説明

蒸発燃料処理装置

【課題】燃料タンクで発生した燃料蒸気を液化して液体状態で燃料タンクへ戻し、エンジンの吸気管への燃料蒸気パージを不要にできる蒸発燃料処理装置を提供する。
【解決手段】燃料タンク10内で発生した燃料蒸気を、液化促進装置21内へ導入して捕集するとともに凝縮させて液化し、液体となった燃料を燃料クーラ22内へ導入して冷却してから燃料タンク10へ戻す構成としている。これにより、エンジンの吸気管への燃料蒸気パージを不要にできる蒸発燃料処理装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内で発生した燃料蒸気を大気中に放出させずに液化して燃料タンクに戻し、燃料タンク内圧力を大気圧に均圧化させ、パージ制御を不要にする蒸発燃料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蒸発燃料処理装置として、たとえば、燃料タンクで発生した燃料蒸気を捕集するキャニスタと燃料タンクとをエバポ通路で連通し、キャニスタとエンジンの吸気管とをパージ通路で連通し、エバポ通路に蒸発燃料を分離液化して燃料タンクへ戻すベーパセパレータを設けた構成のものがある(特許文献1参照)。
【0003】
上述の従来の蒸発燃料処理装置では、燃料タンク内で発生した蒸発燃料をキャニスタよりも上流側に配置されたベーパセパレータで液化し燃料タンクへ戻し、ベーパセパレータで液化されなかった蒸発燃料のみがキャニスタへ導かれる。そして、キャニスタに吸着捕集された蒸発燃料は、パージ通路およびエンジンの吸気管を経てエンジンの燃焼室へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−242622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来の蒸発燃料処理装置では、ベーパセパレータを設けたことにより、燃料タンク内で発生した蒸発燃料のエンジン吸気管への導入量が低減されるものの、完全に0にはならない。このため、依然として、キャニスタのパージに伴って蒸発燃料がエンジン吸気管へ吸入され、エンジンの空燃費が最適値から外れてエミッション、燃費が悪化する恐れがある。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、燃料タンクで発生した燃料蒸気を液化して液体状態で燃料タンクへ戻し、エンジンの吸気管への導入、いわゆるパージを不要にできる蒸発燃料処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の蒸発燃料処理装置は、燃料タンクと、燃料蒸気を凝縮させる液化促進装置と、燃料タンク内で発生した燃料蒸気を液化促進装置へ導入可能に燃料タンクと液化促進装置とを連通する誘導通路と、液化促進装置内で凝縮された燃料を燃料タンクへ還流可能に液化促進装置と燃料タンクとを連通するリターン通路と、液化促進装置内部と液化促進装置周囲の大気との連通・遮断を切り替える弁であって液化促進装置内部の圧力が大気圧力以上であるときには液化促進装置内部と大気とを遮断状態とし、液化促進装置内部の圧力が大気圧力未満であるときには液化促進装置内部と大気とを連通状態とする弁である第1制御弁と、を備えることを特徴としている。
【0008】
先ず、従来の蒸発燃料処理装置において、燃料タンク内で発生した燃料蒸気を捕集するキャニスタには大気開放口が設けられている。またキャニスタはエバポ通路を介して燃料タンクと連通するとともに、パージ通路が接続されてエンジンの吸気管と連通している。キャニスタは、エンジン停止中に燃料タンク内で発生しエバポ通路を介してキャニスタへ流入した燃料蒸気を吸着捕集して、大気中に燃料蒸気が放散することを防止している。一方、エンジン運転中は、大気開放口からキャニスタに内に導入された空気とともにキャニスタ内に吸着捕集されていた燃料蒸気を、パージ通路を経てエンジンの吸気管内へ供給(いわゆるパージ)している。このため、従来の蒸発燃料処理装置では、パージの際にエンジンが吸入する混合気の空燃比が適正値からずれ、エミッションや燃費が悪化する可能性がある。また、長時間の駐車時等ではキャニスタ内が燃料蒸気で飽和状態となり、燃料蒸気が大気中に放散される可能性がある。
【0009】
これに対して、本発明の請求項1に記載される蒸発燃料処理装置によれば、燃料タンク内で発生した燃料蒸気が誘導通路を経て液化促進装置内へ流入すると、燃料蒸気は液化促進装置内で凝縮して液体となる。この液化された燃料は、リターン通路を経て燃料タンク内へ還流される。すなわち、燃料タンクと液化促進装置とが誘導通路およびリターン通路により連通されて一種の閉塞回路が形成され、燃料は、燃料タンク内で蒸発、液化促進装置内で凝縮液化、燃料タンクへ還流、というサイクルを繰り返している。これにより、従来の蒸発燃料処理装置におけるパージ工程を不要とすることができる。
【0010】
ここで、液化促進装置内における蒸発燃料の液化について説明する。一般に、蒸気粒子が固体表面に付着すると、凝縮潜熱を放出して液体粒子となる。これらの液体粒子が多数凝集して大きな液滴となる。したがって、液化促進装置において多くの燃料蒸気を高効率で凝縮させるために、液化促進装置が具備すべき要件として、同時に多数の燃料蒸気を付着させられるように表面積が大きいこと、生成された液滴が液化促進装置から容易に離脱できるように溌油性に優れること、燃料蒸気が凝縮潜熱を放出し易いように液化促進装置は熱伝導性に優れること、等が上げられる。このため、液化促進装置としては、たとえば、繊維構造を有する素材をケース内に収納した構成等が考えられる。
【0011】
また、本発明の請求項1に記載される蒸発燃料処理装置は、液化促進装置内部の圧力が大気圧力以上であるときには液化促進装置内部と大気とを遮断状態とし、液化促進装置内部の圧力が大気圧力未満であるときには液化促進装置内部と大気とを連通状態とする弁である第1制御弁を備えている。これにより、液化促進装置を経て燃料蒸気が大気中に放散されることを抑止できるとともに、エンジン運転時間の経過に連れて燃料タンク内の燃料が減少すると、適宜第1制御弁を経て外気が燃料タンク内へ導入され燃料タンク内の圧力が均圧化されるのでエンジンの運転が円滑に維持される。
【0012】
以上により、本発明の請求項1に記載される蒸発燃料処理装置によれば、パージ工程が不要な蒸発燃料処理装置を提供することができる。
【0013】
本発明の請求項2に記載の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク内の圧力が液化促進装置内の圧力よりも高いときには誘導通路を連通状態とし、燃料タンク内の圧力が液化促進装置内の圧力以下であるときには誘導通路を遮断状態とする第2制御弁、およびリターン通路の連通・遮断を切り替える第3制御弁の少なくとも一方を備えることを特徴としている。
【0014】
上述の構成において第2制御弁を設けた場合、燃料タンク内における蒸発燃料量がある程度多くなったとき、言い換えると蒸発燃料の分圧が高くなったときに、蒸発燃料を燃料タンクから液化促進装置へ導入している。これにより、液化促進装置内に燃料蒸気が存在する頻度を必要最小限度に抑えて、蒸発燃料が大気中に放散されることを確実に防止できる。
【0015】
液化促進装置は燃料タンクとはある距離を隔てて配置されている。したがって、液化促進装置内で凝縮されて液体となった燃料は、液化促進装置内に留まる間にその温度が低下する可能性がある。そこで、第3制御弁を設けた場合、たとえば、液化促進装置内において凝縮されて液体となった燃料が少ないときには第3制御弁を遮断状態とし、液化促進装置内に溜まった燃料が多くなったときに第3制御弁を連通状態として液化促進装置から燃料タンクへ還流させる、すなわち、凝縮され液体となった燃料を液化促進装置内にしばらくとどめるようにすれば、燃料温度を低下させてから燃料タンクへ還流させることができる。これにより、燃料タンク内の燃料温度上昇を抑制することができる。
【0016】
以上により、パージ工程を不要としつつ、蒸発燃料が大気中に放散されることを確実に防止できること、および燃料タンク内の燃料温度上昇を抑制できることの少なくとも一方が可能な蒸発燃料処理装置を提供できる。
【0017】
この場合、本発明の請求項3に記載の蒸発燃料処理装置のように、第3制御弁を、液化促進装置内の圧力が燃料タンク内の圧力よりも高いときにはリターン通路を連通状態とし、液化促進装置内の圧力が燃料タンク内の圧力以下であるときにはリターン通路を遮断状態とするものとする、すなわち、液化促進装置内の圧力および燃料タンク内の圧力の大きさに応じて連通遮断を切り替える構成としても良いし、あるいは、本発明の請求項4に記載の蒸発燃料処理装置のように、第3制御弁を、液化促進装置内における液体燃料量が所定量よりも多いときにはリターン通路を連通状態とし、液化促進装置内における液体燃料量が所定量以下であるときにはリターン通路を遮断状態とする、すなわち、液化促進装置内に溜まった液体燃料量に応じて連通遮断を切り替える構成としても良い。
【0018】
本発明の請求項5に記載の蒸発燃料処理装置は、燃料タンクと、燃料蒸気を凝縮させる液化促進装置と、液化促進装置内で生成された液体燃料を冷却する冷却装置と、燃料タンク内で発生した燃料蒸気を液化促進装置へ導入可能に燃料タンクと液化促進装置とを連通する誘導通路と、冷却装置内で冷却された燃料を燃料タンクへ導入可能に冷却装置と燃料タンクとを連通するリターン通路と、液化促進装置内部と液化促進装置周囲の大気との連通・遮断を切り替える弁であって液化促進装置内部の圧力が大気圧力以上であるときには液化促進装置内部と大気とを遮断状態とし、液化促進装置内部の圧力が大気圧力未満であるときには液化促進装置内部と大気とを連通状態とする弁である第1制御弁と、を備えることを特徴としている。
【0019】
本発明の請求項5に記載の蒸発燃料処理装置は、本発明の請求項1に記載の蒸発燃料処理装置に対して、液化促進装置内で凝縮された液体燃料が導入されてこの液体燃料を冷却する冷却装置を備えるとともに、液化促進装置と燃料タンクとを連通していたリターン通路を冷却装置と燃料タンクとを連通するように変更した点が異なっている。
【0020】
燃料蒸気が凝縮するときに放出する凝縮潜熱により、液化促進装置内の温度が上昇し液化した燃料温度も高くなる。温度の高い燃料をそのまま燃料タンク内へ戻すと、燃料タンク内の燃料温度が上昇する。エンジンへ供給される燃料温度が上昇すると、エンジン性能、エミッションに悪影響が出る恐れがある。そこで、本発明の請求項5に記載の蒸発燃料処理装置では、液化促進装置で液化された温度の高い燃料を冷却装置で冷却した後に燃料タンクへ還流するようにしている。これにより、パージ工程を不要としつつ、燃料タンク内の燃料温度上昇を抑制することができる蒸発燃料処理装置を提供することができる。
【0021】
本発明の請求項6に記載の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク内の圧力が液化促進装置内の圧力よりも高いときには誘導通路を連通状態とし、燃料タンク内の圧力が液化促進装置内の圧力以下であるときには誘導通路を遮断状態とする第2制御弁、リターン通路の連通・遮断を切り替える第3制御弁、および液化促進装置と冷却装置との連通・遮断を切り替える第4制御弁の少なくとも一つを備えることを特徴としている。
【0022】
第2制御弁を設けた場合、燃料タンク内における蒸発燃料量がある程度多くなったとき、言い換えると蒸発燃料の分圧が高くなったときに、蒸発燃料を燃料タンクから液化促進装置へ導入している。これにより、液化促進装置内に燃料蒸気が存在する頻度を必要最小限度に抑えて、蒸発燃料が大気中に放散されることを確実に防止できる。
【0023】
液化促進装置内で凝縮されて液体となった燃料は、冷却装置内に留まる間に冷却される。そこで、第3制御弁を設けた場合、たとえば、冷却装置内に溜まった燃料量が少ないときには第3制御弁を遮断状態とし、冷却装置内の燃料量が多くなったときに第3制御弁を連通状態として燃料を冷却装置から燃料タンクへ還流させるようにすれば、冷却装置内で燃料温度を十分低下させてから燃料タンクへ還流させられるので、燃料タンク内の燃料温度上昇を確実に抑制することができる。
【0024】
また、第4制御弁を設けて液化促進装置および冷却装置間の連通・遮断を切り替え可能とすれば、液化促進装置から冷却装置への蒸発燃料の流入を必要最小限度に抑えて、冷却装置の温度上昇を抑制することができる。
【0025】
以上により、パージ工程を不要としつつ、蒸発燃料が大気中に放散されることを確実に防止できること、および燃料タンク内の燃料温度上昇を確実に抑制できることの少なくとも一方が可能な蒸発燃料処理装置を提供できる。
【0026】
この場合、本発明の請求項7に記載の蒸発燃料処理装置のように、第3制御弁を、冷却装置内の圧力が燃料タンク内の圧力よりも高いときにはリターン通路を連通状態とし、冷却装置内の圧力が燃料タンク内の圧力以下であるときにはリターン通路を遮断状態とする構成、すなわち、冷却装置内の圧力および燃料タンク内の圧力の大きさに応じて連通遮断を切り替える構成としても良いし、あるいは、冷却装置内における液体燃料量が所定量よりも多いときにはリターン通路を連通状態とし、冷却装置内における液体燃料量が所定量以下であるときにはリターン通路を遮断状態とする構成、のどちらかとする、もしくは両方の構成を備えるようにしてもよい。
【0027】
さらには、本発明の請求項8に記載の蒸発燃料処理装置のように、第4制御弁を、液化促進装置内の圧力が冷却装置内の圧力よりも高いときには連通状態とし、液化促進装置内の圧力が冷却装置内の圧力以下であるときには遮断状態とするもの、あるいは、液化促進装置内における液体燃料量が所定量よりも多いときには連通状態とし、液化促進装置内における液体燃料量が所定量以下であるときには遮断状態とするもの、のどちらかとする、もしくは両方の構成を備えるようにしてもよい。
【0028】
本発明の請求項9に記載の蒸発燃料処理装置では、液化促進装置および冷却装置は一体的に一つの部品として形成されることを特徴としている。
【0029】
このような構成とすることにより、蒸発燃料処理装置の構成部品点数を少なくして組み付け工数を低減することができる。また、車両へ蒸発燃料処理装置を搭載する作業工数を低減することができる。
【0030】
本発明の請求項10に記載の蒸発燃料処理装置は、液化促進装置は、潜熱蓄熱材と、潜熱蓄熱材と燃料蒸気との間で熱交換可能な熱交換手段と、を備えることを特徴としている。
【0031】
潜熱蓄熱材は、物質が相転移(固体から液体へ、液体から気体へ、あるいはこれらの逆)する際に外部とやりとりされる熱である潜熱を蓄えるものである。潜熱は、物質が単に温度変化する際に外部とやりとりされる熱である顕熱と比べて熱量が大きい。したがって、潜熱蓄熱材に潜熱として蓄えられる熱量は、温度変化のみにより熱を蓄える顕熱蓄熱材に蓄えられる熱量と比べて大きくなっている。また、潜熱蓄熱材は、相転移中においてはその温度が一定であるので、一定温度での蓄熱が可能である。
【0032】
燃料蒸気が液化促進装置の熱交換手段を通過して潜熱蓄熱材と熱交換すると、潜熱蓄熱材は相転移しつつ燃料蒸気から吸熱し燃料蒸気の温度が低下し燃料蒸気は凝縮して液体となる。このとき、上述したように潜熱蓄熱材の吸熱量が大きいので、燃料蒸気を高効率で液化する、すなわち、短時間に大量の燃料蒸気を液化することができる。
【0033】
本発明の請求項11に記載の蒸発燃料処理装置は、潜熱蓄熱材は直鎖パラフィン(n−パラフィン)を原材料とするものであることを特徴としている。
【0034】
直鎖パラフィン(n−パラフィン)は、固体・液体間相転移する際の融点が25℃前後の常温領域にあり、成分を調整することで融点すなわち蓄熱温度をある程度自由に設定でき、相転移を繰り返しても劣化しない、等の特徴を備えている。このため、潜熱蓄熱材として直鎖パラフィン(n−パラフィン)を用いることにより、潜熱蓄熱材の融点を、蒸発燃料処理装置の実使用時における燃料蒸気温度に容易に設定でき、燃料蒸気を高効率で確実に液化させることができる。
【0035】
本発明の請求項12に記載の蒸発燃料処理装置は、第1制御弁に替えて分離膜を備え、分離膜を介して液化促進装置内部および誘導通路内部の少なくとも一方を周囲の大気と連通させ、分離膜は、空気を構成する気体である酸素、窒素および水蒸気を透過させ且つ燃料蒸気を構成する炭化水素の透過を阻止するように形成されることを特徴としている。
【0036】
このような構成とすれば、液化促進装置内部および誘導通路内部の圧力が外部の大気圧力よりも高いときは、液化促進装置内部および誘導通路内部の空気が分離膜を透過して外部へ流出し、それにより液化促進装置内部および誘導通路内部の圧力が大気圧力に均圧化される。このとき、液化促進装置内部および誘導通路内部の燃料蒸気は、分離膜により透過が阻止され、外部の大気中に流出することがない。一方、液化促進装置内部および誘導通路内部の圧力が外部の大気圧力よりも低いときは、外部の空気が分離膜を透過して液化促進装置内部および誘導通路内部へ流入し、それにより液化促進装置内部および誘導通路内部の圧力が大気圧力に均圧化される。このように、分離膜を介して液化促進装置内部および誘導通路内部の少なくとも一方を周囲の大気と連通させることで、液化促進装置内部および誘導通路内部の圧力が大気圧力よりも高いとき、および低いときの両方において液化促進装置内部および誘導通路内部の圧力を大気圧力に均圧化することができる。
【0037】
本発明の請求項13に記載の蒸発燃料処理装置は、分離膜は中空糸膜であることを特徴としている。
【0038】
中空糸膜は、燃料蒸気と接触しても微細孔の変形が生じないようにすることで、燃料蒸気分離機能、すなわち燃料蒸気が透過することを阻止する機能を安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20を燃料タンク10に取り付けた状態を示す模式図である。
【図2】チェックバルブ24の拡大模式図である。
【図3】チェックバルブ23の拡大模式図である。
【図4】チェックバルブ26の拡大模式図である。
【図5】チェックバルブ25の拡大模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態による蒸発燃料処理装置20を燃料タンク10に取り付けた状態を示す模式図である。
【図7】本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20を燃料タンク10に取り付けた状態を示す模式図である。
【図8】蒸発燃料分離器60の拡大断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明による蒸発燃料処理装置の一実施形態を、自動車の燃料タンク10に取り付けられる蒸発燃料処理装置20に適用した場合を例に、図面に基づいて説明する。
【0041】
(第1実施形態)
蒸発燃料処理装置20が搭載される自動車のエンジン(図示せず)はガソリンエンジンであり、燃料タンク10内にはガソリンが貯蔵される。燃料タンク10は、図1に示すように、燃料を燃料タンク10外部へ送出するためのポンプモジュール40を備えている。ポンプモジュール40から送出された燃料は、供給通路41を介してエンジン(図示せず)へ供給されている。燃料タンク10には、給油キャップ11が備えられた給油管12が設けられている。
【0042】
蒸発燃料処理装置20は、大きくは、図1に示すように、液化促進装置21、燃料クーラ22を備えている。蒸発燃料処理装置20は、燃料タンク10内で蒸発した燃料蒸気を、液化促進装置21内に捕集するとともに凝縮させて液化し、液体となった燃料を燃料クーラ22内で温度を下げてから燃料タンク10へ還流させるものである。燃料タンク10と液化促進装置21とが、図1に示すように、誘導通路であるエバポ通路27および第2制御弁であるチェックバルブ24を介して接続されている。液化促進装置21と燃料クーラ22とが、図1に示すように、連絡通路30および第4制御弁であるチェックバルブ26を介して接続されている。燃料クーラ22と燃料タンク10とが、図1に示すように、リターン通路28および第3制御弁であるチェックバルブ25を介して接続されている。以下に本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20の構成について説明する。
【0043】
液化促進装置21は、図1に示すように、ケーシング21a内にコンデンサ21bを収容して構成されている。ケーシング21aは、樹脂材料あるいは金属材料等により略直方体状の容器として形成されている。液化促進装置21は、エバポ通路27およびチェックバルブ24を介して燃料タンク10に接続されている。エバポ通路27の燃料タンク10側端部は、図1に示すように、燃料タンク10内の燃料液面Fよりも上方部分、詳しくは、満タン時の液面位置よりも上方部分に開口している。エバポ通路27の液化促進装置21側端部は、図1に示すように、ケーシング21a内のコンデンサ21bよりも上方部分に開口している。本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20において、コンデンサ21bに要求される機能は、燃料蒸気を捕集して凝縮し液化できること、および液化した燃料を速やかにコンデンサ21bから離脱させられること、の二つである。燃料蒸気を高効率で凝縮し液化できるためには、燃料蒸気が付着し凝縮する部位としての表面積が大きいこと、詳しく、ケーシング21a内においてコンデンサ21bが占める体積に対する表面積の割合ができるだけ大きいこと、燃料蒸気が凝縮潜熱を放出し易いように熱伝導率が高いこと等の特性を備えることが必要である。一方、液化した燃料を速やかにコンデンサ21bから離脱させられるためには、ガソリン液滴が付着した際の接触角度がより大きくなる性質、すなわち高溌油性を備えている材質から形成されることが望ましい。以上の性質を具備すべく、本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20では、コンデンサ21bを、樹脂繊維を布状に粗く編んだものを多数重ねて形成している。用いられる樹脂としては、溌油性の高い材質を選択している。なお、コンデンサ21bを形成する繊維素材として、樹脂に限定する必要はなく、金属、たとえばアルミニウム、ステンレス鋼の細線を用いても良い。また、コンデンサ21bを、繊維状素材を編んだ布からではなくて、金属、たとえばアルミニウム、ステンレス鋼等の薄板にプレス加工等により多数のフィンを設けたものを多数重ねて形成してもよい。ケーシング21a内のコンデンサ21bの下方には、図1に示すように、空間が形成されており、コンデンサ21bで凝縮液化された燃料液滴がコンデンサ21bから落下して上述の空間内に溜まる。
【0044】
エバポ通路27には、図1に示すように、第2制御弁であるチェックバルブ24が設けられている。チェックバルブ24は、図2に示すように、リード弁24aを有するリードバルブとして形成されている。すなわち、リード弁24aは、図2に示すように、弁座24bに回転軸24cを軸として回転自在に保持されている。ここで、チェックバルブ24の作動について説明する。図2において、エバポ通路27の上方は液化促進装置21に、エバポ通路27の下方は燃料タンク10にそれぞれ連通しているので、リード弁24aの両面には、燃料タンク10内圧力および液化促進装置21内圧力がそれぞれ作用している。これにより、リード弁24aには、燃料タンク10内圧力により回転軸24cを中心として反時計回りのトルクが作用すると同時に、液化促進装置21内圧力により回転軸24cを中心として時計回りのトルクが作用する。燃料タンク10内圧力が液化促進装置21内圧力以下であるときは、リード弁24aに作用する時計回りのトルクが反時計回りのトルクを上回り、リード弁24aが弁座24bに着座してチェックバルブ24は閉弁している。このため、エバポ通路27が遮断され、燃料タンク10内で発生した燃料蒸気は液化促進装置21へ流入しない。一方、燃料タンク10内圧力が液化促進装置21内圧力より大きいときは、リード弁24aに作用する反時計回りのトルクが時計回りのトルクを上回り、リード弁24aは回転軸24cの周りに回転して弁座24bから離れ、チェックバルブ24は開弁する。このため、エバポ通路27が連通され、燃料タンク10内で発生した燃料蒸気は液化促進装置21へ流入する。燃料蒸気が液化促進装置21へ流入して燃料タンク10内圧力と液化促進装置21内圧力とが等しくなると、リード弁24aは再び弁座24bに着座してチェックバルブ24が閉弁し、燃料タンク10と液化促進装置21とが遮断状態となる。
【0045】
液化促進装置21には、図1に示すように、ケーシング21a内部と外部(大気中)とを連通する均圧通路29が接続され、均圧通路29には、第1制御弁であるチェックバルブ23が設けられている。均圧通路29の液化促進装置21側端部は、図3に示すように、ケーシング21a内のコンデンサ21bよりも上方部分に開口している。チェックバルブ23は、図3に示すように、リード弁23aを有するリードバルブとして形成されている。すなわち、リード弁23aは、図3に示すように、弁座23bに回転軸23cを軸として回転自在に保持されている。ここで、チェックバルブ23の作動について説明する。図3において、リード弁23aの両面には、液化促進装置21内圧力および大気圧力がそれぞれ作用している。これにより、リード弁23aには、液化促進装置21内圧力により回転軸23cを中心として反時計回りのトルクが作用すると同時に、大気圧力により回転軸23cを中心として時計回りのトルクが作用する。液化促進装置21内圧力が大気圧力以上であるときは、リード弁23aに作用する反時計回りのトルクが時計回りのトルクを上回り、リード弁23aが弁座23bに着座してチェックバルブ23は閉弁している。このため、均圧通路29が遮断され、液化促進装置21内の燃料蒸気が大気中へ放散されることが阻止される。一方、液化促進装置21圧力が大気圧力より小さいときは、リード弁23aに作用する反時計回りのトルクが時計回りのトルクより小さくなり、リード弁23aは回転軸23cの周りに時計回りに回転して弁座23bから離れ、チェックバルブ23は開弁する。このため、均圧通路29が連通され、空気が液化促進装置21内へ流入する。そして、この空気流入により液化促進装置21内圧力が上昇し、液化促進装置21内圧力が大気圧力と等しくなると、リード弁23aが再び閉弁し、液化促進装置21内の燃料蒸気が大気中へ放散されることが阻止される。液化促進装置21内圧力が大気圧に均圧化されて燃料タンク10内圧力が大気圧に均圧化されることにより、燃料タンク10からエンジン(図示せず)への燃料供給が円滑に行われる。
【0046】
冷却装置である燃料クーラ22は、液化促進装置21において液化された燃料を滞留させて温度を低下させるためのものである。そのため、燃料クーラ22は、熱伝導性に優れる材質、たとえば、アルミニウム等から略箱状に形成されている。燃料クーラ22の下側の外面には、図1に示すように、複数のフィンが設けられ放熱効果を高めている。燃料クーラ22と液化促進装置21とは、図1に示すように、連絡通路30および第4制御弁であるチェックバルブ26を介して接続されている。連絡通路30の液化促進装置21側端部は、図1に示すように、液化促進装置21の底面に開口し、連絡通路30の燃料クーラ22側端部は、図1に示すように、燃料クーラ22の上面に開口している。これにより、液化促進装置21内で凝縮されその底部にたまった液体燃料は、チェックバルブ26が開弁状態になると連絡通路30を経て燃料クーラ22内へ自重により流入する。
【0047】
チェックバルブ26は、図4に示すように、リード弁26aを有するリードバルブとして形成されている。リード弁26aは、たとえば金属薄板等から形成され、図4に示すように、弁座26bに密着させてその一端側において弁座26bに固定されている。ここで、チェックバルブ26の作動について説明する。リード弁26aの上面、つまり液化促進装置21に対向する面には、液化促進装置21内圧力および液化促進装置21内で凝縮されてチェックバルブ26へ流入した燃料の重量が作用している。一方、リード弁26aの下面には燃料クーラ22内圧力が作用している。液化促進装置21内圧力と燃料クーラ22内圧力との差は、液体燃料の重量に比べて極めて小さいので無視する。チェックバルブ26のリード弁26aの上面に作用する燃料重量は、片持ち梁状のリード弁26aを開弁させるように作用する。燃料量が少ないときは開弁方向に作用する力が小さいため、リード弁26aの弾性変形はほとんどなく、したがってチェックバルブ26は閉弁している。液化促進装置21内で凝縮された燃料量が増加するに連れてリード弁26aを開弁させる方向に作用する力が増大し、やがてリード弁26aは図4中に破線で示すように弾性変形してチェックバルブ26が開弁する。これにより、燃料が燃料クーラ22へ流入する。すると、リード弁26aを開弁させるように作用する力が小さくなり、リード弁26aは元の形状に戻りチェックバルブ26が閉弁し、燃料クーラ22と液化促進装置21とは遮断状態となる。
【0048】
燃料クーラ22は、燃料タンク10と、図1に示すように、リターン通路28および第3制御弁であるチェックバルブ25を介して接続されている。リターン通路28の燃料クーラ22側端部は、図5に示すように、燃料クーラ22の底面に開口し、リターン通路28の燃料タンク10側端部は、図1に示すように、燃料タンク10内の燃料液面より上方の空間に開口している。これにより、燃料クーラ22内に溜まった液体燃料は、チェックバルブ25が開弁状態になるとリターン通路28を経て燃料タンク10内へ自重により流入する。
【0049】
チェックバルブ25は、先に説明したチェックバルブ26と同様の構造を有しており、図5に示すように、リード弁25aを有するリードバルブとして形成されている。リード弁25aは、たとえば金属薄板等から形成され、図5に示すように、弁座25bに密着させてその一端側において弁座25bに固定されている。チェックバルブ25の作動について説明する。リード弁25aの上面、すなわち燃料クーラ22の底面に対向する面には、燃料クーラ22内圧力および燃料クーラ22内の燃料の重量が作用している。一方、リード弁25aの下面には燃料タンク10内圧力が作用している。燃料クーラ22内圧力と燃料タンク10内圧力との差は、液体燃料の重量に比べて極めて小さいので無視する。チェックバルブ25のリード弁25aの上面に作用する燃料重量は、片持ち梁状のリード弁25aを開弁させるように作用する。燃料量が少ないときは開弁方向に作用する力が小さいため、リード弁25aの弾性変形はほとんどなく、したがってチェックバルブ25は閉弁している。燃料クーラ22内の燃料量が増加するに連れてリード弁25aを開弁させる方向に作用する力が増大し、やがてリード弁25aは図5中に破線で示すように弾性変形してチェックバルブ25が開弁する。これにより、燃料が燃料クーラ22から燃料タンク10へ流入する。すると、リード弁25aを開弁させるように作用する力が小さくなり、リード弁25aは元の形状に戻りチェックバルブ25が閉弁し、燃料クーラ22と燃料タンク10とは遮断状態となる。
【0050】
次に、以上説明したように構成された、本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20の作用・効果について説明する。
【0051】
先ず、蒸発燃料処理装置20の作動、すなわち、燃料タンク10と蒸発燃料処理装置20との間の燃料蒸気、空気の流れについて説明する。
【0052】
駐車中においては、燃料タンク10内では燃料であるガソリンが蒸発してガソリン蒸発ガスが発生している。また、燃料タンク10内圧力、すなわち燃料液面上方の空間の圧力、液化促進装置21内圧力、および燃料クーラ22内圧力はほぼ等しくなっている。
【0053】
エンジンが始動されて自動車が走行を開始すると、燃料タンク10が路面からの輻射熱を受けて燃料タンク10内の燃料温度が上昇し、ガソリン蒸気の発生が盛んになるとともに燃料タンク10内圧力が上昇する。すると、燃料タンク10内圧力が液化促進装置21内圧力よりも高くなるのでチェックバルブ24が開弁し、燃料タンク10で発生したガソリン蒸気が液化促進装置21内へ流入する。チェックバルブ24は、燃料タンク10内圧力と液化促進装置21内圧力とが等しくなると閉弁する。
【0054】
液化促進装置21内へ流入したガソリン蒸気は、コンデンサ21bの表面に付着して凝縮して微細な液滴となる。さらに、多数の液滴が凝集して大きい液滴となり、自重によりコンデンサ21bから滑り落ちて液化促進装置21の底部に溜まる。ガソリン蒸気は液化促進装置21内で凝縮する際に凝縮潜熱を放出するが、液化促進装置21がほぼ密閉されているためガソリン温度が上昇する。液化促進装置21のケーシング21aの底部は、図1に示すように、連絡通路30の開口部へ向かって傾斜しているので、コンデンサ21bから離脱したガソリンの雫はケーシング21aの底部に沿って連絡通路30の開口部へ流れる。連絡通路30の開口部周辺に溜まるガソリンが増えると、チェックバルブ26のリード弁26aに対して開弁方向に作用する力が増大し、やがてリード弁26aが弾性変形してチェックバルブ26が開弁する。それにより、ケーシング21aの底部に溜まったガソリンは、連絡通路30を経て燃料クーラ22へ流入する。液化促進装置21内のガソリンが燃料クーラ22へ流出するとチェックバルブ26は再び閉弁する。
【0055】
ガソリンは燃料クーラ22内へ流入し燃料クーラ22の底部に溜まる。ガソリン温度は外気温度よりも高い。ガソリンの熱は熱伝導により燃料クーラ22の底面を経てフィン22aへ伝えられる。フィン22a表面には自動車走行中においては空気が流れている。したがって、ガソリンの熱は、フィン22a表面から空気へ熱伝達により放散される。これにより、燃料クーラ22内においてガソリンが冷却される。燃料クーラ22の底部は、図1に示すように、リターン通路28の開口部へ向かって傾斜しているので、燃料クーラ22へ流入したガソリンは燃料クーラ22の底部に沿ってリターン通路28の開口部へ流れる。液化促進装置21から燃料クーラ22へのガソリン流入の回数が重なるに連れて燃料クーラ22内のガソリン量が増加する。それに伴って、チェックバルブ25のリード弁25aに対して開弁方向に作用する力が増大し、やがてリード弁25aが弾性変形してチェックバルブ25が開弁する。それにより、ケーシング21aの底部に溜まったガソリンは、リターン通路28を経て燃料タンク10へ流入する。燃料クーラ22内のガソリンが燃料タンク10へ流出するとチェックバルブ25は再び閉弁する。
【0056】
エンジンの運転時間経過に連れて燃料タンク10内のガソリンが減少すると、ガソリンの体積が減った分燃料タンク10内圧力が低下する。この場合、チェックバルブ25が開弁した際に、燃料クーラ22からガソリンとともに空気が燃料タンク10へ流入する。そうすると、燃料クーラ22内圧力が低下するが、今度は、チェックバルブ26が開弁した際に、液化促進装置21内の空気が燃料クーラ22内へ流入する。これにより、液化促進装置21内圧力が低下する。ここで、液化促進装置21内圧力が大気圧よりも低くなると、チェック弁23が開弁し、均圧通路29を介して、空気が液化促進装置21内へ流入する。液化促進装置21内圧力が大気圧と等しくなる、つまり均圧化されるとチェック弁23が閉弁し、液化促進装置21内部と外部との連通は遮断される。以上説明したように、ガソリンが消費されて燃料タンク10内圧力が低下すると、チェック弁25、チェック弁26、およびチェック弁23を順次介して、蒸発燃料処理装置20外部から空気が燃料タンク10内へ導入されて、燃料タンク10内圧力が大気圧と均圧化される。これにより、燃料タンク10からエンジンへの燃料供給を円滑に行うことができる。
【0057】
以上説明したように、本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20では、燃料タンク10内で発生したガソリン蒸気を凝縮して液体とし、ついで冷却して温度を下げて燃料タンク10へ戻している。
【0058】
従来の蒸発燃料処理装置では、キャニスタ内に捕集されたガソリン蒸気をエンジンの吸気管へ導入してエンジンで燃焼させ、それによりキャニスタをガソリン蒸気捕集可能状態へ初期化していた。そのため、インジェクタから噴射される燃料に加えてキャニスタからエンジン吸気管へ吸入された蒸発燃料がエンジンへ供給されることになり、エンジンの空燃費が最適値から外れてエミッション、燃費が悪化する恐れがあった。
【0059】
これに対して、本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20は、燃料タンク10内で発生した蒸発燃料に関しては、燃料タンク10と蒸発燃料処理装置20により完全な閉塞サイクルを形成しており、従来の蒸発燃料処理装置におけるパージを一切不要にできる。したがって、空燃比を常に最適に維持してエンジンを運転することができる。
【0060】
(第2実施形態)
図6に、本発明の第2実施形態による蒸発燃料処理装置20を燃料タンク10に取り付けた状態の模式図を示す。図6において、本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20と同一構成要素には同一符号を付してある。
【0061】
本発明の第2実施形態による蒸発燃料処理装置20は、燃料タンク10との相対位置関係が変更され、それに対応して燃料クーラ22内の燃料を燃料タンク10へ移送する方法が変更されている。これら2点の変更点以外の構成および作用は、本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20と同一である。以下に、本発明の第2実施形態による蒸発燃料処理装置20の構成について本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20との相違点を中心に説明する。
【0062】
本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20は、図1に示すように、燃料タンク10の上方に配置されている。これに対して、本発明の第2実施形態による蒸発燃料処理装置20は、図6に示すように、燃料タンク10とは、自動車における上下方向においてほぼ同一高さに並んで配置されている。したがって、燃料クーラ22は、図6に示すように、燃料タンク10の底部付近に配置されているため、燃料クーラ22内の燃料を、その自重により燃料タンク10内へ流入させることができない。そこで、本発明の第2実施形態による蒸発燃料処理装置20では、図6に示すように、燃料クーラ22の下部とポンプモジュール40が備えるジェットポンプ43の吸入口43aとを吸入通路42により連通して、ジェットポンプ40の吸引力により燃料クーラ22内の燃料を燃料タンク10へ汲み上げている。ジェットポンプ43は、ポンプモジュール40のサブタンク(図示せず)内へ燃料タンク10内の燃料を供給するものである。また、第2実施形態においては、第1実施形態においてリターン通路28に設けられていたチェックバルブ25は撤去している。
【0063】
本発明の第2実施形態による蒸発燃料処理装置20によれば、第1実施形態による蒸発燃料処理装置20と同様の効果、すなわち従来の蒸発燃料処理装置におけるパージを一切不要にできる、という効果が得られるとともに、蒸発燃料処理装置20の設置場所、つまり燃料タンク10との相対位置関係如何によらずに、燃料クーラ22内の燃料を燃料タンク10へ戻すことができるので、自動車における設置自由度の高い蒸発燃料処理装置20を提供することができる。
【0064】
(第3実施形態)
図7に、本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20を燃料タンク10に取り付けた状態の模式図を示す。図7において、本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20と同一構成要素には同一符号を付してある。
【0065】
本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20は、本発明の第1実施形態による蒸発燃料処理装置20に対して、構成を2点変更している。すなわち、液化促進装置21に替えて液化促進装置50を備える点、および、第1制御弁であるチェックバルブ23に替えて分離膜である中空糸膜61を備えた燃料蒸気分離器60を設け、液化促進装置50の内部空間を、中空糸膜61を介して外部の大気と連通させている点、の以上2点が本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20の特徴である。以下に、本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20について、特に上述した特徴点2点を中心に説明する。
【0066】
液化促進装置50は、図7に示すように、熱交換手段である凝縮器51を備えている。凝縮器51は、樹脂材料あるいは金属材料により例えば直方体状の容器として形成されている。凝縮器51の内部には、潜熱蓄熱材としての直鎖パラフィン54が充填されている。本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20では、直鎖パラフィン54として融解温度が30℃に調整されたものが用いられている。すなわち、直鎖パラフィン54は、30℃よりも低い温度では固体であり、30℃以上では潜熱を吸収して融解し液体となる。凝縮器51には、図7に示すように、車両への搭載状態において上側となる上側端面51aおよび車両への搭載状態において下側となる下側端面51bに開口する熱交換管路51cが複数個互いに平行に設けられている。凝縮器51の上側端面51aおよび下側端面51bには、図7に示すように、アッパーキャップ52、ロアーキャップ53がそれぞれ気密的に固定されている。熱交換管路51c、アッパーキャップ52およびロアーキャップ53は、樹脂材料あるいは金属材料により形成されている。アッパーキャップ52には、図7に示すように、エバポ通路27および均圧通路29が、それぞれアッパーキャップ52内空間に連通するように接続されている。ロアーキャップ53には、図7に示すように、連絡通路30がアッパーキャップ52内空間に連通するように接続されている。
【0067】
均圧通路29の先端には、図7に示すように、燃料蒸気分離器60が装着されている。燃料蒸気分離器60は、図8に示すように、分離膜である中空糸膜61を備えている。中空糸膜61は、中空状に(管状に)成形して炭化させたアモルファスカーボンにより形成される自立型の膜である。燃料蒸気分離器60は、この中空糸膜61を複数個互いに平行に束ねたものを備えている。なお、図8では、分かり易さのために、中空糸膜61を大きく描いているが、実際の中空糸膜61の直径はおよそ2mm程度である。中空糸膜61は、その一端において、図8に示すように開口端が閉じられて塞がれている。中空糸膜61の他端は、図8に示すように、開放された状態で管状の外周側面をフランジ62に保持固定されて、管状の内部空間は外部の大気に連通している。フランジ62およびフランジ62に固定された中空糸膜61は、図8に示すように、略円筒状のケース63に収容固定されている。燃料蒸気分離器60のケース63の内部空間、つまり中空糸膜61の管状の外側表面を包含する空間は、図8に示すうように、均圧通路29を介して液化促進装置50に連通接続されている。これにより、液化促進装置50は、中空糸膜61を介して外部の大気と連通している。
【0068】
続いて、本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20の作動について、特に、液化促進装置50および燃料蒸気分離器60の作動について説明する。
【0069】
先ず、液化促進装置50の作動について説明する。燃料タンク10内の燃料が蒸発して生成された燃料蒸気がエバポ通路27およびチェックバルブ24を経て液化促進装置50のアッパーキャップ52内へ導入されると、この燃料蒸気は、さらに凝縮器51の熱交換管路51c内へ導入される。燃料蒸気は、熱交換管路51c内で潜熱蓄熱材としての直鎖パラフィン54と熱交換する。すなわち、燃料蒸気が有する熱量が直鎖パラフィン54へ移動して、つまり吸熱されて燃料蒸気の温度が低下し、燃料蒸気は凝縮して燃料液滴となる。
【0070】
ところで、燃料タンク10内の燃料温度が高まるに連れて燃料の蒸発が盛んになる。つまり燃料蒸気分圧が高くなる。たとえば、ガソリンの場合30℃を超えると蒸発が盛んになる。そして、温度が30℃を超える燃料蒸気が凝縮器51に導入されると、直鎖パラフィン54は燃料蒸気の熱を潜熱として吸熱し固体から液体へ相変化する。一般的に、物質が相変化するときの移動熱である潜熱は、物質が相変化を伴わずに温度のみが変化するときの移動熱である顕熱に比べて格段に大きい。たとえば、水の顕熱である比熱は4.2kJ/kg・Kであるのに対し、固体である氷と液体である水との間の相変化に伴う潜熱は333.9kJ/kgである。ただし、氷−水間の相変化は0℃で行われるので、30℃を超える燃料蒸気を凝縮するために利用することは困難である。そこで、本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20では、ガソリンの蒸発が盛んになる30℃付近において相変化する物質である直鎖パラフィン54を、燃料蒸気を冷却し凝縮させるために採用した。本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20に用いられる直鎖パラフィン54は、固体−液体間の相変化が起きる温度、つまり融解温度を30℃となるように調整されている。これにより、温度が30℃を超える燃料蒸気が持つ熱を直鎖パラフィン54の相変化に伴う潜熱として吸熱させることにより高効率で冷却し凝縮させることができる。燃料蒸気が凝縮して生成された燃料液滴は、重力の作用で熱交換管路51c内を落下してロアーキャップ53内に滞留する。そして、図7に示すように、連絡通路30、チェックバルブ26、燃料クーラ22、チェックバルブ25およびリターン通路28を経て、燃料タンク10内へ戻される。
【0071】
一方、燃料蒸気から吸熱して固相から液相へ相変化した直鎖パラフィン54は、凝縮器51の外表面において周囲の大気と熱交換して大気中に熱を放散することにより再び固相へ相変化して燃料蒸気の冷却に再び供される。
【0072】
次に、燃料蒸気分離器60の作動について説明する。燃料蒸気分離器60が備える中空糸膜61は、大きさが0.4nm程度に制御された微細孔を多数備えている。空気を形成する代表的な成分である酸素分子、窒素分子の大きさは、それぞれ0.35nm、0.36nmである。また水蒸気を構成する水分子の大きさは0.28nmであり、中空糸膜61が備える微細孔より小さい。一方、燃料蒸気を構成する炭化水素、たとえばガソリンの主成分であるC10の大きさは0.5nmであり、中空糸膜61が備える微細孔より大きい。したがって、空気は中空糸膜61を透過できるが、燃料蒸気は中空糸膜61を透過できないことになる。
【0073】
ここで、本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20の燃料蒸気分離器60が備える中空糸膜61では、微細孔の大きさを0.4nm程度としているが、微細孔の大きさは、空気が透過でき且つ燃料蒸気は透過できないような大きさであることが重要である。したがって、中空糸膜61の微細孔の大きさは、燃料タンク10に貯蔵される燃料の主要成分の分子の大きさに応じて、最適に変更されるべきものである。
【0074】
燃料タンク10内の圧力は、エンジンへの正常な燃料供給を維持するために常に大気圧と等しくなるように調節されている必要がある。すなわち、エンジンにより燃料が消費されて燃料タンク10内の液位が低下し燃料タンク10内の圧力が低下した場合は、外部から燃料タンク10内に空気を導入して燃料タンク10内圧力を上昇させて大気圧に均圧化する必要がある。一方、自動車の周囲温度が高い場合、燃料タンク10内における燃料蒸発が盛んになり燃料タンク10内の圧力が上昇する。このような場合は、燃料タンク10内の空気を外部へ放出して燃料タンク10内圧力を下げて大気圧に均圧化する必要がある。
【0075】
本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20では、燃料蒸気分離器60を介して液化促進装置50、言い換えると燃料タンク10を外部の大気と連通させている。先に説明したように、燃料蒸気分離器60が備える中空糸膜61は空気を透過させるので、液化促進装置50内圧力、すなわち燃料タンク10内圧力と大気圧との間に差が生じた場合は、外部から燃料タンク10内へ空気が流入する、あるいは燃料タンク10内から外部へ空気が流出することにより、燃料タンク10内圧力を速やかに大気圧に均圧化できる。ところで、燃料タンク10内から外部へ空気が流出するときに、燃料蒸気分離器60が備える中空糸膜61は燃料蒸気を透過させないので、燃料蒸気が中空糸膜61を通過して外部へ空気が流出することは確実に阻止される。
【0076】
以上説明したように、本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20によっても、燃料タンク10内で発生した蒸発燃料を、確実に液化して再び燃料タンク10へ戻すことができるので、従来の蒸発燃料処理装置におけるパージを一切不要にできる。したがって、空燃比を常に最適に維持してエンジンを運転することができる。さらに、燃料蒸気が大気中に放散されることを確実に阻止しつつ、燃料タンク10内圧力を常に大気圧に保つことができる。
【0077】
なお、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態による蒸発燃料処理装置20においては、各チェックバルブ23、24、25、26を、均圧通路29の途中、誘導通路27の途中、リターン通路28の途中、連絡通路30の途中、にそれぞれ設置しているが、これらのチェックバルブの設置位置は通路の途中に限る必要は無く、各通路の両端に位置する要素のどちらか一方に一体的に取り付けられても良い。
【0078】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態による蒸発燃料処理装置20においては、各チェックバルブ23、24、25、26を、リード弁式逆止弁から形成しているが、逆止弁であれば、リード弁式以外の構造の弁を用いても良い。たとえば、ボール弁、ポペット弁等を用いた構造の逆止弁を用いても良い。また、各チェックバルブを電気アクチュエータにより駆動されるバルブに置き換えるとともに、各チェックバルブの上流側圧力および下流側圧力を検出する圧力センサを設け、各圧力センサからの圧力信号に基いて各バルブの連通・遮断を切り替える構成としても良い。
【0079】
また、以上説明した本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20においては、各チェックバルブ24、25、26を、誘導通路27の途中、リターン通路28の途中、連絡通路30の途中、にそれぞれ設置しているが、これらのチェックバルブの設置位置は通路の途中に限る必要は無く、各通路の両端に位置する要素のどちらか一方に一体的に取り付けられても良い。
【0080】
また、以上説明した本発明の第3実施形態による蒸発燃料処理装置20においては、各チェックバルブ24、25、26を、リード弁式逆止弁から形成しているが、逆止弁であれば、リード弁式以外の構造の弁を用いても良い。たとえば、ボール弁、ポペット弁等を用いた構造の逆止弁を用いても良い。また、各チェックバルブを電気アクチュエータにより駆動されるバルブに置き換えるとともに、各チェックバルブの上流側圧力および下流側圧力を検出する圧力センサを設け、各圧力センサからの圧力信号に基いて各バルブの連通・遮断を切り替える構成としても良い。
【0081】
また、以上説明した本発明の第1実施形態〜第3実施形態による蒸発燃料処理装置20においては、液化促進装置と燃料クーラ22はそれぞれ独立した二つの容器として形成され、両者を連絡通路30で接続する構成としているが、液化促進装置、燃料クーラ22、およびチェックバルブ26を合体させて一つの部品として構成しても良い。このようにすれば、蒸発燃料処理装置20を自動車に搭載する工程における作業工数を低減できる。
【0082】
また、以上説明した本発明の第1実施形態〜第3実施形態による蒸発燃料処理装置20においては、燃料クーラ22を備えているが、燃料クーラ22を必ず備える必要は無く、状況に応じて燃料クーラ22を省略しても良い。
【0083】
また、以上説明した本発明の第1実施形態〜第3実施形態による蒸発燃料処理装置20においては、燃料としてガソリンを用いる場合を例に説明したが、ガソリン以外の燃料を用いる構成であっても良い。特に、エタノール等揮発性の高い燃料を用いる蒸発燃料処理装置に適用すると好適である。
【符号の説明】
【0084】
10 燃料タンク
20 蒸発燃料処理装置
21 液化促進装置
21a ケーシング
21b コンデンサ
22 燃料クーラ
22a フィン
23 チェックバルブ(第1制御弁)
24 チェックバルブ(第2制御弁)
25 チェックバルブ(第3制御弁)
26 チェックバルブ(第4制御弁)
27 エバポ通路(誘導通路)
28 リターン通路
29 均圧通路
30 連絡通路
40 ポンプモジュール
41 供給通路
42 リターン通路
43 ジェットポンプ
43a 吸入口
50 液化促進装置
51 凝縮器(熱交換手段)
51a 上側端面
51b 下側端面
51c 熱交換管路
52 アッパーキャップ
53 ロアーキャップ
54 直鎖パラフィン(潜熱蓄熱材)
60 燃料蒸気分離器
61 中空糸膜(分離膜)
62 フランジ
63 ケース
F 燃料液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクと、
燃料蒸気を凝縮させる液化促進装置と、
前記燃料タンク内で発生した燃料蒸気を前記液化促進装置へ導入可能に燃料タンクと前記液化促進装置とを連通する誘導通路と、
前記液化促進装置内で凝縮された燃料を前記燃料タンクへ還流可能に前記液化促進装置と前記燃料タンクとを連通するリターン通路と、
前記液化促進装置内部と前記液化促進装置周囲の大気との連通・遮断を切り替える弁であって前記液化促進装置内部の圧力が大気圧力以上であるときには前記液化促進装置内部と大気とを遮断状態とし、前記液化促進装置内部の圧力が大気圧力未満であるときには前記液化促進装置内部と大気とを連通状態とする弁である第1制御弁と、を備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
前記燃料タンク内の圧力が前記液化促進装置内の圧力よりも高いときには前記誘導通路を連通状態とし、前記燃料タンク内の圧力が前記液化促進装置内の圧力以下であるときには前記誘導通路を遮断状態とする第2制御弁、および前記リターン通路の連通・遮断を切り替える第3制御弁の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
前記第3制御弁は、前記液化促進装置内の圧力が前記燃料タンク内の圧力よりも高いときには前記リターン通路を連通状態とし、前記液化促進装置内の圧力が前記燃料タンク内の圧力以下であるときには前記リターン通路を遮断状態とすることを特徴とする請求項2に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
前記第3制御弁は、前記液化促進装置内における液体燃料量が所定量よりも多いときには前記リターン通路を連通状態とし、前記液化促進装置内における液体燃料量が所定量以下であるときには前記リターン通路を遮断状態とすることを特徴とする請求項2に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項5】
燃料タンクと、
燃料蒸気を凝縮させる液化促進装置と、
前記液化促進装置内で生成された液体燃料を冷却する冷却装置と、
前記燃料タンク内で発生した燃料蒸気を前記液化促進装置へ導入可能に燃料タンクと前記液化促進装置とを連通する誘導通路と、
前記冷却装置内で冷却された燃料を前記燃料タンクへ導入可能に前記冷却装置と前記燃料タンクとを連通するリターン通路と、
前記液化促進装置内部と前記液化促進装置周囲の大気との連通・遮断を切り替える弁であって前記液化促進装置内部の圧力が大気圧力以上であるときには前記液化促進装置内部と大気とを遮断状態とし、前記液化促進装置内部の圧力が大気圧力未満であるときには前記液化促進装置内部と大気とを連通状態とする弁である第1制御弁と、を備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
【請求項6】
前記燃料タンク内の圧力が前記液化促進装置内の圧力よりも高いときには前記誘導通路を連通状態とし、前記燃料タンク内の圧力が前記液化促進装置内の圧力以下であるときには前記誘導通路を遮断状態とする第2制御弁、前記リターン通路の連通・遮断を切り替える第3制御弁、および前記液化促進装置と前記冷却装置との連通・遮断を切り替える第4制御弁の少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項5に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項7】
前記第3制御弁は、前記冷却装置内の圧力が前記燃料タンク内の圧力よりも高いときには前記リターン通路を連通状態とし、前記冷却装置内の圧力が前記燃料タンク内の圧力以下であるときには前記リターン通路を遮断状態とするもの、および、前記冷却装置内における液体燃料量が所定量よりも多いときには前記リターン通路を連通状態とし、前記冷却装置内における液体燃料量が所定量以下であるときには前記リターン通路を遮断状態とするもの、の少なくともどちらか一方であることを特徴とする請求項6に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項8】
前記第4制御弁は、前記液化促進装置内の圧力が前記冷却装置内の圧力よりも高いときには連通状態となり、前記液化促進装置内の圧力が前記冷却装置内の圧力以下であるときには遮断状態となるもの、および、前記液化促進装置内における液体燃料量が所定量よりも多いときには連通状態となり、前記液化促進装置内における液体燃料量が所定量以下であるときには遮断状態となるもの、の少なくともどちらか一方であることを特徴とする請求項6に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項9】
前記液化促進装置および前記冷却装置は一体的に一つの部品として形成されることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか一つに記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項10】
前記液化促進装置は、潜熱蓄熱材と、前記潜熱蓄熱材と前記燃料蒸気との間で熱交換可能な熱交換手段と、を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項11】
前記潜熱蓄熱材は直鎖パラフィン(n−パラフィン)を原材料とするものであることを特徴とする請求項10に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項12】
前記第1制御弁に替えて分離膜を備え、前記分離膜を介して前記液化促進装置内部および前記誘導通路内部の少なくとも一方を周囲の大気と連通させ、
前記分離膜は、空気を構成する気体である酸素、窒素および水蒸気を透過させ且つ前記燃料蒸気を構成する炭化水素の透過を阻止するように形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか一つに記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項13】
前記分離膜は中空糸膜であることを特徴とする請求項12に記載の蒸発燃料処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−190210(P2010−190210A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9372(P2010−9372)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000161840)京三電機株式会社 (99)
【Fターム(参考)】