説明

蒸気を含む過熱ガス混合物を用いる水溶性セルロース誘導体粒子の製造方法

【課題】セルロース誘導体において、特定の粉砕水準が設定でき、生成物の表面が粗くならず、生成物の嵩密度が増加する、粒状水溶性セルロース誘導体を製造する方法の提供。
【解決手段】a)供給組成物中で膨潤性又は溶解性のセルロース誘導体及び特定量の水を含む供給組成物を生成し、b)供給組成物を、過熱ガス混合物と接触させて、該供給組成物中のセルロース誘導体を微細な粒状粒子の固体状態の形態へ転化し、c)過熱ガス混合物から粒状セルロース誘導体を分離し、d)場合により粒状セルロース誘導体を乾燥することによる、粒状水溶性セルロース誘導体を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な、特に経済的な、粒状の水溶性セルロース誘導体、好適には熱凝集点(thermal flocculation point)を有するこれらのものを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応の後、及び場合により反応で生成した副生物を取除いた後に、セルロース誘導体、特にセルロースエーテルは脆砕性か、粒状か又はワッド様(wad−like)の形態で存在する。この形態では、セルロース誘導体はまだ、原材料により前もって決定された構造を有する。それゆえ、例えばセルロースエーテルは一般にまだ最初のセルロースの繊維様の構造を示す。従って、これらのセルロース誘導体はそれらの意図された使用、例えば有機及び/又は水性媒体に溶解性の生成物としては不適当である。
【0003】
ある特定の粗粒(grain)度分布、嵩密度、乾燥の程度及び粘度値を調整することも、種々の分野での使用のためには必要である。
【0004】
それゆえ原則として、ほとんど全てのセルロース誘導体は、それらを用途に適合させるために、圧縮され、粉砕されそして乾燥されなけらばならない。
【0005】
工業的に重要なセルロース誘導体は、特にセルロースエーテルを含み、それらの製造、性質及び適用は、例えばUllmann’s Encyclopaedia of Industrial Chemistry 第5版、1986年、第A5巻、461−488頁、VCH Verlagsgesellschaft、 Weinheim、及びMethoden der organischen Chemie(Methods of Organic Chemistry)、第4版、1987年、第E20巻、Makromolekulare Stoffe、(Macromolecular Substances)Part−第3巻、2048−2076頁、Georg Thieme Verlag Stuttgartに記載されている。
【0006】
欧州特許出願(EP−A)第0,049,815号は、セルロースエーテル又はセルロースの超微粉砕された粉体の製造のための2段階方法を記載する。それにおいて、微細な繊維状又は木質の構造を有するこの生成物は、まず最初に脆い固化された形態に転化され、そして処理された材料が、粗粒度分布の少なくとも90%が0.125mm未満となることが達成されるまで粉砕操作に供される。好適には冷却された振動(vibratory)ミル又はボールミルか、又はペレット成形機(pellet presses)が脆化段階で使用され、そしてジェットミル、ピンディスクミル(pinned disk mill)又はインパクトディスクミル(impact disk mill)が粉砕段階で使用される。
【0007】
欧州特許出願(EP−A)第0,370,447号は、湿潤セルロースエーテルの穏やかな粉砕及び同時乾燥のための方法を記載する。それにおいて、20から70重量%の最初の湿潤含量を有するセルロースエーテルがキャリヤーガスによって運搬ばれ、同時に衝撃微粉砕サイズ(impact comminution size)まで摩擦微粉砕され、残余の湿潤含量が0.1から10重量%になるまで粉砕エネルギーにより乾燥される。
【0008】
欧州特許出願(EP−A)第0,384,046号は、ウッベローデ管(tube)を用いて20℃で2%水性溶液として測定した場合に100Pa*sより大きい粘度を有するセルロースエーテルを、0.4から0.035mmの粒径までの、高い回転速度でのエアージェットロータリーインパクトミル(ari jet rotary impact
mill)で微粉砕することを含む、セルロースエーテル粒子を製造する方法を記載する。
【0009】
欧州特許出願(EP−A)第0,835,881号は、メチルヒドロキシアルキルセルロース顆粒材料を水で30から70重量%の湿潤含量まで調整し、次いでロータリーミル(rotary mill)で粉砕し、与えられた粉体エネルギーにより製造物が同時に乾燥されることにより、ある特定の粒度分布曲線を有する、メチルセルロース粉体を製造する方法を記載する。
【0010】
従来の技術による既知の方法は、大部分が、前乾燥又は前脆化及び/又は圧縮を含む多段方法である。その上、全ての既知の方法において、非常に粘性が高く、高度に置換された製造物の場合は特にであるが、高分子に対する化学−及び/又は熱応力は常に激しいので、粉砕の間に、高分子が鎖の切断の形態で分解し、特に出発物質に比べて粘度において幾らか大きな減少となることが顕著である。また、前脆化及び/又は前乾燥段階により処理された生成物の表面は粗くなる。さらに、すべての方法の共通の性質は、前乾燥、脆化又は圧縮の後でのセルロース誘導体の粉砕で、多量のエネルギーを消費することである。
【0011】
上記の欠点の1つ又はそれ以上を避ける方法はすでに知られている。例えば、英国特許(GB−A)第2,262,527号は、30から80重量%の水含量を有するセルロースエーテルを、−10℃から60℃の温度まで冷却することによりゲル化し、次いでゲルをミル乾燥(mill drying)(好適にはインパクトミルで)することによるセルロース誘導体の微粉砕の方法を記載する。しかしながらこの方法では、再循環できない空気又は窒素が乾燥及び運搬に使用される。従って該方法を行うエネルギー消費は、粉砕された材料中に含まれる水を蒸発させるための理論的な必要量と比べてかなり高い。また、英国特許(GB−A)第2,262,527号は、300g/lを超える嵩密度を有する生成物を得るために、メチルセルロースのヒドロキシエチル化された混合(mixed)エーテル(例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース又はメチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース)をいかに処理する(proceed with)かのいかなる示唆もしていない。メチルセルロースのミル乾燥の、270g/lの嵩密度を有する最終生成物(実施例3)も満足できるものではない。
【0012】
国際公開(WO)第98/907931号は、全重量に関し、35から99重量%(好適には60から80重量%)の水を含むセルロースエーテルをゲル化又は溶解し、次いでミル乾燥することにより、微細な粒状の多糖類誘導体を製造する方法を記載する。ここで、過熱蒸気が、粉砕材料の移送及び乾燥のために使用される。この方法は同様に前述の欠点の多くを避ける。しかしながら、このミル乾燥方法において微粉砕はまだ十分ではなく、微粉砕されたメチルヒドロキシエチルセルロースの単に57重量%が0.063mmの篩を通過する(実施例3)。所望の粉末度は、エアジェット篩(air jet sieve)を用いてのサイズの分級よってのみ達成される。さらに、キャリヤーガス及び熱交換ガスとしての純粋な蒸気の使用が、粉砕プラントの操業安全性の点で欠点を有する。なぜなら、フィルム及び堆積物(encrustations)が、微細な粒状の多糖類誘導体と水の凝縮のために、急速に形成するからである。それゆえ保全処置の支出が増加する。
【0013】
95重量%を超える量が0.1mmの篩を通過するか又は90重量%を超える量が0.063mmの篩さえも通過する微細な粒状の生成物は、非溶解性の周囲の媒体中で溶解し
た多糖類誘導体を分散し、次いで微粉砕し、濾過しそして乾燥段階をする本方法(実施例1及び2)によってのみ、得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、
ある特定の粉砕水準が設定でき、
生成物の表面が粗くならず、そして
生成物の嵩密度が増加する、
粒状水溶性セルロース誘導体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従って、
a)セルロース誘導体(例えば、供給組成物の全重量に基づき20重量%から50重量%の量で存在する)及び供給組成物の全重量に基づき50重量%から80重量%の水を含む供給組成物を生成し、ここでセルロース誘導体は、供給組成物中で膨潤した又は溶解した少なくとも一種のものであり、
b)供給組成物を、高速回転ガスジェットインパクトミル(high rotational speed gas jet impact mill)中で、(i)蒸気及び不活性ガスの過熱ガス混合物、及び(ii)蒸気及び空気の過熱ガス混合物から選択される過熱ガス混合物と接触させ、(従って供給組成物の水の少なくともある部分が蒸気相へ転化し)、それによって供給組成物のセルロース誘導体が微細な粒状粒子の固体状態の形態へ転化し、ここで過熱ガス混合物は、過熱ガス混合物の全重量に基づき40重量%から99重量%の蒸気含量を有し、
c)過熱ガス混合物から粒状セルロース誘導体を分離し、そして
d)場合により粒状セルロース誘導体を乾燥する
ことを含む、粒状水溶性セルロース誘導体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
明細書及び請求の範囲で使用される、成分の量、反応条件等を表す全ての数は、操作実施例中以外で、又は示される以外は、全ての場合、用語「約」で、修正されているものと理解されるべきである。明細書及び請求の範囲で使用されるように、記号「<」は「未満」を意味し、記号「>」は「超える」を意味する。
【0017】
本発明の方法を用いて製造されたセルロース誘導体固体粒子が良好な流動性と組合せて高い嵩密度を有し、生成物中の微粒子の比率が非常に低いことが見いだされた。出発製品と比べて、粘度は減少しないか又は最小限の減少である。本方法の全体のエネルギー必要量は、従来の技術と比べ減少し又は事実上変わらなく、そして熱交換ガスは過熱蒸気/不活性ガス混合物又は蒸気/空気混合物から成るので、粉砕のために使用されるエネルギーが、熱エネルギーの形で熱交換ガス中で回収され、そして利用され又は好適にはエネルギーの他の形態に転化され得ることも見いだされた。驚くべきことに、粉砕プラントでフィルム又は凝集が形成せず、それゆえ保全の支出が低いことも見いだされた。
【0018】
本発明の方法は、粒状水溶性セルロース誘導体の製造のための、新規な、特に経済的な方法である。本方法は、供給組成物を生成するための水中でのセルロース誘導体の膨潤及び/又は溶解、次いで、好適には篩を含まない(seive free)高速回転ガスジェットインパクトミルでの供給組成物のミル乾燥を含む。蒸気/不活性ガス混合物又は蒸気/空気混合物がキャリヤーガス及び熱交換ガスとして使用され、ミル中で供給組成物と接触する。
【0019】
本方法で使用されるセルロース誘導体は溶解性であり又は少なくとも水中で膨潤性である。それらは一つ又はそれ以上の次の型の置換基を有してもよい。それは、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、メチル、エチル、プロピル、ジヒドロキシ−プロピル、カルボキシメチル、スルホエチル、疎水性長鎖の分枝及び非分枝のアルキル基、疎水性長鎖の分枝及び非分枝のアルキルアリール基若しくはアリールアルキル基、カチオン基、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ラクテート、ニトレート及びスルフェートである。これらの列挙された基のいくつか、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ジヒドロキシプロピル及びラクテートは、グラフトを形成することができ、本発明によれば多糖類誘導体の置換基は上述の基の限りではない。
【0020】
セルロース誘導体の例は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、ヒドロキシプロピル−ヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、メチルヒドロキシ−プロピル−ヒドロキシエチルセルロース(MHPHEC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、疎水性変性ヒドロキシエチルセルロース(hmHEC)、疎水性変性ヒドロキシプロピルセルロース(hmHPC)、疎水性変性エチルヒドロキシエチルセルロース(hmEHEC)、疎水性変性カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(hmCMHEC)、疎水性変性ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(hmHPHEC)、疎水性変性メチルセルロース(hmMC)、疎水性変性メチルヒドロキシプロピルセルロース(hmMHPC)、疎水性変性メチルヒドロキシエチルセルロース(hmMHEC)、疎水性変性カルボキシメチルメチルセルロース(hmCMMC)、スルホエチルセルロース(SEC)、ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース(HESEC)、ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(HPSEC)、メチルヒドロキシエチル−スルホエチルセルロース(MHESEC)、メチルヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(MHPSEC)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(HEHPSEC)、カルボキシメチルスルホエチルセルロース(CMSEC)、疎水性変性スルホエチルセルロース(hmSEC)、疎水性変性ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース(hmHESEC)、疎水性変性ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(hmHPSEC)、及び疎水性変性ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(hmHEHPSEC)である。
【0021】
特に好適なセルロース誘導体は水中で熱凝集点を有するセルロースエーテル、例えばメチルセルロース、メチルヒドロキシ−エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシ−プロピルヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースである。
【0022】
アルキル置換基の量は通常「DS」で記述される。DSはグルコース単位中で置換されたOH基の平均量である。メチルの置換は通常用語「DS(M)」で記述される。ヒドロキシアルキルの置換は用語「MS」で記述される。これは、グルコース単位に結合したエーテル化剤の平均のモル量である。エチレンオキシドの置換は用語「MS(HE)」で記述される。ポリプロピレンオキシドの置換は用語「MS(HP)」で記述される。
【0023】
DS(M)、MS(HE)及びMS(HP)の値は、G.Bartelmus、R.Kellerer、Z.Anal.Chem.286(1977)、161−190による、the method of Zeisel p.e.により決定される。
【0024】
1から2.6のDS(M)及び0.05から0.9のMS(HE)を有するメチルヒドロキシエチルセルロース、特には1.3から1.9のDS(M)及び0.15から0.5
5のMS(HE)を有するこれらのもの、並びに1から2.6のDS(M)及び0.05から1.2のMS(HP)及び0.05から0.9のMS(HE)を有するメチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、特には1.3から1.9のDS(M)及び0.05から0.6のMS(HP)及び0.15から0.55のMS(HE)を有するこれらのものが最も好適である。
【0025】
水中で熱凝集点を有するこれらのセルロース誘導体の水溶解性は温度依存性が大きい。熱凝集点より下では、これらのセルロース誘導体は溶液及び/又はゲルを生成する。水中での熱凝集点はセルロース誘導体が熱凝集を行う温度をいう。
【0026】
セルロース出発物質から得られる主な構造は、膨潤及び/又は溶解工程により破壊される。それゆえ、例えばセルロースエーテルの場合は繊維様の構造はほとんど完全に失われ、その誘導体化が十分なセルロースエーテルの部分(fration)だけが膨潤し又は溶解する。供給組成物の膨潤した及び/又は溶解したセルロース誘導体は、最初の段階で、固体の部分に基づき、25から50重量%未満の、溶解性及び/又は膨潤性の材料を含む。
【0027】
膨潤した及び/又は溶解したセルロース誘導体を含む供給組成物は粘弾性の系を形成し、その一般的な性質は、溶媒及びセルロース誘導体の量により、それ自身の重量下で流動できる溶液、フレキシブルなゲル、又は軟らかいが脆い固体に相当する。
【0028】
供給組成物を調製するために使用される水の量は、セルロース誘導体の繊維構造を破壊するのに十分な膨潤及び/又は溶解を達成するよう選択される。好適な手順においては、供給組成物の水の量は、供給組成物の全重量に基づき50から80重量%、好適には65から78重量%、特には68から76重量%である。驚くべきことに、ある特定の最小の水含量が、粉砕生成物の所望の嵩密度を達成するために必要であることが見いだされた。この値は、特に置換基の性質、エーテル化の程度及びセルロース誘導体の分子量により変わる。一般により進んだエステル化は低い水含量を必要とする。しかしながら例外も見いだされた。それぞれの場合で、処理されるセルロース誘導体のための最適な水含量を予備テストで決定することが推奨される。
【0029】
方法の改変において、段階a)で、水中で熱凝集点を有するセルロースエーテル、好適にはメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが、熱凝集点より下の温度まで冷却することにより膨潤し及び/又は溶解し、主な構造、例えば繊維構造はほとんど破壊される。セルロースエーテル(供給組成物を調製するために使用される)は好適には水湿潤フィルターケーキの形態で使用される。通常約40から65重量%水を有するメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース又はメチルセルロースの水湿潤フィルターケーキが特に好適には使用され、それにさらなる水が加えられ、その後冷却される。冷水が好適には混合され、全体はその後、通常の当業者に既知の方法で均質化される。従って、例えば水を連続的に二軸スクリュー配合機中で混合し、その後混合物を剪断力を加えて均質化し、配合する。共−回転(co−rotating)並びに逆転(counter−rotating)装置が適当であり、共回転装置は、軸方向開放アクセス(axial open access)のために好適である。スクリューの形状は、十分な配合効果(compounding effect)を達成するために、課される状態に適合しなければならない。他方、分子鎖長の減少をもたらすおそれがある、許容されない応力が物質に供されないように、剪断力を適当に調整しなければならない。互いに深くかみ合い(engage)、相互に剥離作用を行う、二つの水平に配置された撹拌機の羽根(blade)を有する、いわゆる分割トラフニーダー(di
vided trogh kneader)は、二軸スクリュー配合機の場合としては、比較的に小さな剪断勾配(gradient)により特徴づけられる(製造業者IKA、List)。スクリューの回転速度を変えることにより、混練されたセルロース誘導体材料中で必要とされる摩擦が発生し、メチルセルロースと水との良好な分散及び均質化がそれによって達成される。
【0030】
均質化に適当な、一軸シャフト(single−shaft)連続配合機は、いわゆるReflector(登録商標)range(製造業者:Lipp)、すなわち、マルチパート(multi−part)、加熱できる及び冷却できる混合シリンダー並びに片側に羽根ミキサー(blade mixer)を配置したものから成り、モジュール構造(modular construction)の高性能ミキサーを含む。また、いわゆるピンシリンダー押出機(pinned cylinder extruders)又はStiftconvert(登録商標)押出機(製造業者:Berstorff)もまた適当であり、例えば非加硫の又は加硫のゴム混合物の製造に使用される。混練された材料がシャフトと共に回転するのを防ぐために、ハウジング(housing)に組込まれたピンが接合点(abutment)として働く。前述の仕事には、可動性バリヤーをもたない一軸スクリューニーダーは適当でない。
【0031】
滞留時間を正確に調整するため及び/又は並行する拡散により決定される(diffusion determined)反応を制御するために、連続的に操作する型の装置より、バッチユニットが好適である。水平集成(assembly)での、いわゆる二枚羽根シグマ(sigma)撹拌機を有するニーダーミキサー(製造業者:Fima)は、前述の仕事に特に適する。羽根は異なった速度で操作され、それらの回転方向は逆にできる。排出スクリューは、ニーダーを空にするためにサドル(saddle)領域に配置される。混合シャフトを垂直に配置した撹拌容器も、混練された塊が撹拌シャフトと共に回転することを防ぐために、適当な流れそらせ板(flow baffles)が容器の壁上に配置される場合は、適当であり(製造業者:Bayer AG)、このようにして、徹底的な混合作用が混練された材料に伝わる。撹拌機のアームは、容器含量全体の徹底的な混合を生み出すことに加えて、容器の床部に配置された排出スクリューが常に材料を供給するように、それらが下向きの(downwardly directed)圧縮効果を出すように配列される。セルロース誘導体の水とのバッチ式の均質化のためには、遊星型撹拌機及びインラインホモジナイザーを有する二重壁の混合容器(double−walled mixing vessels)も適当である。遊星形撹拌機は、容器内容物が徹底的に混合されることを確実にし、容器の内壁に温度制御可能な、ほとんど堆積物を含まない洗浄(cleaning)を保証する。バイパス配列で連結されたローター−ステーター系がさらなる均質化を提供する。
【0032】
膨潤した及び/又は溶解したセルロース誘導体を含む供給組成物は、その後段階b)で、好適には篩を含まない高速回転ガスジェットインパクトミルで固体状態に転化され、その方法とは、一方では、供給組成物中に存在する水の少なくともある部分が過熱ガス蒸気混合物によって蒸気に転化されるというものである。過熱ガス混合物は、蒸気/不活性ガスの混合物又は蒸気/空気ガスの混合物から選択され、過熱ガス混合物の全重量に基づき40重量%から99重量%の蒸気含量を有する。供給組成物中の水の少なくともある部分が蒸気へ転化する間、供給組成物の溶解した及び/又は膨潤したセルロース誘導体が微細な粒状粒子の固体状態の形態へ転化する。本発明の方法において、粒状セルロース誘導体の生成は外力(例えば、衝撃、剪断力)の適用下で起こる。
【0033】
セルロース誘導体を含む供給組成物は、当業者に周知の、既知の供給装置を用いてインパクトミルへ供給できる。使用される供給装置の選択は、当業者には公知のように、典型的には供給される材料のコンシステンシーに依存する。場合により横断方向で分離されて
もよい、個々のストランド(strands)へ供給されるストランド材料は予め微粉砕が行われてもよく、この点について個々のストランドは好適には1mm2を超える横断面積を有すべきである。
【0034】
この目的のための供給材料は、好適には通過(passing)篩を通され、それによって個々のストランドに形成される。ブレーカープレートを備えた一軸シャフト又はダブルシャフトスクリューミキサー(肉ひき機)は同様に使用し得る。エンドレス(endless)ストランドは場合により、切断用具を用いてブレーカープレートから下流へは(downstream)小さな部分に切断してもよい。スクリュー送りを用いて、押出ストランドを直接ミルの粉砕領域に供給することが可能である。
【0035】
ミル乾燥(すなわち段階(c))は、高速回転ガスジェットインパクトミルで、好適には篩のない高速回転ガスジェットインパクトミルで行われ、ここでセルロース誘導体は衝撃及び/又は剪断力に供される。このようなミルは公知であり、例えば米国特許(US−A)第4,747,550号、ドイツ特許(DE−A)第3 811 910号又は欧州特許(EP−A)第0 775 526号に記載されている。
【0036】
蒸気及び不活性ガス又は空気の混合物は、ミル乾燥のための熱交換ガス及びキャリヤーガスとして使用され、蒸気の量は、好適には、セルロース誘導体の溶媒として使用される水が蒸発するように調整される。さらなる好適な変異(variant)では、水又は蒸気はさらに段階b)でミルに供給してもよく、例えば、粉砕ユニット(grinding
unit)中で蒸気雰囲気を生成するための始動の工程で利用してもよい。
【0037】
室温より低い露点を有するガス又はガス混合物が不活性ガスとして利用できる。窒素、二酸化炭素、空気、燃焼ガス又はこれらのガスの混合物が好適には使用される。供給される不活性ガス及び/又は空気の温度は、好適には温度は0°から300℃の範囲であるが任意に選択され、特に不活性ガス及び/又は空気は5°から50℃の温度で、好適には周辺温度で使用される。ガス又はガス混合物は、燃焼ガスの場合には熱交換機で予加熱されてもよく、又はすでに熱くてもよい。不活性ガス及び/又は空気は粉砕ユニットに任意の適当な点で加えてよい。従って、例えば粗い顆粒状材料は、空気を含んで(pneumatically)、粉砕領域に再循環されてよく、所望の量の不活性ガス及び/又は空気が供給されるように処理量が選択できる。不活性ガス又は空気の添加は、例えばファンの吸引側で又は材料と共に粉砕されるときに起こってもよい。不活性ガス及び/又は空気の添加はまた、好適には粉砕ユニット中で種々の点で同時に起こる。不活性ガス又は空気は、供給され気化された水に対する比率で、1:99重量部から60:40重量部、好適には3:97重量部から40:60重量部、特に好適には5:95重量部から30:70重量部で加えられる。供給された水は溶解した及び/又は膨潤したセルロース誘導体を介して加えられ、ミル乾燥手順で蒸発され、又は水若しくは蒸気の形態でミルへ直接供給される。水の蒸発量は以下のように計算される。
【0038】
蒸気の量(kg/h) = 供給された水又は蒸気の量(kg/h) + 加えられたゲルの量(kg/h)*ゲル中の水の重量%/100重量% − MC粉体の処理量(kg/h)*水分(moisture)重量%/100重量% 。
【0039】
最後の項は、一般に第一の項および第二の項に比べて非常に小さいので、蒸気の量は、ほぼ以下のように計算できる。
【0040】
蒸気の量(kg/h) = 供給された水又は蒸気の量(kg/h) + 加えられたゲルの量(kg/h)*ゲル中の水の重量%/100重量% 。
【0041】
さらなる水又は蒸気がミルに供給されない場合には、蒸気の量は、ほぼ以下のように計算される。
【0042】
蒸気の量(kg/h) = 加えられたゲルの量(kg/h)*ゲル中の水の重量%/100重量% 。
【0043】
系内を循環しているガスの量が加えられた水及び不活性ガス及び/又は空気の量に比べて高いため、このことは、蒸気と不活性ガス及び/又は空気の徹底的な混合を確保する。
【0044】
溶解した及び/又は膨潤したセルロース誘導体を含む供給組成物は、多段衝撃(multiple impacts)及び/又は回転する及び固定された若しくは逆回転する粉砕機の間の剪断応力により及び/又は多くの粒子の衝撃により微粉砕される。同時に供給組成物中に存在する溶媒が蒸発する。この目的のために必要とされる熱エネルギーは、熱交換ガスにより単に一部分しか供給されない。摩擦により熱に転化された、ミル操業の電気エネルギーが同時に乾燥に貢献する。
【0045】
得られた微細な粒状固体粒子は、例えばミル乾燥装置の下流に接続された分離機でガス流から分離される。分離機は重力分離機、例えばサイクロン、又はフィルター分離機であってもよい。ミルの設計に依存して、スクリーニングによるサイズの分級が内部的に(internally)行われてもよい。存在し得る任意の大形の物質は、キャリヤーガスのひきずり力(drag force)に打ち勝つ遠心力の結果として、微粉と分離される。微粉は、キャリヤーガスと共に粉砕室から完成した材料として取出される。大形の材料は、内部の又は外部の大形の材料の再循環系で粉砕領域へ再循環される。ミル乾燥は、スクリーニング又は篩によるさらなるサイズの分級が必要ないように行われる。しかしながら、粗い粒子は、好適には保護スクリーニングを介して分離される。この目的のためには0.125mmから1mmのメッシュ幅のスクリーンが使用される。分離された粗い粒子の画分は、ミル乾燥した粒状セルロース誘導体の全重量に基づき、<15重量%、好適には<7重量%、特に好適には<3重量%である。この分離した粗い画分は、場合によってはミルに戻されるか又は供給材料へ少量で加えられてもよい。
【0046】
熱交換ガス及びキャリヤーガス(ミルガス)は循環されそして過剰量は部分蒸気として取出される。循環中の循環ガスの量(kg/h)は、加えられた水(kg/h)及び不活性ガス及び/又は空気の量(kg/h)に対して、好適には5対15、特には8対12の比である。熱交換機がミル乾燥装置の前に接続され、そして、セルロース誘導体中に含まれる水の蒸発の結果として冷却されていた、そして熱損失となったミルガスを再加熱する。ミル乾燥のために使用される蒸気/不活性ガス混合物又は蒸気/空気混合物の温度は、選択された生成物の処理量及び/又は溶媒の量及び/又は溶媒混合物に依存して、セルロース誘導体が露点よりも低い温度に、いずれの点においても落ちないように選択される。
【0047】
低い酸素雰囲気が、蒸気/不活性ガス混合物又は蒸気/空気混合物を用いてミル乾燥装置中で発生する。
【0048】
ミルガスの取出された部分蒸気中の蒸気含量は、熱の回収により、場合により熱ガス濾過の後に凝縮される。
【0049】
微細な粒状の固体粒子は、段階d)で、場合により所望の湿度まで当業者に周知の乾燥装置で乾燥してもよい。乾燥は好都合には、対流(convective)ドライヤー、好適には空気(pneumatic)ドライヤー、リング(ring)ドライヤー又は同様の装置を用いて行われる。ミル乾燥は、好適には続いての乾燥段階が必要ないように行われる。
【0050】
最終生成物の性質面(profile)を改変するために、変性剤、添加剤及び/又は活性物質を、本発明の方法の一又はそれ以上の段階の前、間及び後に加えてもよい。
【0051】
用語変性剤は、多糖類誘導体に化学的な効果を及ぼす物質と理解されるべきである。典型的な変性剤は酸化剤、例えば過酸化水素、オゾン、ハイポハライド(hypohalides)、ペルボレート及びペルカーボネート、並びに架橋剤、例えばジアルデヒド、例えばグリオキサル又はグルタル酸ジアルデヒド、多官能性エポキシド、多官能性イソシアナート、有機酸、鉱酸、有機及び無機塩であるが、これらの列記は上記のものに限定するものではない。
【0052】
用語添加剤は、多糖類誘導体に化学的な効果を及ぼさない物質と理解されるべきである。典型的な添加剤は保存剤、分散剤、泡止め剤、AE剤(air−entraining)剤、顔料、非イオン性、アニオン性及びカチオン性合成及び天然重合体及びそれらの誘導体、例えばデンプンエーテル、例えばヒドロキシエチルデンプン又はヒドロキシプロピルデンプン、有機及び無機塩であるが、これらの列記は上記のものに限定するものではない。
【0053】
用語活性物質は、セルロース誘導体に化学的な効果を及ぼさない物質であり、セルロース誘導体を結合剤として利用する物質であると理解されるべきである。典型的な活性物質は植物保護剤(plant protection agents)、及び医薬品(pharmaceuticals)であるが、これらの列記は上記のものに限定するものではない。
【0054】
本発明のセルロース誘導体は多くの適用の場において使用できる。それらは、例えば着色剤、医薬品、化粧品又は食物中で、水溶性又は溶媒溶解性の増粘剤又は結合剤として使用できる。それらは、例えば医薬品中で、塗工剤としても使用できる。例えば、懸濁重合中の保護コロイドとしてもさらに使用される。
【0055】
本発明の方法の生成物は、微細な粒状のセルロース誘導体であり、出発物質由来の主な構造、例えば繊維構造がほとんど除かれたものである。
【0056】
本発明の方法により製造された微細な粒状のセルロース誘導体は、場合により粒径の決定のためにレーザー回折方法(例えば、Sympatec HELOS(H1007)&RODOS)を用いてオフライン(offline)分析される。回折図形は、まず最初に、粒子が球形であり、そして全体の粒径スペクトルにわたり一定の真の密度を有すると仮定(assuming)して評価した。この点について、驚くべきことに、従来の技術の方法により製造された生成物に比べて、有意な違いが見いだされた。従って、例えば本発明の方法によれば、生成物は、全重量に基づき、15μm未満の粒径を有する粒子を5重量%未満、好適には2重量%未満で製造できる。生成物は、全重量に基づき、10μm未満の粒子を2重量%未満、好適には1重量%未満で製造でき、そして全重量に基づき、5μm未満の粒子を1重量%未満、好適には0.5重量%未満、最も好適には0.1重量%未満で製造できる。或いはまた、粒度分布曲線は各々の場合、全重量に基づき、15μm未満の粒径を有する粒子を20重量%、10μm未満の粒径を有する粒子を10重量%未満及び5μm未満の粒径を有する粒子を2重量%未満となるように調整できる。結果は、非常に小さい微粉の割合を実質的に減少しそして従来の技術による生成物に比べてより狭い粒径分布である。
【0057】
ローターの回転速度、それゆえ高速回転ガスジェット回転インパクトミルのローターの周速度をを変えることにより、微粉砕の程度すなわち粒度分布曲線が選択的に調整できる
。それゆえ、ミルの操作を制御するために、生成物の分離機(サイクロン、フィルター分離機)の後(behind)で生成物の流れの一部を取出し、粒径を決定するための方法を用いて連続的に分析することが好都合である。或いは、サンプリング及び測定系はコンベヤーラインに直接統合することもできる。この目的のためにはレーザー回折法が好適には使用される。
【0058】
所望の粒度分布曲線に関しては、この手順により狭い範囲が維持できる。それゆえ、粉砕の程度を選択的に調整することが可能であり、±5重量%の精度が、0.063mmの篩を通しての累積篩(cumulative seiving)について達成される。目的のサイズ40、50、60、70、80、90重量% <0.063mmを達成する粒度分布曲線を下に列記する。
【0059】
分析篩はDIN ISO 3310に対応する。下記で特定される明確なメッシュ幅が、以下のようにUSA−Standard ASTM E11−61に対応する。

ASTM E11−61
0.25mm 60メッシュ
0.125mm 120メッシュ
0.063mm 230メッシュ
粒度分布曲線A 40%<0.063mm
重量% 累積篩
<0.25mm 98.5−100
<0.2mm 95−100
<0.16mm 89−98
<0.125mm 79−92
<0.1mm 65−80
<0.063mm 35−45
粒度分布曲線B 50%<0.063mm
重量% 累積篩
<0.25mm 99−100
<0.2mm 98−100
<0.16mm 93−99
<0.125mm 85−94.5
<0.1mm 75−88
<0.063mm 45−55
粒度分布曲線C 60%<0.063mm
重量% 累積篩
<0.25mm 99−100
<0.2mm 98.5−100
<0.16mm 95.5−100
<0.125mm 89−96.5
<0.1mm 81−91.5
<0.063mm 55−65
粒度分布曲線D 70%<0.063mm
重量% 累積篩
<0.25mm 99.5−100
<0.2mm 99.0−100
<0.16mm 97.0−100
<0.125mm 93−98
<0.1mm 86−94.5
<0.063mm 65−75
粒度分布曲線E 80%<0.063mm
重量% 累積篩
<0.25mm 99.9−100
<0.2mm 99.5−100
<0.16mm 97.5−100
<0.125mm 95.5−99.5
<0.1mm 91−97
<0.063mm 75−85
粒度分布曲線F 90%<0.063mm
重量% 累積篩
<0.25mm 99.9−100
<0.2mm 99.5−100
<0.16mm 98.5−100
<0.125mm 96.5−99.9
<0.1mm 94−99.5
<0.063mm 85−95
【0060】
広い粒径分布は、異なる粒度分布曲線の粉体を混合することにより得られる。微細な粒状セルロース誘導体の嵩密度は、本発明の方法で、0.15kg/lより大きい/等しいから0.5kg/lより大きい/等しいまで調整できる。好適には微細な粒状セルロース誘導体は0.3kg/lより大きい/等しい及び0.5kg/lより小さい/等しいの嵩密度を有するものとして生成される。
【実施例】
【0061】
供給組成物の調製 混合する空間全体をカバーするために、混合器具がその上に配置されたミキサーシャフト(mixer shaft)を垂直に有する撹拌用容器(stired vessel)中で、全重量(DS(メチル)=1.51及びMS(ヒドロキシエチル)=0.28を有するメチルヒドロキシエチルセルロースの全重量)に基づき、55重量%の水の含量を有するメチルヒドロキシエチルセルロースの水湿潤のフィルターケーキを、全重量に基づき25%の固体含量を有するメチルヒドロキシエチルセルロースゲルの供給組成物を製造するために、水と連続的に撹拌した。ミキサーシャフトと共に材料が回転することを防止するために、流れそらせ板を容器の壁上に配置した。容器の床部に取り付けられた排出スクリューが一定で材料を送れるように、それらが徹底的な混合と共に、また下向きの圧縮効果を出すように、撹拌羽根をミキサーシャフト上に配置した。ゲルの形態の供給組成物を集め、その後さらに微細な粒状のメチルヒドロキシエチルセルロース生成物へと処理した(実施例MT 1−3)。
【0062】
実施例:ミル乾燥(MT) 粉砕ユニットは、駆動シャフト(drive shaft)を垂直に配置し、そしてそれぞれの場合、型彫りした(profiled)対の粉砕軌道に対して作動する、16個の衝撃板(impact plates)を有し、0.5mm直径の7つの粉砕軌道(grinding tracks)を有する、篩を含まない高速回転ガスジェット回転ミル(Ultra Rotor II型、Altenburger
Maschinen Jaeckering GmbH製)から成る。ローターの周速度は、ローターの回転速度から決定され、式 U=π*n*d
[式中、nはローターの回転速度であり、dは0.5mである]
により計算される。ローターの回転速度はミル制御系を介して調整される。微細に粉砕された生成物の大部分が分離される、0.6m直径のサイクロン並びに平行に連結され、それぞれの大きさが12m2である二つのバッグフィルターがミルの下流に連接される。サイクロンの後に、ラジアルファンが、天然ガスバーナーを装備した熱ガス発生機を介して
、ミルガスを再びミルへ導入する。
【0063】
供給組成物(水湿潤セルロース誘導体)は計量型スクリューを用いて、一番目及び二番目の粉砕軌道の高さ(height)まで、ミルへ計量導入される。供給組成物は、計量型スクリューの前に連接された多孔板を用いて、直径約10mmの個々のストランドまで切断される。窒素の固定量も装置の種々の点(ファン、耐衝撃性ミル、サイクロン)で計量される。
【0064】
過剰の蒸気/窒素は、抽出され、そして蒸気部分は水流ファン(water jet fan)で沈降される。
【0065】
実施例:MT1 全重量に基づき、25%の固体含量を有するメチルヒドロキシエチルセルロース(DS(メチル)=1.51及びMS(ヒドロキシエチル)=0.28を有するメチルヒドロキシエチルセルロース)ゲルを、毎時114kgの処理量で前述の手順に従い粉砕しそして乾燥した。入ってくる蒸気/窒素混合物は230℃から250℃の温度で常圧であった。粉砕室の後で、蒸気/窒素混合物の温度は130℃であった。循環ガスの量は毎時1800m3(125℃で測定)であった。蒸気/窒素混合物中の蒸気の割合は73重量%であった。
【0066】
3550s-1のインパクトミルのローターの回転スピードで、403g/lの嵩密度、2%水性溶液として測定して20℃及び2.55l/s(ハーケ(Haake)ロトビスコ)で87,500mPa*sの粘度を有する、微細な粒状のMHECが得られた。得られた粉体は、75.6重量%の量で0.063mmの篩を通過した。レーザー回折を用いての粒径の決定から以下の値を得た。
4.7重量%<15.5μm、2.1重量%<11μm及び0.7重量%<5.5μm。生成物水分含量は全重量に基づき<2重量%であった。
【0067】
実施例:MT2 同じMHECゲルを、毎時106kgの処理量で前述の手順従い粉砕し、乾燥した。入ってくる蒸気/窒素混合物は230℃から245℃の温度で常圧であった。粉砕室の後で、蒸気の温度は130℃であった。循環ガスの量は毎時1800m3(125℃で測定)であった。蒸気/窒素混合物中の蒸気の割合は71重量%であった。
【0068】
3175s-1のインパクトミルのローターの回転スピードで、397g/lの嵩密度、2%水性溶液として測定して20℃及び2.55l/s(ハーケ ロトビスコ)で90,200mPa*sの粘度を有する、微細な粒状のMHECが得られた。得られた粉体は、66.1重量%の量で0.063mmの篩を通過した。レーザー回折を用いての粒径の決定から以下の値を得た。
2.3重量%<15.5μm、0.9重量%<11μm及び0.0重量%<5.5μm。生成物水分含量は全重量に基づき<2重量%であった。
【0069】
実施例:MT3 同じMHECゲルを、毎時130kgの処理量で前述の手順従い粉砕し、乾燥した。入ってくる蒸気/窒素混合物は250℃から270℃の温度で常圧であった。粉砕室の後で、蒸気の温度は130℃であった。循環ガスの量は毎時1700m3(125℃で測定)であった。蒸気/窒素混合物中の蒸気の割合は75重量%であった。
【0070】
2470s-1のインパクトミルのローターの回転スピードで、395g/lの嵩密度、2%水性溶液として測定して20℃及び2.55l/s(ハーケ ロトビスコ)で93,700mPa*sの粘度を有する、微細な粒状のMHECが得られた。得られた粉体は、55.9重量%の量で0.063mmの篩を通過した。レーザー回折を用いての粒径の決定から以下の値を得た。
1.7重量%<15.5μm、0.6重量%<11μm及び0.0重量%<5.5μm。生成物水分含量は全重量に基づき<2重量%であった。
【0071】
2%水性溶液として、20℃及び2.55l/s(ハーケ ロトビスコ)で測定された生成物の粘度[mPa*s]は、以下の表でV2として略記される。篩分け試験では累積篩(cumulative sievings)が重量%で与えられる。レーザー回折値も重量%で与えられる。以下の実施例MT−4−16で、セルロース誘導体は、以下の表に示したように、DS(M)、MS(HE)及びMS(HP)値を有するメチルヒドロキシエチルセルロースゲルであった。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
比較実施例 実施例10−13と同じMHECを、洗浄溶液からの分離の後で、まず始めに過サイズの生成物へと処理し、その後振動ミルで粉砕した。以下の生成物パラメーターを有する生成物が得られた。
【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
試験の目的のために、ミル乾燥プラントを、12回の始動及び停止操作を、合計30時間の走行時間で行い、実施例MT1−16で記載された手順に対応させた。
【0079】
比較の目的のために、ミル乾燥プラントを窒素を含まない蒸気を用いて操作した。しかしながらこの場合、蒸気の凝縮、ミル中での粉砕材料のケーキング並びに回転羽根式供給装置上のケーキングが観察された。
【0080】
本発明は、前述したように例証を挙げるために詳細に記載されたけれども、このような詳細は単にその目的のためだけであり、請求の範囲に制限される場合以外は、発明の精神及び範囲から離れることなしで当業者が変えることができるものと理解されるべきである。
【0081】
本発明の主たる特徴及び態様は以下の通りである。
【0082】
1. a)セルロース誘導体、及び供給組成物の全重量に基づき50重量%から80重
量%の水を含む供給組成物を生成し、ここでセルロース誘導体は、供給組成物中で膨潤する又は溶解する少なくとも一種であり、
b)供給組成物を、高速回転ガスジェットインパクトミル中で、(i)蒸気及び不活性ガスの過熱ガス混合物、及び(ii)蒸気及び空気の過熱ガス混合物から選択される過熱ガス混合物と接触させ、それによって供給組成物のセルロース誘導体を微細な粒状粒子の固体状態の形態へ転化させ、ここで過熱ガス混合物は、過熱ガス混合物の全重量に基づき40重量%から99重量%の蒸気含量を有し、
c)過熱ガス混合物から粒状セルロース誘導体を分離し、そして
d)場合により粒状セルロース誘導体を乾燥する
ことを含む、粒状水溶性セルロース誘導体を製造する方法。
【0083】
2. セルロース誘導体が、該供給組成物中で、供給組成物の全重量に基づき20重量%から50重量%の量で存在することをを特徴とする、上記1に記載の方法。
【0084】
3. 少なくとも一種の変性剤、添加剤及び活性物質を、該方法の部分的な段階a)からc)までの一又はそれ以上の前、間及び後で、セルロース誘導体と混合するか又は加えることを特徴とする、上記1に記載の方法。
【0085】
4. セルロース誘導体が、熱凝集点を有するセルロース誘導体であることを特徴とする、上記1に記載の方法。
【0086】
5. 供給組成物を生成するために使用されるセルロース誘導体が、水湿潤フィルターケーキの形態であり、そして供給組成物を生成するために使用される水が0°から60℃の温度を有することを特徴とする、上記1に記載の方法。
【0087】
6. セルロース誘導体がセルロースエーテルであることを特徴とする、上記1に記載の方法。
【0088】
7. 段階b)で、篩を含まない高速回転ガスジェットインパクトミルが使用されることを特徴とする、上記1に記載の方法。
【0089】
8. 段階b)で、高速回転ガスジェットインパクトミルの回転速度を変えることにより、微細な粒状セルロース誘導体の粒度分布曲線を調整することを特徴とする、上記1に記載の方法。
【0090】
9. 各々の場合粒子の全重量に基づき、15μmより小さい粒径を有する粒子を5重量%未満、10μmより小さい粒径を2重量%未満、5μmより小さい粒径を1重量%未満含むことを特徴とする、上記1の方法により製造された粒状セルロース誘導体。
【0091】
10. 各々の場合粒子の全重量に基づき、15μmより小さい粒径を有する粒子を20重量%未満、10μmより小さい粒径を10重量%未満、5μmより小さい粒径を2重量%未満含むことを特徴とする、上記1の方法により製造された粒状セルロース誘導体。
【0092】
11. 一連の篩を有する篩を用いて決定され、
粒度分布曲線A 重量% 累積篩
<0.25mm 98.5−100
<0.2mm 95−100
<0.16mm 89−98
<0.125mm 79−92
<0.1mm 65−80
<0.063mm 35−45、
粒度分布曲線B 重量% 累積篩
<0.25mm 99−100
<0.2mm 98−100
<0.16mm 93−100
<0.125mm 85−94.5
<0.1mm 75−88
<0.063mm 45−55、
粒度分布曲線C 重量% 累積篩
<0.25mm 99−100
<0.2mm 98.5−100
<0.16mm 95.5−100
<0.125mm 89−96.5
<0.1mm 81−91.5
<0.063mm 55−65、
粒度分布曲線D 重量% 累積篩
<0.25mm 99.5−100
<0.2mm 99.0−100
<0.16mm 97.0−100
<0.125mm 93−98
<0.1mm 86−94.5
<0.063mm 65−75、
粒度分布曲線E 重量% 累積篩
<0.25mm 99.9−100
<0.2mm 99.5−100
<0.16mm 97.5−100
<0.125mm 95.5−99.5
<0.1mm 91−97
<0.063mm 75−85、及び
粒度分布曲線F 重量% 累積篩
<0.25mm 99.9−100
<0.2mm 99.5−100
<0.16mm 98.5−100
<0.125mm 96.5−99.9
<0.1mm 94−99.5
<0.063mm 85−95、
から成る群から選択される、粒度分布曲線及び重量%累積篩限度を有することを特徴とする、上記1の方法により製造された粒状セルロース誘導体。
【0093】
12. セルロース誘導体が、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、上記9に記載の粒状セルロース誘導体。
【0094】
13. 上記9に記載の粒状セルロース誘導体の、着色剤、医薬品、化粧品又は食物中での、増粘剤、結合剤又は塗工剤としての使用法。
【0095】
14. 上記9に記載の粒状セルロース誘導体の、保護コロイドとしての使用
法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)セルロース誘導体、及び供給組成物の全重量に基づき65重量%から78重量%の水を含む供給組成物を生成し、ここでセルロース誘導体は、供給組成物中で膨潤する又は溶解する少なくとも一種であり、
b)供給組成物を、高速回転ガスジェットインパクトミル中で、(i)水蒸気及び不活性ガスの過熱ガス混合物、及び(ii)水蒸気及び空気の過熱ガス混合物から選択される過熱ガス混合物と接触させ、それによって供給組成物のセルロース誘導体を微細な粒状粒子の固体状態の形態へ転化させ、ここで過熱ガス混合物は、過熱ガス混合物の全重量に基づき40重量%から95重量%の水蒸気含量を有し、
c)過熱ガス混合物から粒状セルロース誘導体を分離し、そして
d)場合により粒状セルロース誘導体を乾燥する
ことを含む、粒状水溶性セルロース誘導体を製造する方法。

【公開番号】特開2012−233193(P2012−233193A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149452(P2012−149452)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【分割の表示】特願2001−44921(P2001−44921)の分割
【原出願日】平成13年2月21日(2001.2.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】