説明

蓄電装置

【課題】 簡素な構造を用いて、発電要素に電子素子を電気的に並列に接続することができる蓄電装置を提供する。
【解決手段】 正極素子(21)および負極素子(22)を含む発電要素(20)と、開口部(10a)を介して発電要素を収容可能であり、正極素子および負極素子の一方と電気的に接続されたケース(10)と、開口部を塞ぎ、正極素子および負極素子の他方と電気的に接続された蓋部材(30)と、絶縁材料で形成され、ケースおよび蓋部材の間に配置されるシール部材(40)と、一端が蓋部材に固定され、他端がケースのうち、開口部を形成する端部に固定された電子素子(50)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電要素に対して電気的に並列に接続された電子素子を有する蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、二次電池に対してツェナーダイオードといった電子素子を電気的に並列に接続することがある。この場合には、例えば、二次電池の正極端子および負極端子のそれぞれに接続された配線に対して、電子素子の両端を接続することが考えられる。
【0003】
また、特許文献2に記載の二次電池では、ツェナーダイオードを二次電池に内蔵させ、ツェナーダイオードの両端部を、二次電池の正極端子および負極端子にそれぞれ接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−033134号公報(図1)
【特許文献2】特開平11−007931号公報(段落0029、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の二次電池は、正極端子および負極端子を配線として構成し、正極端子および負極端子を二次電池の一端面にまとめて配置したものである。ここで、二次電池には、二次電池のケース(2つの部材)を、正極および負極として構成したものがあり、この構造は、特許文献2に記載の構造とは異なるものである。
【0006】
一方、二次電池の長手方向における両端部に、正極端子および負極端子を設けた構造において、正極端子および負極端子に電子素子を接続しようとすると、二次電池の両端部まで、電子素子の接続を延ばさなければならなくなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、簡素な構造を用いて、発電要素に電子素子を電気的に並列に接続することができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明である蓄電装置は、正極素子および負極素子を含む発電要素と、開口部を介して発電要素を収容可能であり、正極素子および負極素子の一方と電気的に接続されたケースと、開口部を塞ぎ、正極素子および負極素子の他方と電気的に接続された蓋部材と、絶縁材料で形成され、ケースおよび蓋部材の間に配置されるシール部材と、一端が蓋部材に固定され、他端がケースのうち、開口部を形成する端部に固定された電子素子と、を有する。
【0009】
ここで、電子素子を、シール部材の外面に沿うように配置しておき、電子素子の一端を、蓋部材およびシール部材によって挟み、電子素子の他端を、ケースおよびシール部材によって挟むことができる。これにより、電子素子の両端を、ケースおよび蓋部材に固定することができる。
【0010】
シール部材に対して、電子素子が取り付けられる第1領域と、ケースおよび蓋部材に密接する第2領域と、を設けることができる。これにより、シール部材の互いに異なる領域に対して、電子素子を支持する機能と、ケースおよび蓋部材によって囲まれたスペースを密閉状態とさせる機能とを振り分けることができる。
【0011】
電子素子は、素子本体と、素子本体をケースおよび蓋部材に電気的に接続させる導電部と、で構成することができる。そして、導電部に対して、シール部材と係合して、シール部材に対する電子素子の抜けを阻止する爪部を設けることができる。これにより、電子素子をシール部材に容易に取り付けることができる。
【0012】
また、蓋部材が、ケースのカシメ処理によって、ケースに対して固定される場合において、蓋部材およびケースの少なくとも一方を、導電部のうち、爪部に対応した位置に接触させることができる。これにより、導電部のうち、蓋部材やケースとの接触部分における強度を向上させることができる。すなわち、カシメ処理に伴って蓋部材やケースから受ける負荷に耐えることができる。
【0013】
一方、電子素子における一端および他端を、半田によって蓋部材およびケースにそれぞれ固定することができる。半田による接続では、溶接に比べて、熱量を抑えることができるため、発電要素に対して過度の熱的負荷が加わるのを防止することができる。
【0014】
また、電子素子における一端および他端を、ケースと、蓋部材に設けられた突起部とを挟む位置に配置することができる。ここで、電子素子を取り付ける際に、電子素子の一端および他端を、自然状態よりも開く方向に変位させるようにすれば、電子素子の一端および他端を、ケースや突起部に密接させることができる。
【0015】
電子素子としては、ツェナーダイオードを用いることができる。ツェナーダイオードを用いれば、発電要素が常に放電状態となってしまうのを阻止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蓋部材およびケースが最も近づいた部分を用いて、電子素子を電気的に並列に接続することができ、電子素子の接続構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1である二次電池の内部構造を示す断面図である。
【図2】実施例1において、発電要素の構成を示す概略図である。
【図3】実施例1の二次電池と等価な回路構成を示す図である。
【図4】実施例1において、電子素子としてツェナーダイオードを用いたときの回路図である。
【図5】実施例1の二次電池の上面図である。
【図6A】本発明の実施例2におけるシール部材の構成を示す断面図である。
【図6B】実施例2における電子素子の構成を示す側面図である。
【図7】実施例2において、電子素子をシール部材に連結した状態を示す図である。
【図8】実施例2である二次電池における一部の構造を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例3である二次電池の内部構造を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例4である二次電池の内部構造を示す断面図である。
【図11】実施例4である二次電池の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1である二次電池(蓄電装置)について説明する。図1は、本実施例である二次電池の内部構造を示す断面図である。ここで、二次電池1としては、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池を用いることができる。なお、本実施例では、二次電池1について説明するが、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。また、二次電池の代わりに、一次電池を用いることもできる。
【0020】
二次電池1は、ケース10と、ケース10の内部に収容される発電要素20と、ケース10に固定される蓋部材30とを有している。ケース10は、円筒状に形成された側壁部11と、側壁部11の一端に接続された底部12とを有する。側壁部11の他端には、発電要素20をケース10内に組み込むための開口部11aが設けられている。
【0021】
蓋部材30は、円盤状に形成されており、開口部11aを塞ぐようにケース10に固定される。具体的には、ケース10の端部10aをカシメ処理することにより、ケース10の端部10aによって、蓋部材30の外周部(外縁部)を保持するようにしている。また、蓋部材30の外壁面31には、凸状に形成された端子部32が形成されており、端子部32は、二次電池1を他の二次電池1や他の電子機器に接続するために用いられる。
【0022】
ケース10および蓋部材30によって、発電要素20を収容するためのスペースが形成される。ケース10および蓋部材30は、アルミニウムといった金属で形成することができる。本実施例では、ケース10が二次電池1の負極として用いられ、蓋部材30が二次電池1の正極として用いられている。なお、ケース10を二次電池1の正極として用い、蓋部材30を二次電池1の負極として用いることもできる。
【0023】
発電要素20は、充放電を行うことができる要素であり、図2に示すように、正極素子21と、負極素子22と、正極素子21および負極素子22の間に配置されるセパレータ(電解液を含む)23とで構成することができる。正極素子21は、集電板の表面に対して、正極活物質を含む正極層を形成したものである。また、負極素子22は、集電板の表面に対して、負極活物質を含む負極層を形成したものである。なお、集電板の一方の面に正極層を形成し、他方の面に負極層を形成したもの(いわゆるバイポーラ電極)を用いることもできる。
【0024】
図2に示すように、正極素子21、負極素子22およびセパレータ23を積層し、この積層体を所定の軸(図1の上下方向に延びる軸)の周りで巻くことにより、発電要素20を製造することができる。
【0025】
発電要素20の正極素子21は、正極タブ24を介して、蓋部材30の内壁面33に接続されている。すなわち、正極素子21および蓋部材30は、正極タブ24を介して電気的に接続されており、蓋部材30は、二次電池1の正極として用いられる。また、発電要素20の負極素子22は、負極タブ25を介してケース10の底部12に接続されている。すなわち、負極素子22およびケース10は、負極タブ25を介して電気的に接続されており、ケース10は、二次電池1の負極として用いられる。
【0026】
蓋部材30の外縁部と、ケース10(側壁部11)の内壁面との間には、シール部材40が配置されている。シール部材40は、ケース10および蓋部材30によって囲まれたスペース(発電要素20の収容スペース)を密閉状態にさせる機能と、蓋部材30およびケース10の間を絶縁状態にさせる機能とを有している。これらの機能を果たすために、シール部材40は、弾性変形が可能であって、絶縁性を有する材料で形成されている。例えば、シール部材40を、樹脂で形成することができる。
【0027】
シール部材40は、リング状に形成されており、蓋部材30の外縁部に沿って配置される。また、シール部材40の周方向における一部には、電子素子50が取り付けられている。電子素子50は、シール部材40を挟む形状に形成された導電部51と、導電部51に固定された素子本体52とを有している。
【0028】
導電部51は、第1アーム51aおよび第2アーム51bを有しており、第1アーム51aおよび第2アーム51bは、シール部材40を挟む位置に配置される。第1アーム51aは、シール部材40および蓋部材30に挟まれた状態で保持されている。また、第2アーム51bは、シール部材40およびケース10に挟まれた状態で保持されている。これにより、素子本体52は、導電部51を介して、ケース10および蓋部材30に電気的に接続される。
【0029】
図3には、本実施例の二次電池1と等価の回路構成を示している。図3に示すように、素子本体52は、発電要素20に対して電気的に並列に接続されており、バイパス回路を構成している。
【0030】
電子素子50としては、二次電池1に対して電気的に並列に接続される素子であればよい。例えば、電子素子50として、ツェナーダイオードや発光ダイオードを用いることができる。ツェナーダイオードを用いれば、図4に示すように、複数の二次電池1を電気的に直列に接続した構成において、各二次電池1の電圧値を均等化させる回路を構成することができる。また、ツェナーダイオードは、端子間電圧が閾値以上となったときだけ、導通状態となる。このため、電子素子50としてのツェナーダイオードを二次電池1に接続すれば、二次電池1が電子素子50を介して常に短絡してしまうのを防止することができる。
【0031】
電子素子50が取り付けられたシール部材40を、ケース10および蓋部材30の間に配置し、ケース10の端部10aに対してカシメ処理を行うと、図1に示す状態となる。ここで、シール部材40は、カシメ処理によって形成された端部10aに沿った形状に形成される。これにより、シール部材40は、互いに異なる面において、ケース10および蓋部材30に密接し、ケース10および蓋部材30によって囲まれたスペースを密閉状態とすることができる。
【0032】
本実施例のシール部材40では、図1の領域Rで示す部分において、ケース10および蓋部材30の密閉性を主に確保するようにしている。言い換えれば、シール部材40のうち、二次電池1の内側に位置する領域を用いて、二次電池1の密閉性を確保するようにしている。一方、シール部材40のうち、二次電池1の外側の領域には、上述したように電子素子50が取り付けられている。シール部材40のうち、密閉性を確保する領域とは異なる領域に電子素子50を取り付けるようにすることで、電子素子50の取り付けに伴って、二次電池1の密閉性が低下するのを防止することができる。
【0033】
ここで、図5に示すように、ケース10におけるカシメ領域の幅Aを広くすれば、シール部材40による二次電池1の密閉性を向上させることができる。図5は、二次電池1を上方から見たときの図である。カシメ領域の幅Aを広げれば、ケース10の端部(カシメ部)10aがシール部材40を蓋部材30に向かって効率良く押し付けることができ、シール部材40による二次電池1の密閉性を向上させることができる。
【0034】
本実施例によれば、ケース10および蓋部材30の間に、電子素子50が取り付けられたシール部材40を配置しておき、ケース10の端部10aに対してカシメ処理を行うだけで、ケース10(二次電池1の負極)および蓋部材30(二次電池1の正極)に対して電子素子50を接続することができる。また、本実施例では、ケース10および蓋部材30が最も近づいた位置に、電子素子50を配置することができるため、電子素子50の接続構造を簡素化することができる。
【実施例2】
【0035】
本発明の実施例2である二次電池について説明する。ここで、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1と異なる点について、主に説明する。
【0036】
本実施例では、実施例1に対して、シール部材40および電子素子50の構造を変更している。図6Aには、シール部材40の断面図を示し、図6Bには、電子素子50の側面図を示す。
【0037】
シール部材40は、支持領域41およびシール領域42を有しており、支持領域41およびシール領域42の間には、凹部43が設けられている。支持領域41は、後述する電子素子50を支持する領域であり、シール領域42は、実施例1でも説明したように、二次電池1の密閉性を確保するための領域である。凹部43は、後述するように、電子素子50を固定するために用いられる。
【0038】
凹部43に対応した部分の厚さD11は、最も薄くなっており、支持領域41の厚さD12は、厚さD11よりも厚くなっている。また、シール領域42の厚さD13は、厚さD12よりも厚くなっている。厚さD11の具体的な値は、シール部材40の機械的な強度等に基づいて設定することができる。
【0039】
本実施例では、厚さD12を厚さD13よりも薄くしているが、これに限るものではない。すなわち、シール部材40には、電子素子50を固定するための凹部43が設けられていればよく、厚さD12,D13の関係は、適宜設定することができ、例えば、厚さD12を厚さD13よりも厚くしたり、厚さD12および厚さD13を略等しくしたりすることができる。なお、二次電池1の密閉性を向上させるうえでは、本実施例のように、厚さD13を最も大きくすることが好ましい。
【0040】
ここで、図6Aに示す断面形状は、シール部材40のうち、電子素子50が取り付けられる領域だけに形成することができる。この場合において、シール部材40のうち、電子素子50が取り付けられない領域は、実施例1と同様の断面形状とすることができる。また、シール部材40の全体を、図6Aに示す形状に形成することもできる。この場合には、シール部材40における任意の位置に、電子素子50を取り付けることができる。
【0041】
電子素子50の導電部51は、第1アーム51aおよび第2アーム51bを有しており、第1アーム51aの先端には、第2アーム51bに向かって突出した爪部51cが形成されている。第1アーム51aのうち、爪部51cが設けられた部分における厚さD21は、爪部51cが設けられていない部分における厚さD22よりも厚くなっている。
【0042】
同様に、第2アーム51bの先端には、第1アーム51aに向かって突出した爪部51dが設けられている。第2アーム51bのうち、爪部51dが設けられた部分における厚さD21は、爪部51dが設けられていない部分における厚さD22よりも厚くなっている。
【0043】
図7に示すように、第1アーム51aの爪部51cおよび第2アーム51bの爪部51dは、シール部材40の凹部43と係合する。これにより、電子素子50をシール部材40に固定することができ、電子素子50がシール部材40から外れてしまうのを阻止することができる。
【0044】
また、本実施例では、爪部51c,51dに対して他の機能も持たせている。ケース10の端部10aをカシメ処理すると、図8に示すように、第1アーム51aは、位置P1において、蓋部材30によって押し付けられることになる。また、第2アーム51bは、位置P2において、ケース10によって押し付けられることになる。
【0045】
本実施例では、位置P1,P2において、爪部51c,51dが位置するようにしている。そして、アーム51a,51bのうち、位置P1,P2に対応した部分の厚さ(図6Bの厚さD21)を、他の部分の厚さ(図6Bに示す厚さD22)よりも厚くしている。これにより、第1アーム51aのうち、蓋部材30との接触部分(位置P1)における強度を向上させることができる。また、第2アーム51bのうち、ケース10との接触部分(位置P2)における強度を向上させることができる。
【0046】
なお、本実施例では、第1アーム51aおよび第2アーム51bの先端部に、爪部51c,51dをそれぞれ設けているが、これに限るものではない。具体的には、第1アーム51aおよび第2アーム51bの一方に対して、爪部を設けるだけでもよい。この場合には、シール部材40のうち、爪部と対応する位置に凹部を形成しておけばよい。
【0047】
また、爪部51c,51dの断面形状は、図6Bおよび図7に示す形状に限るものではない。すなわち、爪部51c,51dを用いることにより、電子素子50(導電部51)がシール部材40から外れてしまうのを防止することができればよく、この点に基づいて、爪部51c,51dの断面形状を適宜設定することができればよい。また、シート部材40の凹部43は、爪部51c,51dとの係合によって、電子素子50(導電部51)の抜けを阻止することができればよく、この点に基づいて、凹部43の断面形状を適宜設定することができる。
【実施例3】
【0048】
本発明の実施例3である二次電池について説明する。ここで、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1と異なる点について、主に説明する。
【0049】
実施例1では、シール部材40に対して電子素子50を取り付けるようにしているが、本実施例では、図9に示すように、ケース10および蓋部材30に対して電子素子50を固定するようにしている。図9は、本実施例の二次電池1の内部構造を示す断面図である。
【0050】
電子素子50は、素子本体52から延びる2つの導電部51を有している。一方の導電部51は、蓋部材30の外壁面31に対して、半田53を用いて固定されている。また、他方の導電部51は、ケース10(端部10a)の外壁面に対して、半田53を用いて固定されている。本実施例のシール部材40は、二次電池1の密閉性を確保するためだけに用いられている。すなわち、シール部材40は、電子素子50を保持する機能は有していない。
【0051】
シール部材40は、電子素子50における一対の導電部51が互いに接触したり、ケース10に接続される導電部51が蓋部材30に接触したり、蓋部材30に接続される導電部51がケース10に接触したりするのを阻止するように配置する必要がある。この点に基づいて、シール部材40の配置やシール部材40の形状を適宜設定することができる。
【0052】
本実施例によれば、実施例1と同様に、ケース10および蓋部材30が最も近づいた位置に、電子素子50を配置することができるため、電子素子50の接続構造を簡素化することができる。また、導電部51および蓋部材30の接続位置と、導電部51およびケース10の接続位置は、互いに近づいているため、半田付けを容易に行うことができる。
【0053】
また、電子素子50の導電部51を、半田を用いて蓋部材30およびケース10に固定することにより、二次電池1に対して過度の熱が加わるのを防止することができる。ここで、電子素子50の導電部51は、溶接によって蓋部材30やケース10に固定することが考えられるが、本実施例のように半田による接続を用いることにより、二次電池1(主に、発電要素20)に加わる熱を低減することができる。
【実施例4】
【0054】
本発明の実施例4である二次電池について説明する。ここで、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1と異なる点について、図10および図11を用いて説明する。図10は、本実施例の二次電池1の内部構造を示す断面図であり、図11は、本実施例の二次電池1の上面図である。
【0055】
本実施例では、実施例3と同様に、電子素子50をケース10および蓋部材30に固定するようにしている。図10に示すように、蓋部材30の外壁面31には、二次電池1の外側に向かって突出した突起部34が設けられている。ケース10の端部10aは、突起部34と隣り合う位置まで延びている。また、突起部34およびケース10の端部10aの間には、シール部材40の一部が位置している。
【0056】
電子素子50における一対の導電部51は、互いに近づく方向に曲げられており、突起部34およびケース10を挟む位置に配置されている。一対の導電部51は、自然状態において、図10に示す間隔よりも狭い間隔を有している。そして、電子素子50を二次電池1に取り付けるときには、一対の導電部51を互いに離れる方向に変位させてから、突起部34およびケース10を挟む位置に配置する。これにより、一対の導電部51は、突起部34およびケース10に密接することになる。
【0057】
ここで、導電部51および突起部34の接続強度や、導電部51およびケース10の接続強度を向上させるために、実施例3で説明したように半田による接続を用いることができる。また、突起部34およびケース10の間に配置されるシール部材40は、一対の導電部51が互いに接触したり、ケース10に接続される導電部51が突起部34に接触したり、突起部34に接続される導電部51がケース10に接触したりするのを阻止するように配置する必要がある。
【0058】
本実施例においても、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、一対の導電部51が突起部34およびケース10を挟むように、電子素子50を取り付けるだけでよく、電子素子50の取り付けを容易に行うことができる。
【0059】
なお、本実施例では、蓋部材30に突起部34を設け、一対の導電部51によって、突起部34およびケース10を挟むようにしているが、これに限るものではない。すなわち、一対の導電部51によって、蓋部材30の一部とケース10の一部を挟むことができればよい。ここで、一対の導電部51によって挟まれる蓋部材30およびケース10は、絶縁状態である必要があり、蓋部材30およびケース10の間に、絶縁材料で形成された層を設けることができる。
【符号の説明】
【0060】
1:二次電池(蓄電装置) 10:ケース
10a:端部(カシメ部) 11:側壁部
11a:開口部 12:底部
20:発電要素 21:正極素子
22:負極素子 23:セパレータ
24:正極タブ 25:負極タブ
30:蓋部材 31:外壁面
32:端子部 33:内壁面
34:突起部 40:シール部材
41:支持領域
42:シール領域 43:凹部
50:電子素子 51:導電部
51a:第1アーム 51b:第2アーム
51c,51d:爪部 52:素子本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極素子および負極素子を含む発電要素と、
開口部を介して前記発電要素を収容可能であり、前記正極素子および前記負極素子の一方と電気的に接続されたケースと、
前記開口部を塞ぎ、前記正極素子および前記負極素子の他方と電気的に接続された蓋部材と、
絶縁材料で形成され、前記ケースおよび前記蓋部材の間に配置されるシール部材と、
一端が前記蓋部材に固定され、他端が前記ケースのうち、前記開口部を形成する端部に固定された電子素子と、
を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記電子素子は、前記シール部材の外面に沿って配置されており、
前記電子素子の前記一端は、前記蓋部材および前記シール部材によって挟まれた状態で固定され、前記他端は、前記ケースおよび前記シール部材によって挟まれた状態で固定されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記シール部材は、前記電子素子が取り付けられる第1領域と、前記ケースおよび前記蓋部材に密接する第2領域と、を有することを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記電子素子は、素子本体と、前記素子本体を前記ケースおよび前記蓋部材に電気的に接続させる導電部と、を有し、
前記導電部は、前記シール部材と係合して、前記シール部材に対する前記電子素子の抜けを阻止する爪部を有することを特徴とする請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓋部材は、前記ケースのカシメ処理によって、前記ケースに対して固定されており、
前記蓋部材および前記ケースの少なくとも一方は、前記導電部のうち、前記爪部に対応した位置に接触していることを特徴とする請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記電子素子における前記一端および前記他端は、半田によって前記蓋部材および前記ケースにそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記電子素子における前記一端および前記他端は、前記ケースと、前記蓋部材に設けられた突起部とを挟む位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記電子素子は、ツェナーダイオードであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の蓄電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−154897(P2011−154897A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15687(P2010−15687)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】