説明

蒸発濃縮装置および蒸発濃縮方法

【課題】消泡剤を添加することなく、発泡性の液体の蒸発濃縮を行えるようにする。
【解決手段】被処理液を大気圧以下の減圧状態で蒸発させる蒸発器1と、前記蒸発器1の底部に貯留される被処理液を、前記蒸発器1の上部に戻すように循環させる循環手段とを備え、循環手段は、被処理液を循環させる循環ポンプ5として容積式ポンプを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発濃縮装置および蒸発濃縮方法に関し、更に詳しくは、発泡性の液体を濃縮するのに好適な蒸発濃縮装置および蒸発濃縮方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を蒸発濃縮する蒸発濃縮装置として、例えば、特許文献1には、下部に濃縮処理される廃液等の被処理液が貯留される密閉型の蒸発器内の上部に、複数の伝熱管を設け、各伝熱管の外表面に、循環ポンプによって供給される被処理液を散布ノズルで散布することによって蒸発させ、発生した蒸気を、蒸気エゼクターで圧縮して昇温し、この昇温した蒸気を、ダクトを介して前記各伝熱管内に供給することによって、各伝熱管の外表面に散布される被処理液を加熱、蒸発させるようにした蒸発濃縮装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−24202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる蒸発濃縮装置によって濃縮される被処理液である廃液が、発泡性の液体である場合がある。このような発泡性の液体を蒸発濃縮する過程で多量に泡が発生すると、安定した良好な蒸発濃縮が行われなくなり、生産性が低下する。
【0005】
このため、従来では、被処理液が発泡性の廃液である場合には、通常、廃液に消泡剤を添加して化学的に発泡を抑制している。
【0006】
しかしながら、被処理液が、例えば、お茶、コーヒー、スープエキス等の発泡性の食品用の液体であるような場合には、添加物の使用はできるだけ避ける必要があり、また、風味等の品質に影響を与えないようにするためにも、消泡剤を添加するのは好ましくない。
【0007】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、消泡剤を添加することなく、発泡性の液体を蒸発濃縮させることができる蒸発濃縮装置および蒸発濃縮方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意研究した結果、蒸発器の被処理液を循環させる循環ポンプとして用いられている渦流ポンプは、ケーシング内の羽根の高速回転によって渦流を起こして液体を吸い上げて押出すものであって、発泡が生じ易く、これに対して、一定量の液体を吸込んで押出す容積式ポンプは、発泡を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
(1)すなわち、本発明の蒸発濃縮装置は、被処理液を大気圧以下の減圧状態で蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器の底部に貯留される被処理液を、前記蒸発器の上部に戻すように循環させる循環手段とを備える蒸発濃縮装置であって、
前記循環手段は、前記被処理液を循環させる循環ポンプとして容積式ポンプを備える。
【0010】
本発明によれば、循環ポンプを、容積式ポンプとしているので、従来の渦流ポンプに比べて、発泡を抑制することができ、これによって、発泡性の液体を、消泡剤を添加することなく、濃縮することができる。
【0011】
(2)本発明の蒸発濃縮装置の好ましい実施態様においては、前記蒸発器内には、被処理液を加熱する複数の伝熱管が配置され、前記循環手段は、前記蒸発器の底部に貯留される被処理液を、前記容積式ポンプによって前記蒸発器の上部に戻して、前記伝熱管の外表面に供給するものであり、前記蒸発器には、該蒸発器の底部に貯留される被処理液に対して、前記容積式ポンプによって循環される被処理液の一部を分岐して消泡用液として散布する散布手段を備える。
【0012】
この実施態様によると、蒸発器の底部に貯留される被処理液に対して、循環される被処理液の一部を分岐して消泡用液として散布するので、蒸発器の底部に貯留される被処理液の気泡の成長を阻止し、一層効果的に被処理液の発泡を抑制することができる。
【0013】
(3)上記(2)の実施態様においては、前記散布手段は、前記消泡用液を散布する消泡用ノズルを備え、前記消泡用ノズルが、前記複数の伝熱管からなる伝熱管群の外側方に配置される。
【0014】
この実施態様によると、被処理液を加熱する複数の伝熱管の外表面には、循環手段によって被処理液が供給されるので、複数の伝熱管からなる伝熱管群の下方の領域には、伝熱管による加熱で蒸発しなかった被処理液が流下し、この流下する被処理液によって、蒸発器の底部に貯留される被処理液の気泡の成長を阻止して発泡を抑制することができる一方、伝熱管群の下方以外の領域には、消泡用ノズルから消泡用液を、蒸発器の底部に貯留される被処理液に散布するので、貯留される被処理液の気泡の成長を阻止して発泡を抑制することができる。これによって、蒸発器の底部に貯留する被処理液の発泡を、伝熱管群から流下する被処理液と消泡用ノズルから散布される消泡用液とによって効率的に抑制することができる。
【0015】
(4)本発明の蒸発濃縮装置の好ましい実施態様においては、前記被処理液が、食品用の液体である。
【0016】
この実施態様によると、被処理液である食品用の液体が、発泡性の液体である場合に、添加物となる消泡剤を加えることなく、したがって、消泡剤の添加による風味等の品質を損なうことなく、発泡を抑制して食品用の液体を濃縮することができる。
【0017】
(5)本発明の蒸発濃縮方法は、被処理液を大気圧以下の減圧状態で蒸発させる蒸発器の底部に貯留される被処理液を、前記蒸発器の上部に戻すように循環ポンプによって循環させる蒸発濃縮方法であって、前記循環ポンプが容積式ポンプである。
【0018】
本発明の蒸発濃縮方法によれば、循環ポンプを、容積式ポンプとしているので、従来の渦流ポンプに比べて、発泡を抑制することができ、これによって、発泡性の液体を、消泡剤を添加することなく、濃縮することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、循環ポンプを、容積式ポンプとしているので、従来の渦流ポンプに比べて、発泡を抑制することができ、これによって、発泡性の液体を、消泡剤を添加することなく、濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の一実施形態の蒸発濃縮装置の構成図である。
【図2】図2は図1の蒸発濃縮装置を側面方向から見た構成図である。
【図3】図3は本発明の他の実施形態の蒸発濃縮装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面によって本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る蒸発濃縮装置の構成図であり、図2は、その側面方向から見た構成図である。
【0023】
この実施形態の蒸発濃縮装置は、被処理液として、発泡性のある食品用の液体、例えばお茶やコーヒー等を蒸発濃縮するものであり、密閉型の蒸発器1を備えている。この蒸発器1は、全体として縦長の直方体形状であって、底部が四角錐形状をなしている。
【0024】
この蒸発器1の四角錐状の底部は、被処理液を貯留する液溜部18となっており、その上部には、左右一対のヘッダー2,3が設けられると共に、両ヘッダー2,3の間を繋ぐ複数の伝熱管4が水平方向に設けられている。また、両ヘッダー2,3の内、一方の入口側のヘッダー2内には、入口室2aと折り返し室2bとを区画する仕切り板2cが設けられ、他方の出口側のヘッダー3内には、折り返し室3aと出口室3bとを区画する仕切り板3cが設けられる。
【0025】
液溜部18の被処理液は、循環ポンプ5によって循環管路6を介して、蒸発器1内の上部に設けた散布ノズル7に供給され、この散布ノズル7から各伝熱管4の外表面に向かって散布した後、蒸発器1内の底部の液溜部18に流下するという循環を行うように構成されている。循環管路6の途中には、濃縮した被処理液を排出するための排出管路8が接続されている。蒸発器1には、原液としての被処理液を供給するための原液供給管路23が接続されている。
【0026】
循環ポンプ5、循環管路6及び散布ノズル7によって、液溜部18に貯留される被処理液を、蒸発器1の上部から伝熱管4の外表面に供給するように循環させる循環手段が構成される。
【0027】
蒸発器1の上部は、蒸気管路19を介して圧縮機9に接続されており、蒸発器1からの蒸気は、この圧縮機9によって圧縮され、蒸気管路20を介して入口側のヘッダー2に供給される。
【0028】
出口側のヘッダー3上部の出口室3bには、蒸発器1内を大気圧以下に減圧するための真空ポンプ10が接続される一方、下部の折り返し室3aには、凝縮水を排出する凝縮水ポンプ11が接続される。
【0029】
この実施形態の蒸発濃縮装置は、上述のように、食品用の液体を濃縮するものであって、サニタリー仕様となっている。すなわち、蒸発器1は、ステンレス鋼からなると共に、主要な管路は、ステンレス製のサニタリー配管で構成されている。
【0030】
更に、この実施形態では、発泡しやすい食品用の液体、例えば、お茶やコーヒー等の被処理液を、消泡剤を添加することなく、濃縮できるようにするために、循環ポンプ5を、従来の渦流ポンプではなく、容積式ポンプとしている。
【0031】
容積式ポンプは、一定量の液体を吸込んで、その液体を押し出すものであって、ギヤポンプやネジポンプなどの回転ポンプ、あるいは、ピストンポンプやダイヤフラムポンプなどの往復ポンプのいずれでもよいが、ギヤポンプなどの回転ポンプが好ましい。
【0032】
循環ポンプ5として使用されている従来の渦流ポンプは、ケーシング内の羽根の高速回転によって渦流を起こして液体を吸い上げて押出すものであって、被処理液の発泡が生じやすい。
【0033】
これに対して、一定量の液体を吸込んで押出す容積式ポンプは、回転子等の可動部材とケーシングとの間の一定容積の空間を満たしながら可動部材の作動により液体を送出するものであって、被処理液の発泡を抑制することができる。
【0034】
また、この実施形態では、循環管路6の途中を分岐させた分岐管路12を設け、この分岐管路12を、蒸発器1内の液溜部18の上方に導入すると共に、液溜部18に貯留される被処理液に対して、分岐管路12を介して供給される被処理液の一部を、消泡用液として散布する複数の消泡用ノズル13を設けている。分岐管路12には、消泡用ノズル13への消泡用液の供給、停止を行う開閉弁24が設けられている。
【0035】
容積式ポンプである循環ポンプ5、循環管路6、分岐管路12及び消泡用ノズル13によって、蒸発器1の液溜部18に貯留される被処理液に対して、被処理液の一部を消泡用液として散布する散布手段が構成される。
【0036】
この実施形態では、消泡用ノズル13は、図2に示すように、複数の伝熱管4が上下方向および左右方向に沿って多段多列の格子状に配列された伝熱管群21の外側方の下方寄りの位置であって、図1に示すように、伝熱管4の長手方向(図1の左右方向)に沿ってそれぞれ3個ずつ、合計6個設置されている。
【0037】
伝熱管群21を構成する各伝熱管4には、上方の散布ノズル7から被処理液が散布されるので、伝熱管4による加熱で蒸発しなかった被処理液は、下方へ流下し、この流下する被処理液によって、伝熱管群21の下方の領域では、液溜部18に貯留される被処理液の気泡の成長を阻止して発泡を抑制することができる。
【0038】
複数の消泡用ノズル13は、伝熱管群21の外側方に設置されているので、伝熱管群21の下方以外の領域の液溜部18に貯留される被処理液に対して、消泡用液を散布することができ、これによって、伝熱管群21の下方以外の領域の液溜部18に貯留される被処理液の気泡の成長を阻止して発泡を抑制することができる。
【0039】
このように蒸発器1の液溜部18に貯留される被処理液の発泡を、伝熱管群21の各伝熱管4から流下する被処理液及び消泡用ノズル13から散布される消泡用液によって、効率的に抑制することができる。
【0040】
この実施形態では、原液供給管路23は、蒸発器1の液溜部18に接続されており、この原液供給管路23からの原液は、液溜部18に貯留される被処理液の液面よりも下方に供給されるので、液面の上方から原液を落下供給する場合に比べて、液溜部18に貯留される被処理液の気泡の生成が抑制される。なお、液溜部18の被処理液が、原液供給管路23へ逆流するのを防止するために、原液供給管路23を、液溜部18に貯留される被処理液の液面よりも上方位置に接続し、被処理液の上方から原液を供給してもよい。
【0041】
消泡用ノズル13の個数は、上述の6個に限らず、被処理液の液面に対して、消泡用液が均一に分散されるように適当数を設置すればよい。また、伝熱管群21の下方の領域の被処理液に対しても消泡用液を散布できるように、伝熱管群21の下方に消泡用ノズル13を設置してもよい。
【0042】
上記構成の蒸発濃縮装置では、蒸発器1内を真空ポンプ10によって減圧すると共に、原液供給管路23から被処理液を蒸発器1内の液溜部18に供給する。更に、蒸気供給管路25を介して高圧蒸気を駆動用の蒸気として供給すると共に、循環ポンプ5を駆動して液溜部18内の被処理液を、蒸発器1内の各伝熱管4の外表面に散布する。
【0043】
散布された被処理液は、蒸発器1内の下部の液溜部18に流下する一方、各伝熱管4の外表面で加熱されて蒸発し、発生した水蒸気は、蒸気管路19から圧縮機9に吸引、圧縮された後、入口側のヘッダー2を介して蒸発器1における各伝熱管4内に導かれて、当該各伝熱管4の外表面に散布される被処理液を加熱するための熱源として利用される。また、分岐管路12の開閉弁24を開放し、循環ポンプ5からの被処理液の一部を消泡用液として消泡用ノズル13から液溜部18の被処理液の液面に散布する。液溜部18には、蒸発濃縮等による減量分の原液が供給される。
【0044】
この実施形態によると、循環ポンプ5として発泡が生じにくい容積式ポンプを用いると共に、消泡用ノズル13によって消泡用液を散布するようにしているので、消泡剤を添加することなく、発泡性の被処理液の発泡を抑制して蒸発濃縮を行うことができる。
【0045】
したがって、発泡しやすい食品用の液体を蒸発濃縮させる際には、消泡剤を添加物として加える必要がなく、風味等の品質に悪影響を及ぼすことがない。
【0046】
また、かかる食品用の液体の蒸発濃縮処理では、食品用の液体の加熱および蒸発を伴うので、蒸発濃縮装置における滞留時間が長くなると、色、味、香りといった品質に影響があるので、滞留時間を短くすることが求められる。
【0047】
この実施形態では、循環ポンプ5として、容積式ポンプを用いており、この容積式ポンプは、従来の渦流ポンプに比べて、NPSH(正味吸込みヘッド)が小さいために、蒸発器1内の液溜部18に貯留される被処理液の水位を低く設定することが可能となる、すなわち、保有液量を少なくできるので、蒸発濃縮装置における被処理液の滞留時間を、従来に比べて短くすることができる。
【0048】
しかも、蒸発器1の底部は、下方に向かって水平断面積が小さくなるコーン状、この実施形態では、四角錐状であるので、蒸発器1内の底部に貯留される被処理液の保有液量を更に少なくすることができ、蒸発濃縮処理における被処理液の滞留時間を、一層短くすることができる。
【0049】
また、この実施形態の蒸発濃縮装置は、被処理液から発生する蒸気を、圧縮機9で圧縮、昇温することによって、伝熱管4で被処理液を加熱、蒸発させるための熱源として利用する、すなわち、被処理液から発生する蒸気の熱を回収して熱源として利用するので、蒸気圧縮式でない濃縮装置に比べてエネルギー効率が高いものとなる。
(実施形態2)
図3は、本発明の他の実施形態に係る蒸発濃縮装置の構成図であり、上述の実施形態に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0050】
この実施形態の蒸発濃縮装置は、密閉型の蒸発器1aを備え、この蒸発器1aの底部の液溜部18に貯留される被処理液は、循環ポンプ5によって循環管路6を介して蒸発器1aの散布ノズル15に供給されるようになっている。循環ポンプ5と散布ノズル15との間の循環管路6の途中には、加熱器14が配置され、この加熱器14によって、循環管路6の被処理液を加熱する。
【0051】
すなわち、加熱器14は、複数の伝熱管を備えており、この伝熱管内を、循環管路6の被処理液が流れる一方,この伝熱管の外側に、蒸発器1aで発生した蒸気を、蒸気エゼクター16を介して導入するように構成されている。
【0052】
また、蒸発器1aの上部と蒸気エゼクター16との蒸気管路22は、分岐されて凝縮器17の上部に接続される。この凝縮器17は、冷却水が供給される複数の伝熱管を内蔵し、蒸発器1aからの蒸気を冷却し、生じた凝縮水が、凝縮水ポンプ11によって排出される。この凝縮器17には、該凝縮器17および蒸発器1aの内部を、大気圧以下の減圧状態に保持するための真空ポンプ10が接続される。また、凝縮器17の下部には、加熱器14の凝縮水が供給される。
【0053】
この実施形態の蒸発濃縮装置も上述の実施形態と同様に、循環ポンプ5は、容積式ポンプであり、また、この循環ポンプ5から加熱器14に至る循環管路6を分岐した分岐管路12を有し、蒸発器1a内に導入された分岐管路12には、被処理液の一部を消泡用液として、液溜部18に貯留される被処理液に散布する複数の消泡用ノズル13が設けられている。
【0054】
この実施形態の蒸発濃縮装置では、蒸発器1aの液溜部18の被処理液は、循環ポンプ5によって循環管路6を介して加熱器14に供給され、この加熱器14を通過するときに、被処理液が加熱される。加熱器14で加熱された被処理液は、減圧状態の蒸発器1aの上部の散布ノズル15から散布されてフラッシュ蒸発する一方、蒸発器1aの底部に流下して液溜部18に溜まるという循環を行う。
【0055】
蒸発器1a内のフラシュ蒸発によって発生した蒸気は,その一部が、蒸気エゼクター16に吸引、圧縮され、蒸気エゼクター16の駆動用の蒸気と共に、加熱器14に導入されて被処理液を加熱する加熱源として利用される。
【0056】
また、フラッシュ蒸発した蒸気の残部は、凝縮器17で凝縮され、凝縮水ポンプ11によって排出される。
【0057】
この実施形態も上述の実施形態と同様に、循環ポンプ5を容積式ポンプとし、また、蒸発器1aの底部の液溜部18に貯留される被処理液に対して、消泡用ノズル13から消泡用液を散布するので、消泡剤を添加することなく、発泡性の被処理液の発泡を抑制して蒸発濃縮を行うことができる。
【0058】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、食品用の液体の濃縮に適用して説明したけれども、本発明は、食品用の液体に限らず、例えば、医薬品や化学薬品用の液体や廃液などの他の液体の濃縮に適用できるものである。
【符号の説明】
【0059】
1,1a 蒸発器
4 伝熱管
5 循環ポンプ(容積式ポンプ)
6 循環管路
7,15 散布ノズル
9 圧縮機
13 消泡用ノズル
16 蒸気エゼクター
21 伝熱管群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液を大気圧以下の減圧状態で蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器の底部に貯留される被処理液を、前記蒸発器の上部に戻すように循環させる循環手段とを備える蒸発濃縮装置であって、
前記循環手段は、前記被処理液を循環させる循環ポンプとして容積式ポンプを備える、
ことを特徴とする蒸発濃縮装置。
【請求項2】
前記蒸発器内には、被処理液を加熱する複数の伝熱管が配置され、
前記循環手段は、前記蒸発器の底部に貯留される被処理液を、前記容積式ポンプによって前記蒸発器の上部に戻して、前記伝熱管の外表面に供給するものであり、
前記蒸発器には、該蒸発器の底部に貯留される被処理液に対して、前記容積式ポンプによって循環される被処理液の一部を分岐して消泡用液として散布する散布手段を備える、
請求項1に記載の蒸発濃縮装置。
【請求項3】
前記散布手段は、前記消泡用液を散布する消泡用ノズルを備え、前記消泡用ノズルが、前記複数の伝熱管からなる伝熱管群の外側方に配置される、
請求項2に記載の蒸発濃縮装置。
【請求項4】
前記被処理液が、食品用の液体である、
請求項1ないし3のいずれかに記載の蒸発濃縮装置。
【請求項5】
被処理液を大気圧以下の減圧状態で蒸発させる蒸発器の底部に貯留される被処理液を、前記蒸発器の上部に戻すように循環ポンプによって循環させる蒸発濃縮方法であって、
前記循環ポンプが容積式ポンプである、
ことを特徴とする蒸発濃縮方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−66843(P2013−66843A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207148(P2011−207148)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000143972)株式会社ササクラ (138)
【Fターム(参考)】