説明

蒸気滅菌器

【課題】本体部の上面に開口した縦型チャンバーを開閉する蓋が、本体部の上面に一端を
横方向回動可能に支持したアームに対し、上下動可能に螺旋結合したハンドル軸の回転に
よって上下に開閉するよう構成した蒸気滅菌器において、チャンバー内の圧力が高い状態
で、不用意なハンドル操作によって蓋が開かれないようにするための安全装置を提供する

【解決手段】非通電にて突出し通電にて退避するロックピンの突出にてハンドルの回転を
阻止するロックソレノイド装置を備え、蓋がチャンバーの開口を密閉した状態において、
ロックソレノイド装置の非通電によるロックピンの突出にて、蓋を開く方向へのハンドル
の回転が阻止すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として病院等に設置して医療用器具等の被滅菌物を高温高圧蒸気下で滅菌
する蒸気滅菌器に関し、特に、本体部の上面に開口した縦型チャンバーを開閉する蓋の密
閉保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本体部の上面に開口した縦型チャンバーを蓋で開閉する蒸気滅菌器において、前記本体
部の上面に前記開口を挟む位置に支持部と抑え部が配置され一端部が前記抑え部に対して
上下動可能なるよう他端部が前記支持部に左右方向回動可能に支持されたアームと、上端
部にハンドルを備え下端部に前記蓋を回転可能に支持し中間部に形成した雄螺旋が前記ア
ームを上下に貫通する雌螺旋部に螺合するハンドル軸を有し、前記ハンドルによる前記ハ
ンドル軸の回転によって前記抑え部に対する前記アームの一端部の上動制限と共に前記蓋
の下動により前記開口が密閉され、前記チャンバー内で被滅菌物を蒸気にて滅菌するもの
がある。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−276557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1のものは、蓋の裏側に設けた環状パッキンが外れたときの安全策に係る
技術である。しかし、滅菌動作中または滅菌動作終了直後に、ハンドルの操作によって蓋
を開けば、チャンバー内の上昇した圧力によって高温蒸気が流出し危険であるが、これを
防止する技術については記載されていない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑み、上記のような蒸気滅菌器において、特定の条件下では
、不用意なハンドル操作によって蓋が開かれないようにするための安全装置を提供する。
そして、構造的には、比較的簡単な部品の追加にて、ハンドル操作によって蓋を開くこと
ができない密閉保持装置(インターロック機構)を設けるものである。このインターロッ
ク機構は、例えば滅菌動作が開始した後は、チャンバー内の圧力が上昇した状態であれば
、ハンドルの操作によって蓋を開くことができないようにして、上記のような危険を回避
できる技術を提供するものである。特に、蓋の密閉保持装置(インターロック機構)を備
えない既存の上記のような蒸気滅菌器に対しても、若干の改良によって、その安全性を容
易に向上させることができる有効な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蒸気滅菌器は、本体部の上面に開口した縦型チャンバーと、前記開口周縁部に
密着する環状パッキンを備えて前記開口を開閉する蓋と、前記本体部の上面に前記開口を
挟む位置に支持部と抑え部が配置され自由端が前記抑え部に対して上下動可能になるよう
他端部が前記支持部に横方向回動可能に支持されたアームと、上端部にハンドルを備え下
端部に前記蓋を支持し中間部に形成した螺子部が前記アームを上下に貫通形成した螺子部
に螺合するハンドル軸を有し、前記ハンドルの回転に伴う前記ハンドル軸の回転によって
生じる前記アームの自由端の上動が前記抑え部により制限されると共に前記蓋の下動によ
り前記開口が密閉され、前記チャンバー内で被滅菌物を蒸気にて滅菌する蒸気滅菌器にお
いて、 非通電にて突出し通電にて退避するロックピンを備え前記ロックピンの突出にて
前記ハンドルの回転を阻止するロックソレノイド装置を備え、
前記蓋が前記開口を密閉した状態において、前記ロックソレノイド装置の非通電による
前記ロックピンの突出にて、前記蓋を開く方向への前記ハンドルの回転が阻止されること
を特徴とする。
【0007】
また、本発明の蒸気滅菌器は、本体部の上面に開口した縦型チャンバーと、前記開口周
縁部に密着する環状パッキンを備えて前記開口を開閉する蓋と、前記本体部の上面に前記
開口を挟む位置に支持部と抑え部が配置され自由端が前記抑え部に対して上下動可能にな
るよう他端部が前記支持部に横方向回動可能に支持されたアームと、上端部にハンドルを
備え下端部に前記蓋を支持し中間部に形成した螺子部が前記アームを上下に貫通形成した
螺子部に螺合するハンドル軸を有し、前記ハンドルの回転に伴う前記ハンドル軸の回転に
よって生じる前記アームの自由端の上動が前記抑え部により制限されると共に前記蓋の下
動により前記開口が密閉され、前記チャンバー内で被滅菌物を蒸気にて滅菌する蒸気滅菌
器において、
前記支持部を中心とした前記アームの横方向回動により前記蓋が前記開口の上方位置に
あることを検出する第1検出スイッチと、
前記抑え部に設けられ前記アームの自由端の上動位置を検出する第2検出スイッチと、
非通電にて突出し通電にて退避するロックピンの作用にて前記蓋が前記開口を密閉した
状態に前記ハンドルの回転を阻止するロックソレノイド装置とを備え、
前記蓋が前記開口を外れた位置から前記開口の上方位置へ移動したことを前記第1検出
スイッチが検出し、前記アームの自由端の上動位置を前記第2検出スイッチが検出した状
態で前記ロックソレノイド装置を非通電とすることで、前記ロックピンの突出にて前記ハ
ンドルの回転を阻止し前記蓋が前記開口を密閉した状態に維持されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の蒸気滅菌器は、本体部の上面に開口した縦型チャンバーと、前記開口周
縁部に密着する環状パッキンを備えて前記開口を開閉する蓋と、前記本体部の上面に前記
開口を挟む位置に支持部と抑え部が配置され自由端が前記抑え部に対して上下動可能にな
るよう他端部が前記支持部に横方向回動可能に支持されたアームと、上端部にハンドルを
備え下端部に前記蓋を支持し中間部に形成した螺子部が前記アームを上下に貫通形成した
螺子部に螺合するハンドル軸を有し、前記ハンドルの回転に伴う前記ハンドル軸の回転に
よって生じる前記アームの自由端の上動が前記抑え部により制限されると共に前記蓋の下
動により前記開口が密閉され、前記チャンバー内で被滅菌物を蒸気にて滅菌する蒸気滅菌
器において、
前記支持部を中心とした前記アームの横方向回動により前記蓋が前記開口の上方位置に
あることを検出する第1検出スイッチと、
前記抑え部に設けられ前記アームの自由端の上動位置を検出する第2検出スイッチと、
非通電にて突出し通電にて退避するロックピンの作用にて前記蓋が前記開口を密閉した
状態に前記ハンドルの回転を阻止するロックソレノイド装置と、
前記ロックピンの作動を検出する第3検出スイッチとを備え、
前記蓋が前記開口を外れた位置から前記開口の上方位置へ移動したことを前記第1検出
スイッチが検出し、前記アームの自由端の上動位置を前記第2検出スイッチが検出した状
態で滅菌動作開始スイッチの作動により前記ロックソレノイド装置が非通電となり前記ロ
ックピンの突出にて前記ハンドルの回転が阻止されて前記蓋が前記開口を密閉した状態に
維持され、
前記ロックピンの突出にて前記第3検出スイッチが作動して滅菌動作がスタートするこ
とを特徴とする。
【0009】
更に、本発明の蒸気滅菌器は、本体部の上面に開口した縦型チャンバーと、前記開口周
縁部に密着する環状パッキンを備えて前記開口を開閉する蓋と、前記本体部の上面に前記
開口を挟む位置に支持部と抑え部が配置され、自由端が前記抑え部に対して上下動可能に
なるよう他端部が前記支持部に横方向回動可能に支持されたアームと、上端部にハンドル
を備え下端部に前記蓋を支持し中間部に形成した螺子部が前記アームを上下に貫通形成し
た螺子部に螺合するハンドル軸を有し、前記ハンドルの回転に伴う前記ハンドル軸の回転
によって生じる前記アームの自由端の上動が前記抑え部により制限されると共に前記蓋の
下動により前記開口が密閉され、前記チャンバー内で被滅菌物を蒸気にて滅菌する蒸気滅
菌器において、
前記支持部を中心とした前記アームの横方向回動により前記蓋が前記開口の上方位置に
あることを検出する第1検出スイッチと、
前記抑え部に設けられ前記アームの自由端の上動位置を検出する第2検出スイッチと、
非通電にて突出し通電にて退避するロックピンの作用にて前記蓋が前記開口を密閉した
状態に前記ハンドルの回転を阻止するロックソレノイド装置と、
前記ロックピンの作動を検出する第3検出スイッチと、
前記チャンバー内の圧力検知部を備え、
前記ロックソレノイド装置は前記蒸気滅菌器の電源投入にて通電されて前記ロックピン
が退避した状態であり、
前記蓋が前記開口を外れた位置から前記開口の上方位置へ移動したことを前記第1検出
スイッチが検出し、前記アームの自由端の上動位置を前記第2検出スイッチが検出した状
態で滅菌動作スタートスイッチの作動により前記ロックソレノイド装置が非通電となり前
記ロックピンの突出にて前記ハンドルの回転が阻止されて前記蓋が前記開口を密閉した状
態に維持され、
前記ロックピンの突出にて前記第3検出スイッチが作動して滅菌動作がスタートし、
滅菌動作終了に伴う前記チャンバー内の圧力低下が前記圧力検知部により検出されたと
き、前記ロックソレノイド装置の通電にて前記ロックピンが退避して前記ハンドルを回転
可能状態とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、蓋がチャンバーの開口を密閉した状態において、ロックソレノイド装
置の非通電によるロックピンの突出によって、蓋を開く方向へのハンドルの回転が阻止さ
れるため、ハンドル操作によって蓋を開くことができないので安全である。特に、滅菌動
作が開始した後の滅菌動作中は勿論のこと、チャンバー内の圧力が上昇した状態であれば
、ハンドルの操作によって蓋を開けば、蒸気が流出して危険であるが、本発明ではそれを
回避でき、安全確保ができるものとなる。また、既に使用中である既存の蒸気滅菌器に対
して、本発明の蓋の密閉保持装置を追加することによって、既存の蒸気滅菌器の安全性を
容易に向上させることができるものとなり、既存の蒸気滅菌器の買い替えなしに安全に継
続使用が可能となり、経費節減効果も十分発揮できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る蒸気滅菌器の蓋密閉保持状態における全体斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明に係る蒸気滅菌器の蓋を開いて横に回動させた状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図3】本発明に係る蒸気滅菌器の蓋密閉保持状態における平面図である。(実施例1)
【図4】本発明に係る蒸気滅菌器の蓋を閉じた状態から横に回動させた状態を示す平面図である。(実施例1)
【図5】本発明に係る蒸気滅菌器の蓋、アーム及びハンドルの関係を示す分解斜視図である。(実施例1)
【図6】本発明に係る蒸気滅菌器のハンドルを回転させて蓋を閉じた状態のハンドル軸中心部での縦断面図である。(実施例1)
【図7】本発明に係る蒸気滅菌器の第1検出スイッチ部分とアームの支持部側の構成を示す下方向斜視図である。(実施例1)
【図8】本発明に係る蒸気滅菌器の蓋を閉じた状態でロックソレノイド装置がハンドルの回転を阻止している状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図9】本発明に係る蒸気滅菌器の第2の実施例として、ロックソレノイド装置とそれへの給電部の縦断面図である。(実施例2)
【図10】図9におけるアームの支持部側の具体的な構成を示す縦断面図である。(実施例2)
【図11】図10におけるアームの支持部側の断面図である。(実施例2)
【図12】アームの横方向回動により蓋がチャンバーの上面開口の上方位置にあることを検出する第1検出スイッチの作動機構の他の実施形態を示す。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施例1]
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本発明の蒸気滅菌器1は、本体部2の上面
に開口3した円筒形状の縦型チャンバー4と、開口3の周縁部に密着する環状パッキン6
を備えて開口3を開閉する蓋5を備え、更に、本体部2の上面に開口3を挟む位置に支持
部7と抑え部8が配置され、自由端である一端部9Aが抑え部8に対して上下動可能にな
るよう支持端である他端部9Bが支持部7に横方向回動可能に支持されたアーム9と、上
端部にハンドル10を備え下端部に蓋5を回転可能に支持し中間部に雄螺子として形成し
た螺子部11がアーム9を上下に貫通するよう雌螺子として形成した螺子部12に螺合す
るハンドル軸13を有している。支持部7は、本体部2の上面を形成する上面板2Pの下
側からボルトネジ44によって上面板2Pに固定されており、抑え部8も同様の取り付け
構造である。
【0013】
ハンドル10は、A、B、C、Dの四辺からなる矩形環状の操作部と、ハンドル10の
中央部をハンドル軸13に取り付けるために、操作部の対向する二辺A、Bに渡るように
装飾板を形成する取り付け部10Sが設けられ、取り付け部10Sの中央基部10S1が
螺子などにてハンドル軸13に取り付けられ、ハンドル10とハンドル軸13が一体化さ
れた構成である。
【0014】
アーム9は、その支持端9Bが、支持部7にナット43によって取り付けられて、横方
向回動可能、且つアーム9の自由端9Aが上動(上方向移動)可能に支持されており、支
持部7を軸としてアーム9を所定の横方向に回動させることができる。このため、蓋5が
チャンバー4内の上面開口3の上方に離れた位置へ上昇した状態において、アーム9を所
定の横方向に回動させることにより、それに伴って蓋5が所定の横方向に回動するため、
図2及び図4に示すように、チャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動でき
、チャンバー4内への被滅菌物の収容、及びチャンバー4内からの被滅菌物の取り出しが
可能となる。
【0015】
チャンバー4内へ被滅菌物を収容し、蓋5がチャンバー4内の上面開口3の上方位置と
なるようにアーム9を回動させると共に、アーム9の自由端9Aを抑え部8に嵌め込む。
抑え部8は、一方向に受入口8Bを開放した構成であり、アーム9の回動によってアーム
9の自由端9Aは、この受入口8Bから侵入し、この受入口8Bの奥側に設けた停止部8
Cに衝突した位置に保持される。この状態で、蓋5はチャンバー4内の上面開口3の真上
位置となる。
【0016】
そして、ハンドル10の一方向回転(正方向回転ともいう)と共に回転するハンドル軸
13の一方向回転によって、抑え部8に対するアーム9の自由端9Aが上動(上方向移動
)し、抑え部8の上辺8Aによってこの上動(上方向移動)が制限され、この制限された
状態からハンドル10の更なる回転に伴って蓋5が下動するため、環状パッキン6がチャ
ンバー4の上面開口3に当接しつつ圧縮され、蓋5によってチャンバー4の上面開口3が
密閉される。この密閉状態において、所期の滅菌動作が行われる。なお、ハンドル10の
逆方向回転に伴うハンドル軸13の逆方向回転によって、蓋5を開くことができる。
【0017】
このような蒸気滅菌器1において、チャンバー4内の圧力が上昇した状態において、ハ
ンドル10の操作によって蓋5が開けば、蒸気が流出して危険である。本発明は、この危
険を回避するために、蓋5の密閉保持装置(インターロック機構)を提供するものであり
、先ずその基本構成を記載する。
【0018】
本発明の蒸気滅菌器1の蓋5の密閉保持装置(インターロック機構)の基本構成は、非
通電・通電にてロックピン21を突出・退避作動するロックソレノイド装置20を備え、
蓋5がチャンバー4の上面開口3を密閉した状態において、ハンドル10の操作によって
蓋5を開くことができないようにするために、蓋5がチャンバー4の上面開口3を密閉し
た状態においては、ロックソレノイド装置20の非通電によりロックピン21が突出して
、蓋5を開く方向へのハンドル10の回転が阻止されるものである。
この基本構成を採用した具体的な実施態様を以下に記載する。
【0019】
先ず、この基本構成を採用した蒸気滅菌器1の実施態様について説明する。蒸気滅菌器
1は、支持部7を中心としたアーム9の横方向回動により、蓋5が開口3の上方位置にあ
ることを検出する第1検出スイッチ19と、抑え部8に設けられアーム9の自由端9Aの
上動位置を検出する第2検出スイッチ15と、非通電にて突出し通電にて退避するロック
ピン21の作用にて蓋5が開口3を密閉した状態を保持するように、ハンドル10の回転
を阻止するロックソレノイド装置20とを備えている。そして、ロックソレノイド装置2
0の通電状態において、蓋5が開口3を外れた位置から開口3の上方位置へ移動したこと
を第1検出スイッチ19が検出し、アーム9の自由端9Aの上動位置を第2検出スイッチ
15が検出した状態でのロックソレノイド装置20の非通電により、ロックピン21の突
出にてハンドル10の回転が阻止されて蓋5が開口3を密閉した状態に維持される構成で
ある。
【0020】
上記において、蓋5が開口3の上方位置へ移動したことを第1検出スイッチ19が検出
し、アーム9の自由端9Aの上動位置を第2検出スイッチ15が検出したことにより、ロ
ックソレノイド装置20が非通電となるようにしてもよいが、実施例では、蓋5が開口3
の上方位置へ移動したことを第1検出スイッチ19が検出し、アーム9の自由端9Aの上
動位置を第2検出スイッチ15が検出した状態で、滅菌動作開始指令によってロックソレ
ノイド装置20が非通電となるようにしている。
【0021】
滅菌動作開始指令は、後述のように、コントロールボックス2Aに設けたスタートボタ
ン23のON操作により、それに対応したコントロールボックス2A内のスタートスイッ
チが作動(この場合はスイッチON)することによって発せられる。また、上記コントロ
ールボックス2Aには、蒸気滅菌器1の動作モードの選択、動作条件の設定等のためのス
イッチ操作部が配置され、これに関連する制御回路を有する制御部(図示せず)等が収容
されている。
【0022】
図2などには、コントロールボックス2Aの上面に配置したスイッチ操作部等の配置構
成の一つを示している。図において、23はスタートボタン、26は電源スイッチボタン
、27はリセットスイッチボタン、28は温度設定スイッチボタン、29は時間設定スイ
ッチボタン、30はON(押す)ごとに温度または時間をアップ(増加)させるアップス
イッチボタン、31はON(押す)ごとに温度または時間をダウン(減少)させるダウン
スイッチボタンである。32は温度設定スイッチボタン28、時間設定スイッチボタン2
9、アップスイッチボタン30、及びダウンスイッチボタン31によって設定した温度お
よび時間を表示する表示部である。33は圧力検知部(圧力センサとも称する)22で検
出したチャンバー4内の圧力を表示する圧力計である。
【0023】
蒸気滅菌器1の滅菌条件である温度設定を行う場合は、温度設定スイッチボタン28を
ONし、アップスイッチボタン30及びダウンスイッチボタン31によって滅菌温度を設
定する。また滅菌条件である時間設定を行う場合は、時間設定スイッチボタン29をON
し、アップスイッチボタン30及びダウンスイッチボタン31によって滅菌時間を設定す
る。設定のやり直しは、リセットスイッチボタン27をONした後、再度上記の操作によ
って滅菌温度及びまたは滅菌時間を設定する。
【0024】
ロックソレノイド装置20の非通電により、ロックピン21の突出にてハンドル10の
回転を阻止する構成は種々考えられるが、その一つの構成を図に基づき説明する。図にお
いて、ハンドル10と一体化するように、ハンドル軸13を中心としてロック受け部材1
6が、取り付け部10Sの中央基部10S1に一体的に設けられている。ロック受け部材
16は、中央基部10S1と一体成形でもよく、また別個のものを中央基部10S1に取
り付ける構成でもよい。この構成において、蓋5が開口3を閉じた状態で、ロックソレノ
イド装置20の非通電によりロックピン21が突出し、突出したロックピン21がロック
受け部材16に形成した係止孔16Aに侵入して、ハンドル10の回転による蓋5の開放
動作が阻止される。
【0025】
蒸気滅菌器1の電源スイッチ(図示せず)のON等によって、蒸気滅菌器1へ電源が印
加された状態(電源投入状態)になる。この電源印加によって、ロックソレノイド装置2
0のコイル20Aに通電され、コイルスプリング25に抗して(コイルスプリング2を圧
縮して)ロックピン21が吸引位置へ引っ込む(図では下方へ移動する)。この状態にお
いて、図2及び図4に示すように、チャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移
動してチャンバー4内へ被滅菌物を収容することができる。
【0026】
上記のように、コントロールボックス2Aに設けられているスイッチ操作部の操作によ
って、蒸気滅菌器1の滅菌条件が設定される。滅菌条件を設定した後、図3のように、蓋
5がチャンバー4内の上面開口3の上方位置となるようにアーム9を回動させると共に、
アーム9の自由端9Aを抑え部8に嵌め込む。抑え部8は、一方向に受入口8Bを開放し
た構成であり、アーム9の回動によってアーム9の自由端9Aは、この受入口8Bから侵
入し、この受入口8Bの奥側に設けた停止部8Cに衝突した位置に保持される。この状態
で、蓋5はチャンバー4内の上面開口3の真上位置となる。
【0027】
第1検出スイッチ19は、蓋5が開口3の上方位置にあることを検出するためのもので
あり、支持部7を中心としたアーム9の横方向回動により、ON−OFF動作する。具体
的には図7に示すように、第1検出スイッチ19は、支持部7の下方位置において、本体
部2の上面を形成する上面板2Pの下側に取り付けた支持板17の側面に取り付けられて
いる。第1検出スイッチ19の作動部19Aの上方には、コイルバネ36によって上方へ
付勢されたスイッチ作動棒35が、支持板17から水平方向へ延びた上下のガイド板17
A、17Bに、垂直方向に上下動可能に支持されている。コイルバネ36によって上方へ
付勢されたスイッチ作動棒35は、本体部2の上面板2Pと支持部7の基部を貫通して、
その先端35Aが、アーム9の横方向回動軌跡上となる位置で、支持部7の基部の上面か
ら若干突出(実施例では2.5mm突出)しており、蓋5が開口3の真上となる位置へ回
動したアーム9によって、スイッチ作動棒35が下方へ押されて、第1検出スイッチ19
が作動する(実施例ではONする)仕組みである。なお、スイッチ作動棒35は、支持部
7の基部を貫通しているため、作業者の手や被滅菌物などから受ける作用力(外力という
)にて、スイッチ作動棒35が変形し第1検出スイッチ19の正規の作動が阻害される、
ということを防止できる。
【0028】
第1検出スイッチ19の作動の具体的構成について説明する。図2及び図4に示すよう
に、チャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動した状態では、スイッチ作動
棒35は、コイルバネ36によって上方へ付勢されて突出した上限位置にあり、この状態
で、蓋5が開口3の真上となる位置へ向けてアーム9を回動することによって、スイッチ
作動棒35の丸みを呈する先端35Aが、アーム9の支持端9Bの下面と側面との丸みを
呈する交差部9Cに当接し、この交差部9Cに案内されてコイルバネ36を圧縮しつつス
イッチ作動棒35が押し下げられ、アーム9の自由端9Aが受入口8Bの奥側に設けた停
止部8Cに衝突した位置で、作動棒35の先端35Aがアーム9の下面に入り込んだ位置
となる。スイッチ作動棒35が下方へ押されるこの一連の動作によって、スイッチ作動棒
35が第1検出スイッチ19の作動部19Aを押し、第1検出スイッチ19が作動(実施
例ではON)する。
【0029】
次に、第2検出イッチ15の作動の具体的構成について説明する。図6等に示すように
、抑え部8の上辺8Aには、第2検出スイッチ15が設けられているため、アーム9の自
由端9Aが上動(上方向移動)して抑え部8の上辺8Aに当接したとき、第2検出イッチ
15が作動(実施例ではスイッチON)する仕組みである。
【0030】
上記のように、アーム9の自由端9Aが抑え部8に嵌め込まれて停止部8Cに衝突した
状態で、蓋5はチャンバー4内の上面開口3の真上位置となる。このように蓋5がチャン
バー4内の上面開口3の真上位置となった状態において、ハンドル10を正方向回転させ
てハンドル軸13を正方向回転させることにより、ハンドル軸13がアーム9に対して下
動(下方向移動)し、蓋5が下動する。蓋5の下動により環状パッキン6がチャンバー4
の上面開口3に当接しつつ圧縮され、上面開口3が閉塞される。この状態から更にハンド
ル10を正方向回転させることにより、雄螺子11と螺合する雌螺子部12の関係によっ
て、アーム9の自由端9Aが上動(上方向移動)し、遂に抑え部8の上辺8Aによってこ
の上動(上方向移動)が制限される。この状態から更にハンドル10を正方向回転させる
ことにより、アーム9を基準とする蓋5の支え状態でもって、環状パッキン6を更に圧縮
しつつハンドル軸13と共に蓋5が下動(下方向移動)し、環状パッキン6の更なる圧縮
状態となり、チャンバー4内が気密状態となる。抑え部8の上辺8Aには、第2検出スイ
ッチ15が設けられているため、アーム9の自由端9Aが上動(上方向移動)して抑え部
8の上辺8Aに当接したとき、第2検出スイッチ15が作動(実施例ではスイッチON)
する。
【0031】
上記のように、第1検出スイッチ19により蓋5がチャンバー4の上面開口3の真上位
置となったことを検出し、且つ第2検出スイッチ15により蓋5がチャンバー4の上面開
口3を密閉したことを検出した状態で、コントロールボックス2Aに設けたスタートボタ
ン23をON操作することにより、それに対応したコントロールボックス2A内のスター
トスイッチが作動(この場合はスイッチON)し、滅菌動作開始指令が発せられる。この
滅菌動作開始指令を受けて、制御部(図示せず)によってロックソレノイド装置20が非
通電となり、それによってロックピン21がコイルスプリング25によって上方へ突出し
、突出したロックピン21がロック受け部材16に形成した係止孔16Aに侵入して、ハ
ンドル10の回転による蓋5の開放動作が阻止される。
【0032】
本発明の蒸気滅菌器1は、上記基本構成を採用した第1の実施態様の構成に加えて、ロ
ックソレノイド装置20によってハンドル10がロックされたことを検出した状態で滅菌
工程に入るが、ロックソレノイド装置20によってハンドル10がロックされていない場
合は、滅菌工程に入らないようにして、安全対策を講じている。この技術として、ハンド
ル10の回転による蓋5の開放動作が阻止された状態の検出に、第3検出スイッチ24が
設けられている。
【0033】
ロックソレノイド装置20と第3検出スイッチ24の関係は、図8に示すように、アー
ム9を前後から挟むようにアーム9に取り付けた支持板18の取り付け部18Aに、略垂
直にロックピン21が向くようにロックソレノイド装置20が取り付けられ、ロックピン
21と一体に設けた環状の作動部21Aに対して、第3検出スイッチ24の作動部24A
の先端部24A1が対応するように、第3検出スイッチ24が支持板18の取り付け部1
8Aに取り付けられている。
【0034】
この構成によって、図8に示すように、突出したロックピン21がロック受け部材16
に形成した係止孔16Aに侵入したことにより、ロックピン21の作動部21Aが第3検
出スイッチ24の作動部24Aを押し、第3検出スイッチ24が作動する(実施例ではO
Nする)。第3検出スイッチ24が作動(この場合はスイッチON)したことにより、前
記制御部(図示せず)によって、設定した滅菌条件に従って、滅菌動作がスタート(開始
)する。
【0035】
滅菌動作の開始によって、チャンバー4内に自動的に所定量の水が注水される。なお、
予めチャンバー4内に所定量の水を溜めておく構成でもよい。また、この滅菌動作の開始
によって、チャンバー4内底部に設けたヒータ(図示せず)に通電され、チャンバー4内
の水が加熱蒸発し、制御部(図示せず)によって滅菌動作が進行し、所定の滅菌工程、チ
ャンバー4内の排気工程等、所定の工程を行なって滅菌動作が終了する。
【0036】
本発明の蒸気滅菌器1は、更に安全対策の構成である。即ち、蒸気滅菌器1は、チャン
バー4内の圧力を検知する圧力検知部(圧力センサとも称する)22を備えている。これ
は、チャンバー4内の排気工程によって、チャンバー4内が安全な圧力低下状態になった
とき、ハンドル10の操作にて蓋5を開くことができるようにしている。具体的には、滅
菌動作の一連の動作であるチャンバー4内の排気工程によって、チャンバー4内が安全な
圧力低下状態(実施例ではゼロ気圧・・・大気圧)になったことを圧力検知部(圧力セン
サとも称する)22が検出することによって、前記制御部(図示せず)によってロックソ
レノイド装置20が通電状態となり、ロックピン21が吸引されてロック受け部材16に
形成した係止孔16Aから退避し、開口3を開くために蓋5を上昇させるようにハンドル
10が逆回転可能状態となる。ハンドル10の逆回転によって、蓋5が上方へ移動してチ
ャンバー4の上面開口3から離れる。この状態で、アーム9を回動させて蓋5をチャンバ
ー4の上面開口3から外れた位置へ移動させ、チャンバー4内の被滅菌物の取り出しを行
なうことができる。
【0037】
上記のように、第1検出スイッチ19、第2検出スイッチ15、第3検出スイッチ24
が、第1検出スイッチ19、第2検出スイッチ15、第3検出スイッチ24の順に作動し
たとき、滅菌動作が開始するように前記制御部(図示せず)によって制御し、この順序に
よらない場合は滅菌動作が開始されないように前記制御部(図示せず)によって制御すれ
ば、安全動作が達成できる蒸気滅菌器1となる。この場合、滅菌動作が開始しないときは
、前記制御部(図示せず)によって警告ランプの点灯またはブザーの作動等の警報装置に
よって警告すれば、使用者はそれに気付き、前記電源スイッチを一旦OFFした後ONす
るか、リセットスイッチがあればそれをONすることにより、最初から操作をやり直すこ
とができる。
【0038】
なお、蓋5とハンドル軸13との連結は、ハンドル軸13の回転に伴って蓋5が回転す
るものでもよいが、この場合は環状パッキン6が上面開口3の縁部との摩擦によって、環
状パッキン6が破損し易くなる。これを解決するために、図6に示すように、ハンドル軸
13の回転に伴って蓋5が回転しないように、ハンドル軸13の下端に形成した環状の係
合部13Aが蓋5の中心部の係合部5Aに遊嵌状態であり、これによって両者の連結が回
転フリーの構成となっている。具体的には、係合部5Aは、側面からねじ込まれたネジ5
Pが内方へ突出し、このネジ5Pがハンドル軸13の係合部13Aに侵入係合することに
より、ハンドル軸13の回転に伴って蓋5が回転しない状態で、蓋5がハンドル軸13に
支持されている。このため、ハンドル軸13の回転に伴って蓋5は上下方向移動するが、
蓋5は回転しない構成である。
【0039】
上記では、チャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動してチャンバー4内
へ被滅菌物を収容した状態で、コントロールボックス2Aに設けられているスイッチ操作
部の操作によって、蒸気滅菌器1の動作モードの選択、動作条件の設定によって、滅菌条
件を設定している。これに替わって、スイッチ操作部の操作によって滅菌条件を設定した
後、チャンバー4内の上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動してチャンバー4内へ被滅菌
物を収容するようにしてもよい。
【0040】
ロック受け部材16、支持板18、ロックソレノイド装置20、第3検出スイッチ24
は、外部から見えないように、アーム9の前後からそれぞれ前後の支持板18にネジにて
取り付けた前後の装飾カバー37によって覆われている。また、ロックソレノイド装置2
0及び第3検出スイッチ24への給電用リード線38、38は、コントロールボックス2
A内に配置した制御部(図示せず)の基板から本体部2内を経て本体部2の上面板2Pを
貫通して支持部7近傍を通り、アーム9に沿ってアーム9の下面に形成した溝40内に収
容され、アーム9の下面にネジ48にて取り付けられるカバー板41で覆われた状態で配
線されている。これによって、何らかの状況によってアーム9の上方から水滴が降りかか
っても、リード線38をその水滴から保護することができる。また、リード線38は、本
体部2の上面板2Pを貫通してアーム9の溝40へ至る部分が、ゴムなどの可撓性カバー
39で覆われて保護されており、アーム9の左右方向への回動に余裕をもって対応できる
ように、途中の部分が動き得る状態に保持環42によって支持されている。
【0041】
次に、蒸気滅菌器1の制御動作を以下に説明する。電源スイッチボタン26のON操作
によって、蒸気滅菌器1の電源が印加された状態(電源投入状態)になる。この状態で、
ロックソレノイド装置20は通電の状態である。このため、ロックピン21がコイルスプ
リング25を圧縮して下方へ吸引された状態であり、ロックピン21がロック受け部材1
6よりも下方位置となっている。
【0042】
この状態において、図2及び図4に示すように、支持部7を軸としてチャンバー4内の
上面開口3を外れた位置へ蓋5を移動してチャンバー4内へ被滅菌物を収容する。被滅菌
物を収容した後、上記のように、コントロールボックス2Aの上面に配置したスイッチ操
作部の操作によって、蒸気滅菌器1の動作条件である滅菌温度及び滅菌時間を設定する。
この滅菌の動作条件の設定は、上記のように被滅菌物を収容する前に行なってもよい。そ
して、蓋5がチャンバー4内の上面開口3の上方位置となるようにアーム9を回動させる
ことにより、第1検出イッチ19が作動(この場合スイッチON)する。これと共に、ア
ーム9の自由端を抑え部8に嵌め込む。抑え部8は一方向に受入口8Bを開放した構成で
あり、アーム9の回動によってアーム9の自由端は、この受入口8Bから侵入し、この受
入口8Bの奥側に設けた停止部8Cに衝突した位置に保持される。この状態で、蓋5はチ
ャンバー4内の上面開口3の真上位置となる。
【0043】
この状態で、ハンドル10を正方向回転させてハンドル軸13を正方向回転させること
により、ハンドル軸13がアーム9に対して下動(下方向移動)し、蓋5が下動する。蓋
5の下動により環状パッキン6がチャンバー4の上面開口3に当接しつつ圧縮され、上面
開口3が閉塞される。この状態から更にハンドル10を正方向回転させることにより、雄
螺旋11と螺合する雌螺旋部12の関係によって、アーム9の自由端が上動(上方向移動
)し、抑え部8の上辺8Aによってこの上動(上方向移動)が制限される。この状態から
更にハンドル10を正方向回転させることにより、アーム9を基準とする支え状態でもっ
て、環状パッキン6を更に圧縮しつつハンドル軸13と共に蓋5が下動(下方向移動)し
、環状パッキン6の更なる圧縮状態となり、チャンバー4内が気密状態となる。アーム9
の自由端が上動(上方向移動)して抑え部8の上辺8Aに当接したとき、第2検出イッチ
15が作動(この場合はスイッチON)する。
【0044】
上記のように、第1検出スイッチ19により蓋5がチャンバー4の上面開口3の真上位
置となったことを検出し、且つ第2検出スイッチ15により蓋5がチャンバー4の上面開
口3を閉じたことを検出した状態で、コントロールボックス2Aに設けたスタートボタン
23をON操作することにより、それに対応したコントロールボックス2A内のスタート
スイッチが作動(この場合はスイッチON)し、滅菌動作開始指令が発せられる。この滅
菌動作開始指令を受けて、コントロールボックス2A内に配置した制御部(図示せず)に
よって、図8に示すように、ロックソレノイド装置20が非通電となり、それによってロ
ックピン21がコイルスプリング25によって上方へ突出し、突出したロックピン21が
ロック受け部材16に形成した係止孔16Aに侵入して、ハンドル10の回転による蓋5
の開放動作が阻止される。
【0045】
突出したロックピン21がロック受け部材16に形成した係止孔16Aに侵入したこと
により、ロックピン21の作動部21Aが第3検出スイッチ24の作動部24Aを押し、
第3検出スイッチ24が作動する(実施例ではONする)。第3検出スイッチ24が作動
(この場合はスイッチON)したことにより、前記制御部(図示せず)によって、設定し
た動作条件に従って、滅菌動作がスタート(開始)する。
【0046】
滅菌動作の開始によって、チャンバー4内に自動的に所定量の水が注水され、以後、上
記実施例1に記載した順序の動作が行なわれ、滅菌動作の一連の動作であるチャンバー4
内の排気工程によって、チャンバー4内が安全な圧力低下状態(実施例ではゼロ気圧・・
・大気圧)になったことを圧力検知部(圧力センサとも称する)22が検出する。この圧
力を圧力検知部22が検知したことにより(且つチャンバー4内の温度が安全な所定温度
以下に低下したことを図示しない温度センサが検知したことを条件とすることもできる)
、制御部(図示せず)によってロックソレノイド装置20が通電状態となる。これによっ
て、ロックピン21が吸引されてロック受け部材16に形成した係止孔16Aから退避し
、開口3を開くために蓋5を上昇させるようにハンドル10が逆回転可能状態となる。
【0047】
滅菌動作の終了によりチャンバー4内の圧力が所定値以下に低下した状態で、表示部3
2に滅菌動作の終了を知らせる表示が出る。この表示は、例えば、「滅菌動作の終了」の
文字等で表示部32に表示される。また、このときのチャンバー4内の圧力は、圧力計3
3の表示を見て安全確認ができる。このような表示によって滅菌動作の終了が確認できる
ため、ハンドル10の逆回転操作を行うことにより、蓋5が上方へ移動してチャンバー4
の上面開口3から離れる。この状態で、アーム9を回動させて蓋5をチャンバー4の上面
開口3から外れた位置へ移動させ、チャンバー4内の被滅菌物の取り出しを行なうことが
できる。
【0048】
上記のように、実施例では、滅菌動作が開始した後は、滅菌動作中は勿論のことチャン
バー4内の圧力が上昇した状態であれば、ロックソレノイド装置20によってハンドル1
0の回転により蓋5を開くことができないように維持できるため、蒸気の流出による危険
を回避できる。そして、チャンバー4内の圧力が所定値以下(実施例ではゼロ気圧・・・
大気圧)に低下すれば、ハンドル10の回転により蓋5を開くことができるため、チャン
バー4内の圧力が高いときに蓋5が開かれることにより生じる蒸気の流出による危険を回
避できる。また、既に使用中である蒸気滅菌器に対して、本発明の蓋5の密閉保持装置を
追加することによって、既存の蒸気滅菌器の安全性を容易に向上させることができるもの
となり、既存の蒸気滅菌器の買い替えなしに安全に継続使用が可能となり、経費節減効果
も十分発揮できるものとなる。
【0049】
上記実施例では、停電などにより蒸気滅菌器1の電源が切れたときの安全対策も講じら
れている。即ち、蒸気滅菌器1が滅菌動作中はチャンバー4内の圧力が高いため、この状
態において蒸気滅菌器1の電源が切れた場合、そのとき蓋5が開かれればチャンバー4内
の上記が噴出して危険である。そのために、蒸気滅菌器1の電源が切れたときは、ロック
ソレノイド装置20がOFF(非通電)となって、ロックピン21がロック受け部材16
の係止孔16Aに嵌った状態を維持することにより、この危険を回避できるものとなる。
【0050】
[実施例2]
図9乃至図11には、ロックソレノイド装置20及び第3検出スイッチ24への給電構
造の他の実施例を示している。図1乃至図8と同様部分には同一符号を付している。図9
乃至図11において、支持部7を取り囲むようにアーム9の支持端9Bに環状カバー45
(カラー45とも称する)が、ネジ49によって取り付けられている。この環状カバー4
5の取り付けによって、支持部7と環状カバー45との間に、環状の空間46が形成され
る。
【0051】
ロックソレノイド装置20及び第3検出スイッチ24への給電用リード線38、38は
、コントロールボックス2A内に配置した制御部(図示せず)の基板から本体部2内を経
て、本体部2の上面板2Pに支持部7に沿って形成した円弧状の長孔47を貫通し、支持
部7と環状カバー45との間の空間46を通り、アーム9に沿ってアーム9の下面に形成
した溝40内に収容され、アーム9の下面にネジ48で止められるカバー板41で覆われ
た状態で配線されている。
【0052】
これによって、実施例1の構成のようなリード線38を覆う可撓性カバー39や保持環
42なしに、アーム9の左右方向への回動と共に環状カバー45も回動し、リード線38
は途中の部分が動き得る状態になり、アーム9の左右方向への回動にて切断されることな
く維持される。なお、他の部分は、上記実施例1と同様であるため、上記実施例1の説明
を援用するものとする。
【0053】
[実施例3]
図12には、支持部7を中心としたアーム9の横方向回動により、蓋5が上面開口3の
上方位置にあることを検出する第1検出スイッチ19の作動機構に替わる他の実施形態を
示す。図1乃至図8と同様部分には同一符号を付している。
【0054】
図9乃至図11と同様に、支持部7を取り囲むようにアーム9の支持端9Bに環状カバ
ー45(カラー45とも称する)が、ネジ49によって取り付けられている。この環状カ
バー45の取り付けによって、支持部7と環状カバー45との間に、環状の空間46が形
成される。この環状空間46内に配置される状態で、支持部7の外周面に第1検出スイッ
チ19が取り付けられている。また、環状空間46内に配置される状態で、環状カバー4
5の内面には、スイッチ作動棒35に替わる部材として、第1検出スイッチ19の作動部
19Aを押して第1検出スイッチ19を作動(実施例ではON)するためのスイッチ作動
部材50が取る付けられている。
【0055】
この構成によって、支持部7を中心としたアーム9の横方向回動により、蓋5が上面開
口3の上方位置から外れた状態では、図12に示すように、スイッチ作動部材50が、第
1検出スイッチ19の作動部19Aから離れた位置にあり、第1検出スイッチ19はOF
F状態である。そして、支持部7を中心としたアーム9の横方向回動により、蓋5が上面
開口3の上方位置に移動することに伴って、スイッチ作動部材50が回動し、第1検出ス
イッチ19の作動部19Aを押して、第1検出スイッチ19を作動(実施例ではON)す
る。
【0056】
この構成によって、第1検出スイッチ19と第1検出スイッチ19を作動するスイッチ
作動部材50が、環状カバー45によって覆われた状態であるため、外部力による破損や
誤動作もなく、安定した状態を保持できるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、上記実施例に限定されず、縦型チャンバー方式の種々の形態の蒸気滅菌器に
適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0058】
1・・・・・蒸気滅菌器
2・・・・・本体部
2A・・・・コントロールボックス
3・・・・・上面開口
4・・・・・縦型チャンバー
5・・・・・蓋
6・・・・・環状パッキン
7・・・・・支持部
8・・・・・抑え部
9・・・・・アーム
10・・・・ハンドル
11・・・・雄螺旋
12・・・・雌螺旋
13・・・・ハンドル軸
15・・・・第2検出スイッチ
16・・・・ロック受け部
19・・・・第1検出スイッチ
20・・・・ロックソレノイド装置
21・・・・ロックピン
22・・・・圧力検知部
23・・・・スタートボタン
24・・・・第3検出スイッチ
25・・・・コイルスプリング
26・・・・電源スイッチボタン
27・・・・リセットスイッチボタン
28・・・・温度設定スイッチボタン
29・・・・時間設定スイッチボタン
30・・・・アップスイッチボタン
31・・・・ダウンスイッチボタン
32・・・・表示部
33・・・・圧力計
35・・・・スイッチ作動棒
36・・・・コイルバネ
37・・・・装飾カバー
38・・・・リード線
40・・・・溝
41・・・・カバー板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の上面に開口した縦型チャンバーと、前記開口周縁部に密着する環状パッキンを
備えて前記開口を開閉する蓋と、前記本体部の上面に前記開口を挟む位置に支持部と抑え
部が配置され自由端が前記抑え部に対して上下動可能になるよう他端部が前記支持部に横
方向回動可能に支持されたアームと、上端部にハンドルを備え下端部に前記蓋を支持し中
間部に形成した螺子部が前記アームを上下に貫通形成した螺子部に螺合するハンドル軸を
有し、前記ハンドルの回転に伴う前記ハンドル軸の回転によって生じる前記アームの自由
端の上動が前記抑え部により制限されると共に前記蓋の下動により前記開口が密閉され、
前記チャンバー内で被滅菌物を蒸気にて滅菌する蒸気滅菌器において、
非通電にて突出し通電にて退避するロックピンを備え前記ロックピンの突出にて前記ハ
ンドルの回転を阻止するロックソレノイド装置を備え、
前記蓋が前記開口を密閉した状態において、前記ロックソレノイド装置の非通電による
前記ロックピンの突出にて、前記蓋を開く方向への前記ハンドルの回転が阻止されること
を特徴とする蒸気滅菌器。
【請求項2】
本体部の上面に開口した縦型チャンバーと、前記開口周縁部に密着する環状パッキンを
備えて前記開口を開閉する蓋と、前記本体部の上面に前記開口を挟む位置に支持部と抑え
部が配置され自由端が前記抑え部に対して上下動可能になるよう他端部が前記支持部に横
方向回動可能に支持されたアームと、上端部にハンドルを備え下端部に前記蓋を支持し中
間部に形成した螺子部が前記アームを上下に貫通形成した螺子部に螺合するハンドル軸を
有し、前記ハンドルの回転に伴う前記ハンドル軸の回転によって生じる前記アームの自由
端の上動が前記抑え部により制限されると共に前記蓋の下動により前記開口が密閉され、
前記チャンバー内で被滅菌物を蒸気にて滅菌する蒸気滅菌器において、
前記支持部を中心とした前記アームの横方向回動により前記蓋が前記開口の上方位置に
あることを検出する第1検出スイッチと、
前記抑え部に設けられ前記アームの自由端の上動位置を検出する第2検出スイッチと、
非通電にて突出し通電にて退避するロックピンの作用にて前記蓋が前記開口を密閉した
状態に前記ハンドルの回転を阻止するロックソレノイド装置とを備え、
前記蓋が前記開口を外れた位置から前記開口の上方位置へ移動したことを前記第1検出
スイッチが検出し、前記アームの自由端の上動位置を前記第2検出スイッチが検出した状
態で前記ロックソレノイド装置を非通電とすることで、前記ロックピンの突出にて前記ハ
ンドルの回転を阻止し前記蓋が前記開口を密閉した状態に維持されることを特徴とする蒸
気滅菌器。
【請求項3】
本体部の上面に開口した縦型チャンバーと、前記開口周縁部に密着する環状パッキンを
備えて前記開口を開閉する蓋と、前記本体部の上面に前記開口を挟む位置に支持部と抑え
部が配置され自由端が前記抑え部に対して上下動可能になるよう他端部が前記支持部に横
方向回動可能に支持されたアームと、上端部にハンドルを備え下端部に前記蓋を支持し中
間部に形成した螺子部が前記アームを上下に貫通形成した螺子部に螺合するハンドル軸を
有し、前記ハンドルの回転に伴う前記ハンドル軸の回転によって生じる前記アームの自由
端の上動が前記抑え部により制限されると共に前記蓋の下動により前記開口が密閉され、
前記チャンバー内で被滅菌物を蒸気にて滅菌する蒸気滅菌器において、
前記支持部を中心とした前記アームの横方向回動により前記蓋が前記開口の上方位置に
あることを検出する第1検出スイッチと、
前記抑え部に設けられ前記アームの自由端の上動位置を検出する第2検出スイッチと、
非通電にて突出し通電にて退避するロックピンの作用にて前記蓋が前記開口を密閉した
状態に前記ハンドルの回転を阻止するロックソレノイド装置と、
前記ロックピンの作動を検出する第3検出スイッチとを備え、
前記蓋が前記開口を外れた位置から前記開口の上方位置へ移動したことを前記第1検出
スイッチが検出し、前記アームの自由端の上動位置を前記第2検出スイッチが検出した状
態で滅菌動作開始スイッチの作動により前記ロックソレノイド装置が非通電となり前記ロ
ックピンの突出にて前記ハンドルの回転が阻止されて前記蓋が前記開口を密閉した状態に
維持され、
前記ロックピンの突出にて前記第3検出スイッチが作動して滅菌動作がスタートするこ
とを特徴とする蒸気滅菌器。
【請求項4】
本体部の上面に開口した縦型チャンバーと、前記開口周縁部に密着する環状パッキンを
備えて前記開口を開閉する蓋と、前記本体部の上面に前記開口を挟む位置に支持部と抑え
部が配置され、自由端が前記抑え部に対して上下動可能になるよう他端部が前記支持部に
横方向回動可能に支持されたアームと、上端部にハンドルを備え下端部に前記蓋を支持し
中間部に形成した螺子部が前記アームを上下に貫通形成した螺子部に螺合するハンドル軸
を有し、前記ハンドルの回転に伴う前記ハンドル軸の回転によって生じる前記アームの自
由端の上動が前記抑え部により制限されると共に前記蓋の下動により前記開口が密閉され
、前記チャンバー内で被滅菌物を蒸気にて滅菌する蒸気滅菌器において、
前記支持部を中心とした前記アームの横方向回動により前記蓋が前記開口の上方位置に
あることを検出する第1検出スイッチと、
前記抑え部に設けられ前記アームの自由端の上動位置を検出する第2検出スイッチと、
非通電にて突出し通電にて退避するロックピンの作用にて前記蓋が前記開口を密閉した
状態に前記ハンドルの回転を阻止するロックソレノイド装置と、
前記ロックピンの作動を検出する第3検出スイッチと、
前記チャンバー内の圧力検知部を備え、
前記ロックソレノイド装置は前記蒸気滅菌器の電源投入にて通電されて前記ロックピン
が退避した状態であり、
前記蓋が前記開口を外れた位置から前記開口の上方位置へ移動したことを前記第1検出
スイッチが検出し、前記アームの自由端の上動位置を前記第2検出スイッチが検出した状
態で滅菌動作スタートスイッチの作動により前記ロックソレノイド装置が非通電となり前
記ロックピンの突出にて前記ハンドルの回転が阻止されて前記蓋が前記開口を密閉した状
態に維持され、
前記ロックピンの突出にて前記第3検出スイッチが作動して滅菌動作がスタートし、
滅菌動作終了に伴う前記チャンバー内の圧力低下が前記圧力検知部により検出されたと
き、前記ロックソレノイド装置の通電にて前記ロックピンが退避して前記ハンドルを回転
可能状態とすることを特徴とする蒸気滅菌器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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