説明

蒸気タービン内の漏洩を制御するための装置及び蒸気タービン

【課題】蒸気タービン内で流体を転送するための装置を提供する。
【解決手段】蒸気タービンは複数のバケットを備えた段を含む。ロータは入口通路から複数のバケットを通過して流れる第1の流体ボリュームに対応して回転する。本装置はそれを貫通して延びる流体通路を有する部材を含む。流体通路は蒸気タービンの段の吐出側と流体連通した第1の端部を含む。第1の流体ボリュームの一部分を含む第2の流体ボリュームは段の吐出側で流体通路内に受けられかつ該流体通路の出口から吐出される。出口は段の上流側とロータに当接させて配置されたシール部材との間の領域と流体連通する。領域は段の上流側から第3の漏洩流体ボリュームを受ける。出口から吐出された第2の流体ボリュームは領域に流入する第3の漏洩流体ボリュームを減少させること及び複数のバケットを通過して流れる第1の流体ボリュームを増加させることにより、ロータのトルク量を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービン内の漏洩を制御するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンは、発電機、圧縮機及びポンプのような設備を駆動するために熱エネルギーを機械エネルギーに変換する。蒸気タービンに供給される熱エネルギーは、蒸気タービン内に送られる高温蒸気の形態になっている。蒸気タービンは、ハウジング又はシェルと、少なくとも1つの加圧セクションとを含み、各加圧セクションは、複数の回転部と複数の固定部とを有する複数の段を含む。
【0003】
回転構成要素は、ロータ及び複数のバケットを含む。ロータは、加圧セクションを貫通して延び、加圧セクションのシェル部材に隣接して回転可能に支持される。ロータの一部分は、機械にエネルギーを伝達するために該機械に作動可能に連結可能である。複数のバケットは、ロータに固定され、該ロータと共に回転する。
【0004】
高温蒸気は、少なくとも1つの流体入口通路を通して加圧セクションに流入する。蒸気は、高速度で第1段の複数のブレードに送られる。高速度蒸気が複数のブレードに接触すると、ロータが回転し始めるか又は回転を継続する。蒸気タービンの各連続する段において、同一のタイプの回転が引き起こされるか又は継続される。蒸気タービン内の複数の段を通過し終えた蒸気は、加圧セクションから流出し、蒸気タービンの別の加圧セクションに再び送ることができる。
【0005】
蒸気の大部分は、上記のように複数の段を通って流れてロータを回転させることによって蒸気タービン内で仕事を行うが、仕事生成プロセスに対する損失となる蒸気の一部分すなわち漏洩蒸気が存在する。漏洩蒸気は、該漏洩蒸気がロータを回転させないので、蒸気タービン内で仕事を行わない。蒸気タービン内でロータを回転させない漏洩蒸気は、ロータトルクの損失を意味する。
【0006】
漏洩蒸気の流量を減少させるために、シール部材がタービン内で使用される。蒸気タービンのロータトルクは、漏洩蒸気の量を減少させることによって増大させることができる。シール部材の実例は、エンドパッキンヘッドである。1つのエンドパッキンヘッドは一般的に、蒸気タービンの加圧セクションの端部部分近くに配置される。例えば、1つのエンドパッキンヘッドは、第1段の複数のバケットの上流側においてロータの一部分を覆って配置される。
【0007】
エンドパッキンヘッドは、該エンドパッキンヘッドとロータとの間を第1段の複数のバケットから離れる方向に流れる蒸気量を減少させるように構成される。しかしながら、望ましくないことには無視できないほどの漏洩蒸気量が、ロータとエンドパッキンヘッドとの間を依然として通過する。
【特許文献1】米国特許第6,364,613号公報
【特許文献2】米国特許第5,328,326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、タービン内で既に仕事を行った蒸気を使用してシール部材とロータとの間を流れる可能性がある蒸気量を減少させて、ロータを回転させるのにより多くの蒸気を使用可能にし、それによって蒸気タービンのロータトルクを増大させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の例示的な実施形態による、蒸気タービン内で流体を転送するための装置を提供する。蒸気タービンは、ロータに固定された複数のバケットを含む段を有する。ロータは、入口通路から複数のバケットを通過して流れる第1の流体ボリュームに対応して回転するように構成される。本装置は、それを貫通して延びる流体通路を有する部材を含む。流体通路は、蒸気タービンの段の吐出側と流体連通している第1の端部を含む。第1の流体ボリュームの一部分を含む第2の流体ボリュームが、段の吐出側において流体通路内に受けられかつ該流体通路の出口から吐出される。出口は、段の上流側とロータに当接させて配置されたシール部材との間の領域と流体連通している。領域は、段の上流側から第3の漏洩流体ボリュームを受ける。出口から吐出された第2の流体ボリュームは、領域に流入する第3の漏洩流体ボリュームを減少させること及び複数のバケットを通過して流れる第1の流体ボリュームを増加させることの両方を行って、ロータのトルク量を増大させる。
【0010】
本発明の別の例示的な実施形態による、蒸気タービン内で流体を転送するための装置を提供する。蒸気タービンは、ロータに固定された複数のバケットを含む段を有する。ロータは、入口通路から複数のバケットを通過して流れる第1の流体ボリュームに対応して回転するように構成される。本装置は、第1の部材と第2の部材とを含む。第1の部材は、それを通過して延びる第1の流体通路を含む。第1の流体通路は、蒸気タービンの段の吐出側と流体連通している。第1の流体ボリュームの一部分を含む第2の流体ボリュームが、段の吐出側から第1の流体通路内に受けられる。第2の部材は、それを貫通して延びかつ第1の流体通路と流体連通した第2の流体通路を含む。第2の流体ボリュームは、第1の流体通路から第2の流体通路内に受けられかつ該第2の流体通路の出口から吐出される。出口は、段の上流側とロータに当接させて配置されたシール部材との間の領域と流体連通している。領域は、段の上流側から第3の漏洩流体ボリュームを受ける。出口から吐出された第2の流体ボリュームは、領域に流入する第3の漏洩流体ボリュームを減少させること及び複数のバケットを通過して流れる第1の流体ボリュームを増加させることの両方を行って、ロータのトルク量を増大させる。
【0011】
本発明の別の例示的な実施形態による蒸気タービンを提供する。本蒸気タービンは、ロータと、複数の段と、第1の部材と、第2の部材とを含む。ロータは、蒸気タービン内に回転可能に受けられる。複数の段は、互いに対面して間隔を置いた関係で配置される。複数の段の各段は、ロータに固定された複数のバケットを含む。複数のバケットの各バケットは、該バケットに固定されかつ隣接するブレードから間隔を置いて配置された少なくとも1つのブレードを含む。ロータは、入口通路からの第1の流体ボリュームが複数の間隔を置いて配置されたブレードに接触しかつ第1の流体ボリュームが第1段の複数のバケットを通って第2段の複数のバケットに向って流れる時に該第1段の複数のバケットの複数の間隔を置いて配置されたブレード間を第1段の吐出側に向かって下流方向に通過することによって回転する。第1段の吐出側は、第1段の複数のバケットと第2段の複数のバケットとの間の区域を形成する。第1の部材は、それを貫通して延びる第1の流体通路を含む。第1の流体通路は、蒸気タービンの第1段の吐出側と流体連通している。第1の流体ボリュームの一部分を含む第2の流体ボリュームが、第1段の吐出側から第1の流体通路内に受けられる。第2の部材は、ロータの一部分の周りに配置される。第2の部材はさらに、それを貫通して延びかつ第1の流体通路と流体連通した第2の流体通路を含む。第2の流体ボリュームは、第1の流体通路から第2の流体通路内に転送されかつ該第2の流体通路の出口から吐出される。出口は、第1段の上流側とロータに当接させて配置されたシール部材との間の領域と流体連通している。領域は、第1段の上流側から第3の漏洩流体ボリュームを受ける。出口から吐出された第2の流体ボリュームは、領域に流入する第3の漏洩流体ボリュームを減少させること及び第1段の複数のバケットを通過して流れる第1の流体ボリュームを増加させることの両方を行って、ロータのトルク量を増大させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本開示は、蒸気タービンのロータトルクを増大させるために蒸気タービンの一部分を通して流体を転送することに関する。より具体的には、本発明の例示的な実施形態は、蒸気タービン内で仕事を行い終えた蒸気の一部分を転送して、蒸気タービン内で仕事を行わなかった漏洩蒸気を減少させてより多くの蒸気が蒸気タービン内で仕事を行うのに使用可能になるようにし、それによって蒸気タービンのロータトルクを増大させることを目的とする。
【0013】
本明細書で説明する例示的な実施形態では、ある量の蒸気(蒸気ボリューム)が、蒸気タービンの第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送される。蒸気ボリュームは、転送される前に第1段において既に仕事を行っている。転送された蒸気ボリュームは、上流位置に吐出されて上流位置近傍におけるある量の漏洩蒸気(蒸気漏洩ボリューム)を減少させ、この場合、漏洩蒸気は、蒸気タービン内で仕事をしなかったものである。この転送することの利点は、蒸気タービン内で仕事を行い、それによってロータトルクに貢献した蒸気ボリュームが、漏洩蒸気ボリュームを減少させるのに使用される点である。漏洩蒸気ボリュームを減少させることにより、ロータを回転させることによって蒸気タービン内で仕事を行う蒸気ボリュームが増加し、それによって蒸気タービンのロータトルクが増大することになる。
【0014】
蒸気タービンは、複数の加圧セクションを含む。例えば1つの構成では、蒸気タービンは、高圧(HP)セクションと、中圧(IP)又は再熱(RH)セクションと、低圧(LP)セクションとを含むことができる。別の構成では、蒸気タービンは、HPセクションと、RHセクションと、LPセクションとを含むことができる。蒸気タービンの構成及び蒸気タービンが機械エネルギーを供給する設備に応じて、蒸気タービンは、加圧セクションの組合せを含むことができる。
【0015】
蒸気タービンの各加圧セクションは、複数の回転構成要素と、複数の固定構成要素とを含む。各加圧セクションはさらに、互いに対面して間隔を置いた関係になった複数の段を含む。衝動式構成を有する蒸気タービンの場合には、回転構成要素は、ロータと、複数のホイール部材と、複数のバケットとを含む。ロータは、加圧セクションを貫通して延び、少なくとも1つの固定ハウジング又はシェル部材に隣接して回転可能に支持される。加圧セクションの複数の段の各々は、ロータに固定された1つのホイール部材と、ホイール部材に固定された複数のバケットとを含む。ロータに取り付けられたホイール部材及び複数のバケットは一般的に、ロータの一部分の周りに配置された時に、実質的にリング形状の構造を有する。反動(ドラム−ロータ)式構成を有する蒸気タービンでは、複数のバケットは、ホイール部材に固定されずにロータに固定される。バケット及びロータは、シェル部材の内部で回転するように構成される。各段における複数のバケットは、該バケットに固定された複数の間隔を置いて配置されたブレードを含む。
【0016】
例示的な実施形態では、入口通路からの高温の蒸気又は流体は、第1段の複数のバケットの複数のブレードに接触するように配向される。流体が第1段の複数のバケットの複数のブレードに接触すると、流体は、複数のバケット、ホイール部材及びロータを回転させるか又は回転を継続させる。次に、流体は、第1段の複数のバケットを通って下流方向に第2段に流れる。流体は、連続する複数段を実質的に同様な方式で下流方向に流れ、それによって各段において付加的な量だけロータを回転させる。上流方向は、実質的に下流方向の反対方向である。第1段の吐出区域は、流体が第1段の複数のバケットの複数のブレードと接触することによってロータを回転させた後に、流体が流れ込む第1及び第2段間の区域である。ロータを回転させることによって、流体は蒸気タービン内で仕事を行う。
【0017】
固定構成要素は、少なくとも1つのハウジング又はシェル部材と、複数のシール部材とを含む。シェル部材は、その中にロータ、ホイール部材、バケット及びシール部材を囲い込むように構成される。シェル部材はまた、それを通して高圧かつ高温で流体を送るように構成される。シェル部材は、互いに結合されて全体として加圧シェル部材を形成する部材片に分割することができる。例えば、シェル部材は、下半分に固定される上半分を含むことができる。上半分及び下半分シェル部材は、互いに固定されて、その内部に他の構成要素が配置される加圧シェル部材を形成する。別の構成では、蒸気タービンは、外側シェル部材内部に配置された内側シェル部材を含むことができる。本明細書では、シェル部材の内部の構成要素を示すために図にはシェル部材の一部分のみを示している。
【0018】
加圧セクションは、流体を配向して所定の速度及び方向で複数のバケットの複数のブレードに接触させるように構成された固定ガイド部材を含むことができる。衝動式構成を有する蒸気タービンでは、固定ガイド部材は、複数のブレード部材(パーティション)を有するダイアフラム部材であり、この場合には、ブレード部材は、流体を配向して複数のブレードに接触させるように構成される。ダイアフラム部材は一般的に、複数のバケットの上流側において該複数のバケットに近接してロータの一部分を覆って配置された実質的にリング形状の部材である。反動(ドラム−ロータ)式構成を有する蒸気タービンでは、固定ガイド部材は、ブレードキャリヤ内に配置された複数のブレード部材を有するブレードリングとすることができ、この場合には、ブレード部材は、流体を配向して複数のブレードに接触させるように構成される。
【0019】
シール部材は一般的に、流体が蒸気タービン内で仕事を行うような複数の段を通る方向以外の方向に流体が流れるのを実質的に減少させるために設けられた固定部材である。エンドパッキンヘッドは、シール部材の実施例である。エンドパッキンヘッドは、第1段の上流の位置においてロータの一部分を覆って配置される。エンドパッキンヘッドは、シール部材とロータの周辺部との間の流体の流量を実質的に減少させるように構成された少なくとも1つのシール部材を含む。複数のバケットを通って流れかつロータを回転させることによる仕事を行わない流体は、漏洩流体と考えられる。蒸気タービン内で仕事を行わない漏洩流体は、ロータトルクの損失である。従って、漏洩流体ボリュームを最小化して、より多くの流体が蒸気タービン内でロータを回転させることによって仕事を行うようにすることが望ましい。
【0020】
さらに、漏洩流体の量を減少させるために、様々なシール部材が、第1段の上流の位置で使用される。蒸気タービンの1つの構成では、漏洩流体は、根元区域を通って流れる可能性がある。根元区域は、第1段の複数のバケットの一部分とダイアフラム部材の一部分との間に位置する。漏洩流体は、ダイアフラム部材の一部分とエンドパッキンヘッドの一部分との間に位置するボウルスロット区域を通って流れる可能性がある。漏洩流体は、第1段とエンドパッキンヘッドとの間でロータに沿った中間スペースを通って流れる可能性がある。シール部材は、漏洩流体の流量を減少させるための1つ又はそれ以上のシール構造形式を含むことができる。
【0021】
従って、蒸気タービン内で既に仕事を行った流体ボリューム、すなわちリサイクル流体ボリュームを段の吐出側から段の上流の位置に転送して、リサイクル流体ボリュームにより上流位置における漏洩流体ボリュームの流量を減少させることが望ましい。この配置の結果は、より多くの流体が、蒸気タービン内でロータを回転させることによる仕事を行うのに使用可能となり、それによって蒸気タービンのロータトルクが増大することになる。以下の転送経路の例示的な実施形態は第1段において適用しているが、同様な転送経路の構成は、蒸気タービンのあらゆる段において適用することができることを意図している。
【0022】
次に図1を参照すると、蒸気タービンの加圧セクションの一部分の構成の実施例を示している。蒸気タービン10は、外側シェル部材12と、内側シェル部材14と、ホイール部材16と、第1段の複数のバケット18と、ダイアフラム部材20又はガイド部材と、エンドパッキンヘッド22と、ロータ24とを含む。第1段の複数のバケット18は、該複数バケット18を通して第2段に向けて流体を配向するように構成された複数の間隔を置いて配置されたブレード26を含む。図1は断面図であり、従って1つのバッケットの一部分及びバケットに固定されたブレードのみを示している。内側シェル部材14は、外側シェル部材12内部に配置される。流体は、少なくとも1つの流体入口通路を通って外側シェル部材12に流入する。流体は次に、外側シェル部材12から移行導管28を通って内側シェル部材14内に流入し、流路30に沿って第1段の複数のバケット18に向って流れる。流体は、流路30に沿って内側シェル部材14の一部分とエンドパッキンヘッド22との間にも流れる。第1段の区域32は、第1段の複数のバケット18の直前の区域から該第1段の複数のバケット18の直後の区域まで延びる。
【0023】
ダイアフラム部材20又はガイド部材は、第1段の複数のバケット18の上流側に配置された固定部材である。ダイアフラム部材20は、流路30に沿って第1段の複数のバケット18の複数の間隔を置いて配置されたブレード26に向けて流体を送るように構成される。ダイアフラム部材20は、外側リング34と、内側リングウェブ36と、外側リング34及び内側リングウェブ36間でダイアフラム部材20の円周の周りに配置された複数の間隔を置いて配置されたパーティション38又はブレードとを含む。図1は断面図であり、従って複数のパーティションの1つのパーティションのみを示している。複数のパーティション38は、それを通って流れる流体を配向して第1段の複数のバケット18の複数のブレード26において所定の速度及び方向にするように構成される。
【0024】
次に図2を参照すると、流体の一部分すなわち漏洩流体は、流路30から離れる方向に根元シール40を通り抜けて流路50に沿って中間スペース44に向って流れる。根元シール40は、第1段の複数のバケット18の一部分とダイアフラム部材20の一部分との間に配置される。根元シール40は、流路30から中間スペース44内への漏洩流体の流量を実質的に減少させるように構成される。流路30からの漏洩流体の別の部分は、流路52に沿ってボウルスロットシール42を通り抜けて流れる。ボウルスロットシール42は、ダイアフラム部材20の一部分とエンドパッキンヘッド22の一部分との間に配置される。ボウルスロットシール42は、流路30から中間スペース44内への漏洩流体の流量を実質的に減少させるように構成される。さらに、流路54に沿って中間スペース44を通って流れる流体を減少させるために、シール部材46が、ダイアフラム部材20とロータ24の一部分との間に配置される。エンドパッキンヘッド22は、流路56に沿ったエンドパッキンヘッド22とロータ24との間の流体流量を実質的に減少させるように構成された複数のシール部材48を含む。根元シール40、ボウルスロットシール42並びにシール部材46及び48は、それを通り抜ける漏洩流体の流量を減少させるための1つ又はそれ以上のシール構造形式を含むことができる。漏洩流体は、流路30から離れる方向に上記のシール位置を通り抜けて流れる流体の一部分であり、この場合、流体は蒸気タービン内で仕事を行わなかったことになる。
【0025】
次に図3を参照すると、リサイクル流体をここではシェル部材及びエンドパッキンヘッドである部材を貫通して転送することによって、リサイクル流体ボリュームを第1段の吐出側から第1段の上流の位置に配向する例示的な実施形態を示している。第1段の吐出側からのリサイクル流体ボリュームは、該リサイクル流体が第1段の複数のバケット18のブレード26に接触し、それによってロータ24を回転させたので、蒸気タービン内で既に仕事を行っている。転送経路は、上流位置に吐出されたリサイクル流体ボリュームによって、流路50及び52に沿った漏洩流体ボリュームが流路56に沿ってエンドパッキンヘッド64とロータ24との間を流れるのを減少させるように構成される。例示的な実施形態では、転送経路は、リサイクル流体ボリュームが上流位置において漏洩流体ボリュームよりも多量に存在し、それによってエンドパッキンヘッドを通り抜ける漏洩流量を減少させるように構成される。その結果、流路30から流路50及び52に沿って流れる流体がより少なくなると、流路30内に存在して第1の及び後続段において仕事を行う流体がより多くなり、それによって蒸気タービンのロータトルクが増大する。この例示的な実施形態及び本明細書で説明したリサイクル流体を転送して漏洩流体を減少させる原理は、あらゆる数の漏洩流路を有する別の構成の蒸気タービンにも適用することができる。
【0026】
例示的な実施形態では、内側シェル部材60は、第1の流体通路62を含み、エンドパッキンヘッド64は、第2の流体通路66を含む。リサイクル流体は、第1の流体通路62を通って流れることによって内側シェル部材60を貫通して流れる。リサイクル流体は、第2の流体通路66を通って流れることによってエンドパッキンヘッド64を貫通して流れる。流体通路62及び66は、リサイクル流体が第1段の吐出側から第1の流体通路62を通って第2の流体通路66内に流入するように構成さる。例示的な実施形態では、第2の流体通路66は吐出口を含み、リサイクル流体は、この吐出口を通してエンドパッキンヘッドから流出する。吐出口は、第1段の上流側とロータに当接させて配置されたシール部材との間の領域に配置され、この領域は、流体入口通路内には位置していない。非限定的な実施形態では、吐出口は、ロータ24の周辺部に沿って指向するようにエンドパッキンヘッドからのリサイクル流体を吐出するように構成される。さらに別の例示的な実施形態では、吐出口は、ロータ24の周辺部に向かわない方向にエンドパッキンヘッドからのリサイクル流体を配向するように構成される。
【0027】
例示的な実施形態では、第1及び第2の流体通路62、66は、それぞれ内側シェル部材60及びエンドパッキンヘッド64を貫通する開口とすることができる。別の例示的な実施形態では、第1の流体通路62は、それを通して流体を転送するために内側シェル部材60内に配置されたパイプ、スリーブ等のような導管部分を含むことができる。さらに別の例示的な実施形態では、第2の流体通路66は、それを通してリサイクル流体を転送するためにエンドパッキンヘッド64内に配置されたパイプ、スリーブ等のような導管部分を含むことができる。さらに別の例示的な実施形態では、第1及び第2の流体通路62、66は各々、リサイクル流体を第1の流体通路62から第2の流体通路66内に転送するための例えばパイプ、スリーブ等のような移行導管の一部分を含むことができる。他の例示的な実施形態では、第1及び第2の流体通路62、66によってリサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するために、開口、導管部分及び移行導管の組合せを使用することができる。別の例示的な実施形態では、蒸気タービン加圧セクションは、内側シェル部材をなくして単一のシェル部材を含み、この単一のシェル部材が、第2の流体通路と流体連通した第1の流体通路を含むようにすることができる。
【0028】
例示的な実施形態では、第1の流体通路62は、内側シェル部材60を貫通して延び、開口70、72及び74によって形成される。開口70は、内側シェル部材60の表面76から内側シェル部材60内に延びる。表面76は、開口70が第1段の吐出側からリサイクル流体を受けるように位置決めされる。開口72は、第1段の上流に配置された表面78から内側シェル部材60内に延びる。プラグ部材80が、表面78においてリサイクル流体が開口72から流出するのを防止するために、表面78に近接して開口72内部に配置される。開口74は、表面82から内側シェル部材60内に延びる。表面82は、リサイクル流体が第1段の上流の位置において第1の流体通路62から吐出されるように位置決めされる。リサイクル流体は、開口70、72及び74を通って流れ、それによって内側シェル部材60を貫通してリサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送する。
【0029】
例示的な実施形態では、第2の流体通路66は、エンドパッキンヘッド64を貫通して延び、開口90及び92によって形成される。開口90は、表面94からエンドパッキンヘッド64内に延びる。開口92は、表面96からエンドパッキンヘッド64内に延びる。表面96は、エンドパッキンヘッド64のシール部材48の上流側において流路56に対してリサイクル流体を第2の流体通路66から吐出するように位置決めされる。リサイクル流体は、内側シェル部材60の開口74からエンドパッキンヘッド64の開口90内に流入する。リサイクル流体は、第2の流体通路66の吐出口67から流出することによってエンドパッキンヘッド64から流出する。従って、上記の第1の流体通路62及び第2の流体通路66は、内側シェル部材60を貫通してまたエンドパッキンヘッド64を貫通してリサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するように構成される。第1及び第2の流体通路62、66は、吐出口67から吐出されたリサイクル流体ボリュームが流路50及び52に沿った漏洩流体の流量を減少させかつロータを回転させる流体ボリュームを増加させ、それによって蒸気タービンのロータトルクを増大させるように構成される。
【0030】
当然のことながら、第1及び第2の流体通路62、66の別の例示的な実施形態は、リサイクル流体ボリュームを上流位置に転送するためのその他の構成を含む。例えば、第1及び第2の流体通路62、66は、図示した開口70、72、74、90及び92とは異なる角度で配向した開口で形成することができる。さらに別の実施形態では、第1及び第2の流体通路62、66は、リサイクル流体ボリュームを上流位置に転送するための異なる数の開口を含むことができる。
【0031】
例示的な実施形態では、また図3及び図4を参照すると、第1の流体通路62の一部分内及び第2の流体通路66の一部分内に、移行導管100が配置される。移行導管100は、リサイクル流体を第1の流体通路62から第2の流体通路66内に転送するために設けられる。移行導管100は、流路30からの流体が第1及び第2の流体通路62、66内に流入するのを防止するように構成されたシール部分を含む。例えば、例示的な実施形態では、シール部分の少なくとも1つは、蒸気タービンの運転状態時において第1又は第2の流体通路62、66の合せ面との間でゼロ間隙嵌合を有するように構成される。別の例示的な実施形態では、移行導管100のシール部分の少なくとも1つは、移行導管100と第1又は第2の流体通路62、66との合せ面のかじりが少ない状態で、移行導管を第1及び第2の流体通路62、66内に配置しかつ該第1及び第2の流体通路62、66から取り外すことができるように構成された表面処理を含む。
【0032】
例えば、例示的な実施形態では、移行導管100は、連結部材102と、複数のシール部材104、112と、保持部材106とを含む。連結部材102は、端部部分108及び110と、それを貫通して延びる開口114とを含む。端部部分108は、内側シェル部材60の開口74内に受けられるように構成される。端部部分110は、エンドパッキンヘッド64の開口90内に受けられるように構成される。リサイクル流体は、連結部材102の開口114を通って流れることによって、開口74から開口内90内に流入する。複数のシール部材104、112は、連結部材102の端部部分108に近接して配置される。シール部材104、112は、流路30からの流体が第1の通路62内に流入するのを防止するために設けられる。例示的な実施形態では、シール部材112の各々の内表面は、連結部材102の外表面に当接してシールを形成し、一方、シール部材104の各々の外表面は、開口74の内表面に当接してシールを形成し、またシール部材104、112は、互いに当接してシールを形成する。保持リング106は、開口74内の実質的固定位置に複数のシール部材104、112を保持するように構成される。例示的な実施形態では、シール部材104、112は、蒸気タービンの運転状態時において開口74の表面及び連結部材102の表面との間でゼロ間隙嵌合を有するように構成される。
【0033】
例示的な実施形態では、端部部分110は、エンドパッキンヘッド64の開口90の一部分内に受けられるように構成されたシール部分116を含む。シール部分116は、蒸気タービン運転状態時において、流路30からの流体が第2の流体通路66内に流入するのを防止するために、開口90の内表面との間でゼロ間隙嵌合を有する端部部分110の湾曲面である。例示的な実施形態では、シール部分116は、該シール部分116が第2の流体通路66内に配置されかつ該第2の通路66から取り外される時に連結部材102と開口90の内表面との合せ面のかじりを少なくするように、例えばステライト被覆のような表面処理を含む。当然のことながら、別の例示的な実施形態では、端部部分108は、表面処理を含むことができ、一方、端部部分110は、シール部材を含むことができる。
【0034】
図5及び図6に示すような別の例示的な実施形態では、シェル部材は、該シェル部材の外部区域に配置されてリサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するようになった外部導管を含む。例えば、例示的な実施形態では、シェル部材の第1の通路は、第1の通路部分と、第2の通路部分と、第3の通路部分とを含み、第2の通路部分は、リサイクル流体を第1の通路部分から第3の通路部分内に転送するためのパイプ、スリーブ等のような外部導管によって形成される。当然のことながら、別の実施形態では、シェル部材内には、該シェル部材の外部区域に配置された外部導管と流体連通した状態であらゆる数の開口を配置することができる。
【0035】
例えば、例示的な実施形態では、内側シェル部材124は、その各々が該内側シェル部材124を貫通して延びる開口126及び128を含む。外部導管130は、内側シェル部材124の外部区域に配置される。開口126、128及び外部導管130は、内側シェル部材124を貫通する第1の流体通路132を形成する。第1の流体通路132は、エンドパッキンヘッド125内に配置された第2の流体通路133と流体連通するように構成される。外部導管130は、リサイクル流体を開口126から開口128内に転送するように構成される。例えば、例示的な実施形態では、外部導管130は、リサイクル流体が開口126から開口128内に流入するように内側シェル部材124に固定されたパイプである。
【0036】
例示的な実施形態では、開口126は、内側シェル部材124を貫通して内部表面134から外部表面136まで延びる。表面134は、開口126が第1段の吐出側からリサイクル流体を受けるように位置決めされる。開口128は、内側シェル部材124を貫通して内部表面138から外部表面140まで延びる。
【0037】
例示的な実施形態では、外部導管130は、リサイクル流体が第1の通路132から又は開口128から内側シェル部材124の外部区域に漏れ出ることがないように、表面136、140において内側シェル部材124に固定される。1つの例示的な実施形態では、外部導管130の一部分を内側シェル部材124に固定するために、フランジ部材142及び144が使用される。別の例示的な実施形態では、外部導管130の一部分は、内側シェル部材124にボルト止め又は溶接することができる。さらに別の例示的な実施形態では、外部導管130は、第1又は第2の流体通路132、133の少なくとも一部分内に配置された移行導管に固定することができる。例示的な実施形態では、外部導管130は、リサイクル流体が第1の流体通路132から内側シェル部材124の外部区域に漏れ出るのを防止するためのガスケット又はO−リングのようなシール部材を含む方式で内側シェル部材124に対して固定することができる。
【0038】
例示的な実施形態では、また図5及び図6に示すように、外部導管130は、端部部分146及び148を含む。外部導管130の端部部分146は、フランジ部材142に固定される。外部導管130の端部部分148は、移行導管160に溶接される。例示的な実施形態では、フランジ部材142、144は、ボルト150を用いて内側シェル部材124に固定される。別の例示的な実施形態では、フランジ部材142、144は、ネジによって内側シェル部材124又は外部導管130に固定することができる。さらに別の例示的な実施形態では、フランジ部材142、144は、内側シェル部材124又は外部導管130に溶接することができる。上記のような第1の流体通路132及び第2の流体通路133は、リサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に内側シェル部材124及びエンドパッキンヘッド125を貫通して転送するように構成される。第1及び第2の流体通路132、133は、吐出口67から吐出されたリサイクル流体ボリュームが流路50及び52に沿った漏洩流体の流量を減少させかつロータを回転させる流体ボリュームを増加させ、それによって蒸気タービンのロータトルクを増大させるように構成される。
【0039】
別の例示的な実施形態では、第1及び第2の流体通路132、133は、内側シェル部材124及び/又はエンドパッキンヘッド125の一部分内に配置されてリサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するようになったパイプ、スリーブ等のようなあらゆる数の開口及び導管部分を含むことができる。当然のことながら、別の例示的な実施形態では、外部導管130は、リサイクル流体を内側シェル部材の1つの部分から内側シェル部材の別の部分に転送するための異なる構成を有することができる。
【0040】
図6に示すような例示的な実施形態では、移行導管160は、リサイクル流体を外部導管130から内側シェル部材124の開口128を通してエンドパッキンヘッド125内の第2の流体通路133内に転送するために設けられる。移行導管160は、リサイクル流体が第1の流体通路132から内側シェル部材124の外部区域に漏れ出るのを防止するように構成されたシール部分を含む。移行導管160はさらに、流路30からの流体が第1又は第2の流体通路132、133内に流入するのを防止するように構成されたシール部分を含む。例えば、例示的な実施形態では、移行導管160のシール部分は、蒸気タービンの運転状態時において第1又は第2の流体通路132、133の合せ面との間でゼロ間隙嵌合を有するように構成される。別の実施形態では、移行導管160のシール部分は、該移行導管160と第1又は第2の流体通路132、133との合せ面のかじりが少ない状態で、移行導管を第1及び第2の流体通路132、133内に配置しかつ該第1及び第2の流体通路132、133から取り外すことができるように構成された表面処理を含む。
【0041】
例えば、例示的な実施形態では、移行導管160は、端部部分166及び168を有する管状部分164を含む。管状部分164は、外部導管130の端部部分148から開口128を貫通して第2の流体通路133の開口162内に延びる。リサイクル流体は、管状部分164のボアを通って流れることによって、外部導管130から開口162内に流れる。端部部分166の一部分は、フランジ部材144の陥凹部分170と内側シェル部材124の表面140との間に固定され、端部部分166の別の部分は、外部導管130に溶接される。別の例示的な実施形態では、端部部分166のような移行導管160の一部分は、フランジ部材144に対して溶接するか又はネジ結合することができる。さらに、リサイクル流体が第1の流体通路132から内側シェル部材124の外部区域に漏れ出るのを防止するために、外部導管130の一部分、移行導管160及び内側シェル部材124間でガスケット又はO−リングのようなシール部材を使用することができる。
【0042】
例示的な実施形態では、端部部分168は、エンドパッキンヘッド125の開口162の一部分内に受けられるように構成されたシール部分169を含む。シール部分169は、蒸気タービンの運転状態時において開口162の内表面との間でゼロ間隙嵌合を有する湾曲面である。別の例示的な実施形態では、シール部分169は、移行導管160が第2の流体通路133内に配置され又は該第2の流体通路133から取り外される時に移行導管160と開口162の内表面との合せ面のかじりを少なくするような例えばステライト被覆のような表面処理を含む。当然のことながら、別の例示的な実施形態では、移行導管160は、端部部分168がシール部材を含み、また端部部分166が表面処理を含むように構成することができる。さらに別の例示的な実施形態では、1つの移行導管は、外部導管の一部分から第1の流体通路の第3の通路部分内に延びることができ、一方、別の移行導管は、第1の流体通路の第3の通路部分から第2の流体通路内に延びることができる。
【0043】
次に図7を参照すると、吐出口182を含むエンドパッキンヘッド180の例示的な実施形態を示している。吐出口182は、エンドパッキンヘッド180から出るリサイクル流体をロータ24の周辺部に直接的に指向しない方向に転送するために設けられる。別の例示的な実施形態では、吐出口182は、図3及び図5に示した吐出口67の代わりに使用される。エンドパッキンヘッドから出るリサイクル流体を、該リサイクル流体がロータの周辺部に指向しないように転送することは、リサイクル流体によって引き起こされる可能性があるロータの劣化を最小化するのに望ましいものとなる。例えば、また幾つかの条件下では、ロータを指向するリサイクル流体は、ロータの非対称な加熱又は冷却、変形、振動等の原因となる可能性がある。
【0044】
例えば、例示的な実施形態では、エンドパッキンヘッド180は、開口186、188及び190によって形成された第2の流体通路184を含む。この実施形態では、開口186及び188は、図5における第2の流体通路133の開口162及び92と実質的に同様に位置決めしかつ構成することができる。例示的な実施形態では、吐出口182は、少なくとも1つの開口190とプラグ部材192とを含む。開口190は、表面194からエンドパッキンヘッド180内に延びる。開口190は、リサイクル流体が開口186、188及び190を通って流れることによってエンドパッキンヘッド180を貫通して流れるように、開口188と交差した状態でエンドパッキンヘッド180内に延びる。別の例示的な実施形態では、開口190は、表面194と出会う時には表面194からエンドパッキンヘッド180内に延びた円周溝になっている。
【0045】
プラグ部材196は、エンドパッキンヘッド180の表面198に近接して開口188内部に配置される。プラグ部材196は、リサイクル流体の流れが表面198における開口188を通ってエンドパッキンヘッド180から流出するのを防止し、従って流体が開口188から開口190内に流入するように構成される。プラグ部材192は、表面194に近接して開口190内部に配置される。例示的な実施形態では、プラグ部材192は、それを貫通して延びる少なくとも1つの開口200を含み、リサイクル流体は、開口200を通って開口190から流れることによってエンドパッキンヘッド180から吐出されるようになる。開口200は、該開口200を通してエンドパッキンヘッド180から吐出されたリサイクル流体がロータ24の周辺部に直接流れないように位置決めされかつ構成される。
【0046】
別の例示的な実施形態では、円形溝状の開口190内部に配置されたリング形状のプラグ部材192を貫通して延びる複数の開口200は、該リング形状プラグ部材192の円周の周りに間隔を置いて配置される。複数の間隔を置いて配置された開口200は、ロータ24の周辺部の周りにより均一な分布のリサイクル流体を供給するのに望ましいものとなり、また例えばリサイクル流体がロータ24を劣化させる可能性がある場合に使用することができる。別の例示的な実施形態では、図3のエンドパッキンヘッド64及び図5のエンドパッキンヘッド125は、吐出口67に代えて図7の吐出口182と実質的に同様な吐出口を使用するように変更することができる。
【0047】
リサイクル流体ボリュームを第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送する上記の例示的な実施形態を採用することによって、漏洩流体ボリュームが減少しかつより多くの流体がロータの回転に使用可能になり、それによって蒸気タービンのロータトルクが増大する。リサイクル流体を使用することは、該リサイクル流体がロータを回転させる形態で仕事を行うことによって蒸気タービンの出力に既に貢献し終わっているので有利である。
【0048】
上記の例示的な実施形態は、リサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するために、シェル部材が1つの流体通路を有しまたエンドパッキンヘッドが1つの流体通路を有するものについて説明した。別の例示的な実施形態は、シェル部材及びエンドパッキンヘッドが各々、リサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するための複数の円周方向に間隔を置いて配置された流体通路を有するような構成を含むことに留意されたい。シェル部材及びエンドパッキンヘッドにおける複数の間隔を置いて配置された流体通路は、より多量のリサイクル流体ボリュームを第1段の上流の位置に供給することができる。さらに、シェル部材及びエンドパッキンヘッドにおける複数の間隔を置いて配置された流体通路は、シェル部材及びエンドパッキンヘッドを貫通してより均一な分布のリサイクル流体を供給することができる。
【0049】
部材内の複数の間隔を置いて配置された流体通路は、単一の流体通路によって部材を貫通してリサイクル流体を転送する場合にリサイクル流体が部材に与える可能性がある劣化を最小化するのに望ましいものとなる。例えば、高温、高圧及び/又は高流量を有するリサイクル流体は、それを通してリサイクル流体を転送する部材に対して非対称な加熱又は冷却、変形、振動等のような望ましくない影響を与える可能性がある。従って、例えば、非限定的な実施形態では、2つの組の流体通路が、シェル部材及びエンドパッキンヘッドの各々内に円周方向に180°の間隔を置いて配置される。さらに別の実施形態では、4つの組の流体通路が、シェル部材及びエンドパッキンヘッドの各々内に円周方向に90°の間隔を置いて配置される。
【0050】
加えて、蒸気タービン内の特定の位置からのリサイクル流体は、リサイクル流体が蒸気タービン内で行った仕事量に対応する該リサイクル流体の状態に基づいて転送するように選択することができる。例えば、リサイクル流体が行った仕事量は、蒸気タービン内の特定の段におけるリサイクル流体の状態から決定することができる。リサイクル流体の状態は、そのエネルギーレベル、エンタルピー(BTU/lbm)、温度(F°)及び圧力(PSI)に関して定義することができる。流路30において第1段の直前で蒸気タービンに供給された流体は、リサイクル流体よりも高い圧力及び温度を有し、従って流路30内の流体は、リサイクル流体に比較してより高いエネルギーレベルにある点に留意されたい。第1段を通って流れかつ仕事を行ったリサイクル流体は、より低い圧力及び温度まで膨張し終わっており、従ってより低いエネルギーレベルにある。いずれかの特定の段の吐出側からのリサイクル流体は、リサイクル流体の状態に基づいて選択し、蒸気タービン内での漏洩流体の量を最小化しかつ蒸気タービン内で仕事を行う流体ボリュームを増加させ、それによって蒸気タービンのロータトルクを増大させるように、段の上流の位置に転送することができる。
【0051】
次に図8を参照すると、別の例示的な実施形態では、固定ガイド部材又は部材は、リサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するように構成することができる。例示的な実施形態では、固定部材は、それを貫通して延びてリサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するようになった流体通路212を含むダイアフラム部材210である。例示的な実施形態では、ダイアフラム部材210は、外側リング214と、内側リングウェブ216と、複数のパーティション218又はブレード部材とを含む。図8はダイアフラム部材210の断面図であるので、1つのパーティションのみを示している。
【0052】
例示的な実施形態では、流体通路212は、開口220、222、224及び226によって形成される。開口220は、外側リング214を貫通して表面228から表面230まで延びる。表面228は、開口220が第1段の吐出側からリサイクル流体を受けることができるように、ダイアフラム部材210の外側リング214の一部分上に位置決めされる。開口222は、表面232から内側リングウェブ216内に延び、複数のパーティション218の1つを貫通して延び、かつ次に外側リング214内で開口220と交差する。別の実施形態では、流体通路212は、複数のパーティションの1つよりも多くを貫通して延びることができる。開口224は、表面234から内側リングウェブ216内に延び、開口222と交差する。開口226は、表面236において内側リングウェブ216内に延び、開口224と交差する。表面236は、リサイクル流体が第1段の上流の位置において開口226の吐出口を通ってダイアフラム部材210から流出するように位置決めされる。通路212は、吐出口から吐出されたリサイクル流体ボリュームが流路50及び52に沿った漏洩流体の流量を減少させかつロータを回転させる流体ボリュームを増加させ、それによって蒸気タービンのロータトルクを増大させるように構成される。
【0053】
プラグ部材238は、流路30からの流体が表面230における開口220内に流入するのを防止するために、表面230に近接して開口220内部に配置される。プラグ部材240は、流路50からの流体が表面232における開口222内に流入するのを防止するために、表面232に近接して開口222内部に配置される。プラグ部材242は、流路30からの流体が表面234における開口224内に流入するのを防止するために、表面234に近接して開口224内部に配置される。リサイクル流体は、開口220、222、224及び226を通って流れることによって、ダイアフラム部材210を貫通して流れる。
【0054】
別の例示的な実施形態では、流体通路212は、ダイアフラム部材210を貫通してリサイクル流体を転送するためのパイプのような導管部分を含むことができる。さらに別の実施形態では、流体通路212は、リサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するための開口、パイプ、スリーブ又はその組合せを含むことができる。別の例示的な実施形態では、吐出口は、図7におけるエンドパッキンヘッド180の吐出口182と同様に、リサイクル流体がロータの周辺部を直接的に指向しない方向に流体通路から吐出されるように構成される。また、さらに別の例示的な実施形態は、固定ガイド部材は、リサイクル流体を上流位置に転送するために、別の部材内に配置された第2の流体通路と流体連通した第1の流体通路を含むことができる。当然のことながら、反動式(ドラム−ロータ)構成を有する蒸気タービンでは、固定ガイド部材は、複数のブレード部材を有するブレードキャリヤとし、ガイド部材が、リサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するための流体通路を含むようにすることができる。
【0055】
別の例示的な実施形態では、複数の間隔を置いて配置された流体通路が、リサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するために、例えばダイアフラム部材のような固定ガイド部材内で該ガイド部材の円周方向の周りに配置される。ガイド部材内に配置された複数の間隔を置いて配置された流体通路を有することは、ガイド部材を貫通して流れるリサイクル流体のより均一な分布にとって望ましいものとなる。ガイド部材内の複数の間隔を置いて配置された流体通路は、単一の通路によってガイド部材を貫通して流れる場合にリサイクル流体が該ガイド部材に対して与える可能性がある望ましくない影響を最小化するのに望ましいものとなる。
【0056】
さらに別の例示的な実施形態では、エンドパッキンヘッド又はシール部材は、固定ガイド部材と一体形であり、エンドパッキンヘッドは、ロータの一部分の周りに配置される。ガイド部材は、それを貫通してリサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するための流体通路を含む。リサイクル流体は、上流位置において流体通路の吐出口を通してガイド部材から流出する。別の例示的な実施形態では、吐出口は、リサイクル流体が図7におけるエンドパッキンヘッド180の吐出口182と同様に、ロータの周辺部を直接的に指向しない方向に流体通路から吐出されるように構成される。
【0057】
さらに別の例示的な実施形態では、シェル部材は、ガイド部材を貫通してリサイクル流体を転送するのに代えて、リサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するように構成することができる。シェル部材は、それを貫通してリサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するための流体通路を含む。リサイクル流体は、上流位置において流体通路の吐出口を通ってシェル部材から流出する。さらに別の例示的な実施形態では、流体通路は、シェル部材の外部区域に配置された通路部分を含むことができる。別の例示的な実施形態では、吐出口は、リサイクル流体が図7におけるエンドパッキンヘッド180の吐出口182と同様に、ロータの周辺部を直接的に指向しない方向に流体通路から吐出されるように構成される。
【0058】
さらに別の例示的な実施形態では、エンドパッキンヘッド又はシール部材は、シェル部材と一体形であり、エンドパッキンヘッドは、ロータの一部分の周りに配置される。シェル部材は、それを貫通してリサイクル流体を第1段の吐出側から第1段の上流の位置に転送するための流体通路を含む。リサイクル流体は、上流位置において流体通路の吐出口を通ってシェル部材から流出する。別の例示的な実施形態では、吐出口は、リサイクル流体が図7におけるエンドパッキンヘッド180の吐出口182と同様に、ロータの周辺部を直接的に指向しない方向に流体通路から吐出されるように構成される。
【0059】
本明細書で開示した、リサイクル蒸気ボリュームを転送して漏洩蒸気ボリュームを減少させること及びロータを回転させるのに使用可能な蒸気ボリュームを増加させることの両方を行う例示的な実施形態は、蒸気タービンのロータトルクを増大させる他の方法に優る大きな利点をもたらす。リサイクル蒸気ボリュームを使用してロータトルクを増加させることは、リサイクル蒸気が蒸気タービン内でロータを回転させることによって既に仕事を行い終えているので、蒸気タービン内で仕事を行っていない漏洩蒸気のような蒸気と比較して有利である。
【0060】
例示的な実施形態に関して本発明を説明したが、様々な変更は本発明の技術的範囲から逸脱することなく本発明の要素と置き換えることができる均等物となることになることは、当業者には分かるであろう。さらに、特定の状況に適合させるために本発明の技術的範囲から逸脱することなく本発明の教示に対して多くの変更を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために開示した実施形態に限定されるものではなく、本発明は、意図した特許請求の範囲の技術的範囲に属するとして全ての実施形態を包含することを意図している。さらに、第1の、第2の等の用語の使用は、何らかの重要度の順位を示すものではなく、むしろ第1の、第2の等の用語は、1つの要素を他の要素から区別するために使用する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】蒸気タービンの加圧セクションの一部分の断面図。
【図2】加圧セクション内部の流体流路を示す、図1の加圧セクションの一部分の拡大断面図。
【図3】本発明の例示的な実施形態による、図1の加圧セクション内で流体の一部分を転送するための第1の流体通路及び第2の流体通路を示す断面図。
【図4】図3の蒸気タービン内で使用した移行導管の拡大図。
【図5】本発明の別の例示的な実施形態による、図1の加圧セクション内で流体の一部分を転送するためにシェル部材の外部部分に配置された流体通路を示す断面図。
【図6】図5の蒸気タービン内で使用した移行導管の拡大図。
【図7】本発明の別の例示的な実施形態による吐出口を有するエンドパッキンヘッドの拡大図。
【図8】本発明の別の例示的な実施形態による、図1の加圧セクション内で流体の一部分を転送するために固定ガイド部材内に配置された流体通路を示す断面図。
【符号の説明】
【0062】
10 蒸気タービン
12 外側シェル部材
14 内側シェル部材
16 ホイール部材
18 第1段の複数のバケット
20 ダイアフラム部材
22 エンドパッキンヘッド
24 ロータ
26 複数の間隔を置いて配置されたブレード
28 移行導管
30 流路
32 第1段の区域
34 外側リング
36 内側リングウェブ
38 複数の間隔を置いて配置されたパーティション
40 根元シール
42 ボウルスロットシール
44 中間スペース
46 シール部材
48 複数のシール部材
50 流路
52 流路
54 流路
56 流路
60 内側シェル部材
62 第1の流体通路
64 エンドパッキンヘッド
66 第2の流体通路
67 吐出口
70、72、74 開口
76 表面
78 表面
80 プラグ部材
82 表面
90、92 開口
94 表面
96 表面
100 移行導管
102 連結部材
104、112 複数のシール部材
106 保持部材
108、110 端部部分
114 開口
116 シール部分
124 内側シェル部材
125 エンドパッキンヘッド
126、128 開口
130 外部導管
132 第1の流体通路
133 第2の流体通路
134 内部表面
136 外部表面
138 内部表面
140 外部表面
142、144 フランジ部材
146、148 端部部分
150 ボルト
160 移行導管
162 開口
164 管状部分
166、168 端部部分
166 端部部分の一部分
169 シール部分
170 陥凹部分
180 エンドパッキンヘッド
182 吐出口
184 第2の流体通路
186、188、190 開口186、188及び190によって形成された第2の流体通路
192 プラグ部材
194 表面
196 プラグ部材
198 表面
200 開口
210 ダイアフラム部材
212 流体通路
214 外側リング
216 内側リングウェブ
218 複数のパーティション
220、222、224、226 開口
228 表面
230 表面
232 表面
234 表面
236 表面
238 プラグ部材
240 プラグ部材
242 プラグ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(24)に固定された複数のバケット(18)を含み、前記ロータが入口通路から前記複数のバケットを通過して流れる第1の流体ボリュームに対応して回転するように構成された段を有する蒸気タービン(10)内で流体を転送するための装置であって、
それを貫通して延びる流体通路(212)を有する部材(210)を含み、前記流体通路の第1の端部が、前記蒸気タービンの段の吐出側と流体連通しており、前記第1の流体ボリュームの一部分を含む第2の流体ボリュームが、前記段の吐出側において前記流体通路内に受けられかつ該流体通路の出口(226)から吐出され、前記出口が、前記段の上流側と前記ロータに当接させて配置されたシール部材(48)との間の領域(44)と流体連通しており、前記領域が、前記段の上流側から第3の漏洩流体ボリュームを受け、
前記出口から吐出された前記第2の流体ボリュームが、前記領域に流入する前記第3の漏洩流体ボリュームを減少させること及び前記複数のバケットを通過して流れる前記第1の流体ボリュームを増加させることの両方を行って、前記ロータのトルク量を増大させる、
装置。
【請求項2】
前記出口が、前記ロータの周辺部に向わない方向に前記第2の流体ボリュームを配向するように構成され、前記第2の流体ボリュームが蒸気である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
ロータ(24)に固定された複数のバケット(18)を含み、前記ロータが入口通路から前記複数のバケットを通過して流れる第1の流体ボリュームに対応して回転するように構成された段を有する蒸気タービン(10)内で流体を転送するための装置であって、
それを貫通して延びる第1の流体通路(62)を有する第1の部材(60)を含み、前記第1の流体通路が、前記蒸気タービンの段の吐出側と流体連通しており、前記第1の流体ボリュームの一部分を含む第2の流体ボリュームが、前記段の吐出側から前記第1の流体通路内に受けられ、
該装置がさらに、それを貫通して延びかつ前記第1の流体通路(62)と流体連通した第2の流体通路(66)を有する第2の部材(64)を含み、前記第2の流体ボリュームが、前記第1の流体通路から前記第2の流体通路内に受けられかつ該第2の流体通路の出口から吐出され、前記出口(67)が、前記段の上流側と前記ロータに当接させて配置されたシール部材(48)との間の領域(44)と流体連通しており、前記領域が、前記段の上流側から第3の漏洩流体ボリュームを受け、
前記出口から吐出された前記第2の流体ボリュームが、前記領域に流入する前記第3の漏洩流体ボリュームを減少させること及び前記複数のバケットを通過して流れる前記第1の流体ボリュームを増加させることの両方を行って、前記ロータのトルク量を増大させる、
装置。
【請求項4】
前記出口が、前記ロータの周辺部に向わない方向に前記第2の流体ボリュームを配向するように構成され、前記第2の流体ボリュームが蒸気である、請求項3記載の装置。
【請求項5】
移行導管(100)をさらに含み、前記移行導管が、前記第1の流体通路(62)から前記第2の流体通路(66)内に前記第2の流体ボリュームを転送するように構成され、前記移行導管が、第1及び第2の端部部分(108、110)を有し、前記第1の端部部分が、前記第1の流体通路内に配置され、前記第2の端部部分が、前記第2の流体通路内に配置され、前記第1の端部部分が、該第1の端部部分の外表面と前記第1の流体通路の内表面との間の流体流を防止するように構成されたシール部分(104、112)を有し、前記第2の端部部分が、該第2の端部部分の外表面と前記第2の流体通路の内表面との間の流体流を防止するように構成されたシール部分(116)を有する、請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記シール部分の少なくとも1つが、蒸気タービンの運転状態時に、前記第1の端部部分の外表面と前記第1の流体通路の内表面との間又は前記第2の端部部分の外表面と前記第2の流体通路の内表面との間にゼロ間隙嵌合を形成するようにさらに構成される、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記シール部分の少なくとも1つが、前記第1の端部部分の外表面と前記第1の流体通路の内表面との間又は前記第2の端部部分の外表面と前記第2の流体通路の内表面との間のかじりが少ない状態で、前記移行導管を前記第1及び第2の流体通路内に配置しかつ該第1及び第2の流体通路から取り外すことができるように構成された表面処理をさらに含む、請求項5記載の装置。
【請求項8】
前記第1の流体通路が、第1の通路部分(126)と、第2の通路部分(130)と、第3の通路部分(128)とを含み、前記第1の通路部分が、前記第1の部材を貫通して延び、前記第1の通路部分の第1の端部が、前記段の吐出側と流体連通しかつ前記第1の通路部分の第2の端部が、前記第1の部材の外部表面(136)に配置され、前記第2の通路部分が、前記第1の通路部分と前記第3の通路部分との間に流体連通をもたらすように構成された外部導管によって形成され、前記第3の通路部分が、前記外部表面から前記第1の部材を貫通して延びかつ前記第2の流体通路と流体連通する、請求項3記載の装置。
【請求項9】
蒸気タービン(10)であって、
該蒸気タービン内に回転可能に受けられたロータ(24)を含み、
該蒸気タービンがさらに、互いに対面して間隔を置いた関係で配置されている複数の段を含み、前記複数の段の各段が、前記ロータに固定された複数のバケット(18)を含み、前記複数のバケットの各バケットが、該バケットに固定されかつ隣接するブレードから間隔を置いて配置された少なくとも1つのブレード(26)を有し、前記ロータが、入口通路からの第1の流体ボリュームが前記複数の間隔を置いて配置されたブレードに接触しかつ前記第1の流体ボリュームが第1段の複数のバケットを通って第2段の複数のバケットに向って流れる時に該第1段の複数のバケットの複数の間隔を置いて配置されたブレード間を前記第1段の吐出側に向かって下流方向に通過することによって回転し、前記第1段の吐出側が、前記第1段の複数のバケットと前記第2段の複数のバケットとの間の区域を形成し、
該蒸気タービンがさらに、それを貫通して延びる第1の流体通路(62)を有する第1の部材(60)を含み、前記第1の流体通路が、該蒸気タービンの第1段の吐出側と流体連通しており、前記第1の流体ボリュームの一部分を含む第2の流体ボリュームが、前記第1段の吐出側から前記第1の流体通路内に受けられ、
該蒸気タービンがさらに、前記ロータの一部分の周りに配置された第2の部材(64)を含み、前記第2の部材が、それを貫通して延びかつ前記第1の流体通路(62)と流体連通した第2の流体通路(66)を含み、前記第2の流体ボリュームが、前記第1の流体通路から前記第2の流体通路内に転送されかつ該第2の流体通路の出口(67)から吐出され、前記出口が、前記第1段の上流側と前記ロータに当接させて配置されたシール部材(48)との間の領域と流体連通しており、前記領域が、前記第1段の上流側から第3の漏洩流体ボリュームを受け、
前記出口から吐出された前記第2の流体ボリュームが、前記領域に流入する前記第3の漏洩流体ボリュームを減少させること及び前記第1段の複数のバケットを通過して流れる前記第1の流体ボリュームを増加させることの両方を行って、前記ロータのトルク量を増大させる、
蒸気タービン。
【請求項10】
前記第1の流体通路が、第1の通路部分(126)と、第2の通路部分(130)と、第3の通路部分(128)とを含み、前記第1の通路部分が、前記第1の部材を貫通して延び、前記第1の通路部分の第1の端部が、前記段の吐出側と流体連通しかつ前記第1の通路部分の第2の端部が、前記第1の部材の外部表面(136)に配置され、前記第2の通路部分が、前記第1の通路部分と前記第3の通路部分との間に流体連通をもたらすように構成された外部導管によって形成され、前記第3の通路部分が、前記外部表面から前記第1の部材を貫通して延びかつ前記第2の流体通路と流体連通する、請求項9記載の蒸気タービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−255422(P2007−255422A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72699(P2007−72699)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】