説明

蓄圧装置、及びそれを備えた水洗大便器、昇降装置、及びソープディスペンサ

【課題】 水道の給水管に接続された蓄圧容器に、加圧された水道水を貯留する蓄圧装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、水道の給水管(8)に接続された蓄圧容器(12)に、加圧された水道水を貯留する蓄圧装置(10)であって、エネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段と、蓄圧容器の上流側に設けられた逆止弁(16)と、給水管から逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路(18a)に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁(18)と、蓄圧容器の下流側に設けられ、開放されたとき、エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーによって加圧された水道水を吐水させる吐水弁(20)と、を有し、開閉弁は、開放されたとき給水管から供給された水道水を出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された水道水を蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返すことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄圧装置、及びそれを備えた水洗大便器、昇降装置、及びソープディスペンサに関し、特に、水道の給水管に接続された蓄圧容器に、加圧された水道水を貯留する蓄圧装置、及びそれを備えた水洗大便器、昇降装置、及びソープディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水道直結式の水洗大便器が普及している。この水道直結式の水洗大便器は、洗浄水を貯留するための洗浄水タンクを必要としないため、水洗大便器全体の高さを低く抑えることができ、又、水洗大便器の占有床面積を小さくすることができるので、広く採用されている。
しかしながら、水道直結式の水洗大便器では、洗浄水を水道水圧によってリム吐水口やジェットノズルから吐出させているため、水道水圧の低い地域では洗浄力が低下するので、採用することができないという問題がある。
【0003】
特開平10−159150号公報(引用文献1)には、水洗トイレの蓄圧式排水装置が記載されている。この蓄圧式排水装置では、洗浄力を高めるために、水洗トイレの洗浄水を水道水の圧力まで蓄圧して貯留し、洗浄する際には、蓄積された圧力を利用して便器を洗浄している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−159150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開平10−159150号公報に記載された蓄圧式排水装置では、蓄積される最大の圧力を原理的に水道水圧までしか上昇させることができないため、洗浄能力を十分に高めることができないという問題がある。例えば、洗浄水をジェットノズルから噴射させ、水洗大便器においてサイホン現象を誘発させる能力は、加圧によって蓄積されたエネルギーに概ね比例する。ここで、体積Vの洗浄水を圧力Pまで加圧して貯留している場合には、蓄積されているエネルギーEは∫PdVに等しくなる。従って、低い蓄圧圧力で、大きなエネルギーを蓄積させるためには、貯留する洗浄水の量を多くする必要がある。しかしながら、水道水圧の低い地域においても水洗大便器の洗浄能力を高くするために、大量の加圧水を貯留するのでは、加圧水を貯留する容器を含めた水洗大便器全体が大型化し、水道直結式の水洗大便器のメリットが十分に発揮できなくなるという問題がある。
【0006】
なお、厳密には、水道水圧は止水時に比べ吐水時は若干低下するが、本明細書において、水道水圧とは止水時の水圧を意味するものとする。
【0007】
従って、本発明は、水道の給水管に接続された蓄圧容器に、加圧された水道水を貯留する蓄圧装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、水道の給水管に接続された蓄圧容器に、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水を貯留する蓄圧装置を備えた水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、水道の給水管に接続された蓄圧容器に、加圧された水道水を貯留する蓄圧装置であって、蓄圧容器内に貯留された水道水が加圧されることによってエネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段と、蓄圧容器の上流側に設けられ、加圧された水道水を蓄圧容器に流入させる逆止弁と、給水管から逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、蓄圧容器の下流側に設けられ、開放されたとき、エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーによって加圧された水道水を吐水させる吐水弁と、を有し、開閉弁は、開放されたとき給水管から供給された水道水を出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき、又は流路が縮小されたとき入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された水道水を蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返すことを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、給水管から供給された水道水は、分岐管路に接続された開閉弁に到達する。この開閉弁は、加圧時において開閉を繰り返す。開閉弁が開放されているときは、開閉弁の入口側端部から流入した水道水は、その出口側端部から流出する。開閉弁が閉鎖され、又は開閉弁の流路が縮小されると、水道水の流れが急激に低下されるので、入口側端部付近の水圧が上昇する。この上昇した水圧は、蓄圧容器の上流側に設けられた逆止弁にも及び、加圧された水道水が逆止弁を通って蓄圧容器の中に送り込まれる。加圧された水道水が蓄圧容器の中に流入すると、そのエネルギーがエネルギー蓄積手段に蓄積される。一方、開閉弁が開放された際には、その入口側端部付近の水圧は低下するが、逆止弁が配置されているため、蓄圧容器内の水道水の逆流は阻止される。この開閉を繰り返すことにより、蓄圧容器内の水道水の圧力が上昇する。また、加圧された水道水を吐水させる際には、蓄圧容器の下流側に設けられた吐水弁を開放する。吐水弁が開放されると、エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーが解放され、加圧された水道水が吐水される。
【0010】
このように構成された本発明によれば、水道の給水管に接続された蓄圧容器に、加圧された水道水を貯留することができる。
【0011】
本発明において好ましくは、エネルギー蓄積手段は、蓄圧容器内の水道水の圧力が高まると弾性エネルギーを蓄えるように配置された弾性体である。
このように構成された本発明においては、蓄圧容器内の水道水の圧力を高めることによって、弾性体が変形し、エネルギーが弾性エネルギーとして蓄積される。
【0012】
本発明において好ましくは、開閉弁は、弁座と、この弁座から吐出される水道水の吐出方向とほぼ平行な方向に駆動される弁体と、この弁体を直線往復駆動するアクチュエータと、を有する。
このように構成された本発明においては、弁体が、この弁座から吐出される水道水の吐出方向とほぼ平行な方向に、アクチュエータによって直線往復駆動され、開閉弁が開閉される。
このように構成された本発明によれば、弁体が水道水の吐出方向とほぼ平行な方向に駆動されるので、開閉弁の開閉による流速の変化が急激になり、水道水をより高圧に加圧することができる。
【0013】
本発明において好ましくは、開閉弁は、電磁力によって閉鎖され、バネ力によって開放される直動ソレノイド型電磁弁である。
このように構成された本発明においては、弁体は、開方向にバネで付勢され、この付勢力に抗して閉方向に電磁力によって駆動される。
このように構成された本発明によれば、高速に移動させることが要求される閉方向の駆動に電磁力を利用し、高速が要求されない開方向の移動にバネ力を利用しているので、直動ソレノイド型電磁弁の設計の自由度を大きくすることができる。また、弁体を電磁力によって駆動することにより、弁体を急速に閉鎖することができるため、加圧する圧力を高くすることができる。
【0014】
本発明において好ましくは、さらに、分岐管路よりも上流側の管路に、内部の水圧が上昇したとき容積が拡張する拡張可能部が設けられている。
このように構成された本発明においては、分岐管路に接続された開閉弁の入口側端部において発生した高圧の影響が、分岐管路よりも上流側の管路に及ぶと、拡張可能部の容積が拡張して水圧を低下させる。
このように構成された本発明によれば、拡張可能部が拡張して水圧を低下させるので、開閉弁が発生させた高圧が、給水管の上流側に接続された他の機器に及ぼす影響を軽減することができる。
【0015】
本発明において好ましくは、さらに、分岐管路よりも上流側の管路に、水道水の上流側への逆流を阻止する第2逆止弁が設けられている。
このように構成された本発明においては、分岐管路に接続された開閉弁の入口側端部において高圧が発生した場合にも、第2逆止弁によって水道水の逆流が阻止される。
このように構成された本発明によれば、第2逆止弁が水道水の逆流を阻止するので、開閉弁が発生させた高圧が、給水管の上流側に接続された他の機器に及ぼす影響を軽減することができる。
【0016】
本発明において好ましくは、さらに、分岐管路よりも上流側の管路に、開閉弁の開閉によって加圧される圧力を高めるための流路延長部が設けられている。
このように構成された本発明においては、流路延長部が設けられているので、開閉弁の開閉によって水道水の流速が急激に変化したときに発生する圧力を高くすることができる。
【0017】
また、本発明は、洗浄水の少なくとも一部を、水道の給水管から直接供給する水洗大便器であって、ボール部と、このボール部の底部と排水配管とを連通させるトラップ部と、ボール部の底部に配置され、トラップ部に向けて洗浄水を噴射するジェットノズルと、水道の給水管から供給された洗浄水を、水道水圧よりも高い圧力に加圧された状態で貯留する蓄圧容器と、この蓄圧容器内に貯留された洗浄水が加圧されることによってエネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段と、蓄圧容器の上流側に設けられ、加圧された洗浄水を蓄圧容器に流入させる逆止弁と、給水管から逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、蓄圧容器の下流側に設けられ、ボール部を洗浄する際に開放され、エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーによって、蓄圧容器内の加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射させる吐水弁と、を有し、開閉弁は、開放されたとき給水管から供給された洗浄水を出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された水道水を蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返すことを特徴としている。
【0018】
このように構成された本発明においては、給水管から供給された洗浄水は、分岐管路に接続された開閉弁に到達する。この開閉弁は、加圧時において開閉を繰り返し、開放されているときは、開閉弁の入口側端部から流入した洗浄水は、その出口側端部から流出する。開閉弁が閉鎖されると、入口側端部付近の水圧が上昇し、加圧された水道水が逆止弁を通って蓄圧容器の中に送り込まれる。加圧された水道水が蓄圧容器の中に流入すると、そのエネルギーがエネルギー蓄積手段に蓄積される。また、便器を洗浄する際には、蓄圧容器の下流側に設けられた吐水弁を開放し、エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーが解放して、加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射させる。
【0019】
このように構成された本発明によれば、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水がジェットノズルから噴射されるので、少量の洗浄水で高い洗浄能力を得ることができる。また、加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射させるので、水道水圧が低い地域にも、水道直結式の水洗大便器を設置することが可能になる。
【0020】
本発明において好ましくは、開閉弁が開放されたとき、出口側端部から逃がされた洗浄水が、ボール部の上部に形成されたリム吐水口から吐水される。
このように構成された本発明によれば、出口側端部から逃がされた洗浄水がリム吐水口から吐水されるので、開閉弁を通過した洗浄水を有効に利用することができる。
【0021】
さらに、本発明は、水道の給水管に接続され、水道水圧に基づく力によって上昇される昇降装置であって、水道の給水管から供給された水道水を貯留する蓄圧容器と、この蓄圧容器内の圧力が高まると上昇されるようになった昇降台と、蓄圧容器の上流側に設けられ、加圧された水道水を蓄圧容器に流入させる逆止弁と、給水管から逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、蓄圧容器の下流側に設けられ、開放されると、蓄圧容器内に貯留された水道水を排出して昇降台を下降させる圧力解放弁と、を有し、開閉弁は、開放されたとき給水管から供給された水道水を出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された水道水を蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返すことを特徴としている。
【0022】
このように構成された本発明においては、開閉弁を開閉することによって、加圧された水道水が、逆止弁を介して蓄圧容器の中に送り込まれる。水道水が蓄圧容器に送り込まれると、蓄圧容器内の圧力が高まり、昇降台が上昇される。昇降台を下降させる際には、蓄圧容器の下流側に設けられた圧力解放弁を開放し、蓄圧容器内の圧力を低下させる。
このように構成された本発明によれば、水道水圧に基づく力によって、昇降台を上昇させることができる。
【0023】
また、本発明は、水道の給水管に接続され、水道水圧に基づく力によって液体状の洗剤を吐出させるソープディスペンサであって、水道の給水管から供給された水道水を貯留する蓄圧容器と、この蓄圧容器内に貯留された水道水が加圧されることによってエネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段と、蓄圧容器の上流側に設けられ、加圧された水道水を蓄圧容器に流入させる逆止弁と、給水管から逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、蓄圧容器と連通するように接続され、液体状の洗剤を貯留した洗剤容器と、この洗剤容器に接続され、開放されると、エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーを解放させて、蓄圧容器内の圧力によって洗剤容器内の洗剤を吐出させる洗剤吐出弁と、を有し、開閉弁は、開放されたとき給水管から供給された水道水を出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された水道水を蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返すことを特徴とするソープディスペンサ。
【0024】
このように構成された本発明においては、開閉弁を開閉することによって、加圧された水道水が、逆止弁を介して蓄圧容器の中に送り込まれる。水道水が蓄圧容器に送り込まれると、蓄圧容器内の圧力が高まり、これに連通するように接続された洗剤容器内の圧力も上昇する。洗剤を吐出させる際には、洗剤容器に接続された洗剤吐出弁を開放する。
このように構成された本発明によれば、水道水圧に基づく力によって、洗剤を吐出させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の蓄圧装置によれば、水道の給水管に接続された蓄圧容器に、加圧された水道水を貯留することができる。
また、本発明の水洗大便器によれば、水道の給水管に接続された蓄圧容器に、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水を貯留することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
まず、図1乃至3を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による水洗大便器の概略断面図である。また、図2は、本実施形態の水洗大便器に内蔵されている蓄圧装置の部分を抜き出して図示したブロック図である。さらに、図3は、蓄圧装置に使用されている直動ソレノイド型電磁弁の概略断面図である。
【0027】
図1及び2に示すように、本発明の第1実施形態による水洗大便器1は、ボール部2と、このボール部の底部と排水配管(図示せず)とを連通させるトラップ部4と、ボール部2の底部に配置されたジェットノズル6と、このジェットノズル6に供給する洗浄水を加圧する蓄圧装置10と、を有する。本実施形態の水洗大便器1は、水道水圧以上に加圧した洗浄水を蓄圧装置10に貯留し、ボール部2の洗浄時に加圧した洗浄水をジェットノズル6から噴射して、トラップ部4にサイホン現象を誘発させるようになっている。
【0028】
また、本発明の第1実施形態による水洗大便器1に内蔵されている蓄圧装置10は、加圧された洗浄水を貯留する蓄圧容器12と、蓄圧容器12内の洗浄水が加圧されるとエネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段である空気入りのバルーン14と、を有する。さらに、蓄圧装置10は、蓄圧容器12の流入口の側に設けられた逆止弁16と、給水管8から逆止弁16に至る管路から分岐した分岐管路に接続された開閉弁18と、蓄圧容器12内の加圧された洗浄水をジェットノズル6から噴射させる吐水弁20と、を有する。
また、水洗大便器1は、リム吐水洗浄とジェットノズル洗浄を切替え、開閉弁18及び吐水弁20を制御するコントローラ22を備えている。
【0029】
ボール部2は、上方が開口して汚物を受けるように構成されている。また、ボール部2の上部周囲にはリム部2aが形成され、リム吐水口(図示せず)から吐水された洗浄水が、リム部2aを通って旋回しながら下方に流れ、ボール部2の壁面が洗浄されるように構成されている。
トラップ部4は、ボール部2の底部から斜め上方に延び、最高点4aを経て鉛直下方に延びるように形成されている。トラップ部4の出口端は、排水ソケット(図示せず)等を介して排水配管(図示せず)に接続されている。
【0030】
ジェットノズル6は、ボール部2の底部に配置され、トラップ部4の入口側の管路と平行に洗浄水を噴射するように向けられている。ジェットノズル6には、蓄圧装置10によって水道水圧以上に加圧された洗浄水が供給され、高圧の洗浄水が噴射される。
ボール部2の洗浄時におけるリム吐水口(図示せず)及びジェットノズル6からの吐水の切替えは、便器洗浄バルブユニット(図示せず)、及びそれを制御するコントローラ22によって行われる。この便器洗浄バルブユニット(図示せず)は、バルブを切替えることによって、水道から供給された洗浄水をリム吐水口、又は蓄圧装置10に差し向けるように構成されている。便器洗浄バルブユニット(図示せず)によって蓄圧装置10に導かれる洗浄水は、給水管8を通って蓄圧装置10に供給される。また、リム吐水口(図示せず)から吐水される洗浄水は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)からリム吐水口に延びる管路(図示せず)を通って直接供給される。
【0031】
蓄圧装置10の蓄圧容器12は、水洗大便器1の内部に、ボール部2及びトラップ部4の下方に配置されている。蓄圧容器12の内部には、エネルギー蓄積手段である空気入りのバルーン14が配置されている。バルーン14は、蓄圧容器12内の洗浄水が加圧されると、バルーン14内の空気が圧縮され、体積が縮小するように構成されている。バルーン14内の空気を圧縮したエネルギーは、洗浄時に高圧の洗浄水を噴射させるためのエネルギーとして蓄積される。なお、バルーンに封入する流体として、窒素、ヘリウム等の不活性ガス等、任意の流体を使用することができる。
【0032】
逆止弁16は、蓄圧容器12の流入口の側に配置されており、蓄圧容器12内の洗浄水が蓄圧容器12の入口を通って給水管8側に逆流しないようになっている。このため、蓄圧容器12内よりも給水管8側の圧力が高い場合には、洗浄水は、給水管8から蓄圧容器12内に流入するが、蓄圧容器12内の圧力が給水管8側よりも高い場合に、蓄圧容器12から給水管8側へ洗浄水が逆流することはない。
【0033】
開閉弁18は、給水管8から逆止弁16に至る管路から分岐した分岐管路18aに接続されている。開閉弁18は、入口側端部18bと出口側端部18cを備え、高速に開閉を繰り返すように構成されている。また、出口側端部18cは、排水管18dによってリム吐水口(図示せず)に接続されている。開閉弁18が開放されているときは、給水管から供給された洗浄水は入口側端部18bから出口側端部18cに流出する。出口側端部18cから流出した洗浄水は、排水管18dを通ってリム吐水口(図示せず)から吐水される。
【0034】
また、開閉弁18が閉鎖された際には、給水管から供給された洗浄水が入口側端部18bから出口側端部18cに流れる流れが突然堰き止められることによって、ウォーターハンマー現象が発生し、入口側端部18b付近の水圧が上昇するように構成されている。本実施形態においては、開閉弁18として、直動ソレノイド型電磁弁が使用され、1秒間に約50回の開閉が繰り返される。開閉弁18の開閉は、コントローラ22によって制御される。
【0035】
吐水弁20は、蓄圧容器12の流出口の側に配置されている。また、吐水弁20の下流側は、ジェットノズル6に接続されている。吐水弁20の開閉は、コントローラ22によって制御され、開放されると蓄圧容器12内の加圧された洗浄水が、ジェットノズル6から噴出されるように構成されている。
【0036】
コントローラ22は、CPU及びメモリ等によって構成され、便器洗浄バルブユニット(図示せず)、開閉弁18、吐水弁20等を制御して、所定の便器洗浄シーケンスを実行するように構成されている。
【0037】
次に、図3を参照して、本実施形態の水洗大便器1に開閉弁18として使用されている直動ソレノイド型電磁弁を説明する。図3に示すように、開閉弁18は、その入口側端部18bに形成された弁座24と、この弁座24を開閉するように往復直線運動する弁体26と、この弁体26を閉鎖側に駆動するアクチュエータである駆動用コイル28と、弁体26を開放側に付勢する付勢バネ30と、を有する。
【0038】
弁座24は、円形の開口部を有し、弁体26が着座することによって閉鎖され、離れることによって開放されるように構成されている。
弁体26は、駆動用コイル28によって、弁座24の開口面(図3における水平方向の面)に対して直交する方向(図3における鉛直方向)に駆動されるように構成されている。
【0039】
駆動用コイル28は、弁体26の一部を取り囲むように配置されている。駆動用コイル28に電流が流れると、少なくとも一部が磁性材で形成された弁体26に駆動力が作用し、弁体26は弁座24に着座される方向(図3における鉛直下方)に駆動される。
付勢バネ30は、その一端が弁体26に取付けられ、他端が駆動用コイル28に取付けられ、弁体26を弁座24から引き離す方向(図3における鉛直上方)に付勢する。このため、駆動用コイル28に流れる電流が停止されると、弁体26は付勢バネ30の付勢力によって弁座24から引き離される。
この構成により、開閉弁18は、駆動用コイル28に流す電流を断続的にON/OFFすることにより、開閉を繰り返す。
【0040】
また、本実施形態においては、開閉弁18は、駆動用コイル28に流れる電流により閉鎖されるので、駆動用コイル28が発生させる駆動力を大きくすることによって、開閉弁18を急激に閉鎖させてウォーターハンマー現象による加圧を強くすることができる。一方、付勢バネ30による付勢力は、開閉弁18の開放に利用されるため、大きな付勢力は必要なく、細い線材でバネを形成することができるので、付勢バネ30を小型に設計することができる。このため、開閉弁18全体を小型に構成することが可能になる。
【0041】
次に、本発明の第1実施形態による水洗大便器1の作用を説明する。
まず、待機時においては、水洗大便器1のボール部2には、トラップ部4の最高点4aの高さまで封水が溜められている。また、蓄圧容器12内のバルーン14は圧縮された状態にあり、蓄圧容器12内には、所定の圧力に加圧された所定量の洗浄水が貯留されている。使用者が水洗大便器1の洗浄用スイッチ(図示せず)を操作すると、コントローラ22は、所定の便器洗浄シーケンスを開始させる。
【0042】
まず、コントローラ22は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)に信号を送り、水道から供給された洗浄水がリム吐水口(図示せず)から吐水されるように、便器洗浄バルブユニットを切替える。リム吐水口(図示せず)から吐水された洗浄水は、旋回しながらボール部2の壁面を洗浄し、ボール部2内の水位を上昇させる。
【0043】
所定時間リム吐水が行われた後、コントローラ22は、リム吐水口(図示せず)からの吐水を停止させると共に、吐水弁20に信号を送って吐水弁20を開放させる。吐水弁20が開放されると、蓄圧容器12のバルーン14は蓄積されたエネルギーを解放して膨張され、蓄圧容器12内の洗浄水が、吐水弁20を通ってジェットノズル6から噴出される。ジェットノズル6から噴出された洗浄水は、ボール部2の底部に溜まった洗浄水を巻き込みながらトラップ部4に流入し、トラップ部4内を満水にさせる。トラップ部4内が満水にされると、サイホン現象によりトラップ部4内が負圧となり、ボール部2の洗浄水が吸引される。これにより、ボール部2内の汚物及び洗浄水が、トラップ部4を通って排水配管(図示せず)に排出される。
【0044】
本実施形態の水洗大便器1では、蓄圧容器12に貯留された加圧された洗浄水がジェットノズル6から噴射されるので、洗浄水が水道水圧によってジェットノズル6から噴射される従来の水洗大便器よりも非常に少ない洗浄水の噴射によってサイホン作用が誘発される。本実施形態の水洗大便器1においては、約0.5MPaまで加圧された洗浄水が、約0.5L(リットル)ジェットノズル6から噴射される。
【0045】
ジェットノズル6からの吐水が所定時間行われた後、コントローラ22は、吐水弁20を閉鎖させると共に、開閉弁18に信号を送って開閉弁18の開閉を開始させる。開閉弁18が開放されている場合には、給水管8から供給された洗浄水は、開閉弁18を通って、ボール部2に形成されたリム吐水口からボール部2の中に吐水され、封水として利用される。また、開閉弁18が遮断されると、開閉弁18を通って流れている洗浄水の急激な速度変化によって開閉弁18の入口側端部18b付近の洗浄水が加圧されるウォーターハンマー現象によって、入口側端部18b付近の圧力が瞬間的に上昇する。この作用により、逆止弁16上流側の水圧も上昇するので、給水管8から供給された洗浄水は、逆止弁16を通って蓄圧容器12に流入する。
【0046】
ウォーターハンマー現象によって瞬間的に上昇する洗浄水の圧力は、給水管8に供給される洗浄水の水道水圧よりも非常に高くなる。このため、蓄圧容器12に洗浄水が流入し、蓄圧容器12内の圧力が水道水圧に達した後も、給水管8から供給された洗浄水は、ウォーターハンマー現象によって加圧され、逆止弁16を通って蓄圧容器12内に流入する。また、開閉弁18が開放された瞬間には、入口側端部18b付近の水圧は低下するが、逆止弁16によって蓄圧容器12内の洗浄水の逆流は阻止され、蓄圧容器12内の高圧は維持される。蓄圧容器12内の圧力が上昇すると、蓄圧容器12内に配置されたバルーン14が圧縮され、バルーン14の体積が縮小される。これにより、バルーン14を圧縮させたエネルギーが、バルーン14に蓄積される。
【0047】
蓄圧容器12内が所定の圧力まで上昇すると、コントローラ22は、開閉弁18の開閉を停止させ、開閉弁18を閉鎖する。これにより、蓄圧容器12への蓄圧が完了する。さらに、コントローラ22は、便器洗浄バルブユニット(図示せず)に信号を送り、洗浄水を、便器洗浄バルブユニットから直接リム吐水口(図示せず)へ吐水させる。ボール部2内の水位が待機状態の水位まで上昇されると、1回の便器洗浄シーケンスが完了する。
【0048】
本発明の第1実施形態の水洗大便器によれば、一般的には好ましくないとされているウォーターハンマー現象を逆に利用して、高圧の洗浄水を蓄圧容器に貯留することができる。
また、本実施形態の水洗大便器によれば、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射するので、少量の洗浄水でトラップ部にサイホン現象を発生させることができる。これにより、洗浄水を貯留する蓄圧容器を小型化することが可能になり、水洗大便器全体を小型化することができる。
【0049】
さらに、本実施形態の水洗大便器によれば、水道水圧よりも高い圧力に加圧された洗浄水をジェットノズルから噴射するので、水道水圧が低い地域にも水道直結式の水洗大便器を設置することが可能になる。なお、本実施形態の水洗大便器は、洗浄水の一部を蓄圧容器から供給し、残りを水道から直接給水しているが、蓄圧容器は非常に小型で、従来のタンク式の水洗大便器とは構成が全く異なるため、ここでは、本実施形態の水洗大便器を含めて水道直結式の水洗大便器と呼ぶことにする。
【0050】
次に、図4を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器の第1変形例を説明する。図4は、本変形例の水洗大便器に内蔵されている蓄圧装置の部分を抜き出して図示したブロック図である。
本変形例では、第1実施形態において空気の入ったバルーンで構成されていたエネルギー蓄積手段が、蓄圧容器内に配置されたピストンとバネによって構成されている。図4に示すように、ピストン32は、蓄圧容器12内に摺動可能に配置されている。ピストン32が、蓄圧容器12内で摺動することによって、蓄圧容器12の内容積が変化する。また、バネ34は、ピストン32に付勢力を作用させるように、蓄圧容器12内に配置されている。ピストン32は、バネ34によって蓄圧容器12の内容積を小さくする方向に付勢されている。本変形例においては、蓄圧容器12内の洗浄水が加圧されると、バネ34の付勢力に抗してピストン32が摺動し、圧縮されたバネ34に弾性エネルギーが蓄積される。吐水弁20が開放されると、バネ34に蓄積されたエネルギーが解放され、加圧された洗浄水がジェットノズル6から噴射される。
【0051】
このように構成された第1変形例によれば、エネルギー蓄積手段からの弾性エネルギーの解放速度をバネ34のバネ定数で調節することができる。これによりエネルギーを緩やかに解放することも可能になる。
【0052】
また、第2変形例として、空気等の圧縮性の流体をエネルギー蓄積手段として使用することができる。この場合には、蓄圧容器12内に閉じ込められた空気等が、洗浄水を加圧することによって圧縮され、エネルギーが蓄積される。
このように構成された第2変形例によれば、特別な部材を設けることなく、エネルギー蓄積手段を実現することができる。また、本変形例によれば、蓄圧容器の形状を自由に設計することができる。
【0053】
次に、図5を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器の第3変形例を説明する。図5は、本変形例の水洗大便器に内蔵されている蓄圧装置の部分を抜き出して図示したブロック図である。
図5に示す第3変形例では、開閉弁18の開閉によって発生した圧力の影響が、給水管8に接続された他の機器に及ばないようにするための拡張可能部36が設けられている。開閉弁18が開閉を繰り返すことにより、開閉弁18の入口側端部18b付近に高圧が発生すると、その影響は、逆止弁16の他に、給水管8の上流側にも伝播する。この高圧の影響が給水管8の上流側に接続された他の機器(図示せず)にも伝播すると、その機器に悪影響を及ぼす可能性がある。本変形例では、図5に示すように、分岐管路18aの上流側にゴム製の拡張可能部36が設けられている。この拡張可能部36は、内部の圧力が上昇すると内容積が拡大し、分岐管路18aの上流側に伝播する圧力のエネルギーを消費して、内部の圧力を低下させる。拡張可能部36が拡張して内部の圧力が低下すると、開閉弁18が発生した高圧の影響は拡張可能部36によって遮断され、拡張可能部36の上流側の給水管8に接続された他の機器には影響が及ばなくなる。なお、拡張可能部36は、分岐管路18aから所定の距離隔てて配置するのが良く、好ましくは、分岐管路18aから拡張可能部36までの距離が、分岐管路18aから逆止弁16までの距離よりも長くなるように、拡張可能部36を配置するのが良い。拡張可能部36をこのように配置することによって、開閉弁18によって発生された圧力の多くが、拡張可能部36によって吸収されてしまい、蓄圧容器12への加圧が阻害されるのを防止することができる。本変形例では、拡張可能部36として、弾性変形可能なゴム製の管を使用しているが、金属製のベローズ等、他の部材によって拡張可能部36を構成することもできる。
【0054】
次に、図6を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器の第4変形例を説明する。図6は、本変形例の水洗大便器に内蔵されている蓄圧装置の部分を抜き出して図示したブロック図である。
図6に示す第4変形例では、開閉弁18によって発生した圧力の影響が、給水管8に接続された他の機器に及ばないようにするための第2逆止弁が設けられている。上記のように、開閉弁18が高圧を発生すると、その影響は、逆止弁16の他に、給水管8の上流側にも伝播する。図6に想像線で示すように、給水管8に接続される水周り機器Dの中には、給湯器等のように、逆止弁Vを備えたものも多い。このような機器Dが給水管に接続されている場合には、開閉弁18が高圧を発生し、その影響が逆止弁Vに及ぶと、給湯器Dの逆止弁Vが本発明の実施形態の一部を構成する逆止弁16と同様に作用して、逆止弁Vと給湯器Dの間の水道水が加圧されてしまう可能性がある。
【0055】
そこで、本変形例では、開閉弁18が接続された分岐管路18aの上流側に第2逆止弁38を配置し、開閉弁18が発生した高圧の影響が、給水管8の上流側の機器に及ばないようにしている。即ち、開閉弁18が発生した高圧の影響による開閉弁18から上流側への水道水の逆流は、第2逆止弁38によって阻止されるので、第2逆止弁38よりも上流側に接続された機器Dへの影響が遮断される。本変形例によれば、本発明の第1実施形態による水洗大便器の他の機器への影響を確実に防止することができる。
【0056】
次に、図7を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器の第5変形例を説明する。図7は、本変形例の水洗大便器に内蔵されている蓄圧装置の部分を抜き出して図示したブロック図である。
図7に示す第5変形例では、開閉弁18によって発生される圧力を高めるための流路延長部40が設けられている。上記のように、本発明の第1実施形態による水洗大便器では、ウォーターハンマー現象を利用して蓄圧容器12内に高圧の洗浄水を貯留しているが、流路延長部40を設けることにより、ウォーターハンマー現象によって発生する圧力を高くすることができる。ウォーターハンマー現象は、流れる水の流速を急激に変化させることにより、高圧を発生させるものである。開閉弁18の上流側に流路延長部40を設けることにより、流れている水道水の慣性が増大し、それが堰き止められたときに発生する圧力を大きくすることができる。また、本変形例では、開閉弁18が発生した圧力の影響が、流路延長部40の上流側に及ばないように、流路延長部40の上流側に拡張可能部42を設けている。なお、本変形例では、図7に示すように、流路延長部40としてコイル状に巻かれた管路を使用しているが、開閉弁18の上流側の経路を長くする任意の形状の管路を流路延長部40として利用することができる。
【0057】
本変形例によれば、蓄圧容器に貯留される洗浄水の圧力を、より高めることができる。
【0058】
次に、図8を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器の第6変形例を説明する。本変形例は、吐水弁の下流側に切換弁及び第2ジェットノズルが設けられている点が第1実施形態と異なる。図8は、本変形例の水洗大便器の側面断面図である。
【0059】
図8に示すように、本変形例の水洗大便器44には、吐水弁20の下流側に切換弁45が接続されている。この切換弁45の他端には、ジェットノズル6及び46が接続され、吐水弁20を通過した洗浄水は、切換弁45によって、ジェットノズル6又は第2ジェットノズル46に導かれる。また、切換弁45は、コントローラ22から送られる制御信号によって切換えられる。さらに、本変形例においては、第2ジェットノズル46は、ジェットノズル6よりも内径が大きく形成されており、ジェットノズル6が約3mm、第2ジェットノズル46が約7mmの内径を有する。
【0060】
次に、本変形例の水洗大便器44の作用を説明する。
本変形例の水洗大便器44においては、コントローラ22によって実行される便器洗浄シーケンスのうちの最初のリム吐水による洗浄までは、第1実施形態と同様である。次に、コントローラ22は、リム吐水口(図示せず)からの吐水を停止させると共に、切換弁45に信号を送って、切換弁45をジェットノズル6に切換える。さらに、コントローラ22は、吐水弁20に信号を送って吐水弁20を開放させる。吐水弁20が開放されると、バルーン14に蓄積されたエネルギーによって、蓄圧容器12内の洗浄水が、吐水弁20及び切換弁45を通ってジェットノズル6から噴出される。この噴射により、トラップ部4内にサイホン現象が発生する。
【0061】
吐水弁20を開放した後、所定時間経過し、バルーン14に蓄積されたエネルギーが全て解放されると、コントローラ22は切換弁45に信号を送って、切換弁45を第2ジェットノズル46の側に切換える。切換弁45が第2ジェットノズル46側に切換えられると、給水管8から逆止弁16を通って蓄圧容器12に流入した洗浄水が、吐水弁20及び切換弁45を通って第2ジェットノズル46から噴出される。第2ジェットノズル46から噴出された洗浄水は、ジェットノズル6からの噴射後に残った浮遊汚物をトラップ部4から排出させる。この第2ジェットノズル46からの噴射は、給水管8からの給水圧に基づいて行われ、第2ジェットノズル46の内径はジェットノズル6よりも大きいため、ジェットノズル6からの噴射よりも流速の低いものとなる。第2ジェットノズル46からの噴射を所定時間行った後、コントローラ22は、吐水弁20を閉鎖させ、蓄圧容器12内への蓄圧を開始する。以降の洗浄シーケンスは、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0062】
本変形例の水洗大便器44によれば、蓄圧容器12を小型化しながら、大量の洗浄水をジェット吐水させることができる。
【0063】
次に、図9を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器の第7変形例を説明する。本変形例は、開閉弁の上流側に分岐調整弁が設けられ、この分岐調整弁を介して洗浄水が供給される第2ジェットノズルが設けられている点が第1実施形態と異なる。図9は、本変形例の水洗大便器の側面断面図である。
【0064】
図9に示すように、本変形例の水洗大便器47においては、分岐管路18aの上流側に分岐調整弁48が接続され、給水管8はこの分岐調整弁48に接続されている。この分岐調整弁48の他端には、蓄圧容器12及び第2ジェットノズル49が接続され、給水管8から供給された洗浄水は、分岐調整弁48によって、蓄圧容器12及び第2ジェットノズル49に分岐される。また、分岐調整弁48は、コントローラ22から送られる制御信号によって制御される。さらに、本変形例においても、ジェットノズル6は約3mm、第2ジェットノズル49は約7mmの内径を有する。
【0065】
次に、本変形例の水洗大便器47の作用を説明する。
本変形例の水洗大便器47においては、コントローラ22によって実行される便器洗浄シーケンスのうちの最初のリム吐水による洗浄までは、第1実施形態と同様である。次に、コントローラ22は、リム吐水口(図示せず)からの吐水を停止させると共に、吐水弁20に信号を送って吐水弁20を開放させる。吐水弁20が開放されると、バルーン14に蓄積されたエネルギーによって、蓄圧容器12内の洗浄水が、吐水弁20を通ってジェットノズル6から噴出される。この噴射により、トラップ部4内にサイホン現象が発生する。
【0066】
吐水弁20を開放した後、所定時間経過し、バルーン14に蓄積されたエネルギーが全て解放されると、コントローラ22は分岐調整弁48に信号を送って、分岐調整弁48を第2ジェットノズル49の側にも洗浄水が流れるように切換える。分岐調整弁48が切換えられると、給水管8から供給された洗浄水が、分岐調整弁48を通って第2ジェットノズル49から噴出される。第2ジェットノズル49から噴出された洗浄水は、ジェットノズル6からの噴射後に残った浮遊汚物をトラップ部4から排出させる。この第2ジェットノズル49からの噴射は、給水管8からの給水圧に基づいて行われ、第2ジェットノズル49の内径はジェットノズル6よりも大きいため、ジェットノズル6からの噴射よりも流速の低いものとなる。また、第2ジェットノズル49からの吐水を行うと同時に、コントローラ22は、吐水弁20を閉鎖させ、分岐調整弁48を通過した洗浄水を蓄圧容器12に流入させて蓄圧容器12内への蓄圧を開始する。第2ジェットノズル49からの吐水が所定時間行なわれた後、分岐調整弁48を蓄圧容器12側のみに洗浄水が流れるように切換え、蓄圧を完了させる。以降の洗浄シーケンスは、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0067】
本変形例の水洗大便器47によれば、第2ジェットノズルからの吐水開始と同時に蓄圧を開始することがかできるので、所定圧まで蓄圧するために要する時間を短縮することができる。また、本変形例の水洗大便器47によれば、蓄圧容器12を小型化しながら、大量の洗浄水をジェット吐水させることができる。
【0068】
上述した本発明の第1実施形態及びその変形例は、本発明の蓄圧装置を水洗大便器のジェットノズルから噴射される洗浄水の加圧に利用したものであるが、本発明の蓄圧装置は、高圧水洗浄装置等、加圧した水道水を利用する任意の機器に適用することができる。
【0069】
次に、図10を参照して、本発明の第2実施形態による昇降装置である昇降便座を説明する。本実施形態による昇降便座は、蓄圧容器に蓄積される圧力による力を、水洗大便器の便座の昇降に利用するものである。図10は、本実施形態による昇降便座の概略側面図である。
【0070】
図10に示すように、本発明の第2実施形態による昇降便座50は、蓄圧容器52と、この蓄圧容器52の上流側の管路に設けられた逆止弁54と、この逆止弁54よりも上流側の管路から分岐した分岐管路56aに接続された開閉弁56と、蓄圧容器52の下流側の管路に設けられた圧力解放弁58と、を有する。さらに、本実施形態の昇降便座50は、蓄圧容器52内に摺動可能に配置されたピストン60と、このピストン60の動きを便座に伝達するリンク機構62と、このリンク機構62によって昇降される昇降台である便座64と、を有する。
蓄圧容器52は、加圧された水道水が流入するように構成され、加圧された水道水の流入により、ピストン60を図10において左方に移動させるように構成されている。
【0071】
逆止弁54及び開閉弁56は、第1実施形態における逆止弁16及び開閉弁18に対応し、これらと同様に、蓄圧容器52内に高圧の水道水を送り込むように作用するので、詳細な説明は省略する。なお、開閉弁56を通過した水道水は、昇降便座50を取付けた水洗大便器のリム吐水口(図示せず)から吐水され、水洗大便器の洗浄水として利用される。
圧力解放弁58は、蓄圧容器52の下流側の管路に設けられており、開放すると、蓄圧容器52内に貯留されていた水道水が排出され、ピストン60は図10において右方に移動される。なお、蓄圧容器52から排出された水道水を水洗大便器に導き、洗浄水として利用するように構成しても良い。
【0072】
リンク機構62は、ピストン60と便座64を連結するように配置されている。蓄圧容器52内に加圧された水道水が流入し、ピストン60が図10において左方に移動すると、便座64は、リンク機構62によって上方に移動されると共に、前方が下がるように傾斜される。一方、圧力解放弁58が開放され、蓄圧容器52内の水道水が排出されると、ピストン60は図10において右方に移動される。ピストン60が右方に移動されると、便座64は、リンク機構62によって、水洗大便器の上面に当接するまで下方に移動される。
【0073】
次に、本発明の第2実施形態による昇降便座の作用を説明する。
まず、水洗大便器の使用時においては、便座64は下降した状態、即ち、水洗大便器の上面に当接した状態にある。次に、水洗大便器の使用後、使用者が昇降便座50のスイッチ(図示せず)を操作すると、開閉弁56は開閉を開始し、水道水圧以上に加圧された水道水を、逆止弁54を介して蓄圧容器52に送り込む。蓄圧容器52に加圧された水道水が流入すると、ピストン60が移動され、リンク機構62を介して便座64が上昇される。これにより、使用者が便座64から立ち上がるのを介助する。便座64が所定位置まで上昇し、使用者が立ち上がると、圧力解放弁58が開放される。圧力解放弁58が開放されると、蓄圧容器52内の圧力が解放され、ピストン60が移動して便座64が下降する。
【0074】
本発明の第2実施形態の昇降装置である昇降便座によれば、水道水圧に基づいて水道水が水道水圧以上に加圧され、この圧力に基づく力によって便座を上昇させることができる。また、本実施形態の昇降便座では、蓄圧容器内の圧力を水道水圧よりも高く加圧しているので、受圧面積の小さいピストンでも大きな力を発生させることができるので、装置全体を小型化することができる。
【0075】
次に、図11及び12を参照して、本発明の第3実施形態による昇降装置であるバスリフトを説明する。本実施形態によるバスリフトは、蓄圧容器に蓄積される圧力による力を、浴槽内に設置されたバスリフトの座面の昇降に利用するものである。図11は本実施形態によるバスリフトの正面断面図であり、図12は側面断面図である。
図11及び12に示すように、本発明の第3実施形態によるバスリフト70は、蓄圧容器72と、この蓄圧容器72の上流側の管路に設けられた逆止弁74と、この逆止弁74よりも上流側の管路から分岐した分岐管路76aに接続された開閉弁76と、蓄圧容器72の下流側の管路に設けられた圧力解放弁78と、を有する。さらに、本実施形態のバスリフト70は、蓄圧容器72の上に載置された昇降台である座面80を有する。
【0076】
蓄圧容器72は、変形可能なバルーンで構成され、浴槽内に配置されている。蓄圧容器72は、加圧された水道水が蓄圧容器72に流入すると、体積が膨張し、その上に載置された座面80を浴槽内で上方に押し上げるように構成されている。
逆止弁74及び開閉弁76は、第1実施形態における逆止弁16及び開閉弁18に対応し、これらと同様に、蓄圧容器72内に高圧の水道水を送り込むように作用するので、詳細な説明は省略する。
圧力解放弁78は、蓄圧容器72の下流側の管路に設けられており、開放すると、蓄圧容器72内の水道水が、浴槽内に流入するように構成されている。
【0077】
次に、本発明の第3実施形態によるバスリフトの作用を説明する。
まず、バスリフト70の待機状態においては、蓄圧容器72内には加圧された水道水が貯留されており、蓄圧容器72は膨張した状態で、蓄圧容器72に載置された座面80は上昇している。次に、使用者がバスリフト70の座面80に座り、バスリフト70の下降スイッチ(図示せず)を操作すると、圧力解放弁78が開放される。圧力解放弁78が開放されると、蓄圧容器72内の水道水は、使用者の体重によって蓄圧容器72から押し出され、浴槽内に流入する。蓄圧容器72内の水道水が排出されることにより、蓄圧容器72の体積は縮小し、これに載置された座面80は緩やかに下降する。なお、蓄圧容器72の容積は浴槽に比べて十分に小さく、蓄圧容器72内の水道水は、浴槽内の湯によって温められているので、蓄圧容器72に貯留された水道水が流入することによる浴槽内の湯温の変化はごく僅かである。
【0078】
座面80を上昇させる際には、バスリフト70の上昇スイッチ(図示せず)を操作する。上昇スイッチ(図示せず)が操作されると、圧力解放弁78は閉鎖され、開閉弁76の開閉が開始する。開閉弁76が開閉されることによって、水道水圧以上に加圧された水道水が、逆止弁74を介して蓄圧容器72内に流入する。これにより、蓄圧容器72の体積が膨張し、座面80は緩やかに上昇する。
【0079】
本発明の第3実施形態の昇降装置であるバスリフトによれば、水道水圧に基づいて水道水が水道水圧以上に加圧され、この圧力に基づく力によって座面を上昇させることができる。また、本実施形態のバスリフトでは、蓄圧容器内の圧力を水道水圧よりも高く加圧しているので、座面の受圧面積が小さい場合でも座面には大きな力が作用するので、装置全体を小型化することができる。
【0080】
次に、図13を参照して、本発明の第4実施形態によるソープディスペンサを説明する。本実施形態によるソープディスペンサは、蓄圧容器に蓄積される圧力によって、洗剤容器内の洗剤を吐出させるものである。図13は本実施形態によるソープディスペンサのブロック図である。
【0081】
図13に示すように、本発明の第4実施形態によるソープディスペンサ90は、蓄圧容器92と、この蓄圧容器92の上流側の管路に設けられた逆止弁94と、この逆止弁94よりも上流側の管路から分岐した分岐管路96aに接続された開閉弁96と、蓄圧容器92の下流側の管路に設けられた圧力解放弁98と、を有する。さらに、本実施形態のソープディスペンサ90は、蓄圧容器92と連通するように接続された洗剤容器100と、この洗剤容器100内の洗剤を吐出させる洗剤吐出弁102と、を有する。また、ソープディスペンサ90には、開閉弁96による加圧の影響が他の機器に及ばないようにする第2逆止弁104が備えられている。さらに、蓄圧容器92内の空気は、エネルギー蓄積手段として作用する。
【0082】
蓄圧容器92は、洗剤容器100と連通するように接続されており、蓄圧容器92に加圧された水道水が流入すると、エネルギー蓄積手段である、蓄圧容器92内の空気が圧縮され、洗剤容器100内の洗剤に圧力を及ぼすようになっている。
逆止弁94及び開閉弁96は、第1実施形態における逆止弁16及び開閉弁18に対応し、これらと同様に、蓄圧容器92内に高圧の水道水を送り込むように作用するので、詳細な説明は省略する。
【0083】
圧力解放弁98は、蓄圧容器92の流出口側に設けられており、開放すると、蓄圧容器92内の水道水が排出され、蓄圧容器92内の圧力が低下する。
洗剤容器100は、その中に液体の洗剤が入れられており、この洗剤の液面には、蓄圧容器92内の圧力が作用している。
洗剤吐出弁102は、洗剤容器100の流出口に設けられており、洗剤を使用するとき開放され、加圧された液体の洗剤を吐出させる。
【0084】
次に、本発明の第4実施形態によるソープディスペンサ90の作用を説明する。
まず、ソープディスペンサ90の待機状態においては、蓄圧容器92には加圧された水道水が貯留されており、蓄圧容器92と連通した洗剤容器100内の洗剤は、蓄圧容器92内の空気によって圧縮されている。洗剤を使用する際には、洗剤吐出弁102を開放し、エネルギー蓄積手段である空気を膨張させ、洗剤容器100内の洗剤を泡状にして押し出す。洗剤が押し出され、蓄圧容器92内の圧力が所定圧以下に低下すると、開閉弁96の開閉が開始され、加圧された水道水が蓄圧容器92の中に送り込まれる。蓄圧容器92内の圧力が所定圧に達すると、開閉弁96の開閉は停止され、開閉弁96は閉状態にされる。洗剤の補充等、ソープディスペンサ90のメンテナンスを行う際には、圧力解放弁98を開放して水道水を排出し、蓄圧容器92内の圧力を低下させる。洗剤の補充等のメンテナンスを行った後、再び開閉弁96を開閉させ、蓄圧容器92内を所定の圧力まで上昇させて待機状態に復帰させる。
【0085】
本発明の第4実施形態のソープディスペンサによれば、水道水圧に基づいて水道水が水道水圧以上に加圧され、この圧力に基づく力によって洗剤を泡状にして吐出させることができる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、本発明の蓄圧装置は、上述した水洗大便器、昇降便座、バスリフト、ソープディスペンサ以外の機器にも適用することが可能であり、特に、水周りで使用される機器への適用に適している。また、上述した実施形態では、開閉弁は、蓄圧時において、開放された状態と、完全に閉鎖された状態を繰り返していたが、開閉弁を、開放された状態と、この状態よりも流路が縮小された状態を繰り返すように構成しても良い。開閉弁のこのような動作によっても、水道水の流速は変化されるので、蓄圧容器内の水道水を加圧することができる。なお、本明細書において、「開閉弁が開閉を繰り返す」は、開閉弁のこのような動作をも意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施形態による水洗大便器の概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による水洗大便器に内蔵されている蓄圧装置の部分を抜き出して図示したブロック図である。
【図3】蓄圧装置に使用されている直動ソレノイド型電磁弁の概略断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による水洗大便器の第1変形例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態による水洗大便器の第3変形例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態による水洗大便器の第4変形例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1実施形態による水洗大便器の第5変形例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1実施形態による水洗大便器の第6変形例を示す側面断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態による水洗大便器の第7変形例を示す側面断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態による昇降装置である昇降便座の概略側面図である。
【図11】本発明の第3実施形態による昇降装置であるバスリフトの正面断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態による昇降装置であるバスリフトの側面断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態によるソープディスペンサのブロック図である。
【符号の説明】
【0088】
1 水洗大便器
2 ボール部
4 トラップ部
4a 最高点
6 ジェットノズル
8 給水管
10 蓄圧装置
12 蓄圧容器
14 バルーン
16 逆止弁
18 開閉弁
18a 分岐管路
18b 入口側端部
18c 出口側端部
18d 排水管
20 吐水弁
22 コントローラ
24 弁座
26 弁体
28 駆動用コイル
30 付勢バネ
32 ピストン
34 バネ
36 拡張可能部
38 第2逆止弁
40 流路延長部
42 拡張可能部
44 第6変形例による水洗大便器
45 切換弁
46 第2ジェットノズル
47 第7変形例による水洗大便器
48 分岐調整弁
49 第2ジェットノズル
50 昇降便座
52 蓄圧容器
54 逆止弁
56 開閉弁
56a 分岐管路
58 圧力解放弁
60 ピストン
62 リンク機構
64 便座
70 バスリフト
72 蓄圧容器
74 逆止弁
76 開閉弁
76a 分岐管路
78 圧力解放弁
80 座面
90 ソープディスペンサ
92 蓄圧容器
94 逆止弁
96 開閉弁
98 圧力解放弁
100 洗剤容器
102 洗剤吐出弁
104 第2逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道の給水管に接続された蓄圧容器に、加圧された水道水を貯留する蓄圧装置であって、
上記蓄圧容器内に貯留された水道水が加圧されることによってエネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段と、
上記蓄圧容器の上流側に設けられ、加圧された水道水を上記蓄圧容器に流入させる逆止弁と、
上記給水管から上記逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、
上記蓄圧容器の下流側に設けられ、開放されたとき、上記エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーによって加圧された水道水を吐水させる吐水弁と、
を有し、
上記開閉弁は、開放されたとき上記給水管から供給された水道水を上記出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき、又は流路が縮小されたとき上記入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された水道水を上記蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返すことを特徴とする蓄圧装置。
【請求項2】
上記エネルギー蓄積手段が、上記蓄圧容器内の水道水の圧力が高まると弾性エネルギーを蓄えるように配置された弾性体である請求項1記載の蓄圧装置。
【請求項3】
上記開閉弁が、弁座と、この弁座から吐出される水道水の吐出方向とほぼ平行な方向に駆動される弁体と、この弁体を直線往復駆動するアクチュエータと、を有する請求項1又は2記載の蓄圧装置。
【請求項4】
上記開閉弁が、電磁力によって閉鎖され、バネ力によって開放される直動ソレノイド型電磁弁である請求項1乃至3の何れか1項に記載の蓄圧装置。
【請求項5】
さらに、上記分岐管路よりも上流側の管路に、内部の水圧が上昇したとき容積が拡張する拡張可能部が設けられている請求項1乃至4の何れか1項に記載の蓄圧装置。
【請求項6】
さらに、上記分岐管路よりも上流側の管路に、水道水の上流側への逆流を阻止する第2逆止弁が設けられている請求項1乃至5の何れか1項に記載の蓄圧装置。
【請求項7】
さらに、上記分岐管路よりも上流側の管路に、上記開閉弁の開閉によって加圧される圧力を高めるための流路延長部が設けられている請求項1乃至6の何れか1項に記載の蓄圧装置。
【請求項8】
洗浄水の少なくとも一部を、水道の給水管から直接供給する水洗大便器であって、
ボール部と、
このボール部の底部と排水配管とを連通させるトラップ部と、
上記ボール部の底部に配置され、上記トラップ部に向けて洗浄水を噴射するジェットノズルと、
水道の給水管から供給された洗浄水を、水道水圧よりも高い圧力に加圧された状態で貯留する蓄圧容器と、
この蓄圧容器内に貯留された洗浄水が加圧されることによってエネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段と、
上記蓄圧容器の上流側に設けられ、加圧された洗浄水を上記蓄圧容器に流入させる逆止弁と、
上記給水管から上記逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、
上記蓄圧容器の下流側に設けられ、上記ボール部を洗浄する際に開放され、上記エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーによって、上記蓄圧容器内の加圧された洗浄水を上記ジェットノズルから噴射させる吐水弁と、
を有し、
上記開閉弁は、開放されたとき上記給水管から供給された洗浄水を上記出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき上記入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された水道水を上記蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返すことを特徴とする水洗大便器。
【請求項9】
上記開閉弁が開放されたとき、上記出口側端部から逃がされた洗浄水が、上記ボール部の上部に形成されたリム吐水口から吐水される請求項8記載の水洗大便器。
【請求項10】
水道の給水管に接続され、水道水圧に基づく力によって上昇される昇降装置であって、
水道の給水管から供給された水道水を貯留する蓄圧容器と、
この蓄圧容器内の圧力が高まると上昇されるようになった昇降台と、
上記蓄圧容器の上流側に設けられ、加圧された水道水を上記蓄圧容器に流入させる逆止弁と、
上記給水管から上記逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、
上記蓄圧容器の下流側に設けられ、開放されると、上記蓄圧容器内に貯留された水道水を排出して上記昇降台を下降させる圧力解放弁と、
を有し、
上記開閉弁は、開放されたとき上記給水管から供給された水道水を上記出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき上記入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された水道水を上記蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返すことを特徴とする昇降装置。
【請求項11】
水道の給水管に接続され、水道水圧に基づく力によって液体状の洗剤を吐出させるソープディスペンサであって、
水道の給水管から供給された水道水を貯留する蓄圧容器と、
この蓄圧容器内に貯留された水道水が加圧されることによってエネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段と、
上記蓄圧容器の上流側に設けられ、加圧された水道水を上記蓄圧容器に流入させる逆止弁と、
上記給水管から上記逆止弁に至る管路から分岐した分岐管路に接続された入口側端部及び出口側端部を備えた開閉弁と、
上記蓄圧容器と連通するように接続され、液体状の洗剤を貯留した洗剤容器と、
この洗剤容器に接続され、開放されると、上記エネルギー蓄積手段に蓄積されたエネルギーを解放させて、上記蓄圧容器内の圧力によって上記洗剤容器内の洗剤を吐出させる洗剤吐出弁と、
を有し、
上記開閉弁は、開放されたとき上記給水管から供給された水道水を上記出口側端部へ逃がし、閉鎖されたとき上記入口側端部における水圧を高めることにより、加圧された水道水を上記蓄圧容器の中に送り込むように開閉を繰り返すことを特徴とするソープディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−241699(P2006−241699A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54614(P2005−54614)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】