説明

蓄電システム

【課題】基礎に特別な施工を施すことなく、また、建物に影響を及ぼすことが無いように蓄電池を設置する。
【解決手段】基礎の立上部28に、蓄電池32を支持した支持フレーム36を載せる。蓄電池32を支持した支持フレーム36を基礎の立上部に搭載するだけで済むため、基礎に特別な施工は必要としない。また、蓄電池32の重量は、頑丈な基礎に支持されるため、蓄電池32によって建物に影響が及ぶことは無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設けられ、電力を貯蔵するための蓄電池を備えた蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電システムを用いた住宅では、蓄電池の収納スペースとして、住宅のデッドスペースが有効利用される。例えば、特許文献1では、床下のスペースを蓄電池の設置場所として利用する技術が開示されている。床下は、自然換気によって換気されているため、風通しがよくまた比較的周囲温度が低く、蓄電池の放熱や冷却、発生・漏出するガスの排出を効率よく行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―163744号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電力貯蔵システムでは、蓄電池を載せて移動する台座が必要であり、床下の地盤上に、蓄電池を載せた重量のある台座をスムーズに走行させるためにコンクリートの仕上げやレールの敷設等、特別な施工が必要となり、台座もキャスターを取り付ける等して移動可能な構造としなければならず、高コストとなる。
【0005】
また、蓄電池を載せた台車を、建物の床下天井面に取り付けた走行レールに吊下げる方法もあるが、定常的に蓄電池の重量が床に作用するため、床が曲がる等、建物の床構造に影響を与える虞がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、基礎に特別な施工を施すことなく、また、建物に影響を及ぼすことが無いように蓄電池を設置可能な蓄電システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の蓄電システムは、基礎の立上部に搭載され、前記立上部の幅方向外側に蓄電池を支持する支持部が設けられた支持フレームを有している、蓄電システム。
【0008】
次に、請求項1に記載の蓄電システムの作用を説明する。
請求項1に記載の蓄電システムでは、支持フレームの支持部に蓄電池を支持することができ、蓄電池を支持部で支持した支持フレームを基礎の立上部に搭載することで、蓄電池(の重量)は支持フレームを介して基礎に支持される。
【0009】
蓄電池を支持した支持フレームを基礎の立上部に搭載するだけで済むため、床下の地盤に特別な施工等は必要としない。また、蓄電池の重量は、頑丈な基礎に支持されるため、蓄電池によって建物に影響が及ぶことは無い。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓄電システムにおいて、前記支持フレームは、前記立上部を跨ぐように中央部が上方に向けて凸に形成され、凸部分の両側に前記支持部が設けられている。
【0011】
次に、請求項2に記載の蓄電システムの作用を説明する。
請求項2に記載の蓄電システムでは、凸部分が立上部を跨ぐように支持フレームが立上部に搭載される。支持フレームの中央部を上方に向けて凸形状とすることで、両側の支持部は凸部の頂部よりも下方に位置することとなり、その結果、支持部に搭載される蓄電池の重心位置が下がり、蓄電池を支持した支持フレームは、地震等の揺れに対して安定する方向となり好ましい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の蓄電システムにおいて、前記蓄電池の上部を押さえる上フレームを備え、前記上フレームと前記支持フレームとの間に前記蓄電池が設置される。
【0013】
次に、請求項3に記載の蓄電システムの作用を説明する。
請求項3に記載の蓄電システムでは、蓄電池の上部が上フレームで押さえられる。このため。蓄電池を支持した支持フレームの輸送時、吊り上げ時、吊下げ時等において蓄電池の脱落を防止することが出来る。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の蓄電システムにおいて、前記支持フレームの中央部には、上方に向けて延びる側壁が形成され、前記側壁に前記上フレームが連結部材で着脱可能に連結されている。
【0015】
次に、請求項4に記載の蓄電システムの作用を説明する。
請求項4に記載の蓄電システムでは、側壁に前記上フレームが連結部材で着脱可能に連結されているため、必要に応じて側壁と上フレームとの連結を解除することができる。例えば、蓄電池を交換する場合等には、連結部材による側壁と上フレームとの連結を解除し、上フレームを上方に移動させることで、蓄電池の交換が可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の蓄電システムにおいて、床梁の下面レベルよりも下側に、前記支持フレームと前記上フレームとが配置される。
【0017】
次に、請求項5に記載の蓄電システムの作用を説明する。
床梁の下面は、床梁の上に配置される床材よりも下側に位置しており、床梁の下面(レベル)から床材の下面までには、床梁の高さ寸法を有する空間がある。
【0018】
このため、蓄電池を押さえている上フレームを床梁の下面レベルよりも下側に位置するようにしておけば、上フレームの上に上記空間があるため、蓄電池を交換する場合等に、上フレームを上方に移動することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の蓄電システムにおいて、前記蓄電池の端子に接続される電気ケーブルのコネクタには防水コネクタが用いられている。
【0020】
次に、請求項6に記載の蓄電システムの作用を説明する。
請求項6に記載の蓄電システムでは、蓄電池の端子に電気ケーブルの防水コネクタが接続されるので、仮に、蓄電池に水がかかったり、床下浸水した時においても、ショートや漏電の虞が無い。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の蓄電システムにおいて、複数の前記蓄電池が直列に接続され、直列接続における前記蓄電池の始端の端子と終端の端子には各々宅内引き込み用の電気ケーブルの一端が接続されている。
【0022】
次に、請求項7に記載の蓄電システムの作用を説明する。
【0023】
複数の前記蓄電池が直列に接続され、直列接続における蓄電池の始端の端子と終端の端子の各々に宅内引き込み用の電気ケーブルが接続されているため、この宅内引き込み用の電気ケーブルを宅内の電気機器に接続することで、蓄電池の電力を宅内の機器に送ることができる。なお、宅内引き込み用の電気ケーブルを用いて蓄電池の充電を行うことも出来る。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の蓄電システムにおいて、前記支持フレームには、前記立上部の両側面に圧接する突起が形成されている。
【0025】
次に、請求項8に記載の蓄電システムの作用を説明する。
請求項8に記載の蓄電システムでは、立上部に搭載された支持フレームの突起が、立上部の両側面に圧接しているため、蓄電池の交換作業や、地震等において、立上部に対する支持フレームのズレ(立上部の幅方向)が抑えられる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように請求項1に記載の蓄電システムによれば、基礎に特別な施工を施すことなく、また、建物に影響を及ぼすことが無い、という優れた効果を有する。
【0027】
請求項2に記載の蓄電システムによれば、蓄電池を安定して支持することができる、という優れた効果を有する。
【0028】
請求項3に記載の蓄電システムによれば、蓄電池の脱落を防止することが出来る、という優れた効果を有する。
【0029】
請求項4に記載の蓄電システムによれば、蓄電池の交換が容易になる、という優れた効果を有する。
【0030】
請求項5に記載の蓄電システムによれば、上フレームを上方に移動することができる、という優れた効果を有する。
【0031】
請求項6に記載の蓄電システムによれば、蓄電池に水がかかったり、床下浸水した際のショートや漏電を防止できる。
【0032】
請求項7に記載の蓄電システムによれば、蓄電池の電力を宅内の電気機器に輸送できる。
【0033】
請求項8に記載の蓄電システムによれば、支持フレームのズレを抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(A)は柱の断面図であり、(B)は第1の実施形態に係る蓄電システムの断面図である。
【図2】ユニット建物の要部の構造を示す斜視図である。
【図3】(A)は上フレームを取った蓄電システムの平面図であり、(B)は蓄電システムの断面図(図3(A)の3(B)−3(B)線断面図)である。
【図4】(A)は防水コネクタの断面図であり、(B)は蓄電池の端子に接続した防水コネクタの断面図である。
【図5】蓄電システムの取り手順を示す断面図である。
【図6】蓄電池を取り外している状態を示す蓄電システムの断面図である。
【図7】第2の実施形態に係る蓄電システムの断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る蓄電システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1の実施形態]
以下、図1〜図6を用いて、本発明に係る蓄電システムの第1の実施形態について説明する。
【0036】
図2には、本発明の第1の実施形態に係る蓄電システムが適用される建物の一例としてのユニット建物12の一部が示されている。
ユニット建物12は、複数の建物ユニット14が、地盤16上に設けられた建物の基礎構造の一例としての基礎構造体18上において桁方向(矢印X方向)及び妻方向(矢印Y方向)に隣接して配置され、順次据え付けられていくことにより構成されている。
【0037】
これらの建物ユニット14は、建物躯体の一例としての複数本の柱20、天井大梁22、及び床大梁24にて箱形状に骨組みが配置された構成となっている。
なお、図2のユニット建物12は1階のみが示されているが、建物ユニット14を1階の建物ユニット14の上に配置して2階建て以上にすることもできる。また、ユニット建物12の構成は、上記構成に限られることなく、他の箱形の架構構造であっても良い。
【0038】
鉄筋等で補強されたコンクリートからなる基礎構造体18は、一例として、基礎の外周部を形成する枠状の外側基礎本体26と、外側基礎本体26よりも内側の敷地に格子状に設けられた内側基礎本体28とを含んで構成されている。なお、内側基礎本体28は、4本の柱を支持する部分を除いて、外側基礎本体26よりも低く形成されている。
【0039】
図1に示すように、本実施形態の蓄電システム30は、複数の蓄電池32と、これらの蓄電池32を支持するフレームアッシー34を備えている。フレームアッシー34は、鋼板製の支持フレーム36と、上フレーム38を含んで構成されている。
【0040】
支持フレーム36は、内側基礎本体28の立上部28Aの上部に搭載され、基礎長手方向に沿って延びる長方形の搭載面36A、搭載面36Aの幅方向両側から下方に向けて立上部28Aと平行に延びる側面36B、側面36Bの下端から立上部28Aの幅方向外側へ延びる支持面36C、支持面36Cの端部から上方へ延びる下フランジ部36D、搭載面36Aの上面から上方に立ち上がると共に基礎長手方向に沿って延びる一対の上フレーム取付面36E、これら一対の上フレーム取付面36Eの上端同士を連結する連結面36Fを備えている。
【0041】
なお、一方の側面36Bと他方の側面36Bとの間隔寸法W1(図3(B)参照)は、立上部28Aの幅寸法W0(図1(B)参照)よりも若干大きめに設定されている。
【0042】
搭載面36A、側面36B、支持面36C、及び下フランジ部36Dは、1枚の鋼板を曲げ加工することで形成されており、一対の上フレーム取付面36Eと連結面36Fとからなる断面コ字形状部分は、1枚の鋼板を曲げ加工することで形成され、上フレーム取付面36Eの下端が搭載面36Aに溶接等で接合されている。
【0043】
なお、支持フレーム36は、内側基礎本体28の立上部28Aの上部に搭載された状態で、その下面が床下の地盤16に接触しないように地盤16から浮かされている。
【0044】
一方、上フレーム38は、支持フレーム36の上フレーム取付面36Eに沿って配置される側面38Aと、側面38Aの上端から上フレーム取付面36E側とは反対側へ、搭載面36Aと平行に延びる上面38B、上面38Bの側面38A側とは反対の端部から下方へ延びる上フランジ部38Cを備え、全体的に断面略L字形状に形成されている。
【0045】
支持フレーム36の各側面36Bには、長手方向に離れた2箇所に、後述するボルト40を螺合させるナット42が内面側に溶接等で接合されている。また、側面36Bには、ナット42の接合部分にボルト40を挿通させる貫通孔44が形成されている。
【0046】
一方、上フレーム38の側面38Aには、ボルト40の螺子部が挿通可能(頭部は挿通不可)な上下方向に延びる長孔46が形成されている。
上フレーム38は、長孔46を挿通させたボルト40を支持フレーム36のナット42に螺合して締め付けることで、支持フレーム36に固定される。
【0047】
図3に示すように、上フレーム38の連結面36Fの下面には、長手方向に離れた2箇所にナット48が溶接等で接合さており、ナット48の接合された部分には、貫通孔50が形成されている。このナット48には、吊ボルト(アイボルト)52が取り付けられている。
【0048】
2つの吊ボルト52が取り付けられる位置は、吊下げる際のバランスを取るために、フレームアッシー34の幅方向中心線CL上であって、かつフレームアッシー34の重心Gから等距離に設定されている。
【0049】
なお、これら上フレーム38、支持フレーム36、ボルト40、ナット42、ナット48、吊ボルト52等は、メッキ、あるいは塗装、コーティング等の防錆処理が施されている。
【0050】
図3に示すように、支持フレーム36の支持面上には、長手方向に沿って複数の蓄電池32が搭載されており、蓄電池32は、上フレーム38によって上から押さえられている。また、立上部幅方向外側へ蓄電池32が脱落しないように、蓄電池32は、上フレーム38の上フランジ部38Cと支持フレーム36の下フランジ部36Dとで角部分が押さえられている。なお、これら複数の蓄電池32は、蓄電システム30のバランスが取れるようにフレームアッシー34の重心Gから均等に配置することは勿論である。
なお、吊ボルト52は、吊上げ時のバランスを考慮して、蓄電池32を搭載した蓄電システム30の重心位置よりも上方に配置されている。
【0051】
さらに、本実施形態の蓄電システム30は、図1に示すように、内側基礎本体28の上方に内側基礎本体28に沿って配置される床大梁24よりも、幅方向外側に上フレーム38が位置しており、かつ床大梁24の下面レベル24Lよりも下側に上フレーム38、及び支持フレーム36位置している。このため、上フレーム38と床90の下面との間には、少なくとも上フレーム38を上方にスライド可能な空間が設けられている。なお、図中、符号91は断熱材である。
【0052】
本実施形態の蓄電池32は、側面に端子54、56が設けられている。
本実施形態では、複数の蓄電池32が接続ケーブル58によって直列に接続されていると共に、直列接続された複数の蓄電池32のうちの、直列接続における始端側の蓄電池32の端子54(例えばプラス極)、及び終端側の蓄電池32の端子56(例えば、マイナス極)には、宅内に引き込むための宅内引き込み用電気ケーブル60が接続されている。
【0053】
接続ケーブル58、及び宅内引き込み用電気ケーブル60の端部には、防水コネクタ62が取り付けられている。
【0054】
図4(A)に示すように、防水コネクタ62は、コード64の導線の端部に接続される金属製のターミナル66を備え、ターミナル66は、一部が開口されたゴム、合成樹脂等の絶縁性を有した弾性体からなる防水キャップ68で覆われている。
【0055】
防水キャップ68は、コード64と防水キャップ68との間からキャップ内部へ水が浸入しないようにコード64の外周部分に密着している。
【0056】
防水キャップ68の開口周辺には、環状のパッキン70が取り付けられている。このパッキン70は、例えば、水を透過させることが無く、かつ絶縁性を有する無数の独立気泡を有するスポンジ様の物、例えば、発泡ゴム等の柔軟な素材で形成することができるが、柔軟であれば気泡な必ずしも必要としない。
【0057】
例えば、図4(B)に示すように、蓄電池32の端子54にターミナル66を取り付け、防水キャップ68のパッキン70を蓄電池32の絶縁性のケース32Aに密着させれば、蓄電池32のケース32Aと防水キャップ68との間からキャップ内に水が浸入することは無い。
【0058】
なお、図4に示す防水コネクタ62の構造は一例であり、蓄電池32の端子54,56に水が接触しないような構成であれば、他の構成の防水コネクタを用いても良い。
【0059】
(作用)
先ず、本実施形態の蓄電システム30の製造手順を説明する。
(1) 支持フレーム36のナット48に吊ボルト52を取り付け、支持フレーム36の支持面36Cに複数の蓄電池32を搭載する(図3参照)。
【0060】
蓄電池32の上に上フレーム38を載せ、上フレーム38の長孔46を挿通させたボルト40を、支持フレーム36のナット42に螺合して締め付ける。これによって、蓄電池32は上フレーム38で上から押さえられ、支持フレーム36と上フレーム38とで挟持された格好で固定される。さらに、支持フレーム36の下フランジ部36E、及び上フレーム38の上フランジ部38Cが蓄電池32の側部に接触しているので、輸送時や、吊り上げ等の作業時に蓄電池32がフレームアッシー34から脱落することを防止できる。
【0061】
なお、蓄電池32は、間隔を開けて配置されており、蓄電池32と蓄電池32との間の隙間から工具を差し込んで、ボルト40の締め付け作業を行うことが出来る。
【0062】
(2) 蓄電池32の端子54,56に接続ケーブル58、及び宅内引き込み用電気ケーブル60を接続する。本実施形態の蓄電システム30では、接続ケーブル58を用いて蓄電池32を直列接続しているが、必要に応じて並列接続しても良い。
(3) 以上により、蓄電システム30が完成する。
【0063】
次に、蓄電システム30をユニット建物12の基礎構造体18に取り付ける手順を説明する。
(1) 吊ボルト52に、ワイヤを通したり、シャックルを取り付け、クレーンで蓄電システム30を吊下げ、内側基礎本体28の上方に運搬する(図5参照)。
そして、内側基礎本体28の立上部28Aの上部に搭載面36Aが載るように蓄電システム30を下ろす。
【0064】
本実施形態では、蓄電システム30を内側基礎本体28の立上部28Aに搭載するのみであり、特に、ボルトその他の部材を用いて蓄電システム30を内側基礎本体28等に固定はしない。
【0065】
本実施形態の蓄電システム30には、吊ボルト52が取り付けられているので、ユニット建物12を建築する際に用いるクレーンを使って重量のある(例えば、総重量100kg以上)蓄電システム30を簡単に運搬、設置することができる。
【0066】
(2) 吊ボルト52からワイヤ(又はシャックル)を外し、その後、建物ユニット18を基礎構造体18に設置する。
【0067】
(3) その後、本実施形態では、蓄電システム30の宅内引き込み用電気ケーブル60を、例えば、柱20と柱20の間の隙間を介して宅内に引き込み、蓄電システム30を種々の電気機器の電力源として用いることが出来る。なお、宅内引き込み用電気ケーブル60を用いて蓄電池32を充電できることは勿論である。
【0068】
このようにして設置された本実施形態の蓄電システム30によれば、蓄電池32の重量が頑丈な基礎構造体18に支持されるので、ユニット建物12の建物本体に蓄電池32の重量は一切作用せず、ユニット建物12に影響が及ぶことは無い。
【0069】
本実施形態の蓄電システム30では、立上部28Aの上面よりも蓄電池32の搭載されている支持面36Cが下方に位置しているため、立上部28Aの上面と蓄電池32の搭載されている支持面36Cとが同じ高さの場合に比較して蓄電池32の重心位置が下がって蓄電システム30のバランスが取れる、即ち、蓄電システム30の安定度が増し、地震等で揺れた際の蓄電システム30の転倒を防止することが出来る。
【0070】
蓄電池32を交換する場合には、図6に示すように、ボルト40を緩めて上フレーム38を上方にスライドさせることで、蓄電池32を取り出すことが出来る。
本実施形態の蓄電システム30は、床大梁24の下面よりも下側に位置しているので、上フレーム38の上方には、上フレーム38を上方にスライドできる空間を十分にとることが出来る。
【0071】
なお、蓄電池32の交換作業を容易にするために、蓄電システム30の近傍の床90等に開閉式の点検口等を設けることが好ましい。
【0072】
ところで、床下浸水等が有った場合、蓄電池32に水がかかったり水没する場合が考えられるが、各蓄電池32の端子54,56は全て防水コネクタ62の防水キャップ68で覆われているのでショートや漏電の虞は無い。
【0073】
吊ボルト52は、蓄電システム30を吊り上げる際等に必要であり、設置後は必要としないので、設置後には取り外しても良い。また、通常は吊ボルト52を取り付けておかず、吊り上げる際に取り付けるようにしても良い。吊ボルト52の代わりに、フックを取り付けても良く、ワイヤーやシャックルが引っかかる孔や切欠の形成された部材(鋼板等)を溶接等で上フレーム38に接合しても良く、場合によっては上フレーム38に貫通孔を開けるだけでも良い。何れにしても、蓄電システム30をクレーン等で吊り上げるための吊上部(吊ボルト、螺子付きのフック、孔や切欠の形成された部材、貫通孔等)を設けておく必要がある。これにより、複数の蓄電池32を一度に内側基礎本体28に支持させることができる。このように、蓄電システム30には、吊ボルト52、ナット48、フック等の、蓄電システム30をクレーン等で吊り上げる際に用いる吊上部を、蓄電システム30の重心よりも上側に設けることが好ましい。
【0074】
本実施形態の蓄電システム30では、蓄電池32の3面(背面(端子側とは反対面)、上面、下面)を鋼板からなるフレームアッシー34に接触させているので、フレームアッシー34をヒートシンクとして利用することも出来る。
本実施形態の蓄電システム30では、フレームアッシー34が地盤16から浮かされているため、地盤(土)16に直置きした場合に比較して高い耐久性が得られる。
【0075】
本実施形態の蓄電システム30では、複数の蓄電池32を直列接続しているので、宅内引き込み用電気ケーブル60の他端からは、単体の蓄電システム30よりも高い電圧を取り出すことができる。
【0076】
[第2の実施形態]
以下、図7を用いて、本発明に係る蓄電システムの第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図7には、蓄電システム30をパネル工法の建物の基礎本体74に取り付けられた例が示されている。
【0077】
本実施形態の蓄電システム30に用いられているフレームアッシー34には、第1の実施形態のフレームアッシー34とは一部の形状が異なる支持フレーム76が用いられている。
本実施形態の支持フレーム76は、側面76Bの一部に立上部28A側へ凸となる断面略三角形の突起78が形成されており、突起78の先端が立上部28Aの側面に圧接している。側面76Bは、ボルト40の先端が基礎本体74の立上部74Aの側面に接触しないように、突起78以外の部分が立上部28Aの側面から離れている。
【0078】
本実施形態では、床梁80が、立上部28Aの上部に配置されたスペーサー82の上に搭載されており、床梁80と立上部28Aの上部との間の通風用の隙間に、支持フレーム76の搭載面76Aが配置されているため、吊ボルト52は、蓄電システム30を移送するときに取り付け、蓄電システム30を基礎本体74に配置した後は、基礎本体74の上に配置する床梁80と干渉しないように取り外す。
【0079】
なお、本実施形態では、基礎本体74の立上部74Aの上面には、蓄電システム30を吊下げるときに取り付けた吊ボルト52の螺子部の先端、及びナット48が当らないように逃げ穴84が形成されている。
【0080】
本実施形態の蓄電システム30も第1の実施形態と同様に、蓄電池32の重量が頑丈な基礎本体74に支持されるので、建物本体に蓄電池32の重量は一切作用せず、建物に影響が及ぶことは無い。
【0081】
本実施形態の蓄電システム30では、立上部28Aの両側面にフレームアッシー34の突起78が圧接しているので、蓄電池32の交換作業等でフレームアッシー34がずれたりすることが防止できる。
【0082】
[第3の実施形態]
以下、図8を用いて、本発明に係る蓄電システムの第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態の蓄電システム30に用いられているフレームアッシー34には、第1の実施形態のフレームアッシー34とは一部の形状が異なる支持フレーム86が用いられている。
【0083】
本実施形態の支持フレーム86は、搭載面86A、及び支持面86Bが平板状に形成されており、支持面86Bの端部に下フランジ部86Cが形成されている。また、支持フレーム86の下面には、内側基礎本体28の立上部28Aの側面に接触してズレを防止するため、一対のアングル88が溶接等で接合されている。
【0084】
なお、搭載面86Aには、上端同士が連結面86Fで連結された一対の上フレーム取付面86Dが溶接等で接合されている。
【0085】
本実施形態の蓄電システム30も第1の実施形態と同様に、蓄電池32の重量が頑丈な内側基礎本体28に支持されるので、ユニット建物12の建物本体に蓄電池32の重量は一切作用せず、ユニット建物12に影響が及ぶことは無い。
【0086】
以上、本発明の蓄電システム一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
上記実施形態では、例えば、フレームアッシー34は立上部28Aを跨ぐように形成され、立上部28Aの両側に支持面36Cを設けて立上部28Aの両側に蓄電池32を配置したが、場合によっては、支持面36Cはフレームアッシー34の片側にのみ設けられていても良い。この場合、吊ボルト52は、蓄電システム30を吊上げた際のバランスの取れる位置に設けることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0087】
12 ユニット建物(建物)
24 床大梁(梁)
28 内側基礎本体(基礎)
28A 立上部
30 蓄電システム
32 蓄電池
36 支持フレーム
36A 搭載面
36C 支持面(支持部)
36E 上フレーム取付面
38 上フレーム
40 ボルト(連結部材)
42 ナット(連結部材)
54 端子
56 端子
58 接続ケーブル
60 宅内引き込み用電気ケーブル
62 防水コネクタ
74 基礎本体(基礎)
74A 立上部
76 支持フレーム
76A 搭載面(搭載部)
78 突起
80 床梁
86 支持フレーム
86B 支持面(支持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎の立上部に搭載され、前記立上部の幅方向外側に蓄電池を支持する支持部が設けられた支持フレームを有している、蓄電システム。
【請求項2】
前記支持フレームは、前記立上部を跨ぐように中央部が上方に向けて凸に形成され、凸部分の両側に前記支持部が設けられている、請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記蓄電池の上部を押さえる上フレームを備え、前記上フレームと前記支持フレームとの間に前記蓄電池が設置されている、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記支持フレームの中央部には、上方に向けて延びる側壁が形成され、
前記側壁に前記上フレームが連結部材で着脱可能に連結されている、請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項5】
床梁の下面レベルよりも下側に、前記支持フレームと前記上フレームとが配置される、請求項3または請求項4に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記蓄電池の端子に接続される電気ケーブルのコネクタには防水コネクタが用いられている、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の蓄電システム。
【請求項7】
複数の前記蓄電池が直列に接続され、直列接続における前記蓄電池の始端の端子と終端の端子には各々宅内引き込み用の電気ケーブルの一端が接続されている、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の蓄電システム。
【請求項8】
前記支持フレームには、前記立上部の両側面に圧接する突起が形成されている、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の蓄電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−221919(P2012−221919A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90144(P2011−90144)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】