説明

蒸気弁装置および蒸気タービンプラント

【課題】蒸気弁装置の弁開時圧力損失低減を可能とし、且つ蒸気弁装置の製造コストを抑制可能にする。
【解決手段】実施形態では、蒸気弁装置90は、主蒸気止め弁1と、蒸気加減弁21と、それらの間を接続する中間流路部80とを有する。主蒸気止め弁1および蒸気加減弁21はそれぞれ、水平方向の入口部33、43と下向きの出口部34、44との間に流路61、71を形成してその流路61、71内に弁座35、45が配置されたケーシング31、41と、ケーシング31、41内で上下方向に移動可能な弁体32、42と、弁体32、42を駆動する弁棒37、47と、を有する。弁棒37、47は流路を開くときにケーシング31、41の上方外側に引き抜かれる向きに延びている。中間流路部80は、主蒸気止め弁1の出口部34から流出した主蒸気の流れを下向きから水平方向に変えて蒸気加減弁21、22それぞれの出口部44に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、主蒸気止め弁および蒸気加減弁を備えた蒸気弁装置、並びに、かかる蒸気弁装置を備えた蒸気タービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の典型的な蒸気タービンプラントは、ボイラーからの蒸気が、蒸気弁装置を通過して蒸気タービンに送られる。蒸気タービンで仕事をした後の蒸気は復水器で水に戻され、給水ポンプにて昇圧されて再びボイラーに供給されるように循環する。
【0003】
蒸気弁装置は、主蒸気止め弁と、その下流側に配置された蒸気加減弁と、を有する。主蒸気止め弁は、蒸気タービンの非常時等に、蒸気タービンに流入する蒸気を瞬時に止めることができるものである。蒸気加減弁は、蒸気タービンに供給される蒸気流量を制御するためのものである。
【0004】
蒸気弁装置は、主蒸気止め弁と蒸気加減弁とが一体化されているものがある。一体化するにあたっては、種々の組み合せが提案されている。例えば、主蒸気止め弁と蒸気加減弁とが中間流路部を介して一体化されて、いずれもケーシングの上方に配置された油筒により駆動されるように構成されているものが知られている。
【0005】
上述した蒸気弁装置の例は、主蒸気止め弁および蒸気加減弁はそれぞれ1弁(1組)で一対となるように構成されている。このため、従来の蒸気タービンプラントにおける蒸気加減弁は、絞り調速方式を採用した蒸気タービンプラントに適している。絞り調速方式は、蒸気タービンの部分負荷帯は、蒸気加減弁は全開とならずに絞り損失を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−156040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、蒸気タービンプラントは、単機出力(発電容量)の大容量化が進められており、蒸気弁装置の各弁口径もそれに伴い大口径化する傾向にある。これに合わせ蒸気タービンの部分負荷帯における効率の向上が要求されている。このような蒸気タービンの部分負荷帯における効率を重視した蒸気タービンプラントは、ノズル調速方式が適している。ノズル調速方式は、蒸気タービンの部分負荷帯で、蒸気加減弁は部分的に全開近傍まで開弁するので絞り損失が少ない。
【0008】
ノズル調速方式の蒸気タービンプラントでは、蒸気タービンのタービン段落へ蒸気を供給する部材であるノズルボックスが、周方向に複数の区画に区切られた構造のものが用いられる。上述した蒸気弁装置を、ノズル調速方式の蒸気タービンプラントに適用した場合、蒸気タービンのノズルボックスの周方向に区切られた区画数に対応した数だけ弁を設置する必要がある。例えば、ノズルボックスが周方向に4個に区切られた区画を有するときは、4対の弁、すなわち、主蒸気止め弁および蒸気加減弁それぞれが4個必要になる。このため、製造コストが増大してしまう。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蒸気弁装置のメンテナンスの作業性を向上させるとともに蒸気弁装置の弁開時圧力損失低減を可能とし、且つ蒸気弁装置の製造コストを抑制可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る蒸気弁装置は、1つの主蒸気止め弁と、この主蒸気止め弁の下流側に配置された複数の蒸気加減弁と、前記主蒸気止め弁と前記複数の蒸気加減弁それぞれとの間を接続する1つの中間流路部と、を有する蒸気弁装置であって、前記主蒸気止め弁は、水平方向に開口した第1の入口部と、鉛直方向に開口して前記中間流路部に接続された第1の出口部と、前記第1の入口部と第2の出口部の間に第1の流路を形成してその第1の流路内に第1の弁座が配置された第1のケーシングと、この第1のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第1の弁座との間で離脱係合することによって前記第1の流路を開閉する第1の弁体と、前記第1の弁体に結合されるとともに前記第1のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第1の流路を開くときに前記第1の出口部を反対側に移動させられる第1の弁棒と、を有し、前記複数の蒸気加減弁それぞれは、水平方向に開口して前記中間流路部に接続された第2の入口部と、鉛直方向に開口した第2の出口部と、前記第2の入口部と第2の出口部の間に第2に流路を形成してその第2の流路内に第2の弁座が配置された第2のケーシングと、この第2のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第2の弁座との間で離脱係合することによって前記第2の流路を開閉する第2の弁体と、前記第2の弁体に結合されるとともに前記第2のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第2の流路を開くときに前記第2の出口部と反対側に移動させられる第2の弁棒と、を有し、前記中間流路部が、前記第1の出口部から流出した主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変えて前記第2の入口部それぞれに流出するように構成されていること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る蒸気弁装置は、1つの主蒸気止め弁と、この主蒸気止め弁の下流側に配置された1つの上流側蒸気加減弁と、この上流側加減弁の下流側に配置された1つの下流側蒸気加減弁と、前記主蒸気止め弁と前記上流側蒸気加減弁それぞれとの間を接続する1つの中間流路部と、を有する蒸気弁装置であって、前記主蒸気止め弁は、水平方向に開口した第1の入口部と、鉛直方向に開口して前記中間流路部に接続された第1の出口部と、前記第1の入口部と第2の出口部の間に第1の流路を形成してその第1の流路内に第1の弁座が配置された第1のケーシングと、この第1のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第1の弁座との間で離脱係合することによって前記第1の流路を開閉する第1の弁体と、前記第1の弁体に結合されるとともに前記第1のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第1の流路を開くときに前記第1の出口部を反対側に移動させられる第1の弁棒と、を有し、前記上流側蒸気加減弁は、水平方向に開口して前記中間流路部に接続された第2の入口部と、鉛直方向に開口した第2の出口部と、この第2の鉛直出口部よりも下流側に開口した水平出口部と、前記第2の入口部から前記第2の出口部および前記水平出口部それぞれに流通可能な第2に流路を形成してその第2の流路内に第2の弁座が配置された第2のケーシングと、この第2のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第2の弁座との間で離脱係合することによって前記第2の流路を開閉する第2の弁体と、前記第2の弁体に結合されるとともに前記第2のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第2の流路を開くときに前記第2の出口部と反対側に移動させられる第2の弁棒と、を有し、前記下流側蒸気加減弁は、水平方向に開口して前記水平出口部に接続された第3の入口部と、鉛直下向きに開口した第3の出口部と、前記第3の入口部と第3の出口部の間に第3に流路を形成してその第3流路内に第3の弁座が配置された第3のケーシングと、この第3のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第3の弁座との間で離脱係合することによって前記第3の流路を開閉する第3の弁体と、前記第3の弁体に結合されるとともに前記第3のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第3の流路を開くときに前記第3の出口部と反対側に移動させられる第3の弁棒と、を有し、前記中間流路部が、前記第1の出口部から流出した主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変えて前記第2の入口部に流出するように構成されていること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る蒸気タービンプラントは、ボイラーと、前記ボイラーで生成された主蒸気を導入してその主蒸気のエネルギーによって駆動される蒸気タービンと、前記ボイラーと蒸気タービンの間に配置されて前記主蒸気の流れを制御する少なくとも1つの蒸気弁装置と、を有する蒸気タービンプラントにおいて、前記蒸気弁装置は、1つの主蒸気止め弁と、この主蒸気止め弁の下流側に配置された複数の蒸気加減弁と、前記主蒸気止め弁と前記複数の蒸気加減弁それぞれとの間を接続する1つの中間流路部と、を有し、前記主蒸気止め弁は、水平方向に開口した第1の入口部と、鉛直方向に開口して前記中間流路部に接続された第1の出口部と、前記第1の入口部と第2の出口部の間に第1の流路を形成してその第1の流路内に第1の弁座が配置された第1のケーシングと、この第1のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第1の弁座との間で離脱係合することによって前記第1の流路を開閉する第1の弁体と、前記第1の弁体に結合されるとともに前記第1のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第1の流路を開くときに前記第1の出口部と反対側に移動させられる第1の弁棒と、を有し、前記複数の蒸気加減弁それぞれは、水平方向に開口して前記中間流路部に接続された第2の入口部と、鉛直方向に開口した第2の出口部と、前記第2の入口部と第2の出口部の間に第2に流路を形成してその第2の流路内に第2の弁座が配置された第2のケーシングと、この第2のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第2の弁座との間で離脱係合することによって前記第2の流路を開閉する第2の弁体と、前記第2の弁体に結合されるとともに前記第2のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第2位の流路を開くときに前記第2の出口部と反対側に移動させられる第2の弁棒と、を有し、前記中間流路部が、前記第1の出口部から流出した主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変えて前記第2の入口部に流出するように構成されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、蒸気弁装置のメンテナンスの作業性を向上させるとともに蒸気弁装置の弁開時圧力損失を低減させることを可能にし、且つ蒸気弁装置の製造コストを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の蒸気弁装置を示す概略上面図である。
【図2】図1のII−II矢視縦断面図である。
【図3】図1の蒸気弁装置を備えた蒸気タービンプラントの一実施形態を示す系統図である。
【図4】図3の高圧蒸気タービンおよび蒸気弁装置の部分系統図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の蒸気弁装置を示す概略上面図である。
【図6】図5のVI−VI矢視縦断面図である。
【図7】図6の中間流路部の概略斜視図である。
【図8】本発明に係る第3の実施形態の蒸気弁装置を示す概略上面図である。
【図9】図8のIX−IX矢視縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0016】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図1〜図4を用いて説明する。図1は、本実施形態の蒸気弁装置90を示す概略上面図である。図2は、図1のII−II矢視縦断面図である。
【0017】
図3は、図1の蒸気弁装置90を備えた蒸気タービンプラントの一実施形態を示す系統図である。なお、図3の蒸気弁装置90については、主蒸気止め弁1等の図示を省略し、単に四角形の枠のみを記載している。図4は、図3の高圧蒸気タービン10および蒸気弁装置90の部分系統図である。
【0018】
先ず、本実施形態の蒸気弁装置90が配置される蒸気タービンプラントの全体の構成について説明する。
【0019】
この蒸気タービンプラントは、ボイラー20と、このボイラー20で生成された主蒸気を導入してその主蒸気のエネルギーによって駆動される高圧蒸気タービン10と、ボイラー20および高圧蒸気タービン10の間に配置されて主蒸気の流れを制御する蒸気弁装置90と、を有する。この蒸気タービンプラントでは、ボイラー20からの蒸気が、蒸気弁装置90を通過した後に高圧蒸気タービン10へ送られるように構成されている(図3)。
【0020】
高圧蒸気タービン10で仕事をした後の蒸気は、逆止弁7を経由して再びボイラー20の再熱器にて再熱され、再熱蒸気止め弁3およびインターセプト弁4を経て、中圧蒸気タービン11に送られ、その後低圧蒸気タービン12へ送られてさらに仕事をする。低圧蒸気タービン12を出た蒸気は復水器13にて水に戻され、給水ポンプ14にて昇圧して再びボイラー20に供給されるように循環する。
【0021】
図示の例では、プラントの運用効率を高めるために、主蒸気止め弁1の上流側からボイラー20の再熱器の上流側に接続された高圧タービンバイパス弁5やボイラー20の再熱器の下流側から復水器13に接続された低圧タービンバイパス弁6が設置され、タービンの運転に係わらずボイラー系統単独の循環運転ができるようになっている。
【0022】
この実施形態に係る蒸気弁装置90は、上流側の主蒸気止め弁1と、その下流側に配置された2個の蒸気加減弁、すなわち第1蒸気加減弁21および第2蒸気加減弁22と、これらの間を連絡する中間流路部80と、を有する(図1、図2)。主蒸気止め弁1、第1蒸気加減弁21および第2蒸気加減弁22は、縦型(垂直置)とする。主蒸気止め弁1は、中間流路部80の下流で分岐して、第1蒸気加減弁21および第2蒸気加減弁22に接続されている。なお、図2は、主蒸気止め弁1と第1蒸気加減弁21がともに閉じた状態を示している。
【0023】
また、本実施形態の高圧蒸気タービン10の外周に配置されるノズルボックスは、詳細な図示は省略するが、周方向に区切られた2個の区画、すなわち、第1区画15および第2区画16により構成されている。第1蒸気加減弁21を通過した主蒸気は、ノズルボックスの第1区画15に流入し、第2蒸気加減弁22を通過した主蒸気は、ノズルボックスの第2区画16に流入するように構成されている(図4)。
【0024】
主蒸気止め弁1は、第1の流路61を形成する第1のケーシング31と、この第1のケーシング31内で上下に移動する第1の弁体32と、を有する。
【0025】
第1のケーシング31には、水平方向に開口して蒸気を受け入れる第1の入口部33が形成され、鉛直方向に開口して下方に蒸気を排出する第1の出口部34が形成されている。また、第1の出口部34には、内側に向かって隆起状をなす第1の弁座35が配置され、第1の弁体32が上昇あるいは下降したときに第1の弁体32と第1の弁座35が離脱係合して第1の流路61を開閉するように構成されている。
【0026】
第1のケーシング31の上部には、メンテナンス時に開放可能な第1の弁蓋36が配置されている。第1の弁体32には第1の弁棒37が取り付けられている。この第1の弁棒37は、第1の弁体32の上方に延びて、第1のケーシング31のうちの第1の弁蓋36の部分を貫通し、第1の油筒38内の第1のピストン39に接続されている。
【0027】
ここで、第1の弁棒37は、第1の弁体32に対して、第1の出口部34の反対側に取り付けられている。この第1の弁体32を第1の弁座35から離脱させるとき、すなわち、第1の流路61を開くときには、第1の出口部34と反対側の方向に移動させられる。第1のケーシング31の内側で第1の弁体32の外側に、ストレーナ40が配置されている。
【0028】
第1蒸気加減弁21および第2蒸気加減弁22は、互いに同じ構成で、主蒸気止め弁1から流れる主蒸気がそれぞれに流入されるように構成されている。主蒸気の流れについては、後で説明する。
【0029】
第1蒸気加減弁21および第2蒸気加減弁22ぞれぞれは、上述した主蒸気止め弁1とほぼ同様の配置であって、第2の流路71を形成する第2のケーシング41と、この第2のケーシング41内で上下に移動する第2の弁体42と、を有する。第2の流路71は、主蒸気が鉛直下方に流通可能な流路である。
【0030】
第1蒸気加減弁21の第2のケーシング41および第2蒸気加減弁22の第2のケーシング41は、後述する第1および第2下方出口部87、88と一体に形成されている。それぞれの第2のケーシング41には、水平方向に開口して蒸気を受け入れる第2の入口部43が形成され、鉛直方向に開口して下方に蒸気を排出する第2の出口部44が形成されている。
【0031】
第1蒸気加減弁21の第2の入口部43と、第2蒸気加減弁22の第2の入口部43とは、中間流路部80を挟んで互いに対向するように配置されている(図1)。第1の入口部43等と中間流路部80との連結については、後で説明する。
【0032】
各第2の出口部44それぞれには、内側に向かって隆起状をなす第2の弁座45が配置され、第2の弁体42が上昇あるいは下降したときに第2の弁体42と第2の弁座45が離脱係合して第2の流路71を開閉するように構成されている。
【0033】
各第2のケーシング41それぞれの上部には、メンテナンス時に開放可能な第2の弁蓋46が配置されている。第2の弁体42には第2の弁棒47が取り付けられている。この第2の弁棒47は、第2の弁体42の上方に延びて第2のケーシング41のうちの第2の弁蓋46の部分を貫通し、第2の油筒48内の第2のピストン49に接続されている。
【0034】
ここで、各第2の弁棒47は、各第2の弁体42に対して、第2の出口部44の反対側に取り付けられており、第2の弁体42を第2の弁座45から離脱させるとき、すなわち、第2の流路71を開くときには、第2の出口部44と反対側の方向に移動させられる。
【0035】
中間流路部80は、上方流入部81と、鉛直流路部82と、流れ方向変更部83と、水平流路部84と、分岐流路部85と、2個の下方出口部、すなわち、第1下方出口部87および第2下方出口部88と、を有する(図1、図2)。
【0036】
上方流入部81は、上方に向いて開口して、第1の出口部34に連結するように構成される。この上方流入部81には、第1の出口部34から流出された主蒸気が、流入可能である。
【0037】
鉛直流路部82は、上方流入部81の下方に連結されて、上方流入部81内を流通する主蒸気が、鉛直下方に流通可能である。
【0038】
流れ方向変更部83は、円弧角が約90度の円弧の管状(エルボ管)で、上方流路部および鉛直流路部82内を流通した主蒸気が、流入可能である。この流れ方向変更部83は、主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変える。水平流路部84は、流れ方向変更部83の下方に連結されて、流れ方向変更部83内を流通した主蒸気が流れ込んで、その後水平に流れるように構成されている。
【0039】
分岐流路部85は、流れ方向変更部83および水平流路部84を流通した主蒸気が流入可能で、流れ込んだ主蒸気を、第1蒸気加減弁21の第2の入口部43と、第2蒸気加減弁22の第2の入口部43と、それぞれに流入可能である。
【0040】
この実施形態では、主蒸気止め弁1、第1蒸気加減弁21、第2蒸気加減弁22および中間流路部80は一体として、鍛造または鋳造により形成できる。
【0041】
続いて、本実施形態の蒸気弁装置90内の主蒸気の流れについて説明する。
【0042】
ボイラー20から供給された主蒸気は、第1の入口部33から水平向きに主蒸気止め弁1の第1のケーシング31内に流入する。この後に、ストレーナ40内に流入して、第1の弁体32および第1の弁座35の間を通り、第1の出口部34を下向きに通って主蒸気止め弁1を通過する。
【0043】
主蒸気止め弁1を通過した主蒸気は、中間流路部80の上方流入部81を経て、鉛直流路部82内を流入する。鉛直流路内を流通した主蒸気は、流れ方向変更部83に流れ込む。このとき、主蒸気の流れ向きが下向きから水平向きに変えられる。流れ方向変更部83内を流通した主蒸気は、水平流路部84を流通して、その後分岐流路部85に流入する。
【0044】
分岐流路部85に流入した主蒸気の流れは、2方向に分岐される。一方は、第1下方出口部87を流れ、他方は第2下方出口部88を流れる。
【0045】
第1下方出口部87を流れる主蒸気は、第1蒸気加減弁21の第2の入口部43へ流れ込み、第2のケーシング41内に流入する。第2のケーシング41内に流入した蒸気は、第1蒸気加減弁21に係る第2の弁体42および第2の弁座45の間を通り、第2の出口部44を下向きに排出される。以上のように、第1下方出口部87を流れる主蒸気は、第1蒸気加減弁21を通過する。第1蒸気加減弁21を通過した主蒸気は、ノズルボックスの第1区画15に供給される。
【0046】
一方、第2下方出口部88を流れる主蒸気は、第2蒸気加減弁22の第2の入口部43へ流れ込み、第2のケーシング41内に流入する。第2のケーシング41内に流入した蒸気は、第2蒸気加減弁22に係る第2の弁体42および第2の弁座45の間を通り、第2の出口部44を下向きに排出される。以上のように、第2下方出口部88を流れる主蒸気は、第2蒸気加減弁22を通過する。第2蒸気加減弁22を通過した主蒸気は、ノズルボックスの第2区画16に供給される。
【0047】
中間流路部80の内部における流体のはく離現象を回避するには、流れ方向変更部83の円弧の中心半径Rと、この流れ方向変更部83の内径Diとの比(R/Di)が、大きいことが望ましく、(R/Di)が1以上、さらには2以上であるのが望ましい。
【0048】
主蒸気止め弁1の第1の弁体32は、第1の弁棒37を介して第1のピストン39と連動して上下する。主蒸気止め弁1が開方向に動作するとき、第1の弁棒37は上流側に引き上げられ、蒸気流路の邪魔にならないので、第1の弁棒37による圧力損失が小さくなる。
【0049】
同様に、第1および第2蒸気加減弁21、22それぞれの第2の弁体42は、第2の弁棒47を介して第2のピストン49と連動して上下する。第1および第2蒸気加減弁21、22それぞれが開方向に動作するとき、各第2の弁棒47は上流側に引き上げられ、蒸気流路の邪魔にならないので、各第2の弁棒47による圧力損失が小さくなる。
【0050】
また、この実施形態によれば、主蒸気止め弁1、第1蒸気加減弁21、および第2蒸気加減弁22をそれぞれ縦型(垂直置)とすることができる。その結果、組立時において弁体の重量により生じる弁棒のたわみの影響が排除され、弁棒の先端に設けた弁体と弁座との当たり作業が容易となる。さらに、この蒸気弁装置90は、油筒や上蓋等の内蔵部品が分解点検時に天井クレーンを用いて鉛直に吊り上げ、吊り下げすることができるようになり、危険を伴わずにメンテナンスが可能となる。
【0051】
一般にエルボ内部の流れでは、流体に遠心力が働き、流速の速い中央部の流体部分に作用する遠心力は壁面付近の流速の遅い流体部分に働くそれよりも大きいので、中央部の流体はエルボの曲がりの外側へ押しやられ、管壁近くの流体は壁に沿ってエルボの曲がりの内側に回り込むこととなる。また、エルボ断面内の壁面の圧力分布は一様ではなく、圧力はエルボの曲がりの外側の壁で高く、内側の壁では低くなるため、エルボ内部には二次流れが発生している。この二次流れの連続した流れとして下記に示す流体のはく離が発生する。
【0052】
(1)エルボの曲がりの外側では、曲がりに近づく流れは次第に圧力が上昇することとなり、エルボの曲がりの入口部ではく離が起こる。
【0053】
(2)エルボの曲がりの内側では、圧力が低く、エルボの曲がりの終わり(出口部)では遠心力はなくなり、再び圧力が上昇してついにはエルボの曲がりの後ではく離が起こる。
【0054】
本実施形態の中間流路部80内を流れる蒸気の圧力損失の主なものは、上述のエルボ内部における流体のはく離に由来するものである。
【0055】
上述したように、流れ方向変更部83の円弧の中心半径Rと中間流路部80の内径Diとの比(R/Di)を1以上、さらに好もしくは2以上とすることにより、中間流路部80の内部における流体のはく離現象を回避することができ、これにより、中間流路部80での圧力損失を小さくすることができる。
【0056】
また、本実施形態の蒸気タービンプラントは、第1および第2蒸気加減弁21、22それぞれを通過した主蒸気が、ノズルボックスの第1および第2区画15、16それぞれに流入するように構成されている。このため、第1および第2蒸気加減弁21、22を1弁ずつ順番に開弁するように制御する、いわゆるノズル調速運転を行うことが可能になる。
【0057】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について、図5〜図7を用いて説明する。図5は、本実施形態の蒸気弁装置90を示す概略上面図である。図6は、図5のVI−VI矢視縦断面図である。図7は、図6の中間流路部80の概略斜視図である。
【0058】
本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図4)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。また、本実施形態の蒸気弁装置90は、第1の実施形態で説明した蒸気タービンプラント(図3、図4)に用いるものである。
【0059】
本実施形態の蒸気弁装置90の中間流路部80の構成について説明する。この蒸気弁装置90は、中間流路部80以外、すなわち、主蒸気止め弁1、第1蒸気加減弁21および第2蒸気加減弁22は、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0060】
本実施形態の中間流路部80は、第1の実施形態と同様に、上方流入部81と、鉛直流路部82と、流れ方向変更部83と、水平流路部84と、分岐流路部85と、第1下方出口部87および第2下方出口部88と、を有する。
【0061】
本実施形態の鉛直流路部82は、上方流入部81に連結される部位から流れ方向変更部83に連結部位に至るまでに、すなわち、鉛直流路部82の上方から下方に向かうに従って、横断面(円形の流路断面)が大きくなるように形成される。
【0062】
この例の鉛直流路部82は、鉛直に立つ円錐を水平に切断したうちの下側部分と同様の形状、すなわち部分円錐形状である。このように流路が広がることで、主蒸気止め弁1の下流(後流)側の圧力回復が可能になる。このときの広がり度合い、すなわち、流路中心Cに対する角度βは、流れのはく離を抑制するために、6度程度に形成されている。なお、図7では、広がり度合いを、流路中心Cに対して水平方向両側それぞれに角度βだけ開いた状態を、当該角度βの2倍(2β)で示している。
【0063】
流れ方向変更部83は、上述した部分円錐形状の鉛直流路部82の下部と、所定の曲率で連結されている。以下、流れ方向変更部83と鉛直流路部82との連結について説明する。
【0064】
この流れ方向変更部83は、第1の実施形態と同様に、主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変更する、円弧角が約90度の円弧の管状(エルボ管)である。
【0065】
図6に示すように、流れ方向変更部83の円弧の内周側の曲率半径をRi、外周側の曲率半径をRo、流路の中心の曲率半径をRcとしている。また、外周側において、上方流路部の下端部と、曲率半径Roの上端部とを、所定の曲率半径rで滑らかに連結している。このとき、Ro、Ri、Rc、およびrの中心部は、互いに異なる位置にある。
【0066】
また、中心半径Rcと入口内径Diとの比(Rc/Di)は、第1の実施形態と同様に、1以上、さらには2以上であるのが望ましい。
【0067】
続いて、中間流路部80のうち、流れ方向変更部83から下流側の断面形状について説明する。
【0068】
当該流路断面の形状は、円形から除々に扁平されて水平(図6の奥行き方向)に長い長円形になる。
【0069】
流れ方向変更部83の上方の流路断面、すなわち、鉛直流路部82の直下付近の流路断面は円形である。この流れ方向変更部83の流路断面は、下流側にいくに従って、円形から除々に扁平するように変形されて、分岐流路部85との接続部は水平に長い楕円になる。このとき、流路断面は、形状が円形から楕円形になるまでの過程で、断面積がほぼ同じになるように変形する。
【0070】
楕円形の流路断面は、水平流路部84から分岐流路部85に向かうまでに、さらに扁平して水平に長い長円形に変形する。このとき、流路断面は、水平方向に広がるように変形する。すなわち、流路断面積が滑らかに拡大するように変形する。このときの広がり度合い、すなわち、流路中心Cに対する角度αは、流れのはく離を抑制するために、6度程度に形成されている。なお、図7では、広がり度合いを、流路中心Cに対して鉛直下向き両側それぞれに角度αだけ開いた状態を、当該角度αの2倍(2α)で示している。
【0071】
第1および第2蒸気加減弁21、22の各第2の入口部43は、各第2のケーシング41の鉛直方向中央部に接続される。これにより、第1および第2下方出口部87、88からの主蒸気は、各第2の流路71それぞれの内部にスムーズに流入する。
【0072】
中間流路部80は、その流路断面が上方流入部81の円形状から扁平するように変形して、分岐流路部85付近で長円形状となるように、鉛直方向から水平方向に曲げて形成されるものである。また、中間流路部80の扁平変形しなくなる付近から流路断面の断面積が除々に拡大するように構成されている。
【0073】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、中間流路部80が上述のように変形するように形成されていることで、第1の実施形態で説明したエルボ管(円弧状の配管)特有の内部流れである二次流れや、流体のはく離を抑制可能になる。これにより、圧力損失の増加を回避することが可能になる。
【0074】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について、図8および図9を用いて説明する。図8は、本実施形態の蒸気弁装置90を示す概略上面図である。図9は、図8のIX−IX矢視縦断面である。
【0075】
本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図4)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。また、本実施形態の蒸気弁装置90は、第1の実施形態で説明した蒸気タービンプラント(図3、図4)に用いるものである。
【0076】
本実施形態の蒸気弁装置90は、第1蒸気加減弁21および第2蒸気加減弁22が、中間流路部80の下流側に、準直列的に配置される。また、この蒸気弁装置90の中間流路80は、主蒸気止め弁1の第1の出口部34から排出される主蒸気を、第2蒸気加減弁22の第2の入口部43のみに流すように構成される。すなわち、この中間流路部80は、第1の実施形態で説明した分岐流路部85(図1)を有さない。
【0077】
第1蒸気加減弁21の第1のケーシング31には、第2の出口部44よりも下流側に、水平に開口する水平出口部44aが形成されている。この水平出口部44aは、第2蒸気加減弁22の第2の入口部43に連結されている。
【0078】
中間流路部80から排出された主蒸気の一部は、第1蒸気加減弁21に係る第2のケーシング41の内部を通過した後に、第2蒸気加減弁22に流入可能に構成されている。すなわち、上流側にある第1蒸気加減弁21の第2の弁体42が閉じているときは、第1蒸気加減弁21に流入された主蒸気は、全て第1蒸気加減弁21の水平出口部44aから排出されて第2蒸気加減弁22に流れ込む。この場合に、主蒸気は、第1および第2蒸気加減弁21、22を直列的に流れる。
【0079】
一方、上流側にある第1蒸気加減弁21の第2の弁体42が開いているときは、第1蒸気加減弁21に流入された主蒸気は、第1蒸気加減弁21の第2の出口部44から排出されてノズルボックスの第1区画15(図4)に流れ込むものと、水平出口部44aから排出されて第2蒸気加減弁22に流れ込むものと、に分岐される。
【0080】
第2蒸気加減弁22の第2の弁体42が開いているときは、第2蒸気加減弁22に流入された主蒸気は、第2蒸気加減弁22の第2の出口部44から排出されてノズルボックスの第2区画16(図4)に流れ込む。
【0081】
これにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能になる。また、中間流路部80の形状を簡素にすることが可能になり、製造コストを低減させることができる。
【0082】
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0083】
例えば、第1の実施形態で、鉛直流路部82および水平流路部84を省いてもよい。この場合、上方流入部81に流れ方向変更部83の上部を連結させて、流れ方向変更部83の下部に分岐流路部85を連結させてればよい。
【0084】
また、第2の実施形態で、水平方向流路部84の流路断面は、水平方向を長軸として蒸気加減弁の軸方向(鉛直方向)を短軸とした楕円形状でもよい。
【0085】
また、第3の実施形態の蒸気弁装置90の中間流路部80に、第2の実施形態で説明した流れ方向変更部83を設けてもよい。
【0086】
また、ノズルボックスが4分割されているような蒸気タービンには、第1〜第3の実施形態のいずれかの蒸気弁装置90を2個用いればよい。
【0087】
また、第1〜第3の実施形態では、1個の主蒸気止め弁1に対して、2個の蒸気加減弁21、22が接続されているが、これに限らない。3個以上の蒸気加減弁を1個の主蒸気止め弁1に接続してもよい。
【0088】
また、並列的に配列される第1蒸気加減弁21および第2蒸気加減弁22それぞれに、第3の実施形態で説明したような蒸気加減弁を設けてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…主蒸気止め弁、3…再熱蒸気止め弁、4…インターセプト弁、5…高圧タービンバイパス弁、6…低圧タービンバイパス弁、7…逆止弁、10…高圧蒸気タービン、11…中圧蒸気タービン、12…低圧蒸気タービン、13…復水器、14…給水ポンプ、15…第1区画、16…第2区画、20…ボイラー、21…第1蒸気加減弁、22…第2蒸気加減弁、31…第1のケーシング、32…第1の弁体、33…第1の入口部、34…第1の出口部、35…第1の弁座、36…第1の弁蓋、37…第1の弁棒、38…第1の油筒、39…第1のピストン、40…ストレーナ、41…第2のケーシング、42…第2の弁体、43…第2の入口部、44…第2の出口部、45…第2の弁座、46…第2の弁蓋、47…第2の弁棒、48…第2の油筒、49…第2のピストン、61…第1の流路、71…第2の流路、80…中間流路部、81…上方流入部、82…鉛直流路部、83…流れ方向変更部、84…水平流路部、85…分岐流路部、87…第1下方出口部、88…第2下方出口部、90…蒸気弁装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの主蒸気止め弁と、この主蒸気止め弁の下流側に配置された複数の蒸気加減弁と、前記主蒸気止め弁と前記複数の蒸気加減弁それぞれとの間を接続する1つの中間流路部と、を有する蒸気弁装置であって、
前記主蒸気止め弁は、
水平方向に開口した第1の入口部と、鉛直方向に開口して前記中間流路部に接続された第1の出口部と、前記第1の入口部と第2の出口部の間に第1の流路を形成してその第1の流路内に第1の弁座が配置された第1のケーシングと、
この第1のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第1の弁座との間で離脱係合することによって前記第1の流路を開閉する第1の弁体と、
前記第1の弁体に結合されるとともに前記第1のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第1の流路を開くときに前記第1の出口部を反対側に移動させられる第1の弁棒と、
を有し、
前記複数の蒸気加減弁それぞれは、
水平方向に開口して前記中間流路部に接続された第2の入口部と、鉛直方向に開口した第2の出口部と、前記第2の入口部と第2の出口部の間に第2に流路を形成してその第2の流路内に第2の弁座が配置された第2のケーシングと、
この第2のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第2の弁座との間で離脱係合することによって前記第2の流路を開閉する第2の弁体と、
前記第2の弁体に結合されるとともに前記第2のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第2の流路を開くときに前記第2の出口部と反対側に移動させられる第2の弁棒と、
を有し、
前記中間流路部が、前記第1の出口部から流出した主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変えて前記第2の入口部それぞれに流出するように構成されていること、
を特徴とする蒸気弁装置。
【請求項2】
前記第1の出口部および第2の出口部はそれぞれ下方に向いて開口して、
前記中間流路部は、
上方に向いて開口して、前記第1の出口部に連通するように構成された上方入口部と、
前記上方入口部よりも下方で水平に開口し、前記各第2の入口部それぞれに連結するように構成された複数の下方出口部と、
前記上方入口部および前記各下方出口部の間に形成されて、前記上方入口部から流入した前記主蒸気を前記各下方出口部それぞれに流入可能な分岐部と、
を有し、
前記上方入口部から鉛直下方に流れる鉛直流路と、
前記鉛直流路に連結されて、主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変える方向変更流路と、
前記方向変更流路に連結されて、前記方向変更流路から流出した前記主蒸気が水平に流れ、前記分岐部に流出する水平流路と、
前記分岐部から前記複数の下方出口部それぞれに流出する複数の出口流路と、
が形成されていること、を特徴とする請求項1に記載の蒸気弁装置。
【請求項3】
前記鉛直流路は、上方から下方に向かうに従って流路断面が大きくなるように形成されて、
前記方向変更流路は、前記主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変えるために所定の曲率が形成されて、
前記水平流路は、その流路断面が前記分岐部に向かうに従って、流れ方向に対して垂直で且つ水平方向に広がるように形成されていること、
を特徴とする請求項2に記載の蒸気弁装置。
【請求項4】
前記方向変更流路は、前記鉛直流路との連結部から前記水平流路との連結部に向かうに従って、前記方向変更流路の流路断面が小さくならないように形成されていること、
を特徴とする請求項2または請求項3に記載の蒸気弁装置。
【請求項5】
前記主蒸気止め弁と蒸気加減弁と中間流路部とが鍛造または鋳造により一体で製造されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の蒸気弁装置。
【請求項6】
前記主蒸気止め弁と蒸気加減弁と中間流路部とが個別に製造された後に結合されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の蒸気弁装置。
【請求項7】
1つの主蒸気止め弁と、この主蒸気止め弁の下流側に配置された1つの上流側蒸気加減弁と、この上流側加減弁の下流側に配置された1つの下流側蒸気加減弁と、前記主蒸気止め弁と前記上流側蒸気加減弁それぞれとの間を接続する1つの中間流路部と、を有する蒸気弁装置であって、
前記主蒸気止め弁は、
水平方向に開口した第1の入口部と、鉛直方向に開口して前記中間流路部に接続された第1の出口部と、前記第1の入口部と第2の出口部の間に第1の流路を形成してその第1の流路内に第1の弁座が配置された第1のケーシングと、
この第1のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第1の弁座との間で離脱係合することによって前記第1の流路を開閉する第1の弁体と、
前記第1の弁体に結合されるとともに前記第1のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第1の流路を開くときに前記第1の出口部を反対側に移動させられる第1の弁棒と、
を有し、
前記上流側蒸気加減弁は、
水平方向に開口して前記中間流路部に接続された第2の入口部と、鉛直方向に開口した第2の出口部と、この第2の鉛直出口部よりも下流側に開口した水平出口部と、前記第2の入口部から前記第2の出口部および前記水平出口部それぞれに流通可能な第2に流路を形成してその第2の流路内に第2の弁座が配置された第2のケーシングと、
この第2のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第2の弁座との間で離脱係合することによって前記第2の流路を開閉する第2の弁体と、
前記第2の弁体に結合されるとともに前記第2のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第2の流路を開くときに前記第2の出口部と反対側に移動させられる第2の弁棒と、
を有し、
前記下流側蒸気加減弁は、
水平方向に開口して前記水平出口部に接続された第3の入口部と、鉛直下向きに開口した第3の出口部と、前記第3の入口部と第3の出口部の間に第3に流路を形成してその第3流路内に第3の弁座が配置された第3のケーシングと、
この第3のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第3の弁座との間で離脱係合することによって前記第3の流路を開閉する第3の弁体と、
前記第3の弁体に結合されるとともに前記第3のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第3の流路を開くときに前記第3の出口部と反対側に移動させられる第3の弁棒と、
を有し、
前記中間流路部が、前記第1の出口部から流出した主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変えて前記第2の入口部に流出するように構成されていること、
を特徴とする蒸気弁装置。
【請求項8】
ボイラーと、前記ボイラーで生成された主蒸気を導入してその主蒸気のエネルギーによって駆動される蒸気タービンと、前記ボイラーと蒸気タービンの間に配置されて前記主蒸気の流れを制御する少なくとも1つの蒸気弁装置と、を有する蒸気タービンプラントにおいて、
前記蒸気弁装置は、1つの主蒸気止め弁と、この主蒸気止め弁の下流側に配置された複数の蒸気加減弁と、前記主蒸気止め弁と前記複数の蒸気加減弁それぞれとの間を接続する1つの中間流路部と、を有し、
前記主蒸気止め弁は、
水平方向に開口した第1の入口部と、鉛直方向に開口して前記中間流路部に接続された第1の出口部と、前記第1の入口部と第2の出口部の間に第1の流路を形成してその第1の流路内に第1の弁座が配置された第1のケーシングと、
この第1のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第1の弁座との間で離脱係合することによって前記第1の流路を開閉する第1の弁体と、
前記第1の弁体に結合されるとともに前記第1のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第1の流路を開くときに前記第1の出口部と反対側に移動させられる第1の弁棒と、
を有し、
前記複数の蒸気加減弁それぞれは、
水平方向に開口して前記中間流路部に接続された第2の入口部と、鉛直方向に開口した第2の出口部と、前記第2の入口部と第2の出口部の間に第2に流路を形成してその第2の流路内に第2の弁座が配置された第2のケーシングと、
この第2のケーシング内で上下方向に移動可能で、前記第2の弁座との間で離脱係合することによって前記第2の流路を開閉する第2の弁体と、
前記第2の弁体に結合されるとともに前記第2のケーシングを貫通して上下方向に摺動し、前記第2位の流路を開くときに前記第2の出口部と反対側に移動させられる第2の弁棒と、
を有し、
前記中間流路部が、前記第1の出口部から流出した主蒸気の流れを鉛直方向から水平方向に変えて前記第2の入口部に流出するように構成されていること、
を特徴とする蒸気タービンプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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