説明

蓄電装置

【課題】 蓄電電力の利用効率を向上させる蓄電装置を提供する。
【解決手段】 直流電力を出力する蓄電部110と、蓄電部110と外部とを接続する正側の配線を遮断するスイッチ素子SWと、外部から蓄電部110へ電流を流す方向にスイッチ素子SWと並列に接続されたダイオード42と、スイッチ素子SWの両端の電圧を検知する電圧検知部44と、電圧検知部44で検知された電圧が所定値以上となった場合にスイッチ素子SWを開くスイッチ制御部CTRと、を備える蓄電装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発電時に温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーを利用した発電設備を設置し、電力供給システムを低炭素化することが検討されている。しかしながら、再生可能エネルギーを利用した発電は、電力供給量の制御が困難であり、安定した電力供給を実現することが困難である。
【0003】
将来、このような再生可能エネルギーを利用した発電設備の設置数が拡大すると、短期的な電力需給バランスが崩れ、電力の周波数が適正値を逸脱する等、電力の安定供給が困難となり、電力の品質が悪化する恐れがある。
【0004】
そこで、再生可能エネルギーを利用した発電設備での余剰電力を蓄電する二次電池を電力系統側や需要家(ビル、工場など)に設置し、蓄電や配電を行うことも検討されている。ここで、蓄電装置と外部機器とを直流配線で接続することができれば、交流への変換による損失を避け、発電電力の利用効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−65895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、直流の配電系統においては外部短絡時の保護が困難である。例えば外部との接続ラインに配置されたヒューズにより蓄電装置を保護する場合、短絡の度にヒューズを交換する必要がある。そのため直流配電ラインへの機器の脱着を行うシステムにおいてはメンテナンス性に劣る。
【0007】
また、接合型電界効果トランジスタ(JFET:junction field effect transistor)のようなスイッチを直流配電ラインに設けることにより、外部短絡時の過電流を検知してスイッチを開いて回路を遮断することもできる。このとき、スイッチ素子が破壊する前に回路を遮断することができるならば、短絡の度にスイッチ素子を交換する手間を省くことができる。
【0008】
しかしながら、短絡が生じるとスイッチ素子に流れる電流が大きくなりスイッチ素子において発熱する。そのため、熱によりスイッチ素子が破壊するまでに回路を遮断しなければならず、数十マイクロ秒程度の高速遮断が要求され、短絡検出してから回路を遮断する際の制御が非常に難しかった。
【0009】
本発明は上記事情を鑑みて成されたものであって、蓄電電力の利用効率を向上させる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、直流電力を出力する蓄電部と、前記蓄電部と外部とを接続する正側の配線を遮断するスイッチ素子と、外部から前記蓄電部へ電流を流す方向に前記スイッチ素子と並列に接続されたダイオードと、前記スイッチ素子の両端の電圧を検知する電圧検知部と、前記電圧検知部で検知された電圧が所定値以上となった場合に前記スイッチ素子を開くスイッチ制御部と、を備える蓄電装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態の蓄電装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図2】第1実施形態の蓄電装置の短絡保護装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図3】第1実施形態の蓄電装置の短絡保護装置の動作の一例を説明するための図である。
【図4】第2実施形態の蓄電装置の短絡保護装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図5】第3実施形態の蓄電装置の短絡保護装置の一構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態の蓄電装置について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に、本実施形態の蓄電装置100の一構成例を概略的に示す。本実施形態の蓄電装置100は、建物内の電力系統である交流配電系統に接続される蓄電装置であって、配電系統に接続され、蓄電された電力を外部機器200に供給する。
【0014】
蓄電部110は、蓄電装置BTと、DC/DC変換器10と、双方向AC/DC変換器20と、制御装置30と、短絡保護装置40と、を備えている。
【0015】
蓄電装置BTは、複数の二次電池セルを含む組電池と、組電池の充電状態(SOC:state of charge)等の電池情報を管理する電池管理ユニット(BMU:battery management unit)と、を備えている。組電池はリチウムイオン、NiMH、鉛などの二次電池セルを直列あるいは並列に接続して構成されている。
【0016】
DC/DC変換器10は、PWM(Pulse Width Modulation)制御可能なスイッチング素子(図示せず)を有し、双方向AC/DC変換器20からの直流電力の電圧変換を行なって蓄電装置BTの組電池に充電したり、組電池に蓄えられた電力の電圧変換を行なって双方向AC/DC変換器20へ放電したりする。
【0017】
双方向AC/DC変換器20は、PWM制御可能なスイッチング素子(図示せず)を有する双方向インバータからなり、配電系統からの交流電力を直流電力に変換してDC/DC変換器10へ出力したり、DC/DC変換器10からの直流電力を交流電力に変換して配電系統に出力したりする。
【0018】
制御装置30は、DC/DC変換器10および双方向AC/DC変換器20と通信し、交流配電系統、直流配線、二次電池セルの状態を取得して、組電池の充放電制御および系統連携等、蓄電装置100全体の制御を行う。
【0019】
外部機器200は、たとえば太陽光発電装置PV、各種負荷50、60、他の蓄電システム等を含んでいる。外部機器200の各機器は、双方向AC/DC変換器20とDC/DC変換器10との間の直流配線から引き出された配線に接続されている。
【0020】
短絡保護装置40は、双方向AC/DC変換器20およびDC/DC変換器10の間の直流配線と外部機器200とを接続する直流配線上に直列に設けられている。本実施形態では、短絡保護装置40は、外部機器200側で短絡が発生した際の保護動作を行う。
【0021】
図2に、短絡保護装置40の一構成例を概略的に示す。短絡保護装置40は、直流電力を出力する蓄電部110と蓄電部110と外部機器200とを接続する正側の配線を遮断する半導体スイッチ素子SWと、外部機器200から蓄電部110へ電流を流す方向に半導体スイッチ素子SWと並列に接続されたダイオード42と、半導体スイッチ素子SWの両端の電圧を検知する電圧検知部44と、温度検知部46と、ス電圧検知部44で検知された電圧が所定値以上となった場合に半導体スイッチ素子SWを開くスイッチ制御部CTRと、冷却部48と、を備えている。
【0022】
半導体スイッチ素子SWは、例えば炭化ケイ素(SiC)の半導体層を含むノーマリオン型の接合型電界効果トランジスタである。半導体スイッチ素子SWのソース電極Sは外部機器200のプラス端子と電気的に接続される。半導体スイッチ素子SWのドレイン電極DはDC/DC変換器10側のプラス端子と電気的に接続されている。半導体スイッチ素子SWのゲート電極Gの電位は、後述するスイッチ制御部CTRにより制御される。
【0023】
ダイオード42は、半導体スイッチ素子SWと並列に接続されている。ダイオード42は、半導体スイッチ素子SWのソース電極Sからドレイン電極Dの方向に順方向となるように接続され、外部機器200側からDC/DC変換器10側に順方向電流を流す向きとする。ダイオード42は、外部機器200からDC/DC変換器10の方へ過電流が流れる際、半導体スイッチ素子SWの逆耐圧を越えて電圧がかかることを防止する。
【0024】
電圧検知部44は、半導体スイッチ素子SWのソース電極Sとドレイン電極Dとの間の電圧を検知して、周期的にスイッチ制御部CTRへ出力する。
【0025】
温度検知部46は、半導体スイッチ素子SWの近傍に配置された温度センサSSと接続され、温度センサSSにより半導体スイッチ素子SWの温度を検知し、周期的にスイッチ制御部CTRへ出力する。
【0026】
冷却部48は、半導体スイッチ素子SWを冷却するクーリングファンやヒートシンク等を備えている。冷却部48は、スイッチ制御部CTRからの制御信号に従って、半導体スイッチ素子SWの冷却の開始および停止を行う。
【0027】
スイッチ制御部CTRは、電圧検知部44から受信した電圧値に基づいて、半導体スイッチ素子SWのゲート電極の電位を制御する。スイッチ制御部CTRは、半導体スイッチ素子SWのソース電極Sとドレイン電極Dとの間の電圧が短絡検知電圧以上となった場合に、半導体スイッチ素子SWを開く。
【0028】
また、スイッチ制御部CTRは、温度検知部46から受信した温度値に基づいて、冷却部48を制御する。スイッチ制御部CTRは、半導体スイッチ素子SWの温度が所定値以上となった場合に、冷却部48による冷却を開始する。
【0029】
図3に、半導体スイッチ素子SWのソース電極Sとドレイン電極Dとの間の電圧をVとし、半導体スイッチ素子SWに流れる電流をIとし、短絡が生じた際の電圧Vと電流Iとの時間変化の一例を示す。なお、図3では、半導体スイッチ素子SWとして半導体層として炭化ケイ素(SiC)を含むノーマリオン型の接合型電界効果トランジスタを採用した場合の電圧Vと電流Iについて示している。
【0030】
まず、外部短絡が発生すると、半導体スイッチ素子SWに短絡電流が流れ、電流Iが定格電流以上となる。その後、数マイクロ秒経過すると、半導体スイッチ素子の温度が上昇してオン抵抗が大きくなり、半導体スイッチ素子SWに流れる電流が抑制され、電流Iは定格電流を下回る。この電流抑制機能は、高温動作特性がケイ素(Si)よりも炭化ケイ素(SiC)の方が優れているため素子が破壊する前に電流抑制が働くという性質に由来している。
【0031】
自己電抑制領域においては半導体スイッチ素子SWの定格電流以下の電流Iしか流れておらず、この領域では電流Iを測定しても短絡しているのかどうかを判断することはできない。
【0032】
短絡した瞬間であれば定格以上の電流が流れているため、この電流を検知すれば短絡しているかどうかを判断できる。しかしながら、炭化ケイ素(SiC)の半導体層を含む半導体スイッチ素子SWにおいては数マイクロ秒経つと電流Iが抑制されるため、極めて短時間での検出が必要となり、実際の回路で実現するためには誤動作防止のためのノイズ耐量設計が難しい。
【0033】
そこで本実施形態の蓄電装置においては、半導体スイッチ素子SWの電圧Vを検知することで短絡を判断している。半導体スイッチ素子SWの電圧Vは回路の時定数に依存して徐々に上昇し、短絡が発生してから1ミリ秒乃至10ミリ秒後に短絡検知電圧に到達する。そのため、電圧Vを検出して短絡しているか否か判断し、半導体スイッチ素子SWのゲート電位を制御することで、誤動作することなく確実に短絡保護を実現することができる。
【0034】
また、上述の通り、短絡発生時は半導体スイッチ素子SWの温度が上昇してしまうため、短絡保護装置40には冷却装置が必要となる。スイッチ制御部CTRは、温度検知部46から温度情報を受信し、クーリングファンやヒートシンク等を起動する。スイッチ制御部CTRは、半導体スイッチ素子SWの温度が高いときは、クーリングファンを回して冷却能力を高めるとよい。
【0035】
このようにして、短絡保護装置40は外部短絡に対して回路を保護しながら確実に回路を遮断することができる。したがって、本実施形態によれば、蓄電装置100と外部機器200とを直流配線で接続した場合であっても外部短絡時に確実に回路を保護することができ、その結果、蓄電電力の利用効率の高い蓄電装置を提供することができる。
【0036】
次に、第2実施形態の蓄電装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図4に、本実施形態の蓄電装置100の短絡保護装置40の一構成例を概略的に示す。
【0038】
短絡保護装置40は、蓄電部110と外部機器200との間の正側の配線に直列に接続された半導体スイッチ素子SWA、SWBと、ダイオード42A、42Bと、電圧検知部44A、44Bと、スイッチ制御部CTRA、CTRBと、を備えている。
【0039】
半導体スイッチ素子SWA、SWBは、例えば半導体層として炭化ケイ素(SiC)を含むノーマリオン型の接合型電界効果トランジスタである。
【0040】
半導体スイッチ素子SWAのソース電極は半導体スイッチ素子SWBのドレイン電極と接続されている。半導体スイッチ素子SWAのドレイン電極はDC/DC変換器10側のプラス端子と電気的に接続されている。半導体スイッチ素子SWAのゲート電極の電位はスイッチ制御部CTRAにより制御される。
【0041】
半導体スイッチ素子SWBのドレイン電極は外部機器200側のプラス端子と電気的に接続されている。半導体スイッチ素子SWBのゲート電極の電位はスイッチ制御部CTRBにより制御される。
【0042】
ダイオード42Aは、半導体スイッチ素子SWAと並列に接続されている。ダイオード42Aは、半導体スイッチ素子SWAのソース電極からドレイン電極の方向に順方向となるように接続され、外部機器200側からDC/DC変換器10側に順方向電流を流す向きとする。ダイオード42Aは、外部機器200からDC/DC変換器10の方へ過電流が流れる際、半導体スイッチ素子SWAの逆耐圧を越えて電圧がかかることを防止する。
【0043】
ダイオード42Bは、半導体スイッチ素子SWBと並列に接続されている。ダイオード42Bは、半導体スイッチ素子SWBのソース電極からドレイン電極の方向に順方向となるように接続され、DC/DC変換器10側から外部機器200側に順方向電流を流す向きとする。ダイオード42Bは、DC/DC変換器10から外部機器200の方向へ過電流が流れる際、半導体スイッチ素子SWBの逆耐圧を越えて電圧がかかることを防止する。
【0044】
電圧検知部44Aは、半導体スイッチ素子SWAのソース電極とドレイン電極との間の電圧を検知して、周期的にスイッチ制御部CTRAへ出力する。電圧検知部44Bは、半導体スイッチ素子SWBのソース電極とドレイン電極との間の電圧を検知して、周期的にスイッチ制御部CTRBへ出力する。
【0045】
スイッチ制御部CTRAは、電圧検知部44Aから受信した電圧値に基づいて、半導体スイッチ素子SWAのゲート電極の電位を制御する。スイッチ制御部CTRAは、半導体スイッチ素子SWAのソース電極とドレイン電極との間の電圧が短絡検知電圧以上となった場合に、半導体スイッチ素子SWAを開く。
【0046】
スイッチ制御部CTRBは、電圧検知部44Bから受信した電圧値に基づいて、半導体スイッチ素子SWBのゲート電極の電位を制御する。スイッチ制御部CTRBは、半導体スイッチ素子SWBのソース電極とドレイン電極との間の電圧が短絡検知電圧以上となった場合に、半導体スイッチ素子SWBを開く。
【0047】
炭化ケイ素(SiC)を含む接合型電界効果トランジスタは一般に逆耐圧が無いため、上述の第1実施形態の蓄電装置の内部側で短絡があるときなど、外部機器から蓄電装置内部へ短絡エネルギーが流れるときは逆並列接続したダイオードを用いて電流を流す必要がある。これに対し、本実施形態の蓄電装置100では、短絡保護装置40が互いに逆向きに接続された半導体スイッチ素子SWA、SWBを備え、双方向の短絡保護を行うことを可能としている。
【0048】
すなわち、本実施形態の蓄電装置100では外部短絡および内部短絡に対して回路を保護しながら確実に回路を遮断することができる。したがって、本実施形態によれば、蓄電装置100と外部機器200とを直流配線で接続した場合であっても短絡発生時に確実に回路を保護することができ、その結果、蓄電電力の利用効率の高い蓄電装置を提供することができる。
【0049】
次に、第3実施形態の蓄電装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
図5に、本実施形態の蓄電装置100の短絡保護装置40の一構成例を概略的に示す。
【0051】
本実施形態の蓄電装置100の短絡保護装置40は、上記第2実施形態の短絡保護装置40に加えて、蓄電部110と外部機器200との間の負側の配線にも半導体スイッチ素子が直列に接続されている。
【0052】
本実施形態では、短絡保護装置40は、蓄電部110と外部機器200との間の負側の配線に直列に接続された半導体スイッチ素子SWC、SWDと、ダイオード42C、42Dと、電圧検知部44C、44Dと、スイッチ制御部CTRC、CTRDと、を備えている。半導体スイッチ素子SWC、SWDは、例えば半導体層として炭化ケイ素(SiC)を含むノーマリオン型の接合型電界効果トランジスタである。
【0053】
半導体スイッチ素子SWCのソース電極は半導体スイッチ素子SWDのドレイン電極と接続されている。半導体スイッチ素子SWCのドレイン電極はDC/DC変換器10側のプラス端子と電気的に接続されている。半導体スイッチ素子SWCのゲート電極の電位はスイッチ制御部CTRAにより制御される。
【0054】
半導体スイッチ素子SWDのドレイン電極は外部機器200側のプラス端子と電気的に接続されている。半導体スイッチ素子SWDのゲート電極の電位はスイッチ制御部CTRDにより制御される。
【0055】
ダイオード42Cは、半導体スイッチ素子SWCと並列に接続されている。ダイオード42Cは、半導体スイッチ素子SWCのソース電極からドレイン電極の方向に順方向となるように接続され、外部機器200側からDC/DC変換器10側に順方向電流を流す向きとする。ダイオード42Cは、外部機器200からDC/DC変換器10の方へ過電流が流れる際、半導体スイッチ素子SWAの逆耐圧を越えて電圧がかかることを防止する。
【0056】
ダイオード42Dは、半導体スイッチ素子SWDと並列に接続されている。ダイオード42Dは、半導体スイッチ素子SWDのソース電極からドレイン電極の方向に順方向となるように接続され、DC/DC変換器10側から外部機器200側に順方向電流を流す向きとする。ダイオード42Dは、DC/DC変換器10から外部機器200の方向へ過電流が流れる際、半導体スイッチ素子SWBの逆耐圧を越えて電圧がかかることを防止する。
【0057】
電圧検知部44Cは、半導体スイッチ素子SWCのソース電極とドレイン電極との間の電圧を検知して、周期的にスイッチ制御部CTRCへ出力する。電圧検知部44Dは、半導体スイッチ素子SWDのソース電極とドレイン電極との間の電圧を検知して、周期的にスイッチ制御部CTRDへ出力する。
【0058】
スイッチ制御部CTRCは、電圧検知部44Cから受信した電圧値に基づいて、半導体スイッチ素子SWCのゲート電極の電位を制御する。スイッチ制御部CTRCは、半導体スイッチ素子SWCのソース電極とドレイン電極との間の電圧が短絡検知電圧以上となった場合に、半導体スイッチ素子SWCを開く。
【0059】
スイッチ制御部CTRDは、電圧検知部44Dから受信した電圧値に基づいて、半導体スイッチ素子SWDのゲート電極の電位を制御する。スイッチ制御部CTRDは、半導体スイッチ素子SWDのソース電極とドレイン電極との間の電圧が短絡検知電圧以上となった場合に、半導体スイッチ素子SWDを開く。
【0060】
上記構成以外は、本実施形態の蓄電装置100は上述の第2実施形態の蓄電装置100と同様である。
【0061】
すなわち、本実施形態の蓄電装置100では外部短絡および内部短絡に対して回路を保護しながら確実に回路を遮断することができる。さらに、本実施形態では、上述の第2実施形態の蓄電装置100のように外部機器200側や蓄電装置100内部での双方向短絡保護を行うだけでなく、地絡から回路を保護することも可能となる。
【0062】
したがって、本実施形態によれば、蓄電装置100と外部機器200とを直流配線で接続した場合であっても短絡発生時に確実に回路を保護することができ、その結果、蓄電電力の利用効率の高い蓄電装置を提供することができる。
【0063】
なお、第2実施形態と第3実施形態において、短絡保護装置40は温度検知部と冷却部とを備えていても良い。温度検知部と冷却部とを設けると、短絡発生時の発熱を抑制することが可能となる。
【0064】
また、上述の実施形態では、半導体スイッチ素子はノーマリオン型のスイッチ素子であったが、ノーマリオフ型の半導体スイッチ素子であってもよい。また、短絡保護装置40は炭化ケイ素(SiC)の半導体層を含む半導体スイッチ素子を備えていたが、これに限らず発熱した際、素子が破壊される前に素子に流れる電流が抑制されるスイッチ素子であればよい。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
CTR、CTRA〜CTRD…スイッチ制御部、BT…蓄電装置、SW、SWA〜SWD…半導体スイッチ素子、SS…温度センサ、10…DC/DC変換器、20…DC/DC変換器、30…制御装置、40…短絡保護装置、42、42A〜42D…ダイオード、44、44A〜44D…電圧検知部、46…温度検知部、48…冷却部、100…蓄電装置、110…蓄電部、200…外部機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を出力する蓄電部と、
前記蓄電部と外部とを接続する正側の配線を遮断するスイッチ素子と、
外部から前記蓄電部へ電流を流す方向に前記スイッチ素子と並列に接続されたダイオードと、
前記スイッチ素子の両端の電圧を検知する電圧検知部と、
前記電圧検知部で検知された電圧が所定値以上となった場合に前記スイッチ素子を開くスイッチ制御部と、を備える蓄電装置。
【請求項2】
前記スイッチ素子は、炭化ケイ素の半導体層を含むノーマリオフ型の接合型電界効果トランジスタである請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記スイッチ素子近傍の温度を検知する温度検知部と、
前記スイッチ素子を冷却する冷却部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記温度検知部から通知された温度情報に基づいて前記冷却部を制御する請求項1記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記正側の配線において前記スイッチ素子と逆向きに接続され、前記正側の配線を遮断する第2スイッチ素子と、
前記蓄電部から外部へ電流を流す方向に前記第2スイッチ素子と並列に接続された第2ダイオードと、
前記第2スイッチ素子の両端の電圧を検知する第2電圧検知部と、
前記第2電圧検知部で検知された電圧が所定値以上となった場合に前記第2スイッチ素子を開く第2スイッチ制御部と、をさらに備える請求項1又は請求項2記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電部と外部とを接続する負側の配線に互いに逆向きに配置され前記負側の配線を遮断する第3スイッチ素子および第4スイッチ素子と、
前記外部から前記蓄電部へ電流を流す方向に前記第3スイッチ素子と並列に接続された第3ダイオードと、
前記第3スイッチ素子の両端の電圧を検知する第3電圧検知部と、
前記第3電圧検知部で検知された電圧が所定値以上となった場合に、前記第3スイッチ素子を開く第3スイッチ制御部と、
前記外部から前記蓄電部へ電流を流す方向に前記第4スイッチ素子と並列に接続された第4ダイオードと、
前記第4スイッチ素子の両端の電圧を検知する第4電圧検知部と、
前記第4電圧検知部で検知された電圧が所定値以上となった場合に、前記第4スイッチ素子を開く第4スイッチ制御部と、を備えた請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−9467(P2013−9467A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138946(P2011−138946)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】