説明

蓋付き高気密容器

【課題】塗布準備操作で容器体内ガスが放出されて塗布時にガスと共に液体が噴出して周辺を汚すことがない揮発性液体収納の液体塗布容器を提供する。
【解決手段】容器体と、容器体口頸部へ嵌合させた上面閉塞で、第1窓孔15付き液体通路筒16を起立する基筒部材11と、基筒部材の下部外面へ螺合させた雌ねじ筒31a上端から第2窓孔35付き圧縮筒31bを起立させ、圧縮筒上端へ逆止弁付きのガス抜き筒38を付設し嵌合させた中間筒部材31と、雌ねじ筒31a外面へ固着させた下方筒部52から中間筒53を介してガス抜き筒外面へ嵌合させた上部筒54を起立する外筒部材51とからなり、中間筒部材および外筒部材上昇で液体通路筒上端とガス抜き筒下端とが形成するガス抜き弁が開いてガスが放出され、該状態からガス抜き筒を押込むことで、上部筒下端部内面とガス抜き筒下部外面とが形成する液体流出弁55が開く構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は揮発性の成分を含む液体を収納する液体塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体口頸部内へ、長筒上端の内向きフランジから短筒を垂下する筒状口栓を嵌合させると共に、基筒上端から数条の螺線を起立させてそれ等螺線上端を、小筒下端に付設した外向きフランジ下面へ連結した部材を設けて、該部材の小筒を上記短筒に挿通させて筒状口栓上方へ起立させると共に外向きフランジ上面を小筒下端面へ当接させ、かつ複数の螺条を長筒内へ遊挿し、又基筒を長筒の下端部内へ装着させ、上記小筒の上端外面へ塗布用球状体を嵌着させ、更にそれ等球状体の上部を半球状頂部で覆い、該、頂部下端から外向きフランジ状部を介して垂下させた周壁を容器体口頸部外面へ螺合させ、上記半球状頂部の下部内面一部に突子を付設したキャップを嵌合させ、該キャップ取外し時に上記突子が塗布用球状体に触れて小筒を介して外向きフランジを傾け、該外向きフランジ一部を短筒下端面から離すことで、容器体内のガスが短筒と小筒との間を通って排出できるようにした容器が知られている(特許資料1)。
【特許文献1】特許第3530288号。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来例の場合は、キャップ取外し時に容器体内ガスを排出するためそのガス排出の時間が短く容器体内にガスが残るおそれがあった。
本発明はそのガス排出を確実に行えるよう設けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の手段として、口頸部2を起立する容器体1と、
口頸部外面へ嵌合させた雄ねじ筒13の上部内面から内向きフランジ14を介して上面閉塞でかつ筒壁に第1窓孔15を有する液体通路筒16を起立する基筒部材11と、
上記雄ねじ筒外面へ螺合させた雌ねじ筒31a上部から、第2窓孔35付きの圧縮筒31bを起立し、該圧縮筒上端から逆止弁37付きのガス抜き筒38を該ガス抜き付き筒下端部を上記液体通路筒の上端部外面へ嵌合させて起立する中間筒部材31と、
上記雌ねじ筒31a外面へ嵌着させた下方筒部52上端から圧縮筒31b外面を覆って中間筒53を起立し、更に該中間筒上端からガス抜き筒外面を覆って上部筒54を起立する外筒部材51と、
上記液体通路筒16の上端部外面へガス抜き筒38の下端部を着脱自在にかつ気密に嵌合させてガス抜き弁39を、かつ圧縮筒31bの上端部外面へ上部筒54の下端部を着脱自在にかつ水密に嵌合させて液体流出弁55を、それぞれ形成し、
雄ねじ筒13に対する雌ねじ筒31aの螺上昇でガス抜き弁39が又該雌ねじ筒螺上昇状態でのガス抜き筒38押下げで液体流出弁55が、それぞれ開弁可能とした。
【0005】
第2の手段として上記第1の手段を有すると共に、上記ガス抜き筒38外面と、ガス抜き筒外面を覆う上部筒54の上方部分内面とのいずれかの一方に液体流出用溝42を縦設した。
【0006】
第3の手段として上記第1又は第2の手段を有すると共に、上記中間筒部材31の雌ねじ筒31aと圧縮筒31bとを別部材で形成し、それ等両筒の上端筒部と下端筒部とを嵌着させた。
【0007】
第4の手段として上記第3の手段を有すると共に、上記雌ねじ筒31aの上部内面から内向きフランジを介して第3シール筒34を垂下し、該第3シール筒を、上記基筒部材の内向きフランジ14から起立させた第2シール筒18内面へ水密にかつ上下方向への摺動が可能に嵌合させ、又上記内向きフランジ14からは容器体口頸部内面へ水密に嵌合させて第1シール筒17を垂下させた。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のようにすることで、図2が示すように基筒部材11に対して外筒部材51と共に中間筒部材31を下降させて容器体内が密封された状態から、中間筒部材31と共に外筒部材51を螺上昇させると、図3のようにガス抜き弁39が開いてガス抜き筒38内を通って容器体内高圧ガスは排出され、中間筒部材および外筒部材を下降させない限りガス排出路は閉塞されないから、容器体内にガスが溜まることはなく、又該状態から図4のようにガス抜き筒38上端を被塗布面へ押付けてガス抜き筒38を外筒部材51の上部筒54内へ押込むことで液体流出弁55が開いて塗布でき、又被塗布面からガス抜き筒38を離すことで該ガス抜き筒は弾性復帰して液体流出弁を閉塞することとなり、それ等の操作が容易である。
【0009】
請求項2のようにすることで、液体流出用溝42内を通って塗布液体を流出させることが出来、その塗布液体流出量の調整が容易となる。
【0010】
請求項3のようにすることで、圧縮筒だけを弾性材で形成でき、又雌ねじ筒31aと圧縮筒31bとを別成形することで中間筒部材31の成形が容易となる。
【0011】
請求項4のようにすることで、液体流出路途中における液洩れを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面について説明すると、本願発明の主要部材は、容器体と、基筒部材と、中間筒部材と、外筒部材とからなるもので、そのほかキャップを設けてもよく、又上記中間部材は雌ねじ筒と圧縮筒との二部材で形成してもよい。
【0013】
まず容器体1は、有底の胴部上端から肩部を介して口頸部2を起立する。その口頸部の下部外面には外向きフランジ3を付設しており、その外向きフランジの基部上面へは適当数の突部4を付設し、又口頸部の中間部外面へは係合突条5を周設している。
【0014】
基筒部材11は、上記外向きフランジ3外面へ嵌合させた下筒部12上端から内向きフランジ12a上端から内向きフランジ12aを介して口頸部2の上部外面へ嵌合させて雄ねじ筒13を起立し、該雄ねじ筒の上部内面に付設した内向きフランジ14を容器体口頸部の上面へ載置させてその内向きフランジ内周から上端面閉塞でかつ筒壁に第1窓孔15を穿設した液体通路筒16を起立する。上記内向きフランジからは口頸部2内面へ嵌合させて第1シール筒17を垂下し、又第2シール筒18を起立している。又上記内向きフランジ12a下面からは既述突部4側面へ係合させて回転防止板19を垂下する。上記液体通路筒16の上端部は上向き段部を介して小外径部16aとしている。又雌ねじ筒31aの下部内面には凹溝20を周設して該凹溝内へ、既述口頸部に設けた係合突条5を嵌合させて口頸部2に対して基筒部材11の上方抜出しを防止している。更に雄ねじ筒の下部外面に第1係合突条21を周設している。
【0015】
中間筒部材31は、図示例において雌ねじ筒31aと圧縮筒31bとで形成しており、雌ねじ筒31aはその筒下部内面を雌ねじを有しない筒部とし、その筒部下端内面へ第2係合突条32を周設させ、筒上部内面へ設けた雌ねじを雄ねじ筒13に螺合させている。雌ねじ筒上端からは内向きフランジを介して連結筒33を起立し、該連結筒の中間部内面から更に内向きフランジを突設して該内向きフランジ内端から既述第2シール筒18内面へ摺動自在に嵌合させて第3シール筒34を垂下させている。
【0016】
圧縮筒31bは上記連結筒33の上部内面へ筒下端部を抜出し不能に嵌着させ、又筒下部の上端から上部小径の第2窓孔35付きのテーパ状筒36を起立し、そのテーパ状筒上端から逆止弁37付きのガス抜き筒38を起立させている。そのガス抜き筒下端は大内径部に形成してその大内径部内へ既述液体通路筒16の上端部が形成する小外径部16a外面へ嵌合させ、その下端部内面を上向き段部上面へ載置させ、それ等大内径部の内面と小外径部分外面とで、ないし上記液体通路筒の下端部内面と上向き段部上面とでガス抜き弁39を形成している。ガス抜き筒38はその中間部を大内径筒部としてその大内径部内へ玉弁を嵌合させ、大内径部の内面上端を弁座40とし、かつ下端を玉弁抜落ち防止突条41とし、図3が示すようにガス抜き弁39開弁状態ではガス抜き筒38内を通ってガスが排出されるが、図4が示すように容器倒立状態にあっては玉弁が上方の弁座40に接して該ガス抜き筒内を通って容器体内液体が流出しないよう設けている。ガス抜き筒38外面へは複数の液体流出用溝42を縦設している。
【0017】
既述テーパ状筒36は、図3が示すようにガス抜き弁開弁状態からのガス抜き筒38押下げにより弾性圧縮可能に形成するものであるから、複数第2窓孔35間の筒壁部分を巾狭に形成してその弾性圧縮が容易としてもよく、又そのテーパ状筒を複数の螺条で伸縮自在に形成してもよい。
【0018】
該中間筒部材31は図2が示す下降状態からの螺動上昇で図3のようにガス抜き弁39が開き、上限まで達したとき雌ねじ筒下端内面の第2係合突条32が雄ねじ筒下部外面の第1係合突条21下面へ係合して抜出しを防止し、又このとき第3シール筒34はその下部内面を第2シール筒18の上部内面に水密に接している。
【0019】
外筒部材51は、既述雌ねじ筒31a外面へ固着させた下方筒部52上端から、内向きフランジを介して圧縮筒外面を覆う中間筒53を起立し、該中間筒上端からガス抜き筒38外面を覆って上部筒54を起立する。
【0020】
中間筒53は圧縮筒31bと同様に上部小径のテーパ状としており、又上部筒54はガス抜き筒38の外径とほぼ同内径としている。ガス抜き筒外面へ縦設した液体流出溝42は上部筒54内面へ縦設してもよい。中間筒53下端からは第4シール筒56を垂設して該第4シール筒を中間筒部材の連結筒33外面へ気密に嵌合させている。
【0021】
中間筒53上端と上部筒下端との接合部下面は、圧縮筒31bの上端部外面へ気密に接して液体流出弁55を形成する。
【0022】
キャップ61は、図1が示すように既述基筒部材11の下筒部12および外筒部材51の下方筒部52外面を覆う下部周壁62上端から下方内向きフランジ63を介して上部小径のテーパ状の上部周壁64を起立し、又該上部周壁上端から上方内向きフランジ65を介して既述外筒部材51の上部筒54外面へ嵌合させる口キャップ66を付設している。
【0023】
下部周壁62の下部内面は基筒部材の下筒部12外面へ螺合させ、又口キャップの周壁67内面は外筒部材51の上部筒54外面へ気密に嵌合させている。
【0024】
上記容器において図1が示すようにキャップ61螺合状態から図2が示すようにキャップを外す。該状態では口頸部2内面へ第1シール筒17が、第2シール筒18内面へは第3シール筒34が、連結筒33外面へ第4シール筒56が、それぞれ気密に嵌合し、又ガス抜き弁39と液体流出弁55とが共に閉じているため、容器体内ガスは放出されない。
【0025】
該図2の状態から図3が示すように、外筒部材51を雌ねじ筒螺脱方向へ回すと、その下方筒部と雌ねじ筒31aとは固着させてあるため、中間筒部材31と外筒部材51とは共に螺上昇し、よってガス抜き弁39が開弁し、ガス抜き筒38内を通って容器体内ガスは放出される。
【0026】
該図3の状態から図4のように容器を傾け、ガス抜き筒38上端を被塗布面71へ押付けると、該ガス抜き筒は、そのガス抜き筒を支持する圧縮筒31bが圧縮することで、ガス抜き筒を囲成する上部筒54に対して下降することとなり、該下降で液体流出弁55が開弁するから該弁を通って容器体内液体が上部筒54から流出し塗布することが出来る。ガス抜き筒押付け開放で圧縮筒31bは弾性復元して液体流出弁55は閉塞する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】キャップ嵌合状態で示す本発明容器要部の縦断面図である。
【図2】図1からキャップを外して示す縦断面図である。
【図3】図2状態から中間部材および外筒部材を上昇させた状態を示す縦断面図である。
【図4】図3の状態から容器を傾け、被塗布面へ塗布している状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 容器体 11 基筒部材
15 第1窓孔 16 液体通路筒
31 中間筒部材 31a雌ねじ筒
31b圧縮筒 35 第2窓孔
38 ガス抜き筒 39 ガス抜き弁
40 弁座 51 外筒部材
52 下方筒部 53 中間筒
54 上部筒 55 液体流出弁
61 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部2を起立する容器体1と、
口頸部外面へ嵌合させた雄ねじ筒13の上部内面から内向きフランジ14を介して上面閉塞でかつ筒壁に第1窓孔15を有する液体通路筒16を起立する基筒部材11と、
上記雄ねじ筒外面へ螺合させた雌ねじ筒31a上部から、第2窓孔35付きの圧縮筒31bを起立し、該圧縮筒上端から逆止弁37付きのガス抜き筒38を該ガス抜き付き筒下端部を上記液体通路筒の上端部外面へ嵌合させて起立する中間筒部材31と、
上記雌ねじ筒31a外面へ嵌着させた下方筒部52上端から圧縮筒31b外面を覆って中間筒53を起立し、更に該中間筒上端からガス抜き筒外面を覆って上部筒54を起立する外筒部材51と、
上記液体通路筒16の上端部外面へガス抜き筒38の下端部を着脱自在にかつ気密に嵌合させてガス抜き弁39を、かつ圧縮筒31bの上端部外面へ上部筒54の下端部を着脱自在にかつ水密に嵌合させて液体流出弁55を、それぞれ形成し、
雄ねじ筒13に対する雌ねじ筒31aの螺上昇でガス抜き弁39が又該雌ねじ筒螺上昇状態でのガス抜き筒38押下げで液体流出弁55が、それぞれ開弁可能とした
ことを特徴とする液体塗布容器。
【請求項2】
上記ガス抜き筒38外面と、ガス抜き筒外面を覆う上部筒54の上方部分内面とのいずれかの一方に液体流出用溝42を縦設した
ことを特徴とする請求項1記載の液体塗布容器。
【請求項3】
上記中間筒部材31の雌ねじ筒31aと圧縮筒31bとを別部材で形成し、それ等両筒の上端筒部と下端筒部とを嵌着させた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の液体塗布容器。
【請求項4】
上記雌ねじ筒31aの上部内面から内向きフランジを介して第3シール筒34を垂下し、該第3シール筒を、上記基筒部材の内向きフランジ14から起立させた第2シール筒18内面へ水密にかつ上下方向への摺動が可能に嵌合させ、又上記内向きフランジ14からは容器体口頸部内面へ水密に嵌合させて第1シール筒17を垂下させた
ことを特徴とする請求項3記載の液体塗布容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−297093(P2007−297093A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126390(P2006−126390)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】