説明

蒸留用充填物

【課題】性能を向上し、生産コストを安くできる蒸留用充填物を提供する。
【解決手段】蒸留法に使用される蒸留用充填物1であって、扁平状の金属製細線11をコイル状にカールして形成した金属コイル状体10を製造し、この金属コイル状体で所望の大きさ、かつ、所望形状の成形物12を形成する。前記成形物で充填物1を構成する。金属製細線11としてステンレス鋼製細線を採用する。成形物12は略円柱形状に形成することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸留法において、蒸留塔,分留塔,分留管に充填して使用する充填物に関する。さらに詳しくは、複数成分の液体混合物を蒸留法により分離するに際し、前記蒸留塔等に充填して使用する蒸留用充填物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化学,化学工業,薬学等化学に関する学術的研究、及び実業において、蒸留,分留等の操作は非常に多く実施されている。
【0003】
蒸留法としては、例えば、蒸留塔や分留塔(又は分留管)内に充填物を充填する充填式と、前記蒸留塔等内に遮閉板や棚段等を多段に配置した多段式(段型式とも言う)とが一般に広く知られている。本発明は充填式の蒸留法に使用する充填物に関するものである。
【0004】
充填式の蒸留法は、例えば、次のような方法により行なわれている。以下、その一例の概要につき、図4を参照して説明する。図4は充填式の蒸留法に使用する一例の蒸留装置2の構成及びその使用方法を概略的に示す説明図である。同図において、20は分留塔(又は分留管、或いは蒸留塔)、21は塔20の下端に接続した蒸留釜、22は塔20の上端(頂部)に接続した塔頂室、23は塔頂コンデンサー、24はコンデンサーの冷却室(熱交換室)に設けた蒸気入口、25は還流管、26は前記冷却室の下端に設けた留出口(蒸気留出口)、27は留出口26を開閉する電磁弁を示す。28は上端を連結管29によりコンデンサー23の熱交換室(冷却室)の留出口26と連結して配設した冷却器(コンデンサー)、30は冷却器28の下端に接続して設けた受け器(採集容器)、31は受け器30の下端に突設した流出管32に介装した開閉コックを示す。また、33は蒸留釜21に設けた温度計、34は塔頂室22に設けた温度計を示す。
【0005】
図4に示す蒸留装置2は上記のように構成されている。そこで、蒸留用充填物1を塔20内に充填すると共に蒸留(分留)する液体混合物35(溶液)を釜21内に封入し、電磁弁27で留出口26を閉じる。そして、釜21を加熱すると、溶液35は蒸気化し、この蒸気(混合蒸気)は塔20内に入り、充填物1と接触しながら塔20内を上昇するが、この上昇課程において充填物との接触で熱交換され、沸点の高い成分は液化して充填物に付着し、沸点の低い成分は液化しないのでそのまま上昇して塔頂室22内に達し、蒸気入口24から塔頂コンデンサー23の冷却室(熱交換室)内に導入される。
【0006】
上記のように、加熱気化した蒸気(混合蒸気)は塔20内を上昇中、充填物及び液化して充填物に付着した液体と接触して熱交換され、高沸点の成分は塔20内の途中で液化して流下し、釜21内へ還流され、低沸点の成分は気化状態のまま上昇し、塔頂室22内へ入り、蒸気入口24から塔頂コンデンサーの熱交換室(冷却室)内へ導入され、ここにおいて熱交換(冷却)される。そして、留出口26は電磁弁により閉じられているので、熱交換室内へ導入された蒸気は前記熱交換により次第に液化し、還流管25から室外に滴下して塔20内に戻り、還流する。このように、留出口26が閉じている間においては、加熱により蒸気化した蒸気(混合蒸気)は全て還流(全還流)する。
【0007】
そこで、上記のように加熱還流が始まってから所定時間経過後に塔頂温度が安定したのを確認し、電磁弁27により留出口26を開く。これにより、上述したように塔頂コンデンサーの熱交換内へ導入された蒸気は留出口26から留出し、連結管29を通って冷却器28内へ導入され、ここで冷却されて液化(凝縮)して受け器30へ採集される。
上記のようにして、釜21内の液体混合物35(溶液)は、成分の沸点の高低により分別され、分離される。なお、上記蒸留装置は、上述したように一例として開示したものである。
【0008】
さて、従来、蒸留法に使用される充填物として、球状形(ガラス球)、陶管(円筒形),マクマホン等、種々のものが一般に知られている。これらの充填物は、目的の液体混合物(溶液)の成分の種類や用途等に応じて適当に選択して使用されている。また、本発明者が開発したガラス管(円筒形)もある。
ところで、充填物の性能の良・不良の重要な判断基準の1つとして、単位体積当りに充填される充填物の表面積の大小(大であるほど良)がある。
【0009】
そこで、上記に例示した従来例についてみると、まず、球状形のガラス球(先行例1)は他の形状に比べて表面積が最も小さい。この場合、球体を多孔質に形成すれば、表面積は増大するが、小さなガラス球体(直径約3〜5ミリ)に多数の小孔を形成することは製造上困難である。
【0010】
次に陶管(先行例2)は、小径(例えば、外径約3〜5ミリ)の陶製の管材を輪切りにしたもので、先行例1のガラス球よりは表面積は幾分大きくなるが、それでも以外に小さい。また、円筒形のガラス管(先行例4)は小径(外径約3〜5ミリ)のガラス製の管材を輪切りにしたもので、陶管と同様である。
【0011】
次にマクマホン(先行例3)は、幅約6mmのステンレス製の網を略U字形に曲げて形成したもので、先行例2及び4の円筒形(陶管及びガラス管)に比べて表面積は幾分大になるが、あまり差は認められない。
【0012】
そこで、本発明者は、表面積を増大すべく、上述した先行例4の円筒形のガラス管よりなる充填物を、充填物(ガラス管)の軸心線と直交する線と平行に輪状に切断して薄幅のリング状に形成した充填物を試作した(以下、「リング形」という)。このリング形の充填物により先行例2及び4の円筒形の充填物に比べて表面積を約2倍ないし約3倍に増大することができることを見出した。
【0013】
しかるに、リング形の充填物においても次のような問題を有していることが判明した。
即ち、分留塔(蒸留塔)及び前記充填物を充分乾燥させ、塔内に充填物をランダムに充填したにもかかわらず、その一部(数にして全体の約1/20)の充填物が4個ないし6個程度、あたかも意図的に重ねたようになってしまうことが判明した。この実験は何回も繰返して行なったが、毎回ほぼ同じような結果が出た。この現象については、充填物の切断面の形状が円形であることが大きな要因となっているものであるが、それ以外に静電気、確率、偶然等、種々の原因が考えられるが、正確な結論は解明されていない。しかるに、充填物が上記したように重なってしまうと、切断前の状態、即ち、先行例4の円筒状のガラス管の充填物と同じになってしまうことになる。
【0014】
本発明者は上記したリング形の充填物の重なりの問題を解消すべく、さらに、研究,実験した結果、特許文献1に記載の充填物を開発した。この充填物(先行例5)は、ガラス製の管材を、管材の軸心軸に対して直交しない方向へ輪切り状に切断して楕円形のリング状に形成し、かつ、リング状体に多数の小凹凸を全体的に形成したものである。
【0015】
上記先行例5の充填物によれば、リング状体は楕円形に形成されているので、リング状体同士が重なって筒状になるのを防止できる。また、リング状体には多数の小凹凸が全体的に形成されている。したがって、表面積は大幅に増大され、これにより気液の接触面を大幅に増大できるので、先行例1〜4に比べて性能をアップし、優れた分留効果を発揮させることができる。しかるに、先行例5の充填物は製造に手間が掛り、製造コストが高くなる点において問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第2523048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、上述した先行例5の充填物と比べて同等程度の性能(分留効果)を発揮すると共に生産コストを大幅に安くすることができる蒸留用充填物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明のうち、1つの発明(第1の発明)は、蒸留法に使用される蒸留用充填物であって、
扁平状の金属製細線をコイル状にカールして形成した金属コイル状体で構成されていることを特徴とする。なお、本発明において「コイル状」の用語は、「螺旋状」の意味も含む概念として用いられている。また、「金属コイル状体」の用語は、螺旋状にカールして形成した「金属螺旋状体」も含む概念として用いられている。
【0019】
本発明の他の1つの発明(第2の発明)は、第1の発明の蒸留用充填物において、前記金属コイル状体で所望の大きさ、かつ、所望形状の成形物を形成してなることを特徴とする。
【0020】
本発明のさらに他の1つの発明(第3の発明)は、第2の発明の蒸留用充填物において、前記成形物が略円柱形状の成形物であることを特徴とする。
【0021】
本発明のさらに他の1つの発明(第4の発明)は、第2の発明の蒸留用充填物において、前記成形物は、略円柱形状の成形物を円周方向に向けて放射状に複数個に略等分割した分割ブロック成形物で形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明において、扁平状の金属製細線としては、扁平状のステンレス鋼製細線を採用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば次のような効果を奏する。
(1)扁平状の金属製細線をコイル状にカールして形成した金属コイル状体で構成されているので、充填物の表面積は大幅に増大され、これにより気液の接触面を大幅に増大できる。したがって、極めて優れた性能を発揮する充填物を得ることができる。
(2)生産コストを大幅に低減した充填物を提供することができる。
(3)充填物の充填密度を任意に調整できるので、充填密度を大にすることにより、性能をさらにアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態の蒸留用充填物を示す図であって、同図(a)は本発明の前記充填物よりなる成形物で形成した一実施形態の蒸留用充填物の構成を概略的に示す斜視図、同図(b)は本発明の前記充填物の一部をを拡大し、その構成を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明の前記充填物よりなる成形物で形成した他の実施形態の蒸留用充填物の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】本発明の前記充填物よりなる成形物で形成したさらに他の実施形態の蒸留用充填物を示す図であって、同図(a)は前記充填物を形成した状態の構成を概略的に示す平面図、同図(b)は前記充填物を形成する1個の分割ブロック成形物の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】充填式の蒸留法に使用される一例の蒸留装置の構成及びその使用方法の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施形態(実施形態1)の蒸留用充填物を示す。図1(b)に詳細に示すように、本発明の蒸留用充填物1は、扁平状の金属製細線11をコイル状ないし螺旋状にカール(カール巻き)して形成した金属コイル状体10で構成されている。
【0027】
実施形態1の前記金属製細線11はステンレス鋼製細線で構成されている。金属製細線11の肉厚及び幅は特に限定するものではないが、例えば、肉厚0.01mmないし約0.08mm、幅約0.3mm〜約1.5mm程度の範囲を挙げることができる。但し、上記範囲内に限定するものではない。
【0028】
前記金属コイル状体10の直径についても特に限定するものではないが、例えば、直径(外径)約2mmないし約5mm程度の範囲を挙げることができる。但し、上記範囲内に限定するものではない。金属コイル状体10の長さは特に限定されるものではなく、所望に応じて任意に決定できる。例えば、金属コイル状体10の長さとして、約5ミリないし約10メートル程度の範囲を挙げることができる。但し、上記範囲内に限定するものではなく、5ミリ以下、或いは10メートル以上の長さに形成することができる。
【0029】
金属製細線11は、例えば、直径約0.1mmないし約0.3mm程度の金属製の丸線(本実施形態ではステンレス鋼製の丸線)を押しつぶして扁平状に加工することにより形成できる。そして、金属コイル状体10は、例えば、上記のように扁平状に加工した金属製細線11(扁平状の金属製細線)をコイル状ないし螺旋状にカール(カール巻き)して形成したものである。なお、前記細線11を構成するステンレス鋼製の丸線の直径は一例として挙げたもので、上記範囲に限定するものではない。
【0030】
前記扁平状の金属製細線11及び金属コイル状体10は、例えば、従来一般に知られている「金属たわし」と同様の製造加工方法により製造することができる。金属コイル状体10は、隣接するカール部11a同士をコイルスプリング状に接触させてカール巻きして形成してもよく、或いは隣接する各カール部11a間に、図1(b)に示すように、所望の間隙部11bを形成してカール巻きして構成してもよい。
【0031】
本発明において、蒸留用充填物は、前記金属コイル状体10を、上述した構成の形態(例えば、図1(b)に示す形態)のままで構成し、これをそのまま使用できる。また、前記金属コイル状体10で所望の大きさ、かつ、所望形状の成形物を形成し、この成形物で蒸留用充填物を構成することができる。
【0032】
実施形態1では、図1(a)に示すように、金属コイル状体10で略円柱形状の所望の大きさの成形物12で蒸留用充填物1Aが構成されている。前記円柱形状の成形物12は、例えば、円筒形状等の製造型(図示せず)を使用し、或いはその他の任意の方法により製造できる。
【0033】
前記成形物12の大きさは、特に限定されないが、例えば、直径約10mmないし約90mm、高さ約50mmないし約150mm程度の範囲に形成できる。但し、上記範囲に限定するものではない。
【0034】
実施形態1の蒸留用充填物1Aは、上記のように構成され、図4に示すように、前記成形物よりなる充填物1Aをそのままの状態で、或いは適当にほぐして分留塔20(蒸留塔)内に充填し、従来と同様に使用される。なお、分留塔20の内径と前記略円柱状の成形物12(充填物1A)の直径が略同径の場合には、成形物12を直列状に積み重ねて前記塔20内に充填する。この場合、前記塔20の内壁面と成形物12の外壁面との間に間隙部が生じた場合には、別の成形物12をほぐし、或いは図1(b)に示す金属コイル状体10(充填物1)を間隙部に詰めて間隙部を無くす。
【0035】
図2は本発明の他の実施形態(実施形態2)の蒸留用充填物1Bを示す。実施形態2の前記充填物1Bにおいて、実施形態1で既に説明した構成と共通する構成部等には同一符号を付して説明を省略する。この点については、後述する実施形態においても同様である。
【0036】
実施形態2の蒸留用充填物1Bは、前記成形物12の大きさに特徴がある。即ち、この実施形態2の前記成形物12は、実施形態1の前記成形物12に比べて大径の略円柱形状に形成されている。実施形態2の前記成形物12は、例えば、直径約100mmないし約200mm、高さ約50mmないし約100mmの略円柱形状に形成されている。但し、上記範囲に限定されるものではない。他の構成は実施形態1と同様である。
【0037】
実施形態2の充填物1Bは上記のように構成され、実施形態1の前記充填物と同様に使用される。
【0038】
図3は本発明のさらに他の実施形態(実施形態3)の蒸留用充填物1Cを示す。実施形態3は充填物の構成に特徴がある。
【0039】
本実施形態3の成形物12Aは、実施形態2の成形物12と同様に略円柱形状に形成(但し、大きさは異なる)した成形物を円周方向に向けて放射状に複数個(図示では4個)に等分割した分割ブロック成形物12Aで形成されている。そして、実施形態3の充填物1Cは、前記ブロック成形物12Aを4個組み合わせて1個の略円柱形状の成形物で形成するように構成されている。実施形態3の前記成形物12Aは大型の充填物(例えば直径約1mないし約2m)を製造する際に採用される。他の構成は実施形態1と同様である。
【0040】
実施形態3の蒸留用充填物1Cは上記のように構成され、実施形態1の充填物1と同様に使用される。
【0041】
<実験例>
次に本発明の蒸留用充填物及び上述した従来の蒸留用充填物(先行例3〜5)について比較して実施した実験例について説明する。
【0042】
蒸留塔、分留塔、或いは分留塔(以下、単に「蒸留塔」という)の性能の良否は蒸留用充填物(以下、単に「充填物」という)の性能によるところが大きい。
蒸留塔の性能評価は、下記に示すフェンスケの式(下記表1)で理論段数を測定し、一段当たりの蒸留高さH.E.T.P.(Height Equivalent to a Theoretical Plate)(mm/段)で比較する。
【0043】
【表1】

【0044】
上記式(表1)中、Nは理論段数、XDLは全還流時の塔頂低沸点組成(モル分率)、XDHは塔頂高沸点組成(モル分率)、XWLは蒸留釜低沸点組成(モル分率)、XWHは蒸留釜高沸点組成(モル分率)、αは低沸点、高沸点2成分間の相対比揮発度を示す。また、「−1」は蒸留釜21を1段としたため、1をマイナスしたものである。
H.E.T.P.の値は小さいほど蒸留効率が良いことを示す。
【0045】
本実験例は、容積500mLの蒸留釜、内径18mm,高さ(充填高さ)600mmの蒸留塔を備えた蒸留装置を使用し、また、測定用試薬として、nヘプタン及びメチルシクロヘキサン(相対揮発度α=1.075)を使用して実施した。
具体的には、nヘプタンとメチルシクロヘキサンを各75mL(合計150mL)蒸留釜に仕込み、加熱還流が始まってから約1時間後に、塔頂温度が安定したのを確認し、釜及び塔頂(受け器)から試量液を採取し、ガスクロマトグラフ分析機器によって各組成を計算し、フェンスケの式を用いて理論段数を算出した。さらに、充填高さ(600mm)を段数で割ってH.E.T.P.を求めた。その計測結果を下記表2に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
上記表2中、「使用充填物」の項目の本発明(本発明1及び2)は、直径0.15mmのステンレス鋼製の丸線を押しつぶして平扁状に加工形成した扁平状の金属製細線を直径(外径)約3.0mmのコイル状にカールして形成した金属コイル状体で構成した充填物を示す。比較例1は、上述した先行例5のガラス製の楕円形のリング状体(直径3.0mmのガラス製の管材を1.0〜1.5mm厚に斜めに切断した楕円形のリング状体)で構成した充填物を示す。また、比較例2は、上述した先行例3のマクマホン(幅約6mmのステンレス製の網を略U字形に曲げて形成したもの)で構成した充填物を示す。さらにまた、比較例3は、直径(外径)4mm、長さ4mmの円筒形のガラス管(上述した先行例4)で構成した充填物を示す。
【0048】
上記表2により明らかなとおり、本発明1及び2の充填物は、比較例2及び3の充填物に比べ、性能を大幅にアップすることが判明した。また、本発明2は、比較例1に比べ、性能はやや劣るが、本発明1のように、充填物の密度を調整して大にすることにより、比較例1と同等程度ないし幾分大の性能を発揮することが判明した。この場合、本発明1、2の充填物の製造コストは比較例1に比べはるかに安価である。また、本発明1、2の充填物は、比較例2及び3より安価に製造できる。
【0049】
なお、上記した各実施形態の蒸留用充填物実施形態は一例として開示したもので、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想を越脱しない範囲において任意に変更可能なものである。
【符号の説明】
【0050】
1 蒸留用充填物
10 金属コイル状体
11 金属製細線
12 成形物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸留法に使用される蒸留用充填物であって、
扁平状の金属製細線をコイル状にカールして形成した金属コイル状体で構成されている
ことを特徴とする、蒸留用充填物。
【請求項2】
前記金属コイル状体で所望の大きさ、かつ、所望形状の成形物を形成してなることを特徴とする、請求項1に記載の蒸留用充填物。
【請求項3】
前記成形物が略円柱形状の成形物であることを特徴とする、請求項2に記載の蒸留用充填物。
【請求項4】
前記成形物は、略円柱形状の成形物を円周方向に向けて放射状に複数個に略等分割した分割ブロック成形物で形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の蒸留用充填物。
【請求項5】
前記金属製細線がステンレス鋼製細線であることを特徴とする、請求項1に記載の蒸留用充填物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−125841(P2011−125841A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48868(P2010−48868)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(591196474)有限会社桐山製作所 (4)
【Fターム(参考)】