説明

蓄電素子

【課題】ケースの隔壁にリベットを貫通し、リベットをかしめても、ケースの隔壁の、リベットが貫通する領域の周辺領域における気密性を確保することのできる蓄電素子を提供する。
【解決手段】発電要素と、隔壁によって構成されるケースであって、発電要素を収容するケースと、隔壁を貫通するリベットとを備え、隔壁における、リベットが貫通する領域の周辺領域は、他の領域よりも高い硬さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電要素と、該発電要素を収容するケースと、該ケースの隔壁を貫通するリベットとを備える蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両(自動車、自動二輪車等)や各種機器(携帯端末、ノート型パソコン等)の動力源として、電池(リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等)やキャパシタ(電気二重層キャパシタ等)といった放充電可能な蓄電素子が採用されている。例えば、電池には、種々タイプのものが提供されている。その一つとして、発電要素と、該発電要素に電気的に接続された集電体と、発電要素及び集電体を収容するケースと、ケースの外部に配置された外部端子と、ケースの隔壁に挿通されたリベットとを備え、外部端子と集電体とがリベットを介して電気的に接続された電池が提供されている。
【0003】
この種の電池では、リベットと外部端子とが一体的に形成されたもの(例えば、特許文献1参照)や、リベットと外部端子とが接続導体を介して接続されたもの(例えば、特許文献2参照)がある。何れにおいても、ケースの隔壁の内面に沿って内部絶縁部材が配置され、外面に沿って外部絶縁部材が配置されている。リベットは、外部絶縁部材、ケースの隔壁に形成された貫通孔、内部絶縁部材及び集電体を貫通した後、その先端がかしめられる。
【0004】
これにより、集電体と該集電体に接続された発電要素とがケースに固定される。リベットの両端部は、外部絶縁部材、ケースの隔壁、内部絶縁部材及び集電体を一体的に挟み込み、隔壁における貫通孔の周辺領域に圧縮力を作用させる。これにより、内部絶縁部材及び外部絶縁部材は、隔壁に密接し、ケース内外を気密にする。
【0005】
ところで、ケースは、金属(ステンレスやアルミニウム合金等)を用いて形成されている。そのため、上述の如く、リベットをかしめたとき、ケースの隔壁における貫通孔の周辺領域は、圧縮されてリベットの軸線と交差する方向、すなわち、圧縮力の作用方向と交差する方向に延びる傾向にある。
【0006】
これに伴い、ケースの隔壁における貫通孔の周辺領域は、歪んだり、薄くなったりしてしまう。そのため、この貫通孔の周辺領域に対する内部絶縁部材及び外部絶縁部材の密着度(電池ケースの気密性)が低くなることがある。
【0007】
特に、電池を軽量化するためにアルミニウム合金でケースが形成されると、アルミニウム合金はステンレス等の鋼材に比べて柔らかいため、かしめ処理に伴う隔壁の延びは顕著になる。こうなると、電池ケースの気密性が格段に低くなってしまう。
【0008】
一方、ケースの隔壁と発電要素とを電気的に接続するためにリベットが用いられる場合、隔壁とリベットとを絶縁する必要はないため、内部絶縁部材及び外部絶縁部材は不要である。但し、このような場合でも、リベットをかしめたときに、隔壁における貫通孔の周辺領域が圧縮され、歪んだり、薄くなったりしてしまい、ケースの気密性が低くなることがある。
【0009】
また、この種の問題は、電池に限られず、キャパシタ(電気二重層キャパシタ等)についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−357833号公報
【特許文献2】特開2010−97764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、ケースの隔壁にリベットを貫通し、リベットをかしめても、隔壁における、リベットが貫通する領域の周辺領域における気密性を確保することのできる蓄電素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る蓄電素子は、
発電要素と、
隔壁によって構成されるケースであって、発電要素を収容するケースと、
隔壁を貫通するリベットとを備え、
隔壁における、リベットが貫通する領域の周辺領域は、他の領域よりも高い硬さを有する。
【0013】
この場合、
ケースは、少なくとも一部に貫通孔を有する隔壁によって構成され、
リベットは、貫通孔を通って隔壁を貫通し、
隔壁における貫通孔の周辺領域は、他の領域よりも高い硬さを有する、
ようにすることができる。
【0014】
かかる構成によれば、隔壁における、リベットが貫通する領域の周辺領域が、他の領域よりも高い硬さを有する。そのため、リベットのかしめ処理によって圧縮力が当該周辺領域に作用しても、当該周辺領域が圧縮方向と交差する方向に延びることが抑制される。尚、ここで示す「硬さ」とは、ビッカース硬さに代表される押し込み硬さのことである。
【0015】
すなわち、当該周辺領域は、リベットのかしめ処理に伴う圧縮力が作用する領域であるが、当該周辺領域は、高い硬さを有するため、リベットのかしめ処理を行ったときに、圧縮方向と交差する方向に延びることが抑制される。
【0016】
従って、当該周辺領域が歪んだり、薄くなったりすることを抑制できるため、ケースの気密性が確保される。
【0017】
本発明に係る蓄電素子の一態様として、
隔壁に沿って配置される絶縁部材であって、隔壁に対向する接合面を有し、リベットが絶縁部材及び隔壁を貫通する、絶縁部材をさらに備え、
隔壁は、絶縁部材の接合面の少なくとも一部を嵌合可能な凹部を有する、
ようにすることができる。
【0018】
この場合、
隔壁に沿って配置される絶縁部材であって、隔壁の貫通孔に対応する貫通孔と、該二つの貫通孔が合わさった状態で隔壁に対向する接合面とを有し、リベットが二つの貫通孔を通って絶縁部材及び隔壁を貫通する、絶縁部材をさらに備え、
隔壁は、絶縁部材の接合面の少なくとも一部を嵌合可能な凹部を有する、
ようにすることができる。
【0019】
かかる構成によれば、凹部の内周面と絶縁部材の接合面の少なくとも一部とが対向した状態になるため、リベットのかしめ処理に伴う圧縮力が絶縁部材に作用しても、該絶縁部材が圧縮方向と交差する方向で無造作に延びることを制限することができる。
【0020】
また、この場合、
前記絶縁部材は、合成樹脂製である、
ようにすることができる。
【0021】
かかる構成によれば、リベットのかしめ処理に伴う圧縮力の作用によって、絶縁部材が当該周辺領域でクリープ変形して薄肉になり、隔壁との密接性が低下するおそれがある。しかしながら、上述の如く、絶縁部材が凹部に嵌合されることでクリープ変形が制限される。そのため、隔壁との密接性を確保することができる。特に、絶縁部材が凹部に嵌合した状態で凹部の内周面と絶縁部材の接合面とが密接又は略密接するようにしておけば、リベットのかしめ処理に伴う絶縁部材の変形を確実に規制することができる。
【0022】
ここで、
絶縁部材は、隔壁の外面に配置され、リベットを支持する、
ようにすることができる。
【0023】
また、本発明に係る蓄電素子の一態様として、
絶縁部材は、
隔壁の外面に配置される外部絶縁部材であって、隔壁の外面に対向する接合面を有する外部絶縁部材と、
隔壁の内面に配置される内部絶縁部材であって、隔壁の内面に対向する接合面を有し、リベットが外部絶縁部材、隔壁及び内部絶縁部材を貫通する、内部絶縁部材とを含み、
隔壁は、外部絶縁部材又は内部絶縁部材の少なくとも何れか一方の接合面の少なくとも一部を嵌合可能な凹部を有する、
ようにすることができる。
【0024】
この場合、
絶縁部材は、
隔壁の外面に配置される外部絶縁部材であって、隔壁の貫通孔に対応する貫通孔と、該二つの貫通孔が合わさった状態で隔壁の外面に対向する接合面とを有する外部絶縁部材と、
隔壁の内面に配置される内部絶縁部材であって、隔壁の貫通孔に対応する貫通孔と、該二つの貫通孔が合わさった状態で隔壁の内面に対向する接合面とを有し、リベットが三つの貫通孔を通って外部絶縁部材、隔壁及び内部絶縁部材を貫通する、内部絶縁部材とを含み、
隔壁は、外部絶縁部材又は内部絶縁部材の少なくとも何れか一方の接合面の少なくとも一部を嵌合可能な凹部を有する、
ようにすることができる。
【0025】
かかる構成によれば、隔壁の外面に絶縁部材が配置される場合は、隔壁の外面に凹部が形成され、隔壁の内面に絶縁部材が配置される場合は、隔壁の内面に凹部が形成される。隔壁の外面及び内面の双方に絶縁部材が配置される場合は、隔壁の外面又は内面のうち、密接性を確保したい側にのみ凹部が形成されてもよいし、外面及び内面の双方に凹部が形成されてもよい。
【0026】
また、本発明に係る蓄電素子の別の態様として、
隔壁における、リベットが貫通する領域の周辺領域は、厚み方向に圧縮成型されることにより、他の領域よりも高い硬さを有する、
ようにすることができる。
【0027】
隔壁における、リベットが貫通する領域の周辺領域が圧縮成型されることで、当該周辺領域に加工硬化が生じ、その結果、他の領域よりも高い硬さを有することとなる。圧縮成型とすることで、加工硬化を容易に生じさせることができ、また、加工硬化と凹部の形成とを同時に行うことができる。
【0028】
また、本発明に係る蓄電素子のさらに別の態様として、
隔壁は、焼きなましされたアルミニウム合金を用いて形成される、
ようにすることができる。
【0029】
このように、焼なましされたアルミニウム合金で構成された隔壁において、リベットが貫通する領域の周辺領域が圧縮成型されることで、隔壁を損傷(破断)させることなく高い硬さとすることができる。かかる効果は、隔壁に貫通孔が形成されている場合は顕著となる。
【0030】
すなわち、未加工(素地)のアルミニウム合金や熱処理されたアルミニウム合金等は、焼なましされたアルミニウム合金(いわゆる、O材)に比べて硬い。そのため、未加工(素地)のアルミニウム合金や熱処理されたアルミニウム合金等であれば、圧縮成型されたときに、金型のエッジが接する箇所にて損傷(破断)するおそれがある。特に、軽量化を図るべく厚みを薄くした場合には、その損傷が顕著になる。これに対し、焼なましされたアルミニウム合金は、上記の素材に比して柔らかい。そのため、圧縮成型されたときに、金型に沿った滑らかな態様で塑性変形する。従って、隔壁に機械的な破損が生じにくい。そのため、ケース内を確実に気密にすることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明に係る蓄電素子によれば、ケースの隔壁を貫通したリベットをかしめることで、隔壁における、リベットが貫通する領域の周辺領域が歪んだり、薄くなったりすることを抑制できる。これにより、ケースの気密性を確保することができるといった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池の斜視図を示す。
【図2】同電池の側面図を示す。
【図3】図1のA−A線断面図を示す。
【図4】図1のB−B線断面図を示す。
【図5】同電池の端子構造の拡大断面図を示す。
【図6】同端子構造の上方から見た分解斜視図を示す。
【図7】同端子構造の下方から見た分解斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態である電池について、図面を参酌しつつ説明する。本実施形態に係る電池は、非水電解質二次電池、より詳しくは、リチウムイオン二次電池である。本実施形態に係る電池は、図1〜図4に示す如く、ケース本体2と、該ケース本体2の開口部を塞いで密閉する蓋板3とで構成されるケース1を備えている。また、蓋板3には、ケース1内に収納された発電要素4と電気的に接続された端子構造9が設けられている。
【0034】
ケース本体2及び蓋板3は、アルミニウム合金やステンレス合金等の金属を用いて形成される。本実施形態では、ケース本体2及び蓋板3は、アルミニウム合金を用いて形成されている。アルミニウム合金として、焼なまし材(いわゆる、O材)が採用されている。ケース本体2は、長円筒形状にされた巻回型の発電要素4を収納すべく、幅方向に偏平な有底角筒状である。蓋板3は、ケース本体2の開口部に対応した長方形状の板材である。
【0035】
蓋板3には、図5〜図7に示す如く、後述するリベット12を挿通するための貫通孔3aが長手方向に間隔をあけて二つ形成されている。各貫通孔3aの周辺領域は、例えば、コイニング加工によって、厚み方向に圧縮成型されている。これにより、各貫通孔3aの周辺領域は、他の領域よりも薄肉に形成されている。そして、貫通孔3aの周辺領域が圧縮成形されることにより、貫通孔3aの周辺領域では、加工硬化が生じ、剛性が高められている。
【0036】
貫通孔3aの周辺領域が圧縮成型によって薄肉にされることで、蓋板3の外面に、後述するように、外部ガスケット11を嵌合可能な凹部(第一凹部)3bが形成されている。
【0037】
なお、貫通孔3aは、蓋板3となるアルミニウム合金の板材において、貫通孔3aを形成すべき位置に該貫通孔3aよりも小径な孔が貫通形成され、該孔の周辺領域が圧縮成型されて薄肉にされた後、孔の径が拡大されることで、形成される。このように、予め小径な孔が形成された後、該孔の周辺領域が圧縮成型されることで、その圧縮成型時に圧縮しきれない余分な部分が小径な孔側に逃げることになる。これにより、貫通孔3aの周辺領域の両面を平滑面に仕上げることができる。また、圧縮成型後に小径な孔が拡大されることにより貫通孔3aが形成されると、圧縮成型時に逃げた余分な部分が除去され、貫通孔3aが適正な形状となる。図1〜図4に戻り、蓋板3は、ケース本体2の開口部に嵌め込まれ、レーザ溶接等により密閉固定される。
【0038】
発電要素4は、帯状の正極シート5と帯状の負極シート6とを、その間に帯状のセパレータ7を挟んだ状態で、左右の異なる方向にずらし、左右方向の回転軸を中心に上下に長円となる長円筒形状に巻回したものである。発電要素4は、絶縁性シートで形成した絶縁カバー(図示しない)で全体が覆われ、ケース1と絶縁された状態で、該ケース1内に収納されている。正極シート5は、アルミニウム箔の表面に正極活物質を担持させたものである。負極シート6は、銅箔の表面に負極活物質を担持させたものである。正極シート5及び負極シート6は、それぞれ左右のずれ方向の端縁部に、活物質の未塗工部を有している。これにより、発電要素4の左右の端部では、アルミニウム箔や銅箔が露出し、これら電極の金属箔が巻回された巻き束状のままはみ出している。
【0039】
また、発電要素4の左右の端部にはみ出した金属箔には、それぞれ集電体8が電気的に接続されている。集電体8は、上下に長尺な導電性金属部材である。より詳しくは、正極の集電体8は、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いて形成され、負極の集電体8は、銅又は銅合金を用いて形成されている。集電体8の上部は、水平に折り曲げられて接続部8aとされる。該接続部8aより下方の部分は、前後に二股に分けられて下方に突出している。そして、この二股に分けられた部分は、発電要素4の端部と共に、図示しない挟持板に挟まれて、超音波溶接等により接続固定されている。
【0040】
端子構造9は、正極の端子構造9と負極の端子構造9とを備えている。各端子構造9は、図5〜図7に詳細に示されるように、蓋板3の左右の端部に形成されたそれぞれの貫通孔3aを内外で挟むようにして配置された樹脂プレート10及び外部ガスケット11と、該樹脂プレート10及び外部ガスケット11を介して貫通孔3aに挿通され、集電体8の接続部8aと電気的に接続されるリベット12と、外部ガスケット11に近接して配置された端子回り止め部材13と、該端子回り止め部材13を介して蓋板3の外面に配置された端子ボルト14と、該端子ボルト14とリベット12とを電気的に接続する接続板15とを備えている。これにより、ケース1内の発電要素4と端子ボルト14とが電気的に接続される。
【0041】
尚、樹脂プレート10、外部ガスケット11及び端子回り止め部材13は、絶縁部材に相当する。特に、外部ガスケット11は(場合によれば、樹脂プレート10も)、封止機能も有するので、絶縁封止部材にも相当する。リベット12は、補助端子に相当する。端子ボルト14は、外部端子に相当する。接続板15は、接続導体に相当する。
【0042】
樹脂プレート10は、少なくとも絶縁性を備えた合成樹脂部材である。より詳しくは、樹脂プレート10には、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が用いられる。但し、材質はこれに限定されるものではなく、適宜選択可能である。樹脂プレート10は、長方形状である。樹脂プレート10の下面には、集電体8の接続部8aを受け入れ可能な凹部10aが形成されている。樹脂プレート10は、その凹部10aが集電体8の接続部8aを受け入れた状態で、該接続部8aに形成された貫通孔8bと一致する貫通孔10bを有している。
【0043】
外部ガスケット11は、絶縁性と封止性を備えた合成樹脂部材である。より詳しくは、外部ガスケット11には、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が用いられる。但し、材質はこれに限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0044】
外部ガスケット11は、リベット12の胴部12aより一回り大きい矩形状である。外部ガスケット11は、外周部を除いて上面を窪ませることにより、外周に、周回状の外壁部11aを備えている。外部ガスケット11は、外壁部11a内に、リベット12の胴部12aを受け入れ可能な凹部11bを備えている。外部ガスケット11は、その凹部11bがリベット12の胴部12aを受け入れた状態で、該リベット12の第一かしめ部12bを挿通可能な貫通孔11cを有している。外部ガスケット11の下面には、蓋板3の貫通孔3aを挿通して樹脂プレート10の貫通孔10bに挿入される環状凸部11dが形成されている。
【0045】
尚、樹脂プレート10は、蓋板3の下面(内面)に配置される結果、ケース1内に配置される。外部ガスケット11は、蓋板3の上面(外面)に配置される結果、ケース1の外面に配置される。蓋板3の上面のうち、外部ガスケット11が配置される領域には、外部ガスケット11の下部(ブリッジ部)を受け入れ可能な非円形状の凹部(第一凹部)3bが形成されている。そこで、外部ガスケット11の下部(蓋板3との接合面)が第一凹部3bに挿入されることにより、外部ガスケット11は、その軸回りにおける回転が規制された状態となる。尚、本実施形態において、第一凹部3bは、矩形状である外部ガスケット11の下部形状に対応して矩形状に形成されている。また、第一凹部3bは、例えばコイニング加工により形成される。
【0046】
リベット12は、導電性金属部材である。より詳しくは、正極のリベット12は、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いて形成され、負極のリベット12は、銅又は銅合金を用いて形成されている。リベット12の胴部12aの下面から第一かしめ部12bが下方に突出している。リベット12の胴部12aの上面から第二かしめ部12cが上方に突出している。尚、本実施形態において、第一かしめ部12bは中空(筒状)であり、第二かしめ部12cは中実(柱状)である。より詳しくは、第一かしめ部12bは円筒状であり、第二かしめ部12cは円柱状である。但し、形状はこれに限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0047】
ここで、蓋板3の貫通孔3a、集電体8の接続部8aの貫通孔8b、樹脂プレート10の貫通孔10b、外部ガスケット11の貫通孔11c及び環状凸部11d、リベット12の第一かしめ部12bの寸法関係を説明しておく。図5に詳細に示されるように、蓋板3の貫通孔3aの内径と、樹脂プレート10の貫通孔10bの内径とは、同一ないし略同一である。また、蓋板3の貫通孔3aの内径や、樹脂プレート10の貫通孔10bの内径と、外部ガスケット11の環状凸部11dの外径とは、同一ないし略同一である。また、外部ガスケット11の環状凸部11dの長さと、蓋板3及び樹脂プレート10の厚みの合計とは、同一ないし略同一である。また、外部ガスケット11の環状凸部11dの内径と、集電体8の接続部8aの貫通孔8bとは、同一ないし略同一である。また、外部ガスケット11の環状凸部11dの内径や、集電体8の接続部8aの貫通孔8bと、リベット12の第一かしめ部12bの外径とは、同一ないし略同一である。また、リベット12の第一かしめ部12bの長さと、蓋板3、集電体8の接続部8a、樹脂プレート10及び外部ガスケット11の厚みの合計とは、同一ないし略同一である。
【0048】
従って、リベット12の胴部12aが外部ガスケット11の凹部11bに挿入され、リベット12の第一かしめ部12bが該凹部11bの底面の貫通孔11cを通って集電体8の接続部8aの貫通孔8bに挿通され、該接続部8aの貫通孔8bから下方に突出する第一かしめ部12bの先端部分が下方からかしめられる。これにより、リベット12は、集電体8の接続部8aと電気的に接続され且つ蓋板3から絶縁された状態で、蓋板3に取り付けられる。
【0049】
端子回り止め部材13は、樹脂プレート10や外部ガスケット11と同様、絶縁性を備えた合成樹脂部材である。但し、端子回り止め部材13には、樹脂プレート10や外部ガスケット11よりも硬度を高くするために、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂にガラス繊維をフィラーとして均一に混合した強化樹脂材料が用いられる。あるいは、ポリフェニレンサルファイド樹脂の代わりに、4Fパーフル オロ アルキルビニルエーテル(PFA)樹脂が用いられる。また、ガラス繊維以外の無機繊維であってもよい。但し、材質はこれらに限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0050】
端子回り止め部材13は、端子ボルト14の頭部14aより一回り大きい矩形状である。端子回り止め部材13は、外周部を除いて上面を窪ませることにより、外周に、周回状の外壁部13aを備えている。端子回り止め部材13は、外壁部13a内に、端子ボルト14の頭部14aを受け入れ可能な凹部13bを備えている。端子回り止め部材13は、凹部13b内に、非円形状の嵌合凸部13cを備えている。そして、凹部13bが端子ボルト14の頭部14aを受け入れた状態で、嵌合凸部13cは、端子ボルト14の頭部14aに形成された非円形状の嵌合凹部(嵌合凹溝)14cに嵌入する。従って、凹部13b内の嵌合凸部13c(即ち、凹部13b内において、外壁部11aの上端面よりも低い位置にある嵌合凸部13c)が端子ボルト14の頭部14aの嵌合凹部14c内に嵌入することにより、端子回り止め部材13は、端子ボルト14をその軸回りにおける回転を規制した状態で受け入れる。尚、本実施形態において、端子ボルト14の嵌合凹部14cは、頭部14aを一端から他端にかけて切り欠いた矩形状である。そして、端子回り止め部材13の嵌合凸部13cは、矩形状である嵌合凹部14cに対応して矩形状に形成されている。
【0051】
端子回り止め部材13の下面には、非円形状の凸部13dが形成されている。本実施形態において、凸部13dは、矩形状の凸面(隆起面)である。そして、蓋板3の上面のうち、端子回り止め部材13が配置される領域には、端子回り止め部材13の凸部13dを受け入れ可能な非円形状の凹部(第二凹部)3cが形成されている。そこで、端子回り止め部材13の凸部13dが第二凹部3cに挿入されることにより、外部ガスケット11と同様、端子回り止め部材13は、その軸回りにおける回転が規制された状態となる。尚、本実施形態において、第二凹部3cは、矩形状である凸部13dに対応して矩形状に形成されている。また、第二凹部3cは、例えばコイニング加工により形成される。
【0052】
端子回り止め部材13が蓋板3の上面に配置されるに際しては、端子回り止め部材13の下面(凸部13dの表面を含む)が適切な手段で処理されることにより、端子回り止め部材13の下面にガラス繊維が露出するようにする。適切な手段としては、端子回り止め部材13の下面を機械的に削り取ることが好ましい。例えば、やすり等で端子回り止め部材13の下面の表面を削ることにより、ガラス繊維が露出する。次いで、端子回り止め部材13の下面の凸部13dが蓋板3の上面の第二凹部3cに嵌入して、端子回り止め部材13が蓋板3の上面に固定される。この蓋板3に対する端子回り止め部材13の固定方法は、特に限定されないが、例えば、蓋板3の上面(特に、第二凹部3c)及び端子回り止め部材13の下面の少なくとも何れか一方に、適切な接着手段(接着フィルム、液状接着剤、固体状接着剤等)が供給され、該接着手段を介して蓋板3に対して端子回り止め部材13が固定されるようにしてもよい。接着剤としては、一般的な接着剤を用いることができる。但し、エポキシ樹脂系の接着剤が好ましい。エポキシ樹脂は、端子回り止め部材13に用いられる合成樹脂との接着性に劣るが、無機繊維との接着性が良好である。従って、端子回り止め部材13の下面にガラス繊維が露出することにより、端子回り止め部材13が蓋板3に強固に接着される。
【0053】
端子ボルト14は、外部機器と電気的に接続するためのものである。端子ボルト14は、鉄やステンレス鋼、クロムモリブデン鋼等の鋼、その他の強度の高い導電性金属部材である。端子ボルト14は、上述の如く、端子回り止め部材13の凹部13b内に挿入される大きさに形成された頭部14aと、該頭部14aの上面から突出し、外周に雄ネジが刻設された軸部14bとを備えている。上述の如く、頭部14aの下面には、非円形状の嵌合凹部(嵌合凹溝)14cが形成されている。従って、端子ボルト14は、凹部13b内の嵌合凸部13cが該嵌合凹部14c内に嵌入することにより、蓋板3から絶縁され且つ軸部14bの軸回りにおける回転が規制された状態で、端子回り止め部材13に支持されている。
【0054】
接続板15は、銅合金等からなる長方形状の導電性金属部材である。接続板15の表面には、防錆等の他、滑りを良くするためにニッケルメッキが施されている。接続板15の一端部には、第一貫通孔15aが形成され、他端部には、第二貫通孔15bが形成されている。第一貫通孔15aには、リベット12の第二かしめ部12cが挿通される。第二貫通孔15bには、端子ボルト14の軸部14bが挿通される。そして、リベット12の第二かしめ部12cのうち、接続板15の第一貫通孔15aから上方に突出する先端部分が上方からかしめられる。これにより、リベット12と接続板15とが一体化される。
【0055】
尚、端子ボルト14は、その軸部14bが接続板15の第二貫通孔15bに挿通されるだけである。しかしながら、例えば図示しない外部機器のリード線の圧着端子が端子ボルト14の軸部14bに嵌められ、端子ボルト14の軸部14bにナットが締め付けられると、端子ボルト14は僅かに持ち上がり、頭部14aの上面が接続板15の下面に圧接する。これにより、端子ボルト14の頭部14bとナットとの間でリード線の圧着端子が接続板15と共に挟持される。これにより、圧着端子と端子ボルト14と接続板15とが電気的に確実に接続される。従って、リード線の圧着端子は、端子回り止め部材13、外部ガスケット11及び樹脂プレート10によって蓋板3から絶縁された、端子ボルト14、接続板15、リベット12及び集電体8を介して、発電要素4と電気的に接続される。これにより、外部機器と電池とが電気的に接続される。
【0056】
しかも、端子ボルト14の頭部14aの嵌合凹部14cが蓋板3の上面に固定された端子回り止め部材13の凹部13b内の嵌合凸部13cと嵌合することにより、ナットが端子ボルト14の軸部14bに締め付けられることによって供回りしようとする端子ボルト14は、確実に回り止めされる。尚、この際、端子ボルト14の頭部14aの嵌合凹部14cと端子回り止め部材13の凹部13b内の嵌合凸部13cとの間に多少の隙間が生じるものであっても、端子ボルト14がある程度の角度だけ空転するだけであるので、特に支障はない。
【0057】
また、このとき、端子回り止め部材13は、端子ボルト14の回り止めを行うため、端子ボルト14から回転トルクを受けることになる。しかしながら、端子回り止め部材13の下面は、ガラス繊維が露出した状態となって蓋板3の上面に密着されている。これにより、端子回り止め部材13は、蓋板3との摩擦抵抗が向上した状態で固定される。従って、端子回り止め部材13は、端子ボルト14からの回転トルクによって端子ボルト14と供回りすることなく、確実に回り止めされる。そして、この効果は、蓋板3の上面の第二凹部3cと端子回り止め部材13の下面の凸部13dとが凹凸嵌合することによってさらに顕著となっている。また、上述の如く、蓋板3の上面(特に、第二凹部3c)及び端子回り止め部材13の下面の少なくとも何れか一方に接着手段(接着剤等)が供給され、端子回り止め部材13が接着手段によって蓋板3に固定されているため、回り止めがより確実になる。
【0058】
尚、端子ボルト14の軸部14b(雄ネジ部)の周長が短い場合、即ち、端子ボルト14の軸部14bが小径である場合、端子回り止め部材13の材質として、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)などの合成樹脂が単独で用いられるのであれば、端子ボルト14からの回転トルクに耐えられないことがある。しかしながら、ガラス繊維等の無機繊維が合成樹脂に混合されることにより、端子回り止め部材13の強度が向上する。また、それのみならず、コスト削減にもなり得る。
【0059】
また、端子回り止め部材13は、蓋板3上で外部ガスケット11とは分離されているため、リベット12の封止を行う外部ガスケット11に回転トルクが伝達されることはない。従って、外部ガスケット11に不用意な力が加わることはなく、外部ガスケット11による封止(具体的には、外部ガスケット11の下面と蓋板3の上面(第一凹部3bの上面)との間の封止、外部ガスケット11の環状凸部11dの外周面と蓋板3の貫通孔3aの内周面及び樹脂プレート10の貫通孔10bの内周面との間の封止、外部ガスケット11の環状凸部11dの内周面とリベット12の第一かしめ部12bの外周面との間の封止)が損なわれるということはない。
【0060】
また、端子ボルト14の軸部14bに加わる回転トルクは、端子ボルト14とは分離されたリベット12に伝達されることはない。従って、リベット12が回転することにより、リベット12の、集電体8の接続部8aとのかしめが緩み、接続が損なわれる、という問題は生じない。しかも、樹脂プレート10や外部ガスケット11に不用意な力が加わることはなく、樹脂プレート10や外部ガスケット11による封止(具体的には、樹脂プレート10の上面と蓋板3の下面との間の封止、外部ガスケット11の下面と蓋板3の上面(第一凹部3bの上面)との間の封止、外部ガスケット11の環状凸部11dの外周面と蓋板3の貫通孔3aの内周面及び樹脂プレート10の貫通孔10bの内周面との間の封止、外部ガスケット11の環状凸部11dの内周面とリベット12の第一かしめ部12bの外周面との間の封止)が損なわれるということもない。
【0061】
そして、外部ガスケット11と端子回り止め部材13が分離して設けられることにより、外部ガスケット11には、封止部材として適切な硬度の材質を選択し、端子回り止め部材13には、端子ボルト14からの回転トルクに耐えるのに適切な硬度の材質を選択することができるようになる。より詳しくは、外部ガスケット11が弾性変形して導電性部材(蓋板3、集電体8、リベット12)の表面と密着することにより、封止効果が高まるため、外部ガスケット11には、ある程度の柔軟性が要求される。端子回り止め部材13の柔軟性が強いと、端子ボルト14からの回転トルクによって、嵌合凸部13cが摩耗、欠損しやすくなり、それが進行すれば、端子ボルト14の回り止め機能が機能しなくなる。そのため端子回り止め部材13には、端子ボルト14からの回転トルクに耐えるだけの剛性が要求される。
【0062】
ところで、本実施形態のリベット12では、第一かしめ部12bや第二かしめ部12cをかしめることにより生じるリベット12の全体的な塑性変形が抑制されるよう、胴部12aの軸長方向の寸法が従来のものよりも長くなっている。その結果、蓋板3の上面からの接続板15の高さ位置は、従来の端子構造に比べて必然的に高くなる。また、本実施形態の端子回り止め部材13の嵌合凸部13cは、端子回り止め部材13が端子ボルト14を回り止めするにあたり、端子ボルト14から回転トルクを直接受ける部分である。従って、端子回り止め部材13の嵌合凸部13cは、その回転トルクに耐えるだけの強度を有するために、高さ方向の厚みを十分なものにする必要がある。その結果、端子ボルト14の頭部14aの高さ位置は高くなり、これに伴い、やはり、蓋板3の上面からの接続板15の高さ位置は、従来の端子構造に比べて必然的に高くなる。そのため、本実施形態において、外部ガスケット11の外壁部11aは高く、蓋板3の上面から該外壁部11aの上端面までの沿面距離が長くなっている(好ましくは、蓋板3の幅寸法に対する沿面距離の比が0.15〜0.3)。また、端子回り止め部材13の外壁部13aは高く、蓋板3の上面から該外壁部13aの上端面までの沿面距離が長くなっている(好ましくは、蓋板3の幅寸法に対する沿面距離の比が0.15〜0.3)。
【0063】
より詳しくは、外部ガスケット11の外壁部11aは、リベット12の胴部12aを全体的ないし略全体的に収容し、且つ、外壁部11aの上端面が接続板15の下面に当接ないし僅かな間隔を有して離間するように、形成されている。また、端子回り止め部材13の外壁部13aは、端子ボルト14の頭部14aを全体的ないし略全体的に収容し、且つ、外壁部13aの上端面が接続板15の下面に当接ないし僅かな間隔を有して離間するように、形成されている。
【0064】
かかる構成により、電池が、結露などで発生する水滴や導電性雰囲気(静電気やダスト)に晒された場合であっても、外部ガスケット11の外壁部11aや端子回り止め部材13の外壁部13aがカバー(あるいは遮断壁)となる。これにより、蓋板3とリベット12との間の短絡や蓋板3と端子ボルト14との間の短絡が好適に防止される。
【0065】
本実施形態に係る電池は、以上の通りである。上述の如く、蓋板3における、リベット12が貫通する領域の周辺領域(貫通孔3aの周辺領域)は、圧縮成型されることにより、他の領域よりも高い硬さを有している。そのため、リベット12のかしめ処理による軸力が隔壁3の貫通孔3aの周辺領域に作用しても、当該周辺領域が圧縮方向と交差する方向に延びることが抑制される。すなわち、当該周辺領域は、リベット12のかしめ処理に伴う圧縮力が作用する領域であるが、当該周辺領域は、圧縮成形に伴う加工硬化によって剛性が高まっている。そのため、リベット12のかしめ処理を行ったときに圧縮方向と交差する方向に延びることが抑制される。従って、当該周辺領域と絶縁部材10,11とが確実に密着することになり、ケース1の気密性が確保される。
【0066】
また、当該周辺領域が圧縮成型されることにより、蓋板3の外面に外部ガスケット11を嵌合可能な第一凹部3bが形成される。そして、第一凹部3bの内周面と外部ガスケット11の外壁部11aの外周面とが対向した状態になる。これにより、リベット12のかしめ処理に伴う圧縮力が外部ガスケット11に作用しても、該外部ガスケット11がリベット12の軸線方向と直交方向に無造作に延びることが制限される。
【0067】
また、外部ガスケット11が合成樹脂製であるため、リベット12のかしめ処理に伴う圧縮力の作用によって、外部ガスケット11が貫通孔3a周辺でクリープ変形する。すなわち、外部ガスケット11が経時的にリベット12の軸線方向と直交する方向に押し出されて薄肉になる。そして、これに伴い、蓋板3との密接性が低下するおそれがある。しかしながら、上述の如く、外部ガスケット11が第一凹部3bに嵌合されることで、リベット12の軸線方向と直交する方向の延びが制限される。これにより、クリープ変形を抑えて蓋板3との密接性を確保することができる。
【0068】
また、ケース1は、一面に開口部が形成された箱状のケース本体2と、開口部を塞ぐ蓋板3とで構成され、ケース本体2及び蓋板3がアルミニウム合金で構成されるとともに、蓋板3が焼なまし材を用いて形成されている。これにより、電池全体を軽量化することができる。また、蓋板3を損傷(破断)させることなく貫通孔3aの周辺領域を圧縮成型し、薄肉に形成することができる。
【0069】
すなわち、未加工(素地)のアルミニウム合金や熱処理されたアルミニウム合金等は、焼なましされたアルミニウム合金(いわゆる、O材)に比べて硬い。そのため、未加工(素地)のアルミニウム合金や熱処理されたアルミニウム合金等であれば、貫通孔3aの周辺領域が圧縮成型されたときに、金型のエッジが接する箇所にて損傷(破断)するおそれがある。特に、軽量化を図るべく厚みを薄くした場合には、その損傷が顕著になる。これに対し、焼なましされたアルミニウム合金は、上記の素材に比して柔らかい。そのため、貫通孔3aの周辺領域が圧縮成型されるときに、金型に沿った滑らか態様で塑性変形する。従って、貫通孔3aの周辺領域の境界にて機械的な破損が生じにくい。そのため、ケース1内を確実に気密にすることができる。
【0070】
尚、本発明に係る蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態において、外部ガスケット11の下面全面が蓋板3の上面の第一凹部3bに嵌入される例を示した。しかしながら、外部ガスケット11の下面に凸部が設けられ、蓋板3の第一凹部が該凸部を受け入れ可能な大きさとされ、端子回り止め部材13と同様、外部ガスケット11の凸部が該第一凹部に嵌入されるようにしてもよい。
【0072】
逆に、上記実施形態において、端子回り止め部材13の下面に凸部13dが設けられ、蓋板3の上面には、該凸部13dを受け入れ可能な大きさの第二凹部3cが設けられ、端子回り止め部材13の凸部13dが蓋板3の第二凹部3cに嵌入される例を示した。しかしながら、凸部13dが設けられず、蓋板3の第二凹部が端子回り止め部材13の下面全面を受け入れ可能な大きさとされ、外部ガスケット11と同様、端子回り止め部材13の下面全面が該第二凹部に嵌入されるようにしてもよい。
【0073】
但し、蓋板3の断面モーメントが上がり、その結果、蓋板3の機械的強度が高められる点で、蓋板3に第一凹部3b及び第二凹部3cが設けられるようにするのが好ましい。また、この場合、第一凹部3b及び第二凹部3cのうち、何れか一方が小さくされることにより、第一凹部3bと第二凹部3cとの距離が離間する。これにより、第一凹部3bと第二凹部3cとが相互に影響を与えないようにすることができる。上記実施形態において、外部ガスケット11用の第一凹部3bが端子回り止め部材13用の第二凹部3cよりも大きい例を示した。これは、第一凹部3bの面積が広くなるにつれ、蓋板3の平坦性及び機械的強度が向上し、その結果、封止効果及び耐久性が向上するためである。
【0074】
尚、外部ガスケット11であれ、端子回り止め部材13であれ、凸部は、一つでなく、複数であってもよい。また、外部ガスケット11及び端子回り止め部材13は、矩形状ではなく、例えば、円形状、六角形状、八角形状であってもよい。
【0075】
また、上記実施形態において、正極の集電体8及び正極のリベット12は、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いて形成され、負極の集電体8及び負極のリベット12は、銅又は銅合金を用いて形成される例を示した。しかしながら、電池の種類に応じた導電性金属材料であれば、これらの材料は任意である。また、上記実施形態において、端子ボルト14と接続板15の材料についても例示した。しかしながら、強度や導電性等の特性が適合する導電性金属材料であれば、これらの材料も任意である。
【0076】
また、上記実施形態において、端子ボルト14の頭部14aの上面から軸部(雄ネジ部)14bが突出する例を示した。しかしながら、この雄ネジの代わりに、円筒形や多角形の筒状等の適宜形状の軸部が突出し、該軸部の上端面に、ねじ穴が穿設されているようにしてもよい。
【0077】
また、発電要素は、上記実施形態の如く、長円筒形状の巻回型のものには限定されず、他の形状のものでもよく、積層型のものであってもよい。
【0078】
また、上記実施形態において、端子構造9が蓋板3に設けられることを前提に、蓋板3として、焼まなし処理されたアルミニウム合金(O材)が用いられる例を示した。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、アルミニウム合金が用いられる場合には、未加工のアルミニウム合金(いわゆる、F材)や、上記以外の熱処理されたアルミニウム合金(いわゆる、T材)であってもよい。その他、加工硬化させたアルミニウム合金(いわゆる、H材)であってもよい。これは、圧縮成型によってさらに加工硬化を進行させることができるためである。また、ケース1は、アルミニウム合金に限定されるものではない。例えば、ステンレス合金等の他の金属材料で形成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態において、端子構造9が蓋板3に設けられる例を示した。しかしながら、端子構造9がケース本体2に設けられるようにしてもよい。すなわち、リベット12がケース本体2を貫通するようにしてもよい。この場合においても、ケース本体2として、O材が用いられるのが好ましい。なお、言うまでもないが、ケース本体2は、O材以外のアルミニウム合金やその他の金属材料を用いて形成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態において、蓋板3の外面に第一凹部3bが形成されたが、これに限定されるものではない。例えば、蓋板3の内面に凹部が形成されたり、あるいは、蓋板3の両面に凹部が形成されてもよい。具体的には、外部ガスケット11の位置決め又は延びの制限等を行うには、蓋板3の外面に凹部3が形成されることが好ましい。一方、例えば、樹脂プレート10の位置決め又は延びの制限等を行うには、蓋板3の内面に樹脂プレート10を嵌合可能な凹部が形成され得る。また、外部ガスケット11及び樹脂プレート10の両方の位置決め又は延びの制限等を行う場合、蓋板3の両面に凹部が形成され得る。
【0081】
また、上記実施形態において、リベット12の両端がかしめるようにした。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、リベット12の何れか一方の端部がかしめるようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態において、リベット12と端子ボルト14とが別体で構成され、これらが接続板15を介して電気的に接続されるようにした。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、リベット12と端子ボルト14とが一体的に形成されてもよい。この場合、リベット12の胴部12aの一方のかしめ部(第二かしめ部)12cに換えて、胴部12aよりも大径な鍔部が形成され、該鍔部に端子ボルト14が一体的に形成されてもよい。このようにすれば、第一かしめ部12bをかしめることで、該第一かしめ部12bと鍔部とで、外部ガスケット11、蓋板3、樹脂プレート10及び集電体8の接続部8aを一体的に締結することができる。また、端子ボルト14を発電要素4と電気的に接続することができる。
【0083】
また、上記実施形態において、蓋板3の外面に外部ガスケット11と端子回り止め部材13とが別々となっている。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、外部ガスケット11と端子回り止め部材13とが一体的に形成されてもよい。
【0084】
また、上記実施形態において、外部ガスケット11に、蓋板3の貫通孔3aに嵌入させる環状凸部11dが設けられた。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、樹脂プレート10に、蓋板3の貫通孔3aに嵌入可能な環状凸部が設けられてもよい。あるいは、外部ガスケット11及び樹脂プレート10の両方に、蓋板3の貫通孔3aに嵌入可能な環状凸部が設けられてもよい。
【0085】
また、上記実施形態において、端子ボルト14と蓋板3とを絶縁するために、端子回り止め部材13、外部ガスケット11及び樹脂プレート10のそれぞれに絶縁性を備えた部材を用いた。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、ケース1の隔壁と発電要素4とをリベット12を介して電気的に接続する場合、端子回り止め部材13、外部ガスケット11又は樹脂プレート10が電気伝導性を有してもよい。端子回り止め部材13、外部ガスケット11又は樹脂プレート10が電気伝導性を備える方法としては、合成樹脂の中にカーボン等の電気伝導性を有する物質を混合させる方法が挙げられる。また、外部ガスケット11や樹脂プレート10を備えず、リベット12と蓋板3が直接接触する構成としてもよい。
【0086】
また、上記実施形態において、リチウムイオン二次電池について説明した。しかしながら、電池の種類や大きさ(容量)は任意である。
【0087】
また、本発明は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではない。本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…ケース、2…ケース本体、3…蓋板、3a…貫通孔、3b…第一凹部(凹部)、3c…第二凹部(凹部)、4…発電要素、5…正極シート、6…負極シート、7…セパレータ、8…集電体、8a…接続部、8b…貫通孔、9…端子構造、10…樹脂プレート(内部絶縁部材)、10a…凹部、10b…貫通孔、11…外部ガスケット(外部絶縁部材)、11a…外壁部、11b…凹部、11c…貫通孔、11d…環状凸部、12…リベット、12a…胴部、12b…第一かしめ部、12c…第二かしめ部、13…端子回り止め部材、13a…外壁部、13b…凹部、13c…嵌合凸部、13d…凸部、14…端子ボルト(外部端子)、14a…頭部、14b…軸部、14c…嵌合凹部、15…接続板(接続導体)、15a…第一貫通孔、15b…第二貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電要素と、
隔壁によって構成されるケースであって、前記発電要素を収容するケースと、
前記隔壁を貫通するリベットとを備え、
前記隔壁における、前記リベットが貫通する領域の周辺領域は、他の領域よりも高い硬さを有する
蓄電素子。
【請求項2】
前記ケースは、少なくとも一部に貫通孔を有する隔壁によって構成され、
前記リベットは、前記貫通孔を通って前記隔壁を貫通し、
前記隔壁における前記貫通孔の周辺領域は、他の領域よりも高い硬さを有する
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記隔壁に沿って配置される絶縁部材であって、前記隔壁に対向する接合面を有し、前記リベットが絶縁部材及び前記隔壁を貫通する、絶縁部材をさらに備え、
前記隔壁は、前記絶縁部材の前記接合面の少なくとも一部を嵌合可能な凹部を有する
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記隔壁に沿って配置される絶縁部材であって、前記隔壁の前記貫通孔に対応する貫通孔と、該二つの貫通孔が合わさった状態で前記隔壁に対向する接合面とを有し、前記リベットが前記二つの貫通孔を通って絶縁部材及び前記隔壁を貫通する、絶縁部材をさらに備え、
前記隔壁は、前記絶縁部材の前記接合面の少なくとも一部を嵌合可能な凹部を有する
請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記絶縁部材は、合成樹脂製である
請求項3又は請求項4に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記絶縁部材は、前記隔壁の外面に配置され、前記リベットを支持する
請求項3又は請求項4に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記絶縁部材は、
前記隔壁の外面に配置される外部絶縁部材であって、前記隔壁の外面に対向する接合面を有する外部絶縁部材と、
前記隔壁の内面に配置される内部絶縁部材であって、前記隔壁の内面に対向する接合面を有し、前記リベットが前記外部絶縁部材、前記隔壁及び内部絶縁部材を貫通する、内部絶縁部材とを含み、
前記隔壁は、前記外部絶縁部材又は前記内部絶縁部材の少なくとも何れか一方の前記接合面の少なくとも一部を嵌合可能な凹部を有する
請求項3に記載の蓄電素子。
【請求項8】
前記絶縁部材は、
前記隔壁の外面に配置される外部絶縁部材であって、前記隔壁の前記貫通孔に対応する貫通孔と、該二つの貫通孔が合わさった状態で前記隔壁の外面に対向する接合面とを有する外部絶縁部材と、
前記隔壁の内面に配置される内部絶縁部材であって、前記隔壁の前記貫通孔に対応する貫通孔と、該二つの貫通孔が合わさった状態で前記隔壁の内面に対向する接合面とを有し、前記リベットが三つの貫通孔を通って前記外部絶縁部材、前記隔壁及び内部絶縁部材を貫通する、内部絶縁部材とを含み、
前記隔壁は、前記外部絶縁部材又は前記内部絶縁部材の少なくとも何れか一方の前記接合面の少なくとも一部を嵌合可能な凹部を有する
請求項4に記載の蓄電素子。
【請求項9】
前記隔壁における、前記リベットが貫通する領域の周辺領域は、厚み方向に圧縮成型されることにより、前記他の領域よりも高い硬さを有する
請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の蓄電素子。
【請求項10】
前記隔壁は、焼きなましされたアルミニウム合金を用いて形成される
請求項9に記載の蓄電素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−151097(P2012−151097A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278647(P2011−278647)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】