生する可能性を有していると判定し、これら設備を落雷リスク対象設備候補とする。落雷リスク対象設備候補を特定すると、この落雷リスク対象設備候補に対応付けられた落雷リスク領域内で継続した落雷の発生(以下、「落雷活動」という。)の有無を判定する。
【0026】
具体的には、識別部120の抽出部121は、取得部110によって取得された落雷情報に基づく落雷の発生地点と通信設備30−1〜30−nの地点情報とから、落雷が発生した落雷リスク領域に対応付けられた通信設備30−1と通信設備30−2とを落雷リスク対象設備候補として抽出する。抽出部121によって落雷リスク対象設備候補が抽出されると、判定部122は、落雷リスク対象設備候補に対応する落雷リスク領域内で落雷活動の有無を検出する。
例えば、図4に示すように、抽出部121によって落雷リスク対象設備候補として抽出された通信設備30−1の落雷リスク領域では、一定時間内に2回の落雷が発生していることから、判定部122は、通信設備30−1の落雷リスク領域で落雷活動有りと判定する。一方、通信設備30−2の落雷リスク領域では、一定時間内に1回の落雷のみであることから、判定部122は、通信設備30−2の落雷リスク領域で落雷活動無しと判定する。
【0027】
次に、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム100の動作について、図5〜7を参照して説明する。
図5は、落雷リスク回避システム100の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、落雷リスク回避システム100は、取得部110によって最新の気象情報に基づく落雷の発生位置や発生時刻を示す落雷情報を取得し、記憶部140へ記憶する(S11)。
【0028】
取得部110によって最新の気象情報に基づく落雷情報が取得されると、識別部120は、この落雷情報に基づいて通信設備30−1〜30−nに対応付けられた落雷リスク領域内での落雷活動の有無を判定し、判定結果から落雷リスク対象設備を特定する(S12)。
【0029】
ここで、識別部120による落雷リスク対象設備の特定動作について、図6に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。
図6に示すように、識別部120の抽出部121は、記憶部140に記憶された最新の落雷が発生した地点や時刻の情報である落雷情報を取得し(S101)、記憶部140に記憶されている通信設備30−1〜30−nの設置地点に関する情報と落雷情報とから落雷の発生地点と通信設備30−1〜30−nとの距離を算出する(S102)。
【0030】
通信設備30−1〜30−nと落雷の発生地点との距離が算出されると、抽出部121は、この算出された距離から落雷の発生地点がそれぞれの通信設備に対応付けられた落雷リスク領域内にあるか否かを判定する(S103)。
落雷の発生地点が落雷リスク領域内にある場合(S103で「YES」)、抽出部121は、その落雷リスク領域に対応した通信設備30−nを抽出して落雷リスク対象設備候補として設定する(S104)。
一方、落雷の発生地点が落雷リスク領域内に無い場合(S103で「NO」)、抽出部121は、その落雷リスク領域に対応した通信設備30−mを落雷リスク対象設備候補の対象外として設定する(S105)。
【0031】
抽出部121によって落雷リスク対象設備候補が設定されると、判定部122は、この落雷リスク対象設備候補に対応付けられた落雷リスク領域で継続して落雷が発生する落雷活動の有無を判定する(S106)。具体的には、落雷リスク対象設備候補に対応付けられた落雷リスク領域で落雷が一定時間に複数回発生しているか否かを識別することで落雷活動の有無を判定する。
ここで、落雷活動の有無を判定する方法の一例を図7に示す。記憶部140に記憶される最新の落雷情報から落雷リスク対象設備候補に対応付けられた落雷リスク領域で落雷が発生したことを示す落雷信号を抽出部121が判定部122へ出力し、判定部122は、最初に落雷信号を受信すると、落雷信号の受信回数の監視状態をアクティブとする蓄積信号出力する。この蓄積信号は、図7に示すように、予め定められた所定時間A(例えば1分間)だけ出力される。
【0032】
判定部122は、蓄積信号が出力されている間に、所定回数の落雷信号を受信することで落雷活動有りと判定して判定信号を出力し、所定回数の落雷信号が受信されなければ落雷活動無しと判定して判定信号を出力しない。例えば、図7に示すように、判定部122は、蓄積信号が出力されている間(所定時間A)に2回目の落雷信号を受信すると、落雷活動有りと判定して判定信号を出力する。
【0033】
落雷活動の判定結果が有りであった場合(S106で「YES」)、判定部122は、落雷活動有りと判定された落雷リスク領域に対応する落雷リスク対象設備候補を落雷リスク対象設備として特定し(S107)、一方、落雷活動の判定結果が無しであった場合(S106で「NO」)、判定部122は、その落雷リスク領域に対応した落雷リスク対象設備の対象外として設定する(S105)。
このように、識別部120は、落雷活動の判定結果に基づいて落雷リスク対象設備を特定する。
【0034】
識別部120によって落雷リスク対象設備が特定されると、図5に示すように、実行部130は、落雷リスク対象設備のデータ伝送機能を落雷が発生していない落雷リスク領域に対応する他の通信設備、または、落雷活動無しと判定された落雷リスク領域に対応する他の通信設備に代替させる落雷リスク回避動作を実行する(S13)。
例えば、記憶部140に記憶されている通信設備30−1〜30−nの接続状態に関する情報に基づいて、落雷リスク対象設備として特定された通信設備30−nとリンクされている通信設備のうち、落雷活動無しと判定された落雷リスク領域に対応する通信設備に通信設備30−nのデータ伝送機能を代替させる。
【0035】
落雷リスク回避動作が実行されると、判定部122によって落雷活動が継続しているか否かの判定がなされる(S14)。落雷活動の判定は、落雷活動が有ることを示す判定信号が出力されてから一定時間経過する間に、落雷信号を受信すると落雷活動が継続していると判定して判定信号の出力を維持する。一方、最後に落雷信号を受信してから一定時間経過の後においても新たな落雷信号を受信できない場合には、落雷活動が終了したと判定する。
例えば、図7に示すように、判定信号が出力された後、予め定められた所定時間B(例えば10分間)経過以内に新たな落雷信号を受信すると判定信号の出力は維持され、最後に落雷信号を受信してから所定時間Bが経過した後においても新たな落雷信号を受信できなければ、判定信号の出力は停止される。
【0036】
落雷活動が継続していると判定されると(S14で「YES」)、判定部122によって引き続き落雷活動の継続判定がなされ、落雷活動が終了したと判定されると(S14で「NO」)、実行部130は、落雷リスク対象設備として特定された通信設備に対して実行している落雷リスク回避動作を終了し(S15)、落雷リスク対象設備としての設定を解除して通常のデータ伝送機能を回復させる。
【0037】
このように、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムによれば、継続的に落雷が発生している通信設備の各々に対応付けられた落雷リスク領域を検出し、この落雷リスク領域に対応する通信設備を落雷リスク対象設備として特定してその通信設備のデータ伝送機能を落雷リスク対象設備ではない通信設備に代替させることによって、落雷発生時においても落雷による通信設備への雷害を回避することができ、落雷による通信サービスの中断を防ぐことができる。
【0038】
また、落雷が発生した落雷リスク領域に対応する通信設備を落雷リスク対象設備候補として抽出し、抽出した落雷リスク対象設備候補の落雷リスク領域において継続的な落雷の発生(落雷活動)を監視して落雷活動の有無を判定し、判定結果に基づいて落雷リスク対象設備の特定および解除を行うことにより、単発的な落雷を無視して不要な落雷リスク回避動作の実行を防ぐことができるとともに、落雷活動が終息した場合には落雷リスク回避動作を終了させ速やかに通常のデータ伝送機能を復旧させることができる。よって、落雷の発生頻度に応じて通信設備への雷害を回避することができ、柔軟な通信サービスの提供を可能にする。
【0039】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムは、第1の実施の形態において説明した落雷リスク回避システムにおいて、落雷活動有りと識別された落雷リスク領域に対応する通信装置が伝送するデータの通信品質に基づいて落雷リスク回避動作の内容を選択するものである。
なお、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成要素について、第1の実施の形態において説明した落雷リスク回避システム100の構成要素と同様の構成および機能を有するものは、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図8は、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム200は、図8に示すように、取得部110と、識別部120と、実行部230と、記憶部140とから構成され、識別部120は抽出部121と判定部122とを備え、実行部230は動作選択部231と動作実行部232とを備える。
【0041】
実行部230の動作選択部231は、識別部120によって落雷活動有りと識別された落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータの通信品質に基づいて、落雷リスクの回避動作のうち、落雷リスク対象設備として特定された通信設備を介して伝送されるデータをその通信設備を回避して伝送する回避ルートを決定する回避ルート決定動作、または、落雷リスク対象設備として特定された通信設備によるデータ伝送容量の制限値を決定する伝送容量制限値決定動作のいずれかを選択する。
実行部230の動作実行部232は、動作選択部231によって選択された落雷リスク回避動作に応じて、落雷リスク対象設備として特定された通信設備を介して伝送されるデータの伝送制御を実行する。
【0042】
なお、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム200の各構成要素は、通信ネットワークシステムの通信制御管理センタ20に搭載された、CPU(中央演算装置)やメモリ、インターフェースからなるコンピュータにコンピュータプログラム(ソフトウェア)をインストールすることによって実現され、上述した落雷リスク回避システム200の各種機能は、上記コンピュータの各種ハードウェア資源と上記コンピュータプログラムとが協働することによって実現される。
【0043】
次に、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム200の動作について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
図9に示すように、落雷リスク回避システム200は、第1の実施の形態において説明したように落雷リスク対象設備である通信設備30−nを特定する(S21)。
【0044】
落雷リスク対象設備である通信設備30−nが特定されると、実行部230の動作選択部231は、落雷リスク対象設備である通信設備30−nを介して伝送されるデータに規定されている通信品質レベルを識別して、この通信品質レベルが予め設定された通信品質レベルの条件と合致するか否かを判定する(S22)。
【0045】
ここで、通信設備30−nを介して伝送されるデータに規定される通信品質レベルは、例えば、データの受信を保障する度合いによって決定することができる。具体的には、予め定められた通信帯域を確保して送信することが必須条件であるデータの通信品質レベルは高レベルと規定し、必ずしも所定の通信帯域を確保して送信する必要がないデータの通信品質レベルは低レベルと規定することができる。
このようにデータの通信品質レベルが規定されている場合、動作選択部231は、落雷リスク対象設備である通信設備30−nを介して伝送されるデータの通信品質レベルを識別して、通信品質レベルが高レベルであるか否かを判定する。
【0046】
伝送データの通信品質レベルが予め設定された通信品質レベルの条件と合致する場合、すなわち、通信レベルが高レベルであった場合(S22で「YES」)、動作選択部231は回避ルート決定動作を選択して実行し(S23)、伝送データの通信品質レベルが予め設定された通信品質レベルの条件と合致しなかった場合(S22で「NO」)、動作選択部231は伝送容量制限値決定動作を選択して実行する(S24)。
【0047】
<回避ルート決定動作について>
動作選択部231によって回避ルート決定動作が選択された際に実行されるリスク回避ルートの決定動作について、図10〜図12を参照して説明する。
図10は、リスク回避ルートの設定方法の一例を概念的に示す図である。図10に示すように、リスク回避ルートの設定とは、落雷リスク対象設備である通信設備30−iが中継している通信設備30−jと通信設備30−kとのリンクを、落雷リスク対象設備である通信設備30−iを経由しない別のルートに切り替えることである。実際の通信ネットワークにおいて回避ルートの設定は、空いている光ファイバー(ダーク・ファイバー)やメタルケーブル(ドライ・カッパー)を使用することに相当する。
【0048】
このようなリスク回避ルートは、落雷リスク対象設備である通信設備30−iが中継している全ての両端の通信設備30−jおよび通信設備30−kを行,列とするマトリクスの要素数だけ存在することになる。このようなマトリクスを、通信設備30−iのルートマトリクスという。図11に通信設備30−iのルートマトリクスRiの一例を示す。
通信設備30−iのルートマトリクスRiは、通信ネットワークの接続状況により決定できることから、記憶部140に記憶されている通信設備30−1〜30−nの接続状況に関する情報に基づいて導出する。
【0049】
ルートマトリクスの導出動作を示すフローチャートを図12に示す。図12に示すように、動作選択部231は、識別部120によって特定された落雷リスク対象設備のうち、ルートマトリクスを導出する落雷リスク対象設備の通信設備30−iを特定する(S211)。
【0050】
ルートマトリクスを導出する通信設備30−iを特定したら、この通信設備30−iとリンクがある両端の通信設備のうち、一端の通信設備30−jを選定(S212)し、他端の通信設備30−kを選定する(S213)。
通信設備30−iとリンクがある両端の通信設備30−jと通信設備30−kとを選出したら、これら通信設備をリンクするルート、すなわち、リスク回避ルートRi(j,k)を抽出する(S214)。
【0051】
抽出したリスク回避ルートRi(j,k)について、該当する全てのリスク回避ルートについて抽出したか否かを判定し(S215)、全てのリスク回避ルートを抽出するまで上述したS211からS214の動作を繰り返す(S215で「NO」)。一方、全てのリスク回避ルートを抽出すると(S215で「YES」)、通信設備30−iのルートマトリクスRiを記憶部140に記憶する(S216)。
なお、上述したルートマトリクスの導出動作は、動作選択部231によって回避ルート決定動作が選択された際に実行されるが、定期的に全ての通信設備に対するルートマトリクスを導出して最新のルートマトリクスを記憶部140にデータベースとして管理し、落雷リスク対象設備である通信設備30−iの最新のルートマトリクスをデータベースから選択しても良い。
【0052】
また、ルートマトリクスを導出する落雷リスク対象設備としての通信設備が同時に隣接して発生した場合、導出するルートマトリクスは、それぞれの通信設備に対応するルートマトリクス上で相互に落雷リスク対象設備である通信設備の同一のリンク先(j,k)となる要素を省略すれば良く、それぞれのリスク回避ルートは、相互に落雷リスク対象設備を経由しないルートを採用すれば良い。
【0053】
<伝送容量制限値決定動作について>
動作選択部231によって伝送容量制限値決定動作が選択された際に実行される伝送容量を制限する制限値の決定動作について、図13および図14を参照して説明する。
図13は、通信設備30−nのデータ伝送容量を制限する制限値の設定方法の一例を概念的に示す図である。図13に示すように、落雷リスク対象設備として特定された通信設備の落雷リスク領域における落雷の単位時間あたりの発生件数で表される落雷発生頻度(以下、「落雷頻度レベル」という)を導出して、この落雷頻度レベルに応じて制限値を設定することができる。
【0054】
具体的には、図13に示すように、落雷頻度レベルが3と導出された落雷リスク領域に対応する通信設備に対して、データ伝送容量を制限する制限値を1から1/3と設定し、落雷頻度レベルが2である落雷リスク領域に対応する通信設備に対してはデータ伝送容量を制限する制限値を1から1/2と設定する。ここで、落雷頻度レベルは数値が高い程単位時間あたりに落雷発生件数が多いことを示す。また、通信設備のデータ伝送容量の制限値は、1が通常状態(伝送容量の制限を行わない。)の場合を示し、1/2はデータの伝送容量を通常状態から1/2に制限することを示し、1/3はデータの伝送容量を通常状態から1/3に制限することを示すものである。
【0055】
図13に示すように、落雷頻度レベルが高い落雷リスク領域に対応する通信設備ほどデータの伝送容量が制限される制限値を高く設定することによって、通信ネットワークを伝送する通信パケットは、より容量の多いルートを経由するように伝送ルートを選択する。すなわち、落雷頻度レベルが高い落雷リスク領域に対応する通信設備を経由する通信パケット量を少なくすることができる。
【0056】
伝送容量制限値決定動作を示すフローチャートを図14に示す。図14に示すように、動作選択部231は、識別部120によって特定された落雷リスク対象設備の通信設備を抽出する(S221)。
動作選択部231は、落雷リスク対象設備の通信設備に対応付けられた落雷リスク領域において、単位時間あたりの落雷発生件数で表される落雷頻度レベルを導出し(S222)、落雷頻度レベルに応じてデータの伝送容量を制限する制限値を設定する(S223)。
【0057】
動作選択部231によって落雷リスク回避動作が選択されると、図9に示すように、動作実行部232は、動作選択部231によって選択された落雷リスク回避動作に対応するデータの伝送制御を実行する(S25)。
例えば、動作選択部231によって回避ルート決定動作が選択された場合、動作実行部232は、導出されたルートマトリクスを、落雷リスク対象設備とこの落雷リスク対象設備とリンクがある両端の通信設備全てに対して送信し、リスク回避ルートを指定して落雷リスク対象設備のデータ伝送機能を落雷リスク対象設備とリンクがある両端の通信設備に代替させる。
また、動作選択部231によって伝送容量制限値決定動作が選択された場合、動作実行部232は、落雷リスク対象設備に対応付けられた落雷リスク領域の落雷頻度レベルに応じて設定された制限値を通信ネットワークに反映させる。
【0058】
落雷リスク回避動作に対応するデータ伝送制御が実行されると、判定部122によって落雷活動が継続しているか否かの判定がなされる(S26)。落雷活動が継続していると判定されると(S26で「YES」)、判定部122による落雷活動の継続判定が引き続き実行され、落雷活動が終了したと判定されると(S26で「NO」)、実行部230は、落雷リスク対象設備として特定された通信設備に対して実行している落雷リスク回避動作に対応するデータ伝送制御を終了し(S27)、落雷リスク対象設備としての設定を解除して通常のデータ伝送機能を回復させる。
【0059】
このように本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムによれば、伝送データの通信品質レベルに応じて落雷リスク回避動作を選択することにより、きめ細やかな通信サービスを提供することができる。
すなわち、伝送データの通信品質レベルが高いデータに対しては、雷害による被害が生じる前に、速やかに落雷リスク対象設備の通信設備を回避した伝送ルートをであるリスク回避ルートによるデータ伝送を実行して、通信サービスの中断を未然に防ぐことができ、他の通信品質レベルのデータに対しては、落雷リスク対象設備の通信設備によるデータ伝送容量を制限することによって、雷害による設備故障などの障害が生じた場合にもデータの損害を少なく抑えることができ、通信サービスの被害を最小限に抑えることができる。
【0060】
なお、上述した本発明の実施の形態において、図1に示すような通信ネットワークシステムの通信管理センタ20に落雷リスク回避システムを備える形態として説明したが、図1に示す通信ネットワークシステムの通信設備30−1〜30−nのそれぞれが上述した本発明の落雷リスク回避システムの各機能を備えることによっても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
多様な通信サービスを提供する通信サービス提供者の保守管理システムにおける雷害被害防止システムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
10…通信ネットワーク、20…通信制御管理センタ、30−1〜30−n…通信設備、100,200…落雷リスク管理システム、110…取得部、120…識別部、121…抽出部、122…判定部、130,230…実行部、231…動作選択部、232…動作実行部、140…記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷リスク回避システム、方法および通信ネットワークシステムに関し、特に、複数の通信設備がネットワークを介してデータを伝送する通信ネットワークにおいて落雷による通信設備への被害を回避する落雷リスク回避システム、方法および通信ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体技術や回路技術などの進歩により電子回路の高密度化・高機能化が進んでいるが、一方で、電子回路の高密度化・高機能化の代償として電気・電子機器の過電圧耐性が低下し、さまざまな電磁環境問題とともに落雷による問題が顕在化している。落雷による問題として、例えば、建物内にある電気・電子機器は、架空線によって伝搬される雷サージや雷電磁インパルス(LEMP:Lightning Electro Magnetic Pulse)によって生じる電磁界にさらされることにより、過電圧耐性の低い電気・電子機器が破壊されてしまうといった問題(以下、このような問題をまとめて「雷害」という。)があった。
【0003】
また、通信設備の分野では、伝送系のブロードバンド化により、大容量で且つ高速な情報通信ネットワークの形成が急速に進み、中継ネットワークはもとよりユーザ設備の雷害対策がいっそう重要になっている。
【0004】
従来の雷害対策の技術として、通信会社における設備の雷害故障件数と落雷件数、設備数との関係を分析することにより雷害危険度マップを検討する技術が知られている(非特許文献1)。また、現在使用されている伝送設備(光ファイバーやメタルケーブル)に代わる予備線路を保有し、通信ネットワークの故障時に伝送経路を切り替える技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3801999号(特開2004−28140号公報)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】電子情報通信学会, 進学技報, Vol.105, No.454(EMCJ2005-122), pp.45-49, 2005.12.02
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に記載された技術は、落雷の発生場所や雷害故障に関する過去の情報に基づいて雷害の危険度を地理的に設定して雷害対策の重点化や効率化を図るものであって、実際に落雷が発生した場合に引き起こされる雷害を回避する技術ではない。また、特許文献1に記載された技術は、一般的な伝送設備が故障した際に適切な伝送経路に切り替える方法に関するものであって、落雷の発生時に、落雷の発生場所に応じた雷害回避を実現する技術ではない。すなわち、従来の技術では、実際に落雷が発生した際に、その落雷によって引き起こされる雷害を回避することができない場合があり、通信ネットワークにおける通信サービスが中断されてしまうといった問題があった。
そこで本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、任意の地域における通信設備の近隣において落雷が発生した際に、この落雷による通信設備への雷害を回避して通信サービスの中断を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、外部から落雷の発生状況を示す落雷情報を取得する取得部と、この取得部によって取得された前記落雷情報から通信設備の各々に対して予め設定された領域である落雷リスク領域のうち、落雷活動が有った前記落雷リスク領域を識別する識別部と、この識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備のデータ伝送機能を、落雷活動が有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備以外の通信設備に代替させる落雷リスク回避動作を実行する実行部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明において、前記識別部は、前記取得部によって取得された落雷情報に基づいて落雷が発生した前記落雷リスク領域を抽出する抽出部と、この抽出部によって抽出された落雷リスク領域内で継続的に落雷が発生している場合に落雷活動有りと判定する判定部とを備えても良い。
【0010】
また、本発明において、前記実行部は、前記識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータに求められる通信品質に基づいて、前記落雷リスク回避動作のうち、当該通信設備を回避して当該データを伝送するための回避ルートを決定する回避ルート決定動作、または、当該通信設備によるデータ伝送容量の制限値を決定する伝送容量制限値決定動作のいずれかを選択する動作選択部と、この動作選択部によって選択された前記落雷リスク回避動作に応じて前記データの伝送制御を実行する動作実行部とを備えても良い。
【0011】
また、本発明において、前記動作選択部は、前記識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータに規定される通信品質レベルを識別して予め定められた通信品質レベルの条件に合致する場合には前記回避ルート決定動作を選択し、それ以外の場合では前記伝送容量制限値決定動作を選択しても良い。
【0012】
また、本発明において、前記識別部によって前記落雷リスク領域における落雷活動の終了が識別された場合、前記実行部は、当該通信設備に対して実行している前記落雷リスク回避動作を終了しても良い。
また、本発明において、前記識別部は、落雷活動有りと識別した前記落雷リスク領域内で最後に落雷を認識してから所定の時間経過後においても落雷を認識できなければ落雷活動が終了したと識別しても良い。
【0013】
また、本発明において、通信ネットワークを介してデータの伝送を行う前記通信設備と、前記通信ネットワークに接続され前記通信設備の運用管理を行う管理装置とから構成される通信ネットワークシステムにおいて、前記通信設備と前記管理装置とのいずれか一方に上述した本発明にかかる落雷リスク回避システムの機能を備えても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各通信設備に対応付けられた落雷リスク領域において落雷が発生していることを認識し、当該通信設備のデータ伝送機能を落雷が発生していない落雷リスク領域に対応した通信設備に代替させることにより、落雷による通信設備への雷害を回避することができるため、落雷による通信サービスの中断を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムを含む通信ネットワークシステムの全体構成の一例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成を示す図である。
【図3】通信設備間のネットワークと落雷の影響範囲を概念的に説明する図である。
【図4】通信設備に対応付けられた落雷リスク領域と一定時間内の落雷地点との関係を概念的に説明する図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの落雷リスク対象設備の特定動作を示すフローチャートである。
【図7】落雷活動の有無を判別する方法の一例を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成を示す図である。
【図9】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの動作を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの回避ルートの設定方法を説明する図である。
【図11】第2の実施の形態における通信ネットワークシステムの通信設備のルートマトリクスの一例を示す図である。
【図12】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムによるルートマトリクスの作成動作を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの伝送容量の制限値決定方法を説明する図である。
【図14】第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの伝送容量の制限値決定動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムは、取得した最新の落雷情報に基づいて通信ネットワークシステム上の通信設備の各々に対応付けられた落雷リスク領域内での落雷活動の有無を判定して、落雷によるリスクを有する通信設備の機能を落雷によるリスクが無い通信設備へ代替させ、落雷による通信障害を回避するものである。
【0017】
図1は、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムを含んだ通信ネットワークシステムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、複数の通信設備30−1〜30−nとこれら通信設備30−1〜30−nを管理する通信制御管理センタ20とがそれぞれ通信ネットワーク10を介してデータ伝送を行うことにより通信を行うものである。
本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムは、図1に示す通信ネットワークシステムを一元管理する通信制御管理センタ20に備えられ、落雷発生時に落雷によるリスクを有する通信設備(以下、「落雷リスク対象設備」という。)のデータ伝送機能を落雷によるリスクが存在しない通信設備へ代替させるものである。
【0018】
図2は、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる落雷リスク100は、図2に示すように、取得部110と、識別部120と、実行部130と、記憶部140とから構成されている。
取得部110は、最新の落雷の発生状況を示す落雷情報を外部から取得する。例えば、気象情報会社などから提供される最新の気象情報を通信ネットワーク10を介して取得し、取得した気象情報から最新の落雷の発生状況(例えば発生位置や時刻)を示す落雷情報を取得することができる。
【0019】
識別部120は、取得部110によって取得された落雷情報に基づいて落雷の有無を識別し、通信設備30−1〜30−nの各々に対して予め設定された領域である落雷リスク領域内での落雷活動の有無を識別する。
具体的には、識別部120の抽出部121が、取得した落雷情報に基づいて落雷が発生した落雷リスク領域を抽出し、判定部122が抽出部121によって抽出された落雷リスク領域内で継続的に落雷が発生しているか否かを検知して落雷活動の有無を判定する。
【0020】
実行部130は、識別部120によって落雷活動が有りと判定された落雷リスク領域に対応する通信設備30−nのデータ伝送機能を、落雷活動が有りと判定された落雷リスク領域に対応する通信設備30−nとは異なる通信設備30−mに代替させる落雷リスク回避動作を実行する。
【0021】
記憶部140は、通信制御管理センタ20が管理する通信設備30−1〜30−nの設置地点および接続状況に関する情報や各通信設備に対応付けられた落雷リスク領域に関する情報、取得部110によって取得される気象情報といった情報を記憶する。
ここで、記憶部140に記憶される落雷リスク領域に関する情報は、例えば、通信設備30−1〜30−nの設置地点に応じて落雷による雷害が発生する可能性を有する範囲を表す情報としても良く、また、通信設備30−1〜30−nの設置地点を中心に予め設定された一定の距離の範囲を表す情報としても良い。
【0022】
なお、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム100の各構成要素は、通信ネットワークシステムの通信制御管理センタ20に搭載された、CPU(中央演算装置)やメモリ、インターフェースからなるコンピュータにコンピュータプログラム(ソフトウェア)をインストールすることによって実現され、上述した落雷リスク回避システム100の各種機能は、上記コンピュータの各種ハードウェア資源と上記コンピュータプログラムとが協働することによって実現される。
【0023】
<落雷リスク領域と落雷活動の判定について>
落雷リスク領域と識別部120による落雷活動の判定機能について、図3〜4を参照して詳細に説明する。
落雷が発生すると、落雷発生地点の近隣に設置されている通信設備の電気機器や電子装置が雷サージなどで破壊される雷害が発生する恐れがある。この雷害の発生確率は、落雷発生地点に近いほど高くなり、落雷発生地点から一定の距離範囲で何らかの雷害が生じる可能性がある。ここで、図3に、通信設備30−nと落雷の影響範囲を概念的に示す。複数の通信設備30−1〜30−n(ノード)は、図3に示すように、伝送路(リンク)によって相互に接続され通信ネットワークを形成している。落雷が発生すると、雷害の落雷発生地点を中心に一定の距離範囲(rキロメートル)の領域である落雷リスク領域内に存在する通信設備30−nには雷害が生じる可能性があり、落雷リスク領域の中心すなわち落雷発生地点に近づくほど雷害の発生確率が高くなる。
【0024】
例えば、通信設備に対して雷害が生じる可能性が落雷の発生地点から約2kmの範囲である場合、図3に示す落雷リスク領域の半径は2kmとなり、落雷の発生位置から2kmの範囲内に設置されている通信設備は雷害が生じる可能性を有することになる。
したがって、通信ネットワークを形成している通信設備の各々に対して通信設備の設置位置を中心に雷害が生じる可能性がある領域(落雷リスク領域)を設定することにより、落雷発生地点の情報と通信設備の地点情報とから落雷が発生している落雷リスク領域に対応付けられた通信設備を特定することができる。
【0025】
図4は、通信設備に対応付けられた落雷リスク領域と一定時間内の落雷地点との関係を概念的に示す図である。図4に示すように、通信設備30−1と通信設備30−2に対応付けられた落雷リスク領域内に落雷が発生していることから、通信設備30−1と通信設備30−2は、雷害が発生する可能性を有していると判定し、これら設備を落雷リスク対象設備候補とする。落雷リスク対象設備候補を特定すると、この落雷リスク対象設備候補に対応付けられた落雷リスク領域内で継続した落雷の発生(以下、「落雷活動」という。)の有無を判定する。
【0026】
具体的には、識別部120の抽出部121は、取得部110によって取得された落雷情報に基づく落雷の発生地点と通信設備30−1〜30−nの地点情報とから、落雷が発生した落雷リスク領域に対応付けられた通信設備30−1と通信設備30−2とを落雷リスク対象設備候補として抽出する。抽出部121によって落雷リスク対象設備候補が抽出されると、判定部122は、落雷リスク対象設備候補に対応する落雷リスク領域内で落雷活動の有無を検出する。
例えば、図4に示すように、抽出部121によって落雷リスク対象設備候補として抽出された通信設備30−1の落雷リスク領域では、一定時間内に2回の落雷が発生していることから、判定部122は、通信設備30−1の落雷リスク領域で落雷活動有りと判定する。一方、通信設備30−2の落雷リスク領域では、一定時間内に1回の落雷のみであることから、判定部122は、通信設備30−2の落雷リスク領域で落雷活動無しと判定する。
【0027】
次に、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム100の動作について、図5〜7を参照して説明する。
図5は、落雷リスク回避システム100の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、落雷リスク回避システム100は、取得部110によって最新の気象情報に基づく落雷の発生位置や発生時刻を示す落雷情報を取得し、記憶部140へ記憶する(S11)。
【0028】
取得部110によって最新の気象情報に基づく落雷情報が取得されると、識別部120は、この落雷情報に基づいて通信設備30−1〜30−nに対応付けられた落雷リスク領域内での落雷活動の有無を判定し、判定結果から落雷リスク対象設備を特定する(S12)。
【0029】
ここで、識別部120による落雷リスク対象設備の特定動作について、図6に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。
図6に示すように、識別部120の抽出部121は、記憶部140に記憶された最新の落雷が発生した地点や時刻の情報である落雷情報を取得し(S101)、記憶部140に記憶されている通信設備30−1〜30−nの設置地点に関する情報と落雷情報とから落雷の発生地点と通信設備30−1〜30−nとの距離を算出する(S102)。
【0030】
通信設備30−1〜30−nと落雷の発生地点との距離が算出されると、抽出部121は、この算出された距離から落雷の発生地点がそれぞれの通信設備に対応付けられた落雷リスク領域内にあるか否かを判定する(S103)。
落雷の発生地点が落雷リスク領域内にある場合(S103で「YES」)、抽出部121は、その落雷リスク領域に対応した通信設備30−nを抽出して落雷リスク対象設備候補として設定する(S104)。
一方、落雷の発生地点が落雷リスク領域内に無い場合(S103で「NO」)、抽出部121は、その落雷リスク領域に対応した通信設備30−mを落雷リスク対象設備候補の対象外として設定する(S105)。
【0031】
抽出部121によって落雷リスク対象設備候補が設定されると、判定部122は、この落雷リスク対象設備候補に対応付けられた落雷リスク領域で継続して落雷が発生する落雷活動の有無を判定する(S106)。具体的には、落雷リスク対象設備候補に対応付けられた落雷リスク領域で落雷が一定時間に複数回発生しているか否かを識別することで落雷活動の有無を判定する。
ここで、落雷活動の有無を判定する方法の一例を図7に示す。記憶部140に記憶される最新の落雷情報から落雷リスク対象設備候補に対応付けられた落雷リスク領域で落雷が発生したことを示す落雷信号を抽出部121が判定部122へ出力し、判定部122は、最初に落雷信号を受信すると、落雷信号の受信回数の監視状態をアクティブとする蓄積信号出力する。この蓄積信号は、図7に示すように、予め定められた所定時間A(例えば1分間)だけ出力される。
【0032】
判定部122は、蓄積信号が出力されている間に、所定回数の落雷信号を受信することで落雷活動有りと判定して判定信号を出力し、所定回数の落雷信号が受信されなければ落雷活動無しと判定して判定信号を出力しない。例えば、図7に示すように、判定部122は、蓄積信号が出力されている間(所定時間A)に2回目の落雷信号を受信すると、落雷活動有りと判定して判定信号を出力する。
【0033】
落雷活動の判定結果が有りであった場合(S106で「YES」)、判定部122は、落雷活動有りと判定された落雷リスク領域に対応する落雷リスク対象設備候補を落雷リスク対象設備として特定し(S107)、一方、落雷活動の判定結果が無しであった場合(S106で「NO」)、判定部122は、その落雷リスク領域に対応した落雷リスク対象設備の対象外として設定する(S105)。
このように、識別部120は、落雷活動の判定結果に基づいて落雷リスク対象設備を特定する。
【0034】
識別部120によって落雷リスク対象設備が特定されると、図5に示すように、実行部130は、落雷リスク対象設備のデータ伝送機能を落雷が発生していない落雷リスク領域に対応する他の通信設備、または、落雷活動無しと判定された落雷リスク領域に対応する他の通信設備に代替させる落雷リスク回避動作を実行する(S13)。
例えば、記憶部140に記憶されている通信設備30−1〜30−nの接続状態に関する情報に基づいて、落雷リスク対象設備として特定された通信設備30−nとリンクされている通信設備のうち、落雷活動無しと判定された落雷リスク領域に対応する通信設備に通信設備30−nのデータ伝送機能を代替させる。
【0035】
落雷リスク回避動作が実行されると、判定部122によって落雷活動が継続しているか否かの判定がなされる(S14)。落雷活動の判定は、落雷活動が有ることを示す判定信号が出力されてから一定時間経過する間に、落雷信号を受信すると落雷活動が継続していると判定して判定信号の出力を維持する。一方、最後に落雷信号を受信してから一定時間経過の後においても新たな落雷信号を受信できない場合には、落雷活動が終了したと判定する。
例えば、図7に示すように、判定信号が出力された後、予め定められた所定時間B(例えば10分間)経過以内に新たな落雷信号を受信すると判定信号の出力は維持され、最後に落雷信号を受信してから所定時間Bが経過した後においても新たな落雷信号を受信できなければ、判定信号の出力は停止される。
【0036】
落雷活動が継続していると判定されると(S14で「YES」)、判定部122によって引き続き落雷活動の継続判定がなされ、落雷活動が終了したと判定されると(S14で「NO」)、実行部130は、落雷リスク対象設備として特定された通信設備に対して実行している落雷リスク回避動作を終了し(S15)、落雷リスク対象設備としての設定を解除して通常のデータ伝送機能を回復させる。
【0037】
このように、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムによれば、継続的に落雷が発生している通信設備の各々に対応付けられた落雷リスク領域を検出し、この落雷リスク領域に対応する通信設備を落雷リスク対象設備として特定してその通信設備のデータ伝送機能を落雷リスク対象設備ではない通信設備に代替させることによって、落雷発生時においても落雷による通信設備への雷害を回避することができ、落雷による通信サービスの中断を防ぐことができる。
【0038】
また、落雷が発生した落雷リスク領域に対応する通信設備を落雷リスク対象設備候補として抽出し、抽出した落雷リスク対象設備候補の落雷リスク領域において継続的な落雷の発生(落雷活動)を監視して落雷活動の有無を判定し、判定結果に基づいて落雷リスク対象設備の特定および解除を行うことにより、単発的な落雷を無視して不要な落雷リスク回避動作の実行を防ぐことができるとともに、落雷活動が終息した場合には落雷リスク回避動作を終了させ速やかに通常のデータ伝送機能を復旧させることができる。よって、落雷の発生頻度に応じて通信設備への雷害を回避することができ、柔軟な通信サービスの提供を可能にする。
【0039】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態にかかる落雷リスク回避システムは、第1の実施の形態において説明した落雷リスク回避システムにおいて、落雷活動有りと識別された落雷リスク領域に対応する通信装置が伝送するデータの通信品質に基づいて落雷リスク回避動作の内容を選択するものである。
なお、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成要素について、第1の実施の形態において説明した落雷リスク回避システム100の構成要素と同様の構成および機能を有するものは、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図8は、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム200は、図8に示すように、取得部110と、識別部120と、実行部230と、記憶部140とから構成され、識別部120は抽出部121と判定部122とを備え、実行部230は動作選択部231と動作実行部232とを備える。
【0041】
実行部230の動作選択部231は、識別部120によって落雷活動有りと識別された落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータの通信品質に基づいて、落雷リスクの回避動作のうち、落雷リスク対象設備として特定された通信設備を介して伝送されるデータをその通信設備を回避して伝送する回避ルートを決定する回避ルート決定動作、または、落雷リスク対象設備として特定された通信設備によるデータ伝送容量の制限値を決定する伝送容量制限値決定動作のいずれかを選択する。
実行部230の動作実行部232は、動作選択部231によって選択された落雷リスク回避動作に応じて、落雷リスク対象設備として特定された通信設備を介して伝送されるデータの伝送制御を実行する。
【0042】
なお、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム200の各構成要素は、通信ネットワークシステムの通信制御管理センタ20に搭載された、CPU(中央演算装置)やメモリ、インターフェースからなるコンピュータにコンピュータプログラム(ソフトウェア)をインストールすることによって実現され、上述した落雷リスク回避システム200の各種機能は、上記コンピュータの各種ハードウェア資源と上記コンピュータプログラムとが協働することによって実現される。
【0043】
次に、本実施の形態にかかる落雷リスク回避システム200の動作について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
図9に示すように、落雷リスク回避システム200は、第1の実施の形態において説明したように落雷リスク対象設備である通信設備30−nを特定する(S21)。
【0044】
落雷リスク対象設備である通信設備30−nが特定されると、実行部230の動作選択部231は、落雷リスク対象設備である通信設備30−nを介して伝送されるデータに規定されている通信品質レベルを識別して、この通信品質レベルが予め設定された通信品質レベルの条件と合致するか否かを判定する(S22)。
【0045】
ここで、通信設備30−nを介して伝送されるデータに規定される通信品質レベルは、例えば、データの受信を保障する度合いによって決定することができる。具体的には、予め定められた通信帯域を確保して送信することが必須条件であるデータの通信品質レベルは高レベルと規定し、必ずしも所定の通信帯域を確保して送信する必要がないデータの通信品質レベルは低レベルと規定することができる。
このようにデータの通信品質レベルが規定されている場合、動作選択部231は、落雷リスク対象設備である通信設備30−nを介して伝送されるデータの通信品質レベルを識別して、通信品質レベルが高レベルであるか否かを判定する。
【0046】
伝送データの通信品質レベルが予め設定された通信品質レベルの条件と合致する場合、すなわち、通信レベルが高レベルであった場合(S22で「YES」)、動作選択部231は回避ルート決定動作を選択して実行し(S23)、伝送データの通信品質レベルが予め設定された通信品質レベルの条件と合致しなかった場合(S22で「NO」)、動作選択部231は伝送容量制限値決定動作を選択して実行する(S24)。
【0047】
<回避ルート決定動作について>
動作選択部231によって回避ルート決定動作が選択された際に実行されるリスク回避ルートの決定動作について、図10〜図12を参照して説明する。
図10は、リスク回避ルートの設定方法の一例を概念的に示す図である。図10に示すように、リスク回避ルートの設定とは、落雷リスク対象設備である通信設備30−iが中継している通信設備30−jと通信設備30−kとのリンクを、落雷リスク対象設備である通信設備30−iを経由しない別のルートに切り替えることである。実際の通信ネットワークにおいて回避ルートの設定は、空いている光ファイバー(ダーク・ファイバー)やメタルケーブル(ドライ・カッパー)を使用することに相当する。
【0048】
このようなリスク回避ルートは、落雷リスク対象設備である通信設備30−iが中継している全ての両端の通信設備30−jおよび通信設備30−kを行,列とするマトリクスの要素数だけ存在することになる。このようなマトリクスを、通信設備30−iのルートマトリクスという。図11に通信設備30−iのルートマトリクスRiの一例を示す。
通信設備30−iのルートマトリクスRiは、通信ネットワークの接続状況により決定できることから、記憶部140に記憶されている通信設備30−1〜30−nの接続状況に関する情報に基づいて導出する。
【0049】
ルートマトリクスの導出動作を示すフローチャートを図12に示す。図12に示すように、動作選択部231は、識別部120によって特定された落雷リスク対象設備のうち、ルートマトリクスを導出する落雷リスク対象設備の通信設備30−iを特定する(S211)。
【0050】
ルートマトリクスを導出する通信設備30−iを特定したら、この通信設備30−iとリンクがある両端の通信設備のうち、一端の通信設備30−jを選定(S212)し、他端の通信設備30−kを選定する(S213)。
通信設備30−iとリンクがある両端の通信設備30−jと通信設備30−kとを選出したら、これら通信設備をリンクするルート、すなわち、リスク回避ルートRi(j,k)を抽出する(S214)。
【0051】
抽出したリスク回避ルートRi(j,k)について、該当する全てのリスク回避ルートについて抽出したか否かを判定し(S215)、全てのリスク回避ルートを抽出するまで上述したS211からS214の動作を繰り返す(S215で「NO」)。一方、全てのリスク回避ルートを抽出すると(S215で「YES」)、通信設備30−iのルートマトリクスRiを記憶部140に記憶する(S216)。
なお、上述したルートマトリクスの導出動作は、動作選択部231によって回避ルート決定動作が選択された際に実行されるが、定期的に全ての通信設備に対するルートマトリクスを導出して最新のルートマトリクスを記憶部140にデータベースとして管理し、落雷リスク対象設備である通信設備30−iの最新のルートマトリクスをデータベースから選択しても良い。
【0052】
また、ルートマトリクスを導出する落雷リスク対象設備としての通信設備が同時に隣接して発生した場合、導出するルートマトリクスは、それぞれの通信設備に対応するルートマトリクス上で相互に落雷リスク対象設備である通信設備の同一のリンク先(j,k)となる要素を省略すれば良く、それぞれのリスク回避ルートは、相互に落雷リスク対象設備を経由しないルートを採用すれば良い。
【0053】
<伝送容量制限値決定動作について>
動作選択部231によって伝送容量制限値決定動作が選択された際に実行される伝送容量を制限する制限値の決定動作について、図13および図14を参照して説明する。
図13は、通信設備30−nのデータ伝送容量を制限する制限値の設定方法の一例を概念的に示す図である。図13に示すように、落雷リスク対象設備として特定された通信設備の落雷リスク領域における落雷の単位時間あたりの発生件数で表される落雷発生頻度(以下、「落雷頻度レベル」という)を導出して、この落雷頻度レベルに応じて制限値を設定することができる。
【0054】
具体的には、図13に示すように、落雷頻度レベルが3と導出された落雷リスク領域に対応する通信設備に対して、データ伝送容量を制限する制限値を1から1/3と設定し、落雷頻度レベルが2である落雷リスク領域に対応する通信設備に対してはデータ伝送容量を制限する制限値を1から1/2と設定する。ここで、落雷頻度レベルは数値が高い程単位時間あたりに落雷発生件数が多いことを示す。また、通信設備のデータ伝送容量の制限値は、1が通常状態(伝送容量の制限を行わない。)の場合を示し、1/2はデータの伝送容量を通常状態から1/2に制限することを示し、1/3はデータの伝送容量を通常状態から1/3に制限することを示すものである。
【0055】
図13に示すように、落雷頻度レベルが高い落雷リスク領域に対応する通信設備ほどデータの伝送容量が制限される制限値を高く設定することによって、通信ネットワークを伝送する通信パケットは、より容量の多いルートを経由するように伝送ルートを選択する。すなわち、落雷頻度レベルが高い落雷リスク領域に対応する通信設備を経由する通信パケット量を少なくすることができる。
【0056】
伝送容量制限値決定動作を示すフローチャートを図14に示す。図14に示すように、動作選択部231は、識別部120によって特定された落雷リスク対象設備の通信設備を抽出する(S221)。
動作選択部231は、落雷リスク対象設備の通信設備に対応付けられた落雷リスク領域において、単位時間あたりの落雷発生件数で表される落雷頻度レベルを導出し(S222)、落雷頻度レベルに応じてデータの伝送容量を制限する制限値を設定する(S223)。
【0057】
動作選択部231によって落雷リスク回避動作が選択されると、図9に示すように、動作実行部232は、動作選択部231によって選択された落雷リスク回避動作に対応するデータの伝送制御を実行する(S25)。
例えば、動作選択部231によって回避ルート決定動作が選択された場合、動作実行部232は、導出されたルートマトリクスを、落雷リスク対象設備とこの落雷リスク対象設備とリンクがある両端の通信設備全てに対して送信し、リスク回避ルートを指定して落雷リスク対象設備のデータ伝送機能を落雷リスク対象設備とリンクがある両端の通信設備に代替させる。
また、動作選択部231によって伝送容量制限値決定動作が選択された場合、動作実行部232は、落雷リスク対象設備に対応付けられた落雷リスク領域の落雷頻度レベルに応じて設定された制限値を通信ネットワークに反映させる。
【0058】
落雷リスク回避動作に対応するデータ伝送制御が実行されると、判定部122によって落雷活動が継続しているか否かの判定がなされる(S26)。落雷活動が継続していると判定されると(S26で「YES」)、判定部122による落雷活動の継続判定が引き続き実行され、落雷活動が終了したと判定されると(S26で「NO」)、実行部230は、落雷リスク対象設備として特定された通信設備に対して実行している落雷リスク回避動作に対応するデータ伝送制御を終了し(S27)、落雷リスク対象設備としての設定を解除して通常のデータ伝送機能を回復させる。
【0059】
このように本実施の形態にかかる落雷リスク回避システムによれば、伝送データの通信品質レベルに応じて落雷リスク回避動作を選択することにより、きめ細やかな通信サービスを提供することができる。
すなわち、伝送データの通信品質レベルが高いデータに対しては、雷害による被害が生じる前に、速やかに落雷リスク対象設備の通信設備を回避した伝送ルートをであるリスク回避ルートによるデータ伝送を実行して、通信サービスの中断を未然に防ぐことができ、他の通信品質レベルのデータに対しては、落雷リスク対象設備の通信設備によるデータ伝送容量を制限することによって、雷害による設備故障などの障害が生じた場合にもデータの損害を少なく抑えることができ、通信サービスの被害を最小限に抑えることができる。
【0060】
なお、上述した本発明の実施の形態において、図1に示すような通信ネットワークシステムの通信管理センタ20に落雷リスク回避システムを備える形態として説明したが、図1に示す通信ネットワークシステムの通信設備30−1〜30−nのそれぞれが上述した本発明の落雷リスク回避システムの各機能を備えることによっても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
多様な通信サービスを提供する通信サービス提供者の保守管理システムにおける雷害被害防止システムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
10…通信ネットワーク、20…通信制御管理センタ、30−1〜30−n…通信設備、100,200…落雷リスク管理システム、110…取得部、120…識別部、121…抽出部、122…判定部、130,230…実行部、231…動作選択部、232…動作実行部、140…記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から落雷の発生状況を示す落雷情報を取得する取得部と、
この取得部によって取得された前記落雷情報から通信設備の各々に対して予め設定された領域である落雷リスク領域のうち、落雷活動が有った前記落雷リスク領域を識別する識別部と、
この識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備のデータ伝送機能を、落雷活動が有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備以外の通信設備に代替させる落雷リスク回避動作を実行する実行部と
を備えることを特徴とする落雷リスク回避システム。
【請求項2】
前記識別部は、
前記取得部によって取得された落雷情報に基づいて落雷が発生した前記落雷リスク領域を抽出する抽出部と、
この抽出部によって抽出された落雷リスク領域内で継続的に落雷が発生している場合に落雷活動有りと判定する判定部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の落雷リスク回避システム。
【請求項3】
前記実行部は、
前記識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータに求められる通信品質に基づいて、前記落雷リスク回避動作のうち、当該通信設備を回避して当該データを伝送するための回避ルートを決定する回避ルート決定動作、または、当該通信設備によるデータ伝送容量の制限値を決定する伝送容量制限値決定動作のいずれかを選択する動作選択部と、
この動作選択部によって選択された前記落雷リスク回避動作に応じて前記データの伝送制御を実行する動作実行部と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の落雷リスク回避システム。
【請求項4】
前記動作選択部は、前記識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータに規定される通信品質レベルを識別して予め定められた通信品質レベルの条件に合致する場合には前記回避ルート決定動作を選択し、それ以外の場合では前記伝送容量制限値決定動作を選択することを特徴とする請求項3に記載の落雷リスク回避システム。
【請求項5】
前記識別部によって前記落雷リスク領域における落雷活動の終了が識別された場合、前記実行部は、当該通信設備に対して実行している前記落雷リスク回避動作を終了することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の落雷リスク回避システム。
【請求項6】
前記識別部は、落雷活動有りと識別した前記落雷リスク領域内で最後に落雷を認識してから所定の時間経過後においても落雷を認識できなければ落雷活動が終了したと識別することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の落雷リスク回避システム。
【請求項7】
外部から落雷の発生状況を示す落雷情報を取得する取得ステップと、
この取得ステップによって取得された前記落雷情報から通信設備の各々に対して予め設定された領域である落雷リスク領域のうち、落雷活動が有った前記落雷リスク領域を識別する識別ステップと、
この識別ステップによって落雷活動が有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備のデータ伝送機能を、落雷活動が有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備以外の通信設備に代替させる落雷リスク回避動作を実行する実行ステップと
を備えることを特徴とする落雷リスク回避方法。
【請求項8】
前記実行ステップは、
前記識別ステップによって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータの通信品質に基づいて、前記落雷リスク回避動作のうち、当該通信設備を回避して当該データを伝送するための回避ルートを決定する回避ルート決定動作、または、当該通信設備によるデータ伝送容量の制限値を決定する伝送容量制限値決定動作のいずれかを選択する動作選択ステップと、
この動作選択ステップによって選択された前記落雷リスク回避動作に応じて前記データの伝送制御を実行する動作実行ステップと
を備えることを特徴とする請求項7に記載の落雷リスク回避方法。
【請求項9】
前記識別ステップによって前記落雷リスク領域における落雷活動の終了が識別された場合、前記実行ステップは、当該通信設備に対して実行している前記落雷リスク回避動作を終了することを特徴とする請求項7または8に記載の落雷リスク回避方法。
【請求項10】
通信ネットワークを介してデータの伝送を行う前記通信設備と、前記通信ネットワークに接続され前記通信設備の運用管理を行う管理装置とから構成される通信ネットワークシステムにおいて、少なくとも前記通信設備と前記管理装置とのいずれか一方に請求項1乃至6のいずれかに記載した落雷リスク回避システムの機能を備えることを特徴とする通信ネットワークシステム。
【請求項1】
外部から落雷の発生状況を示す落雷情報を取得する取得部と、
この取得部によって取得された前記落雷情報から通信設備の各々に対して予め設定された領域である落雷リスク領域のうち、落雷活動が有った前記落雷リスク領域を識別する識別部と、
この識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備のデータ伝送機能を、落雷活動が有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備以外の通信設備に代替させる落雷リスク回避動作を実行する実行部と
を備えることを特徴とする落雷リスク回避システム。
【請求項2】
前記識別部は、
前記取得部によって取得された落雷情報に基づいて落雷が発生した前記落雷リスク領域を抽出する抽出部と、
この抽出部によって抽出された落雷リスク領域内で継続的に落雷が発生している場合に落雷活動有りと判定する判定部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の落雷リスク回避システム。
【請求項3】
前記実行部は、
前記識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータに求められる通信品質に基づいて、前記落雷リスク回避動作のうち、当該通信設備を回避して当該データを伝送するための回避ルートを決定する回避ルート決定動作、または、当該通信設備によるデータ伝送容量の制限値を決定する伝送容量制限値決定動作のいずれかを選択する動作選択部と、
この動作選択部によって選択された前記落雷リスク回避動作に応じて前記データの伝送制御を実行する動作実行部と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の落雷リスク回避システム。
【請求項4】
前記動作選択部は、前記識別部によって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータに規定される通信品質レベルを識別して予め定められた通信品質レベルの条件に合致する場合には前記回避ルート決定動作を選択し、それ以外の場合では前記伝送容量制限値決定動作を選択することを特徴とする請求項3に記載の落雷リスク回避システム。
【請求項5】
前記識別部によって前記落雷リスク領域における落雷活動の終了が識別された場合、前記実行部は、当該通信設備に対して実行している前記落雷リスク回避動作を終了することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の落雷リスク回避システム。
【請求項6】
前記識別部は、落雷活動有りと識別した前記落雷リスク領域内で最後に落雷を認識してから所定の時間経過後においても落雷を認識できなければ落雷活動が終了したと識別することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の落雷リスク回避システム。
【請求項7】
外部から落雷の発生状況を示す落雷情報を取得する取得ステップと、
この取得ステップによって取得された前記落雷情報から通信設備の各々に対して予め設定された領域である落雷リスク領域のうち、落雷活動が有った前記落雷リスク領域を識別する識別ステップと、
この識別ステップによって落雷活動が有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備のデータ伝送機能を、落雷活動が有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する前記通信設備以外の通信設備に代替させる落雷リスク回避動作を実行する実行ステップと
を備えることを特徴とする落雷リスク回避方法。
【請求項8】
前記実行ステップは、
前記識別ステップによって落雷活動有りと識別された前記落雷リスク領域に対応する通信設備が伝送するデータの通信品質に基づいて、前記落雷リスク回避動作のうち、当該通信設備を回避して当該データを伝送するための回避ルートを決定する回避ルート決定動作、または、当該通信設備によるデータ伝送容量の制限値を決定する伝送容量制限値決定動作のいずれかを選択する動作選択ステップと、
この動作選択ステップによって選択された前記落雷リスク回避動作に応じて前記データの伝送制御を実行する動作実行ステップと
を備えることを特徴とする請求項7に記載の落雷リスク回避方法。
【請求項9】
前記識別ステップによって前記落雷リスク領域における落雷活動の終了が識別された場合、前記実行ステップは、当該通信設備に対して実行している前記落雷リスク回避動作を終了することを特徴とする請求項7または8に記載の落雷リスク回避方法。
【請求項10】
通信ネットワークを介してデータの伝送を行う前記通信設備と、前記通信ネットワークに接続され前記通信設備の運用管理を行う管理装置とから構成される通信ネットワークシステムにおいて、少なくとも前記通信設備と前記管理装置とのいずれか一方に請求項1乃至6のいずれかに記載した落雷リスク回避システムの機能を備えることを特徴とする通信ネットワークシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−44499(P2012−44499A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184712(P2010−184712)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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